JP4233924B2 - 伝動ベルトの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は伝動ベルトの製造方法に係り、詳しくは製造工数を少なくして低コストで成形できる伝動ベルトの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、未加硫ゴム中に短繊維を一定方向へ配向させる方法としては、圧延シート作製工程のように、回転速度を変えた一対のカレンダーロールに短繊維入り未加硫ゴムを投入し、圧延されたゴムシート中の短繊維をシートの圧延方向に配向させ、そして成形するベルト幅に応じて切断していた。その後、カットした圧延シートを数枚重ね合わせて所定厚みに積層し、続いて巻付け工程のように短繊維が幅方向に配向した積層物を成形ドラムに巻き付けて伝動ベルトの作製に使用してきた。
【0003】
即ち、VリブドベルトやローエッジVベルトの伝動ベルトの製造方法では、円筒状の成型ドラムの周面に1〜複数枚のカバー帆布と接着ゴム層とを巻き付けた後、この上にコードからなる心線を螺旋状にスピニングし、更に圧縮ゴム層を順次巻き付けて積層体を得た後、これを加硫してベルトスリーブにしていた。ここで使用する圧縮ゴム層は、上記圧延シートを3〜4枚重ね合わせた厚みのもので、シート幅方向に短繊維が配向したものであった。
【0004】
しかし、圧延シートは、厚みを薄くしなければ、短繊維をシート圧延方向に充分に配向させることができないために、やむを得ずシートを重ねていたためにベルト成形用シートを得るには多大の工数を要していた。
【0005】
これを改善する方法として、拡張ダイを取付けた押出機を用い、短繊維を押出円筒体の円周方向に配向させるもので、中間空間に、入口空間の所定の流路幅から出口空間の所定の流路幅まで流路幅が変化する拡大空間部を設け、拡張ダイの出口空間の断面積を入口空間の断面積より所定量大きく形成し、さらに入口部分の流路幅が中間部分の流路幅よりも狭く、出口部分の流路幅が中間部分の流路幅以下に設定したものが、提案された。(例えば、特許文献1参照)
【0006】
更には、短繊維含有ゴム組成物を拡張ダイによってシート化したものを伝動ベルトに使用することも提案されている、例えば、特許文献2には、Vリブ部成形溝を有する拡張ダイを出口部分に備えた押出機によって円筒状リブゴムチューブを押出し、このリブゴムチューブを切開したシート用いて金型上でVリブドベルト成形体を成形して、加硫し、そしてベルト成形体のVリブ部のリブ表面を研削してVリブドベルトを作製することが開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特公平6−9847号公報
【特許文献2】
特開平8−74936号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の拡張ダイを使用する方法でも、例えばクロロプレンのような粘着性が強く、せん断応力が大なる材料を用いる場合には、表面層、特に外周層はダイ内周面との間に大きな摩擦力を発生してスムーズに流れないために、ゴム表面に肌荒れが発生した。このため、マトリクスであるゴムと繊維との密着性が悪く、また配向性も悪く、現実には伝動ベルトの圧縮ゴム層に使用することは困難な場合もあった。また、短繊維含有ゴム組成物を拡張ダイによって正確なVリブ部を型付して押出すことは、極めて困難であった。
【0009】
本発明は叙上の如き実状に鑑み、これに対処するもので、短繊維を一定方向に配向させた圧縮ゴム層に相当する内層と圧縮ゴム層の表面層に位置する他のゴム層を積層し、スムーズに押出すことによってゴム表面の肌荒れ発生を阻止し、かつ製造工数を少なくして低コストで成形し、しかも走行時の騒音を低減できる伝動ベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願請求項1記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有する伝動ベルトの製造方法において、
拡張ダイを用いて短繊維を配向させた短繊維含有ゴム組成物を内層に他のゴム組成物を表面層に積層した2層の筒状成形体に押出成形し、
外周面に可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型を刻印した外型との間に、上記2層の筒状成形体を介在させ、
上記可撓性ジャケットを膨張させて、該筒状成形体を表面層が外型の刻印したリブ型に密着するように未加硫の予備成型体を作製し、
外型から離脱した内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付け、
再度、上記内型を外型内に設置し、可撓性ジャケットを膨張させて心線を外型に装着した予備成型体と一体的に加硫し、
脱型してリブ部を有する加硫ベルトスリーブを作製する、伝動ベルトの製造方法にある。
【0011】
本発明方法では、拡張ダイを用いて圧縮ゴム層の内層に短繊維を所定方向へ配向させた短繊維含有ゴム組成物を、圧縮ゴム層の表面層に他のゴム組成物を積層した2層の筒状成形体をスムーズに押出成形してゴム表面の肌荒れ発生を阻止し、また押出した2層の筒状成形体を直接ベルトの構成材料に使用するために、製造工数を少なくして低コストで伝動ベルトを成形できる。更に、ベルト成形工程において、予め未加硫の予備成型体を作製するために、可撓性ジャケットの膨張による心線の伸張量を小さく設定でき、心線を平坦に配置させ、また伸びの少ないベルトに仕上ることができると言った効果がある。
【0012】
本願請求項2記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有する伝動ベルトの製造方法において、
拡張ダイを用いて短繊維を配向させた短繊維含有ゴム組成物を内層に他のゴム組成物を表面層に積層した2層の筒状成形体に押出成形した後、該筒状成形体を直線状に切開して2層のゴムシートにし、
外周面に可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型を刻印した外型との間に、上記2層のゴムシートを筒状にして介在させ、
上記可撓性ジャケットを膨張させて筒状成形体を表面層が外型の刻印したリブ型に密着するように未加硫の予備成型体を作製し、
外型から離脱した内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付け、
再度、上記内型を外型内に設置し、可撓性ジャケットを膨張させて心線を外型に装着した予備成型体と一体的に加硫し、
脱型してリブ部を有する加硫ベルトスリーブを作製する、伝動ベルトの製造方法にある。
【0013】
本発明方法では、押出成形した2層の筒状成形体を直線状に切開して2層のゴムシートにするところが請求項1と相違しており、2層のゴムシートを接合すれば、周長の大きなベルトでも成形することができる。
【0014】
本願請求項3記載の発明は、ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有する伝動ベルトの製造方法において、
拡張ダイを用いて短繊維を配向させた短繊維含有ゴム組成物を内層に他のゴム組成物を表面層に積層した2層の筒状成形体に押出成形した後、該筒状成形体を直線状に切開して2層のゴムシートにし、
内型に装着した伸縮可能な可撓性ジャケット面に、少なくとも心線と上記2層のゴムシートを表面層が最外側に位置するように積層して未加硫ゴムスリーブを形成し、
上記内型を内周面にリブ型を刻印した外型に挿入して、可撓性ジャケットを膨張させて未加硫ゴムスリーブを外型に押圧型付して加硫する、伝動ベルトの製造方法にある。
【0015】
本発明では、請求項2と相違し、ベルト成形工程において予め未加硫の予備成型体を作製しないために、ベルト工数を削減でき、低コストなベルトを作製することができる。
【0016】
本願請求項4記載の発明は、2層の筒状成形体を作製する工程において、先に押出した内層の短繊維含有ゴム組成物の外周面に表面層のゴム組成物を被覆したものを、拡張ダイの入口から同時に押出しして2層の筒状成形体に成形する伝動ベルトの製造方法にある。
【0017】
本願請求項5記載の発明は、2層の筒状成形体を作製する工程において、内層の短繊維含有ゴム組成物を拡張ダイの入口から侵入させ、他方表面層のゴム組成物を拡張ダイの入口と吐出口との間に位置する部位で侵入させて2層の筒状成形体に成形する伝動ベルトの製造方法にある。
【0018】
本願請求項6記載の発明は、表面層のゴム組成物の侵入位置が拡張ダイの入口と吐出口との間に位置し、表面層のゴム組成物の侵入位置から吐出口へ至るまでゴム通路の間隙が積層する上記表面層のゴム組成物の厚みだけ大きくなっている伝動ベルトの製造方法にあり、表面層のゴム組成物のゴム通路への侵入抵抗が減少してスムーズに内層の外周面に包囲しやすく、また表面層の厚みを均一化することができる。
【0019】
本願請求項7記載の発明は、2層の筒状成形体が短繊維含有ゴム組成物を内層に、滑材を含有したゴム組成物を表面層に積層したものである伝動ベルトの製造方法にあり、滑材が表面層と拡張ダイとの摩擦抵抗を緩和して、ゴム流れをスムーズにして筒状成形体を押出すことができる。
【0020】
本願請求項8記載の発明は、2層の筒状成形体が短繊維含有ゴム組成物を内層に、該内層より短繊維の含有量が少ないか、もしくは短繊維を含まない表面層を積層したものである伝動ベルトの製造方法にある。
【0021】
本願請求項9記載の発明は、2層の筒状成形体が短繊維含有ゴム組成物を内層に、該内層に用いた短繊維と材質、長さの少なくとも一方において相違している短繊維を配向させた短繊維含有ゴム組成物を表面層に積層した伝動ベルトの製造方法にあり、内層に埋設した短繊維によってベルトに耐側圧性を維持させ、また表面層によって摩擦係数の小さいベルト表面を長時間維持してベルト走行時のスリップ音を軽減し、そして低コストなベルトを仕上げることができる。
【0022】
本願請求項10記載の発明は、2層の筒状成形体がアラミド短繊維を含有させた短繊維含有ゴム組成物を内層に、ポリアミド繊維、ポリステル繊維、フッ素繊維、天然繊維から選ばれた少なくとも1種を含有させた短繊維含有ゴム組成物を表面層に積層した伝動ベルトの製造方法にある。
【0023】
本願請求項11記載の発明は、2層の筒状成形体が内層に使用する短繊維の平均長さが3〜10mmである短繊維含有ゴム組成物を内層に、短繊維の平均長さが0.5〜3mmである短繊維含有ゴム組成物を表面層に積層したものである伝動ベルトの製造方法にある。
【0024】
本願請求項12記載の発明は、脱型した加硫ゴムスリーブのリブ部表面を研削する伝動ベルトの製造方法にある。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施例を説明する。
図1は短繊維含有ゴム組成物を内層に他のゴム組成物を表面層に積層した2層の筒状成形体からゴムシートに成形する工程の概略図である。この工程で使用する装置1では、シリンダー3a内の押出スクリュー4aの回転により筒状成形体の内層を形成する短繊維含有ゴム組成物を混練する第一押出機2aと、シリンダー3b内の押出スクリュー4bの回転により筒状成形体の表面層を形成するゴム組成物(表面層形成用ゴム組成物)を混練する第二押出機2bが拡張ダイ5の背部に連結され、第一押出機2aと第二押出機2bで押出されたゴムを軸部6と筒部7で形成されたゴム通路8へと導入する。
【0033】
上記拡張ダイ5では、軸部6に装着された内ダイ10が筒部7に連結された外ダイ13と組み合わせてゴム通路8を形成している。内ダイ10は入口11から吐出口12へ径を拡張させた円錐体である。外ダイ13の入口11付近には、調芯用ブロック体14を組み合わせて押出しゴムの厚みを均一にすることができる。
【0034】
表面層を形成するゴム組成物(表面層形成用ゴム組成物)16を混練して押出す第2押出機2bは、第一押出機2aに比べて入口11に近い側に配置され、先に押出された内層を形成する短繊維含有ゴム組成物(内層形成用ゴム組成物)15の外周部に表面層形成用ゴム組成物16を流動させて包囲した2層の筒状成形体17に押出成形する。表面層形成用ゴム組成物16はゴムの流動性がよく内層形成用ゴム組成物15の外周を完全に包囲する。押出された筒状成形体17は切断手段19によって切開された後に巻き取られる。
【0035】
第一押出機2a及び第二押出機2bでは、シリンダー3a,3bの中に回転可能に押出スクリュー4a,4bを収容し、ゴム配合物を原料投入口から入れて押出スクリュー4a,4bの回転によって混練する。この時にシリンダー3a,3b内の空気やゴム配合物から発生したガス等は排気口(図示せず)から排出される。シリンダー3a,3bの温度はゴム種に応じて変更するが、通常40〜100°Cに調節され、短繊維とゴムはミキシングしやすい温度に加熱して熱可塑化し、押出成形しやすい状態にする。また、この場合の混練時間はゴムの加硫が進行しない程度に調節する。
【0036】
拡張ダイ5は吐出口12に向って径を徐々に拡張させた円錐形の内ダイ10を外ダイ13に収容し、内ダイ10と外ダイ13の間に所定厚みの間隙をもったゴム通路8を設けている。内層成形用ゴム組成物15は吐出口12へ向って徐々に大きな円周方向への引き伸ばされながら短繊維を円周方向に配向させ、同時に表面層形成用ゴム組成物16を外層に包囲した筒状成形体17に押出成形する。
【0037】
拡張ダイ5は、水平に配置された第一押出機2aと第2押出機2bに対して垂直に配置され、そして吐出口12から筒状成形体17が重力に抗するように押出されるため、筒状成形体17が重力により変形せず、比較的寸法変化が少ないという効果があり、また垂直方向に配置した拡張ダイ5は内ダイ10の自重によって撓みにくく、内ダイ10と外ダイ13との間隙が一定に保持され、厚み変形量の小さな筒状成形体17に仕上げることができる。
【0038】
また、内ダイ10と外ダイ13で形成されたゴム通路8は、入口11から吐出口12まで略均一な間隙になり、筒状成形体17の押出にブレーキをかけることなく長手方向へスムーズに流し、また内部歪みのない均一な厚みの筒状成形体17に成形する。
【0039】
内ダイ10の形状は、せん断力の大きさに影響を与える要因になる。入口11から吐出口12へ徐々に径が拡張するテーパー角度が30°以上で90°未満であり、入口が直径20〜60mm、吐出口が直径100〜440mm、そしてその比率である拡張比(吐出口/入口)が1.5〜12.5に設定される。この設定範囲未満であれば、内ダイ10の吐出口12付近での円周方向への引き伸ばしが小さくて、厚みの大きな筒状成形体17の内表面層では短繊維が円周方向に配向しにくくなり、一方この設定範囲を越えると、円周方向への引き伸ばしが大きくなり過ぎて、押出圧力が劣る場合には、筒状成形体17が裂けやすい。
【0040】
内ダイ10と外ダイ13間のゴム通路8内に存在するゴムの内部発熱を抑制するために、内ダイ10の内部に冷却水を循環させる冷却装置(図示せず)を設けることもできる。冷却装置では、冷却水をポンプによって各ダイに設けた通路を通過させて循環させる。
【0041】
押出された筒状成形体17は切断手段19によって押出し方向に沿って切開されてゴムシート20にされる。ここで使用される切断手段19は、カッター、ナイフといった刃物、あるいはレーザーナイフ、超音波振動カッターからなる。ゴムシート20はガイドロールを経由して駆動ロールによって一定速度で送られ、巻き取りロールに帆布のようなライナーとともに巻き取られる。
【0042】
図2に示す他の装置1では、シリンダー3a内の押出スクリュー4aの回転により内層成形用ゴム組成物15を混練する第一押出機2aと、シリンダー3b内の押出スクリュー4bの回転により表面層形成用ゴム組成物16を混練する第二押出機2bが、それぞれ押出したゴムを拡張ダイ5の背部に設けられたゴム通路8へと導入する。
【0043】
第一押出機2aは押出スクリュー4aの軸方向に拡張ダイ5を直結し、第二押出機2bは第一押出機2aと直角に配置されている。そして、第二押出機2bから押出された表面層形成用ゴム組成物16は、第一押出機2aの押出スクリュー4aの先端部25から離れた位置に設けた整流用突起に衝突すると内層成形用ゴム組成物15の外周を包囲しやすくなる。
【0044】
拡張ダイ5は吐出口12へ向って径を徐々に拡張させて円錐形とした内ダイ10を外ダイ13に収容し、内ダイ10と外ダイ13の間に所定厚みの間隙をもつゴム通路8を設けている。内ダイ10に装着固定した円錐状の分流体27は、ゴムの流れを360度へ均一に分流して、内ダイ10と外ダイ13間のゴム通路8へ押出すようになっている。
【0045】
内層形成用ゴム組成物15は吐出口12へ向って徐々に大きな円周方向への引き伸ばしを受けながら短繊維を円周方向に配向させ、同時に図5に示すように表面層形成用ゴム組成物16を表面層に包囲した筒状成形体17に押出成形する。そして、図6に示すように押出された直後の筒状成形体17は、切断手段19によって押出し方向に沿って切開しながらゴムシート20する。上記内層形成用ゴム組成物15の厚みは1.5〜10mmで、表面層形成用ゴム組成物16の厚みは0.1〜3.0mmであるが、特に各層の厚みの制限はない。
【0046】
このように、図2に示す上記装置1は、先に押出した内層形成用ゴム組成物15の外周面に表面層形成用ゴム組成物16を被覆したものを、拡張ダイ5の入口11から同時に押出しして表面層形成用ゴム組成物16を内層形成用ゴム組成物15の外周面に包囲した筒状成形体17に成形するものである。図3に示す装置1は内層形成用ゴム組成物15を拡張ダイ5の入口11から侵入させ、他方表面層形成用ゴム組成物16を拡張ダイ5の入口11と吐出口12との間の位置Pで侵入させて表面層形成用ゴム組成物16を内層形成用ゴム組成物15の外周面に包囲した筒状成形体17に押出成形するものである。
【0047】
即ち、図3に示す装置1では、シリンダー3a内の押出スクリュー4aの回転により内層形成用ゴム組成物15を混練する第一押出機2aがゴムを拡張ダイ5の入口11から吐出口12へ押出す。一方、表面層形成用ゴム組成物16を混練する第二押出機2bが第一押出機2aと交差する状態で配置され、表面層形成用ゴム組成物16を円周方向に配したゴム溜め部35からゴム通路36を経由して拡張ダイ5の入口11と吐出口12との間の位置Pで円筒状に侵入させる。
【0048】
上記侵入位置Pでは、図4に示すようにゴム通路8に明確な段差が設けられ、この侵入位置Pから吐出口12へ至るまでのゴム通路8の間隙が積層する表面層形成用ゴム組成物16の厚み分だけ大きく、該ゴム組成物16のゴム通路8への侵入抵抗を減少させてスムーズに内層形成用ゴム組成物15の外周面に包囲し、そして表面層形成用ゴム組成物16の厚みを均一にしている。上記侵入位置Pは、入口11と吐出口12との間であれば問題ないが、好ましくは入口11と吐出口12との中間付近が好ましい。
【0049】
また、本発明では、図示しないが、押出された筒状成形体17は切断手段19によって切開してゴムシートにせずに、押出し方向に沿って所定長さで切断した筒状成形体17を直接伝動ベルトの構成材料に使用することができる。
【0050】
次に、図7〜図12を参照して上記方法によって得られた短繊維配向ゴムシート20を用いてVリブドベルトの製造方法を説明する。
【0051】
先ず、内型41に装着された可撓性ジャケット42の外周面に、表面層形成用ゴム組成物16が外型46のリブ型45に面するように短繊維配向ゴムシート20を巻き付ける。
【0052】
次いで、図7に示すように上記短繊維配向ゴムシート20を捲き付けたベルト加硫機40の内型41を外型46の内側に一定の空隙部を形成するよう基台上に載置する。内型41は別の成形工程より移動してくる関係上、媒体流通口Aと媒体送入排出路Bとは分離しており、内型41を基台に載置後、媒体流通口AをジョイントJでパイプと連結する。
【0053】
媒体送入機を作動して高圧空気もしくは高圧蒸気を媒体送入排出路B、媒体流通口Aを経て、可撓性ジャケット42の内部に送入する。可撓性ジャケット42は、その上下部が内型41上に密閉固定されているため、可撓性ジャケット42の内面と内型41の外面の間に空気が充満し、可撓性ジャケット42は次第に膨張する。そして、その外周面に装着されている短繊維配向ゴムシート20を半径方向に均一に膨張させ、加熱ヒーター若しくは高温蒸気で100〜160℃に加熱した外型46のリブ型45と30〜120秒間接触せしめる。
【0054】
このとき、可撓性ジャケット42の膨張押圧力により、上記短繊維配向ゴムシート20が外型46のリブ型45に押圧され、図8のような表面に複数のV型突起を有する未加硫の予備成型体21を形成するに至る。
【0055】
その後は、バルブを真空ポンプの方へ切替えて、可撓性ジャケット42内に充満している空気を排気し、次いで吸引作用で可撓性ジャケット42を図7に示す元の位置に収縮復帰せしめる。
【0056】
そして、内型41を外型46から抜き取り、内型41の可撓性ジャケット42の外周面に補強布47、接着ゴムシート、およびコードからなる心線48を順次に捲き付ける。その後、図9に示すようにこの内型41を外型46内へ設置した後、図10に示すように可撓性ジャケット42を膨張させ、補強布47と心線48を半径方向に均一に膨張させ、加熱ヒーター若しくは高温蒸気で100〜180℃に加熱した外型46のリブ型45に装着した予備成型体21に密着して一体的に加硫し、ベルトスリーブ51を作製する。上記製造方法のように未加硫の予備成型体21を成型することにより、成形時に可撓性ジャケット42の膨張による心線48の伸張量を抑え、また心線48を平坦に配置でき、寸法安定性に優れたVリブドベルトを作製することができる。
【0057】
本発明方法では、短繊維配向ゴムシート20の筒状体を、可撓性ジャケット42を装着した内型41とリブ型45を刻印した外型46との間に介在させることもできる。即ち、短繊維配向ゴムシート20の筒状体を外型46のリブ型45に接した状態で配置し、また内型41と外型46との間に間隙をおいて配置し、未加硫の予備成型体21を形成することもできる。
【0058】
加硫後は、図11に示すように可撓性ジャケット42を収縮させ、図12に示すように内型41を外型46から抜き取った後、外型46に装着した加硫ベルトスリーブ51を取り出す。そして、加硫ベルトスリーブ51を別のドラムに挿入して回転させながら円周方向に所定幅に切断し、ドラムより取出し反転することにより、周長が一定で、V形リブが正確に型付形成されたVリブドベルト1が複数本得られる。尚、外型46を前述のような分割式モールドを使用した場合、未加硫スリーブの挿入ならびに加硫スリーブの取り外しが容易にでき、かつこの分割面が一種の空気抜きの機能を果し、V型リブをより一層正確に形成することができる。
【0059】
また、内型41から抜き取られた加硫済みベルトスリーブ51は、以後別のドラムに挿入し、加硫済みベルトスリーブ51のリブ部表面層を公知のグラインダーホイールを用いて研削してもよい。
【0060】
更に、本実施例では、図13に示すような方法によって加硫ベルトスリーブ51を作製することもできる。即ち、内型41に装着された可撓性ジャケット42の外周面に、補強布47、心線48、予めリブ部29を設けた短繊維含有ゴムシート20を順次に捲き付け広幅未加硫のベルトスリーブ51を配置する。この場合、ゴムシート20では表面層形成用ゴム組成物16を最外側に配置する。
【0061】
次いで、未加硫のベルトスリーブ51を内型41に捲き付けた状態のままで、外型46の内側に一定の空隙部を形成するよう基台上に載置固定する。次いで、図10に示すように前述と同様に高圧空気もしくは高圧蒸気を可撓性ジャケット42の内部に送入する。可撓性ジャケット42は、その上下部が内型41上に密閉固定されているため、可撓性ジャケット42の内面と内型41の外面の間に空気が充満し、可撓性ジャケット42は次第に膨張する。そして、その外周面に装着されている未加硫のベルトスリーブ51を半径方向に均一に膨張させ、加熱ヒーター若しくは高温蒸気で加熱した外型46のリブ型45と接触せしめる。
【0062】
このとき、可撓性ジャケット42の膨張押圧力により、未加硫のベルトスリーブ51表面の有する短繊維含有ゴムシート20のリブ部29が、外型46のリブ型45に嵌合し、図10のような表面に複数のV型突起を有する加硫ベルトスリーブ51を形成するに至る。
【0063】
そして、図11に示すように加硫後はバルブを真空ポンプの方へ切替えて、真空ポンプを作動させて可撓性ジャケット42内に充満している空気を排気し、次いで吸引作用で可撓性ジャケット42を元の位置に収縮復帰せしめる。内型41を脱型した後、外型46に装着した加硫済みのベルトスリーブ51を離脱する。
【0064】
上記の内層形成用ゴム組成物15及び表面層形成用ゴム組成物16に使用されるゴムとしては、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、CSM、ACSM、SBR、エチレン−α−オレフィンエラストマーが使用され、中でも、耐油性と耐寒性を有するエチレン−α−オレフィンエラストマーが好ましい。
【0065】
上記の内層形成用ゴム組成物15に使用される短繊維は、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、綿、アラミドからなる短繊維を混入して圧縮ゴム層の耐側圧性を向上させるが、中でも剛直で強度を有するアラミド短繊維が好ましい。
【0066】
表面層形成用ゴム組成物16に使用される短繊維は、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6.10等のポリアミド繊維、ポリエステル繊維、フッ素繊維、綿、麻、レートン等の天然繊維等からなり、圧縮ゴムの表面の摩擦係数を低下させる機能を有している。ここで使用する短繊維の平均長さが0.5〜3mmのフロック状であり、0.5mm未満になると、繊維のカット加工が困難になり、一方3mmを越えると、表面層としてゴムの流動性が悪くなる。
【0067】
また、表面層形成用ゴム組成物16には滑材が使用されるが、その代表的なものとして、グラファイト、二硫化モリブデン、雲母、タルク、三酸化アンチモン、2セレン化モリブデン、二硫化タングステン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、およびこれらの混合物であり、ゴム100質量部に対して10〜60質量部の割合で配合されることが好ましい。10質量部未満では、耐摩耗性の改善効果は低く、またリブ部表面の摩擦係数が大きくなり、粘着摩耗は発生しやすくてベルト走行時のスリップ音も軽減しにくい。一方、60質量部を超えると、ムーニー粘度が高くなり加工上の問題が生じる。滑材はそのまま混練り時に添加しても差し支えないが、より分散性、補強性を得るために混練り前もしくは混練り時にシランカップリング剤やチタンカップリング剤などの処理剤を使用することも可能である。
【0068】
図14は本発明方法によって得られたVリブドベルトの断面図である。Vリブドベルト100は、高強度で低伸度のコードよりなる心線102を接着ゴム層103中に埋設し、その下側に弾性体層である圧縮ゴム層104を有している。この圧縮ゴム層104にはベルト長手方向に伸びる断面略三角形の複数のリブ部106が設けられ、またベルト背面には補強布105が設けられている。
【0069】
上記リブ部106はベルト幅方向を補強する短繊維109を含む内層110と表面層の表面層107で形成されている。表面層107は優れた耐摩耗性を有するとともにリブ部106表面の摩擦係数を小さい状態で長時間維持してベルト走行時のスリップ音を軽減させるために、ゴム組成物中に滑材108が含有している。内層110中に含有している短繊維109は、無端状未加硫ゴムスリーブを外型の刻印したリブ型に密着して加硫すると、リブ部106で波形状に配向してベルトの耐側圧性を維持している。
【0070】
表面層107中に含有した滑材108の代表的なものとして、前述の通りのグラファイト、二硫化モリブデン、雲母、タルク、三酸化アンチモン、2セレン化モリブデン、二硫化タングステン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、およびこれらの混合物であり、ゴム100質量部に対して10〜60質量部の割合で配合されることが好ましい。10質量部未満では、耐摩耗性の改善効果は低く、またリブ部表面の摩擦係数が大きくなり、粘着摩耗は発生しやすくてベルト走行時のスリップ音も軽減しにくい。一方、60質量部を超えると、ムーニー粘度が高くなり加工上の問題が生じる。滑材はそのまま混練り時に添加しても差し支えないが、より分散性、補強性を得るために混練り前もしくは混練り時にシランカップリング剤やチタンカップリング剤などの処理剤を使用することも可能である。
【0071】
リブ部106における表面層107の占める割合は、5〜20vol%であり、5vol%未満になると、摩耗によって滑材の効果が短時間でなくなり、一方20vol%を超えると、内層110の占める割合が少なく、耐側圧性に欠ける。
【0072】
上記リブ部106中に含有している短繊維110は、下記に示すように未加硫ベルトスリーブを外型の刻印したリブ型に密着して加硫すると、リブ部106で波形状に配向してベルトの耐側圧性を維持し、また従来のようなスクラップとなる研磨屑の発生が全く無くなる。
【0073】
リブ部106中に含有している短繊維109は、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、綿、アラミドからなる短繊維を混入してリブ部6の耐側圧性を向上させるが、中でも剛直で強度を有するアラミド短繊維が好ましい。
【0074】
上記アラミド短繊維が前述の効果を十分に発揮するためには、アラミド繊維の繊維長さは1〜20mmで、その添加量はゴム100質量部に対して1〜30質量部である。このアラミド繊維は分子構造中に芳香環をもつアラミド、例えば商品名コーネックス、ノーメックス、ケブラー、テクノーラ、トワロン等である。
【0075】
尚、アラミド短繊維の添加量が1質量部未満の場合には、リブ部106の耐側圧性に欠けることがあり、また一方30質量部を超えると短繊維がゴム中に均一に分散しなくなる。ただし、このアラミド短繊維の添加は必須ではなく、他の素材からなる短繊維を添加したものでも良い
【0076】
接着ゴム層103及び圧縮ゴム層104に使用されるゴムとしては、水素化ニトリルゴム、クロロプレンゴム、天然ゴム、CSM、ACSM、SBR、エチレン−α−オレフィンエラストマーが使用され、水素化ニトリルゴムは水素添加率80%以上であり、耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮するために、好ましくは90%以上が良い。水素添加率80%未満の水素化ニトリルゴムは、耐熱性及び耐オゾン性は極度に低下する。耐油性及び耐寒性を考慮すると、結合アクリロニトリル量は20〜45%の範囲が好ましい。中でも、耐油性と耐寒性を有するエチレン−α−オレフィンエラストマーが好ましい。
【0077】
上記エチレン−α−オレフィンエラストマーとしては、その代表的なものとしてEPDMがあり、これはエチレン−プロピレン−ジエンモノマーをいう。ジエンモノマーの例としては、ジシクロペンタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエンなどがあげられる。また、エチレン−プロピレン系ゴム(EPR)も使用可能である。
【0078】
上記ゴムの架橋には、硫黄や有機過酸化物が使用され、有機過酸化物としては例えばジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−モノ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等を挙げることができる。
【0079】
また、架橋助剤(co−agent)を配合することによって、架橋度を上げて粘着摩耗等の問題を防止することができる。架橋助剤として挙げられるものとしては、TIAC、TAC、1,2ポリブタジエン、不飽和カルボン酸の金属塩、オキシム類、グアニジン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、N−N‘−m−フェニレンビスマレイミド、硫黄など通常パーオキサイド架橋に用いるものである。
【0080】
そして、それ以外に必要に応じてカーボンブラック、シリカのような補強剤、炭酸カルシウム、タルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合物に使用されるものが使用される。
【0081】
尚、接着ゴム103に使用するゴム組成物は、短繊維を除いた圧縮ゴム層104のゴム配合物に類似している。無論、短繊維を含めてもよい。
【0082】
心線102としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維が使用され、中でもエチレン−2,6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維フィラメント群を撚り合わせた総デニール数が4,000〜8,000の接着処理したコードが、ベルトスリップ率を低く抑えることができ、ベルト寿命を延長させるために好ましい。また、心線102にはゴムとの接着性を改善する目的で接着処理が施される。このような接着処理としては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限ることなくエポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行なった後に、RFL液で処理する方法等もある。
【0083】
心線102は、スピニングピッチ、即ち心線の巻き付けピッチを0.9〜1.3mmにすることで、モジュラスの高いベルトに仕上げることができる。0.9mm未満になると、コードが隣接するコードに乗り上げて巻き付けができず、一方1.3mmを越えると、ベルトのモジュラスが徐々に低くなる。
【0084】
背面補強材105は、織物、編物、不織布から選択されるが、より好ましいものは不織布である。構成する繊維素材としては、例えば綿、麻、レーヨン等の天然繊維や、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリフロルエチレン、ポリアクリル、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリエステル、アラミド等の有機繊維が挙げられる。上記帆布は公知技術に従ってレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)に浸漬後、未加硫ゴムを基布5に擦り込むフリクションを行ったり、またRFL液に浸漬後にゴムを溶剤に溶かしたソーキング液に浸漬処理する。
【0085】
また、図15は本発明に係る他のVリブドベルトの断面図であり、リブ部106にはベルト幅方向を補強する短繊維109を含むか、もしくは短繊維109を含まない内層110と該内層110よりも短繊維の含有量を多くしてリブ部6表面の摩擦係数が小さくした表面層107で形成されている。内層110の短繊維109の含有量はゴム100質量部に対して0〜15質量部と少量にして低コスト化を図り、他方表面層107の短繊維109の含有量はゴム100質量部に対して20〜40質量部にして摩擦係数を小さくしている。
【0086】
リブ部106における表面層107の占める割合は、前述のとおりである。内層110の短繊維109は波形状に配向し、また表面層107はベルト幅方向へ配向している。
【0087】
このように得られたVリブドベルトは、押出した2層の筒状成形体を直接ベルト成形に使用するために、製造工数を少なくして低コストで伝動ベルトを成形でき、リブ部表面の摩擦係数が小さくした表面層を設けることによってベルト走行時の騒音を低減することもできる。
【0088】
更に、他のVリブドベルトとしては、上記リブ部106がベルト幅方向を補強する平均長さ1〜3mmのアラミド短繊維109を含む内層110と表面層107で形成されている。表面層107は優れた耐摩耗性を有するとともにリブ部106表面の摩擦係数を小さい状態を長時間維持してベルト走行時のスリップ音を軽減させるために、ゴム組成物中には平均長さが0.5〜3mmのポリアミド繊維、綿、フッ素繊維から選ばれた少なくとも1種の短繊維108を含有している。内層110中に含有しているアラミド短繊維109は、無端状未加硫ゴムスリーブを外型の刻印したリブ型に密着して加硫すると、リブ部106で波形状に配向してベルトの耐側圧性を維持している。
【0089】
【発明の効果】
以上のように本願請求項1〜12記載の伝動ベルトの製造方法では、圧縮ゴム層の内層になる短繊維含有ゴム組成物を、圧縮ゴム層の表面層になる他のゴム組成物を積層した2層の筒状成形体を拡張ダイによってスムーズに押出成形して短繊維を所定方向へ配向させ、しかもゴム表面の肌荒れ発生を阻止し、また押出した2層の筒状成形体を直接ベルトの構成材料に使用するか、あるいは切開してシートにしたものを使用するために、ベルトの製造工数を少なくして低コストで伝動ベルトを成形でき、更にはベルト成形工程において、予め未加硫の予備成型体を作製した場合には、可撓性ジャケットの膨張による心線の伸張量を小さく設定できることで、心線を平坦に配置させることができると言った効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】押出成形された筒状成形体を直線状に切開しながら短繊維配向ゴムシートにする工程を示す概略図である。
【図2】押出成形された筒状成形体を直線状に切開しながら短繊維配向ゴムシートにする他の工程を示す概略図である。
【図3】押出成形された筒状成形体を直線状に切開しながら短繊維配向ゴムシートにする更に他の工程を示す概略図である。
【図4】図3のC部拡大図である。
【図5】図1におけるA−A方向の断面図である。
【図6】接着ゴム付き短繊維配向ゴムシートに切開したシートの斜視図である。
【図7】予備成型体を成形している状態の縦断図である。
【図8】予備成型体を作製した後状態の断面図である。
【図9】未加硫のベルトスリーブを作製する前状態の断面図である。
【図10】ベルトスリーブを加硫している状態の断面図である。
【図11】ベルトスリーブを加硫した後状態の断面図である。
【図12】内型を外型から抜いた状態の断面図である。
【図13】他の方法によって未加硫のベルトスリーブを成形した後状態の縦断図である。
【図14】本発明にかかるVリブドベルトの断面図である。
【図15】本発明方法によって得られた他のVリブドベルトの断面図である。
【符号の説明】
2a 第一押出機
2b 第二押出機
5 拡張ダイ
8 ゴム通路
10 内ダイ
11 入口
12 吐出口
13 外ダイ
15 内層形成用ゴム組成物
16 表面層形成用ゴム組成物
17 筒状成形体
19 切断手段
20 短繊維配向ゴムシート
21 予備成型体
41 内型
42 可撓性ジャケット
45 リブ型
46 外型
48 心線
51 ベルトスリーブ
100 Vリブドベルト
102 心線
106 リブ部
107 表面層
109 短繊維
110 内層

Claims (12)

  1. ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有する伝動ベルトの製造方法において、
    拡張ダイを用いて短繊維を配向させた短繊維含有ゴム組成物を内層に他のゴム組成物を表面層に積層した2層の筒状成形体に押出成形し、
    外周面に可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型を刻印した外型との間に、上記2層の筒状成形体を介在させ、
    上記可撓性ジャケットを膨張させて、該筒状成形体を表面層が外型の刻印したリブ型に密着するように未加硫の予備成型体を作製し、
    外型から離脱した内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付け、
    再度、上記内型を外型内に設置し、可撓性ジャケットを膨張させて心線を外型に装着した予備成型体と一体的に加硫し、
    脱型してリブ部を有する加硫ベルトスリーブを作製する、
    ことを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
  2. ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有する伝動ベルトの製造方法において、
    拡張ダイを用いて短繊維を配向させた短繊維含有ゴム組成物を内層に他のゴム組成物を表面層に積層した2層の筒状成形体に押出成形した後、該筒状成形体を直線状に切開して2層のゴムシートにし、
    外周面に可撓性ジャケットを装着した内型と、内周面にリブ型を刻印した外型との間に、上記2層のゴムシートを筒状にして介在させ、
    上記可撓性ジャケットを膨張させて筒状成形体を表面層が外型の刻印したリブ型に密着するように未加硫の予備成型体を作製し、
    外型から離脱した内型の可撓性ジャケット面に少なくとも心線を巻き付け、
    再度、上記内型を外型内に設置し、可撓性ジャケットを膨張させて心線を外型に装着した予備成型体と一体的に加硫し、
    脱型してリブ部を有する加硫ベルトスリーブを作製する、
    ことを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
  3. ベルト長手方向に沿って心線を埋設したゴム層と、該ゴム層に隣接してベルトの長手方向に延びるリブ部を有する伝動ベルトの製造方法において、
    拡張ダイを用いて短繊維を配向させた短繊維含有ゴム組成物を内層に他のゴム組成物を表面層に積層した2層の筒状成形体に押出成形した後、該筒状成形体を直線状に切開して2層のゴムシートにし、
    内型に装着した伸縮可能な可撓性ジャケット面に、少なくとも心線と上記2層のゴムシートを表面層が最外側に位置するように積層して未加硫ゴムスリーブを形成し、
    上記内型を内周面にリブ型を刻印した外型に挿入して、可撓性ジャケットを膨張させて未加硫ゴムスリーブを外型に押圧型付して加硫する、
    ことを特徴とする伝動ベルトの製造方法。
  4. 2層の筒状成形体を作製する工程において、先に押出した内層の短繊維含有ゴム組成物の外周面に表面層のゴム組成物を被覆したものを、拡張ダイの入口から同時に押出しして2層の筒状成形体に成形する請求項1〜3の何れかに記載の伝動ベルトの製造方法。
  5. 2層の筒状成形体を作製する工程において、内層の短繊維含有ゴム組成物を拡張ダイの入口から侵入させ、他方表面層のゴム組成物を拡張ダイの入口と吐出口との間に位置する部位で侵入させて2層の筒状成形体に成形する請求項1〜3の何れかに記載の伝動ベルトの製造方法。
  6. 表面層のゴム組成物の侵入位置が拡張ダイの入口と吐出口との間に位置し、表面層のゴム組成物の侵入位置から吐出口へ至るまでゴム通路の間隙が積層する上記表面層のゴム組成物の厚みだけ大きくなっている請求項5記載の伝動ベルトの製造方法。
  7. 2層の筒状成形体が短繊維含有ゴム組成物を内層に、滑材を含有したゴム組成物を表面層に積層したものである請求項1〜6の何れかに記載の伝動ベルトの製造方法。
  8. 2層の筒状成形体が短繊維含有ゴム組成物を内層に、該内層より短繊維の含有量が少ないか、もしくは短繊維を含まない表面層を積層したものである請求項1〜6の何れかに記載の伝動ベルトの製造方法。
  9. 2層の筒状成形体が短繊維含有ゴム組成物を内層に、該内層に用いた短繊維と材質、長さの少なくとも一方において相違している短繊維を配向させた短繊維含有ゴム組成物を表面層に積層したものである請求項1〜6の何れかに記載の伝動ベルトの製造方法。
  10. 2層の筒状成形体がアラミド短繊維を含有させた短繊維含有ゴム組成物を内層に、ポリアミド繊維、ポリステル繊維、フッ素繊維、天然繊維から選ばれた少なくとも1種を含有させた短繊維含有ゴム組成物を表面層に積層したものである請求項9に記載の伝動ベルトの製造方法。
  11. 2層の筒状成形体が内層に使用する短繊維の平均長さが3〜10mmである短繊維含有ゴム組成物を内層に、短繊維の平均長さが0.5〜3mmである短繊維含有ゴム組成物を表面層に積層したものである請求項9または10に記載の伝動ベルトの製造方法。
  12. 脱型した加硫ゴムスリーブのリブ部表面を研削する請求項1〜11の何れかに記載の伝動ベルトの製造方法。
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