JP2010206358A - 画像読取装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小型で焦点深度の深い画像読み取り装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置を構成する結像光学系1は、主走査方向211に複数個配置されそれぞれが独立した光学系のセル等を有し、副走査方向212には上記セルを2列に配列する。該セルの構成は、第1折り曲げミラー111、第1反射型集光光学素子100、アパーチャ101、第2反射型集光光学素子102によって構成され、原稿7からこの順に配置され、原稿側にテレセントリックな光学系を形成する。さらに原稿面での読取り中心位置から第1反射型集光光学素子までの副走査方向の距離S1が、上記読取り中心位置から第2反射型集光光学素子までの副走査方向の距離S2とほぼ一致して構成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、コピー機等に用いられる画像読取装置に関する。
コピー機、スキャナ、ファクシミリ等にて使用されている、一次元撮像素子を用いて読み取り位置における画像をスキャンすることによって画像全体を読み取る画像読取装置には、大きく分けて2種類の方式がある。尚、一般的に、一次元撮像素子が配列されている方向を主走査方向と呼び、スキャンする方向を副走査方向と呼ぶ。
2種類の方式のうちの一方は、単眼のレンズにて主走査方向の画像全体を撮像素子上に縮小転写する方式であり、コピー機にて、おもて面の読み取りに主に用いられている。この方式では、通常、原稿側に位置する撮像素子やレンズは固定され、ミラーのみが副走査方向に移動され、原稿全体がスキャンされる。この方法では、原稿側の焦点深度(被写界深度という)が数mm程度、例えば6mmなど、と大きいので、コピー機の原稿読み取り面に対し、原稿が密着していなくても原稿を読み取れるという利点がある。例えば本の綴じ目のような、原稿面に密着させることができない場合でも、焦点ぼけなく読み取れるという利点がある。よって、コピー機のおもて面読み取りには、主にこの方式が用いられてきた。この方式に派生したさまざまな特許文献があるが、例えば特許文献1に開示の技術が挙げられる(従来法1と呼ぶ)。
上記2種類の方式の内の他方の方式は、主走査方向の画像を複数に分割して複眼レンズで画像を読み取る方式であり、密着型イメージセンサと通常呼ばれる。この方式は、コピー機の裏面読み取りや、ファクシミリの原稿読み取り、紙幣の認識センサ、パーソナルコンピュータ用のスキャナなどに用いられ、小型であることを特徴とする。この密着型イメージセンサの光学系として、現在主流となっている従来技術は、例えば特許文献2に開示されている。ここでは、複眼レンズ(文献中では、ロッドレンズアレイ)として、半径方向に、ある関数で規定される屈折率の分布をもつロッドレンズを複数本並べてアレイ化したものを用いて、正立等倍像を得るイメージ読取装置が開示されている(従来法2と呼ぶ)。
密着型イメージセンサの光学系の中で代表的な方式のもう一つの例として、例えば特許文献3に開示されている方式がある。この方式では、主走査方向に分割されたセル毎に設置されているレンズにより、セルに対応する領域の画像が縮小転写されて、撮像素子に結像する。セル毎に設置されている撮像素子の出力信号を画像合成することにより、原稿面の画像が復元される(従来法3と呼ぶ)。
また、特許文献4には、上記従来法2または上記従来法3と類似するが、複眼のミラーレンズアレイを用いて正立等倍像を得る方式が開示されている(従来法4と呼ぶ)。
また、特許文献5には、読み取り領域を奇数番目の領域と偶数番目の領域に分け、その奇数番目、偶数番目で結像光学系の光路を変え、結像光学系はテレセントリックであり、結像面で正立等倍像を得る方式が開示されている(従来法5と呼ぶ)。
特開平10−308852号公報 特開平8−204899号公報 特開平5−14600号公報 特開平11−8742号公報 特開2005−37448号公報
従来法1に関しては、上述したように被写界深度が大きいというメリットがあるが、光学系が大型化してしまうという問題がある。また、ミラーを移動する際に原稿面からレンズまでの光路が変化しないようにするために、光路途中の複数のミラーの移動速度を制御しなければならず、及び、これらのためにコストがかかる、という問題がある。
従来法2に関しては、小型で低コストであるというメリットがあるものの、被写界深度が小さいという問題、色収差が大きいという問題がある。
従来法3に関しては、被写界深度を大きくする場合、装置が大型化するという問題、色収差が大きくなるという問題、被写界深度によって転写倍率が変わってしまうため各結像光学系単位で撮影した画像を合成する際に画像の重ね合わせの不一致が起こるという問題がある。そのため、被写界深度を大きくすることは困難である。
従来法4に関しては、結像光学素子として、凹面鏡を複数配置したミラーアレイを用いているので色収差がないという効果がある。しかしながら、絞り17や第1ミラーアレイ13、第1ミラーアレイ14、に関する詳細な配置の記載が無いために、原稿10がコンタクトガラス12から大きく離れた場合に、像の転写倍率が変わることが考えられる。その結果、隣接する画像同士の重ね合わさり方が異なり、アレイ境界面での画像が劣化すると考えられ、大きな被写界深度を得ることは困難である。
従来法5に関しては、直線状の物体10に対して奇数領域結像系11〜41と偶数領域結像系12〜42とで斜め方向から像を読み取っている。そのため、物体10の焦点方向の位置が変化すると、奇数領域と偶数領域とで読み取る位置が変わってしまい、結像面である感光性の媒体60上において両者の像がずれてしまうという問題がある。さらに、明細書中には、テレセントリックな結像系の具体的な構成及び効果についての記述が無い。物体10の焦点方向の位置が変化すると、焦点位置での転写倍率が変化することが考えられ、整数m番目とm+1番目の結像系間での画像の重ね合わさり方が異なり、画像が劣化してしまう。以上の二つの問題により、従来法5は、大きな被写界深度を得ることは困難である。
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、被写界深度が大きく、かつ小型の画像読取装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における画像読取装置は、原稿の被撮像部に光を照射する光源と、上記被撮像部で反射した上記光の散乱光を集光し画像として結像する結像光学系であって、主走査方向に複数個配置されそれぞれが独立した光学系のセルを有し、上記副走査方向には上記セルを第1列及び第2列の2列に配列し同列に配置される各セルにおける主光線の内上記原稿から各セルへ向かう光線が互いに平行であるように各セルを配置し、上記副走査方向における各セル間で結像画像が補完可能なように上記第1列及び上記第2列の各セルを上記主走査方向にて千鳥状に配置した結像光学系であって、それぞれの上記セルに対応して配置される複数の撮像素子部と、上記副走査方向において対応する上記撮像素子部同士が送出する画像情報を記憶するメモリと、上記メモリに記憶した上記画像情報を画像に復元し合成して原稿画像を作成する処理装置と、を備える。このような構成を備えた画像読取装置において、上記結像光学系を構成する独立した光学系であるセルの構成は、第1折り曲げミラー、第1反射型集光光学素子、アパーチャ、及び第2反射型集光光学素子を備え、上記被撮像部で反射した光が上記第1折り曲げミラー、上記第1反射型集光光学素子、上記アパーチャ、上記第2反射型集光光学素子の順に通過する配置を有して、原稿側にテレセントリックな光学系を形成しており、上記第1列及び上記第2列に配列される各セルによる上記被撮像部での読取り中心位置から上記第1反射型集光光学素子までの上記副走査方向の距離が、上記読取り中心位置から上記第2反射型集光光学素子までの上記副走査方向の距離と近似するように構成したことを特徴とする。
本発明の一態様における画像読取装置によれば、結像光学系を構成する独立した光学系であるセルの構成は、第1折り曲げミラー、第1反射型集光光学素子、アパーチャ、第2反射型集光光学素子を備え、原稿面からこれらの順に配置される。よって、第1反射型集光光学素子の後ろ側焦点位置にアパーチャが配置されることから、原稿側にテレセントリックな光学系を形成している。また、原稿面での読取り中心位置から第1反射型集光光学素子までの副走査方向の距離S1が、上記読取り中心位置から第2反射型集光光学素子までの副走査方向の距離S2に近似するように構成した。複数個配列されるセルは、主走査方向に千鳥状に配列されるので、上記結像光学系に最低限必要な副走査方向の幅Wは、上記距離S1と上記距離S2の大きいほうで規定されることになる。そのため、距離S1と距離S2がほぼ等しいとき、副走査方向の幅Wは、最も小さくなる。よって、本発明の一態様における画像読取装置によれば、小型の画像読取装置を提供することができる。
さらに、本発明の一態様における画像読取装置では、原稿に光を照射する光源と、原稿側にテレセントリックな結像光学系を形成しかつ副走査方向に2列にて主走査方向に複数個を配置したセルと、撮像素子と、画像情報を一時的に記憶するメモリと、記憶した画像情報を復元する処理装置とを備えた。該構成によれば、原稿の主走査方向における読み取り領域を分割して複数個のセルにて画像を読み取ることから、画像読取装置を小型化することができる。さらに、副走査方向に2列にセルを配置し各列に配置されるセルから画像を得ることから、主走査方向に配置されたセル同士から得られる画像の劣化を引き起こすことなくセル間の画像を補完し合うことができる。よって良好な画像を得ることができる。さらに、各セルは、原稿側にテレセントリックな光学系であることから、被写体距離を大きくすることができる。
詳しく説明すると、各セルの原稿側をテレセントリックな光学系にしたことで、原稿が焦点方向に移動しても画像の転写倍率が変わらないという利点がある。一方、各セルが原稿側にテレセントリックな光学系であることで、セルが読み取る画像範囲の端近傍の点(点Eとする)からセルの入射瞳への光線束において、主光線が光軸に平行となる。よって、点Eからの光線束について、ケラレを発生させることなくその全てをセルの光学系に入射させるためには、原稿の読み取り範囲よりも大きい口径のレンズが必要となる。各セルを副走査方向に一列に配置し主走査方向に隣接して配置すると、各セル間の境界部分にて、読み取り範囲に空白が生じてしまう。逆に、レンズの口径を1セルの読み取り幅に合わせると、点Eからの光線束にケラレが生じてしまうという問題が生じる。
そこで本発明の一態様の画像読取装置では、副走査方向にセルを2列に配置している。ここで、理解を容易にするため、セルに番号をつける。副走査方向に配列された2列のうち、第1列のセルを、n=1、3、5、...とし、第2列のセルをn=2、4、6、...とする。上記一態様の画像読取装置では、セルの読み取り範囲よりもセルの開口を大きくした構成を採る。該構成によれば、一方の第1列において隣接するセル間、すなわち、k番目と(k+2)番目の各セル間の境界で、読み取りのできない空白範囲が生じたとしても、その空白範囲の画像を、他方の第2列における(k+1)番目のセルで読み取り、画像を補完し合うことができる。
一方、上述の2列の構成を採ることで、第1列と第2列とにおける各セルでは、副走査方向の読み取り位置が異なる。よって、同一時刻に撮像される第1列のセルと第2列のセルとにおける画像は異なる。この画像の相違を修正するため、本発明の一態様の画像読取装置では、第1列と第2列との副走査方向の距離をスキャンするのに要した時間を用いて、撮影された画像を合成する手法を採っている。即ち、上記一態様による画像読取装置では、メモリを備えており、読み取った画像を一時的に保存する。該メモリから、わずかに異なる時刻に撮影された第1列及び第2列の各セルによる二つの画像を読み出して、画像処理装置で画像復元する。したがって、本発明の一態様の画像読取装置によれば、読み取り画像から正常な画像を形成することができる。
さらに、上述のように本発明の一態様の画像読取装置では、第1列及び第2列に含まれる全てのセルにおいて、各セルの主光線の内、原稿から各セルへ向かう光線が平行であるので、各セルから原稿までの距離が変動した場合でも、撮像素子部に対する画像の位置が変化することはない。よって、合成された後の画像のk番目と(k+1)番目の境界部の画像も劣化することがない。
したがって上述したように、本発明の一態様による画像読取装置によれば、被写界深度が大きく、かつ小型化を達成することができる。
又、上記第1列に配置されるセルと、上記第2列に配置されるセルとにおいて、それぞれの原稿からの主光線の角度が副走査方向に対して異なるように各セルを配置することができる。このような配置構成によれば、原稿面における、第1列のセルによる原稿面における読み取り範囲と、第2列のセルによる原稿面における読み取り範囲との副走査方向における隙間を狭くすることができ、読み取り画像を記憶する上記メモリの容量を小さくすることができる。
本発明の実施の形態1による画像読取装置の概略構成を示す図であり、結像光学系を構成する一つのセルにおける光路を示す図である。 本発明の実施の形態1による画像読取装置の概略構成を示す図であり、副走査方向に2列に配列され結像光学系を構成するセルの光路を示す図である。 図2に示す2つのセルにおける光路を説明するための斜視図である。 図2に示す各セルにおける光路を示す斜視図である。 図1に示す画像読取装置の構成を説明するための斜視図である。 図5に示す画像読取装置における主走査方向の構成を示す断面図である。 図5に示す画像読取装置における副走査方向の構成を示す透視図である。 天板上での読み取り領域の配置状態、及び原稿画像文字情報の一例を示す図である。 撮像素子部の配置、及び撮像された文字画像の一例を表す図である。 撮像され、反転処理された文字画像情報の一例を示す図である。 (a)は、図5に示す画像読取装置に備わる第1列のセルにて、本状の原稿を読み取る様子を表す図であり、(b)は、図5に示す画像読取装置に備わる第2列のセルにて、本状の原稿を読み取る様子を表す図である。 図5に示す画像読取装置により、本のような原稿を副走査方向において読み取る様子を表す図である。 実施の形態1〜3に備わる光源の構成を示す図である。 図13に示す光源を説明する図である。 実施の形態1〜3に備わる撮像素子基板の平面図である。 実施の形態1〜3に備わる撮像素子部の構成を示す平面図である。 図5に示す画像読取装置に対して遮光部材を設けた場合を示す斜視図である。 各セルを千鳥状に配置した構成において、遮光部材を設けた場合の効果を説明するための図である。 各セルを千鳥状ではなく単に隣接して配置した構成における問題点を説明するための図である。 本発明の実施の形態2による画像読取装置の構成を示す斜視図である。 図20に示す画像読取装置の主走査方向における構成を示す断面図である。 図20に示す画像読取装置の副走査方向における構成を示す透視図である。 図20に示す画像読取装置の構成の変形例を示す副走査方向における透視図である。 図20に示す画像読取装置における結像光学系を構成する2つのセルにおける光路を説明するための斜視図である。 図20に示す画像読取装置の概略構成を示す図であり、副走査方向に2列に配列され結像光学系を構成するセルの光路を示す図である。 図20に示す各セルにおける光路を示す斜視図である。 本発明の実施の形態3における画像読取装置にて用いられる第1レンズ及び第2レンズを説明するための斜視図である。
本発明の実施形態である画像読取装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
実施の形態1.
図1から図19を参照して、本発明の実施の形態1に係る画像読取装置501の一例について説明する。
図1から図4を参照して追って説明するように、本実施形態1の画像読取装置501は、光反射系の結像光学系にて構成されており、原稿の読み取り領域からの光は、反射を繰り返して撮像素子部に至る。一方、理解を容易にしまた説明の便宜上、以下の、画像読取装置501のシステム構成の説明では、例えば図6に示すように、結像光学系内の第1レンズ100、第2レンズ102などは屈折系におけるレンズ形態にて図示及び説明を行う。また、原稿の読み取り領域から撮像素子部に至る光路の途中に存在すべき第1折り曲げミラー111(図1)、第2折り曲げミラー113(図1)なども以下の説明では省略している。
まず、図5から図19を参照して、画像読取装置501のシステム構成について説明する。
本実施形態の画像読取装置501は、大きく分けて、結像光学系1と、光源2と、撮像素子部41、42、…と、メモリ5と、処理装置6とを備える。これらの構成部分は、画像の読み取りがなされる被読取物の一例である原稿7の近傍に光源2が配置され、原稿7にて反射した光が入射可能なように結像光学系1が配置され、撮像素子部41等が適宜配置される。このような画像読取装置501は、主走査方向(X方向)211に沿って原稿7の画像を読み取り、さらに主走査方向211に直交する副走査方向(Y方向)212に原稿7をスキャンして、原稿7における全画像の読み取りを行う。尚、原稿7とは、文章、書画、写真などを表示した被読取物や、紙幣等の被読取物であり、印刷するもとになったり、真贋の判定に使用されたり、電子ファイルとして使用されたりするものが相当する。又、図5では、図示の明瞭化のため、原稿7の図示を省略している。
原稿7は、原稿載置部材としての天板3に載置される。天板3は透明体にてなり、一般にはガラス板である。例えば蛍光灯やLED等である照明光源2は、天板3の下方であって原稿7の読み取りに支障が生じない箇所に配置され、原稿7上の読み取り位置に存在する被撮像部31、32、…に照明光線201を照射する。尚、図5では、光源2は、副走査方向212において結像光学系1の片側にのみ配置しているが、これに限定されず、もちろん両側に配置しても良い。
ここで光源2について説明する。図13は、光源2の構造を示している。光源2は、大きく分けて、出射部22及び光散乱層25を有する導光体21と、電極部26と、発光源27とを備え、当該光源2の長手方向の両端部にそれぞれ配置された電極部26及び発光源27の間に導光体21が配置されている。
光散乱層25は、導光体21の略全長に渡り設けられ、導光体21の出射部22から、主走査方向211に沿った光源2の全体から光を均一に照射させるためのものである。発光源27は、本実施形態では、それぞれ、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)波長を発するLEDチップからなる。よって、電極部26には、図14に示すように、R光源27R、B光源27B、及びG光源27Gが設置される。
又、出射部22からの光の放出を均一にするため、光散乱層25は、発光源27が導光体21の両端に設置される場合には、主走査方向211の中央を幅広に形成され、片側設置する場合には、光源27から遠ざかるに連れて幅広に形成される。尚、図14では、主走査方向211の中央を幅広に形成した光散乱層25が示されている。
尚、各RGB光源27の光学波長は、受光部402に設けられたRGBフィルタの各RGB色の波長と略一致している。
又、このような光源2の構成は、本実施の形態1のみならず、後述する実施の形態2、3における画像読取装置においても同じである。
図5では、被撮像部31、32、…は、説明上及び視覚上の理解を容易にするために、短冊状の枠で囲って図示しているが、特に構造物は存在しない。又、説明上、主走査方向211に沿って、被撮像部31、33、…が配列される部分を読み取りライン8とし、被撮像部32、34、…が配列される部分を読み取りライン9とする。
結像光学系1は、被撮像部31,32…で反射した、光源2の照明光線201の散乱光を集光し画像として結像する結像光学系である。このような結像光学系1は、複数のセル11、12、…を有する。各セル11、12、…は、それぞれ独立した結像光学系であって原稿7側にテレセントリックな光学系を有し、主走査方向211に複数個配置される。さらに、副走査方向212には、各セル11、12、…は、第1列215及び第2列216の2列に配列される。ここでは、セル11,13,15、…が第1列215に属し、セル12,14,…が第2列216に属する。又、同列に配置される各セルは、各セルの主光線の内、原稿7から各セル11、12、…へ向かう光線が互いに平行であるように配置されている。尚、主光線のうちの原稿7から各セル11、12、…へ向かう光線という文言は、光軸という言葉で置き換えることができる。即ち、第1列に属する各セル11、13、…の光軸11a,13a,…が互いに平行となるように、各セル11、13、…は設けられ、第2列に属する各セル12、14、…の光軸12a,14a,…が互いに平行となるように、各セル12、14、…は設けられる。
さらに、副走査方向212における各セル11,12間、各セル12,13間、各セル13,14間、…で結像画像が補完可能なように、第1列215及び第2列216の各セル11,12,13,…は、主走査方向211にて千鳥状に配置されている。
各セル11,12,13,…を構成する光学系要素の配置と光路について説明する。
図6は、主走査方向211における、第1列215に備わるセル11、13、15、…の結像光学系要素と、主要光路とを示した図である。図7は、副走査方向212におけるセル11とセル12とを重ね書きした状態にて、結像光学系要素と主要光路とを示した図である。
各セル11,12,13,…は、同一の構成を有し、ここでは代表してセル11を例に説明する。セル11は、第1光学素子として機能する一例である第1レンズ100と、絞りとして機能する一例であるアパーチャ101と、第2光学素子として機能する一例である第2レンズ102と、これらを保持する保持具103とから構成される。セル11において、第1レンズ100の後側焦点位置にアパーチャ101を配置することで、セル11は、原稿7側にテレセントリックな光学系を実現できる。
又、本実施形態1では、図示するように、各セル11,12,13,…における第1レンズ100、アパーチャ101、及び第2レンズ102の光軸が天板3に対して垂直となるように、本実施形態ではZ方向に平行となるように、各セル11,12,13,…は、配置されている。よって、原稿7上の、各セル11,12,13,…が分担する読み取り範囲からの反射光線で結像に寄与する光線束のうちの主光線は、全て天板3に垂直である。
撮像素子部41、42,…は、各セル11,12,13,…に対応して基板4上に配置される。つまり、第1列215に属するセル11,13,…に対応して撮像素子部41,43,…が配置され、第2列216に属するセル12,14,…に対応して撮像素子部42,44,…が配置される。
ここで撮像素子部41,42,…について説明する。図15は、撮像素子部41,42,…を備えた基板4の平面図であり、2aは,照明光源2と、撮像素子基板4のコネクタ400とを電気接続する光源接続部である。
各撮像素子部41、42,…は、例えばCCD等からなる受光部が主走査方向211に複数個配列されて構成されたもの、さらには、上記受光部を主走査方向211に複数個配列したものを副走査方向212に複数列にて配置して構成したものである。
図16に、撮像素子部41,42,…の平面図を示す。撮像素子部41,42,…は、大きく分けて受光部402と、光電変換・RGBシフトレジスタ駆動回路403と、入出力部404とを有する。受光部402は、1画素に対して赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)からなりゼラチン材などで構成したRGBフィルタ402aを受光面に配置した撮像素子である。この撮像素子部41等では、主走査方向211に沿って、144画素分、つまり144個の受光部402が配置されている。光電変換・RGBシフトレジスタ駆動回路403は、受光部402に入射した光をRGBごとに光電変換し、その出力を保持し、駆動する。入出力部404は、撮像素子部41等に信号や電源を入出力するワイヤボンディングパッド部である。
各セル11,12,13,…に入射したそれぞれの原稿画像は、第1レンズ100、アパーチャ101、第2レンズ102によって撮像素子部41、42,43…上に反転像が形成される。例えば、原稿7の読み取りライン8上の被撮像部31の画像は、セル11を通り、撮像素子部41に結像され撮像され、読み取りライン9上の被撮像部32の画像は、セル12を通り、撮像素子部42に結像され撮像される。
セル11,12,13,…の転写倍率は、1より大きく(つまり拡大動作)ても、1より小さく(つまり縮小動作)てもよいが、等倍にすることで、市販の解像度のセンサを流用可能となるメリットがある。
本実施形態1では、上述のように、原稿7上の、各セル11,12,13,…が分担する読み取り範囲からの反射光線で結像に寄与する光線束のうちの主光線は、全て天板3に垂直である。よって、第1列215に属するセル11,13、…により読み取られる、原稿7における被撮像部31、33、…を含む読み取りライン8と、第2列216に属するセル12,14、…により読み取られる、原稿7における被撮像部32、34、…を含む読み取りライン9との副走査方向212における幅は、中心間幅218となる。また、本実施形態1では、第1列215に属するセル11,13,…に対応して配置される撮像素子部41,43,…と、第2列216に属するセル12,14,…に対応して配置される撮像素子部42,44,…との副走査方向212における幅は、中心間幅219となる。
メモリ5は、撮像素子部41,42,…と接続され、各撮像素子部41,42,…が送出する画像情報を記憶する。
処理装置6は、メモリ5に記憶した画像情報を読み出して、画像に復元して合成し、原稿7における全体の画像を作成する。尚、メモリ5及び処理装置6は、図5では別体にて図示しているが、もちろん同一基板上に設置可能である。
これらのメモリ5及び処理装置6については、以下の動作説明にて詳しく説明する。
以上説明したようなシステム構成を備えた画像読取装置501における結像光学系1は、冒頭で述べたように、光反射系の光学系にて構成されている。以下には、図1から図4を参照して、実際の光学系の構成について説明する。
ここで、図1は、上述した一つのセル11,12等における原稿7から撮像素子部41,42等に至るまでの実際に即した光路を示している。尚、「111」は、原稿7から各セル11,12等における第1レンズ100へ向かう光線の光路を偏向する第1折り曲げミラーであり、「113」は、第2レンズ102から撮像素子部41,42等へ向かう光線の光路を偏向する第2折り曲げミラーである。また、第1レンズ100及び第2レンズ102は、それぞれ、第1反射型集光光学素子及び第2反射型集光光学素子の一例に相当し、凹面鏡にて構成され、光を反射する。
図2は、副走査方向212において左右に配置される2つの、例えばセル12とセル13との構成を示している。図3は、例えばセル12及びセル13の各構成を明示するためにそれぞれ独立した斜視図として図示したものである。図4は、図5に示す構成を実際に即して斜視図にて示したものである。
図1から図4を参照して、結像光学系1における光路について説明する。
原稿7から各セル11,12等へ向かう光線は、第1折り曲げミラー111で光路を偏向され、第1レンズ100に照射される。凹面鏡である第1レンズ100にて、光線は光路を折り曲げられ、かつ集光される。第1レンズ100の後ろ側焦点位置にアパーチャ101が設置されていることから、ある一つのセルに入射する主走査方向211に沿った原稿面からの光線群は、原稿面側にテレセントリックになる。
アパーチャ101を通過した光線は、凹面鏡である第2レンズ102で光路を折り曲げられ、かつ集光され、さらに、第2折り曲げミラー113で光路を偏向されて撮像素子部41,42等上に結像される。
実施の形態1における画像読取装置501では、図1に示すように、一つのセルにおける原稿面での読取り中心位置81から第1の反射型集光光学素子の一例に相当する第1レンズ100までの副走査方向212における距離S1が、原稿面での読取り中心位置81から第2の反射型集光光学素子の一例に相当する第2レンズ102までの副走査方向212における距離S2に近似する、つまりほぼ等しくなるように、設計している。即ち、S1≒S2 となるように設計している。
図3、図4及び図5等に示すように、千鳥状に配列した結像光学系1の副走査方向212の幅W(図2)について、距離S1と距離S2との大きい方を、SMAX=MAX(S1、S2)、と置くと、幅W=2・SMAXである。
図2から明らかなように、幅Wが最小となるのは、距離S1と距離S2とが等しいときである。
このような設計を行うためには、アパーチャ101に関して、前側の光学系つまり原稿7からアパーチャ101に至る光学系と、後側の光学系つまりアパーチャ101から撮像素子部41,42等に至るまでの光学系とを非対称にする必要が一般には生じる。そのためには、第1レンズ100と、第2レンズ102との焦点距離を大きく変えればよい。本実施形態1では、図1に示すように、第2レンズ102の焦点距離に対して第1レンズ100の焦点距離を大きく設定している。
以上のように構成された本実施形態における画像読取装置501の動作について、主に図5〜図12を参照して以下に説明する。
照明光源2から照射された照明光線201は、天板3上に置かれた原稿7を照射する。まず、原稿7の読み取りライン8に位置する被撮像部31、33,35…が、セル11,13,15…、及び撮像素子部41,43,45…にて撮像される。即ち、被撮像部31、33,35…にて反射し散乱した光線がセル11,13,15…に入射し、基板4上に配置された撮像素子部41,43,45…に結像する。このとき、光線は、実際には上述したように、第1折り曲げミラー111、第1レンズ100、アパーチャ101、第2レンズ102、及び第1折り曲げミラー113を、反射、通過する。それぞれの撮像素子部41,43,45…から送出される画像信号は、メモリ5に一時的に保存され、その画像信号は、処理装置6にて復元される。
次に、原稿7は副走査方向212にスキャンされて、読み取りライン9に位置する被撮像部32、34、…がセル12,14,…、及び撮像素子部42,44,…にて撮像される。この場合も、光線は、実際には上述のように、第1折り曲げミラー111、第1レンズ100、アパーチャ101、第2レンズ102、及び第1折り曲げミラー113を、反射、通過する。それぞれの撮像素子部42,44,…から送出される画像信号は、メモリ5に一時的に保存され、その画像信号は、処理装置6にて復元される。
各セル11,12,13…に対応する撮像素子部41、42、43…で得られた画像の復元動作について説明する。
第1列215と第2列216とは、副走査方向212において中心間隔217にて離れており、原稿7を副走査方向212にスキャンしていくので、第1列215に配置されるセル11,13…と、第2列216に配置されるセル12,14…とが副走査方向212において原稿7を読み取る位置は異なる。よって、同一時刻に、セル11,13…と、セル12,14…とが撮像する画像は異なる。言い換えると、副走査方向212において同一線上にある画像は、異なる時刻に撮像される。このように、異なる時刻にて撮像された画像から、元の原稿画像を復元するために、撮像素子部41、42、43…で得られた画像は、メモリ5に一時的に保存する。そして、一時保存した各画像を、処理装置6によって元の原稿画像を復元する。図6、図7で示すように反転像が得られる場合において、上記復元を行うための画像処理動作について、図8〜図10を用いて以下に説明する。
図8は、天板3上での読み取り領域である被撮像部31,32…の配置と、図示されていない原稿7上の文字画像「あ」とを示している。図8において、主走査方向211における範囲AA’は、被撮像部31と被撮像部32との重なり領域であり、範囲B’Bは、被撮像部32と被撮像部33との重なり領域である。副走査方向212に原稿7がスキャンされると、相対的な位置関係として、文字画像「あ」は、Y方向にスキャンされる。ここで、「相対的な位置関係」と記したのは、静止している画像読取装置501に対して原稿7が副走査方向212にスキャンされても良いし、静止している原稿7に対して画像読取装置501が副走査方向212にスキャンされても良いことを意味する。ここで文字画像「あ」は、被撮像部31と被撮像部32にまたがる領域に存在するとする。
図9は、撮像素子基板4上に配置された撮像素子部41、42、…を示している。図9において、主走査方向211における範囲aa’は、撮像素子部41と撮像素子部42との重なり領域であり、範囲b’bは、撮像素子部42と撮像素子部43との重なり領域である。撮像素子部41及び撮像素子部42にて得られる文字画像「あ」の信号画像を、スキャンの時間を縦軸にとり、横軸を主走査方向211にとり模式的に表すと、図9に示す点線枠内の図示のようになる。撮像素子部41で得られる画像は、文字画像「あ」の主走査方向211の被撮像部31内の画像を反転したものになる。同様に、撮像素子部42で得られる画像は、文字画像「あ」の主走査方向211の被撮像部32内の画像を反転したものになる。ここで図中のAA’に相当する部分、及びA’Aに相当する部分で示されている画像が被撮像部の重なり領域である。この2つの撮像素子部41、42で得られた画像を、それぞれ反転させ、上記重なり領域を横に合わせて、縦に並べて二つの画像を描くと図10のようになる。この2つの画像の重なり領域の画像が一致するように、これら2つの画像を合成することで、元の文字画像「あ」を得ることができる。処理装置6は、このような合成動作を行う。
ここで、上述のような画像の合成処理を行うことの優位な点について述べる。複数の結像光学系から得られる画像を正立等倍像にして、撮像素子部上で、隣接する結像光学系からの画像を合成する方法については、上述した従来法2,4,5で述べられている。しかしながら、隣接する結像光学系から得られる画像の合わせ目の領域を、ずれが生じないように、複数のレンズやミラー等の機械的要素からなる光学素子を組み立てるのは容易ではない。
これに対し、本実施形態のように、セル11,12…毎から得られる独立した画像を、信号処理上の画像合成によって、つまりソフトウエアによって、元の画像を復元する方法を採ることで、たとえ、組み立てやレンズの製造誤差等により、隣接するk番目セルと、(k+1)番目のセルの画像の重ね合わせにわずかな誤差が発生した場合でも、ソフトウエア上で容易にその誤差を補正することができる。
このように、セル毎に独立した画像を取得して画像合成をすることは、製造誤差を緩和するという効果がある。
次に、本のような原稿7を例に取り、本発明における特徴の一つである、大きな被写界深度を得るための構成について、図11及び図12を用いて説明する。本のような原稿7では、本の綴じ目が天板3から浮き上がってしまうために大きな被写界深度を持つ画像読取装置が必要である。
図11に示すように、主走査方向211において、焦点方向(Z方向)の位置が変化する原稿7があるとする。図11の(a)は、第1列215に属するセル11,13、…と、これらのセル11,13、…における光路を示したものであり、図11の(b)は、第2列216に属するセル12,14,…と、これらのセル12,14,…における光路を示したものである。図12は、副走査方向212において、セル13とセル14とを重ね書きしたもので、各セル13,14の結像光学系要素と、主要光路とを示した図である。又、図12は、主走査方向211において、原稿面の焦点方向(Z方向)の位置が変化した場合を図示しており、セル13が読み取る被撮像部33における原稿面の最大高さ位置を「71」にて示し、セル14が読み取る被撮像部34における原稿面の最大高さ位置を「72」にて示している。
上述したように、本実施形態の画像読取装置501に備わる各セル11,12,13,14,…は、原稿7側にテレセントリックな光学系であり、かつ、第1列215、第2列216に含まれる全てのセル11,12,13,14,…内の全ての主光線が天板3に対して垂直である。よって、本実施形態の画像読取装置501では、原稿7までの焦点距離が変動しても、撮像素子部に対する画像の読み取り位置が変化することがない、という特徴がある。
即ち、組み立て初期、あるいは動作初期に、画像合成のパラメータを決めてしまえば、天板3までの距離が面内で変化するような原稿7に対しても画像の重ね合わせのずれが生じることはないという効果がある。よって、本実施形態の画像読取装置501の被写界深度は、個々のセル11,12,13,14,…の被写界深度にて、ほぼ決定される。個々のセル11,12,13,14,…の被写界深度は、セル内の光学系の設計によって決まる。被写界深度は、光学系のF値でほぼ決定される。1セルの視野を大きくする場合には、セル内のレンズを非球面形状にしたり、複数のレンズを用いるなどにより、収差を十分補正する必要がある。600dpiの分解能が必要な場合、あくまで目安ではあるが、F値F=10で、約±1mmの被写界深度、F=20で、約±2mmの被写界深度が得られる。
尚、図6、図7、図11、図12では、天板3の上面に合焦するような図示になっているが、必ずしもこの限りではない。例えばF=10の光学系では、天板3の上面から1mm上の面に合焦されるように天板3の配置を行えば、±2mmの被写界深度を十分に使うことができる。
次に、図17から図19を用いて本発明における特徴の一つである迷光対策のしやすさについて述べる。図17は、図5に示す画像読取装置501に対して、各セル間に遮光部材126を挿入した画像読取装置501−1の斜視図である。図18は、主走査方向211の第1列215のセル11,13,…について、迷光に対する遮光部材126の効果を説明するための図である。図19は、原稿7側にテレセントリックな光学系でセルが隣接して並んでいる、つまり千鳥状の配置ではない画像読取装置について、遮光部材を追加した構成を示す図である。
まず、図19を用いて、セルが千鳥配置ではなく隣接して並んでいる構成における問題について述べる。図19において、点線で囲った領域203は、遮光部材126を挿入していない領域である。その点線領域203の外側には、セル間に遮光部材126を挿入している。点線領域203内では、隣接するセル間をまたぐ迷光が発生する可能性がある。その一例を迷光光線202として示す。迷光光線202は、セル11の視野範囲内において、高角度で散乱した光線であり、セル11に隣接するセル12に属する第1レンズ100に入り込む。迷光光線202は、セル12に属する第1レンズ100内で多重反射した後、セル12に属するアパーチャ101、セル12に属する第2レンズ102を経て、セル12に対応する撮像素子部42に到達する。
このように、セル間に遮光部材126を設けない場合には、隣接するセルの視野範囲からの光線が迷い込む可能性がある。このような迷光の存在により、隣接するセルの視野範囲における画像が写り込むゴーストと呼ばれる現象や、結像に至らなくても全体的に白っぽい画像となり画像のコントラストを低下させるフレアと呼ばれる現象が発生してしまう。
この迷光を遮断するためには、遮光部材126を各セル間に挿入すれば良い。その状態を図19の右側の点線領域203の外側に示す。
しかしながら、遮光部材126を設けることによって、結像に必要なセル境界付近の光線も遮ってしまうという問題が発生する。遮光部材126を設けない場合におけるセルの境界、例えば図中の点Pからの光線は、セル12及びセル13に分離し、撮像素子部42及び撮像素子部43に到達し、それぞれの撮像素子部で画像信号が得られる。
一方、遮光部材126を設けることで、例えば図中の点Qからの光線は、遮光部材126で遮られてしまう。尚、図19に示す点線の光路は、遮光部材126がない場合の光路を示し、遮光部材126が存在する場合には、この光路は存在しない。
このように、セル11,12,…が千鳥配置ではなく、単に隣接して配置されている場合、遮光部材126をセル間に設けると、隣接セル間の画像信号が得られず、セル境界ごとに画像が欠落してしまうという問題があった。
これに対し本実施形態における画像読取装置501のように、各セル11,12,…を千鳥配置にした場合には、図17又は図18から分かるように、セル間には隙間がある。この隙間に遮光部材126を設けると、画像信号を遮ることなく、セル間にまたがる迷光を遮断することができる。この点について、図18を用いて詳しく説明する。
図18の点線で囲った領域203−1は、遮光部材126をセル間に配置していない状態を示す。この場合、図19に示す点線領域203内の場合と同様に、隣接するセルへの迷光202が発生しうる。
一方、点線領域203−1の外側である、図18における右側には、迷光光路202を遮るために遮光部材126を設けた状態を図示している。各セル11,12,…を千鳥状に配置した場合、各セル間には、結像に寄与する光線が存在しない空間領域が存在する。また、被撮像部31、33、35、…の隣接間や、被撮像部32、34、36、…の隣接間には撮像に寄与しない領域が存在する。撮像素子部41、43、45、…の隣接間や、撮像素子部42、44、46、…の隣接間についても、同様に隙間が存在する。よって、これらの隙間に、遮光部材126を設けることが可能である。
このように、本実施形態の画像読取装置501では、各セル11,12,…を千鳥状に配置にしたことより、原稿7側にテレセントリックな光学系であっても隣接セル間に遮光部材126を設けることができる。これにより、迷光により発生するフレアやゴーストといった所望の像以外の光線を遮光することができ、鮮明な画像を得ることができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2における画像読取装置502の一例について、図20から図23を参照して説明する。尚、図20から図23では、結像光学系1に関して屈折系のレンズ形態にて図示しているが、上述した実施の形態1における画像読取装置501と同様に、本実施の形態2における画像読取装置502についても、光反射系の結像光学系にて構成されている。
実施の形態1の画像読取装置501では、第1列215に属するセル11,13、…内、及び、第2列216に属するセル12,14、…内での主光線の内、原稿7から各セル11,13、…、及びセル12,14、…へ向かう光線は、図6に示すように、互いに平行で、かつ、第1列215と第2列216とにおける、セル11,13、…と、セル12,14、…との間でも、図7に示すように、主光線の内、原稿7から各セルへ向かう光線は平行である。尚、主光線の内、原稿7から各セルへ向かう光線という文言は、光軸という用語で置き換えることができる。
これに対し実施の形態2における画像読取装置502では、第1列215に属するセル11,13、…内、及び、第2列216に属するセル12,14、…内での主光線の内、原稿7から各セル11,13、…、及びセル12,14、…へ向かう光線は、図21に示すように、互いに平行であるが、第1列215と第2列216とにおける、セル11,13、…と、セル12,14、…との間では、図22に示すように、主光線の内、原稿7から各セルへ向かう光線は平行ではない構成を有する。尚、画像読取装置502におけるその他の構成は、上述の画像読取装置501の構成と変わる部分はない。よって、以下には、相違する構成部分についてのみ説明を行う。又、図20では、図示の煩雑さを避けるため、照明光源2の図示を省略している。
画像読取装置502では、図20及び図22に示すように、第1列215に属するセル11、13、…における光軸11a、13a、…と、第2列216に属するセル12、14、…における光軸12a,14a、…とが第1列215と第2列216との隙間側へ傾斜した状態にて第1列215のセル11、13、…と、第2列216のセル12、14、…とが配置されている。具体的には、本実施形態では、第1列215に属するセル11、13、…がX軸(主走査方向211)周りに−10°傾いており、第2列216に属するセル12、14、…がX軸周りに+10°傾いている。この結果、本実施形態2では、図22に示すように、天板3の上方にある位置76にて、両者の光軸11a,12a等が交差しており、天板3の上面では、光軸11a,12a等は、間隔218aだけ離れている。
尚、両者の光軸11a,12a等は、必ずしも天板3の上方に存在する位置76にて交差する必要はなく、図23に示すように、天板3の上面で交差しても良い。図20では、図22に対応する場合を図示しており、読み取りライン8,9は、副走査方向において中心間幅218aとなっている。これは、図5に示す画像読取装置501の場合における中心間幅218に比べて狭くなっている。
上述のように、本実施の形態2における画像読取装置502の構成は、上述した実施の形態1の画像読取装置501の構成と基本的に変わる部分はなく、画像読取装置501が奏する上述した効果を、画像読取装置502も奏することができる。これに加えて、本実施の形態2の画像読取装置502は、以下の特別の効果を奏することができる。
即ち、図22及び図23に示すように、第1列215と第2列216とにおける各セル11,12等の各光軸11a,12a等の方向を、天板3に対して斜めに配置して、原稿7上での読み取りライン8,9を接近させることで、画像信号を一時保存するメモリ5の容量を小さくすることができ、低コスト化がはかれるという効果がある。
つまり、実施の形態1において説明したように、第1列215のセル11等により結像される画像と、第2列216のセル12等により結像される画像とは、副走査方向212におけるスキャンの時間差をおいて取得される。よって、上記時間差に相当する画像情報を保存しておくだけのメモリ容量が必要である。よって、読み取りライン8,9の副走査方向における中心間幅218が狭い程、メモリ容量は、少なくて済む。実施の形態2における画像読取装置502では、上述のように画像読取装置501の場合に比べて、読み取りライン8,9の副走査方向における中心間幅218aが狭く、その結果、メモリ5の容量を画像読取装置501の場合に比べて小さくすることができる。
一方、読み取りライン8,9の副走査方向における中心間幅218を狭くすることで、原稿7が天板3から浮いた場合に、その浮いた量に応じて画像が副走査方向212にずれるという現象が起こる。しかしながら、上述したように実施形態2における画像読取装置502でも、原稿7側にテレセントリックな光学系を構成しているため、転写倍率は、変化しない。よって、主走査方向211への画像のずれは起こらないので、その補正は、副走査方向212のシフトだけで良く、比較的容易に行える。この隣接セル間での画像の合成は、隣接セル間で同じ領域を撮影した画像が一致するように、副走査方向212に画像をシフトさせれば良い。
本実施形態2の冒頭でも述べたが、実施の形態2における画像読取装置502も、実際には光反射系の結像光学系にて構成されている。以下には、図24から図26を参照して、実際の構成例について説明する。
図24は、実施の形態2における画像読取装置502の例えばセル12及びセル13における原稿7から撮像素子部42,43等に至るまでの実際に即した光路を示している。図25は、実施の形態2における画像読取装置502の副走査方向212において左右に配置される2つの、例えばセル12とセル13との構成を示している。図26は、図20に示す構成を実際に即して斜視図にて示したものである。
尚、本実施の形態2では、上述のように、実施形態1の画像読取装置501の場合に比べて、読み取りライン8,9の副走査方向における中心間幅218aが狭い。よって、図25及び図26では、副走査方向212において位置する各セルによる原稿7面における読み取りライン8,9は、重なった状態、つまり一箇所の状態にて図示している。
図24から図26を参照して、画像読取装置502の結像光学系1における光路について説明する。
原稿7で散乱してから各セル11,12等へ向かう光線は、第1折り曲げミラー111で光路を偏向され、第1レンズ100に照射される。凹面鏡である第1レンズ100にて、光線は光路を折り曲げられ、かつ集光される。第1レンズ100の後ろ側焦点位置にアパーチャ101が設置されている。このアパーチャ101の中心を通る光線を主光線と呼ぶが、原稿7から第1折り曲げミラー111までの主光線は、副走査方向212に傾いている。
上述の実施の形態1の構成と同様に、第1レンズ100の後ろ側焦点位置にアパーチャ101が設置されていることから、ある一つのセルに入射する主走査方向211に沿った原稿面からの光線群は、原稿面側にテレセントリックになる。
アパーチャ101を通過した光線は、凹面鏡である第2レンズ102で光路を折り曲げられ、かつ集光され、さらに、第2折り曲げミラー113で光路を偏向されて撮像素子部41,42等上に結像される。
その他、上述の実施の形態1の構成と同様に、実施の形態2における画像読取装置502においても、上記距離S1と上記距離S2とがほぼ等しくなるように、設計されている。そして、上記幅Wが最小となるように、本実施形態2においても、図25に示すように、第2レンズ102の焦点距離に対して第1レンズ100の焦点距離を大きく設定している。
実施の形態3.
上述の実施の形態1、2の構成では、図1、図2、図24、及び図25に示すように、原稿7から撮像素子部41,42等に至る光路を斜めに折り畳んでいる。よって、往路と復路の光路を分けるために、凹面鏡である第1レンズ100、凹面鏡である第2レンズ102への主光線の入出射を斜めにする必要が生じてしまう。一方、凹面鏡への斜入射は、X方向とY方向の焦点位置が異なる非点収差が発生する。この非点収差を補正するためには、X方向とY方向の焦点位置の異なる曲面形状を有する凹面鏡を用いればよい。
そこで本実施の形態3における画像読取装置503では、そのようなX方向とY方向の焦点位置の異なる曲面形状を有する凹面鏡にてなる、図27に示す第1レンズ100A及び第2レンズ102Aを備えるように構成した。第1レンズ100A及び第2レンズ102Aは、主走査方向(X方向)211及び副走査方向(Y方向)212の曲率がそれぞれ異なる凹面鏡である。このような第1レンズ100A及び第2レンズ102Aの曲面上のある点(x,y)における高さであるSAG値Zは、例えば次式で表される。
Figure 2010206358
ここで、cxはX方向の表面曲率、cyはY方向の表面曲率、RxはX方向の曲率、RyはY方向の曲率、kxはX方向のコニック定数、kyはY方向のコニック定数である。
第1レンズ100Aは、上述の第1レンズ100に代えて設けられ、第2レンズ102Aは、上述の第2レンズ102に代えて設けられる。本実施の形態3における画像読取装置503のその他の構成は、上述した画像読取装置501及び画像読取装置502における構成と同じである。
このような構成を有する画像読取装置503によれば、画像読取装置501及び画像読取装置502が奏する上述の効果を得ることができ、さらに、上記非点収差の発生を防止することができる。
1 結像光学系、2 照明光源、3 天板、4 基板、5 メモリ、
6 処理装置、7 原稿、8,9 読み取りライン、
11、12、13、14、… セル、31,32,33,34,… 被撮像部、
41、42、43、44、… 撮像素子部、
100、100A 第1レンズ、101 アパーチャ、
102、102A 第2レンズ、
111 第1折曲げミラー、113 第2折曲げミラー、
126 遮光部材、
202 遮光光線、203 点線領域、211 主走査方向、
212 副走査方向、215 第1列、216 第2列、
501〜503 画像読取装置。

Claims (3)

  1. 原稿の被撮像部に光を照射する光源と、
    上記被撮像部で反射した上記光の散乱光を集光し画像として結像する結像光学系であって、主走査方向に複数個配置されそれぞれが独立した光学系のセルを有し、上記副走査方向には上記セルを第1列及び第2列の2列に配列し同列に配置される各セルにおける主光線の内上記原稿から各セルへ向かう光線が互いに平行であるように各セルを配置し、上記副走査方向における各セル間で結像画像が補完可能なように上記第1列及び上記第2列の各セルを上記主走査方向にて千鳥状に配置した結像光学系であって、
    それぞれの上記セルに対応して配置される複数の撮像素子部と、
    上記副走査方向において対応する上記撮像素子部同士が送出する画像情報を記憶するメモリと、
    上記メモリに記憶した上記画像情報を画像に復元し合成して原稿画像を作成する処理装置と、を備え、
    上記結像光学系を構成する独立した光学系であるセルの構成は、第1折り曲げミラー、第1反射型集光光学素子、アパーチャ、及び第2反射型集光光学素子を備え、上記被撮像部で反射した光が上記第1折り曲げミラー、上記第1反射型集光光学素子、上記アパーチャ、上記第2反射型集光光学素子の順に通過する配置を有して、原稿側にテレセントリックな光学系を形成しており、
    上記第1列及び上記第2列に配列される各セルによる上記被撮像部での読取り中心位置から上記第1反射型集光光学素子までの上記副走査方向の距離が、上記読取り中心位置から上記第2反射型集光光学素子までの上記副走査方向の距離と近似する、
    ことを特徴とする画像読取装置。
  2. 上記第1列に配置される各セルの主光線の内上記原稿から各セルへ向かう光線と上記第2列に配置される各セルの主光線の内上記原稿から各セルへ向かう光線とが上記第1列と上記第2列との隙間側へ傾斜した状態にて、上記第1列及び上記第2列に配置される各セルは配置されている、請求項1に記載の画像読取装置。
  3. 上記第1反射型集光光学素子及び上記第2反射型集光光学素子は、上記主走査方向に相当する方向と上記副走査方向に相当する方向とで焦点距離を異にする、請求項1又は2に記載の画像読取装置。
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