JP2003314624A - 動力伝動用ベルト及びその製造方法 - Google Patents

動力伝動用ベルト及びその製造方法

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JP2003314624A
JP2003314624A JP2002115373A JP2002115373A JP2003314624A JP 2003314624 A JP2003314624 A JP 2003314624A JP 2002115373 A JP2002115373 A JP 2002115373A JP 2002115373 A JP2002115373 A JP 2002115373A JP 2003314624 A JP2003314624 A JP 2003314624A
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Sumiko Takeuchi
寿美子 竹内
Hitoshi Hanesaka
仁志 羽坂
Toshimichi Takada
俊道 高田
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Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リブドベルト、ローエッジVベルトのような
動力伝動用ベルトにおいて、ベルトのスリップ率を低減
し、そしてベルト走行時の騒音を軽減することができる
動力伝動用ベルトを提供する。 【解決手段】 ベルト長手方向に沿って心線2を埋設し
た接着ゴム層3と、圧縮ゴム層4を含む弾性体層からな
るVリブドベルト1において、上記圧縮ゴム層4に水溶
性短繊維を配合し、上記圧縮ゴム層4の表面に存在して
いた水溶性短繊維が水で溶解除去され、凹部9を形成し
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は動力伝動用ベルトに
係り、詳しくはVリブドベルト、ローエッジベルト等の
圧縮ゴム層に水溶性短繊維を配合し、上記圧縮ゴム層の
表面に存在していた水溶性短繊維が水で溶解除去されて
おり、ベルトのスリップ率を低減し、そしてベルト走行
時の騒音を軽減した動力伝動用ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】Vリブドベルトは接着ゴム層中に心線を
埋設し、該接着ゴム層の表面には必要に応じてカバー帆
布を積層し、そして該接着ゴム層の下部に複数のリブ部
を設けている。このVリブドベルトはVベルトに代わっ
て自動車のエアーコンプレッサーやオルタネータ等の補
機駆動の動力伝動用として広く使用されている。従来、
ベルトの動力を効率よく伝達するためには、ベルトとプ
ーリ間のスリップ率を小さくする必要があり、ベルト張
力を高めてスリップ率を小さくしていた。
【0003】この種のベルトでは、リブ部に綿、ナイロ
ン、ビニロン、アラミド繊維などの短繊維群をベルト幅
への配向性を保って埋設することにより、ベルトの摩擦
伝動部の耐側圧性を高め、更にベルト表面をグラインダ
ーホイールにより研削し、埋設した短繊維の一部を積極
的に摩擦伝動部の両側壁面に露出させて耐摩耗性を向上
させていた。
【0004】また、上記ベルトの効果をさらに前進する
ために摩擦伝動部の両側壁面に突出させる短繊維とし
て、特にアラミド繊維を特定することにより、アラミド
繊維特有の耐摩耗性によりベルト自体の耐久性の向上を
意図した伝動ベルトも、例えば特開平1−164839
号公報に開示されている。
【0005】更に、近年、雨天走行時にエンジンルーム
内に水が入ってベルトとプーリの間に水が付着して水膜
が生じて、ベルトがスリップし、これによりスリップ音
も発生していた。このスリップ音の対策としては、タル
ク等のパウダーをベルトリブ面に付着させたり、ベルト
張力を高めてスリップ率を小さくする試みがなされてき
た。
【0006】また、摩擦伝動以外の歯付ベルトの分野に
おいても、プーリとの打撃音による騒音の発生を低減す
る目的で、例えば特公平1−15736号公報では、歯
部や歯底部の表面に凹凸を設けることによって、プーリ
に歯付ベルトの歯部や歯底部の歯布が接触する際の打撃
音を低減するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来から
ベルト側面の粘着による発音対策やプーリとのスリップ
音対策のために、ベルト表面の形態を変えたり、またベ
ルト表面を処理すること等が提案されてきた。
【0008】しかし、上記短繊維をゴム中に混練りした
場合、これらの短繊維が塊りなってゴム中へ分散するこ
とがあり、特に帆布、デニム等を構成しているスパン糸
の綿糸をカット糸として使用した場合には、綿糸には撚
りがかかっているため、綿糸自体を解して単糸にする必
要があり、これをしないと分散性に欠き、ゴム中で短繊
維が塊りなって分散不良になることがあった。一般に伝
動ベルトのリブ部は、繰り返し圧縮変形を受ける疲労し
やすい環境におかれているため、繊維の塊りがゴム中に
多く存在すると、この塊り付近から亀裂の核が発生しや
すく、比較的早期に寿命に至る結果になっていた。
【0009】また、パウダーを付着させる方法に関して
は作業工程増によるコストアップとなるといった問題が
あり、また初期にベルト張力を高く設定した場合には、
ベルトの摩耗や心線の伸び等でベルトの張力が徐々に低
下し、経時的にスリップが起こりやすくなるといった問
題が指摘されてきた。
【0010】本発明はこのような問題に対処するもので
あり、ベルトのスリップ率を低減し、そしてベルト走行
時の騒音を軽減することができる動力伝動用ベルトを提
供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本願請求項1の発
明では、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴ
ム層と、圧縮ゴム層を含む弾性体層からなる動力伝動用
ベルトにおいて、上記圧縮ゴム層に水溶性短繊維を配合
し、上記圧縮ゴム層の表面に存在していた水溶性短繊維
が水で溶解除去されている動力伝動用ベルトにあり、圧
縮ゴム層の表面に水溶性短繊維を溶解除去した跡の凹部
が形成されており、ベルトとプーリの間に水が付着した
場合には、水がこの凹部に収容されやすくなって、水膜
が破壊されるようになり、注水時のベルトスリップによ
る発音を抑制することができる。
【0012】本願請求項2の発明では、水溶性短繊維が
圧縮ゴム層のゴム100質量部に対して1〜20質量部
含まれている動力伝動用ベルトであり、この範囲の水溶
性短繊維の添加量になれば、多数の凹部が形成されて、
注水時のベルトスリップによる発音を抑制することがで
きる。
【0013】本願請求項3の発明では、水溶性短繊維が
溶解するポリビニルアルコール系繊維である動力伝動用
ベルトにあり、このポリビニルアルコール系繊維を使用
すると、水で容易に水溶性短繊維を溶解除去し、その跡
を形成することができる。
【0014】本願請求項4の発明では、ベルト長手方向
に沿って心線を埋設した接着ゴム層と、圧縮ゴム層を含
む弾性体層からなる動力伝動用ベルトの製造方法におい
て、上記圧縮ゴム層のゴム100質量部に対して水溶性
短繊維を1〜20質量部配合し、上記圧縮ゴム層の表面
に存在する水溶性短繊維を水で溶解除去して複数の凹部
を形成する動力伝動用ベルトの製造方法にあり、水溶性
短繊維が容易に水で溶解除去して複数の凹部を形成す
る。
【0015】本願請求項5の発明では、水溶性短繊維を
10〜60℃の温度の調節された水で溶解除去した動力
伝動用ベルトの製造方法にあり、この温度範囲に温度調
節した水を使用すれば短時間にほぼ完全に水溶性短繊維
を除去することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に示すVリブドベルト1は、
繊維材料を素材とする高強度で低伸度のコードよりなる
心線2を接着ゴム層3中に埋設し、更にその下側に弾性
体層である圧縮ゴム層4を具備している。この圧縮ゴム
層4にはベルト長手方向に延びる断面略三角形の複数の
リブ部7が配置され、またベルト背面にはゴム付帆布5
が付着している。無論、ゴム付帆布5をベルト背面に設
けず、ゴム層を露出させてもよい。そして、リブ部7の
表面には、水溶性短繊維が水で溶解除去してできたクレ
ータのような凹部9が分散して形成されている。
【0017】他のベルトとしてカットエッジタイプのV
ベルト21がある。このベルト21は、図2に示すよう
に心線23を埋設した接着ゴム層24と圧縮ゴム26と
から構成され、更に上記接着ゴム層24及び圧縮ゴム層
26の各表面層にゴム付帆布22を積層している。そし
て、圧縮ゴム層26の表面には、水溶性短繊維が水で溶
解除去してできたクレータのような凹部28が分散して
形成されている。
【0018】前記圧縮ゴム層と接着ゴム層のうち少なく
とも圧縮ゴム層に使用されるゴムとしては、水素化ニト
リルゴム、エチレン−α−オレフィンエラストマー、ク
ロロプレンゴム、天然ゴム、CSM、ACSM、SBR
が使用され、水素化ニトリルゴムは水素添加率80%以
上であり、耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮するため
に、好ましくは90%以上が良い。水素添加率80%未
満の水素化ニトリルゴムは、耐熱性及び耐オゾン性は極
度に低下する。耐油性及び耐寒性を考慮すると、結合ア
クリロニトリル量は20〜45%の範囲が好ましい。
【0019】また、エチレン−α−オレフィンエラスト
マーは、エチレンとα−オレフィン(プロピレン、ブテ
ン、ヘキセン、あるいはオクテン)の共重合体、あるい
は、エチレンと上記α−オレフィンと非共役ジエンの共
重合体であり、具体的にはエチレン−プロピレンゴム
(EPM)やエチレン−プロピレン−ジエンターポリマ
ー(EPDM)からなるゴムをいう。上記ジエン成分と
しては、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエ
ン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチ
レンノルボルネンなどの炭素原子数5〜15の非共役ジ
エンが挙げられる。
【0020】そして、上記エチレン−α−オレフィンエ
ラストマーのエチレン含量は60〜75質量%である。
エチレン含量が75質量%を越えると、結晶化度が急激
に大きくなって低温特性が低下し、更に短繊維を加えた
場合のシーティングの加工性が悪くなり、圧延時にシー
トに穴があきやすく、破れたりしやすくなる。また一
方、60質量%未満になると、α−オレフィンであるプ
ロピレンの特性によってエラストマーの凝集がよくなっ
て短繊維を多く添加しても、圧延時においてシートに穴
があきにくくシーティングしやすくなるが、機械的強度
が低下してベルトの耐摩耗性が悪くなる。
【0021】エチレン−α−オレフィンエラストマー中
のジエン含量は、0.1〜3.5質量%、好ましくは
0.1〜3.0質量%であり、0.1質量%未満では、
ベルト走行によりゴムが軟化して劣化し、発音しやすく
なる。一方、3.5質量%を超えると、ジエン成分がポ
リマー主鎖であるエチレン−プロピレン鎖の屈曲の妨げ
に大きく関与し、ベルト屈曲走行時に圧縮ゴム層に亀裂
が発生しやすくなる。
【0022】また、上記圧縮ゴム層4,26には、綿繊
維、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、アラミ
ドからなる補強用短繊維、そして水溶性繊維を混入して
耐側圧性を向上させるとともに、プーリと接する面にな
る圧縮ゴム層の表面に該短繊維を突出させ、この表面の
摩擦係数を低下させて、ベルト走行時の騒音を軽減させ
ることもできる。
【0023】上記アラミド短繊維が前述の効果を充分に
発揮するためには、アラミド繊維の繊維長さは1〜20
mmで、その添加量はゴム100質量部に対して1〜2
0質量部である。このアラミド繊維は分子構造中に芳香
環をもつ、例えば商品名コーネックス、ノーメックス、
ケブラー、テクノーラ、トワロン等である。また、上記
アラミド短繊維はリブ部7のゴムとの接着を向上させる
ためにも、該短繊維をエポキシ化合物やイソシアネート
化合物から選ばれた処理液によって接着処理される。
【0024】また、上記水溶性短繊維は、水に溶ける繊
維であり、素材を主としてポリビニルアルコール系を用
いるが、その添加量はゴム100質量部に対して1〜2
0質量部であり、1質量部未満の場合には、圧縮ゴム層
の表面に露出している水溶性短繊維の数が少なくて形成
される凹部の数も少なくなって、注水時のベルトスリッ
プによる発音を抑制することができなくなる。一方、2
0質量部を超えると、他の補強用短繊維の添加量が少な
くなって圧縮ゴム層の補強効果が小さくなってくる。
【0025】また、圧縮ゴム層には、上記水溶性短繊維
を含めた他の補強用短繊維を混入して圧縮ゴム層の耐側
圧性を向上させるとともに、プーリと接する面になる圧
縮ゴム層の表面をグラインダーによって研磨加工して該
短繊維を露出させる。圧縮ゴム層の表面の摩擦係数は低
下して、ベルト走行時の騒音を軽減する効果がある。
【0026】上記短繊維が前述の効果を充分に発揮する
ためには、その短繊維の総添加量は5〜40質量部であ
り、そのうち水溶性短繊維の占める割合は1〜20質量
%である。短繊維の総添加量が5質量部未満になると、
配合として十分な補強性が得られずベルトにしたときの
耐摩耗性が十分でないという不具合が起る。一方40質
量部を超えると、ゴムへの混練が困難になり、繊維の分
散も悪くなる。
【0027】更に、圧縮ゴム層には、必要に応じてカー
ボンブラック、シリカなどの補強剤、クレー、炭酸カル
シウムなどの充填剤、軟化剤、加工助剤、老化防止剤、
TAICなどの共架橋剤などの各種薬剤を添加してもよ
い。前記各成分を混合する方法としては特に制限はな
く、例えばバンバリーミキサー、ニーダー等を用い、適
宜公知の手段、方法によって混練することができる。
【0028】上記心線2,23としては、ポリエチレン
テレフタレート繊維、エチレン−2,6−ナフタレート
を主たる構成単位とするポリエステル繊維、ポリアミド
繊維からなるコードが使用され、ゴム組成物との接着性
を改善する目的で接着処理が施される。このような接着
処理としては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテック
ス(RFL液)に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接
着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限る
ことなくエポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を
行なった後に、RFL液で処理する方法等もある。
【0029】本発明で使用するエチレン−2,6−ナフ
タレートは、通常ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ま
たはそのエステル形成性誘導体を触媒の存在下に適当な
条件のもとにエチレングリコールと縮重合させることに
よって合成させる。このとき、エチレン−2,6−ナフ
タレートの重合完結前に適当な1種または2種以上の第
3成分を添加すれば、共重合体ポリエステルが合成され
る。
【0030】上記心線の接着処理は、まず(1)未処理
コードをエポキシ化合物やイソシアネート化合物から選
ばれた処理液を入れたタンクに含浸してプレディップし
た後、(2)160〜200℃に温度設定した乾燥炉に
30〜600秒間通して乾燥し、(3)続いてRFL液
からなる接着液を入れたタンクに浸漬し、(4)210
〜260℃に温度設定した延伸熱固定処理機に30〜6
00秒間通して−1〜3%延伸して延伸処理コードとす
る。
【0031】RFL液はレゾルシンとホルマリンとの初
期縮合体をラテックスに混合したものであり、ここで使
用するラテックスとしてはクロロプレン、スチレン・ブ
タジエン・ビニルピリジン三元共重合体、水素化ニトリ
ル、NBR、EPDM等である。
【0032】上記ゴム付帆布5,22は綿、ポリアミ
ド、ポリエチレンテレフタレート、アラミド繊維からな
る糸を用いて、平織、綾織、朱子織等に製織した布であ
る。無論、カバー帆布を使用しない場合もある。
【0033】上記Vリブドベルトの製造方法の一例は以
下の通りである。まず、円筒状の成形ドラムの周面に1
〜複数枚のカバー帆布と接着ゴム層とを巻き付けた後、
この上にコードからなる心線を螺旋状にスピニングし、
更に圧縮ゴム層を順次巻き付けて積層体を得た後、加硫
してスリーブを得る。
【0034】次に、スリーブを駆動ロールと従動ロール
に掛架され所定の張力下で走行させ、更に回転させた研
削ホイールを走行中の加硫スリーブに当接するように移
動してスリーブの圧縮ゴム層表面に3〜100個の複数
の溝状部を一度に研削する。このようにして得られたス
リーブに100℃以下、好ましくは20〜60℃にの水
をかけたり水に1〜10分間浸漬したりして水で処理す
ると、容易に圧縮ゴム層表面に露出している水溶性短繊
維が表面から除去され、クレータのような凹部が多数形
成する。
【0035】このように水処理されたスリーブを駆動ロ
ールと従動ロールから取り外し、該スリーブを他の駆動
ロールと従動ロールに掛架して走行させ、カッターによ
って所定に幅に切断して個々のVリブドベルトに仕上げ
る。水溶性短繊維の除去で表面に形成される凹部9によ
って、ベルトとプーリの間に水が付着しても、水がこの
凹部に収容されやすくなって、水膜が破壊されるように
なり、注水時のベルトスリップによる発音を抑制するこ
とができる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。 実施例1〜3、比較例1 本実施例で製造したVリブドベルトでは、、ポリエチレ
ンテレフタレート繊維のポリエステル繊維コードからな
る心線を接着ゴム層内に埋設し、その上側にゴム付綿帆
布を2プライ積層し、他方接着ゴム層の下側に設けた圧
縮ゴム層に3個のリブをベルト長手方向に配したもので
ある。
【0037】ここで圧縮ゴム層を表1に示すゴム組成物
から調製し、バンバリーミキサーで混練後、カレンダー
ロールで圧延したものを用いた。圧縮ゴム層には水溶性
短繊維と補強用短繊維が含まれベルト幅方向に配向して
いる。接着ゴム層は表1に示すゴム組成物から短繊維を
除去したゴム配合になる。
【0038】
【表1】
【0039】ベルトの製造方法は、まずフラットな円筒
モールドに2プライのゴム付綿帆布を巻いた後、接着ゴ
ム層を巻き付けて、心線をスピニングし、圧縮ゴム層を
設置した後、圧縮ゴム層の上に加硫用ジャケットを挿入
する。次いで、成形モールドを加硫缶内に入れ、加硫し
た後、筒状の加硫スリーブをモールドから取り出し、該
スリーブの圧縮ゴム層をグラインダーによってリブに成
形した後、該スリーブを20℃の水温からなる水に5分
間浸漬して、表面に露出している水溶性短繊維を溶解除
去し、そしてこのスリーブを駆動ロールと従動ロールに
掛架して走行させ、カッターによって所定に幅に切断し
て個々のベルトに仕上げた。
【0040】このようにして得られたVリブドベルトは
3PK1,100であり、このベルトの伝達性能試験と
して注水走行及びドライ時走行における2%スリップ率
の負荷、発音性能試験として発音限界張力を求めた。そ
の試験結果を表2に示す。
【0041】伝達性能試験の注水走行試験では、上記V
リブドベルトを駆動プーリ(直径120mm)と従動プ
ーリ(直径120mm)に巻き付けてベルト張力10.
2kgfを一定に調節し、雰囲気温度23℃、駆動プー
リの回転数2,000rpmで、駆注水(注水量120
ml/分)条件下で負荷を上昇させながら、ベルトのス
リップ率が2%になったときの負荷を求めた。
【0042】伝達性能試験のドライ走行試験では、注水
しない以外は注水走行試験と同じ条件でベルトの2%ス
リップ時の負荷を求めた。
【0043】また、発音限界張力では、上記Vリブドベ
ルトを駆動プーリ(直径120mm)と従動プーリ(直
径120mm)に巻き付けて負荷を0.92kgf・m
に一定した後、雰囲気温度23℃、ベルト張力を下げて
いきながら走行させ、発音した時のベルト張力を発音限
界張力にした。
【0044】
【表2】
【0045】表2の走行試験の結果から明らかなよう
に、実施例1〜3および比較例1ともドライ時の負荷に
変化がないが、実施例1〜3の水溶性短繊維を配合した
ベルトでは、ベルトの2%スリップ時の負荷が大きくな
っていることから、注水時におけるベルトのスリップが
起こりにくいことを示している。また、水溶性短繊維を
配合したベルトでは、発音限界張力が小さく、発音しに
くいことが判る。
【0046】
【発明の効果】以上のように本願の請求項の発明では、
圧縮ゴム層に水溶性短繊維を配合し、上記圧縮ゴム層の
表面に存在していた水溶性短繊維が水で溶解除去されて
いる動力伝動用ベルトにあり、圧縮ゴム層の表面に水溶
性短繊維を溶解除去した跡の凹部が形成されており、ベ
ルトとプーリの間に水が付着した場合には、水がこの凹
部に収容されやすくなって、水膜が破壊されるようにな
り、注水時のベルトスリップによる発音を抑制すること
ができ、水溶性短繊維が圧縮ゴム層のゴム100質量部
に対して1〜20質量部含まれている場合には、多数の
凹部か形成されて、注水時のベルトスリップによる発音
を抑制することができ、そして水溶性短繊維が溶解する
ポリビニルアルコール系繊維を使用すると、水より容易
に水溶性短繊維を溶解除去し、その跡を形成することが
できる効果がある。
【0047】更に、上記圧縮ゴム層のゴム100質量部
に対して水溶性短繊維を1〜20質量部配合し、上記圧
縮ゴム層の表面に存在する水溶性短繊維を水で溶解除去
して複数の凹部を形成する動力伝動用ベルトの製造方法
では、水溶性短繊維が容易に水で溶解除去して複数の凹
部を形成でき、水溶性短繊維を10〜60℃の温度の調
節された水で溶解除去した場合には、短時間にほぼ完全
に水溶性短繊維を除去することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るVリブドベルトの縦断面図であ
る。
【図2】本発明に係るVカットエッジタイプのVベルト
の縦断面図である。
【符号の説明】
1 Vリブドベルト 2,23 心線 3,24 接着ゴム層 4,26 圧縮ゴム層 5,22 ゴム付帆布 9,28 凹部 7 リブ部 21 Vベルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29K 105:08 B29K 105:08 105:12 105:12 Fターム(参考) 4F213 AA19 AA45 AB20 AB25 AD16 AG17 WA03 WA33 WA37 WA39 WA43 WA54 WA57 WA67 WA87 WA92 WB01 WB11 WC03 WF02 WF06 WK03 WK05 WW02 WW06 WW15 WW23 WW32 WW50

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト長手方向に沿って心線を埋設した
    接着ゴム層と、圧縮ゴム層を含む弾性体層からなる動力
    伝動用ベルトにおいて、 上記圧縮ゴム層に水溶性短繊維を配合し、上記圧縮ゴム
    層の表面に存在していた水溶性短繊維が水で溶解除去さ
    れていることを特徴とする動力伝動用ベルト。
  2. 【請求項2】 水溶性短繊維が圧縮ゴム層のゴム100
    質量部に対して1〜20質量部含まれている請求項1記
    載の動力伝動用ベルト。
  3. 【請求項3】 水溶性短繊維が溶解するポリビニルアル
    コール系繊維である請求項1または2記載の動力伝動用
    ベルト。
  4. 【請求項4】 ベルト長手方向に沿って心線を埋設した
    接着ゴム層と、圧縮ゴム層を含む弾性体層からなる動力
    伝動用ベルトの製造方法において、 上記圧縮ゴム層のゴム100質量部に対して水溶性短繊
    維を1〜20質量部配合し、上記圧縮ゴム層の表面に存
    在する水溶性短繊維を水で溶解除去して複数の凹部を形
    成することを特徴とする動力伝動用ベルトの製造方法。
  5. 【請求項5】 水溶性短繊維を10〜60℃の温度の調
    節された水で溶解除去した請求項4記載の動力伝動用ベ
    ルトの製造方法。
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Cited By (8)

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