JP2004034352A - 動力伝動ベルトの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】可撓性ジャケット22を装着した内型円筒ドラム21に、ジョイントレス編物15、未加硫接着ゴムシート12を巻き、更にその上に心線13、そして補強層16を設けた未加硫圧縮ゴムシート20、を順次無端状に捲き付けた未加硫ベルトスリーブ11を配置する。そして可撓性ジャケット22の内部にエアーを送入し、可撓性ジャケット22を半径方向に均一に膨張させて、未加硫ベルトスリーブ11をV形溝が刻設された外型モールド26に密着せしめて加硫し、得られた加硫ベルトスリーブを所望の幅にカットする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動力伝動ベルト、特にVリブドベルトの製造方法に係り、詳しくは、圧縮ゴム層への凹凸の刻印が良好であって、しかも加硫成形時における背面帆布のパンクを防止した動力伝動用ベルトの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、Vリブドベルトの製造方法として、帆布、接着ゴム層、コードからなる心線、そして圧縮ゴム層を加硫により積層一体化した加硫ベルトスリーブを成形した後、圧縮ゴム層表面を断面三角状のグラインダーホイールで切削し、リブ溝を形成する方法がとられている。しかし、この製造方法においては、リブ溝を研削したときに発生するゴム屑がスクラップとなるだけでなく、グラインダー回転時に振れが発生すると、それが微小といえども正確なリブ形状を成形できなくなるといった問題があった。
【0003】
このため、最近では、材料の廃棄量をできるかぎり少なくすると共に、製造工程を簡素化させるようなVリブドベルト製造方法の要求がある。
その要求に対して、周面にリブ刻印を設けた内型ドラムに、未加硫ベルトスリーブを巻き付けた後、加熱加圧によりベルトスリーブを内型ドラムに押圧してリブ部を型付けする方法が提案されている。しかし、前記方法においては、通常の温度、圧力条件では、リブ部を充分に刻印できないことがあり、これらの諸条件の水準を高くして正確に刻印しようとすると、ゴムに大きな熱履歴を与えるといった弊害があった。またこの方法では未加硫ベルトスリーブの形成方法として、圧縮ゴムシート、接着ゴムシートを巻き付けた後に心線をスピニングすることから、心線ピッチが乱れ、ひいてはベルト成形体を駆動させた時に発振、蛇行が生じるといった問題があった。更に、ベルトスリーブを内型ドラムへ押圧するため、成形後のベルトスリーブの脱型が困難であるといった問題もあった。
【0004】
また、特開平3−16721号公報には、モールド面にベルト成形体を作製した後、その外側に外型として加硫ゴムからなるリブ付母型を嵌入して、加熱加圧して成型するゴム母型を用いた方法が開示されている。しかし、一般には圧縮ゴム層に短繊維が含有されているために、ゴム母型では十分にリブ部を形成できない場合があった。
【0005】
また特開昭58−25948号公報には、円筒ドラムに装着された可撓性ジャケットの上に未加硫ベルトスリーブを巻き付けた後、ジャケットを膨張させてV型突起を有する外型に押圧して加硫成形する方法が提案されている。この方法により成形されたリブ部の形状は良好であり、しかも製造工程においてスクラップが発生しないといった利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記方法にあっては、ゴムスリーブを内側より膨張せしめる為、ベルト背面帆布に高い伸縮性が要求される。従来、背面帆布として広く使用されている帆布は、経糸と緯糸の交叉角90°の平織帆布を機械的に処理、即ちテンター処理して両糸をベルト長手方向に対して120°に交叉した広角度処理した広角度帆布(バイアス帆布)をゴム糊でソーキング処理した後、バイアス45°に切断して切尺反とし、この切尺反を作業台上で他の切尺反との両端部を突き合わせてオーバーロックなどのミシンがけによりジョイントしてベルトの外周長を越える長さが得られるまで接合を繰り返し長尺反にしていた。そして、この長尺反はベルトの外周長に相当する長さにバイアス45°に切断し、これをミシンがけによりジョイントして円筒状のカバー帆布に仕上げていた。更には、このようにして切り取られた長尺反の最後には、長尺反の長手方向に対して直角方向になるように両端を切断し、この両端をミシンがけによりジョイントして円筒状のカバー帆布にしていた。
【0007】
また、他の方法として長尺反の一端を長手方向に対して直角方向になるように切断した後、他端も長手方向に対して直角方向になるように切断し、この両端をミシンがけによりジョイントして円筒状のカバー帆布に仕上げていた。この円筒状のカバー帆布では、長手方向に対して直角方向になる直角接合線とバイアス接合線が共存していた。
【0008】
更に、他の方法として、袋織布を長さ方向に対してバイアス45°に切断して経糸と緯糸が90°に交差した連続帆布を作製し、この帆布の長手方向に延伸して経糸と緯糸の交差角を90°以上にして切断した後、この切断した帆布端部を突き合わせてミシンがけによりジョイントして長尺帆布に仕上げていた。この長尺帆布を所定長さに切断して両端部を突き合わせてミシンがけによりジョイントして円筒状帆布にすることが知られている。
【0009】
しかしながら、上記方法により得られた帆布にはいずれもジョイント部が存在するため、ブラダーを用いてベルトスリーブを膨張加圧させる際にジョイント部へ負荷がかかり、パンクが発生してゴムが流出するといった問題があった。このパンクが発生した個所では他の個所に比べてゴムが多く露出するため、成形されたベルト背面で摩擦係数にバラツキが生じ、これが原因でベルト走行時に異音が発生したり、摩耗によってベルト寿命が低下するといった難点がある。またジョイント部の存在自体がベルト走行時の異音の原因となるといった問題もあった。
【0010】
上記問題に鑑みて、本発明を提案するものであって、その目的とするところは、スクラップを発生させること無く、圧縮ゴム層の凹凸を正確かつ良好に形成できるとともに、加硫成形時における背面帆布のパンクを防止した動力伝動ベルトの製造方法を提供することにある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、本願請求項1記載の発明は、動力伝動ベルトの製造方法にあって、ベルト背面を補強布で被覆し、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層に隣接して圧縮ゴム層を配置した動力伝動ベルトの製造方法にあって、内型円筒ドラムの周面に装着した可撓性ジャケットを介して、ジョイントレス丸編物を内周面に配置した無端状未加硫ゴムスリーブを捲装した後、可撓性ジャケットと内型円筒ドラムの間に圧力媒体を送入して可撓性ジャケットを膨張加熱せしめることにより、前記無端状未加硫スリーブを外型円筒モールドに押圧して加硫し、得られた無端状加硫スリーブを所望の幅にカットすることを特徴とする。
【0012】
本願請求項2記載の発明は、請求項1記載の動力伝動ベルトの製造方法にあって、無端状未加硫ゴムスリーブは、可撓性ジャケット装着した内型円筒ドラムに、ジョイントレス丸編物を嵌挿し、その上に未加硫接着ゴムシートを巻き付けた後、心線を螺旋状にスピニングし、更に、未加硫圧縮ゴムシートを巻きつけることにより形成されてなることを特徴とする。
【0013】
本願請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の動力伝動ベルトの製造方法にあって、動力伝動ベルトが、接着ゴム層にベルト長手方向に沿って心線が埋設され、接着ゴム層の下部にリブ部を設けた圧縮ゴム層を配置したVリブドベルトであって、外型円筒モールドの内周面に前記ベルトのVリブ形状に対応した複数本の溝が設けられていることを特徴とする。
【0014】
本願請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の動力伝動ベルトの製造方法にあって、ジョイントレス丸編物の編目構造は、ウェール密度が55〜70shot/5cm、コース密度45〜65shot/5cmとなるよう構成されていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る動力伝動ベルトの製造方法の一例として、Vリブドベルトの製造方法を以下に示す。
第1図は本発明で使用するベルト加硫機の加硫前の状態を示す横断図、第2図は同じく加硫後の状態を示す横断図で、これら各図において、21は基台上に載置された鉄製の内型円筒ドラムである。この内型円筒ドラム21の中央部には後述する圧力媒体送入、排出のための媒体流通口Aが設けられている。そして、前記ドラム21の外周には弾性体よりなる膨張収縮可能な円筒状可撓性ジャケット22が装着されており、可撓性ジャケット22は夫々の上下部において内型円筒ドラム21と固定されていて、本体部が内型円筒ドラム21と密着された状態となっている。
【0016】
又、前記内型円筒ドラム21の中央付近に設けられた媒体流通口Aは、ジョイントJ、パイプ又は可撓性ホースかなる媒体送入排出路Bを通じて、高圧蒸気又は高圧空気のような媒体送入機(図示せず)と連結されてなる。また媒体送入排出路Bは、切換えバルブによって真空ポンプとも連結されている。
【0017】
以上が、内型円筒ドラム21の構成であるが、この外周には外型円筒モールド26が内型ドラム21から一定の間隔をおいて包囲するように基台に固定されている。外型円筒モールド26は、その内周面に周方向に延びる複数横条のV形溝が刻設されていると共に、内部に加熱ヒーター、スチームバイブなどの加熱機構(図示せず)が設置されてなる。この外型円筒モールド26は、通常は分割不可能な円筒体であるが、軸方向に数個(例えば2分割)に分割可能にすることもできる。
【0018】
本発明で用いるベルト加硫機は以上のような構成によりなるものであり、次にこのベルト加硫機を使用して実施する未加硫ベルトスリーブの加硫方法について説明する。
【0019】
先ず、前記内型ドラム21に装着された可撓性ジャケット22の外周面に、丸編物15、未加硫接着ゴムシート12、ポリエステル、ポリアミド繊維等よりなる低伸度高強力のロープからなる心線13、未加硫圧縮ゴムシート20を順次無端状に捲き付けたフラット状の広幅未加硫ベルトスリーブ11を配置する。即ち、可撓性ジャケット22を装着した内型円筒ドラム21に、ジョイントレス丸編物15を嵌挿し、その上に未加硫接着ゴムシート12を巻き付けた後、抗張体ロープ13を螺旋状にスピニングし、そして未加硫圧縮ゴムシート20を巻き付けることにより未加硫ベルトスリーブ11が形成される。尚、心線13をスピニングした後、更に未加硫接着ゴムシートを積層してもよい。
【0020】
丸編物15は、円形に編んだ緯編であって、ジョイントレスであることを特徴とする。丸編物は平たな左右の動きによって編んだ横編とは異なり、打ち込み本数が多く編目を充分に詰めることができるため、ゴムが多量に滲み出すことはなく、ベルト走行時の異音の発生を抑えることができる。即ち、丸編物は円筒状に配列された編針により筒状に編まれた編地であって、編目密度が一定であることからゴムの滲み出しが均一になり、しかもアンカー効果により接着ゴム層との接着性が向上するといった効果がある。また、ループが連綴されてできた布地であるため、高い伸縮性を有していることも利点に挙げられる。
この編目構造はウェール密度が55〜70shot/5cmであり、コース密度45〜65shot/5cmとなるよう構成されることが好ましい。使用される糸は綿、ナイロン、ポリエステル、アラミドなどのスパン糸で、太さは10〜20番手である。
【0021】
上記丸編物15には、接着処理を施されてなる。好ましくは、カーボンブラック分散液とRFL液の混合液に0.1〜20秒間浸漬した後、100〜200℃で30〜600秒にて熱処理し黒染めする。
【0022】
前記混合液中のカーボンブラックとレゾルシン−ホルマリン−ラテックスの固形分重量比は1:9〜7:3であることが好ましい。カーボンブラックの添加量が該範囲より少なくなると、処理繊維材料の色合いが不均一になって外観が悪く、他方カーボンブラックの添加量が多くなると、処理繊維材料とベルト本体の接着力が低下する。また、混合液中の全固形分濃度が5〜40%濃度となるよう固形分配合量を調節することが望ましい。
【0023】
カーボンブラック分散液は、例えばHAF、MAF、EPC、ISAFなどのカーボンブラックを界面活性剤と共に水中に分散させた懸濁液である。
また、RFL液はレゾルシンとホルマリンの初期縮合物とゴムラテックスとを混合したものであり、レゾルシンとホルマリンのモル比は1:0.5〜1:3にすることが接着力を高める上で好適である。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物は、これをラテックスのゴム分100質量部に対してその樹脂分が10〜100質量部になるようにラテックスと混合した上、全固形分濃度が5〜40%濃度になるように調節される。尚、RFL液にも公知の界面活性剤を0.1〜5.0重量%加えてもよい。
【0024】
上記ラテックスはスチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共重合体、クロロスルフォン化ポリエチレン、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、エピクロルヒドリン、天然ゴム、SBR、クロロプレンゴム、オレフィン−ビニルエステル共重合体、EPDM等のラテックスである。
【0025】
尚、上記混合液には水分散可能な架橋剤を配合することができる。混合液中に該架橋剤を配合することで、ベルト加硫時に繊維材料に含浸されたラテックス成分が架橋して、繊維材料の隙間からベルト本体を構成するゴムが滲み出るのを防止する。また得られたベルトを走行させると、長期的な粘着摩耗抑制効果が見られる。水分散可能な架橋剤としては、コロイド硫黄が挙げられる。コロイド硫黄は、沈降硫黄又は粉末硫黄を分散剤と共にボールミルやコロイドミルにかけて作製したゾルを乾燥したものであって、一般には環状硫黄S8を摩砕分散することで得られる。
【0026】
また、金属酸化物を配合することも可能である。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が例示でき、なかでも酸化亜鉛が好ましく用いられる。尚、上記金属酸化物は1種を単独で用いたりまたは2種以上を併用することが可能である。
【0027】
但し、前記架橋剤は、混合液中に含まれるラテックス成分の種類により選定することが望ましい。具体的には、ラテックス成分がカルボキシル基やクロロスルフォニル基といった官能基を有するゴムラテックスの場合に、金属酸化物による架橋効果が得られるものである。
【0028】
水分散可能な架橋剤の配合量としては、ラテックス成分100質量部に対してコロイド硫黄は0.2〜10質量部、金属酸化物は0.5〜15質量部であることが好ましい。配合量が前記範囲に満たない場合は、ゴム滲み防止効果ひいては粘着摩耗抑制効果が不十分であり、一方前記範囲を超えた場合は、帆布が硬化過剰となりベルト本体との接着力が低下する。また更に、上記に用いる架橋剤はベルト本体を構成するゴム組成物の加硫系を考慮した上で選定すると、ベルト本体と帆布との接着力を高めることができる。
【0029】
また、上記架橋剤に加えて加硫促進剤を配合することも可能である。具体的には、テトラメチルチウラム・ジスルフィド(TMTD)などが用いられ、配合量としてはゴムラテックス成分100質量部に対して0.5〜10質量部が好ましい。0.5質量部未満の場合は加硫促進効果が低く、10質量部を超えると帆布に含浸されるラテックス成分の加硫導入時間が短くなるために、ベルト本体が架橋される前に帆布が先に硬化してしまい接着力が低下するといった問題がある。
【0030】
未加硫圧縮ゴムシート20を構成する主材ゴムとしては、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴムのようなエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴム、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H−NBR)に不飽和カルボン酸金属塩を添加したもの、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレン(ACSM)、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム(CSM)等を主成分とし、これにカーボンブラックやシリカのような充填剤、軟化剤、老化防止剤、加硫助剤、硫黄あるいは有機過酸化物のような加硫剤等が添加混合される。また、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、綿、アラミドなどからなる短繊維を添加しても良い。短繊維としてはアラミド繊維が好ましく、具体的には商品名コーネックス、ノーメックス、ケブラー、テクノーラ、トワロン等があげられる。繊維長は1〜20mmで、その添加量はゴム100質量部に対して1〜30質量部であることが望ましい。尚、ゴム配合物の混練り方法としては、例えばバンバリーミキサー、ロール、ニーダー、そして押出機等限定するものでなく、適宜公知の手段、方法によって混練することができる。
【0031】
ベルト成形体の耐側圧性、耐摩耗性を向上させるべく、未加硫圧縮ゴムシート20として、未加硫ゴムシート14に補強層16を積層したものを用いることができる。ゴム補強層16とは、例えば金属粉、セラミックス粉などの補強材を配合したゴム組成物で構成されてなる表層である。また前述の如き短繊維を配合したゴム組成物で補強層16を構成してもよい。
【0032】
未加硫接着ゴムシート12は未加硫圧縮ゴムシート20と同種のゴムが使用可能である。配合物として、必要に応じてカーボンブラック、シリカのような増強剤、炭酸カルシウム、タルクのような充填剤、可塑剤、安定剤、加工助剤、着色剤のような通常のゴム配合に用いるものが使用される。
【0033】
心線13としては、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維が使用され、中でもエチレン−2,6−ナフタレートを主たる構成単位とするポリエステル繊維フィラメント群を撚り合わせた総デニール数が4,000〜8,000の接着処理したコードが、ベルトスリップ率を低くでき、ベルト寿命を延長させるために好ましい。また、心線13にはゴムとの接着性を改善する目的で接着処理が施される。このような接着処理としては繊維をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス(RFL)液に浸漬後、加熱乾燥して表面に均一に接着層を形成するのが一般的である。しかし、これに限ることなくエポキシ又はイソシアネート化合物で前処理を行なった後に、RFL液で処理する方法等もある。
【0034】
尚、心線は、スピニングピッチ、即ち心線の巻き付けピッチを1.0〜1.3mmにすることで、モジュラスの高いベルトに仕上げることができる。1.0mm未満になると、コードが隣接するコードに乗り上げて巻き付けができず、一方1.3mmを越えると、ベルトのモジュラスが徐々に低くなる。
【0035】
次いでこの未加硫ベルトスリーブ11を内型円筒ドラム21に捲き付けた状態のままで、外型モールド26の内側に一定の空隙部を形成するよう基台上に載置固定する。この場合、内型ドラム21は別の成形工程より移動してくる関係上、媒体流通口Aと媒体送入排出路Bとは分離しており、内型円筒ドラム21を基台に載置後、媒体流通口AをジョイントJでパイプと連結する。
【0036】
次いで、媒体送入機を作動して高圧空気もしくは高圧蒸気を媒体送入排出路B、媒体流通口Aを経て、可撓性ジャケット22の内部に送入する。可撓性ジャケット22は、その上下部が内型円筒ドラム21上に密閉固定されているため、可撓性ジャケット22の内面と内型円筒ドラム21の外面の間にエアーが充満し、可撓性ジャケット22は次第に膨張する。そして、その外周面に装着されている未加硫ベルトスリーブ11を半径方向に均一に膨張させ、加熱ヒーター若しくは高温蒸気で加熱した外型モールド26のV形突起と接触せしめる。
【0037】
このとき、可撓性ジャケット22の膨張押圧力により、未加硫ベルトスリーブ11表面の未加硫圧縮ゴムは、外型モールド26の熱で次第に流動状態を呈しながら加硫されると共に、外型モールド26のV溝中に食い込み、第2図のような表面に複数のV型突起を有する加硫ベルトスリーブ11’を形成するに至る。尚、丸編物15は伸縮性が高く、ジョイントが存在しないため、可撓性ジャケット22により膨張押圧力を与えられた際にもパンクすることはない。
【0038】
そして、加硫後はバルブを真空ポンプの方へ切替えて、真空ポンプを作動させて可撓性ジャケット22内に充満しているエアーを排気し、次いで吸引作用で可撓性ジャケット22を第1図に示す元の位置に収縮復帰せしめる。
【0039】
次いで、内型円筒ドラム21、加硫ベルトスリーブ11’を取り出すが、取り出された加硫ベルトスリーブ12’は、以後別のドラムに挿入し、加硫ベルトスリーブ11’を円周方向に所定幅に切断し、ドラムより取出して反転することにより、周長が一定で、V形リブが正確に型付形成された第2図のようなVリブドベルト1が複数本得られる。尚、外型円筒モールド26を前述のような分割式モールドを使用した場合、未加硫スリーブの挿入ならびに加硫スリーブの取り外しが容易にでき、かつこの分割面が一種のエアー抜きの機能を果し、V型リブをより一層正確に形成することができる。
【0040】
以上は、本発明の実施の一形態であって、これに限定されるものではない。例えば、本発明はVベルトの製造方法にも適用可能である。またフラットな圧縮ゴムシートの代わりに、リブ型を予備成形した圧縮ゴムシートを用いることも可能である。
【0041】
このようにして得られたVリブドベルト1は、接着ゴム層2内にベルト長手方向に沿って心線3が埋設され、接着ゴム層2の下部に、ベルト長手方向に複数のリブを設けた圧縮ゴム層4を有している。圧縮ゴム層4の表面には補強層6が設けられ、また接着ゴム層2の上部には、伸張層として編物5が積層した構造を有する。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本願請求項記載の発明では、スクラップを発生させること無く、圧縮ゴム層の凹凸を正確かつ良好に形成できるとともに、加硫成形時における背面帆布のパンクを防止した動力伝動ベルトの製造方法を提供できた。また得られたベルトの背面摩擦係数は低く均一に構成されているので、ベルト走行時の騒音を軽減できるとともに、耐久性を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用するベルト加硫機の加硫前の状態を示す横断図である。
【図2】本発明で使用するベルト加硫機の加硫後の状態を示す横断図である。
【図3】本発明に係る製造方法で得られたVリブドベルトの断面斜視図である。
【符号の説明】
1 Vリブドベルト
2 接着ゴム層
3 心線
4 圧縮ゴム層
5 編物
6 補強層
11 未加硫ベルトスリーブ
12 未加硫接着ゴムシート
13 心線
15 丸編物
16 補強層
20 未加硫圧縮ゴムシート
21 内型円筒ドラム
22 可撓性ジャケット
26 外型円筒モールド
Claims (4)
- ベルト背面を補強布で被覆し、ベルト長手方向に沿って心線を埋設した接着ゴム層に隣接して圧縮ゴム層を配置した動力伝動ベルトの製造方法にあって、内型円筒ドラムの周面に装着した可撓性ジャケットを介して、ジョイントレス丸編物を内周面に配置した無端状未加硫ゴムスリーブを捲装した後、可撓性ジャケットと内型円筒ドラムの間に圧力媒体を送入して可撓性ジャケットを膨張加熱せしめることにより、前記無端状未加硫スリーブを外型円筒モールドに押圧して加硫し、得られた無端状加硫スリーブを所望の幅にカットすることを特徴とする動力伝動ベルトの製造方法。
- 無端状未加硫ゴムスリーブは、可撓性ジャケットを装着した内型円筒ドラムに、ジョイントレス丸編物を嵌挿し、その上に未加硫接着ゴムシートを巻き付けた後、心線を螺旋状にスピニングし、更に、未加硫圧縮ゴムシートを巻きつけることにより形成されてなる請求項1記載の動力伝動ベルトの製造方法。
- 動力伝動ベルトが、接着ゴム層にベルト長手方向に沿って心線が埋設され、接着ゴム層の下部にリブ部を設けた圧縮ゴム層を配置したVリブドベルトであって、外型円筒モールドの内周面に前記ベルトのVリブ形状に対応した複数本の溝が設けられている請求項1又は2に記載の動力伝動ベルトの製造方法。
- ジョイントレス丸編物の編目構造は、ウェール密度が55〜70shot/5cm、コース密度45〜65shot/5cmとなるよう構成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の動力伝動ベルトの製造方法。
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