JP6747945B2 - 摩擦伝動ベルト及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、自動車エンジン補機駆動などに用いられる摩擦伝動ベルト(Vリブドベルトなど)及びその製造方法に関し、詳しくは、ベルトから放熱が促進され、ベルトの温度上昇が抑制される摩擦伝動ベルト及びその製造方法に関する。
動力を伝達する伝動ベルトとしてVベルト、Vリブドベルト、平ベルトなどの摩擦伝動ベルトが広く知られているが、特に自動車用においては高機能、高性能化が求められている。このような自動車用に用いられる摩擦伝動ベルトの一つとして、ベルト周長方向に伸びる複数のV字状リブを形成したVリブドベルトがあり、自動車のエアーコンプレッサーやオルタネータなどの、補機駆動の動力伝達に広く用いられている。このようなVリブドベルトの製造方法としては、リブ部を研削で形成する方法と、リブ部を金型で成形する方法とに大別できる。
近年のエンジンの高出力化とエンジンルームのコンパクト化でエンジンルームは非常に高温になっている。また、プーリの小径化による巻き付け角度が広くなり、多軸化により屈曲回数が増加傾向にあるため、屈曲による自己発熱が高くなる傾向にある。Vリブドベルトが発熱すると、熱劣化によるゴムの硬度上昇が促進され、一次故障のクラックが早期に発生して、二次故障であるリブの破壊へ短期に移行して寿命までの走行時間が短くなる。また、熱劣化はベルトを構成する部材間(例えば心線とゴム層との間)の接着力の低下を促進させ、部材間剥離が早期に発生して短寿命となる。このように、高出力とエンジンルームのコンパクト化により、Vリブドベルトは現行仕様に比べ、更に耐熱性を求められており、要求品質に合致したベルトの提供が必要である。
特開2003−340934号公報(特許文献1)には、研削や研磨といった表面処理を施さなくとも、高い耐摩耗性、耐寒性を有するVリブドベルトとして、ベルト内周面に金属及び/又はセラミックス補強層を設けた圧縮ゴム層を備えたVリブドベルトが開示されている。この文献の実施例では、表面にニッケル粉を配合したゴム組成物を積層したクロロプレンゴムシート、又は表面にニッケル粉を溶射被覆したクロロプレンゴムシートに、V形溝が刻設された外型を用いて加硫成形している。
国際公開WO2009/011414号パンフレット(特許文献2)には、耐クラック性に優れ、異音防止効果に優れたVリブドベルトとして、プーリに当接される表面を構成する表面層とこの表面層の内側を構成する内層との二層構造がリブに形成され、かつ前記表面層を形成するゴム組成物が樹脂粒子及び/又は無機物粒子を含むVリブドベルトが開示されている。この文献には、無機物粒子として、グラファイト粒子、二硫化モリブデン粒子、雲母粒子、タルク粒子、三酸化アンチモン粒子、二セレン化モリブデン粒子、二硫化タングステン粒子が例示されている。この文献の実施例では、加硫後に検索して形成したリブの表面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子、超高分子量ポリエチレン粒子、シリカ粒子、カーボンブラックを含む液状ウレタンゴム組成物をスプレーコートして架橋させている。
しかし、これらの文献には、Vリブドベルトの熱劣化については記載されていない。さらに、特許文献2では、金属粒子は配合されていない上に、加硫後に研削して形成したリブの表面に、表面層を付着させているので、一体化し難く、表面層が脱落し易い。
特開2003−340934号公報(特許請求の範囲、実施例) 国際公開WO2009/011414号パンフレット(請求の範囲、段落[0038]、実施例)
従って、本発明の目的は、熱劣化し易い過酷な条件であっても、ベルトからの放熱を促進でき、ベルトの温度上昇を抑制できる摩擦伝動ベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、長期間走行しても、クラックの発生、リブの破壊、及び部材間の剥離を抑制でき、長寿命化できる摩擦伝動ベルト及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂層を含むアンカー層を介して熱伝導性金属粒子を含む放熱層で摩擦伝動ベルトの摩擦伝動面を被覆することにより、熱劣化し易い過酷な条件であっても、ベルトからの放熱を促進でき、ベルトの温度上昇を抑制できることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の摩擦伝動ベルトは、摩擦伝動面がアンカー層を介して放熱層で被覆された摩擦伝動ベルトであって、前記アンカー層が熱可塑性樹脂を含み、かつ前記放熱層が熱伝導性金属粒子を含んでいてもよい。本発明の摩擦伝動ベルトは、前記放熱層の表面に熱伝導性金属粒子が存在していてもよい。前記熱伝導性金属粒子の100℃での熱伝導率は100W/m・K以上であってもよい。前記熱伝導性金属粒子の平均粒径が1〜100μm程度であってもよい。前記熱伝導性金属粒子の形状は略球状であってもよい。前記摩擦伝動面全体(前記放熱層の表面全体)に対して前記熱伝導性金属粒子が占める面積割合は5〜95%程度であってもよい。前記放熱層の平均厚みは10〜300μm程度であってもよい。前記放熱層は、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物の加硫物で形成されていてもよい。前記熱伝導性金属粒子の割合は、ゴム成分100質量部に対して10〜2000質量部程度であってもよい。本発明の摩擦伝動ベルトは、ゴム成分を含むゴム組成物の加硫物で形成された圧縮層を備え、この圧縮層に摩擦伝動面が形成された摩擦伝動ベルトであって、熱可塑性樹脂が、前記圧縮層の加硫温度以下の融点又は軟化点を有していてもよい。前記熱可塑性樹脂はポリオレフィンであってもよい。前記アンカー層の平均厚みは0.01〜0.5mm程度であってもよい。本発明の摩擦伝動ベルトは、ベルト周長方向に延びる複数のV字状リブ部を有するVリブドベルトであってもよい。
本発明には、熱可塑性樹脂を含むアンカー層前駆体で摩擦伝動面を被覆するアンカー層形成工程、及び熱伝導性金属粒子を含む放熱層前駆体で前記アンカー層前駆体を被覆する放熱層形成工程を含む前記摩擦伝動ベルトの製造方法も含まれる。本発明の製造方法は、摩擦伝動面を被覆した前記ゴム組成物を加硫する加硫工程をさらに含み、かつ前記放熱層形成工程が、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物で摩擦伝動面を被覆する工程であってもよい。前記放熱層形成工程において、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含む液状ゴム組成物を摩擦伝動面に付着させてもよく、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物で形成されたシートを摩擦伝動面に積層してもいずれでもよい。加硫工程を含む場合、前記アンカー層形成工程において、アンカー層前駆体は熱可塑性樹脂で形成された布帛であってもよい。
本発明では、熱伝導性金属粒子を含む放熱層で摩擦伝動ベルトの摩擦伝動面が被覆されているため、熱劣化し易い過酷な条件であっても、ベルトからの放熱を促進でき、ベルトの温度上昇を抑制できる。そのため、長期間走行しても、クラックの発生、リブの破壊、及び部材間の剥離を抑制でき、長寿命化できる。
図1は、本発明の摩擦伝動ベルト(Vリブドベルト)の一例を示す概略断面図である。 図2は、実施例及び比較例で得られたベルトの放熱特性の測定方法を説明するための概略図である。
以下に、必要により添付図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
本発明の摩擦伝動ベルトは、プーリと接触可能な摩擦伝動面を備えていれば特に限定されず、Vベルト、Vリブドベルト、平ベルトなどであってもよい。また、摩擦伝動ベルトは、摩擦伝動部(リブなど)が形成されたベルトであってもよく、代表的な伝動ベルトは、ベルト周長方向に延びる複数のV字状リブ部が形成され、伝動効率の高いVリブドベルトである。
図1に示すように、このような摩擦伝動ベルト(Vリブドベルト)1は、ベルト背面(ベルトの外周面)を形成し、かつカバー帆布(織物、編物、不織布など)で構成された伸張層4と、この伸張層4の片面側(一方の面側)に形成され、摩擦伝動面(摩擦伝動部の表面)を有する圧縮層(圧縮ゴム層)2と、この圧縮層(圧縮ゴム層)2の摩擦伝動面にアンカー層5を介して被覆(積層)されてベルト内周面を形成し、プーリに接触可能な放熱層6と、前記伸張層4と圧縮層2との間にベルト長手方向(周長方向)に沿って埋設された芯体3とを備えている。この例では、芯体3は、ベルト幅方向に所定間隔で配列した心線(撚りコード)であり、伸張層4と圧縮層2とに接して、両層の間に介在している。
圧縮層2には、ベルト長手方向に伸びる複数の断面V字状溝が形成され、この溝の間には断面V字形(逆台形)の複数のリブが形成されており、リブの二つの傾斜面(表面)が摩擦伝動面を形成している。そして、摩擦伝動面は、放熱層6を介して、プーリと接触可能であり、前記放熱層6の表面及び内部には熱伝導性金属粒子が保持されている。
なお、本発明は、圧縮層2にプーリとの摩擦伝動面(又は摩擦伝動部)が形成された伝動ベルトに好適に適用される。本発明の摩擦伝動ベルトは上記構造に限定されず、例えば、伸張層4をゴム組成物で形成してもよく、圧縮層2と伸張層4との間には、芯体3と伸張層4又は圧縮層2との接着性を向上させるため、接着層を介在させてもよい。芯体3は、伸張層4と圧縮層2との間に埋設できればよく、例えば、圧縮層2に埋設させてもよく、伸張層4に接触させつつ圧縮層2に埋設させてもよい。さらに、芯体3は前記接着層に埋設させてもよく、圧縮層2と接着層又は接着層と伸張層4との間に芯体3を埋設してもよい。
以下に、ベルトを構成する各部材、及びベルトの製造方法の詳細を説明する。
[放熱層]
放熱層は、熱伝導性金属粒子を含み、摩擦伝動面に熱伝導性金属粒子が存在することにより、放熱効果を発現し、摩擦ベルトの温度上昇を抑制できる。
熱伝導性金属粒子を構成する熱伝導性金属としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(例えば、ベリリウム、マグネシウムなど)、遷移金属(例えば、チタンなどの周期表第4A族金属;タンタルなどの周期表第5A族金属;クロム、モリブデン、タングステンなどの周期表第6A族金属;レニウムなどの周期表第7A族金属;ニッケル、鉄、コバルト、ロジウム、パラジウム、イリジウム、白金などの周期表第8族金属;銅、銀、金などの周期表第1B族金属など)、周期表第2B族金属(例えば、亜鉛、カドミウムなど)、周期表第3B族金属(例えば、アルミニウム、ガリウム、インジウムなど)、周期表第4B族金属(例えば、スズ、鉛など)、周期表第5B族金属(例えば、アンチモンなど)などが挙げられる。これらの導電性金属は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。さらに、導電性金属は、黄銅などの合金であってもよい。
これらのうち、熱伝導性が高い金属、例えば、モリブデンやタングステンなどの周期表第6A族金属、ロジウムやイリジウムなどの周期表第8族金属、銅や銀、金などの周期表第1B族金属、亜鉛などの周期表第2B族金属、アルミニウムやインジウムなどの周期表第3B族金属が好ましく、モリブデン、銅、銀、金、アルミニウムが特に好ましい。
熱伝導性金属粒子(粒子を構成する熱伝導性金属)の100℃での熱伝導率は10W/m・K以上(特に20W/m・K以上)であってもよいが、放熱性に優れる点から、100W/m・K以上(例えば100〜500W/m・K程度)であってもよく、好ましくは150W/m・K以上、さらに好ましくは200W/m・K以上(特に300〜450W/m・K)であってもよい。さらに、熱伝導性金属粒子は、熱劣化によるベルトの寿命を大きく向上できる点から、銀や銅などの熱伝導率が300W/m・K以上(例えば300〜500W/m・K)の金属で形成された粒子が好ましく、熱伝導率が350W/m・K以上(例えば400〜450W/m・K)の金属で形成された粒子が特に好ましい。
熱伝導性金属粒子の形状としては、例えば、球状(真球状又は略球状)、楕円体(楕円球)状、多角体状(多角錘状、正方体状や直方体状など多角方形状など)、板状(扁平状、鱗片状、薄片状など)、ロッド状又は棒状、繊維状、樹針状、不定形状などが挙げられる。熱伝導性金属粒子の形状は、通常、球状、楕円体状、多角体状、不定形状などである。これらの形状のうち、放熱層に容易に均一分散かつ高充填でき、放熱性を向上できる点から、略球状が好ましい。
熱伝導性金属粒子の中心粒径又は平均粒径(D50)は、例えば1〜100μm(例えば2〜50μm)、好ましくは3〜30μm、さらに好ましくは5〜25μm(特に10〜20μm)程度である。最大粒径は、例えば100μm以下、好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下であってもよい。粒径が小さすぎると、放熱層中での均一な分散が困難となり、放熱性が低下する虞があり、大きすぎると、摩擦伝動面への固着性が低下する虞がある。
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、中心粒径及び最大粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定された平均粒径を意味する。
放熱層は、熱伝導性金属粒子を含んでいればよく、熱伝導性金属粒子のみで形成されていてもよいが、熱伝導性金属粒子を摩擦伝動面に強固に固着できる点から、熱伝導性金属粒子に加えて、バインダー成分を含むのが好ましい。
放熱層がバインダー成分を含む場合、熱伝導性金属粒子は放熱層中に含まれていればよいが、放熱性を向上できる点から、放熱層の表面に熱伝導性金属粒子が存在するのが好ましい。摩擦伝動面全体に対して熱伝導性金属粒子が占める面積割合は、摩擦伝動面全体に対して5%以上であればよく、例えば5〜95%、好ましくは20〜90%、さらに好ましくは40〜85%(特に60〜80%)程度である。熱伝導性金属粒子の面積割合が小さすぎると、放熱性が低下する虞がある。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、熱伝導性金属粒子の面積割合は、画像処理機能を備えたカメラ(スマートカメラ)を用いて、摩擦伝動面の画像をコンピュータで画像処理する方法で測定でき、詳しくは、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
前記バインダー成分は、接着性樹脂などのポリマー成分であってもよいが、摩擦伝動面との密着性に優れる点から、ゴム成分であるのが好ましい。特に、ゴム成分を含む放熱層は、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物の加硫物で形成されているのが好ましく、摩擦伝動面を形成するゴム成分(通常、圧縮層のゴム成分)と同一又は同種(特に同一)のゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物の加硫物で形成されているのが特に好ましい。
このようなゴム組成物の加硫物で形成された放熱層は、熱伝導性金属粒子がゴム成分と一体化した状態で固着されており、ベルトの走行初期で摩擦伝動面(リブ表面)のゴム薄膜が飛散されると熱伝導性金属粒子が露出する。その状態で連続してプーリに接触して走行を続けた場合、ベルトの加硫後に摩擦伝動面に熱伝導性金属粒子を付着させた場合に比べ、熱伝導性金属粒子が水に流されて摩擦伝動面から脱離したり、プーリとの接触摩擦により走行初期で欠落して、熱伝導性金属粒子の効果が消失するリスクは大きく低減される。そのため、摩擦伝動面と一体化した状態で固着された熱伝導性金属粒子は、走行経緯の中でも消失することなく保持されて、その放熱効果でベルトの温度上昇を抑制できる。さらに、熱伝導性金属粒子が長時間ベルトに保持されることにより効果の持続が可能になる。ベルトの温度上昇を長時間抑制させることにより得られる効果は、(1)圧縮層を構成するゴム(リブゴムなど)の熱劣化による硬度アップを抑制することにより、ゴムの硬化が原因であるクラック発生を遅らせることが可能になり、(2)部材間(例えば伸張ゴムと心線との間、圧縮層と心線との間等)の熱劣化による接着力低下を抑制することにより、部材間剥離に起因する破損現象を遅らせることが可能になる。その結果、本発明では、破損現象発生までの時間が長くなり、ベルトの長寿命化が可能になる。
ゴム成分としては、公知のゴム成分及び/又はエラストマー、例えば、ジエン系ゴム(天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(ニトリルゴム)、水素化ニトリルゴム(水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーを含む)など)、エチレン−α−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴムなどが例示できる。これらの成分は単独又は組み合わせて使用できる。これらのゴム成分のうち、有害なハロゲンを含まず、耐オゾン性、耐熱性、耐寒性を有し、経済性にも優れる点から、エチレン−α−オレフィンエラストマー(エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDMなど)などのエチレン−α−オレフィン系ゴム)が好ましい。
熱伝導性金属粒子の割合は、ゴム成分100質量部に対して、例えば10〜2000質量部、好ましくは20〜1000質量部、さらに好ましくは30〜500質量部(特に40〜100質量部)程度である。熱伝導性金属粒子の割合が少なすぎると、放熱性が低下する虞があり、多すぎると、摩擦伝動面に対する固着性が低下する虞がある。
ゴム組成物は、熱伝導性金属粒子及びゴム成分に加えて、必要に応じて、例えば、ゴム成分の種類に応じて選択された加硫剤又は架橋剤[例えば、硫黄系加硫剤(硫黄、塩化硫黄など)、オキシム類(キノンジオキシムなど)、グアニジン類(ジフェニルグアニジンなど)、有機過酸化物(ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイドなど)、金属酸化物(酸化マグネシウム、酸化亜鉛など)など]、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤などを含んでいてもよい。ゴム組成物は、後述する圧縮層に含まれる添加剤をさらに含んでいてもよい。ゴム組成物は、圧縮層と同一のゴム組成物であってもよい。
放熱層の平均厚みは、例えば10〜300μm、好ましくは15〜200μm、さらに好ましくは20〜150μm(特に30〜100μm)程度である。放熱層の厚みが薄すぎると、放熱性が低下する虞があり、厚すぎると、ベルトの機械的特性が低下する虞がある。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、放熱層の平均厚みは、走査型電子顕微鏡写真(SEM)に基づいて測定でき、任意の5箇所以上の平均値として求める。詳細は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
[アンカー層]
アンカー層は、前記放熱層と圧縮層との間に介在し、前記放熱層を圧縮層の摩擦伝動面に強固に一体化できる。
アンカー層は、熱可塑性樹脂を含んでおり、ゴム成分を含むゴム組成物の加硫物で形成された圧縮層を備えた摩擦伝動ベルトでは、前記圧縮層の加硫温度以下の融点(又は軟化点)を有するのが好ましく、例えば、前記加硫温度よりも0〜100℃、好ましくは3〜80℃、さらに好ましくは5〜70℃(特に10〜60℃)低い融点を有していてもよい。熱可塑性樹脂の融点が高すぎると、加硫工程で熱可塑性樹脂が融解せず、均一なアンカー層の形成が困難となり、逆に低すぎると、アンカー層の機械的特性が低下し、走行時の摩擦により破損し易くなる。圧縮層の加硫温度は150〜180℃程度である場合が多く、熱可塑性樹脂の融点は、例えば165℃以下(例えば80〜165℃)、好ましくは150℃以下(例えば90〜150℃)、さらに好ましくは130℃以下(特に100〜130℃)程度であってもよい。
さらに、本発明では、熱可塑性樹脂としては、圧縮層の加硫工程で融解して均一化され、アンカー効果を向上できる点から、実質的に架橋されていない樹脂が使用される。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、セルロース系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの熱可塑性樹脂のうち、汎用性に優れる点から、ポリオレフィン及び/又はポリウレタン(例えば、ポリエステル型ポリウレタン、ポリエーテル型ポリウレタンなど)が好ましく、ポリオレフィンが特に好ましい。
ポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテンなどのα−オレフィン(特に、エチレン、プロピレンなどのα−C2−6オレフィン)を主要な重合成分とする重合体であってもよい。
前記α−オレフィン以外の共重合性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル系単量体[例えば、(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチルなどの(メタ)アクリル酸C1−6アルキルエステルなど]、不飽和カルボン酸類(例えば、無水マレイン酸など)、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなど)、ジエン類(ブタジエン、イソプレンなど)などが挙げられる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン系樹脂[低、中又は高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体など]、ポリプロピレン系樹脂(ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体など)などが挙げられる。ポリオレフィンの融点は、共重合性単量体を特定の割合で共重合させることにより制御してもよく、例えば、ポリプロピレン系樹脂にエチレンを共重合して融点を低下させてもよい。これらのポリオレフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのポリオレフィンのうち、ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂が好ましく、加硫温度で容易に融解する点から、低密度ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂が特に好ましい。
熱可塑性樹脂の原料の形態は、特に限定されず、通常、粒子状、シート状、繊維状などである。これらの形態のうち、ベルト生産性を向上できる点から、繊維状が好ましい。繊維状の原料としては、不織布、織布、編布などを利用でき、不織布を好適に利用できる。
アンカー層は、繊維構造を有する布帛を用いて得られる場合、原料由来の繊維構造が残存していてもよいが、放熱層を摩擦伝動面に強固に一体化できる点から、非繊維構造(均一なフィルム構造)であるのが好ましく、アンカー層全体に対する繊維構造の割合は50%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下であり、略全面がフィルム状であるアンカー層が特に好ましい。すなわち、アンカー層は、繊維構造を有する布帛を融解して得られた層であっても、熱可塑性樹脂の融解により繊維形状が消失し、実質的に繊維構造を有していない層が特に好ましい。本発明では、繊維構造の割合は、断面積の電子顕微鏡写真に基づいて、断面積における面積割合として算出する。
アンカー層は、慣用の添加剤、例えば、着色剤、粘着付与剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、潤滑剤、難燃剤、帯電防止剤などを含んでいてもよい。添加剤の割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対して30質量部以下、好ましくは10質量部以下(例えば0.01〜10質量部)程度である。すなわちアンカー層全体に対して熱可塑性樹脂の割合は70質量%以上(特に90質量%以上)であってもよく、実質的に熱可塑性樹脂のみで形成されていてもよい。
アンカー層の平均厚みは、例えば、0.01〜0.5mm、好ましくは0.03〜0.3mm、さらに好ましくは0.05〜0.15mm(特に0.06〜0.15mm)程度である。アンカー層の厚みが薄すぎると、アンカー効果が低下する虞がある。アンカー層の厚みが大きすぎると、アンカー層の可撓性が低下し、圧縮層の表面からの剥離や、割れが発生し易くなる。
[圧縮層]
圧縮層は、通常、ゴム(又はゴム組成物)で形成できる。ゴム(ゴム組成物を構成するゴム)としては、前記放熱層の項で例示されたゴム成分を例示できる。
圧縮層全体(又はゴム組成物全量)に対するゴムの割合は、例えば、20質量%以上(例えば25〜80質量%)、好ましくは30質量%以上(例えば35〜75質量%)、さらに好ましくは40質量%以上(特に45〜70質量%)であってもよい。
圧縮層(又は圧縮ゴム層を形成するゴム又はゴム組成物)は、必要に応じて、各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤(配合剤)としては、公知の添加剤、例えば、前記放熱層の項で例示された加硫剤又は架橋剤、加硫助剤、加硫促進剤、加硫遅延剤、補強剤(カーボンブラック、含水シリカなどの酸化ケイ素など)、金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化チタン、酸化アルミニウムなど)、充填剤(クレー、炭酸カルシウム、タルク、マイカなど)、可塑剤、軟化剤(パラフィンオイル、ナフテン系オイルなどのオイル類など)、加工剤又は加工助剤(ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、ワックス、パラフィンなど)、老化防止剤(芳香族アミン系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤など)、接着性改善剤[レゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物、ヘキサメトキシメチルメラミンなどのメラミン樹脂、これらの共縮合物(レゾルシン−メラミン−ホルムアルデヒド共縮合物など)など]、着色剤、粘着付与剤、カップリング剤(シランカップリング剤など)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、潤滑剤、難燃剤、帯電防止剤などが例示できる。これらの添加剤は単独又は組み合わせて使用でき、これらの添加剤はゴムの種類や用途、性能などに応じて選択できる。
添加剤の割合も、ゴムの種類などに応じて適宜選択できる。例えば、補強剤(カーボンブラックなど)割合は、ゴム100質量部に対して、10質量部以上(例えば20〜150質量部)、好ましくは20質量部以上(例えば25〜120質量部)、さらに好ましくは30質量部以上(例えば35〜100質量部)、特に40質量部以上(例えば50〜80質量部)であってもよい。
圧縮層(又はゴム組成物)は、短繊維を含んでいてもよい。短繊維としては、例えば、綿やレーヨンなどのセルロース系繊維、ポリエステル系繊維(PET繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6などの脂肪族ポリアミド系繊維、アラミド繊維など)などが挙げられる。なお、短繊維は、吸水性繊維であってもよい。短繊維は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
短繊維の平均繊維長は、例えば0.1〜30mm、好ましくは0.2〜20mm、さらに好ましくは0.3〜15mm(特に0.5〜5mm)程度であってもよい。
これらの短繊維は、必要に応じて、界面活性剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などで表面処理してもよい。
短繊維の割合は、ゴム100質量部に対して、例えば0.5〜50質量部(例えば1〜40質量部)、好ましくは3〜30質量部(特に5〜25質量部)程度であってもよい。
圧縮層(圧縮ゴム層など)の厚みは、ベルトの種類などに応じて適宜選択でき、例えば1〜30mm、好ましくは1.5〜25mm、さらに好ましくは2〜20mm程度であってもよい。
(芯体)
芯体としては、特に限定されないが、通常、ベルト幅方向に所定間隔で配列した心線(撚りコード)を使用できる。心線は、特に限定されず、例えば、ポリエステル系繊維(ポリアルキレンアリレート系繊維)、ポリアミド系繊維(アラミド繊維など)などの合成繊維、炭素繊維などの無機繊維などを含んでいてもよい。
心線としては、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)を使用できる。心線の平均線径(撚りコードの繊維径)は、例えば0.5〜3mm、好ましくは0.6〜2mm、さらに好ましくは0.7〜1.5mm程度であってもよい。心線は、ベルトの長手方向に埋設されていてもよく、さらにベルトの長手方向に平行に所定のピッチで並列的に埋設されていてもよい。
ゴムとの接着性を改善するため、心線には、前記短繊維と同様に、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などによる種々の接着処理を施してもよい。
(伸張層)
伸張層は、圧縮層と同様のゴム組成物で形成してもよく、帆布などの布帛(補強布)で形成してもよい。布帛(補強布)としては、例えば、織布、広角度帆布、編布、不織布などの布材などが挙げられる。これらのうち、平織、綾織、朱子織などの形態で製織した織布や、経糸と緯糸との交差角が90〜120°程度の広角度帆布や編布などが好ましい。補強布を構成する繊維としては、前記繊維部材の項で例示した繊維(吸水性繊維、非吸水性繊維など)などを利用できる。
また、補強布には、接着処理[例えば、レゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)への浸漬処理などの接着処理]を施してもよい。さらに、接着処理した後、ゴム組成物を擦り込むフリクション又は積層(コーティング)してゴム付帆布を形成してもよい。
また、伸張層はゴム(ゴム組成物)で形成してもよい。ゴム組成物には、背面駆動時に背面ゴムの粘着により発生する異音を抑制するために、さらに圧縮層と同様の短繊維を含有させてもよい。短繊維は、ゴム組成物中でランダムに配向させてもよい。さらに、短繊維は一部が屈曲した短繊維であってもよい。
さらに、背面駆動時の異音を抑制するために、伸張層の表面(ベルトの背面)に凹凸パターンを設けてもよい。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターン、エンボスパターンなどが挙げられる。これらのパターンのうち、織布パターン、エンボスパターンが好ましい。さらに、繊維樹脂混合層で伸張層の背面の少なくとも一部を被覆してもよい。
伸張層の厚みは、ベルトの種類などに応じて適宜選択できるが、例えば0.5〜10mm、好ましくは0.7〜8mm、さらに好ましくは1〜5mm程度であってもよい。
(接着層)
接着層は、前記の通り、必ずしも必要ではない。接着層(接着ゴム層)は、例えば、前記圧縮層(圧縮ゴム層)と同様のゴム組成物(エチレン−α−オレフィンエラストマーなどのゴム成分を含むゴム組成物)で構成できる。接着層のゴム組成物は、さらに接着性改善剤(レゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物、アミノ樹脂など)を含んでいてもよい。
接着層の厚みは、ベルトの種類などに応じて適宜選択できるが、例えば0.2〜5mm、好ましくは0.3〜3mm、さらに好ましくは0.5〜2mm程度であってもよい。
なお、前記伸張層及び接着層のゴム組成物において、ゴム成分としては、前記圧縮ゴム層のゴム組成物のゴム成分と同系統又は同種のゴムを使用する場合が多い。また、これらのゴム組成物において、加硫剤又は架橋剤、共架橋剤又は架橋助剤、加硫促進剤などの添加剤の割合は、それぞれ、前記圧縮層のゴム組成物と同様の範囲から選択できる。
[摩擦伝動ベルトの製造方法]
本発明では、前記摩擦伝動面(圧縮ゴム層)を、熱可塑性樹脂を含むアンカー層前駆体で摩擦伝動面を被覆するアンカー層形成工程、及び熱伝導性金属粒子を含む放熱層前駆体で前記アンカー層前駆体を被覆する放熱層形成工程を経て得られ、特に、放熱層がゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物の加硫物で形成されている場合、摩擦伝動面を被覆した前記ゴム組成物を加硫する加硫工程をさらに経ることにより、圧縮層の摩擦伝動面に放熱層が形成された摩擦伝動ベルトを製造できる。
(アンカー層形成工程)
前記アンカー層形成工程において、アンカー層前駆体で摩擦伝動面を被覆する方法としては、熱可塑性樹脂で形成された粒子を摩擦伝動面に付着させる方法、熱可塑性樹脂で形成されたシートを摩擦伝動面に積層する方法、熱可塑性樹脂で形成された布帛を摩擦伝動面に積層する方法などが挙げられる。
これらの方法のうち、ベルト生産性を向上できる点から、熱可塑性樹脂で形成された布帛を摩擦伝動面に積層する方法が好ましい。すなわち、布帛を用いると、ベルトの加硫時に、金型とリブゴムとの間のエアー溜りが部材を伝って抜けきる効果を発現できる。これに対して、加硫時に金型とリブゴムとの間のエアーが抜けないと、エアーが妨げになってリブゴムが十分に金型に沿って流れないため、リブ形状が欠損したリブドベルトが生産される虞がある。なお、加硫時の金型とリブゴムとの間のエアー抜きの機能は、加硫が始まり、リブゴムが金型内に十分充填された時点で目的は達成されるため、その後は溶融してベルトと一体化するのが望ましい。すなわち、前述のように、布帛が溶融して、圧縮層と一体化して複合層を形成するのが望ましい。
布帛は、繊維構造を有していれば、特に限定されず、例えば、不織布、織布、編布などであってもよい。これらのうち、通気性が高く、エア溜まりの抑制効果が高い点から、不織布が好ましい。
不織布の製造方法は、例えば、スパンボンド法、ケミカルボンド法、サーマルボンド法、ニードルパンチ法などが挙げられる。これらの製造方法のうち、スパンボンド法が好ましい。スパンボンド法で得られたスパンボンド不織布は、構成繊維がフィラメントであるため、熱圧着して得られる不織布が引張強度、引裂強度が大きく、ベルト成形時の巻き付け工程において、寸法安定性が高く、作業性を向上できる。
布帛(特に不織布)の目付は、10〜100g/m程度の範囲から選択でき、例えば15〜80g/m、好ましくは18〜75g/m、さらに好ましくは20〜70g/m程度である。目付が小さすぎると、布帛の引張強度、引裂強度が小さくなり、また融解してもフィルムの厚みが不均一になり易い。一方、目付が大きすぎると、繊維量が多くなり、熱伝導率が低下して繊維の融解によるフィルム化が困難になる上に、通気性が低下し、エア溜まりが発生し易い。
布帛(特に不織布)の平均厚みは、例えば0.05〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.3mm、さらに好ましくは0.15〜0.25mm程度である。
本発明では、前記目付及び厚みを有する薄肉の布帛(不織布)を複数回(複数層)巻き付けてもよいが、1回の巻き付けが好ましい。
布帛を構成する繊維の形状は、特に限定されず、横断面形状(繊維の長さ方向に垂直な断面形状)は、例えば、略円形状、楕円状、扁平状、多角形状などが挙げられる。これらの形状のうち、均一な厚みを有するフィルムを形成し易い点から、略円形状が好ましい。
繊維は、単独の熱可塑性樹脂で形成された繊維に限定されず、複数種の熱可塑性樹脂を組み合わせた複合繊維であってもよい。複合繊維は、横断面構造の相違によって、例えば、芯鞘型、海島型、ブレンド型、並列型(多層貼合型)、放射型などに分類される。これらのうち、鞘部が低融点の熱可塑性樹脂で形成された芯鞘型複合繊維などであってもよいが、布帛が十分に融解して均一な厚みを有するアンカー層を形成し易い点から、低融点の熱可塑性樹脂単独で形成された単相の繊維、又は低融点の熱可塑性樹脂同士の組み合わせで形成された複合繊維が特に好ましい。
繊維の平均繊度は、例えば5〜60dtex、好ましくは10〜40dtex、さらに好ましくは15〜30dtex程度である。繊度が小さすぎると、布帛の強度が低下し、取り扱い性が低下し、大きすぎると、均一なフィルムの形成が困難となる。
本発明では、加硫前のアンカー層が布帛で形成されていても、繊維を構成する熱可塑性樹脂が加硫温度で融解可能な融点を有しているため、成形工程では繊維構造によりエア溜まりを防止し、かつ成形後は熱可塑性樹脂の融解により繊維構造が部分的又は完全に消失し、略均一な厚みを有するフィルム状アンカー層を形成できる。
(放熱層形成工程)
前記放熱層形成工程において、熱伝導性金属粒子を含む放熱層前駆体で前記アンカー層前駆体を被覆する方法としては、静電塗装法などにより熱伝導性金属粒子を前記アンカー層前駆体の表面に付着させる方法、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物で摩擦伝動面を被覆する方法などが挙げられる。
静電塗装法を利用する方法としては、静電塗装機を用いた慣用の方法を利用でき、例えば、アンカー層前駆体の表面に熱伝導性金属粒子を静電塗装してもよく、アンカー層前駆体と接触する金型の表面(アンカー層前駆体との接触面)に熱伝導性金属粒子を静電塗装し、金型からの転写により、アンカー層前駆体の表面に熱伝導性金属粒子を付着させてもよい。
前記ゴム組成物で摩擦伝動面を被覆する方法としては、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含む液状ゴム組成物を摩擦伝動面に付着させる方法(付着処理)、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物で形成されたシートを摩擦伝動面に積層する方法(積層処理)などが挙げられる。
前記付着処理では、通常、放熱層を形成するためのゴム組成物(未加硫ゴム組成物)を溶媒で希釈して、液状ゴム組成物(ゴム糊)を調製する。
溶媒としては、ゴムの種類に応じて、例えば、炭化水素類(例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロアルカン類)、アルコール類(エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルカノール類)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類)、エステル類(例えば、酢酸エチルなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン、シクロヘキサノンなどの環状ケトン)、セロソルブ類、カルビトール類などが例示できる。溶媒は、単独で又は混合溶媒として使用してもよい。
溶媒の割合は、ゴム1質量部に対して、例えば0.5〜50質量部、好ましくは1〜20質量部程度であってもよい。
付着処理において、液状ゴム組成物を付着させる方法としては、圧縮層を形成するためのゴムシートの表面(摩擦伝動面を形成するための表面)及び/又は前記ゴムシートを加硫成形するための金型(外型)の内周面に液状ゴム組成物を塗布する方法や吹き付ける方法などが挙げられる。
前記積層処理では、通常、放熱層を形成するためのゴム組成物(未加硫ゴム組成物)をシート状に成形して放熱層用ゴムシートを調製し、圧縮層を形成するための圧縮層用ゴムシートの表面(摩擦伝動面を形成するための表面)に積層する。さらに、放熱層用ゴムシートと圧縮層ゴムシートとの間には、両層の密着性を向上させるために、熱伝導性金属粒子を含まない前記液状ゴム組成物(ゴム糊)を介在させてもよく、両層の接触面を前記溶媒で膨潤させてもよい。
これらの方法のうち、耐久性や簡便性などの点から、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物で摩擦伝動面を被覆する方法が好ましい。特に、ゴム成分を含む場合、ゴム成分がバインダーとして機能するため、熱伝導性金属粒子は組織物として一体化した状態で固着されている。そのため、プーリとの接触側表面に、熱伝導性金属粒子を静電塗装などによって付着させる工法に比べ、熱伝導性金属粒子が水に流されてリブ表面から落ちこぼれたり、プーリとの接触摩擦により走行初期で欠落したりして、熱伝導性金属粒子の効果が消失するリスクは大きく低減される。すなわち、表面層としてゴム成分と一体化した状態で固着された熱伝導性金属粒子は走行経緯の中でも脱落することなく保持されて、熱伝導性金属粒子の放熱効果でベルトの温度上昇を長期間に亘り抑制できる。さらに、前記ゴム組成物で摩擦伝動面を被覆する方法の中でも、熱伝導性金属粒子を均一に分散させ易く、放熱効果が高い点から、液状ゴム組成物を摩擦伝動面に付着させる方法が特に好ましい。
(加硫工程)
加硫工程では、前記放熱層形成工程において、圧縮層を形成するためのゴムシートを、アンカー層前駆体を介して放熱層を形成するためのゴム組成物で被覆した状態で、両層のゴム組成物を加硫するとともに、前記アンカー層前駆体を構成する熱可塑性樹脂の溶融固化によって両層を強固に一体化できればよく、アンカー層形成工程及び放熱層形成工程を経る以外は公知又は慣用の方法で行うことができ、例えば、Vリブドベルトの場合、圧縮層用シート(前記被覆工程の種類に応じて処理されるシート)と、芯体と、伸張層用シートとを積層し、得られた積層体を成形型で筒状に成形し、加硫してスリーブを成形し、この加硫スリーブを所定幅にカッティングすることにより、摩擦伝動面(圧縮ゴム層)が放熱層で被覆されたVリブドベルトを作製できる。
より詳細には、Vリブドベルトは、例えば、以下の方法で製造できる。
(第1の製造方法)
先ず、外周面に可撓性ジャケットを装着した円筒状内型を用い、外周面の可撓性ジャケットに未加硫の伸張層用シートを巻きつけ、このシート上に芯体を形成する心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、さらに未加硫の圧縮層用シートを巻き付けて積層体を作製する。さらに、前述のように、圧縮層用シートにはさらに前述のアンカー層形成工程及び放熱層形成工程を経てアンカー層及び放熱層を形成するための処理が行われる。次に、前記内型に装着可能な外型として、内周面に複数のリブ型が刻設された筒状外型を用い、この外型内に、前記積層体が巻き付けられた内型を、同心円状に設置する。その後、可撓性ジャケットを外型の内周面(リブ型)に向かって膨張させて積層体(圧縮層)をリブ型に圧入し、加硫する。この場合、前述のように、外型の内周面に、放熱層を形成するための液状ゴム組成物を付着させて加硫してもよい。そして、外型から内型を抜き取り、複数のリブを有する加硫ゴムスリーブを外型から脱型した後、カッターを用いて、加硫ゴムスリーブをベルト長手方向に所定の幅にカットしてVリブドベルトに仕上げる。この第1の製造方法では、伸張層、芯体、圧縮層、放熱層を備えた積層体を一度に膨張させて複数のリブを有するスリーブ(又はVリブドベルト)に仕上げることができる。
(第2の製造方法)
第1の製造方法に関連して、例えば、特開2004−82702号公報に開示される方法[放熱層、アンカー層及び圧縮層のみを膨張させて予備成形体(半加硫状態)とし、次いで伸張層と芯体とを膨張させて前記予備成形体に圧着し、加硫一体化してVリブドベルトに仕上げる方法]を採用してもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下に、ゴム組成物の調製方法、各物性の測定方法又は評価方法などを示す。
[ゴム組成物]
表1に示すゴム組成物Aをバンバリーミキサーでゴム練りし、この練りゴムをカレンダーロールに通して所定厚みの未加硫圧延ゴムシート(圧縮層用シート)を作製した。また、表1に示すゴム組成物Bを用い、上記と同様にして、伸張層用シートを作製した。なお、表1の成分は下記の通りである。
EPDM:ダウ・ケミカル社製、「ノーデルIP4640」
酸化亜鉛:正同化学工業(株)製、「酸化亜鉛3種」
カーボンブラック:東海カーボン(株)製、「シーストV」、平均粒子径55nm
軟化剤:パラフィン系オイル、出光興産(株)製、「NS−90」
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製、「ノクラックMB」
有機過酸化物:日油(株)製、「パークミルD−40」
共架橋剤:大内新興化学工業(株)製、「バルノックPM」
綿短繊維:デニム、平均繊維径13μm、平均繊維長3mm
[放熱層用液状ゴム組成物A]
表1に示すゴム組成物A8質量部と、アルミニウム粉(東洋アルミニウム(株)製「ALPASTEP0100」、粒度2〜30μm、球状)4質量部と、トルエン88質量部とを混合して放熱層用液状ゴム組成物(ゴム糊)Aを調製した。
[放熱層用液状ゴム組成物B]
アルミニウム粉の代わりに亜鉛粉(ハクスイテック(株)製、銘柄「F末」、粒径3〜5μm、球状)を用いる以外は放熱層用液状ゴム組成物Aと同一の方法で放熱層用液状ゴム組成物Bを調製した。
[放熱層用液状ゴム組成物C]
アルミニウム粉の代わりに銀粉(三井金属(株)製「SPN10JS」、比表面積0.4m/g、球状)を用いる以外は放熱層用液状ゴム組成物Aと同一の方法で放熱層用液状ゴム組成物Cを調製した。
[放熱層用液状ゴム組成物D]
アルミニウム粉の代わりにチタン粉(トーホーテック(株)製「TS−150」、粒径約150μm)を用いる以外は放熱層用液状ゴム組成物Aと同一の方法で放熱層用液状ゴム組成物Dを調製した。
[放熱層用シート状ゴム組成物]
表1に示すゴム組成物A8質量部と、アルミニウム粉(東洋アルミニウム(株)製「ALPASTEP0100」、粒度2〜30μm、球状)4質量部とをバンバリーミキサーでゴム練りし、この練りゴムをカレンダーロールに通して、厚み0.25mmの放熱層用シート状ゴム組成物を調製した。
[熱伝導性金属粒子の面積割合]
熱伝導性金属粒子の面積割合は、マイクロスコープ((株)キーエンス製、型番:VHX−5000)を用いて、摩擦伝動面を撮影し、計測ソフト(オリンパス(株)製、「Stream」)により、熱伝導性金属粒子がアルミニウムの場合は銀、その他(繊維及びゴム)を黒として認識させて測定した。
[放熱層の平均厚み]
放熱層の平均厚みは、走査型電子顕微鏡写真(SEM)を用いて、任意の5箇所以上の厚みを測定し、平均した。
[放熱特性]
図2に示すように、2水準(1650N、1350N)の設定張力下で、走行5分後の、ベルト温度(Vリブドベルトのプーリとの接触側表面)を測定した。
実施例1
外周面に可撓性ジャケットを装着した円筒状内型を用い、外周面の可撓性ジャケットに未加硫の伸張層用シートを巻きつけ、このシート上に芯体となる心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、さらに未加硫の圧縮層用シートを巻き付けて積層体を作製した。さらに、圧縮層用シートの表面に、低密度ポリエチレン不織布(出光ユニテック(株)製「ストラテックLL」、融点約110℃)を巻き付け、さらにスプレーガンを用いて、乾燥厚み50μmとなるように、放熱層用液状ゴム組成物Aを塗布した。なお、心線には、1100dtex/2×3構成のポリエステルコードを用いた。ゴムとの接着性を向上させるため、予め心線をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)へ浸漬処理した後、EPDMを含むゴム組成物を有機溶媒(トルエン)に溶解させた処理液でコーティング処理を行った。
この筒状積層体が巻き付けられた内型を、内周面に複数のリブ型が刻設された筒状外型内に同心円状に設置し、前記可撓性ジャケットを膨張させて積層体をリブ型に圧入し、加硫した。そして、外型から内型を抜き取り、複数のリブを有する加硫ゴムスリーブを外型から脱型し、カッターを用いて、加硫ゴムスリーブをベルト長手方向に所定の幅にカットし、予備Vリブドベルト(リブ数6個、周長1200mm)を作製した。得られたVリブドベルトの熱伝導性金属粒子の面積割合は90%であり、放熱層の平均厚みは30μmであった。
実施例2
放熱層用液状ゴム組成物Aの代わりに放熱層用液状ゴム組成物Bを用いる以外は実施例1と同様にしてVリブドベルトを作製した。
実施例3
放熱層用液状ゴム組成物Aの代わりに放熱層用液状ゴム組成物Cを用いる以外は実施例1と同様にしてVリブドベルトを作製した。
実施例4
放熱層用液状ゴム組成物Aの代わりに放熱層用液状ゴム組成物Dを用いる以外は実施例1と同様にしてVリブドベルトを作製した。
比較例1
放熱層用液状ゴム組成物Aを塗布する代わりに、接着剤(接着剤(スリーエムジャパン(株)製「速乾型水性接着剤FT1000NF」)を塗布し、パイル(短繊維、(株)新ニッセン製「ナイロンパイル(繊維長0.4mm)」)を植毛する以外は、実施例1と同様にしてVリブドベルトを作製した。
実施例1〜4及び比較例1で得られたVリブドベルトについて、放熱特性(ベルト温度)を評価した結果を表2に示す。
表2の結果から明らかなように、実施例のベルトの温度は、比較例のベルトの温度よりも低く、例えば、実施例1のベルト温度は、比較例1のベルト温度よりも、軸荷重1650Nでは4.3℃低く、軸荷重1350Nでは3.3℃低かった。なかでも、銀粉を含む実施例3のベルトの温度は特に低かった。
実施例5
放熱層用液状ゴム組成物Aを塗布する代わりに、低密度不織布ポリエチレン不織布の表面に粉体静電塗装機(日本パーカライジング(株)製「GX8500」)を用いて、手動のガンモデルの条件で、アルミニウム粉(東洋アルミニウム(株)製「ALPASTEP0100」、粒度2〜30μm、球状)を静電塗装する以外は実施例1と同様にしてVリブドベルトを作製した。
表3の結果から明らかなように、静電塗装で放熱層を形成しても、液状ゴム組成物を用いて得られたベルトと同様に、ベルトの温度は低かった。
実施例6
放熱層用液状ゴム組成物Aを塗布する代わりに放熱層用シート状ゴム組成物を積層する以外は実施例1と同様にしてVリブドベルトを作製した。
表4の結果から明らかなように、シート状ゴム組成物を用いても、液状ゴム組成物を用いて得られたベルトと同様に、ベルトの温度は低かった。
本発明の摩擦伝動ベルトは、平ベルト、Vベルト、Vリブドベルトなどの摩擦伝動ベルトとして利用できる。また、本発明の摩擦伝動ベルトは、長時間走行してもベルト温度の上昇を抑制できるため、自動車、自動二輪車、農業機械など屋外で使用される高負荷伝動機器に好適に利用でき、熱劣化し易い過酷な条件であっても、長寿命化できるため、近年、エンジンルームの高温化が進んでいる自動車エンジン補機駆動に用いられるVリブドベルトに特に好適に利用できる。
1…摩擦伝動ベルト(Vリブドベルト)
2…圧縮層
3…芯体
4…伸張層
5…アンカー層
6…放熱層

Claims (18)

  1. 摩擦伝動面がアンカー層を介して放熱層で被覆された摩擦伝動ベルトであって、前記アンカー層が熱可塑性樹脂を含み、かつ前記放熱層が熱伝導性金属粒子を含む摩擦伝動ベルト。
  2. 放熱層の表面に熱伝導性金属粒子が存在する請求項1記載の摩擦伝動ベルト。
  3. 熱伝導性金属粒子の100℃での熱伝導率が100W/m・K以上である請求項1又は2記載の摩擦伝動ベルト。
  4. 熱伝導性金属粒子の平均粒径が1〜100μmである請求項1〜3のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  5. 熱伝導性金属粒子の形状が略球状である請求項1〜4のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  6. 摩擦伝動面全体に対して熱伝導性金属粒子が占める面積割合が5〜95%である請求項1〜5のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  7. 放熱層の平均厚みが10〜300μmである請求項1〜6のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  8. 放熱層が、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物の加硫物で形成されている請求項1〜7のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  9. 熱伝導性金属粒子の割合が、ゴム成分100質量部に対して10〜2000質量部である請求項8記載の摩擦伝動ベルト。
  10. ゴム成分を含むゴム組成物の加硫物で形成された圧縮層を備え、この圧縮層に摩擦伝動面が形成された摩擦伝動ベルトであって、熱可塑性樹脂が、前記圧縮層の加硫温度以下の融点又は軟化点を有する請求項1〜9のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  11. 熱可塑性樹脂がポリオレフィンである請求項1〜10のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  12. アンカー層の平均厚みが0.01〜0.5mmである請求項1〜11のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  13. ベルト周長方向に延びる複数のV字状リブ部を有するVリブドベルトである請求項1〜12のいずれかに記載の摩擦伝動ベルト。
  14. 熱可塑性樹脂を含むアンカー層前駆体で摩擦伝動面を被覆するアンカー層形成工程、及び熱伝導性金属粒子を含む放熱層前駆体で前記アンカー層前駆体を被覆する放熱層形成工程を含む請求項1〜13のいずれかに記載の摩擦伝動ベルトの製造方法。
  15. 摩擦伝動面を被覆した前記ゴム組成物を加硫する加硫工程をさらに含み、放熱層形成工程が、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物で摩擦伝動面を被覆する工程である請求項14記載の製造方法。
  16. 放熱層形成工程において、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含む液状ゴム組成物を摩擦伝動面に付着させる請求項15記載の製造方法。
  17. 放熱層形成工程において、ゴム成分及び熱伝導性金属粒子を含むゴム組成物で形成されたシートを摩擦伝動面に積層する請求項15記載の製造方法。
  18. アンカー層形成工程において、アンカー層前駆体が熱可塑性樹脂で形成された布帛である請求項14〜17のいずれかに記載の製造方法。
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