JP2004076927A - Vリブドベルト及びその製造方法 - Google Patents

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Muneo Tsukamoto
塚本 宗夫
Mamoru Sawada
澤田 守
Takayuki Tagawa
田川 孝之
Akihiro Nagata
永田 昭裕
Tetsuji Mori
森 哲司
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Abstract

【課題】リブ部の表面層に滑材混入ゴム層を配し、滑材を露出させてベルト走行時のスリップ音を軽減し、更にはスクラップとなる研磨屑の量を削減したVリブドベルト及びその製造方法を提供する。
【解決手段】接着ゴム層3にベルト長手方向に沿って心線2が埋設され、接着ゴム層3の下部に複数のリブ部6を有するVリブドベルト1であり、リブ部6が滑材8を含む表面層7と、短繊維9を含む内部層10の2層で構成され、かつ表面層7が研磨加工されて、滑材6がリブ部6表面で露出している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はVリブドベルト及びその製造方法に係り、詳しくはリブ部の表面層に滑材混入ゴム層を配し、滑材を露出させてベルト走行時のスリップ音を軽減し、更にはスクラップとなる研磨屑の量を削減したVリブドベルト及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用部品に用いられるVリブドベルトは、自動車のエアーコンプレッサーやオルタネータ等の補機駆動の動力伝動に広く利用されている。この種のベルトでは、リブ部に綿、ナイロン、ビニロン、レーヨン、アラミド繊維などの短繊維群をベルト幅への配向性を保って埋設することにより、ベルトの摩擦伝動部の耐側圧性を高め、更に埋設した短繊維の一部をベルト側面より意図的に突出させ、リブ部の摩擦性能および粘着による発音の抑止効果を狙っている。
【0003】
しかし、上記対策によりベルト幅方向のモジュラスを高めると、圧縮ゴム層はベルト長手方向に対する伸度が低下し、その結果、耐屈曲性の低下が生じて早期に圧縮ゴム層にクラックが発生することが指摘されている。特に多軸レイアウトによる背面走行においてその現象は顕著であった。
【0004】
また、近年における自動車業界の動向として、これら伝動ベルトは排気量がより大きいエンジンに適用される傾向にある。更に、最近のエンジンでは燃費向上と排出ガス低減を行うため希薄燃焼になっており、エンジンの回転変動、振動が従来に比べて大きくなり、また補機ベルトもサーペンタイン化によって小プーリ、屈曲角の大きなレイアウトになり、ベルトへの負荷が一層大きくなって発音の問題が発生している。この発音の原因はベルトとプーリ間にスリップとグリップが繰り返されるスティックスリップと考えられている。
【0005】
これを改善するために、タルクなどのパウダーをリブ部表面に塗付する方法(特許文献1)や、シリコン油を付着させ、リブ部表面の摩擦係数を低下させることが提案された。更には、特許文献2には、ベルト表面の摩擦係数を長期にわたって実質的に一定にするために、ゴム中にシリコン油を活性炭のような多孔性粒子に吸着させた伝動ベルトが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
実公平7−31006号公報
【特許文献2】
特開平5−132586号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、タルクなどのパウダーをリブ表面に塗付したり、シリコン油を付着させることは、ベルトの初期走行段階でのスリップ音を軽減することを狙ったもので、初期の目標を達成したが、長時間走行した後のベルトでは、滑剤が表面から飛散するために、ベルト表面の摩擦係数を軽減する効果は、長時間にわたって維持できなかった。一方、ゴム中にシリコン油を活性炭のような多孔性粒子に吸着させる方法では、ベルト表面へのプリーディング効果を発揮させるために所定量の該多孔性粒子をゴム中に均一に分散させることは困難な作業があった。しかも、ベルト表面層に近い多孔性粒子のみがプリーディング効果を発揮しやすく、内部に埋設して多孔性粒子の効果は期待しにくかった。
【0008】
本発明は、これら上記問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、リブ部の表面層に滑材混入ゴム層を配し、滑材を露出させてベルト走行時のスリップ音を軽減し、更にはスクラップとなる研磨屑の量を削減したVリブドベルト及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願請求項1記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有するVリブドベルトにおいて、リブ部が内層と表面層の二層で構成され、該表面層が滑材混入ゴム層であり、かつ表面層が研磨加工されて、滑材をリブ部表面に露出させたVリブドベルトにあり、リブ部が内層と表面層の二層で構成され、表面層が滑材混入ゴム層であり、かつ滑材をリブ部表面に露出させていることからリブ部表面の摩擦係数を小さい状態で長時間にわたり維持してベルト走行時のスリップ音を軽減することができる。
【0010】
本願請求項2記載の発明は、リブ部がゴム中に滑材を含む表面層と短繊維を含む内部層の2層で構成されているVリブドベルトにあり、リブ部表面の摩擦係数を小さい状態で長時間にわたり維持してベルト走行時のスリップ音を軽減でき、更には内部層に埋設した短繊維が補強材になってベルトの耐側圧性を維持することもできる。
【0011】
本願請求項3記載の発明は、内部層において短繊維が波形状に配向しているVリブドベルトにあり、ベルトの耐側圧性を維持している。
【0012】
本願請求項4記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有する伝動ベルトの製造方法において、
外周面に可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型を刻印した外型との間に、それぞれ個別に成形した滑材混入ゴムシートと圧縮ゴム用シートとを積層した積層ゴムシートを介在させ、
該積層ゴムシートを、上記可撓性ジャケットを膨張させて外型の刻印したリブ型に密着するように未加硫の予備成型体を作製し、
外型から離脱した内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付け、再度、上記内型を外型内に設置し、可撓性ジャケットを膨張させて心線を外型に装着した予備成型体と一体的に加硫してリブ部を有する加硫ベルトスリーブを作製し、
脱型した加硫ゴムスリーブのリブ部表面を研磨して、滑材をリブ部表面に露出させる、Vリブドベルトの製造方法にある。
【0013】
本発明方法では、未加硫ゴムスリーブを外型の刻印したリブ型に密着加硫し、脱型した加硫ゴムスリーブのリブ部表面を研磨するために、スクラップとなる研磨屑の量を削減でき、また滑材をリブ部表面に露出させていることから、リブ部表面の摩擦係数が小さく、しかもこの状態を長時間にわたり維持できるため、ベルト走行時のスリップ音を軽減できる。更には、ベルト成形工程において、予め未加硫の予備成型体を作製するために、可撓性ジャケットの膨張による心線の伸張量を小さく設定でき、心線を平坦に配置させることができると言った効果がある。
【0014】
本願請求項5記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有するVリブドベルトの製造方法において、
内型の外周面に装着した可撓性ジャケット面に、少なくとも心線、圧縮ゴム用シート、そして滑材混入ゴムシートを順次積層した未加硫ゴムスリーブを巻き付けた後、該内型と内周面にリブ型を刻印した外型とを組合せ、
内型と可撓性ジャケットとの間に、圧力媒体を送入し可撓性ジャケットを膨張させて未加硫ゴムスリーブを外型の刻印したV形溝に密着して加硫し、
脱型した加硫ゴムスリーブのリブ部表面を研磨して、滑材をリブ部表面に露出させる、Vリブドベルトの製造方法にある。
【0015】
本発明方法では、未加硫ゴムスリーブを外型の刻印したリブ型に密着加硫し、脱型した加硫ゴムスリーブのリブ部表面を研磨するために、スクラップとなる研磨屑の量を削減でき、また滑材をリブ部表面に露出させていることから、リブ部表面の摩擦係数が小さく、しかもこの状態を長時間にわたり維持できるため、ベルト走行時のスリップ音を軽減できる。
【0016】
本願請求項6記載の発明は、滑材混入ゴムシートと圧縮ゴム用シートとは、それぞれ押出成形によって押出されたものであるVリブドベルトの製造方法にある。
【0017】
本願請求項7記載の発明は、滑材混入ゴムシートと併用する圧縮ゴム用シートは、短繊維を混入しているVリブドベルトの製造方法にある。
【0018】
本願請求項8記載の発明は、本願請求項5記載の未加硫ゴムスリーブが補強繊維層、接着ゴムシート、心線、圧縮ゴム用シート、そして滑材混入ゴムシートとを順次積層した構成からなるVリブドベルトの製造方法にある。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1に示すVリブドベルト1は、高強度で低伸度のコードよりなる心線2を接着ゴム層3中に埋設し、その下側に弾性体層である圧縮ゴム層を有している。この圧縮ゴム層にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ部6が設けられ、またベルト背面には補強材5が設けられている。
【0020】
しかして、本発明に係るVリブドベルトでは、リブ部6は滑材8を含む表面層7と、ベルト幅方向を補強する短繊維9を含む内部層10の2層で構成され、かつ表面層7を研磨加工して滑材8を露出させ、優れた耐摩耗性を有するとともにリブ部6表面の摩擦係数が小さく長時間にわたり維持されてベルト走行時のスリップ音を軽減する。内部層10中に含有している短繊維9は、無端状未加硫ゴムスリーブを外型の刻印したリブ型に密着して加硫すると、リブ部6で波形状に配向し、ベルトの耐側圧性を維持している。
【0021】
表面層7中に含有した滑材8の代表的なものとして、グラファイト、二硫化モリブデン、雲母、タルク、三酸化アンチモン、2セレン化モリブデン、二硫化タングステン、PTFE、およびこれらの混合物であり、ゴム100質量部に対して10〜60質量部の割合で配合されることが好ましい。10質量部未満では、耐摩耗性の改善効果は低く、またリブ部表面の摩擦係数が大きくなり、粘着摩耗は発生しやすくてベルト走行時のスリップ音も軽減しにくい。一方、60質量部を超えると、ムーニー粘度が高くなり加工上の問題が生じる。滑材はそのまま混練り時に添加しても差し支えないが、より分散性、補強性を得るベく、混練り前もしくは混練り時にシランカップリング剤やチタンカップリング剤などの処理剤を使用することも可能である。
【0022】
リブ部6における表面層7の占める割合は、5〜20vol%であり、5vol%未満になると、摩耗によって滑材の効果が短時間でなくなり、一方20vol%を超えると、内部層10の占める割合が少なく、耐側圧性に欠ける。
【0023】
内部層10中に含有している短繊維9は、アラミド繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿等の繊維からなり繊維の長さは繊維の種類によって異なるが、1〜10mm程度の短繊維が用いられ、例えばアラミド繊維であると3〜5mm程度、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、綿であると5〜10mm程度のものが用いられる。その添加量はゴム100質量部に対して10〜40質量部である。
【0024】
上記アラミド短繊維が前述の効果を十分に発揮するためには、アラミド繊維の繊維長さは1〜20mmで、その添加量はゴム100質量部に対して1〜30質量部である。このアラミド繊維は分子構造中に芳香環をもつアラミド、例えば商品名コーネックス、ノーメックス、ケブラー、テクノーラ、トワロン等である。
【0025】
尚、アラミド短繊維の添加量が1質量部未満の場合には、リブ部6の耐側圧性に欠けることがあり、また一方30質量部を超えると短繊維がゴム中に均一に分散しなくなる。ただし、このアラミド短繊維の添加は必須ではなく、他の素材からなる短繊維を添加したものでも良い。
【0026】
更に、上記ゴムには、軟化剤、カーボンブラックからなる補強剤、充填剤、老化防止剤、加硫促進剤、加硫剤等が添加される。
【0027】
上記軟化剤としては、一般的なゴム用の可塑剤、例えばジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタレート系、ジオクチルアジペート(DOA)等のアジペート系、ジオクチルセバケート(DOS)等のセバケート系、トリクレジルホスフェート等のホスフェートなど、あるいは一般的な石油系の軟化剤が含まれる。
【0028】
無論、本発明では、内部層10中に短繊維を含有させる必要はない。
【0029】
表面層7及び内部層10に使用されるゴムとしては、天然ゴム、ブチルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン、水素化ニトリルゴム、水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマー、エチレン−プロピレンゴム(EPR)やエチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)からなるエチレン−α−オレフィンエラストマー等のゴム材の単独、またはこれらの混合物が使用される。ジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどが挙げることができる。
【0030】
上記エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、その代表的なものとしてEPDMがあり、これはエチレン−プロピレン−ジエンモノマーをいう。ジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどがあげられる。また、エチレン−プロピレン系ゴム(EPR)も使用可能である。
【0031】
上記ゴムの架橋には、硫黄や有機過酸化物が使用され、有機過酸化物としては例えばジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等を挙げることができる。この有機過酸化物は、単独もしくは混合物として、通常エチレン−α−オレフィンエラストマー100gに対して0.005〜0.02モルgの範囲で使用される。
【0032】
また、架橋助剤(co−agent)を配合することによって、架橋度を上げて粘着摩耗等の問題を防止することができる。架橋助剤として挙げられるものとしては、TIAC、TAC、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N‘−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄など通常パーオキサイド架橋に用いるものである。
【0033】
そして、それ以外に必要に応じてカーボンブラック、シリカのような補強剤、炭酸カルシウム、タルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが使用される。
【0034】
尚、接着ゴム3に使用するゴム組成物は、短繊維を除いた内部層10のゴム配合物に類似している。
【0035】
心線2としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維が使用され、中でもエチレン−2,6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維フィラメント群を撚り合わせた総デニール数が4,000〜8,000の接着処理したコードが、ベルトスリップ率を低く抑えることができ、ベルト寿命を延長させるために好ましい。また、心線2にはゴムとの接着性を改善する目的で接着処理が施される。このような接着処理としては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限ることなくエポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行なった後に、RFL液で処理する方法等もある。
【0036】
心線は、スピニングピッチ、即ち心線の巻き付けピッチを1.0〜1.3mmにすることで、モジュラスの高いベルトに仕上げることができる。1.0mm未満になると、コードが隣接するコードに乗り上げて巻き付けができず、一方1.3mmを越えると、ベルトのモジュラスが徐々に低くなる。
【0037】
補強材5は、織物、編物、不織布から選択され、構成する繊維素材としては、例えば綿、麻等の天然繊維や、金属繊維、ガラス繊維等の無機繊維、そしてポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。上記補強材15は、公知技術に従ってRFL液に浸漬後、未加硫ゴムを基布5に擦り込むフリクションを行い、またRFL液に浸漬後にゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理する。
【0038】
以下に、上記Vリブドベルトの製造方法を説明する。
最初に、短繊維をシートの幅方向へ配向した短繊維含有ゴムシート14に滑材を配合した滑材含有ゴムシート16を積層した圧縮ゴム用シート20を用意する。本発明では、短繊維含有ゴムシート14や滑材含有ゴムシート16をそれぞれ押出方法やカレンダーによる圧延方法によって作製する。無論、短繊維を含有させないゴムシートも使用することができる。
【0039】
短繊維含有ゴムシート14を押出方法で作製する場合には、予めオープンロールによってポリマー100質量部に10〜40質量部の短繊維を投入して混練した後、混練したマスターバッチをいったん放出し、これを20〜50°Cまで冷却してゴムのスコーチを防止する。
【0040】
1〜10質量部の軟化剤を投入すると、短繊維とゴムのなじみが良くなり、ゴム中への分散が良くなるばかりか、短繊維自体が絡み合って綿状になるのを防ぐ効果がある。即ち、軟化剤が短繊維に浸透し、素繊維同士の絡み合いがほぐれるための潤滑剤としての役割をはたし、短繊維が綿状になるのを阻止し、かつ短繊維とゴムのなじみが良くなって短繊維の分散が良くなる
【0041】
続いて、押出機に拡張ダイを取り付けた押出装置を用いて短繊維を幅方向に配向させた一枚のゴムシートに仕上ることができる。ここでは図示していないが、マスターバッチを押出機におけるシリンダーの押出スクリューで混練りした後、短繊維混入ゴムをシリンダーと相対向した位置にあって同一の中心軸線上に配置した内ダイ間のゴム通路で流動阻害を受けず、かつ流れ方向を変えることなくスムーズに拡張ダイのゴム通路へ流し、そして該ゴム通路の中を通過させながら短繊維を円周方向に配向させた筒状成形体に押出成形する。
【0042】
その後、連続して押出成形されたウェルドラインのない筒状成形体は、短繊維が内層から外層にかけて円周方向に均一に配向した厚さ1〜10mmのものであり、切断手段によって1個所切開しながら一枚の短繊維配向ゴムシートにし、続いて該ゴムシートを所定間隔で切断する。
【0043】
滑材含有ゴムシート16を押出方法で作製する場合も、上記の短繊維含有ゴムシート14と同様に作製することができる。
【0044】
前記方法で得られた短繊維含有ゴムシート14と滑材含有ゴムシート16を積層した圧縮ゴムシート20を用いてVリブドベルトを製造する。その工程を添付図面により順次説明する。
【0045】
先ず、図2に示すように内型41に装着された可撓性ジャケット42の外周面に、滑材含有ゴムシート16が外型46のリブ型45に面するように短繊維含有ゴムシート14と滑材含有ゴムシート16を積層した圧縮ゴム用シート20を巻き付ける。
【0046】
次いで、圧縮ゴム用シート20を捲き付けたベルト加硫機40の内型41を外型46の内側に一定の空隙部を形成するよう基台上に載置する。内型41は別の成形工程より移動してくる関係上、媒体流通口Aと媒体送入排出路Bとは分離しており、内型41を基台に載置後、媒体流通口AをジョイントJでパイプと連結する。
【0047】
媒体送入機を作動して高圧空気もしくは高圧蒸気を媒体送入排出路B、媒体流通口Aを経て、可撓性ジャケット42の内部に送入する。可撓性ジャケット42は、その上下部が内型41上に密閉固定されているため、可撓性ジャケット42の内面と内型41の外面の間に空気が充満し、可撓性ジャケット42は次第に膨張する。そして、その外周面に装着されている圧縮ゴム用シート20を半径方向に均一に膨張させ、加熱ヒーター若しくは高温蒸気で100〜160℃に加熱した外型46のリブ型45と30〜120秒間接触せしめる。
【0048】
このとき、可撓性ジャケット42の膨張押圧力により、上記圧縮ゴム用シート20が外型46のリブ型45に押圧され、図3のような表面に複数のV型突起を有する未加硫の予備成型体21を形成するに至る。
【0049】
その後は、バルブを真空ポンプの方へ切替えて、可撓性ジャケット42内に充満している空気を排気し、次いで吸引作用で可撓性ジャケット42を図1に示す元の位置に収縮復帰せしめる。
【0050】
そして、内型41を外型46から抜き取り、内型41の可撓性ジャケット42の外周面に補強布47、接着ゴムシート49、およびコードからなる心線48を順次に捲き付ける。その後、図4に示すようにこの内型41を外型46内へ設置した後、図5に示すように可撓性ジャケット42を膨張させ、補強布47と心線48を半径方向に均一に膨張させ、加熱ヒーター若しくは高温蒸気で100〜180℃に加熱した外型46のリブ型45に装着した予備成型体21に密着して一体的に加硫し、ベルトスリーブ51を作製する。上記製造方法のように未加硫の予備成型体21を成型することにより、成形時に可撓性ジャケット42の膨張による心線48の伸張量を抑え、また心線48を平坦に配置でき、寸法安定性に優れたVリブドベルトを作製することができる。
【0051】
本発明方法では、圧縮ゴム用シート20の筒状体を、可撓性ジャケット42を装着した内型41とリブ型45を刻印した外型46との間に介在させることもできる。即ち、該圧縮ゴム用シート20の筒状体を外型46のリブ型45に接した状態で配置し、また内型41と外型46との間に間隙をおいて配置し、未加硫の予備成型体21を形成することもできる。
【0052】
加硫後は、図6に示すように可撓性ジャケット42を収縮させ、内型41を外型46から抜き取った後、外型46に装着した加硫ベルトスリーブ51を取り出す。
【0053】
内型41から抜き取られた加硫済みベルトスリーブ51は、以後別のドラムに挿入し、加硫済みベルトスリーブ51のリブ部表面層を公知のグラインダーホイールを用いて研削する。
【0054】
そして、研磨加工した加硫ベルトスリーブ51を別のドラムに挿入して回転させながら円周方向に所定幅に切断し、ドラムより取出して反転することにより、周長が一定で、V形リブが正確に型付形成された第1図に示すようなVリブドベルト1が複数本得られる。
【0055】
また、本発明では、上記のように予備成型体21を作製せずに、Vリブドベルトを製造することもできる。
この場合、先ず図2に示されるような内型に装着された可撓性ジャケットの外周面に、補強布、接着ゴムシート、コードからなる心線、上記短繊維含有ゴムシート14と滑材含有ゴムシート16を積層した圧縮ゴム用シート20を順次無端状に捲き付けてベルトスリーブを作製する。尚、該圧縮ゴム用シート20は滑材を配合した滑材含有ゴムシート16が外周面となるよう巻き付けられる。
【0056】
次いで、このベルトスリーブを内型に捲き付けた状態のままで、外型の内側に一定の空隙部を形成するよう基台上に載置固定する。可撓性ジャケットを膨張させ、ベルトスリーブを半径方向に均一に膨張させ、加熱ヒーター若しくは高温蒸気で加熱した外型のV形突起と接触せしめ、加硫ベルトスリーブを作製することもできる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本願請求項記載の発明では、リブ部が滑材を含む表面層と内部層の2層で形成され、かつ滑材をリブ部表面から露出させていることから、優れた耐摩耗性を有するとともにリブ部表面の摩擦係数を小さい状態で長時間にわたり維持してベルト走行時のスリップ音を軽減し、また内部層に短繊維を埋設した場合にはベルトの耐側圧性を維持することもでき、無端状未加硫ゴムスリーブを外型の刻印したリブ型に密着して加硫し、脱型した無端状加硫ゴムスリーブのリブ部表面層を研磨するため、スクラップとなる研磨屑の量を削減できる効果があり、更には成形工程において、予め未加硫の予備成型体を作製するために、可撓性ジャケットの膨張による心線の伸張量を小さく設定でき、心線を平坦に配置させることができると言った効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るVリブドベルトの断面斜視図である。
【図2】予備成型体を成形している状態の縦断図である。
【図3】予備成型体を作製した後状態の断面図である。
【図4】未加硫のベルトスリーブを作製する前状態の断面図である。
【図5】ベルトスリーブを加硫している状態の断面図である。
【図6】ベルトスリーブを加硫した後状態の断面図である。
【符号の説明】
1  Vリブドベルト
2  心線
3  接着ゴム層
5  補強材
6  リブ部
7  表面層
8  滑材
9  短繊維
10 内部層
14 短繊維含有ゴムシート
16 滑材含有ゴムシート
20 圧縮ゴム用シート
21  予備成型体
41  内型
42  可撓性ジャケット
45  リブ型
46  外型
48  心線
51  ベルトスリーブ

Claims (8)

  1. ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有するVリブドベルトにおいて、リブ部が内層と表面層の二層で構成され、該表面層が滑材混入ゴム層であり、かつ表面層が研磨加工されて、滑材をリブ部表面に露出させたことを特徴とするVリブドベルト。
  2. リブ部がゴム中に滑材を含む表面層と短繊維を含む内部層の2層で構成されている請求項1記載のVリブドベルト。
  3. 内部層において短繊維が波形状に配向している請求項2記載のVリブドベルト。
  4. ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有する伝動ベルトの製造方法において、
    外周面に可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型を刻印した外型との間に、それぞれ個別に成形した滑材混入ゴムシートと圧縮ゴム用シートとを積層した積層ゴムシートを介在させ、
    該積層ゴムシートを、上記可撓性ジャケットを膨張させて外型の刻印したリブ型に密着するように未加硫の予備成型体を作製し、
    外型から離脱した内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付け、再度、上記内型を外型内に設置し、可撓性ジャケットを膨張させて心線を外型に装着した予備成型体と一体的に加硫してリブ部を有する加硫ベルトスリーブを作製し、
    脱型した加硫ゴムスリーブのリブ部表面を研磨して、滑材をリブ部表面に露出させる、
    ことを特徴とするVリブドベルトの製造方法。
  5. ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有するVリブドベルトの製造方法において、
    内型の外周面に装着した可撓性ジャケット面に、少なくとも心線、圧縮ゴム用シート、そして滑材混入ゴムシートを順次積層した未加硫ゴムスリーブを巻き付けた後、該内型と内周面にリブ型を刻印した外型とを組合せ、
    内型と可撓性ジャケットとの間に、圧力媒体を送入し可撓性ジャケットを膨張させて未加硫ゴムスリーブを外型の刻印したV形溝に密着して加硫し、
    脱型した加硫ゴムスリーブのリブ部表面を研磨して、滑材をリブ部表面に露出させる、
    ことを特徴とするVリブドベルトの製造方法。
  6. 滑材混入ゴムシートと圧縮ゴム用シートとは、それぞれ押出成形によって押出されたものである請求項4または5記載のVリブドベルトの製造方法。
  7. 滑材混入ゴムシートと併用する圧縮ゴム用シートは、短繊維を混入している請求項4〜6の何れかに記載のVリブドベルトの製造方法。
  8. 未加硫ゴムスリーブが補強繊維層、接着ゴムシート、心線、圧縮ゴム用シート、そして滑材混入ゴムシートとを順次積層した構成からなる請求項5記載のVリブドベルトの製造方法。
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