JP2013131794A - 画像読取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被写界深度が大きく、かつ小型の画像読取装置を提供する。
【解決手段】光源2と、結像光学系1と、撮像素子部41と、メモリ5と、処理装置6とを備え、結像光学系1は、それぞれが独立した光学系である複数のセル11を主走査方向211に配置され、副走査方向212には2列に配列された画像読取装置であって、各セルは、第1反射型集光光学素子100、第1平面鏡105、アパーチャ101、第2反射型集光光学素子102を原稿7からこの順に配置され、かつアパーチャ101を第1反射型集光光学素子100の後側焦点位置に配置して上記原稿側にテレセントリックな光学系を形成している。
【選択図】図1

Description

本発明は、コピー機等に用いられる画像読取装置に関する。
コピー機、スキャナ、ファクシミリ等にて使用されている、一次元撮像素子を用いて読み取り位置における画像をスキャンすることによって画像全体を読み取る画像読取装置には、大きく分けて2種類の方式がある。尚、一般的に、一次元撮像素子が配列されている方向を主走査方向と呼び、スキャンする方向を副走査方向と呼ぶ。
2種類の方式のうちの一方は、単眼のレンズにて主走査方向の画像全体を撮像素子上に縮小転写する方式であり、コピー機にて、おもて面の読み取りに主に用いられている。この方式では、通常、原稿側に位置する撮像素子やレンズは固定され、ミラーのみが副走査方向に移動され、原稿全体がスキャンされる。この方法では、原稿側の焦点深度(被写界深度という)が数mm程度、例えば6mmなど、と大きいので、コピー機の原稿読み取り面に対し、原稿が密着していなくても原稿を読み取れるという利点がある。例えば本の綴じ目のような、原稿面に密着させることができない場合でも、焦点ぼけなく読み取れるという利点があることから、コピー機のおもて面読み取りには、主にこの方式が用いられてきた。この方式に派生したさまざまな特許文献があるが、例えば特許文献1を挙げる(従来法1と呼ぶ)。
上記2種類の方式の内の他方の方式は、主走査方向の画像を複数に分割して複眼レンズで画像を読み取る方式であり、密着型イメージセンサと通常呼ばれる。この方式は、コピー機の裏面読み取りや、ファクシミリの原稿読み取り、紙幣の認識センサ、パーソナルコンピュータ用のスキャナなどに用いられ、小型であることを特徴とする。この密着型イメージセンサの光学系として、現在主流となっている従来技術は、例えば特許文献2に開示されている。ここでは、複眼レンズ(文献中では、ロッドレンズアレイ)として、半径方向に、ある関数で規定される屈折率の分布をもつロッドレンズを複数本並べてアレイ化したものを用いて、正立等倍像を得るイメージ読取装置が開示されている(従来法2と呼ぶ)。
密着型イメージセンサの光学系の中で代表的な方式のもう一つの例として、例えば特許文献3に開示されている方式がある。この方式では、主走査方向に分割されたセル毎に設置されているレンズにより、セルに対応する領域の画像が縮小転写されて、撮像素子に結像する。セル毎に設置されている撮像素子の出力信号を画像合成することにより、原稿面の画像が復元される(従来法3と呼ぶ)。
また、特許文献4には、上記従来法2または上記従来法3と類似するが、複眼のミラーレンズアレイを用いて正立等倍像を得る方式が開示されている(従来法4と呼ぶ)。
また、特許文献5には、読み取り領域を奇数番目の領域と偶数番目の領域に分け、その奇数番目、偶数番目で結像光学系の光路を変え、結像光学系はテレセントリックであり、結像面で正立等倍像を得る方式が開示されている(従来法5と呼ぶ)。
また、本出願人は、特許文献6にて、大きな被写界深度を有する画像読取装置を提案している。
特開平10−308852号公報 特開平8−204899号公報 特開平5−14600号公報 特開平11−8742号公報 特開2005−37448号公報 特開2009−246623号公報
従来法1に関しては、上述したように被写界深度が大きいというメリットがあるが、光学系が大型化してしまうという問題がある。また、ミラーを移動する際に原稿面からレンズまでの光路が変化しないようにするために、光路途中の複数のミラーの移動速度を制御しなければならず、及び、これらのためにコストがかかる、という問題がある。
従来法2に関しては、小型で低コストであるというメリットがあるものの、被写界深度が小さいという問題、色収差が大きいという問題がある。
従来法3に関しては、被写界深度を大きくする場合、装置が大型化するという問題、色収差が大きくなるという問題、被写界深度によって転写倍率が変わってしまうため各結像光学系単位で撮影した画像を合成する際に画像の重ね合わせの不一致が起こるという問題がある。そのため、被写界深度を大きくすることはできない。
従来法4に関しては、結像光学素子として、凹面鏡を複数配置したミラーアレイを用いているので色収差がないという効果がある。しかしながら、このようにミラーアレイが一直線に並んだ構成では、コンタクトガラスから原稿までの距離が変わっても像の転写倍率が不変であるテレセントリックな光学系を構成することができない。なぜならば、テレセントリックな光学系では、一つの撮像単位系(セルと呼ぶ)の視野範囲よりも大きな開口領域をもつ凹面鏡が必要になるが、凹面鏡同士が隣接していることから、凹面鏡の開口領域を凹面鏡の配置ピッチよりも大きくすることができないからである。
このように従来法4では、テレセントリックな光学系を構成できないことから、コンタクトガラスから原稿までの距離に応じて、一つのセルにおける像の転写倍率が変化してしまう。その結果、各セルから得られる、隣接する画像同士の重ね合わさり方が異なってしまう。よって、アレイ境界面での画像が劣化し、大きな被写界深度を得ることはできない。
従来法5では、直線状の物体に対して奇数領域結像系と偶数領域結像系とで斜め方向から像を読み取っている。そのため、物体の焦点方向における位置が変化すると、奇数領域結像系と偶数領域結像系とで読み取る位置が変わってしまい、結像面である感光性の媒体上において、両者の像がずれてしまうという問題がある。さらに、特許文献5の明細書中には、テレセントリックな結像系の具体的な構成及び効果に関する記述は無い。よって、物体の焦点方向における位置が変化した場合、焦点位置での転写倍率が変化することが考えられ、整数m番目とm+1番目との結像系間における画像の重ね合わさり方が異なり、画像が劣化してしまう。このような二つの問題により、従来法5では、大きな被写界深度を得ることは困難である。
また、本出願人は、上述したような問題点を解決し大きな被写界深度を有する画像読取装置を既に提案している(WO2009/122483)。即ち、図30に示すように、この画像読取装置510では、光路の途中に折り返しミラー111,113を有する。折り返しミラー111によって、原稿7からの光路は、横方向に折り返されているので、照明2を設置するスペースを確保することが容易であるという利点がある。即ち、折り返しミラー111で光路が90度折り返されている場合、天板3から折り返しミラー111までの距離を、照明2用の設置スペースとすることができる。しかしながら、折り返しミラー111、113を設けることから、部品点数が増え、組み立て精度が低下する可能性があるという懸念もある。また、得られる画像に対して以下の2点の問題点も懸念される。
折り返しミラー111、113が存在することによる第1の問題点は、折り返しミラー111の平面の面精度によるもので、面が歪むと結像位置が設計位置から外れ、ディストーションが発生する可能性がある。
第2の問題点は、光線に対する折り返しミラー111、113の姿勢角度誤差により、得られる画像が回転することである。
この画像の回転について、図31を参照して説明する。光線が直線132上の点112a、112b、112c、…から−Z方向に出射され、折り返しミラー111Aにより90度の方向に偏向、反射され、スクリーン140に到達する。折り返しミラー111A、及びスクリーン140上での光線の通過点及び到達点は、それぞれ113a、…;114a、…である。それぞれの光線の通過点及び到達点を結ぶ直線を133、134とする。ここで、折り曲げミラー111Aは、φ=45度の傾斜角を有する斜面を有し、図31におけるZ軸周りにθ回転した場合、得られる画像は、θ’=θ回転する。つまり、折り曲げミラー111Aがθ回転して、111Bで示す姿勢になったとすると、ミラー側では、光線の通過点113a、… が115a、…に変化し、スクリーン140上への光線の到達点は114a、…が116a、…に変化する。よって、光線の到達点116a、…を結ぶ直線136は、直線134に対して角度θをなす。このように、折り返しミラー111の姿勢角度誤差は、スクリーン上にて画像の回転となる。図31に示すように、45度の斜面を有するミラーにより、ほぼ90度の角度で光線が偏向される場合、大きな像回転が起こる。像の回転は、画像が歪んで見える現象となる。また、このような像回転現象は、光線の折り返しミラーへの斜入射角が大きいために発生し、垂直入射に近い場合にはその度合いは小さい。
このように、大きな被写界深度を有する画像読取装置510にあっても、大きな入射角を有するミラーの使用に伴い、製造誤差及び設置誤差に起因して、得られる画像に歪みが生じる可能性があった。
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、被写界深度が大きく、小型で、かつ得られる画像において歪み発生が抑制可能な画像読取装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成される。
即ち、本発明の一態様における画像読取装置は、原稿に光を照射する光源と、上記光源からの光が原稿で反射した光を集光し画像として結像する結像光学系であって、該結像光学系は、それぞれが独立した光学系である複数個のセルで構成され、該セルは、主走査方向に沿って複数個配置され、主走査方向に直角な副走査方向には第1列及び第2列の2列に配列され、同列に配置される各セルは、主光線の内上記原稿からセルへ向かう光線が互いに平行であるように配置され、かつ上記第1列及び上記第2列の各セルは上記主走査方向にて千鳥状に配置される、結像光学系と、それぞれの上記セルに対応して配置されセルを通過した光を受光する複数の撮像素子部と、上記副走査方向において対応する上記撮像素子部同士が送出する上記原稿の画像情報を記憶するメモリと、上記メモリに記憶した上記画像情報が重なる領域の画像が一致するように隣接セル同士の画像情報を合成して原稿の画像を作成する処理装置と、を備えた画像読取装置であって、上記セルは、上記原稿からの光を反射しかつ集光する、第1及び第2の反射型集光光学素子と、アパーチャとを有し、セル内で上記原稿から上記撮像素子部へ向かう光の進行方向において第1反射型集光光学素子、アパーチャ、第2反射型集光光学素子の順番にこれらを配置しかつ上記アパーチャを上記第1反射型集光光学素子の後側焦点位置に配置して上記原稿側にテレセントリックな光学系を形成し、かつ光路を折り曲げる光学素子として上記第1反射型集光光学素子及び上記第2反射型集光光学素子のみを設けたことを特徴とする。
本発明の一態様における画像読取装置によれば、結像光学系を構成する独立した光学系であるセルは、第1反射型集光光学素子、アパーチャ、第2反射型集光光学素子を有し、これらの配置順は、原稿面から撮像素子部へ向かう光路においてこの順番であり、かつ、第1反射型集光光学素子の後側焦点位置にアパーチャが配置されて、セルは、原稿側にテレセントリックな光学系を形成している。また、原稿と第1反射型集光光学素子との間、若しくは第2反射型集光光学素子と撮像素子部との間に光路を折り曲げるミラーが存在せず、さらに、第1反射型集光光学素子及び第2反射型集光光学素子は、光路を折り曲げる従来のミラーに比べて入射角が小さくなるよう構成したことから、製造誤差及び設置誤差に起因する画像における歪みの発生を抑制することができる。
また、本発明の一態様における画像読取装置によれば、原稿に光を照射する光源と、原稿側にテレセントリックな結像光学系を形成しかつ副走査方向に2列にて主走査方向に複数個を配置したセルと、撮像素子部と、画像情報を一時的に記憶するメモリと、記憶した画像情報を復元する処理装置とを備えた。該構成によれば、原稿の主走査方向における読み取り領域を分割して複数個のセルにて画像を読み取ることから、画像読取装置を小型化することができる。さらに、副走査方向に2列にセルを配置し各列に配置されるセルから画像を得ることから、主走査方向に配置されたセル同士から得られる画像の劣化を引き起こすことなくセル間の画像を補完し合うことができる。よって良好な画像を得ることができる。さらに、各セルは、原稿側にテレセントリックな光学系であることから、被写体距離を大きくすることができる。
詳しく説明すると、各セルの原稿側をテレセントリックな光学系にしたことで、原稿が焦点方向に移動しても画像の転写倍率が変わらないという利点がある。一方、各セルが原稿側にテレセントリックな光学系であることで、セルが読み取る画像範囲の端近傍の点(点Eとする)からセルの入射瞳への光線束において、主光線が光軸に平行となる。よって、点Eからの光線束について、ケラレを発生させることなくその全てをセルの光学系に入射させるためには、原稿の読み取り範囲よりも大きい口径のレンズが必要となる。各セルを副走査方向に一列に配置し主走査方向に隣接して配置すると、各セル間の境界部分にて、読み取り範囲に空白が生じてしまう。逆に、レンズの口径を1セルの読み取り幅に合わせると、点Eからの光線束にケラレが生じてしまうという問題が生じる。
そこで本発明の一態様の画像読取装置では、副走査方向にセルを2列に配置している。
ここで、理解を容易にするため、セルに番号をつける。副走査方向に配列された2列のうち、第1列のセルを、n=1、3、5、…とし、第2列のセルをn=2、4、6、…とする。上記一態様の画像読取装置では、セルの読み取り範囲よりもセルの開口を大きくした構成を採る。該構成によれば、一方の第1列において隣接するセル間、すなわち、k番目と(k+2)番目の各セル間の境界で、読み取りのできない空白範囲が生じたとしても、その空白範囲の画像を、他方の第2列における(k+1)番目のセルで読み取り、画像を補完し合うことができる。
一方、上述の2列の構成を採ることで、第1列と第2列とにおける各セルでは、副走査方向の読み取り位置が異なる。よって、同一時刻に撮像される第1列のセルと第2列のセルとにおける画像は異なる。この画像の相違を修正するため、本発明の一態様の画像読取装置では、第1列と第2列との副走査方向の距離をスキャンするのに要した時間を用いて、撮影された画像を合成する手法を採っている。即ち、上記一態様による画像読取装置では、メモリを備えており、読み取った画像を一時的に保存する。該メモリから、わずかに異なる時刻に撮影された第1列及び第2列の各セルによる二つの画像を読み出して、画像処理装置で画像復元する。したがって、本発明の一態様の画像読取装置によれば、読み取り画像から正常な画像を形成することができる。
さらに、上述のように本発明の一態様の画像読取装置では、第1列及び第2列に含まれる全てのセルにおいて、各セルの主光線の内、原稿から各セルへ向かう光線が平行であるので、各セルから原稿までの距離が変動した場合でも、撮像素子部に対する画像の位置が変化することはない。よって、合成された後の画像のk番目と(k+1)番目の境界部の画像も劣化することがない。
したがって上述したように、本発明の一態様による画像読取装置によれば、被写界深度が大きく、かつ小型化を達成することができる。
さらに、本発明の一態様による画像読取装置によれば、セル同士を千鳥状に配置しているため、隣接するセルの間に十分な隙間ができ、必要な光路を遮ることなく遮光板を設けることが可能となる。すなわち、迷光により発生するフレアやゴーストといった、所望の像以外の光線を遮光することができ、鮮明な画像を得ることができる。
又、上記第1列に配置されるセルと、上記第2列に配置されるセルとにおいて、それぞれの原稿からの主光線の角度が副走査方向に対して異なるように各セルを配置することができる。このような配置構成によれば、原稿面における、第1列のセルによる原稿面における読み取り範囲と、第2列のセルによる原稿面における読み取り範囲との副走査方向における隙間を狭くすることができ、読み取り画像を記憶する上記メモリの容量を小さくすることができる。
本発明の実施の形態1による画像読取装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施の形態1による画像読取装置の概略構成を示す斜視図である。 図2に示す画像読取装置に対して遮光部材を追加した斜視図である。 図1に示す画像読取装置の構成を説明するための斜視図である。 図4に示す画像読取装置における主走査方向の構成を示す断面図である。 図4に示す画像読取装置における副走査方向の構成を示す透視図である。 天板上での読み取り領域の配置状態、及び原稿画像文字情報の一例を示す図である。 撮像素子部の配置、及び撮像された文字画像の一例を表す図である。 撮像され、反転処理された文字画像情報の一例を示す図である。 (a)は、図4に示す画像読取装置に備わる第1列のセルにて、本状の原稿を読み取る様子を表す図であり、(b)は、図4に示す画像読取装置に備わる第2列のセルにて、本状の原稿を読み取る様子を表す図である。 図4に示す画像読取装置により、本のような原稿を副走査方向において読み取る様子を表す図である。 実施の形態1〜3に備わる光源の構成を示す図である。 図12に示す光源を説明する図である。 実施の形態1〜2に備わる撮像素子基板の平面図である。 実施の形態1〜2に備わる撮像素子部の構成を示す平面図である。 図4に示す画像読取装置に対して遮光部材を設けた場合を示す斜視図である。 各セルを千鳥状に配置した構成において、遮光部材を設けた場合の効果を説明するための図である。 各セルを千鳥状ではなく単に隣接して配置した構成における問題点を説明するための図である。 本発明の実施の形態2による画像読取装置の構成を示す斜視図である。 図19に示す画像読取装置の主走査方向における構成を示す断面図である。 図19に示す画像読取装置の副走査方向における構成を示す透視図である。 図19に示す画像読取装置の構成の変形例を示す副走査方向における透視図である。 図19に示す画像読取装置の概略構成を示す図であり、副走査方向に2列に配列され結像光学系を構成するセルの光路を示す図である。 図19に示す各セルにおける光路を示す斜視図である。 本発明の実施の形態3による画像読取装置の構成を示す断面図である。 図25に示す画像読取装置の概略構成を示す斜視図である。 本発明の実施の形態4による画像読取装置の構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態5による画像読取装置の構成を示す断面図である。 図25に示す画像読取装置における第1レンズと第2レンズの構成例を示す斜視図である。 従来の画像読取装置における構成の一例を示す斜視図である。 光路を45度折り曲げるミラーの回転θにより、直線に並んだ点の転写位置がθ回転することを説明するための図である。 図31に示すミラーでの光線の反射を示す図である。 図31に示すようにミラーが回転したときの像の回転を説明する図である。 光線の入射角φを横軸にとり、図31に示すミラーの回転角度θに対する像回転角度θ’の比である感度を縦軸にとったグラフである。
本発明の実施形態である画像読取装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
実施の形態1.
図1から図18を参照して、本発明の実施の形態1に係る画像読取装置501の一例について説明する。
図1から図3を参照して、追って説明するように、本実施形態1の画像読取装置501は、光反射系の結像光学系にて構成されており、原稿の読み取り領域からの光は、反射を繰り返して撮像素子部に至る。一方、理解を容易にし、また説明の便宜上、以下の画像読取装置501のシステム構成の説明では、例えば図5に示すように、結像光学系内の第1レンズ100、第2レンズ102などは屈折系におけるレンズ形態にて図示及び説明を行う。
まず、図4から図18を参照して、画像読取装置501のシステム構成について説明する。
本実施形態の画像読取装置501は、大きく分けて、結像光学系1と、光源2と、撮像素子部41、42、…と、メモリ5と、処理装置6とを備える。これらの構成部分は、画像の読み取りがなされる被読取物の一例である原稿7の近傍に光源2が配置され、原稿7にて反射した光が入射可能なように結像光学系1が配置され、撮像素子部41等が適宜配置される。このような画像読取装置501は、主走査方向(X方向)211に沿って原稿7の画像を読み取り、さらに主走査方向211に直交する副走査方向(Y方向)212に原稿7をスキャンして、原稿7における全画像の読み取りを行う。尚、原稿7とは、文章、書画、写真などを表示した被読取物や、紙幣等の被読取物であり、印刷するもとになったり、真贋の判定に使用されたり、電子ファイルとして使用されたりするものが相当する。又、図4では、図示の明瞭化のため、原稿7の図示を省略している。
原稿7は、原稿載置部材としての天板3に載置される。天板3は透明体にてなり、一般にはガラス板である。例えば蛍光灯やLED等である照明光源2は、天板3の下方であって原稿7の読み取りに支障が生じない箇所に配置され、原稿7上の読み取り位置に存在する被撮像部31、32、…に照明光線201を照射する。尚、図4では、光源2は、副走査方向212において結像光学系1の片側にのみ配置しているが、これに限定されず、もちろん両側に配置しても良い。
ここで光源2について説明する。図12は、光源2の構造を示している。光源2は、大きく分けて、出射部22及び光散乱層25を有する導光体21と、電極部26と、発光源27とを備え、当該光源2の長手方向の両端部にそれぞれ配置された電極部26及び発光源27の間に導光体21が配置されている。
光散乱層25は、導光体21の略全長に渡り設けられ、導光体21の出射部22から、主走査方向211に沿った光源2の全体から光を均一に照射させるためのものである。発光源27は、本実施形態では、それぞれ、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)波長を発するLEDチップからなる。よって、電極部26には、図13に示すように、R光源27R、B光源27B、及びG光源27Gが設置される。
又、出射部22からの光の放出を均一にするため、光散乱層25は、発光源27が導光体21の両端に設置される場合には、主走査方向211の中央を幅広に形成され、片側設置する場合には、光源27から遠ざかるに連れて幅広に形成される。尚、図13では、主走査方向211の中央を幅広に形成した光散乱層25が示されている。
尚、各RGB光源27の光学波長は、受光部402に設けられたRGBフィルタの各RGB色の波長と略一致している。
又、このような光源2の構成は、本実施の形態1のみならず、後述する実施の形態2における画像読取装置においても同じである。
図4では、被撮像部31、32、…は、説明上及び視覚上の理解を容易にするために、短冊状の枠で囲って図示しているが、特に構造物は存在しない。又、説明上、主走査方向211に沿って、被撮像部31、33、…が配列される部分を読み取りライン8とし、被撮像部32、34、…が配列される部分を読み取りライン9とする。
結像光学系1は、被撮像部31、32…で反射した、光源2の照明光線201の散乱光を集光し画像として結像する結像光学系である。このような結像光学系1は、複数のセル11、12、…を有する。各セル11、12、…は、それぞれ独立した結像光学系であって原稿7側にテレセントリックな光学系を有し、主走査方向211に複数個配置される。
さらに、副走査方向212には、各セル11、12、…は、第1列215及び第2列216の2列に配列される。ここでは、セル11、13、15、…が第1列215に属し、セル12、14、…が第2列216に属する。又、同列に配置される各セルは、各セルの主光線の内、原稿7から各セル11、12、…へ向かう光線が互いに平行であるように配置されている。尚、主光線のうちの原稿7から各セル11、12、…へ向かう光線という文言は、光軸という言葉で置き換えることができる。即ち、第1列に属する各セル11、13、…の光軸11a、13a、…が互いに平行となるように、各セル11、13、…は設けられ、第2列に属する各セル12、14、…の光軸12a、14a、…が互いに平行となるように、各セル12、14、…は設けられる。
さらに、副走査方向212における各セル11、12間、各セル12、13間、各セル13、14間、…で結像画像が補完可能なように、第1列215及び第2列216の各セル11、12、13、…は、主走査方向211にて千鳥状に配置されている。
各セル11、12、13、…を構成する光学系要素の配置と光路について説明する。
図5は、主走査方向211における、第1列215に備わるセル11、13、15、…の結像光学系要素と、主要光路とを示した図である。図6は、副走査方向212におけるセル11とセル12とを重ね書きした状態にて、結像光学系要素と主要光路とを示した図である。
各セル11、12、13、…は、同一の構成を有し、ここでは代表してセル11を例に説明する。セル11は、第1光学素子として機能する一例である第1レンズ100と、絞りとして機能する一例であるアパーチャ101と、第2光学素子として機能する一例である第2レンズ102と、これらを保持する保持具103とから構成される。セル11において、第1レンズ100の後側焦点位置にアパーチャ101を配置することで、セル11は、原稿7側にテレセントリックな光学系を実現できる。
又、本実施形態1では、図示するように、各セル11、12、13、…における第1レンズ100、アパーチャ101、及び第2レンズ102の光軸が天板3に対して垂直となるように、本実施形態ではZ方向に平行となるように、各セル11、12、13、…は、配置されている。よって、原稿7上の、各セル11、12、13、…が分担する読み取り範囲からの反射光線で結像に寄与する光線束のうちの主光線は、全て天板3に垂直である。
撮像素子部41、42、…は、各セル11、12、13、…に対応して基板4上に配置される。つまり、第1列215に属するセル11、13、…に対応して撮像素子部41、43、…が配置され、第2列216に属するセル12、14、…に対応して撮像素子部42、44、…が配置される。
ここで撮像素子部41、42、…について説明する。図14は、撮像素子部41、42、…を備えた基板4の平面図であり、2aは、照明光源2と、撮像素子基板4のコネクタ400とを電気接続する光源接続部である。
各撮像素子部41、42、…は、例えばCCD等からなる受光部が主走査方向211に複数個配列されて構成されたもの、さらには、上記受光部を主走査方向211に複数個配列したものを副走査方向212に複数列にて配置して構成したものである。
図15に、撮像素子部41、42、…の平面図を示す。撮像素子部41、42、…は、大きく分けて受光部402と、光電変換・RGBシフトレジスタ駆動回路403と、入出力部404とを有する。受光部402は、1画素に対して赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)からなりゼラチン材などで構成したRGBフィルタ402aを受光面に配置した撮像素子である。この撮像素子部41等では、主走査方向211に沿って、144画素分、つまり144個の受光部402が配置されている。光電変換・RGBシフトレジスタ駆動回路403は、受光部402に入射した光をRGBごとに光電変換し、その出力を保持し、駆動する。入出力部404は、撮像素子部41等に信号や電源を入出力するワイヤボンディングパッド部である。
各セル11、12、13、…に入射したそれぞれの原稿画像は、第1レンズ100、アパーチャ101、第2レンズ102によって撮像素子部41、42、43…上に反転像が形成される。例えば、原稿7の読み取りライン8上の被撮像部31の画像は、セル11を通り、撮像素子部41に結像され撮像され、読み取りライン9上の被撮像部32の画像は、セル12を通り、撮像素子部42に結像され撮像される。
セル11、12、13、…の転写倍率は、1より大きく(つまり拡大動作)ても、1より小さく(つまり縮小動作)てもよいが、等倍にすることで、市販の解像度のセンサを流用可能となるメリットがある。
本実施形態1では、上述のように、原稿7上の、各セル11、12、13、…が分担する読み取り範囲からの反射光線で結像に寄与する光線束のうちの主光線は、全て天板3に垂直である。よって、第1列215に属するセル11、13、…により読み取られる、原稿7における被撮像部31、33、…を含む読み取りライン8と、第2列216に属するセル12、14、…により読み取られる、原稿7における被撮像部32、34、…を含む読み取りライン9との副走査方向212における幅は、中心間幅218となる。また、本実施形態1では、第1列215に属するセル11、13、…に対応して配置される撮像素子部41、43、…と、第2列216に属するセル12、14、…に対応して配置される撮像素子部42、44、…との副走査方向212における幅は、中心間幅219となる。
メモリ5は、撮像素子部41、42、…と接続され、各撮像素子部41、42、…が送出する画像情報を記憶する。
処理装置6は、メモリ5に記憶した画像情報を読み出して、画像に復元して合成し、原稿7における全体の画像を作成する。尚、メモリ5及び処理装置6は、図4では別体にて図示しているが、もちろん同一基板上に設置可能である。
これらのメモリ5及び処理装置6については、以下の動作説明にて詳しく説明する。
以上説明したようなシステム構成を備えた画像読取装置501における結像光学系1は、冒頭で述べたように、光反射系の光学系にて構成されている。以下には、図1から図3を参照して、画像読取装置501における実際の光学系の構成について説明する。
ここで、図1は、画像読取装置501における副走査方向212に沿った断面を示す図であり、上述した一つのセル11、12等における原稿7から撮像素子部41、42等に至るまでの実際に即した光路を示している。また、第1レンズ100及び第2レンズ102は、それぞれ、第1反射型集光光学素子及び第2反射型集光光学素子の機能を果たすものの一例に相当し、凹面鏡にて構成され、光を反射する。
図2は、第1列215に属するセル11、13、…、及び第2列216に属するセル12、14、…が主走査方向211にて千鳥状に配列された状態において、実際に即した光路を斜視図にて示したものである。図3は、図2に示す構成において、隣接セル間の迷光を防ぐための遮光板を明示した図である。
図1に示すように、画像読取装置501は以下のような構成を有する。即ち、Z方向において天板3の下方で読み取りライン8、9に対応したそれぞれの位置に、第1レンズ100、100が設置される。各第1レンズ100は、読み取りライン8、9にて反射したそれぞれの光を、副走査方向212において異なる方向で、角度φにて斜め上方へ反射させる。尚、角度φは、読み取りライン8、9から第1レンズ100、100に至る光線の光軸591と、第1レンズ100、100にて反射した光線の光軸592とのなす角度である。
第1レンズ100、100にて斜め上方へ反射したそれぞれの光線は、アパーチャ101、101を通過し、天板3の下に配置される光源2、2の近傍に設置された第2レンズ102、102に達する。ここで、アパーチャ101、101は、第1レンズ100、100の後側焦点位置に設置されている。第2レンズ102,102にて再びZ方向において下方へ反射された光線は、セル11、13、…に対応した撮像素子部41、43、…、及びセル12、14、…に対応した撮像素子部42、44、…にそれぞれ達する。
ここで、第2レンズ102及び撮像素子部41、42は、仕切り壁127、アパーチャ101、及び基板4により、光源2から遮光されている。また、基板4は、撮像素子部41、43、…を有する基板4aと、撮像素子部42、44、…を有する基板4bとに分離されている。基板4を分離することで、基板4a,4bの位置を調整することにより、原稿7の読み取り位置を、セル11、13、…とセル12、14、…とに対応して別々に調整することができ、組立て誤差によって生じる原稿7の読み取り位置や光軸の傾きを補正できるという利点がある。
図1に示すように、本実施形態の画像読取装置501では、原稿7の厚み方向であるZ方向において、基板4は、凹面鏡にてなる第1レンズ100よりも上方に位置する。また、基板4の下側には、撮像素子部41等を駆動させるための様々な電子回路部品が実装されている。よって画像読取装置501は、基板4が第1レンズ100よりも下方に位置する構造に比べると、画像処理装置全体として、基板4及び電子回路部品の厚み分を減らすことができるという利点がある。
以上のような構成を有する画像読取装置501において、図1及び図2を参照して、原稿7にて反射した光の結像光学系1における光路についてさらに説明する。
原稿7から各セル11、12等へ向かう光線は、凹面鏡である第1レンズ100にて、光線は光路を折り曲げられ、かつ集光される。第1レンズ100の後側焦点位置にアパーチャ101が設置されていることから、ある一つのセルに入射する主走査方向211に沿った原稿面からの光線群は、原稿面側にテレセントリックになる。
アパーチャ101を通過した光線は、凹面鏡である第2レンズ102で光路を折り曲げられ、かつ集光され、撮像素子部41、42等上に結像される。
このように、画像読取装置501では、各セル11、12等における構成において、原稿7と第1レンズ100との間、若しくは第2レンズ102と撮像素子部41、42、43、…との間に、光路を折り返すミラーが存在しないことを特徴とする。即ち、図30を参照し上述したように、本出願人が既に提案した画像読取装置(WO2009/122483)では、大きな入射角を有するミラーの使用に伴い、製造誤差及び設置誤差に起因して、得られる画像に歪みが生じる可能性があった。
そこで、図1に示す本実施形態における画像読取装置501では、凹面鏡にてなる第1レンズ100への光線の斜入射角度を図31に示す場合よりも小さくするとともに、各第1レンズ100での反射光が副走査方向212において互いに離れる方向へ進むように各第1レンズ100を傾斜させることで、天板3の下部に光源2、2を設置するためのスペースを設けた。本実施形態では、第1レンズ100における光線の斜入射角度は、10度程度であり、折り返しミラー111の45度に比べて非常に小さい。同様に、第2レンズ102における光線の斜入射角度も10度程度で比較的小さい。よって、第1レンズ100及び第2レンズ102の設置誤差に起因する像の回転角度は小さい。このように本実施形態の画像読取装置501によれば、光線の入射角が比較的小さい第1レンズ100、102を設けたことで、上述の2つの問題を回避することができる。
上述の説明を具体的にするために、計算したモデル及びその計算結果を、上述の図31とともに図32〜図34に示す。図31に示すように、光線は、X軸と平行な直線132上の点112a、112b、112c、…から−Z方向に出射され、折り曲げミラー111Aに入射角φで入射する。その反射光は、図32に示すように、Z軸から角度2φ離れた方向に反射され、スクリーン140に到達する。ここで、折り曲げミラー111AがZ軸周りにθ回転して、111Bで示す姿勢になったとき、図31及び図33に示すように、像がθ’回転するとする。折り曲げミラー111Aの斜面の傾斜角度φ、すなわち光線の入射角度φをパラメータとして、折り曲げミラー111Aの回転角θに対する像回転角θ’の比を像回転現象の感度と定義して、この感度を計算したグラフを図34に示す。図34から分かるように、光線の入射角φ=45°のとき、感度θ’/θは1であり、図31を参照して従来技術における画像の回転について説明したように、φ=45°のときにはθ’=θであることと合致する。光線の入射角φが小さくなればなるほど、感度は小さくなり、φ=30°のときには、感度は1/2となる。本実施の形態の例では、光線の斜入斜角度は、10度程度としている。このように、光線の斜入射角度を30度以下に設定すれば、従来技術における45度の場合と比較して、像の回転を小さくすることができる。即ち、第1レンズ100及び第2レンズ102の設置誤差に起因する像の回転が小さくなる効果を十分に得ることができる。
一方、凹面鏡への斜入射角度が大きくなると、斜入射により大きな収差が発生する。球面鏡、あるいは軸対称の非球面凹面鏡では、その収差補正が困難である。要求される解像度次第であるが、凹面鏡の曲面を面内のx、y方向で異なる曲率を持つ自由曲面とすることで、収差は大幅に除去され、解像度を向上させることができる。この自由曲面の形状は、例えば、次式で表される。
Figure 2013131794
この式においては、凹面鏡の開口の中心を原点とし、ここではx方向を副走査方向、y方向を主走査方向とする。また、開口の中心を光軸が通る位置としている。zは凹面鏡のサグ値である。曲面関数(式1)の原点は、開口の中心からxoffsetだけずれている。このように、関数の中心位置を光軸通過位置からずらすと、斜入射光線に対して収差補正を効率よく行なうことができる。
(式1)における第1項は、x、y方向で曲率の異なるバイコニック面を表している。
(式1)における第3項
Figure 2013131794
においては、yの正負に関して対称な光学系を仮定しているので、β、β、β、βなどの奇数次係数はゼロである。(式1)における第2項
Figure 2013131794
において、奇数次の係数αをゼロでない値とすれば、x’の正負に関して非対称な曲面形状となる。この奇数次項を導入することで、大きな斜入射角による収差の除去が容易になる。
このように、第1レンズ100及び第2レンズ102の凹面を自由曲面にて構成することで、10度程度の大きな入射角及び出射角となる光線に対しても収差を小さく抑えることができる。
この実施形態の画像読取装置501の構成では、凹面鏡である第2レンズ102の位置を天板3よりも下に配置するために、L1<(L2+L3)cosφ を成立させる必要がある。ここで、
L1:原稿7面から第1レンズ100面までの距離、
L2:第1レンズ100面からアパーチャ101までの距離、
L3:アパーチャ101から第2レンズ102面までの距離、
L4:第2レンズ102面から撮像素子部41等の受光面までの距離、
φ:上述のように、光軸591と光軸592とのなす角度、である。
本実施形態では、原稿側にテレセントリックな光学系なので距離L2は、第1レンズ100の焦点距離f1と等しい。
以上のように構成された本実施形態における画像読取装置501の動作について、主に図4〜図11を参照して以下に説明する。
照明光源2から照射された照明光線201は、天板3上に置かれた原稿7を照射する。
まず、原稿7の読み取りライン8に位置する被撮像部31、33、35…が、セル11、13、15…、及び撮像素子部41、43、45…にて撮像される。即ち、被撮像部31、33、35…にて反射し散乱した光線がセル11、13、15…に入射し、基板4上に配置された撮像素子部41、43、45…に結像する。このとき、光線は、実際には上述したように、第1レンズ100、アパーチャ101、及び第2レンズ102を、反射、通過する。それぞれの撮像素子部41、43、45…から送出される画像信号は、メモリ5に一時的に保存され、その画像信号は、処理装置6にて復元される。
次に、原稿7は副走査方向212にスキャンされて、読み取りライン9に位置する被撮像部32、34、…がセル12、14、…、及び撮像素子部42、44、…にて撮像される。この場合も、光線は、実際には上述のように、第1レンズ100、アパーチャ101、及び第2レンズ102を、反射、通過する。それぞれの撮像素子部42、44、…から送出される画像信号は、メモリ5に一時的に保存され、その画像信号は、処理装置6にて復元される。
各セル11、12、13…に対応する撮像素子部41、42、43…で得られた画像の復元動作について説明する。
第1列215と第2列216とは、副走査方向212において中心間隔217にて離れており、原稿7を副走査方向212にスキャンしていくので、第1列215に配置されるセル11、13…と、第2列216に配置されるセル12、14…とが副走査方向212において原稿7を読み取る位置は異なる。よって、同一時刻に、セル11、13…と、セル12、14…とが撮像する画像は異なる。言い換えると、副走査方向212において同一線上にある画像は、異なる時刻に撮像される。このように、異なる時刻にて撮像された画像から、元の原稿画像を復元するために、撮像素子部41、42、43…で得られた画像は、メモリ5に一時的に保存する。そして、一時保存した各画像を、処理装置6によって元の原稿画像を復元する。図5、図6で示すように反転像が得られる場合において、上記復元を行うための画像処理動作について、図7〜図9を用いて以下に説明する。
図7は、天板3上での読み取り領域である被撮像部31、32…の配置と、図示されていない原稿7上の文字画像「あ」とを示している。図7において、主走査方向211における範囲AA’は、被撮像部31と被撮像部32との重なり領域であり、範囲B’Bは、被撮像部32と被撮像部33との重なり領域である。副走査方向212に原稿7がスキャンされると、相対的な位置関係として、文字画像「あ」は、Y方向にスキャンされる。ここで、「相対的な位置関係」と記したのは、静止している画像読取装置501に対して原稿7が副走査方向212にスキャンされても良いし、静止している原稿7に対して画像読取装置501が副走査方向212にスキャンされても良いことを意味する。ここで文字画像「あ」は、被撮像部31と被撮像部32にまたがる領域に存在するとする。
図8は、撮像素子基板4上に配置された撮像素子部41、42、…を示している。図8において、主走査方向211における範囲aa’は、撮像素子部41と撮像素子部42との重なり領域であり、範囲b’bは、撮像素子部42と撮像素子部43との重なり領域である。撮像素子部41及び撮像素子部42にて得られる文字画像「あ」の信号画像を、スキャンの時間を縦軸にとり、横軸を主走査方向211にとり模式的に表すと、図8に示す点線枠内の図示のようになる。撮像素子部41で得られる画像は、文字画像「あ」の主走査方向211の被撮像部31内の画像を反転したものになる。同様に、撮像素子部42で得られる画像は、文字画像「あ」の主走査方向211の被撮像部32内の画像を反転したものになる。ここで図中のAA’に相当する部分、及びA’Aに相当する部分で示されている画像が被撮像部の重なり領域である。この2つの撮像素子部41、42で得られた画像を、それぞれ反転させ、上記重なり領域を横に合わせて、縦に並べて二つの画像を描くと図9のようになる。この2つの画像の重なり領域の画像が一致するように、これら2つの画像を合成することで、元の文字画像「あ」を得ることができる。処理装置6は、このような合成動作を行う。
ここで、上述のような画像の合成処理を行うことの優位な点について述べる。複数の結像光学系から得られる画像を正立等倍像にして、撮像素子部上で、隣接する結像光学系からの画像を合成する方法については、上述した従来法2、4、5で述べられている。しかしながら、隣接する結像光学系から得られる画像の合わせ目の領域を、ずれが生じないように、複数のレンズやミラー等の機械的要素からなる光学素子を組み立てるのは容易ではない。
これに対し、本実施形態のように、セル11、12…毎から得られる独立した画像を、信号処理上の画像合成によって、つまりソフトウエアによって、元の画像を復元する方法を採ることで、たとえ、組み立てやレンズの製造誤差等により、隣接するk番目セルと、(k+1)番目のセルの画像の重ね合わせにわずかな誤差が発生した場合でも、ソフトウエア上で容易にその誤差を補正することができる。
このように、セル毎に独立した画像を取得して画像合成をすることは、製造誤差を緩和するという効果がある。
次に、本のような原稿7を例に取り、本発明における特徴の一つである、大きな被写界深度を得るための構成について、図10及び図11を用いて説明する。本のような原稿7では、本の綴じ目が天板3から浮き上がってしまうために大きな被写界深度を持つ画像読取装置が必要である。
図10に示すように、主走査方向211において、焦点方向(Z方向)の位置が変化する原稿7があるとする。図10の(a)は、第1列215に属するセル11、13、…と、これらのセル11、13、…における光路を示したものであり、図10の(b)は、第2列216に属するセル12、14、…と、これらのセル12、14、…における光路を示したものである。図11は、副走査方向212において、セル13とセル14とを重ね書きしたもので、各セル13、14の結像光学系要素と、主要光路とを示した図である。
又、図11は、主走査方向211において、原稿面の焦点方向(Z方向)の位置が変化した場合を図示しており、セル13が読み取る被撮像部33における原稿面の最大高さ位置を「71」にて示し、セル14が読み取る被撮像部34における原稿面の最大高さ位置を「72」にて示している。
上述したように、本実施形態の画像読取装置501に備わる各セル11、12、13、14、…は、原稿7側にテレセントリックな光学系であり、かつ、第1列215、第2列216に含まれる全てのセル11、12、13、14、…内の全ての主光線が天板3に対して垂直である。よって、本実施形態の画像読取装置501では、原稿7までの焦点距離が変動しても、撮像素子部に対する画像の読み取り位置が変化することがない、という特徴がある。
即ち、組み立て初期、あるいは動作初期に、画像合成のパラメータを決めてしまえば、天板3までの距離が面内で変化するような原稿7に対しても画像の重ね合わせのずれが生じることはないという効果がある。よって、本実施形態の画像読取装置501の被写界深度は、個々のセル11、12、13、14、…の被写界深度にて、ほぼ決定される。個々のセル11、12、13、14、…の被写界深度は、セル内の光学系の設計によって決まる。被写界深度は、光学系のF値でほぼ決定される。1セルの視野を大きくする場合には、セル内のレンズを非球面形状にしたり、複数のレンズを用いるなどにより、収差を十分補正する必要がある。600dpiの分解能が必要な場合、あくまで目安ではあるが、F値F=10で、約±1mmの被写界深度、F=20で、約±2mmの被写界深度が得られる。
尚、図5、図6、図10、図11では、天板3の上面に合焦するような図示になっているが、必ずしもこの限りではない。例えばF=10の光学系では、天板3の上面から1mm上の面に合焦されるように天板3の配置を行えば、±2mmの被写界深度を十分に使うことができる。
次に、図16から図18を用いて本発明における特徴の一つである迷光対策のしやすさについて述べる。図16は、図4に示す画像読取装置501に対して、各セル間に板状の遮光部材126を挿入した画像読取装置501−1の斜視図である。図17は、主走査方向211の第1列215のセル11、13、…について、迷光に対する遮光部材126の効果を説明するための図である。図18は、原稿7側にテレセントリックな光学系でセルが隣接して並んでいる、つまり千鳥状の配置ではない画像読取装置について、遮光部材を追加した構成を示す図である。
まず、図18を用いて、セルが千鳥配置ではなく隣接して並んでいる構成における問題について述べる。図18において、点線で囲った領域203は、遮光部材126を挿入していない領域である。その点線領域203の外側には、セル間に遮光部材126を挿入している。点線領域203内では、隣接するセル間をまたぐ迷光が発生する可能性がある。
その一例を迷光光線202として示す。迷光光線202は、セル11の視野範囲内において、高角度で散乱した光線であり、セル11に隣接するセル12に属する第1レンズ100に入り込む。迷光光線202は、セル12に属する第1レンズ100内で多重反射した後、セル12に属するアパーチャ101、セル12に属する第2レンズ102を経て、セル12に対応する撮像素子部42に到達する。
このように、セル間に遮光部材126を設けない場合には、隣接するセルの視野範囲からの光線が迷い込む可能性がある。このような迷光の存在により、隣接するセルの視野範囲における画像が写り込むゴーストと呼ばれる現象や、結像に至らなくても全体的に白っぽい画像となり画像のコントラストを低下させるフレアと呼ばれる現象が発生してしまう。
この迷光を遮断するためには、遮光部材126を各セル間に挿入すれば良い。その状態を図18の右側の点線領域203の外側に示す。
しかしながら、遮光部材126を設けることによって、結像に必要なセル境界付近の光線も遮ってしまうという問題が発生する。遮光部材126を設けない場合におけるセルの境界、例えば図中の点Pからの光線は、セル12及びセル13に分離し、撮像素子部42及び撮像素子部43に到達し、それぞれの撮像素子部で画像信号が得られる。
一方、遮光部材126を設けることで、例えば図中の点Qからの光線は、遮光部材126で遮られてしまう。尚、図18に示す点線の光路は、遮光部材126がない場合の光路を示し、遮光部材126が存在する場合には、この光路は存在しない。
このように、セル11、12、…が千鳥配置ではなく、単に隣接して配置されている場合、遮光部材126をセル間に設けると、隣接セル間の画像信号が得られず、セル境界ごとに画像が欠落してしまうという問題があった。
これに対し本実施形態における画像読取装置501のように、各セル11、12、…を千鳥配置にした場合には、図16又は図17から分かるように、セル間には隙間がある。
この隙間に遮光部材126を設けると、画像信号を遮ることなく、セル間にまたがる迷光を遮断することができる。この点について、図17を用いて詳しく説明する。
図17の点線で囲った領域203−1は、遮光部材126をセル間に配置していない状態を示す。この場合、図18に示す点線領域203内の場合と同様に、隣接するセルへの迷光202が発生しうる。
一方、点線領域203−1の外側である、図17における右側には、迷光光路202を遮るために遮光部材126を設けた状態を図示している。各セル11、12、…を千鳥状に配置した場合、各セル間には、結像に寄与する光線が存在しない空間領域が存在する。
また、被撮像部31、33、35、…の隣接間や、被撮像部32、34、36、…の隣接間には撮像に寄与しない領域が存在する。撮像素子部41、43、45、…の隣接間や、撮像素子部42、44、46、…の隣接間についても、同様に隙間が存在する。よって、これらの隙間に、遮光部材126を設けることが可能である。
このように、本実施形態の画像読取装置501では、各セル11、12、…を千鳥状に配置にしたことより、原稿7側にテレセントリックな光学系であっても隣接セル間に遮光部材126を設けることができる。これにより、迷光により発生するフレアやゴーストといった所望の像以外の光線を遮光することができ、鮮明な画像を得ることができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2における画像読取装置502の一例について、図19から図22を参照して説明する。尚、図19から図22では、結像光学系1に関して屈折系のレンズ形態にて図示しているが、上述した実施の形態1における画像読取装置501と同様に、本実施の形態2における画像読取装置502についても、光反射系の結像光学系にて構成されている。
実施の形態1の画像読取装置501では、第1列215に属するセル11、13、…内、及び、第2列216に属するセル12、14、…内での主光線の内、原稿7から各セル11、13、…、及びセル12、14、…へ向かう光線は、図5に示すように、互いに平行で、かつ、第1列215と第2列216とにおける、セル11、13、…と、セル12、14、…との間でも、図6に示すように、主光線の内、原稿7から各セルへ向かう光線は平行である。尚、主光線の内、原稿7から各セルへ向かう光線という文言は、光軸という用語で置き換えることができる。
これに対し実施の形態2における画像読取装置502では、第1列215に属するセル11、13、…内、及び、第2列216に属するセル12、14、…内での主光線の内、原稿7から各セル11、13、…、及びセル12、14、…へ向かう光線は、図20に示すように、互いに平行であるが、第1列215と第2列216とにおける、セル11、13、…と、セル12、14、…との間では、図21に示すように、主光線の内、原稿7から各セルへ向かう光線は平行ではない構成を有する。尚、画像読取装置502におけるその他の構成は、上述の画像読取装置501の構成と変わる部分はない。よって、以下には、相違する構成部分についてのみ説明を行う。又、図19では、図示の煩雑さを避けるため、照明光源2の図示を省略している。
画像読取装置502では、図19及び図21に示すように、第1列215に属するセル11、13、…における光軸11a、13a、…と、第2列216に属するセル12、14、…における光軸12a、14a、…とが第1列215と第2列216との隙間側へ傾斜した状態にて第1列215のセル11、13、…と、第2列216のセル12、14、…とが配置されている。具体的には、本実施形態では、第1列215に属するセル11、13、…がX軸(主走査方向211)周りに−10°傾いており、第2列216に属するセル12、14、…がX軸周りに+10°傾いている。この結果、本実施形態2では、図21に示すように、天板3の上方にある位置76にて、両者の光軸11a、12a等が交差しており、天板3の上面では、光軸11a、12a等は、間隔218aだけ離れている。
尚、両者の光軸11a、12a等は、必ずしも天板3の上方に存在する位置76にて交差する必要はなく、図22に示すように、天板3の上面で交差しても良い。図19では、図21に対応する場合を図示しており、読み取りライン8、9は、副走査方向212において中心間幅218aとなっている。これは、図4に示す画像読取装置501の場合における中心間幅218に比べて狭くなっている。
上述のように、本実施の形態2における画像読取装置502の構成は、上述した実施の形態1の画像読取装置501の構成と基本的に変わる部分はなく、画像読取装置501が奏する上述した効果を、画像読取装置502も奏することができる。これに加えて、本実施の形態2の画像読取装置502は、以下の特別の効果を奏することができる。
即ち、図21及び図22に示すように、第1列215と第2列216とにおける各セル11、12等の各光軸11a、12a等の方向を、天板3に対して斜めに配置して、原稿7上での読み取りライン8、9を接近させることで、画像信号を一時保存するメモリ5の容量を小さくすることができ、低コスト化がはかれるという効果がある。
つまり、実施の形態1において説明したように、第1列215のセル11等により結像される画像と、第2列216のセル12等により結像される画像とは、副走査方向212におけるスキャンの時間差をおいて取得される。よって、上記時間差に相当する画像情報を保存しておくだけのメモリ容量が必要である。よって、読み取りライン8、9の副走査方向212における中心間幅218が狭い程、メモリ容量は、少なくて済む。実施の形態2における画像読取装置502では、上述のように画像読取装置501の場合に比べて、読み取りライン8、9の副走査方向212における中心間幅218aが狭く、その結果、メモリ5の容量を画像読取装置501の場合に比べて小さくすることができる。
一方、読み取りライン8、9の副走査方向212における中心間幅218を狭くすることで、原稿7が天板3から浮いた場合に、その浮いた量に応じて画像が副走査方向212にずれるという現象が起こる。しかしながら、上述したように実施形態2における画像読取装置502でも、原稿7側にテレセントリックな光学系を構成しているため、転写倍率は、変化しない。よって、主走査方向211への画像のずれは起こらないので、その補正は、副走査方向212のシフトだけで良く、比較的容易に行える。この隣接セル間での画像の合成は、隣接セル間で同じ領域を撮影した画像が一致するように、副走査方向212に画像をシフトさせれば良い。
本実施形態2の冒頭でも述べたが、実施の形態2における画像読取装置502も、実際には光反射系の結像光学系にて構成されている。以下には、図23から図24を参照して、実際の構成例について説明する。
図23は、実施の形態2における画像読取装置502の副走査方向212において左右に配置される2つの、例えばセル12とセル13との構成を示している。図24は、図19に示す構成を実際に即して斜視図にて示したものである。
本実施の形態2では、上述のように、実施形態1の画像読取装置501の場合に比べて、読み取りライン8、9の副走査方向212における中心間幅218aが狭い。よって、図23及び図24では、副走査方向212において位置する各セルによる原稿7面における読み取りライン8、9は、重なった状態、つまり一箇所の状態にて図示している。
このような読み取りライン8、9に関する相違はあるものの、本実施の形態2における画像読取装置502の構成は、図23に示すように上述した実施の形態1における画像読取装置501の構成と同じである。
図23から図24を参照して、画像読取装置502の結像光学系1における光路について説明する。
原稿7で散乱してから各セル11、12等へ向かう光線は、凹面鏡である第1レンズ100にて、光路を折り曲げられ、かつ集光される。第1レンズ100の後側焦点位置にアパーチャ101が設置されている。このアパーチャ101の中心を通る光線を主光線と呼ぶが、原稿7から第1レンズ100までの主光線は、副走査方向212に傾いている。
上述の実施の形態1の構成と同様に、第1レンズ100の後側焦点位置にアパーチャ101が設置されていることから、ある一つのセルに入射する主走査方向211に沿った原稿面からの光線群は、原稿面側にテレセントリックになる。
アパーチャ101を通過した光線は、凹面鏡である第2レンズ102で光路を折り曲げられ、かつ集光され、撮像素子部41、42等上に結像される。
上述の実施の形態1の場合と同様に、基板4は、セルの第一列及び第二列にそれぞれ対応して基板4a、4bに分離されている。よって、基板4a,4bの位置を調整することにより、原稿7の読み取り位置を、セルの第一列及び第二列で別々に調整することができるという利点がある。第一列と第二列での原稿の読み取り位置を精度良く合わせなければならない用途において、この利点は大きい。
実施の形態3.
図25及び図26には、本発明の実施の形態3における画像読取装置503の一例が図示されている。画像読取装置503の基本的な構造は、上述した実施の形態1、2における画像読取装置501,502の構造に同じであるが、以下の点で相違する。即ち、画像読取装置501,502では、第1反射型集光光学素子の機能を果たすものの一例に相当する第1レンズ100と、アパーチャ101との間の光路中には光学素子を設けていないが、本実施の形態3における画像読取装置503は、第1レンズ100とアパーチャ101との間の光路中に第1平面鏡105を設けている。尚、この構成は、以下に説明する実施の形態4、5においても採用している。
また、画像読取装置503では、画像読取装置502と同様で図19に示すように、原稿7から各セル11,12,13…へ向かう光軸11a、12a、13a、…は、副走査方向212にわずかに傾斜し、図27における右半分に配置される第1列215と左半分に配置される第2列216において光軸11a、12a、13a、…は交差している。勿論、実施の形態1で説明した構成と同様に、第1列215と第2列216とにおいて光軸11a、12a、13a、…が交差せず平行な構成においても、本実施の形態3の構成を採ることができる。但し、この平行な場合の記述は、ここでは省略する。
上述の相違点について、以下に詳しく説明する。
図25は、画像読取装置503における副走査方向212に沿った断面を示す図であり、図5において説明した各セル11、12等における原稿7から撮像素子部41、42等に至るまでの実際に即した光路を示している。ここで、第1レンズ100及び第2レンズ102は、それぞれ、第1反射型集光光学素子及び第2反射型集光光学素子の機能を果たすものの一例に相当し、凹面鏡にて構成され、光を反射する。また、実施の形態1、2における構成と同様に、第1レンズ100から第2レンズ102に至る光路中には、アパーチャ101を配置し、本画像読取装置503では、さらに、第1レンズ100とアパーチャ101との間の光路中に、光学素子としての第1平面鏡105を配置している。よって、以下でも説明するが、第1レンズ100で反射した光は、第1平面鏡105で反射し、アパーチャ101を通過して、第2レンズ102に至る。
図26は、第1列215に属するセル11、13、…、及び第2列216に属するセル12、14、…が主走査方向211にて千鳥状に配列された状態において、実際に即した光路を斜視図にて示したものである。尚、図26において、図示の煩雑さを避けるため、光源2、および仕切り壁127、天板3の図示は省略している。
本実施の形態3の画像読取装置503では、図25に示すように、原稿7が載置される天板3と、画像読取装置503の入射窓131とは分離している。これは、例えば、天板3が静止状態にあり、画像読取装置503が副走査方向212にスキャンされることにより原稿情報を読み取る装置を想定している。スキャンに際して、天板3と画像読取装置503との接触を避けるために、天板3と入射窓131との間には間隔d1を設けている。
以上のように構成された画像読取装置503における原稿7の読み取り動作について説明する。
図25において、天板3上に載置された原稿7は、照明光源2によって照明され、原稿7での反射散乱光が画像読取装置503の光学系に入射する。Z方向において天板3の下方に配置される、第1列215及び第2列216に対応するそれぞれの第1レンズ100、100は、読み取りライン8、9にて反射したそれぞれの光を、副走査方向212において異なる方向で、角度φにて斜め上方へそれぞれ反射させる。尚、角度φは、読み取りライン8、9から第1レンズ100、100に至る光線の光軸591と、第1レンズ100、100にて反射した光線の光軸592とのなす角度である。
第1レンズ100、100にて斜め上方へ反射したそれぞれの光線は、第1平面鏡105にてZ方向において下方へ反射され、アパーチャ101、101を通過し、第2レンズ102、102に達する。ここで、アパーチャ101、101は、第1レンズ100、100の後側焦点位置に設置されている。第2レンズ102,102にて再びZ方向において上方へ反射された光線は、セル11、13、…に対応した撮像素子部41、43、…、及びセル12、14、…に対応した撮像素子部42、44、…にそれぞれ達する。
ここで、第1列215及び第2列216におけるそれぞれの、第2レンズ102、102及び撮像素子部41、42…は、仕切り壁127、アパーチャ101により、光源2から遮光されている。基板4の構成及びその機能は、実施の形態1で述べたものと同じであるので、ここでの説明は省略する。
また、画像読取装置503では、凹面鏡にてなる第1レンズ100への光線の斜入射角度、平面鏡にてなる第1平面鏡105への光線の斜入射角度、及び、凹面鏡にてなる第2レンズ102への光線の斜入射角度は、それぞれ10度程度以下であり、従来技術として図30に示す折り返しミラー111、113における斜入射角度の45度に比べて非常に小さい。よって、第1レンズ100、第1平面鏡105、及び第2レンズ102に起因する像の回転角度は小さい。
したがって、本実施形態3の画像読取装置503においても、光線の入射角が比較的小さい第1レンズ100、第1平面鏡105、及び第2レンズ102を設けたことで、上述の実施の形態1、2の画像読取装置501、502と同様に、ミラーの製造誤差及び設置誤差に起因して画像に歪みが発生するという問題を回避することができる。
さらに、本実施形態3における画像読取装置503では、第1平面鏡105により光路を折り曲げていることにより、以下の2つの利点を得ることができる。
即ち、(1)天板3と入射窓131との間の間隔d1を大きく取ることができ、画像読取装置503の光学系部分を物理的にスキャンさせることができる、(2)画像読取装置503のZ方向に沿った高さH(図25)を小さくすることができる。
上記(1)について説明する。画像読取装置における光学系の原稿側の焦点位置は、原稿7の読み取りライン8、9に位置し、実施の形態1、2の画像読取装置501,502では、焦点距離との関係から、例えば図1に示すように、原稿7が載置される天板3の直下に第2レンズ102を配置している。よって、画像読取装置501,502では、画像読取装置の光学系部分(図25のH部分に相当)よりも上方に離れて原稿側の焦点位置を設置する、換言すると光学系部分と天板3とを、ある程度の隙間をあけて配置するように設計することは困難であった。
これに対し、本実施の形態3の画像読取装置503では、第1レンズ100と第2レンズ102との間に第1平面鏡105を設置して光路を折り曲げる構成を採ったことから、原稿側の焦点位置と第1平面鏡105との間に大きなスペースをあけることが可能となる。これにより、照明光源2及び入射窓131を第1平面鏡105の上方に配置することにより、入射窓131と原稿側の焦点位置との距離を空けることができる。つまり、天板3と入射窓131との間の間隔d1を大きくあけることができ、天板3と画像読取装置503の光学系部分とが接触することはなく、画像読取装置503の光学系部分を物理的にスキャンすることができる。
次に、上記(2)について説明する。図25に示す画像読取装置503の高さHは、おおよそ次式で表される。
H≒b1+d2 (式4)
ここで、
d2:照明(光源2)系に必要なスペース、
b1:第1レンズ100から第1平面鏡105までの距離、である。
また、後の説明のために、次の変数を定義しておく。
b2:第1平面鏡105からアパーチャ101までの距離、
L3:アパーチャ101から第2レンズ102までの距離。
一方、図1に示される画像読取装置501における高さ(H’とする)は、次式で表される。
H’≒L1≒L2+L3+d2 (式5)
ここで、L1〜L3は、実施の形態1にて既に説明したように、L1:原稿7面から第1レンズ100面までの距離、L2:第1レンズ100面からアパーチャ101までの距離、L3:アパーチャ101から第2レンズ102面までの距離、である。また、d2は、画像読取装置501において光源2系に必要なスペースである。
各実施形態における画像読取装置は、原稿側にテレセントリックであるので、第1レンズ100の焦点距離f1を用いて、以下の関係がある。
f1=b1+b2 (式6)
f1=L2 (式7)
よって、式4及び式5は、以下のように書き換えられる。
H=f1+d2−b2 (式8)
H’=f1+d2+L3 (式9)
式8,式9から明らかなように、高さHは高さH’よりも(L3+b2)だけ小さい。
即ち、第1平面鏡105により光路を折り返すことによって、アパーチャ101から第2レンズ102までの距離L3と、第1平面鏡105からアパーチャ101までの距離b2の分だけ高さを短縮することができるという大きな利点がある。
図25に示すように、本実施形態3における画像読取装置503では、第1レンズ100及び第2レンズ102のZ方向における設置位置がほぼ同レベルであるので、画像読取装置503の高さHは、式4で表すことができた。一方、第2レンズ102が第1レンズ100よりも下方にある場合には、高さHは、次式で表される。
H≒b2+L3 (式10)
この場合においても、設計次第ではあるが、一般的に、第1平面鏡105の挿入により、図1に示す画像読取装置501の場合よりも高さHを小さくすることができる。さらに、セル11等の転写倍率を縮小すると、アパーチャ101から第2レンズ102までの距離L3を小さくすることができ、製品の高さHを小さくすることができる。即ち、実施の形態1では、セルの転写倍率が等倍の場合の利点を述べたが、本実施の形態3においては縮小の転写倍率とすることによる利点がある。
また、本実施形態3における画像読取装置503では、図25に示すように、副走査方向212において第1レンズ100と第2レンズ102との位置が近接しているので、図29の斜視図に部材108にて示すように第1レンズ100と第2レンズ102とを樹脂で一体成型することも可能である。一体樹脂成型することで、部品点数が削減でき、組み立てが容易になるという大きな利点が得られる。
実施の形態4.
図27には、本実施の形態4における画像読取装置504が示されている。この画像読取装置504は、上述の実施の形態3における画像読取装置503の変形例に相当し、画像読取装置503と同様に、第1レンズ100とアパーチャ101との間に第1平面鏡105を設けた構成を有するとともに、さらに以下の構成を備える。以下では、実施の形態3の画像読取装置503との相違点についてのみ説明する。
即ち、画像読取装置504は、第1平面鏡105に加えて、さらに、第2平面鏡106をアパーチャ101と第2レンズ102との間の光路中に設け、この第2平面鏡106にてさらに光路を折り曲げた構成を有する。尚、図27に示す、c1は、アパーチャ101から第2平面鏡106までの距離を示し、c2は、第2平面鏡106から第2レンズ102までの距離を示す。
このように構成した実施の形態4における画像読取装置504は、以下の効果を奏する。即ち、実施の形態3にて上述したように、Z方向において第2レンズ102が第1レンズ100よりも下方に位置する場合には高さHが式10で表され、その縮小幅が小さい。
一方、本実施の形態4のように第2平面鏡106を設け、さらに光路を折り曲げることで、装置の高さHは、式4で表すものにでき、より縮小化が可能となるという大きな利点がある。
実施の形態5.
図28には、本実施の形態5における画像読取装置505が示されている。この画像読取装置505は、上述の実施の形態3における画像読取装置503の変形例に相当し、画像読取装置503と同様に、第1レンズ100とアパーチャ101との間の光路中に第1平面鏡105を設け、さらに以下の構成を有する。以下では、実施の形態3の画像読取装置503との相違点についてのみ説明する。
上述の実施の形態3、4における画像読取装置503、504では第1平面鏡105を設けるものの、図25及び図27に示すように原稿7からの反射光は、直接、第1レンズ100にて反射している。これに対し、本実施の形態5における画像読取装置505では図28に示すように、原稿7と第1レンズ100との間の光路中に第3平面鏡107を設置し、原稿7から第1レンズ100に至る反射光の光路を折り曲げた構成を有する。尚、図28に示す、a1は、原稿側の焦点位置から第3平面鏡107までの距離を示し、a2は、第3平面鏡107から第1レンズ100までの距離を示している。
画像読取装置505における装置の高さHは、次式で表される。
H≒d2+MAX(a2,b1,L4) (式11)
ここで、MAX( )は、括弧内に列挙された数字の内から最大値を取る関数を表している。
このように構成した本実施の形態5における画像読取装置505では、第3平面鏡107を設けたことで図1に示すL1を短縮し、かつ、上述の第1平面鏡105を設けたことにより、式11で表される高さHは、式5で示される図1の画像読取装置501の高さH’よりも小さくすることができるという利点がある。
本実施の形態5における画像読取装置505では、上述のように、原稿7と第1レンズ100との間に第3平面鏡107を設けている。しかしながら、実施の形態3でも説明したように、平面鏡にてなる第3平面鏡107への光線の斜入射角度、及び、凹面鏡にてなる第1レンズ100への光線の斜入射角度は、それぞれ10度程度以下であり、従来の45度に比べて非常に小さい。よって、第3平面鏡107及び第1レンズ100に起因する像の回転角度は小さく、ミラーの製造誤差及び設置誤差に起因して画像に歪みが発生するという問題は、回避することができる。
また、画像読取装置505では、図28から明らかなように、第1レンズ100と第2レンズ102とが隣接して位置する。よって、第1レンズ100と第2レンズ102とを一体で樹脂成型することが可能である。一体樹脂成型により、部品点数が削減でき、組み立てが容易になるという大きな利点を得ることができる。
また同様に、第1平面鏡105と第3平面鏡107も隣接して位置することから、これらを一体部材で形成することができる。また、図28では、第1平面鏡105と第3平面鏡107の反射部は、互いに傾いた平面であるように図示しているが、設計次第では、第1平面鏡105と第3平面鏡107の反射部を同一平面にすることも容易である。この場合、第1平面鏡105と第3平面鏡107は、一枚の平面鏡で構成することができ、それにより部品点数を削減でき、組み立てが容易になるという大きな利点を得ることができる。尚、これらの平面鏡の部材は、樹脂成型で製作しても良いし、ガラス板などで製作しても良い。
1 結像光学系、2 照明光源、3 天板、4 基板、5 メモリ、
6 処理装置、7 原稿、8、9 読み取りライン、
11、12、13、14、… セル、31、32、33、34、… 被撮像部、
41、42、43、44、… 撮像素子部、
50 電子回路部品、
100 第1レンズ、101 アパーチャ、102 第2レンズ、
105 第1平面鏡、106 第2平面鏡、107 第3平面鏡、
126 遮光部材、127 仕切り壁、
202 遮光光線、203 点線領域、211 主走査方向、
212 副走査方向、215 第1列、216 第2列、
501〜505、510 画像読取装置。

Claims (14)

  1. 原稿に光を照射する光源と、
    上記光源からの光が原稿で反射した光を集光し画像として結像する結像光学系であって、該結像光学系は、それぞれが独立した光学系である複数個のセルで構成され、該セルは、主走査方向に沿って複数個配置され、主走査方向に直角な副走査方向には第1列及び第2列の2列に配列され、同列に配置される各セルは、主光線の内上記原稿からセルへ向かう光線が互いに平行であるように配置され、かつ上記第1列及び上記第2列の各セルは上記主走査方向にて千鳥状に配置される、結像光学系と、
    それぞれの上記セルに対応して配置されセルを通過した光を受光する複数の撮像素子部と、
    上記副走査方向において対応する上記撮像素子部同士が送出する上記原稿の画像情報を記憶するメモリと、
    上記メモリに記憶した上記画像情報が重なる領域の画像が一致するように隣接セル同士の画像情報を合成して原稿の画像を作成する処理装置と、を備えた画像読取装置であって、
    上記セルは、上記原稿からの光を反射しかつ集光する、第1及び第2の反射型集光光学素子と、第1平面鏡と、アパーチャとを有し、セル内で上記原稿から上記撮像素子部へ向かう光の進行方向において第1反射型集光光学素子、第1平面鏡、アパーチャ、第2反射型集光光学素子の順番にこれらを配置しかつ上記アパーチャを上記第1反射型集光光学素子の後側焦点位置に配置して上記原稿側にテレセントリックな光学系を形成している、
    ことを特徴とする画像読取装置。
  2. 上記セルは、さらに第3平面鏡を有し、セル内で上記原稿から上記撮像素子部へ向かう光の進行方向において第3平面鏡、第1反射型集光光学素子、第1平面鏡、アパーチャ、第2反射型集光光学素子の順番にこれらを配置した、請求項1に記載の画像読取装置。
  3. 第1反射型集光光学素子の反射面及び第2反射型集光光学素子の反射面は、略同一方向を向いている、請求項1又は2に記載の画像読取装置。
  4. 第1反射型集光光学素子及び第2反射型集光光学素子は、近接して配置される、請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
  5. 第1反射型集光光学素子及び第2反射型集光光学素子は、一体成型される、請求項4記載の画像読取装置。
  6. 第1平面鏡及び第3平面鏡は、一枚の平面鏡である、請求項2記載の画像読取装置。
  7. 上記セルは、さらに第2平面鏡を有し、セル内で上記原稿から上記撮像素子部へ向かう光の進行方向において第1反射型集光光学素子、第1平面鏡、アパーチャ、第2平面鏡、第2反射型集光光学素子の順番にこれらを配置した、請求項1に記載の画像読取装置。
  8. 上記第1反射型集光光学素子の反射面及び上記第2平面鏡の反射面は、略同一方向を向いている、請求項7に記載の画像読取装置。
  9. 上記第1反射型集光光学素子、上記第2反射型集光光学素子、及び上記第1平面鏡への主光線の入射角は、30度以下である、請求項1から8のいずれか1項に記載の画像読取装置。
  10. 原稿に光を照射する光源と、
    上記光源からの光が原稿で反射した光を集光し画像として結像する結像光学系であって、該結像光学系は、それぞれが独立した光学系である複数個のセルで構成され、該セルは、主走査方向に沿って複数個配置され、主走査方向に直角な副走査方向には第1列及び第2列の2列に配列され、同列に配置される各セルは、主光線の内上記原稿からセルへ向かう光線が互いに平行であるように配置され、かつ上記第1列及び上記第2列の各セルは上記主走査方向にて千鳥状に配置される、結像光学系と、
    それぞれの上記セルに対応して配置されセルを通過した光を受光する複数の撮像素子部と、
    上記副走査方向において対応する上記撮像素子部同士が送出する上記原稿の画像情報を記憶するメモリと、
    上記メモリに記憶した上記画像情報が重なる領域の画像が一致するように隣接セル同士の画像情報を合成して原稿の画像を作成する処理装置と、を備えた画像読取装置であって、
    上記セルは、上記原稿からの光を反射しかつ集光する、第1及び第2の反射型集光光学素子と、アパーチャとを有し、セル内で上記原稿から上記撮像素子部へ向かう光の進行方向において第1反射型集光光学素子、アパーチャ、第2反射型集光光学素子の順番にこれらを配置しかつ上記アパーチャを上記第1反射型集光光学素子の後側焦点位置に配置して上記原稿側にテレセントリックな光学系を形成し、かつ光路を反射させる光学素子として上記第1反射型集光光学素子及び上記第2反射型集光光学素子のみを設けた、
    ことを特徴とする画像読取装置。
  11. 上記第1反射型集光光学素子及び上記第2反射型集光光学素子への主光線の入射角は、30度以下である、請求項10に記載の画像読取装置。
  12. 上記第1列に配置される各セルの主光線の内上記原稿から各セルへ向かう光線と上記第2列に配置される各セルの主光線の内上記原稿から各セルへ向かう光線とが上記第1列と上記第2列との隙間側へ傾斜した状態にて、上記第1列及び上記第2列に配置される各セルは配置されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の画像読取装置。
  13. 上記第1列及び上記第2列のそれぞれにおいて、隣接するセルの間に配置される板状の遮光部材をさらに備えた、請求項1から12のいずれか1項に記載の画像読取装置。
  14. 上記第1反射型集光光学素子又は上記第2反射型集光光学素子は、光反射面が上記主走査方向及び上記副走査方向で異なる曲率を持つ自由曲面である、請求項1から13のいずれか1項に記載の画像読取装置。
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