JP2013113343A - 摩擦伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プーリ係合面の摩擦係数を小さくして、プーリのミスアライメントやスティックスリップによる騒音や異音を低減できる摩擦伝動ベルトを提供する。
【解決手段】摩擦伝動ベルト1において、プーリに係合又は接触するための圧縮ゴム層6の摩擦伝動面に、ポリエチレン系樹脂で形成された滑剤7を、前記摩擦伝動面の面積に対して20%以上(特に20〜80%)の面積割合で付着させる。前記滑剤7は、粒状滑剤及び/又は扁平状滑剤を含む。前記摩擦伝動ベルトは、摩擦伝動面の近傍に滑剤が埋設されていてもよい。前記圧縮ゴム層はエチレン−α−オレフィンエラストマーを含んでいてもよい。前記摩擦伝動ベルトは、バインダー成分を介在させることなく、滑剤が圧縮ゴム層に付着していてもよい。前記粒状滑剤は低密度ポリエチレンで形成されていてもよい。前記扁平状滑剤は、粒状滑剤が加硫成形工程で薄肉化した滑剤であってもよい。
【選択図】図1

Description

本発明は、駆動装置などの動力伝動に用いられる摩擦伝動ベルト及びその製造方法に関する。
ゴム工業分野の中でも、自動車用部品においては高機能、高性能化が望まれている。このような自動車部品に用いられるゴム製品の中に動力伝動ベルトがあり、例えば、自動車のエアコンプレッサやオルタネータ等の補助駆動の動力伝動に広く用いられている。近年、住環境などの静粛化についての厳しい要求があり、特に自動車の駆動装置においてはエンジン音以外の音は異音とされるため、ベルトの発音対策が要請されている。ベルトにおける発音としては、回転速度の大きな変動や高負荷条件下で発生するスリップ音、リブをベルト長手方向に沿って設けたVリブドベルトにおいて、粘着磨耗を起こした粘着ゴムがリブ間の溝底に付着することによって発生する騒音、プーリが平面上に正確に配置されないプーリレイアウトのミスアライメントにより、ベルトが偏倚走行した際の偏荷重に基づく異音などが知られている。これらの異音や騒音は、主として通常の走行時において、自動車の搭乗者に不快感を与えている。
さらに、通常の走行時だけでなく、注水時においても高い動力伝達性能を有する伝動ベルトが求められている。例えば、雨天走行時などにおいてエンジンルーム内に水が侵入し、ベルトとプーリとの間に水が付着した際には、ベルトのスリップ率が高くなって伝達性能が低下したり、騒音が発生したりする。そのため、このような注水時のスリップ及び騒音を防止する方法が検討されている。
特開2003−202055号公報(特許文献1)には、心線が埋設されたベルト本体の下面にベルト長さ方向に延びる複数のリブ部が一体的に形成されたVリブドベルトであって、少なくとも前記各リブ部に、綿短繊維と、前記各リブ部を構成する主体ゴムの弾性率及び前記綿短繊維の弾性率の中間の弾性率を有する中間短繊維とが含有されているVリブドベルトが開示されている。このVリブベルトでは、綿短繊維及びナイロン短繊維の作用により、注水後の急激なスリップ現象を抑制し、かつ異音の発生を抑制している。
しかし、このVリブドベルトでは、短繊維の作用でスリップ現象や異音の発生を抑制するためには、短繊維をVリブドベルトのリブ部表面に露出させる必要がある。短繊維をリブ部表面に露出させるためには、短繊維を含有するゴム組成物でリブ部を成形する際に、短繊維をリブ部の幅方向に配向させ、さらにリブ部を成形した後に、切削加工してリブ部を形成したり、リブ部の表面を切削する必要がある。そのため、Vリブドベルトの生産性が低下し、製造コストも増加する上に、切削によって発生するゴム材料のロスが問題になる。
特開2009−533606号公報(特許文献2)には、エチレン/α−オレフィンエラストマーベースのエラストマーから成る歯部(tooth set)を有するリブ付伝動ベルトであって、前記歯部の少なくとも側面(flank)が、分子量が50000g/mol〜200000g/molであり、少なくとも30%の少なくとも1つの低密度ポリエチレンを含有し、かつ少なくとも部分的に架橋されている熱可塑性樹脂からなるフィルムで覆われたリブ付伝動ベルトが開示されている。この文献では、未架橋又は部分的に架橋された状態で、熱可塑性樹脂をゴムの表面に塗布した後、ベルトの加硫工程で部分的に又は完全に架橋されることが記載されている。
しかし、このベルトでも、熱可塑性樹脂を塗布した後、架橋する必要があるため、生産性が低い。
特開2007−170587号公報(特許文献3)には、伸張部とベルト周方向に延びる複数のリブ部からなる圧縮部とを有し、ベルト長手方向に沿って心線を伸張部と圧縮部との間に埋設したVリブドベルトであって、リブ部の内層がエチレン−α−オレフィンエラストマーからなるゴム組成物からなり、プーリと接触するリブ部の表面に、超高分子量ポリエチレン粉体が付着した摩擦伝動層が形成されているVリブドベルトが開示されている。この文献には、前記摩擦伝動層として、エチレン−α−オレフィンエラストマーに超高分子量ポリエチレン粉体を配合したゴム糊を加硫させた層が記載されている。
しかし、このベルトでは、加硫ゴムにより超高分子量ポリエチレンが表面に露出し難く、ベルト表面の摩擦係数の低下を向上できない。
特開2004−324794号公報(特許文献4)には、ベルト本体の少なくともプーリ接触部分が、エチレン−α−オレフィンエラストマーに粉状乃至粒状のポリオレフィン樹脂を含有させたゴム組成物で形成されている摩擦伝動ベルトが開示されている。
しかし、このベルトでは、ベルト本体のゴム組成物中にポリオレフィン樹脂を含有させており、プーリ接触部分に露出するポリオレフィン樹脂の量が少ないため、十分に摩擦係数を低減できず、走行時の異音を低減するのが困難であった。
特開2003−202055号公報(請求項1、段落[0046]) 特開2009−533606号公報(特許請求の範囲、段落[0026]〜[0040]、[0050]〜[0056]) 特開2007−170587号公報(請求項1、段落[0021][0030]) 特開2004−324794号公報(請求項1)
従って、本発明の目的は、プーリに接するベルト表面(プーリ係合面)の摩擦係数を小さくして、プーリのミスアライメント(軸ずれ)発生時に生じ易いベルト走行時の騒音や、実機でのベルト走行時の騒音(粘着してスリップするスティックスリップによる騒音)を低減できる摩擦伝動ベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、摩擦伝動面の磨耗及び粘着による発音の発生を継続して長期的に抑制できる摩擦伝動ベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、生産性及び経済性が高く、かつ走行時の異音や騒音も低減できる摩擦伝動ベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、注水時のスリップ及び異音の発生を抑制できる摩擦伝動ベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、耐久性に優れた摩擦伝動ベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、摩擦伝動ベルトにおいて、プーリに係合又は接触するための圧縮ゴム層の摩擦伝動面に、ポリエチレン系樹脂で形成された特定の滑剤を、前記摩擦伝動面の面積に対して20%以上の面積割合で付着させることにより、プーリ係合面の摩擦係数を小さくして、プーリのミスアライメントやスティックスリップによる騒音や異音を低減できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の摩擦伝動ベルトは、少なくとも心線と、プーリに係合又は接触するための摩擦伝動面を有する圧縮ゴム層とを備えた摩擦伝動ベルトであって、前記摩擦伝動面にポリエチレン系樹脂で形成された滑剤が付着し、前記滑剤が、粒状滑剤及び/又は扁平状滑剤を含み、かつ前記摩擦伝動面に対して前記滑剤の占める面積が20%以上である。本発明の摩擦伝動ベルトは、摩擦伝動面の近傍に滑剤又はその一部が埋設されていてもよい。前記圧縮ゴム層はエチレン−α−オレフィンエラストマーを含んでいてもよい。本発明の摩擦伝動ベルトは、バインダー成分を介在させることなく、滑剤が圧縮ゴム層に付着していてもよい。前記扁平状滑剤は低密度ポリエチレンで形成されていてもよい。前記扁平状滑剤は、粒状滑剤が加硫成形工程で薄肉化した滑剤であってもよい。本発明の摩擦伝動ベルトは、圧縮ゴム層を形成するための未加硫ゴムシートの表面に粒状滑剤を塗布し、離型紙を介して熱プレスして粒状の滑剤を摩擦伝動面に付着させるとともに、摩擦伝動面の近傍に圧入した後、加硫する方法により得られ、かつ研磨することなく、金型で成形されていてもよい。前記圧縮ゴム層は短繊維を実質的に含有しなくてもよい。前記摩擦伝動面に対して前記粒状滑剤の占める面積は20〜80%程度であってもよい。前記滑剤は、摩擦伝動面に分散し、かつ前記滑剤の一部が圧縮ゴム層に侵入して固着していてもよい。本発明の摩擦伝動ベルトは、摩擦伝動Vベルト又は摩擦伝動Vリブドベルトであってもよい。
本発明には、円筒状ドラムに心線を巻き付ける心線スピニング工程、巻き付けた心線の上に、表面に粒状滑剤が付着し、かつ前記表面の近傍に粒状滑剤が侵入した未加硫ゴムシートを巻き付ける圧縮ゴム層巻付工程、前記心線及び前記未加硫ゴムシートを金型に押し付けて加硫する加硫成形工程を含む前記摩擦伝動ベルトの製造方法も含まれる。前記圧縮ゴム層巻付工程における未加硫ゴムシートは、熱プレスにより、表面に粒状滑剤が付着し、かつ前記表面の近傍に粒状滑剤が侵入した未加硫ゴムシートであるとともに、かつ前記粒状滑剤の平均粒径は1〜500μmであり、前記熱プレス温度は60〜90℃程度であってもよい。
本発明では、摩擦伝動ベルトにおいて、プーリに係合又は接触するための圧縮ゴム層の摩擦伝動面に、ポリエチレン系樹脂で形成された粒状滑剤が、前記摩擦伝動面の面積に対して20%以上の面積割合で付着しているため、プーリ係合面の摩擦係数を小さくして、プーリのミスアライメントやスティックスリップによる騒音や異音を低減できる。また、滑剤の摩擦伝動面への付着に加えて、摩擦伝動面の近傍に滑剤を埋設(又は表面が露出した形態で埋設)することにより、ベルト張力が経時と共に低下して安定域に入る「ベルト安定張力時」までに、摩擦伝動面に付着していた滑剤がプーリの壁面との摩擦によって次第に離脱しても、摩擦伝動面の近傍に埋設している滑剤が露出するため、摩擦伝動面の磨耗及び粘着による発音の発生を継続して長期的に抑制できる。また、本発明の摩擦伝動ベルトは、研磨せずに製造でき、生産性及び経済性が高く、かつ走行時の異音や騒音も低減できる。特に、注水時のスリップ及び異音の発生を抑制できる。さらに、摩擦伝動面に付着した粒状滑剤により摩擦係数を低減できるため、圧縮ゴム層に短繊維を配合する必要がなく、耐久性を向上でき、ベルトの寿命を向上できる。
図1は、本発明の摩擦伝動ベルトの一例を示す概略断面図(a)及びそのA線方向から見た概略側面図(b)である。 図2は、本発明の摩擦伝動ベルトの他の例を示す概略断面図である。 図3は、実施例において、円筒状の成形ドラムに摩擦伝動ベルトの原料である各部材シートを巻き付けた状態を示す概略断面図である。 図4は、各部材シートを巻き付けた図3の成形ドラムを加硫型内にセットした状態を示す概略斜視図(a)及び概略断面図(b)である。 図5は、図4の成形ドラムにおける可撓性ジャケットを膨張させた状態を示す概略斜視図(a)及び概略断面図(b)である。
[摩擦伝動ベルト]
本発明の摩擦伝動ベルトは、少なくとも心線と、プーリに係合又は接触するための摩擦伝動面を有する圧縮ゴム層とを備えた摩擦伝動ベルトであって、前記摩擦伝動面にポリエチレン系樹脂で形成された滑剤が付着し、かつ前記摩擦伝動面に対して前記滑剤の占める面積が20%以上である。前記滑剤は、粒状滑剤及び/又は扁平状滑剤を含み、摩擦伝動面において、適度な面積割合で露出しているため、摩擦係数が低く、走行時の異音や騒音を低減できる。このような特性を有する滑剤は、摩擦伝動ベルトとしての動力伝達機能も損なわれることなく、注水時でもスリップや異音の発生を抑制できる。また、滑剤の摩擦伝動面への付着に加えて、摩擦伝動面の近傍に滑剤を埋設(又は表面が露出した形態で埋設)することにより、ベルト張力が経時と共に低下して安定域に入る「ベルト安定張力時」までに、摩擦伝動面に付着していた滑剤がプーリの壁面との摩擦によって次第に離脱しても、摩擦伝動面の近傍に埋設している滑剤が露出するため、摩擦伝動面の磨耗及び粘着による発音の発生を継続して長期的に抑制できる。
図1は、本発明の摩擦伝動ベルト(Vリブドベルト)の一例を示す概略断面図であり、ベルト長手方向に切断した概略断面図(a)及びそのA線方向から見た概略側面図(b)である。
この例では、Vリブドベルト1は、ベルト本体の内周面に、ベルトの長手方向に沿って複数列で延びるリブ部5を有しており、このリブ部5の長手方向に対して直交する方向における断面形状は、ベルト外周側(リブ部を有さず、プーリと係合しない側)から内周側に向かって幅が小さくなる(先端に向かって先細る)台形状である。
Vリブドベルト1は、積層構造を有しており、ベルト本体の外周側から内周側に向かって、短繊維2を含有するゴム組成物で形成された伸張ゴム層3、心線4、前記リブ部5を有する圧縮ゴム層6が順次積層されており、前記圧縮ゴム層6の摩擦伝動面(内周側の面)には、滑剤7が付着している。
詳しくは、前記心線4は、ベルト長手方向に沿って本体内に埋設されており、その一部が伸張ゴム層3に接するとともに、残部が圧縮ゴム層6に接している。前記伸張ゴム層3に含有される短繊維2はランダム方向に配向している。
前記滑剤7は、ポリエチレン系樹脂で形成されており、圧縮ゴム層6の内部に埋設(完全に侵入)するとともに、リブ部5の表面(摩擦伝動面)に露出又は突出し、かつ分散した状態で付着(固着)している。詳しくは、扁平度の大きい扁平状(薄膜状又はフィルム状)滑剤7がリブ部5の表面(摩擦伝動面)に分散して貼り付いており、リブ部5の表面は、圧縮ゴム層で構成された海相と、滑剤7で構成された島相との相分離構造を形成している。この構造は、加硫時に粒状の滑剤が溶融、固化して薄膜状(フィルム状)に変形して形成されている。リブ部5の内部では、摩擦伝動面の近傍において、滑剤7aが侵入して埋設されており、加硫時に溶融しても内部であるため、変形が抑制され、元の粒状形態を保持している。このような形状を有する滑剤は、例えば、低密度ポリエチレンなどの低高分子量のポリエチレン系樹脂を用いて形成できる。
図2は、本発明の摩擦伝動ベルト(Vリブドベルト)の他の例を示す概略断面図である。この例では、滑剤7の扁平度が小さく、滑剤7は、リブ部5の表面においても、薄膜状までは変形せず、粒状又は扁平状滑剤が存在するとともに、内部には粒状の滑剤7aが埋設されている。このような形状を有する滑剤は、例えば、超高分子量ポリエチレンなどの高分子量のポリエチレン系樹脂を用いて形成できる。
(滑剤)
滑剤は、摩擦係数が低く、摩擦伝動面における占有面積を向上させるために、ポリエチレン系樹脂で形成されている。
ポリエチレン系樹脂は、ポリエチレンホモポリマー(単独重合体)であってもよく、ポリエチレンコポリマー(共重合体)であってもよい。コポリマーに含まれる共重合性単量体としては、例えば、オレフィン類(例えば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、1−オクテンなどのα−C3−8オレフィンなど)、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C1−6アルキルエステルなど]、不飽和カルボン酸類(例えば、無水マレイン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、ジエン類(ブタジエン、イソプレンなど)などが挙げられる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの共重合性単量体のうち、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペンテン、1−オクテンなどのα−C3−8オレフィンが好ましい。共重合性単量体の割合は30モル%以下(例えば、0.01〜30モル%)、好ましくは20モル%以下(例えば、0.1〜20モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(例えば、1〜10モル%)程度である。コポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体などであってもよい。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、低、中又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体などが挙げられる。これらのポリエチレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)において、ポリスチレン換算で、例えば、5000〜650万程度の範囲から選択でき、例えば、摩擦伝動面における滑剤の占有面積を大きくし、特に初期の摩擦係数を大きくできる点から、1.5万〜30万、好ましくは2万〜25万、さらに好ましくは3万〜20万程度であってもよい。
さらに、ポリエチレン系樹脂は、耐久性を向上させる点から、超高分子量ポリエチレンであってもよく、ASTM D4020に準拠して測定した平均分子量が、例えば、40万〜650万、好ましくは60万〜400万、さらに好ましくは80万から350万(特に100万から250万)程度であってもよい。
ポリエチレン系樹脂の密度は、ASTM D792に準拠した方法で、0.9〜0.97g/cm程度の範囲から選択でき、0.95g/cmを超える高い密度であってもよいが、加硫成形工程で扁平化し易く、乾燥時及びウエット時の摩擦係数を低下し易い点から、例えば、0.9〜0.95g/cm、好ましくは0.905〜0.945g/cm、さらに好ましくは0.91〜0.94g/cm程度であってもよい。密度が高すぎると、粒状滑剤の扁平化が困難となり、逆に低すぎると、機械的特性が低下し、走行時の摩擦により破損し易い。
ポリエチレン系樹脂の融点(又は軟化点)は、加硫成形工程で使用した粒状の滑剤が扁平化(特に溶融により薄膜化又はフィルム化)し易い点から、加硫温度以下であるの好ましく、例えば、160℃以下(例えば、90〜150℃)、好ましくは95〜130℃、さらに好ましくは100〜120℃(特に100〜110℃)程度であってもよい。融点が高すぎると、粒状の滑剤の扁平化が困難となり、逆に低すぎると、走行時の磨耗による粘着成分が発生し、異音の原因となり易い。
これらのポリエチレン系樹脂のうち、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレンホモポリマーが好ましく、加硫時に融解し易く、かつ摩擦係数も低い点から、低密度ポリエチレンが特に好ましい。
滑剤の形状は、粒状又は扁平状であり、粒状の滑剤が主としてリブ部の内部に存在するのに対して、扁平状(特に、扁平度の大きい薄膜状又はフィルム状)の滑剤は主としてリブ部の表面に存在している。このような分布は、ベルトの製造方法に密接に関連し、リブ部の表面(又はその近傍)では加硫成形工程における金型の押圧により扁平化する傾向があるためである。なお、このような傾向は、ポリエチレン系樹脂の種類を調整することにより制御でき、例えば、低密度ポリエチレンを用いることにより、リブ部表面に薄膜状又はフィルム状の滑剤を付着させ(貼り付け)てもよく、また、超高分子量ポリエチレンを用いることにより、滑剤の扁平度を小さくしてもよい。
滑剤の形状において、粒状としては、例えば、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、棒状、繊維状、不定形状などが挙げられる。本発明では、扁平状とは、前記粒状滑剤が押圧により扁平化された形状を意味し、板状又は鱗片状、扁平度の大きい薄膜状又はフィルム状までも含む。扁平形状の滑剤とは、具体的には、扁平面の平均径と厚みとのアスペクト比(扁平面の平均径/厚み)が1.5以上(特に2以上)の滑剤を意味する。
本発明では、滑剤が、粒状滑剤及び/又は扁平状滑剤を含んでいればよいが、摩擦伝動面での占有面積が大きく、摩擦係数を低減できる点から、扁平状滑剤を少なくとも含むのが好ましい。通常、粒状滑剤及び扁平状滑剤の両滑剤を含んでおり、扁平状滑剤の割合(個数割合)が、粒状滑剤全体に対して50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上であるのが好ましい。
滑剤のうち、粒状滑剤の平均粒径(一次粒径)は1〜1000μm程度の範囲から適宜選択でき、例えば、5〜450μm、好ましくは10〜400μm、さらに好ましくは20〜300μm(特に30〜200μm)程度である。粒状滑剤の平均粒径が小さすぎると、摩擦係数の低減効果が小さく、大きすぎると、屈曲により割れが発生し易くなる。
扁平状滑剤のうち、リブ部の表面及び/又は内部に存在してもよいが、リブ部の表面では、加硫成形工程で金型に押圧されることにより、扁平度の大きい扁平状(薄膜状又はフィルム状)で形成されていてもよい。特に、リブ部のフランク面は金型に押し付けることにより形成されるため、フランク面に付着した滑剤は押圧により扁平化し易い。このような薄膜状又はフィルム状滑剤は、分散状態だけでなく、連続した略網目状で存在する場合もあり、略網目状の滑剤における扁平面のサイズの測定は困難である。
リブ部の表面又は内部において分散状態にある扁平状滑剤の扁平面の平均径(扁平面における長軸と短軸との加算平均径)は、例えば、2〜1000μm、好ましくは5〜800μm、さらに好ましくは10〜500μm(特に20〜300μm)程度である。さらに、前記扁平面の平均径と厚みとのアスペクト比(扁平面の平均径/厚み)は、例えば、1.5以上(例えば、1.5〜1000)、好ましくは2以上(例えば、2〜100)、さらに好ましくは3〜50(特に5〜30)程度であってもよい。扁平面の平均径及びアスペクト比が小さすぎると、摩擦伝動面での滑剤の接触面積が小さくなり、摩擦係数の低減効果が低く、逆に扁平面の平均径及びアスペクト比が大きすぎると、滑剤の厚みが薄くなるため、磨耗し易く、摩擦係数の低減効果の持続性が低い。
薄膜状又はフィルム状滑剤の平均厚みは、例えば、10〜200μm、好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは10〜50μm(特に15〜40μm)程度である。薄膜状滑剤の厚みが薄すぎると、短時間で磨耗し、ベルト表面の摩擦係数が上昇する。一方、厚すぎると、滑剤で形成された固着層の可撓性が低下し、圧縮ゴム層の表面からの剥離や、割れが発生し易くなる。摩擦伝動面において、このような薄膜状滑剤が固着層として形成されると、摩擦伝動面での滑剤の接触面積が大きくなり、摩擦係数の低減効果が起こり、摩擦伝動面が磨耗し難くなる。
滑剤は、リブ部(圧縮ゴム層)の表面に付着しているか、表面近傍に埋設(又は表面が露出した形態で埋設)されているが、滑剤が圧縮ゴム層中に存在する領域は、具体的には、リブ部の表面から深さ1.0mmまでの領域、好ましくは深さ0.7mmまでの領域、さらに好ましくは深さ0.5mmまでの領域に存在するのが好ましい。深さ1.0mmを超えた領域に滑剤が存在してもよいが、前記範囲の領域に滑剤が存在すれば、滑剤の割合を少量に抑制し、優れた耐摩耗性を維持できる。
リブ部の内部に埋設される滑剤の割合は、滑剤全体の体積に対して、0〜20体積%の範囲から選択でき、例えば、5〜20体積%、好ましくは6〜15体積%、さらに好ましくは7〜10体積%程度である。埋設される滑剤の割合が少なすぎると、摩擦伝動面の磨耗及び粘着による発音の発生を長期的に抑制できず、多すぎると、初期の摩擦係数が大きくなる。
滑剤は、摩擦係数を向上させるために、摩擦伝動面に対して20%以上の面積を占める必要がある。摩擦伝動面に対して滑剤の占める面積は、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは25〜75%(特に30〜70%)程度である。滑剤の占める面積が小さすぎると、摩擦係数を低減する効果が小さく、逆に大きすぎると、滑剤同士が融解して大面積のフィルム状になり、ベルト屈曲時に割れが発生し易くなる。なお、本発明では、リブ部の表面をマイクロスコープで撮影して滑剤で形成された固着層の有無を観察する。さらに、滑剤の占める面積の割合もマイクロスコープで表面を観察し、ゴムと滑剤の相分離構造を確認し、滑剤で形成された相について、計測ソフト(Soft Imaging System社製「analySIS」)により、滑剤で形成された相の占有面積を計算する。
滑剤の摩擦伝動面における相構造は、前記面積割合で付着していればよく、特に限定されないが、滑剤で形成された島相である海島相分離構造、圧縮ゴム層の表面が島相である海島相分離構造、滑剤で形成された相と圧縮ゴム層の表面とが網目のように連続した両連続構造のいずれであってもよい。これらの相分離構造は、主として、滑剤の割合を調整することにより制御できるが、リブ部の可撓性を保持し、摩擦係数を低減できる点から、滑剤を島相とする海島相分離構造が好ましい。
前記面積割合で付着した滑剤は、大部分の滑剤が表面を露出し、かつ一部の滑剤が埋設した形態で分布し、圧縮ゴム層の摩擦伝動面上で固着膜を形成する。固着膜の平均厚みは、例えば、10〜300μm、好ましくは20〜250μm、さらに好ましくは30〜200μm程度である。固着膜の厚みが大きすぎると、耐熱性の低いポリエチレン系樹脂の割合が増加し、耐久性が低下するとともに、逆に厚みが小さすぎると、ベルト走行時に固着層が磨耗するために、摩擦係数の低減効果の持続性が低下する。
滑剤としては、ポリエチレン系樹脂で形成された滑剤(第1の滑剤)に対して、他の滑剤(第2の滑剤)を組み合わせて使用してもよい。他の滑剤としては、通常、粒状であり、かつ圧縮ゴム層の摩擦係数を低減できれば、特に限定されず、慣用の粒状有機又は無機滑剤を使用できるが、圧縮ゴム層及び第1の滑剤との融着性などの点から、有機滑剤が好ましい。粒状有機滑剤としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素樹脂などの熱可塑性樹脂粒子、架橋ポリエチレン系樹脂、架橋(メタ)アクリル系樹脂、架橋ポリスチレン系樹脂などの架橋熱可塑性樹脂粒子、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂粒子などが挙げられる。これらの第2の滑剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、第2の滑剤としては、摩擦係数の低減効果が大きく、かつ熱変形性にも優れる点から、ポリアミド6やポリアミド12などの脂肪族ポリアミド粒子、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂粒子、ポリオキシメチレンなどのポリアセタール粒子が好ましい。
第2の滑剤の割合は、第1の滑剤100質量部に対して30質量部以下であり、例えば、0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは1〜10質量部程度である。第2の滑剤の割合が多すぎると、摩擦伝動面から脱離し易くなる。
(圧縮ゴム層)
圧縮ゴム層を形成するゴム組成物は、特に制限されないが、通常、ゴム成分と加硫剤又は架橋剤とを含むゴム組成物が使用される。本発明は、特に、硫黄や有機過酸化物を含むゴム組成物(特に有機過酸化物加硫型ゴム組成物)で未加硫ゴム層を形成し、未加硫ゴム層を加硫又は架橋するのに有用である。
ゴム成分としては、加硫又は架橋可能なゴム、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーなど)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示できる。これらのゴム成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、有害なハロゲンを含まず、耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有し、経済性にも優れる点から、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−α−オレフィン系ゴム)が好ましい。さらに、本発明では、エチレン−α−オレフィンエラストマーは、ポリエチレン系樹脂で形成された粒状滑剤との融着性が高く、ベルト走行時における粒状滑剤の脱離を抑制できるとともに、他のゴムに比べて水濡れ性が低いため、注水時の動力伝動性や静音性を著しく向上できる。
エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−α−オレフィン系ゴム)としては、例えば、エチレン−α−オレフィンゴム、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴムなどが挙げられる。
α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、ヘキセン、オクテンなどの鎖状α−C3−12オレフィンなどが挙げられる。α−オレフィンは、単独又は2種以上組み合わせて使用できる。これらのα−オレフィンのうち、プロピレンなどのα−C3−4オレフィン(特にプロピレン)が好ましい。
ジエンモノマーとしては、通常、非共役ジエン系単量体、例えば、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどが例示できる。これらのジエンモノマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
代表的なエチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、例えば、エチレン−α−オレフィンゴム(エチレン−プロピレンゴム(EPR))、エチレン−α−オレフィン−ジエンゴム(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDMなど))などが例示できる。好ましいエチレン−α−オレフィンエラストマーはEPDMである。
エチレン−α−オレフィンゴムにおいて、エチレンとα−オレフィンとの割合(質量比)は、前者/後者=40/60〜90/10、好ましくは45/55〜85/15(例えば、50/50〜82/18)、さらに好ましくは55/45〜80/20(例えば、55/45〜75/25)程度であってもよい。また、ジエンの割合は、4〜15質量%程度の範囲から選択でき、例えば、4.2〜13質量%(例えば、4.3〜12質量%)、好ましくは4.4〜11.5質量%(例えば、4.5〜11質量%)程度であってもよい。なお、ジエン成分を含むエチレン−α−オレフィンゴムのヨウ素価は、例えば、3〜40(好ましくは5〜30、さらに好ましくは10〜20)程度であってもよい。ヨウ素価が小さすぎると、ゴム組成物の加硫が不十分になって磨耗や粘着が発生し易く、またヨウ素価が大きすぎると、ゴム組成物のスコーチが短くなって扱い難くなると共に耐熱性が低下する傾向がある。
有機過酸化物としては、通常、ゴム、樹脂の架橋に使用されている有機過酸化物、例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド(例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ジ−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイドなど)などが挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。さらに、有機過酸化物は、熱分解による1分間の半減期が150〜250℃(例えば、175〜225℃)程度の過酸化物が好ましい。
加硫剤又は架橋剤(特に有機過酸化物)の割合は、ゴム成分(エチレン−α−オレフィンエラストマーなど)100質量部に対して、固形分換算で、1〜10質量部、好ましくは1.2〜8質量部、さらに好ましくは1.5〜6質量部(例えば、2〜5質量部)程度である。
ゴム組成物は、さらに加硫促進剤を含んでいてもよい。加硫促進剤としては、例えば、チウラム系促進剤、チアゾ−ル系促進剤、スルフェンアミド系促進剤、ビスマレイミド系促進剤、ウレア系促進剤などが挙げられる。これらの加硫促進剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。加硫促進剤の割合は、固形分換算で、ゴム成分100質量部に対して、例えば、0.5〜15質量部、好ましくは1〜10質量部、さらに好ましくは2〜5質量部程度である。
ゴム組成物は、架橋度を高め、粘着摩耗などを防止するために、さらに共架橋剤(架橋助剤、又は共加硫剤)を含んでいてもよい。共架橋剤としては、慣用の架橋助剤、例えば、多官能(イソ)シアヌレート[例えば、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)など]、ポリジエン(例えば、1,2−ポリブタジエンなど)、不飽和カルボン酸の金属塩[例えば、(メタ)アクリル酸亜鉛、(メタ)アクリル酸マグネシウムなど]、オキシム類(例えば、キノンジオキシムなど)、グアニジン類(例えば、ジフェニルグアニジンなど)、多官能(メタ)アクリレート[例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど]、ビスマレイミド類(N−N’−m−フェニレンビスマレイミドなど)などが挙げられる。これらの架橋助剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。架橋助剤の割合(複数種を組み合わせる場合は合計量)は、固形分換算で、ゴム100質量部に対して、例えば、0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜8質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部程度である。
ゴム組成物は、必要に応じて、慣用の添加剤、例えば、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、増強剤(カーボンブラック、含水シリカなどの酸化ケイ素など)、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカなど)、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、軟化剤(パラフィンオイル、ナフテン系オイル、プロセスオイルなどのオイル類など)、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィン、脂肪酸アマイドなど)、老化防止剤(酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲き裂防止材、オゾン劣化防止剤など)、着色剤、粘着付与剤、可塑剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(紫外線吸収剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、熱安定剤など)、潤滑剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。なお、金属酸化物は架橋剤として作用してもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの添加剤の割合は、種類に応じて慣用の範囲から選択でき、例えば、ゴム成分100質量部に対して増強剤(カーボンブラック、シリカなど)の割合は10〜200質量部(特に20〜150質量部)程度であってもよく、金属酸化物(酸化亜鉛など)の割合は1〜15質量部(特に2〜10質量部)程度であってもよく、軟化剤(パラフィンオイルなどのオイル類)の割合は1〜30質量部(特に5〜25質量部)程度であってもよく、加工剤(ステアリン酸など)の割合は0.1〜5質量部(特に0.5〜3質量部)程度であってもよい。
本発明では、圧縮ゴム層のゴム組成物(特にリブ部を形成するゴム組成物)は、短繊維などの繊維を実質的に含まないのが好ましい。一般的には、圧縮ゴム層のリブ部には短繊維を含有させることが多いが、本発明では、粒状滑剤を付着させることにより、圧縮ゴム層表面の摩擦係数を低下できる。そのため、短繊維の配合が不要であり、圧縮ゴム層のリブ部が短繊維を含まないため、ベルト寿命を向上できる。
圧縮ゴム層の厚みは、例えば、2〜25mm、好ましくは3〜16mm、さらに好ましくは4〜12mm程度である。
(心線)
心線は、ベルト本体中において、ベルト長手方向に延びて埋設され、通常、複数本の心線が、ベルトの長手方向に平行に所定のピッチで並列的に埋設されており、隣接する心線の間隔(スピニングピッチ)は、例えば、0.5〜3mm、好ましくは0.8〜1.5mm、さらに好ましくは1〜1.3mm程度である。
心線としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線の平均線径(撚りコードの繊維径)は、例えば、0.5〜3mm、好ましくは0.6〜2mm、さらに好ましくは0.7〜1.5mm程度である。
心線を構成する繊維としては、例えば、天然繊維(綿、麻など)、再生繊維(レーヨン、アセテートなど)、合成繊維(ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維、ポリスチレンなどのスチレン系繊維、ポリフルオロエチレンなどのフッ素系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、全芳香族ポリエステル繊維、アラミド繊維など)、無機繊維(炭素繊維、ガラス繊維など)などが挙げられる。これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの繊維のうち、高モジュラスの点から、エチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレートなどのC2−4アルキレンアリレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維(ポリアルキレンアリレート系繊維)、アラミド繊維などの合成繊維、炭素繊維などの無機繊維などが汎用され、ポリエステル繊維[ポリエチレンテレフタレート系繊維(PET繊維)、ポリエチレンナフタレート系繊維(PEN繊維)、ポリトリメチレンテレフタレート繊維(PTT繊維)]、アラミド繊維が好ましい。ポリエステル繊維は、熱による収縮があるため、ベルトの張力維持性に優れている。一方、アラミド繊維は、ポリエステル繊維よりも引張強度が高いため、高張力、高負荷の要求に対して、ポリエステル繊維では実現できない部分を補うことができる。
繊維はマルチフィラメント糸であってもよい。マルチフィラメント糸の繊度は、例えば、2000〜10000デニール(特に4000〜8000デニール)程度であってもよい。
ゴムとの接着性を改善するため、心線には接着処理を施してもよい。接着処理では、一般的に、繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成することが行うことができる。なお、この接着処理に限らず、心線の繊維を、慣用の接着性成分、例えば、エポキシ化合物(エポキシ樹脂など)、イソシアネート化合物などの反応性化合物(接着性化合物)で前処理した後、RFL液で処理してもよい。RFL液は、レゾルシンとホルマリンとの初期縮合物(プレポリマー)をラテックスに混合した組成物である。ラテックスとしては、例えば、クロロプレン、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリルゴム(H−NBR)、NBRなどが例示できる。
(伸張ゴム層)
伸張ゴム層にも前記圧縮ゴム層と同様のゴム組成物(エチレン−α−オレフィンエラストマーなどのゴム成分を含むゴム組成物)が使用できる。伸張ゴム層のゴム組成物において、ゴム成分としては、前記圧縮ゴム層のゴム組成物のゴム成分と同系統又は同種のゴムを使用する場合が多い。また、加硫剤又は架橋剤、共架橋剤又は架橋助剤、加硫促進剤などの添加剤の割合も、それぞれ、前記圧縮ゴム層のゴム組成物と同様の範囲から選択できる。
伸張ゴム層では、背面駆動時に背面ゴムの粘着により発生する異音を抑制するために、さらに短繊維を含有していてもよい。短繊維としては、前記心線の項で例示した繊維と同様の繊維を使用できる。これらの短繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの繊維のうち、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維、ポリエステル系繊維(PET繊維など)、ポリアミド繊維(ポリアミド6などの脂肪族ポリアミド繊維、アラミド繊維など)などが汎用される。
短繊維は、ゴム組成物中での分散性や接着性を向上させるため、慣用の接着処理(又は表面処理)、例えば、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液などで処理してもよい。
短繊維の平均繊維長は、例えば、1〜20mm、好ましくは2〜15mm、さらに好ましくは3〜10mm程度であってもよい。短繊維の平均繊維径は、例えば、5〜50μm、好ましくは7〜40μm、さらに好ましくは10〜30μm程度である。短繊維の割合は、ゴム成分100質量部に対して、例えば、1〜50質量部、好ましくは5〜40質量部、さらに好ましくは10〜35質量部程度である。
伸張ゴム層中での短繊維の配向方向は、特に限定されず、ランダムな方向に配向してもよく、ベルト方向などの所定の方向に配向してもよい。これらのうち、多方向からの裂きや亀裂の発生を抑制できる点から、ランダムな方向に配向するのが好ましい。さらに、短繊維をランダムな方向に配向させ、かつ短繊維として屈曲部を有する短繊維(例えば、ミルドファイバー)を用いると、より多方向から作用する力に対して耐性を発現できる。さらに、図1に示すVリブドベルトでは、心線は伸張ゴム層と圧縮ゴム層との境界領域でベルト本体に埋設されるため、心線とベルト本体との接着性を考慮すると、伸張ゴム層及び圧縮ゴム層のいずれか一方(特に圧縮ゴム層)は、短繊維を含有しないゴム組成物で構成するのが好ましい。
さらに、背面駆動時の異音を抑制するために、伸張ゴム層の表面(ベルトの背表面)に凹凸パターンを設けてもよい。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターンなどが挙げられる。これらのパターンのうち、織物パターンが好ましい。
伸長ゴム層の厚みは、例えば、0.8〜10.0mm、好ましくは1.2〜6.5mm、さらに好ましくは1.6〜5.2mm程度である。
(他の積層構造)
本発明の摩擦伝動ベルトは、圧縮ゴム層の摩擦伝動面に滑剤が付着されていればよく、他層の積層構造は、図1に示すVリブドベルトの構造に限定されない。他の慣用のVリブドベルトとしては、例えば、ベルト本体の外周側から内周側に向かって、布帛で形成された伸張層、心線をベルト長手方向に沿って延びる複数の心線を埋設した接着ゴム層、リブ部を有する圧縮ゴム層が順次積層された構造であってもよい。このようなVリブドベルトでは、伸張層は、帆布などの布帛(補強布)で形成されており、外周側の表面(背面)に露出している。
補強布としては、例えば、織布、広角度帆布、編布、不織布などの布材などが挙げられる。これらのうち、平織、綾織、朱子織などの形態で製織した織布や、経糸と緯糸との交差角が90〜120°程度の広角度帆布や編布などが好ましい。補強布を構成する繊維としては、前記短繊維と同様の繊維を利用できる。補強布は、前記レゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)で処理(浸漬処理など)した後、ゴム組成物を擦り込むフリクション・コーティング又は積層してゴム付帆布を形成してもよい。
接着ゴム層には、前記圧縮ゴム層と同様のゴム組成物(エチレン−α−オレフィンエラストマーなどのゴム成分を含むゴム組成物)が使用できる。接着ゴム層のゴム組成物において、ゴム成分としては、前記圧縮ゴム層のゴム組成物のゴム成分と同系統又は同種のゴムを使用する場合が多い。また、加硫剤又は架橋剤、共架橋剤又は架橋助剤、加硫促進剤などの添加剤の割合も、それぞれ、前記圧縮ゴム層のゴム組成物と同様の範囲から選択できる。接着ゴム層のゴム組成物は、さらに接着性改善剤(レゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物、アミノ樹脂など)を含んでいてもよい。接着ゴム層の厚みは、例えば、0.4〜3.0mm、好ましくは0.6〜2.2mm、さらに好ましくは0.8〜1.4mm程度である。
[摩擦伝動ベルトの製造方法]
本発明の摩擦伝動ベルトの製造方法は、円筒状ドラムに心線を巻き付ける心線スピニング工程、巻き付けた心線の上に、表面に粒状滑剤が付着し、かつ前記表面の近傍に粒状滑剤が侵入した未加硫ゴムシートを巻き付ける圧縮ゴム層巻付工程、前記心線及び前記未加硫ゴムシートを金型に押し付けて(金型で押圧して)加硫する加硫成形工程を含む製造方法であり、金型で成形する方法であれば、特に限定されず、未加硫ゴムシートの表面に粒状滑剤を付着させ、かつ前記表面の近傍に粒状滑剤を侵入させる工程以外の工程は慣用の方法を利用できる。
具体的には、本発明の製造方法では、心線スピニング工程の前工程として、円筒状の成形ドラムに装着された可撓性ジャケット(ブラダー)の上に、伸張層(短繊維を含むゴムシート又は補強布)を構成する部材、必要に応じて接着ゴム層を形成するゴムシートを巻き付ける工程を含んでいてもよく、巻き付けた部材の上さらに心線を螺旋状にスピニングしてもよい。
圧縮ゴム層巻付工程において、未加硫ゴムシートの表面に粒状滑剤を付着させ、かつ前記表面の近傍に粒状滑剤を侵入させる方法としては、例えば、未加硫ゴムシートの表面に粒状滑剤を塗布し、離型紙を介して熱プレスする方法を利用できる。
熱プレスする方法において、原料粒状滑剤の形状は、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、棒状、繊維状、不定形状などであってもよいが、通常、略球状、多角体状などの略等方形状である。原料滑剤の平均粒径(一次粒径)は、例えば、1〜500μm、好ましくは3〜300μm(例えば、5〜300μm)、さらに好ましくは5〜200μm(特に10〜100μm)程度である。原料滑剤の平均粒径が大きすぎると、ベルト屈曲時に固着層の亀裂が発生し易く、逆に小さすぎると、均一に分散させるのが困難となり、摩擦伝動面に占める面積も小さくなり易い。本発明では、このような原料滑剤を用いて、加硫成形工程で金型に押圧されることにより、前述のサイズを有する扁平状滑剤に変形できる。
塗布方法は、粒状滑剤をそのまま塗布してもよく、溶媒に分散させた分散液を塗布してもよい。塗布方法としては、慣用の方法、例えば、粒状滑剤を直接散布する方法、スクリーンを使用して粒状滑剤を散布する方法などが挙げられる。
粒状滑剤の塗布は、付着量(固形分)が、例えば、1〜100g/m、好ましくは5〜80g/m、さらに好ましくは10〜50g/m(特に20〜40g/m)程度となるように塗布する。滑剤の塗布量が少なすぎると、滑剤をリブ部の内部に埋設することができず、摩擦低減効果の耐久性が低下し、多すぎると、滑剤で形成された固着層が厚すぎて、可撓性が低下し、固着層の割れや剥離が発生し易い。
熱プレス温度は、粒状滑剤を未加硫ゴムシートに仮固着できればよく、例えば、50〜120℃、好ましくは55〜100℃、さらに好ましくは60〜90℃(特に70〜85℃)程度である。圧力は、例えば、0.1〜5Pa、好ましくは0.3〜3Pa、さらに好ましくは0.5〜2Pa程度である。さらに、熱プレスにおいては、離型紙(離型処理されたプラスチックフィルムや紙)を介在させて熱プレスしてもよい。
前記加硫成形工程では、通常、前記工程でスピニングした心線の上に、粒状滑剤を熱プレスで仮固着させた未加硫ゴムシートを、粒状滑剤が仮固着した側を金型と接触させて巻き付ける。さらに、前記可撓性ジャケットを膨張させて、心線及び未加硫ゴムシートをリブ部に対応した溝状刻印を有する外型に押圧しながら、例えば、120〜200℃(特に150〜180℃)程度の温度で加硫成形する。このとき、リブ部の表面では、粒状滑剤が加硫温度で融解し、扁平状(特に薄膜状又はフィルム状)に変形して摩擦伝動面で均一にかつ密に分散して固着層が形成される。特に、変形した滑剤の一部が圧縮ゴム層に侵入して固着されるとともに、扁平状に変形した滑剤が広い面積で圧縮ゴム層と圧着されるため、滑剤と圧縮ゴム層とが強固に付着される。
このようにしてリブ部を成形した加硫スリーブが得られ、その後加硫スリーブを所定幅に輪切りして切断することにより、個々のベルト(Vリブドベルトなど)に仕上げることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。以下の例において、各物性における測定方法又は評価方法、実施例に用いた原料を以下に示す。なお、特にことわりのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(1)固着層の有無
作製したVリブドベルトの表面をマイクロスコープによって撮影して固着層の有無を観察した。さらに、滑剤の占める面積の割合もマイクロスコープで表面を観察し、滑剤が島層である海島相分離構造を確認し、滑剤で形成された島相について、計測ソフト(Soft Imaging System社製「analySIS」)により、その占有面積を計算した
(2)摩擦性
摩擦特性試験機を用いて、サイズ6PK1100(リブ数6、ベルト外周長1100mm)のVリブドベルトを所定長さに切断して、案内ローラ(直径60mm)に巻き付け角度が90°になるように、このVリブドベルトを掛け、Vリブドベルトの一端を固定すると共に、他端に34.4Nのウェイトを垂下させ、案内ローラを43rpm、無負荷で回転させることによって行ない、このときのロードセルの値を検出することによって、Vリブドベルトの前記の一端の張り側の張力Tと、前記の他端の緩み側の張力Tとを測定し、張力比(T/T)から摩擦係数(μ=(1/2π)ln(T/T))を求めた。なお、この摩擦性の試験も、乾燥時(DRY)と、60ml/分で水を注水した注水時(WET)との2種類の条件で行なった。
(3)耐発音性
耐発音性はミスアライメント発音試験で評価した。評価に用いた試験機は、駆動プーリ(直径120mm)、従動プーリ(直径120mm)、テンションプーリ(直径70mm)を配置して構成され、駆動プーリと従動プーリの間で1.86°の角度でミスアライメントを設定した。そして各プーリ間にVリブドベルトを懸架し、室温条件下で、駆動プーリの回転数1000rpmで走行させた。このときベルト張力が6kgf/リブになるように駆動プーリに荷重を付与し、また従動プーリに負荷2.1Nm/リブを加えた。そして、このようにVリブドベルトを走行させたときの発音レベルを下記の5段階で評価した。「5」は、最も発音レベルが低い状態を示し、「3」以上は、発音が気にならないレベルである。なお、この耐発音性の試験は、乾燥時(DRY)と、60ml/分で水を注水した注水時(WET)との2種類の条件で行なった。
5:全く発音が聞こえない
4:聴診器で発音が聞こえる
3:僅かに発音が聞こえる
2:発音が聞こえる
1:発音がはっきり聞こえる。
(4)原料
EPDMポリマー:デュポン・ダウエラスマージャパン(株)製「IP3640」、ムーニー粘度40(100℃)
カーボンHAF:東海カーボン(株)製「シースト3」
老化防止剤:精工化学(株)製「ノンフレックスOD3」
ミルドファイバー:ナイロン66繊維、繊維長約0.5mm
有機過酸化物:化薬アクゾ(株)製「パーカドックス14RP」
パラフィン系軟化剤:出光興産(株)製「ダイアナプロセスオイル」
低PE20:低密度ポリエチレン粒子、住友精化(株)製「フローセン」、平均粒径20μm、融点107℃
低PE50:低密度ポリエチレン粒子、住友精化(株)製「フローセン」、平均粒径50μm、融点107℃
低PE250:低密度ポリエチレン粒子、三洋化成(株)製「サンワックス171P」、平均粒径250μm、軟化点107℃
低PE500:低密度ポリエチレン粒子、ペレットサンプル(プライムポリマー(株)製「モアテック」)の冷凍粉砕物、平均粒径250μm、融点119℃
高PE80:高密度ポリエチレン粒子、旭化成(株)製「サンファインLH451」、平均粒径80μm、融点128℃
高PE350:高密度ポリエチレン粒子、旭化成(株)製「サンファインSH821」、平均粒径350μm、融点135℃
超PE80:超高分子量ポリエチレン粒子、ヘキサインダストリー社製「GUR4150」、平均粒径80μm、融点132℃
心線:1,000デニールのPET繊維を2×3の撚り構成で、上撚り係数3.0、下撚り係数3.0で緒撚りしたトータルデニール6,000のコードを接着処理した繊維。
実施例1〜7及び比較例1〜2
(伸張ゴム層を形成するためのゴムシート)
表1に示すゴム組成物をバンバリーミキサーで混練し、カレンダーロールによって圧延することによって、伸張層を形成するためのゴムシートを0.8mmの厚みで作製した。
Figure 2013113343
(圧縮ゴム層を形成するためのゴムシート)
表2に示すゴム組成物をバンバリーミキサーで混練し、カレンダーロールによって圧延することによって、圧縮ゴム層を形成するためのゴムシートを2.5mmの厚みで作製した。
Figure 2013113343
得られたゴムシートの上に、スクリーンを用いて、各種のポリエチレン粒子を付着量約30g/mとなるように散布した。さらに、塗布面の上から、離型フィルム(メチルペンテンコポリマー、融点235℃、厚み25μm)を介在させて、80℃、0.5Paの条件で熱プレスして圧接し、ポリエチレン粒子が片面に付着した圧縮ゴム層を形成するためのゴムシートを作製した。なお、比較例1では、ポリエチレン粒子を塗布せず、比較例2では、付着量を10g/mに変更した。
(ベルトの製造)
図3に示すように、エアー供給口23及び天板22aを備えた金型14のブラダー15の外周に、伸張ゴム層を形成するためのゴムシート16aを巻き付け、このゴムシート16aの外周面に心線4をスパイラル状に巻き付けた後、さらにこの心線4の上に圧縮ゴム層を形成するためのゴムシート16bを、ポリエチレン粒子で形成された固着層16cが外側になるように巻き付け、金型14にベルトスリーブ17を装着した。
さらに、図4に示すように、ベルトスリーブ17を巻き付けた前記金型14を加硫型18内にセットし、加熱・冷却媒体導入口36,37を備えた加熱・冷却ジャケット35で加熱しながら、図5に示すようにブラダー15を膨張させ、ベルトスリーブ17を加硫型18の内周面に押し付けて加圧することによって加硫した。加硫の条件は160℃、1MPa、20分間に設定した。このとき、加硫型18の成形用凹凸部41がベルトスリーブ17に外周から食い込む込むことによって、ベルトスリーブ17の外周に溝26が成形された。
次に、加硫型18から金型14を抜き出し、加硫型18内に残る加硫ベルトスリーブを加熱・冷却ジャケット35で冷却した後、加硫ベルトスリーブを加硫型18から取り出した。そして、この加硫ベルトスリーブをカッターにより輪切りするように切断することによって、図1に示す構造でサイズ6PK1100のVリブドベルトを得た。
(ベルトの評価)
作製したVリブドベルトのリブ部表面の固着層の有無、摩擦性、耐発音性の評価を表3に示す。
Figure 2013113343
表3の結果から明らかなように、実施例のベルトは、摩擦係数が低く、耐発音性が良好であるのに対して、比較例のベルトは、乾燥状態での摩擦係数が高く、耐発音性も十分でない。なお、実施例5のベルトでは、長期間の運転により屈曲による割れが発生した。
本発明の摩擦伝動ベルトは、各種の研磨レスベルトに利用でき、例えば、Vリブドベルト、ローエッジVベルト、平ベルトなどの摩擦伝動ベルトに利用でき、特に、研磨による生産工程が煩雑であるVリブドベルト、Vベルトなどに有用である。
1…Vリブドベルト
2…短繊維
3…伸張ゴム層
4…心線
5…リブ部
6…圧縮ゴム層
7…粒状滑剤

Claims (13)

  1. 少なくとも心線と、プーリに係合又は接触するための摩擦伝動面を有する圧縮ゴム層とを備えた摩擦伝動ベルトであって、
    前記摩擦伝動面にポリエチレン系樹脂で形成された滑剤が付着し、
    前記滑剤が、粒状滑剤及び/又は扁平状滑剤を含み、
    かつ前記摩擦伝動面に対して前記滑剤の占める面積が20%以上である摩擦伝動ベルト。
  2. 摩擦伝動面の近傍に滑剤又はその一部が埋設されている請求項1記載の摩擦伝動ベルト。
  3. 圧縮ゴム層がエチレン−α−オレフィンエラストマーを含む請求項1又は2記載の摩擦伝動ベルト。
  4. バインダー成分を介在させることなく、滑剤が圧縮ゴム層に付着している請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  5. 扁平状滑剤が低密度ポリエチレンで形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  6. 扁平状滑剤が、粒状滑剤が加硫成形工程で薄肉化した滑剤である請求項1〜5のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  7. 圧縮ゴム層を形成するための未加硫ゴムシートの表面に粒状滑剤を塗布し、離型紙を介して熱プレスして粒状の滑剤を摩擦伝動面に付着させるとともに、摩擦伝動面の近傍に圧入した後、加硫する方法により得られ、かつ研磨することなく、金型で成形されている請求項1〜6のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  8. 圧縮ゴム層が短繊維を実質的に含有しない請求項1〜7のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  9. 摩擦伝動面に対して滑剤の占める面積が20〜80%である請求項1〜8のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  10. 滑剤が、摩擦伝動面に分散し、かつ前記滑剤の一部が圧縮ゴム層に侵入して固着している請求項1〜9のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  11. 摩擦伝動Vベルト又は摩擦伝動Vリブドベルトである請求項1〜10のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  12. 円筒状ドラムに心線を巻き付ける心線スピニング工程、巻き付けた心線の上に、表面に粒状滑剤が付着し、かつ前記表面の近傍に粒状滑剤が侵入した未加硫ゴムシートを巻き付ける圧縮ゴム層巻付工程、前記心線及び前記未加硫ゴムシートを金型に押し付けて加硫する加硫成形工程を含む請求項1〜11のいずれかに記載の摩擦伝動ベルトの製造方法。
  13. 圧縮ゴム層巻付工程における未加硫ゴムシートが、熱プレスにより、表面に粒状滑剤が付着し、かつ前記表面の近傍に粒状滑剤が侵入した未加硫ゴムシートであるとともに、かつ前記粒状滑剤の平均粒径が1〜500μmであり、熱プレス温度が60〜90℃である請求項12記載の製造方法。
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