JP2013117063A - 溶融塩電解による金属の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2種類以上の金属元素を含む鉱石又は該鉱石から得られた粗金属塊に含まれる金属元素を選択的に溶融塩中に溶解させる工程と、前記金属元素が溶解した溶融塩中に一対の電極部材を設け、電極部材における電位を所定の値に制御することにより、電極部材の一方に、溶融塩中に存在する特定の金属元素を選択的に析出又は合金化させる工程と、を備えることを特徴とする溶融塩電解による金属の製造方法。
【選択図】図9
Description
溶融製錬では溶融したときの比重差で鉱石に含まれる金属を分離するため、分離する金属間の比重差が大きいことが求められる。また、分離対象が互いに溶解度が小さいことが求められる。金属材料間でこうした条件を満たす元素は限定されるため、乾式製錬では分離できる対象元素が限定されるという問題がある。
イオン交換はイオン交換樹脂の吸着能、交換能力により優れた処理であるが、イオンの吸着と解離の繰り返しで処理されるため、多量の物質を経済的かつ効率よく処理するには適さないという問題がある。
この溶媒抽出は、酸処理等でイオン化し、分離に際しては、処理段数を多く実施する必要があり、それに伴い、多量の酸、アルカリを要し、多量の廃液を生じるという問題がある。
しかしながら、水溶液電解精製では分離析出できる金属元素が限られており、例えば、レアアースといった材料は原理的に析出されることができないという問題がある。
この方法は対象金属がAlであり、また、共存する不純物の電位が精製目的金属の電位に近いと、析出させた目的金属中に不純物として混入するという問題がある。
上記のように従来の製錬方法にはそれぞれ短所が有る。
(1)2種類以上の金属元素を含む鉱石又は該鉱石から得られた粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程と、
前記金属元素が溶解した溶融塩中に一対の電極部材を設け、該電極部材における電位を所定の値に制御することにより、電極部材の一方に、溶融塩中に存在する特定の金属元素を析出又は合金化させる工程と、
を備えることを特徴とする溶融塩電解による金属の製造方法。
(2)前記特定の金属を析出又は合金化させる工程において、溶融塩中の前記特定の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位と他の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位との差が0.05V以上となるように前記溶融塩を選択することを特徴とする上記(1)に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(3)前記特定の金属を析出又は合金化させる工程において、前記電極部材における電位を所定の値に制御し、前記溶融塩中の前記特定の金属元素を選択的に析出又は合金化させることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(4)前記鉱石又は鉱石から得られた粗金属塊は、遷移金属又は希土類金属を含むことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(5)前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、
化学的手法により前記金属を前記溶融塩中に溶解させることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(6)前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、
前記溶融塩中に、陰極と、前記鉱石又は粗金属塊を含む陽極材料からなる陽極とを設け、陽極における電位を所定の値に制御することにより、前記鉱石又は粗金属塊から制御した電位に応じた金属元素を溶融塩中に溶解させることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(7)前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、前記溶融塩中の前記特定の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位と他の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位との差が0.05V以上となるように前記溶融塩を選択することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(8)前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、前記陽極における電位を所定の値に制御し、前記特定の金属元素を選択的に溶融塩中に溶解させることを特徴とする上記(6)又は(7)に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(9)前記特定の金属が希土類金属であることを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(10)前記鉱石又は鉱石から得られた粗金属塊は、粒状又は粉末状であることを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(11)前記粒状又は粉末状の前記鉱石又は鉱石から得られた粗金属塊を押し固めて前記陽極とすることを特徴とする上記(10)に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
(12)2種類以上の金属元素を含む鉱石又は該鉱石から得られた粗金属塊から特定の金属を溶融塩電解により製造する方法であって、
溶融塩中に陰極と、前記鉱石又は粗金属塊を含む陽極材料からなる陽極とを設け、陽極の電位を所定の値に制御することにより、前記鉱石又は粗金属塊から制御した電位に応じた金属元素を溶融塩中に溶解させることで特定の金属を陽極に残留させることを特徴とする
溶融塩電解による金属の製造方法。
(13)前記溶融塩中に前記鉱石又は粗金属塊から金属元素を溶解させる工程において、前記溶融塩中の前記特定の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位と他の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位との差が0.05V以上となるように前記溶融塩を選択することを特徴とする上記(12)に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる方法としては例えば化学的手法により溶解させる方法が挙げられる。具体的には、鉱石又は粗金属塊を粉砕して粒状、粉状にし、これらと塩とを混合して加熱することにより、鉱石又は粗金属塊に含まれる2種以上の金属元素を溶融塩中に溶解させることができる。また、処理対象物を溶融塩に投入して溶解させてもよい。
このためには、前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、前記溶融塩中の特定の金属(溶解させる金属元素)の単体もしくはその合金の標準電位と他の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位との差が0.05V以上となるように前記溶融塩を選択することが好ましい。これにより溶融塩中に溶解させる金属元素と、陽極に残留させる金属元素とを良好に分離することができる。前記標準電極電位の差は0.1V以上であることがより好ましく、0.25V以上であることが更に好ましい。
陽極において制御する所定の電位は、後述するネルンストの式により計算することができる。
また、不純物の持ち込みを少なくする観点から、前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、前記陽極における電位を所定の値に制御し、前記特定の金属元素を選択的に溶融塩中に溶解させることが好ましい。
また、これらの溶融塩は複数種類の溶融塩を組み合わせて任意の組成の溶融塩として用いることができ、例えばKCl−CaCl2やLiCl−KCl、あるいはNaCl−KClといった組成の溶融塩を用いることができる。
この析出プロセスにおいても、前記溶解プロセスと同様に、溶融塩電解において元素が金属もしくは合金として陰極に析出する電位は元素の種類によって異なる性質があるため、この性質を利用して分離する。これにより、目的の特定の金属が溶融塩中に複数種類含まれている場合にも、電位を制御することで、1種類ずつ単独で陰極に析出させることができる。
このように、前記特定の金属を析出又は合金化させる工程においては、前記電極部材における電位を所定の値に制御し、前記溶融塩中の前記特定の金属元素を選択的に析出又は合金化させることが好ましい。
例えば、3価のプラセオジム(Pr)イオン(以下ではPr(III)と表す)からPr単体を析出させる電位は次の式により求めることができる。
なお、上記式(1)において、E0 Prは標準電位を、Rは気体定数を、Tは絶対温度を、Fはファラデー数を、aPr(III)はPr(III)イオンの活量を、aPr(0)はPr単体の活量を、それぞれ意味する。
EPr=E0 Pr + RT/3F・lnaPr(III)
=E0 Pr + RT/3F・ln(γPr(III)・CPr(III)) ・・・式(2)
EPr=E0’ Pr+ RT/3F・lnCPr(III) ・・・式(3)
なお、上記式(3)において、CPr(III)は3価のPrイオンの濃度を、E0’ Prは式量電極電位(ここでは、E0 Pr+ RT/3F・lnγPr(III)と等しい)をそれぞれ意味する。
EPr・Ni=E0’ Pr・Ni + RT/3F・lnCPr(III) ・・・式(4)
なお、上記式(4)において、E0’ Pr・Niは式量電極電位(ここでは、E0 Pr・Ni + RT/3F・lnγPr(III)に等しい)を意味する。
操業における制御電位は、電極の大きさや位置関係によって変わってくるため、条件出しにより基準となる電位を決めた後に、上記の方法で求めた電位の値と序列に基づいて、各ステップにおいて制御する電位を決定する。
すなわち、本発明に係る金属の製造方法は、2種類以上の金属元素を含む鉱石又は該鉱石から得られた粗金属塊から特定の金属を溶融塩電解により製造する方法であって、溶融塩中に陰極と、前記鉱石又は粗金属塊を含む陽極材料からなる陽極とを設け、陽極における電位を所定の値に制御することにより、前記鉱石又は粗金属塊から電位に応じた金属元素を溶融塩中に溶解させることで特定の金属を陽極に残留させることを特徴とする。
また、陽極に制御する電位は、前記のようにネルンストの式を用いて計算することができる。
前記遷移金属としては特に限定されず、周期律表の第3族(IIIA族)〜第11族(IB族)に含まれる元素であればよい。前記希土類金属も特に限定されず、周期律表の第3族(IIIA族)に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、及びランタノイドの15元素であればよい。
更に、前記粒状又は粉末状の、前記鉱石又は粗金属塊を押し固めて前記陽極とすることが好ましい。粉末状の鉱石又は粗金属塊は押し固めることで、陽極(アノード)として使用することができる。この場合、粒子間に溶融塩が容易に侵入できる空間が存在することが望ましい。
(実施の形態1)
本発明を実施するための形態の一例として、ネオジム(Nd)、ジスプロシウム(Dy)、プラセオジム(Pr)を含む鉱石を用いてNd、Dy、及びPrを溶融塩電解により得る方法を記載する。このような鉱石としては、例えば、モナザイト、燐灰石、ゼノタイム、フェルグソナイト、ユーダイアライト等を用いることができる。
この工程では、処理対象物である鉱石や、使用する溶融塩、さらに当該溶融塩を保持する容器や電極などを含む装置などを準備する。なお、処理対象物の溶融塩中への溶解を促進するために、処理対象物と溶融塩との接触面積を大きくする目的で、処理対象物を細かく砕くことも可能である。
Nd、Dy、及びPrを含む鉱石としては、例えばゼノタイム鉱石を用いることができる。ゼノタイム鉱石の組成の一例は、Ndが3.0%で、Dyが7.9%で、Prが0.5%である。
この工程(S20)においては、準備した溶融塩に前記鉱石と、(別の)電極部材とを浸漬し、この鉱石と電極部材に電源を接続することによってそれぞれの電位を制御する。そして、鉱石の電位を調整することにより、鉱石中の希土類元素(Nd、Dy、及びPr)を選択的に溶融塩中に溶解させる。溶融塩としては任意の組成の溶融塩を用いることができる。
具体的には、上述のようにNd、Dy、及びPrが溶解している溶融塩に対して1対の電極を挿入し、この陰極における電位を所定の値に制御する。この電位の値としては、たとえば、LiCl−KCl系の溶融塩を用いる場合には、図2に示すような希土類金属毎に決定される析出電位に対応する電位に調整する。この結果、調整された電位に応じて電極に析出する希土類金属の種類を選択することができる。このため希土類金属を、元素ごとに選択的に回収することができる。
なお、図2に示した析出電位はLiを基準としている。また、図2において縦軸は析出電位(単位:V)を示している。当該析出電位は、溶融塩としてLiCl−KClを用い、溶融塩の温度を450℃とした場合の値となっている。
析出電位の値として、図2に示したデータを利用する場合、たとえば溶融塩としてLiCl−KClを用い、当該溶融塩の温度を450℃とする。図3において横軸は処理時間を示し、縦軸は溶融塩中の希土類元素のイオン濃度を示している。縦軸の単位はmol%である。
なお、STEP1においてDyNi2が析出した電極とは別の電極をSTEP2では用いる。例えば、STEP1においてDyNi2が析出した電極は、STEP2が始まる前に溶融塩中から取出しておき、別の電極を溶融塩中に浸漬しておいてもよいし、当該DyNi2が析出した電極をそのままにしておき、STEP2では別の電極の電位を制御するようにしてもよい。
なお、STEP2においてPrが析出した電極は、STEP3が始まる前に溶融塩中から取出しておき、別の電極を溶融塩中に浸漬しておいてもよい。あるいは、STEP2においてPrが析出した電極を溶融塩中にそのまま浸漬しておき、別の電極をSTEP3において用いてもよい。
以上のようにして、目的の特定の金属毎に溶融塩中から回収することができる。
次に、図1に示した本発明の方法において用いられる装置を、図4および図5を参照して説明する。図4に示す回収装置は、溶融塩を内部に保持する容器1と、容器1の内部に保持される溶融塩2と、処理対象物(前記鉱石又は粗金属塊)3を内部に保持するカゴ4と、電極6〜8と、溶融塩2を加熱するためのヒータ10と、カゴ4および電極6〜8と導電線5によって電気的に接続された制御部9とを備える。制御部9は、カゴ4を一方の電極とし、電極6〜8のいずれかを他方の電極としてこれらの電極の電位を制御することが可能となっている。また、制御部9においては、制御する電位の値の変更が可能である。ヒータ10は、容器1の周囲を環状に囲むように配置されている。電極6〜8は任意の材料により構成することができるが、たとえば電極6の材料としてはニッケル(Ni)を用いることができる。また、電極7、8の材料としては、たとえばカーボン(C)を用いることができる。なお、容器1の形状は、底面の円形状あるいは多角形状であってもよい。また、カゴ4は前述のカゴを用いることができる。
これにより、電極6の表面に析出したDyNi2膜11からDyが溶融塩2中に溶け出す一方、電極15の表面にはDy膜16が析出することになる。なお、ヒータ10による溶融塩2の加熱温度は、図4および図5に示した装置での処理のいずれについてもたとえば800℃とすることができる。このようにして、電極7、8、15の表面に特定の金属を単体として析出させることができる。
まず、処理対象物3として前記鉱石を9kg準備し、溶融塩2としてLiF−NaF−KFを準備する。鉱石としては、例えば、Ndを3.0wt%、Prを0.5wt%、Dyを7.9wt%含有するものを用いることができる。当該鉱石を粉砕してカゴ4の内部に配置する。処理の効率を向上させる観点から、処理対象物3である鉱石はできるだけ小さく粉砕することが好ましいが、例えば最大粒径が2mm以下、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは0.2mm以下となるような粒状に当該鉱石を粉砕する。溶融塩2の量は約16リットル(質量:25kg)とする。
なお、図4を参照して説明したように、溶融塩2中に目的となる金属を溶解させる工程と、電極7、8などの表面に特定の金属を単体として析出させる工程とは、同じ装置内で(同じ溶融塩2を用いて)実施することができる。一方、上記STEP4で示した、DyNi2からDyを分離・抽出する工程については、図4を参照して説明した溶融塩2中に金属を溶解させる工程で用いた装置(図4に示した装置)とは別の装置(図5に示した装置)において実施することが好ましい。
本発明を実施するための形態の一例として、ネオジム(Nd)、ジスプロシウム(Dy)プラセオジム(Pr)を含む鉱石を製錬して得られた粗金属塊を用いてNd、Dy、及びPrを溶融塩電解により得る方法を記載する。
Nd、Dy、及びPrを含む粗金属塊としては、例えば混合希土類金属(ジジム)を用いることができる。当該混合希土類金属を得る製錬方法としては特に限定されず公知の方法を利用可能である。
具体的には、図7に示した装置構成における処理対象物3の代わりにニッケルからなる電極6を溶融塩2中に浸漬する。そして、図11に示したように、この電極6と制御部9とを導電線5により電気的に接続する。そして、カゴ24の内部に保持された、図7に示した工程で合金化した材料と電極6における電位を制御をすることにより所定の値に調整する。これにより、電極6の表面には溶融塩2中に溶解していたDyがDyNi2として析出する。なお、電極6の表面に析出したDyNi2から、図6の工程(S34)と同様の工程によりDyを単体として回収することができる。
希土類金属を含む鉱石からNd、Dy、及びPrを溶融塩電解により製造した。
(試料)
処理対象物である鉱石としてとして、ゼノタイム鉱石を用いた。ゼノタイム鉱石をクラッシャーやボールミルの手段により粉砕して粒径が約2mmとなるようにした。そして、粉砕した試料(ゼノタイム鉱石)を、モリブデン(Mo)製の網(50mesh)で包んだ。図14に示すように網の内部に保持された試料粉末を、陽極(アノード電極)とした。
溶融塩としてLiF−NaF−KFの共晶組成の溶融塩を使用し、700℃に加熱して完全に溶解させた。そして、当該溶融塩に、上述した陽極(アノード電極)と、陰極(カソード電極)とを配線して浸漬した。カソード電極の材料としてはグラッシーカーボンを用いた。
このように溶融塩にアノード電極とカソード電極とを浸漬した状態で、アノード電極を所定の電位に保持した。そして、約4時間経過後、溶融塩からサンプルを採取し、当該サンプルについてICP−AESにより組成分析を行なった。
上記溶解工程の後、溶融塩にNiからなるカソード電極およびグラッシーカーボンからなるアノード電極を浸漬し、カソード電極の電位を所定の電位に保持した。具体的には、LiF−NaF−KF系溶融塩においてDy−Ni合金が形成するような電位に保持した。そして、所定時間経過後、カソード電極の表面状態を観察した。
溶解工程について:
溶解工程において観察されたアノード電流は、図15に示すような経時変化を示した。なお、図15の横軸は時間(単位:分)を示し、縦軸はアノード電流の電流値(単位:mA)を示す。図15に示すように、電流値は時間が経過するにつれて低下していた。また、電流値の時間変化率は、測定開始時(通電開始時)が最も高く、その後徐々に変化率が小さくなっていく傾向が見られた。
カソード電極の表面層について、断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図16および図17に示す。図16および図17に示すように、カソード電極を構成するNiからなる電極本体部31の表面に、Dy−Ni合金32が析出していた。このDy−Ni合金32は、溶融塩中に存在していたDyがカソード電極を構成するNiと反応し、カソード電極の表面に析出したものと考えられる。このように、ゼノタイム鉱石に含まれていたDyをDy−Ni合金という形で当該鉱石から分離・抽出することができる。
2 溶融塩
3 処理対象物
4,24 カゴ
5 導電線
6〜8,15,27 電極
9 制御部
10 ヒータ
11 DyNi2膜
12 Pr膜
13 Nd膜
16 Dy膜
25 電極材料
26 合金
31 電極本体部
32 Dy−Ni合金
33,34 領域
Claims (13)
- 2種類以上の金属元素を含む鉱石又は該鉱石から得られた粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程と、
前記金属元素が溶解した溶融塩中に一対の電極部材を設け、該電極部材における電位を所定の値に制御することにより、電極部材の一方に、溶融塩中に存在する特定の金属元素を析出又は合金化させる工程と、
を備えることを特徴とする溶融塩電解による金属の製造方法。 - 前記特定の金属を析出又は合金化させる工程において、溶融塩中の前記特定の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位と他の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位との差が0.05V以上となるように前記溶融塩を選択することを特徴とする請求項1に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
- 前記特定の金属を析出又は合金化させる工程において、前記電極部材における電位を所定の値に制御し、前記溶融塩中の前記特定の金属元素を選択的に析出又は合金化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
- 前記鉱石又は鉱石から得られた粗金属塊は、遷移金属又は希土類金属を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
- 前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、
化学的手法により前記金属を前記溶融塩中に溶解させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。 - 前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、
前記溶融塩中に、陰極と、前記鉱石又は粗金属塊を含む陽極材料からなる陽極とを設け、該陽極における電位を所定の値に制御することにより、前記鉱石又は粗金属塊から制御した電位に応じた金属元素を溶融塩中に溶解させることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。 - 前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、前記溶融塩中の前記特定の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位と他の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位との差が0.05V以上となるように前記溶融塩を選択することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
- 前記鉱石又は粗金属塊に含まれる金属元素を溶融塩中に溶解させる工程において、前記陽極における電位を所定の値に制御し、前記特定の金属元素を選択的に溶融塩中に溶解させることを特徴とする請求項6又は7に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
- 前記特定の金属が希土類金属であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
- 前記鉱石又は鉱石から得られた粗金属塊は、粒状又は粉末状であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
- 前記粒状又は粉末状の前記鉱石又は鉱石から得られた粗金属塊を押し固めて前記陽極とすることを特徴とする請求項10に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
- 2種類以上の金属元素を含む鉱石又は該鉱石から得られた粗金属塊から特定の金属を溶融塩電解により製造する方法であって、
溶融塩中に陰極と、前記鉱石又は粗金属塊を含む陽極材料からなる陽極とを設け、陽極の電位を所定の値に制御することにより、前記鉱石又は粗金属塊から制御した電位に応じた金属元素を溶融塩中に溶解させることで特定の金属を陽極に残留させることを特徴とする
溶融塩電解による金属の製造方法。 - 前記溶融塩中に前記鉱石又は粗金属塊から金属元素を溶解させる工程において、前記溶融塩中の前記特定の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位と他の金属の単体もしくはその合金の標準電極電位との差が0.05V以上となるように前記溶融塩を選択することを特徴とする請求項12に記載の溶融塩電解による金属の製造方法。
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