JP2007170454A - Vリブドベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】スティックスリップやミスアライメントによる発音を軽減し、かつ耐磨耗性に優れたVリブドベルトを提供することを目的とする。
【解決手段】Vリブドベルトは伸張部とベルト周方向に延びる複数のリブ部からなる圧縮ゴム層を有し、ベルト長手方向に沿って心線を伸張部と圧縮部の間に埋設しており、プーリと接触するリブ部の表面層のみに、エチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して超高分子量ポリエチレン粉体が2〜30重量部配合され、該超高分子量ポリエチレン粉体が溶融せずに粉体形状で分散させたゴム層を使用している構成からなる。
【選択図】図1
【解決手段】Vリブドベルトは伸張部とベルト周方向に延びる複数のリブ部からなる圧縮ゴム層を有し、ベルト長手方向に沿って心線を伸張部と圧縮部の間に埋設しており、プーリと接触するリブ部の表面層のみに、エチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して超高分子量ポリエチレン粉体が2〜30重量部配合され、該超高分子量ポリエチレン粉体が溶融せずに粉体形状で分散させたゴム層を使用している構成からなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、スティックスリップやミスアライメントによる発音を軽減し、かつ耐磨耗性に優れたVリブドベルトに関する。
摩擦伝動ベルトの重要な特性として、動力を伝達することに加え、使用中に異音が発生しないこと、耐久性、特に耐摩耗性に優れることが挙げられる。これらの特性を満たすためにナイロンおよびメタ系またはパラ系アラミドなどの有機短繊維を配合し、それらでベルト側面を覆うことで耐発音性,耐摩耗性,耐粘着摩耗性の向上を図っている。
特に近年の自動車用エンジンでは、コンパクト化、燃費向上、排出ガス低減を行うため希薄燃焼となっており、このためにエンジンの回転変動、振動が従来エンジンと比べ大きくなっている。また補機ベルトのサーペンタイン化によって小プーリ化、屈曲角の小さなエンジンレイアウトになっており、補機ベルトへの負荷が一層大きくなりミスアライメントやスティックスリップによる異音発生の問題が顕在化している。
このような問題に対し、従来は前述のように圧縮ゴム層に有機短繊維を配合してベルト側面に該繊維を突出させることでベルト側面を覆い摩擦係数を低下させ異音発生の対策とすることが一般的であった。
また、タルクなどのパウダーをリブ部表面に塗付する方法や、シリコン油を付着させ、リブ部表面の摩擦係数を低下させることが提案されている(例えば特許文献1参照)。また、ベルト表面の摩擦係数を長期にわたって実質的に一定にするために、活性炭のような多孔性粒子にシリコン油を吸着させたものを配合した伝動ベルトが開示されている(例えば特許文献2参照)。
実公平7−31006号公報
特開平5−132586号公報
しかし、ベルト側面を有機短繊維で覆う方法では、有機短繊維の配合量が増加すると、たとえ表面を接着処理したとしても、物性低下や加工性に問題が発生するため、配合量に限界があるとともにベルト走行によって表面に突出した有機短繊維の脱落、摩滅などにより、摩擦係数の低減効果が低下するという問題があった。
また、上記特許文献1のリブ表面にタルクなどのパウダーを塗付するとか、シリコン油を付着させる方法は、ベルトの初期走行段階でのスリップ音を軽減することができるが、長時間走行した後のベルトでは、滑剤が表面から飛散しやすくなるため、ベルト表面の摩擦係数を軽減する効果を長期間にわたって維持することはできなかった。一方、シリコン油を吸着させた多孔性粒子を配合した伝動ベルトでは、ベルト表面へのブリーディング効果を発揮させるために所定量の該多孔性粒子をゴム中に均一に分散させることは困難な作業であった。しかも、ベルト表面層に近い多孔性粒子のみがブリーディング効果を発揮しやすく、内部に埋設した多孔性粒子の効果は期待しにくかった。
また、一般的に摩擦係数を低下させるための添加剤としてはテトラフルオロエチレン、グラファイト、二硫化モリブデンなどが用いられる。確かにこれらの添加剤は摩擦係数を低下させることができるが、ゴムとの相溶性が悪いことから接着性が低く、早期のベルト走行で脱落し、ゴム組成物の耐摩耗性等の物性低下を起こした。
本発明はこのような問題点を改善するものであり、スティックスリップやミスアライメントによる発音を軽減し、かつ耐磨耗性に優れたVリブドベルトを提供することを目的とする。
本願請求項1記載のVリブドベルトは伸張部とベルト周方向に延びる複数のリブ部からなる圧縮部を有し、ベルト長手方向に沿って心線を伸張部と圧縮部の間に埋設しており、プーリと接触するリブ部の表面層のみに、エチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して超高分子量ポリエチレン粉体が2〜30重量部配合され、該超高分子量ポリエチレン粉体が溶融せずに粉体形状で分散させたゴム層を使用している構成であり、プーリと接触する表面層のみに摩擦係数を低下させたゴム組成物を用いることで、効率的に低摩擦係数を維持することができ、ミスアライメントやスティックスリップによる発音を抑制できる。また、表面層のゴム組成物に分散した超高分子量ポリエチレンの粉体形状を保持することができ、超高分子量ポリエチレン粉体が変形し微細に分散してしまうことがなく、摩擦係数を効率よく低下させることができる。
即ち、ゴムと比較して大幅に摩擦係数の低い超高分子量ポリエチレン粉体は、プーリなどの相手材表面と接触するゴムの面積割合を低下させて、低摩擦係数をもつリブ部の表面層となり、またエチレン−α−オレフィンエラストマーとの相溶性を良くしてゴム組成物中で分散しやすく、そして物性低下を抑制して長期間安定した低摩擦係数を実現する。
本願請求項2に記載のように、超高分子量ポリエチレン粉体の平均一次粒子径が10〜200μmであると、リブ部の表面層は長期間、低摩擦係数を維持することができ、ミスアライメントやスティックスリップによる発音を抑制できるVリブドベルトになる。
本願請求項3に記載のように、エチレン−α−オレフィンエラストマーがエチレン−プロピレン−ジエン・ターポリマーであると、摩擦伝動ベルトに要求される物性を得ることが可能になる。
本願請求項4に記載のように、リブ部の表面層が有機過酸化物で架橋されていると、エチレン−α−オレフィンエラストマーと超高分子量ポリエチレン粉体との界面では共架橋が起こり、超高分子量ポリエチレン粉体の脱落も少なくなってより耐摩耗性低下、物性低下などが起こりにくくなる。
本願請求項5に記載のように、上記リブ部の表面層が更に短繊維で植毛されていると、より長期間、低摩擦係数を維持することができ、ミスアライメントやスティックスリップによる発音を抑制できるVリブドベルトになる。
本願発明のVリブドベルトは、リブ部の表面層にエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して超高分子量ポリエチレン粉体を2〜30重量部配合して摩擦係数を低下させたゴム組成物を使用することにより、長期間、低摩擦係数を維持することができ、ミスアライメントやスティックスリップによる発音を抑制することができる。即ち、超高分子量ポリエチレン粉体はリブ部の表面層においてエチレン−α−オレフィンエラストマーと相溶性が良くて分散しやすく、物性低下を抑制して長期間安定した低摩擦係数を維持する。また、溶融せずに粉体形状を維持した状態で分散するため、表面層に露出した粉体が摩擦係数を効率よく低下させることができ、長期間、低摩擦係数を維持することができる。
図1には本発明に係るVリブドベルトの断面図を示す。Vリブドベルト1は、ゴム層からなる伸張部5と、撚糸コードよりなる心線3を埋設した接着部2、その下側に圧縮部6を配置した構成からなる。前記心線3は、その一部が伸張部5に接し、残部が接着部2に接した状態となっている。そして圧縮部6は、ベルト長手方向に延びる断面略三角形である台形の複数のリブ部7を有しており、該リブ部7が摩擦伝動部、そしてリブ部7表面が摩擦伝動面となっている。
上記リブ部7は内層10とプーリと接触する摩擦伝動面となる表面層11で形成されている。表面層11は低い摩擦係数を長時間維持してミスアライメントやスティックスリップによる発音を抑制することができるように、ゴム組成物中にて超高分子量ポリエチレン粉体が含有している。内層10中には、ベルト幅方向の耐側圧性を高めるために短繊維を含有させてもよいが、特に含有させる必要もない。
上記リブ部7における表面層11の占める割合は、5〜20vol%であり、5vol%未満になると、摩耗によって超高分子量ポリエチレン粉体8の効果が短時間でなくなり、一方20vol%を超えると、超高分子量ポリエチレン粉体の使用量が増し、コスト高になる。
上記リブ部7の内層10は、エチレン−α−オレフィンエラストマーからなるゴム組成物であり、プーリと接触する表面層11にはエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して超高分子量ポリエチレン粉体2〜30重量部を配合し、混練りを超高分子量ポリエチレン粉体の融点温度未満で行ったゴム組成物を使用し、分散した超高分子量ポリエチレン粉体の存在によって、プーリなどの相手材表面と接触するエラストマー成分の比率が低下して、低摩擦係数をもつゴム配合物を得ることができる。また超高分子量ポリエチレンがエチレン−α−オレフィンエラストマーとの組み合わせであるため、相溶性が良くゴム組成物中で分散しやすいこと、そして物性低下を抑制して長期間安定した低摩擦係数を実現することが可能になる。
尚、超高分子量ポリエチレン粉体の添加量が2重量部未満になると、摩擦係数を低下させる効果が小さくなり、一方30重量部を超えると摩擦係数は低下するが、その反面ゴム組成物の硬度が高く、またモジュラスが大きく、切断時の伸びが小さくなって、表面層11に適さないゴム組成物になる。
ここで使用する超高分子量ポリエチレン粉体は、市販の粉末状の超高分子量ポリエチレン樹脂で、平均分子量が粘度法で100万g/mol以上、光散乱法で300万g/mol以上のものを総称するが、本発明で用いられるものとしてはその中でも粘度法による平均分子量が300万〜800万g/molのものであり、例えばティコナ・ジャパン(株)のGUR、三井化学(株)のハイゼックスミリオン(Hi−zex Million)などが挙げられる。また、上記超高分子量ポリエチレン粉体の平均一次粒子径が10〜200μmであり、融点が130〜135℃である。
エチレン・α−オレフィンエラストマーとしては、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテンなど)の共重合体、あるいは、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンの共重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレンゴム(EPM)やエチレン−プロピレン−ジエン・ターポリマー(EPDM)などのゴムをいう。上記ジエン成分としては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジエンが挙げられる。
また、上記内層10と表面層11に使用するゴム組成物には、架橋剤として有機過酸化物が配合されることが望ましい。有機過酸化物としては、例えばジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等を挙げることができる。この有機過酸化物は、単独もしくは混合物として、ゴム100重量部に対して0.5〜8重量部の範囲で好ましく使用される。
更に、前記ゴム組成物は、ゴム成分100重量部に対して、N,N’−m−フェニレンジマレイミドを好ましくは0.5〜13重量部配合することができる。N,N’−m−フェニレンジマレイミドは共架橋剤として作用し、0.5重量部未満では添加による効果が顕著でなく、13重量部を超えると引裂き力並びに接着力が急激に低下する。このとき、共架橋剤としてN,N’−m−フェニレンジマレイミドを選択した場合、架橋密度が高くなり、耐摩耗性が高く、また注水時と乾燥時の伝達性能の差が少なくなる。
そして、それ以外に必要に応じてカーボンブラック、シリカのような増強剤、炭酸カルシウム、タルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが使用される。
ゴム組成物の架橋物の作製では、エチレン−α−オレフィンエラストマーと超高分子量ポリエチレン粉体を配合し、超高分子量ポリエチレンの融点(130〜135℃)未満で混練りし、続いて超高分子量ポリエチレン粉体の融点を超える温度で架橋する。
混練りを超高分子量ポリエチレン粉体の融点未満で行うと、ゴム組成物中で添加した超高分子量ポリエチレンの粉体形状を保持することができて、摩擦係数を低下させる効果がある。融点を超える温度で混練りすれば、ゴム組成物中で超高分子量ポリエチレン粉体が変形し微細に分散してしまうことになり、摩擦係数を低下させる効果が少なくなる。またこのような状態になった場合、ゴム組成物が未加硫状態でも剛直になってしまい、混練り後の成形が困難になるという不具合も発生する。本発明では、超高分子量ポリエチレン粉体を添加した状態、すなわち添加した時点と同レベルの粒子径を保持することが必要である。また、融点を超えた温度で架橋を行うことで、超高分子量ポリエチレン粉体が保形性を有したまま溶融状態に近づき、もしくは溶融し、周囲に存在するエチレン−α−オレフィンエラストマーとの界面の親和性が増すことになる。
心線3としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維が使用され、中でもエチレン−2,6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維フィラメント群を撚り合わせた総デニール数が4,000〜8,000の接着処理したコードが、ベルトスリップ率を低くできてベルト寿命を延長させるために好ましい。このコードの上撚り数は10〜23/10cmであり、また下撚り数は17〜38/10cmである。総デニールが4,000未満の場合には、心線のモジュラス、強力が低くなり過ぎ、また8,000を越えると、ベルトの厚みが厚くなって、屈曲疲労性が悪くなる。
エチレン−2,6−ナフタレートは、通常ナフタレン−2,6−ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を触媒の存在下に適当な条件のもとにエチレングリコールと縮重合させることによって合成させる。このとき、エチレン−2,6−ナフタレートの重合完結前に適当な1種または2種以上の第3成分を添加すれば、共重合体ポリエステルが合成される。
心線3にはゴムとの接着性を改善する目的で接着処理が施される。このような接着処理としては繊維をレゾルシン−ホルムアルデヒド−ラテックス(RFL)液に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限ることなくエポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行った後に、RFL液で処理する方法等もある。
接着処理されたコードは、スピニングピッチ、即ち心線の巻き付けピッチを1.0〜1.3mmにすることで、モジュラスの高いベルトに仕上げることができる。1.0mm未満になると、コードが隣接するコードに乗り上げて巻き付けができず、一方1.3mmを越えると、ベルトのモジュラスが徐々に低くなる
一方、接着部2には耐熱性を有し、圧縮部6と同種のゴムが使用される。ただし、超高分子量ポリエチレン粉体は混入されないが、必要に応じてカーボンブラック、シリカのような増強剤、炭酸カルシウム、タルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合に用いるものが使用される。
伸張部5は、圧縮部6と同様のゴム組成物を用いることもできるが、別のゴム組成物で構成してもよい。ここで伸張部5は、カバー帆布とゴム組成物で形成してもよく、また背面駆動時の異音を抑制すべく、背表面に凹凸パターンを設けることもできる。凹凸パターンとしては、編布パターン、織布パターン、スダレ織布パターンなどを挙げることができるが、最も好ましくは織物パターンである。
また短繊維を混入したゴム組成物を用いることもできる。この場合、短繊維としては、ポリエステル、アラミド、ポリアミド、綿、PBOなどの短繊維を所望に応じて配合することができる。短繊維はランダム方向に配向しているが、ベルト幅方向に配向させるなど一方向に配向していてもかまわない。
尚、ランダム方向に配向させた場合、多方向からの裂きや亀裂の発生を抑制できるといった特長があるが、このとき短繊維として屈曲部を有する短繊維(例えばミルドファイバー)を選択すると、より多方向から作用する力に対して亀裂の発生を抑制できるといった効果がある。ミルドファイバーは、例えばポリアミド製のものを用いることができ、繊維長が0.1〜3.0mmの範囲であることが望ましい。また、伸張部における短繊維の配合量は、ゴム100重量部に対して短繊維が35〜100の範囲の割合となるように、短繊維が含有されていることが望ましい。
また上記カバー帆布は、織物、編物、不織布などから選択される繊維基材である。構成する繊維素材としては、公知公用のものが使用できるが、例えば綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。織物の場合は、これらの糸を平織、綾織、朱子織等することにより製織される。無論、カバー帆布を使用しない場合もある。
上記Vリブドベルト1の代表的な製造方法は以下の通りである。この方法はリブ部を型付けにより作製する工法である。
(1)拡張ダイを用いてエチレン−α−オレフィンエラストマーからなるゴム組成物を内層にエチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して超高分子量ポリエチレン粉体2〜30重量部を配合したゴム組成物を表面層(外層)に積層した2層の筒状成形体に押出成形する。
(2)外周面に可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型を刻印した外型との間に、上記2層の筒状成形体を介在させ、その後上記可撓性ジャケットを膨張させて、上記筒状成形体を表面層が外型の刻印したリブ型に密着するように未加硫の予備成型体を作製する。
(3)外型から離脱した内型の可撓性ジャケット面に心線、伸張部等を巻き付け、再度、この内型を外型内に設置し、可撓性ジャケットを膨張させて心線を外型に装着した予備成型体と一体的に加硫し、そして脱型して内層10とプーリと接触する摩擦伝動面となる表面層11からなるリブ部7を有する加硫ベルトスリーブを作製する。
(4)上記加硫ベルトスリーブを所定幅にカットしてVリブドベルトを作製することができる。
図2に示すVリブドベルト1は、図1に示すVリブドベルトのリブ部7の表面層11に短繊維13の植毛層14が形成されている。尚、図面中の符号は図1と同じである。
上記短繊維13としては、6ナイロン,66ナイロンなどのポリアミド短繊維、レーヨン短繊維、p−アラミド,m−アラミドなどのアラミド短繊維、綿短繊維、そしてポリエチレン短繊維などを挙げることができる。好ましくは、繊維径が5〜36μm、繊維長が0.2〜2.0mmの短繊維を用いることが望ましい。
短繊維13の密度は摩擦係数や走行時の音に寄与するものであり、具体的には10,000〜500,000本/cm2が望ましいが、限定されるものではない。また植毛層14は、0.05〜0.5mmの厚みとすることが好ましい。0.05mm未満では摩耗により植毛層14の効果が薄れてしまうといった不具合がある。一方、0.5mmを超えると圧縮部表面の伸縮性が損なわれる為、耐屈曲疲労性に乏しくなる。
短繊維を付着させる方法としては、機械的、静電気的など方法は限定されるものではない。例えばRFL液、ウレタン系エマルジョン、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、スチレン系エマルジョン、ゴム系接着剤、有機溶剤系接着剤等からなる接着剤層を形成した予備成型体上に、短繊維を落下または吹き付けなどにより、ゴム表面に短繊維を付着させ、その後、自然または加熱乾燥を行う。また例えば、接着剤層を形成した予備成型体を配置した金型をアースとし、静電植毛機の電極に電圧を印加することにより電界を形成し、この電界内に表面を電着処理した短繊維を供給し、飛翔させてゴム表面に向けて突き刺すことにより短繊維を付着させ、その後、自然または加熱乾燥を行う。尚、密度や均一性を考慮すると、静電植毛が望ましい。
そしてこの植毛層を配設した未加硫ベルトスリーブを加硫することにより、短繊維は表面層に固着したまま(場合によってはゴムに一部又は大部分が埋設されて固着して)植毛層を形成し、植毛層を配設した加硫ベルトスリーブを形成する。
本発明にかかるVリブドベルトは自動車用あるいは一般産業用の駆動装置などに装着できる。
1 Vリブドベルト
2 接着部
3 心線
5 伸張部
6 圧縮部
7 リブ部
10 内層
11 表面層
2 接着部
3 心線
5 伸張部
6 圧縮部
7 リブ部
10 内層
11 表面層
Claims (5)
- 伸張部とベルト周方向に延びる複数のリブ部からなる圧縮層を有し、ベルト長手方向に沿って心線を伸張部と圧縮部の間に埋設したVリブドベルトであり、プーリと接触するリブ部の表面層のみに、エチレン−α−オレフィンエラストマー100重量部に対して超高分子量ポリエチレン粉体が2〜30重量部配合され、該超高分子量ポリエチレン粉体が溶融せずに粉体形状で分散させたゴム層を使用していることを特徴とするVリブドベルト。
- 上記超高分子量ポリエチレン粉体の平均一次粒子径が10〜200μmである請求項1記載のVリブドベルト。
- 上記リブ部の表面層に使用されるエチレン−α−オレフィンエラストマーがエチレン−プロピレン−ジエン・ターポリマーである請求項1または2記載のVリブドベルト。
- 上記リブ部の表面層が有機過酸化物によって架橋されている請求項1乃至3の何れかに記載のVリブドベルト。
- 上記リブ部の表面層が短繊維で植毛されている請求項1乃至4の何れかに記載のVリブドベルト。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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- 2005-12-20 JP JP2005365783A patent/JP2007170454A/ja active Pending
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