JP2013111035A - 分散性を向上させた増粘組成物およびそれに用いる金属塩含有澱粉分解物 - Google Patents

分散性を向上させた増粘組成物およびそれに用いる金属塩含有澱粉分解物 Download PDF

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Abstract

【課題】 とろみ調整剤などに使用される、ダマの形成を抑制できる従来品より分散性の改善された増粘組成物を提供すると共に、増粘組成物製造の際に造粒が必要な場合に、バインダーの添加量による組成への影響を考慮する必要がなく、作業が容易となる、分散性を向上させた増粘組成物を提供する。
【解決手段】 金属塩の含有量が澱粉分解物100質量部に対し、0.5〜40質量部である金属塩含有澱粉分解物と増粘多糖類とを含む分散性の改善された増粘組成物である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属塩を含有した澱粉分解物を用いることにより分散性の改善された、増粘組成物に関する。
高齢化の進行に伴い、嚥下困難者向けの飲食物の粘度を調整する目的で使用される増粘組成物、所謂とろみ調整剤の需要が増大している。しかし、とろみ調整剤の主剤であるキサンタンガムは分散性が極めて低く、水に添加された粉体の集合体は、水と接触する部分から膨潤を開始し、集合体の表面を覆い、集合体の内部への水の浸透を遮蔽し、所謂「ダマ」を形成する。このようなダマを完全に溶解させることは非常に困難であり、とろみ調整剤の使用の上で問題となっていた。
これまで、キサンタンガム粉末を造粒する際に用いるバインダー液を改良することにより、分散性を改善させた特許が多数出願されている。
例えば、特開2004−49225号公報(特許文献1)には、キサンタンガムなどのゾル化剤およびデキストリンなどの水溶性分散剤を造粒することにより、液状食品に対して分散性、溶解性がよく、ゲル化またはゾル化後の食品の低付着性、高凝集性を実現させた技術が開示されている。
特開2010−81943号公報(特許文献2)、特開2008−61608号公報(特許文献3)、特許第3930897号明細書(特許文献4)では、キサンタンガムの粉末表面にカリウム塩やアルギン酸塩、カルボキシルメチルセルロース(CMC)または金属塩溶液をバインダーとして噴霧し造粒することにより、ダマにならずに分散・溶解し添加後2分でピーク粘度の90%以上に達することを実現させた技術が開発されている。
特開2008−68194号公報(特許文献5)には、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、及びパントテン酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上を含有する水溶液をバインダーとして水溶性高分子の粉末を造粒することにより、スパーテルなどによる手攪拌といった弱い攪拌条件においても、水溶性高分子などの粉末がダマを起こさずに容易に分散・溶解させることを実現させた技術が開示されている。
特開2011−120538号公報(特許文献6)では、増粘多糖類及びデキストリンを含有する粉末原料にデキストリンを18〜35重量%含有する水溶液をバインダー液として噴霧・造粒するとともに、粉末原料にCMCナトリウム塩を含有することで、飲食品の風味を損なうことなく、粘度の立ち上がりと持続性が良好で、かつ分散性が良好で、ダマの発生が抑制できる増粘剤造粒物を得られる技術が開発されている。
また、キサンタンガムの改良の他、分散剤として添加するデキストリンの種類を限定することにより、分散性を改善させた特許も出願されている。特開2006−6252号公報(特許文献7)では、ゲル化及び/又は増粘する性質を有する水溶性高分子とDE値5以下のデキストリンを含む混合物を顆粒化することにより、水溶性高分子のランピングを防止する技術が開発されている。
しかしながら、上記の従来技術では、とろみ調整剤として許容できる程度にダマの発生を防ぐことは困難であり、特に噴霧造粒に使用するバインダー液を改良する方法では、製造される組成物の組成を一定にするためバインダー液の噴霧量を調整しなくてはならず、またバインダー溶液の溶質が噴霧ローターの目詰まりを起こすため作業性が悪く、さらなる造粒方法の改良が求められている。
本発明は、上記問題に鑑み、ダマの形成を抑制できる、分散性の改善された増粘組成物を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、増粘組成物製造の際に造粒が必要な場合に、バインダーの添加量による組成への影響を考慮する必要がなく、作業が容易となる、分散性を向上させた増粘組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、各種金属塩を製造時に配合し粉末化した澱粉分解物と、増粘多糖類とを用いることにより、キサンタンガムをはじめとする増粘多糖類の分散性を改善させる効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は第一に、金属塩を含有する澱粉分解物と増粘多糖類とを含む分散性の改善された増粘組成物である。
第二に、金属塩の含有量が、澱粉分解物100質量部に対し、0.5〜40質量部であることを特徴とする、上記第一に記載の増粘組成物である。
第三に、金属塩がカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩から選択される1種以上であることを特徴とする、上記第一または第二に記載の増粘組成物である。
第四に、増粘組成物に含まれる金属塩含有澱粉分解物と増粘多糖類との質量比が、金属塩含有澱粉分解物:増粘多糖類=55:45〜99:1であることを特徴とする、上記第一から第三のいずれか一つに記載の増粘組成物である。
第五に、上記第一から第四のいずれか一つに記載の増粘組成物を含む、とろみ調整剤である。
第六に、上記第一から第四のいずれか一つに記載の増粘組成物の成分である、金属塩含有澱粉分解物である。
第七に、金属塩の含有量が、澱粉分解物100質量部に対し、0.5〜40質量部であることを特徴とする、上記第六に記載の金属塩含有澱粉分解物である。
第八に、金属塩がカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩から選択される1種以上であることを特徴とする、上記第六または第七に記載の金属塩含有澱粉分解物である。
第九に、デキストロース当量が6〜25であることを特徴とする、上記第六から第八のいずれか一つに記載の金属塩含有澱粉分解物である。
第十に、90%以上が500μm以下の粒径を有することを特徴とする、上記第六から第九のいずれか一つに記載の金属塩含有澱粉分解物である。
第十一に、噴霧乾燥法および/またはドラムドライヤー法によって製造されることを特徴とする、上記第六から第十のいずれか一つに記載の金属塩含有澱粉分解物である。
第十二に、澱粉分解物の製造工程中(好ましくは、加水分解処理後であって、ろ過処理前)に、金属塩を添加することを特徴とする、増粘組成物の製造方法である。
以下に本発明を詳細に説明する。なお、特に断りのない場合、本発明において「%」は、「重量%」を意味する。
本発明において、増粘多糖類とは、増粘を目的として用いられる水溶性多糖類の総称であり、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、カラギーナン、グルコマンナン、ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、タマリンドシードガム、ペクチン、ゼラチン、アラビアガム、寒天などが挙げられ、本発明においては、これらの増粘多糖類の1種類または2種類以上の組み合わせのものが好適に利用できるが、好ましくはキサンタンガム及び/又はグアーガムが、より好ましくはキサンタンガムが利用できる。
本発明の澱粉分解物を作成するための澱粉原料としては、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、コーンスターチ、ワキシコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、粳米澱粉、もち米澱粉などの通常の原料澱粉、あるいはそれらをエーテル化、エステル化、酸化処理など通常の手段により処理した加工澱粉が挙げられるが、馬鈴薯澱粉を用いることが好ましい。
本発明において、澱粉分解物とは、上記の原料澱粉や加工澱粉に酸および/または酵素を添加し、オートクレーブ、あるいは連続加水分解装置などの適当な装置内で加熱してDE(デキストロース当量)6〜25好ましくは、10〜20になるように加水分解し、澱粉、酵素、酸、中和剤などに由来する不純物をろ過後、必要に応じ脱色、脱塩などの精製処理を行い、必要な程度まで濃縮した液状品およびそれを噴霧乾燥などの方法で乾燥した粉末品をいう。
本発明における増粘組成物の分散性を改善する金属塩含有澱粉分解物とは、澱粉分解物に本発明における金属塩を必要量添加して、乾燥して得られる粉末品をいう。その製造方法として、上記の澱粉分解物の製造工程において、加水分解処理し噴霧乾燥するまでの工程、好ましくは加水分解後ろ過処理をする前に、本発明の金属塩を添加溶解して得られる、金属塩含有澱粉分解物濃縮液を噴霧乾燥して得ることができる。
また、他の方法として、必要な程度まで濃縮した澱粉分解物の液状品、または噴霧乾燥した澱粉分解物を必要量の水に溶解した液に、本発明の金属塩を必要量添加溶解した適当な濃度(55〜65%、好ましくは60%)の液をドラムドライヤー乾燥処理して得ることができる。
本発明における金属塩含有澱粉分解物においては、90%以上の粒子が、500μm以下の粒径を有するもの、好ましくは150μm以下の粒径を有するものが好適に採用できる。
本発明においては、食品に添加可能な金属塩を含有する澱粉分解物が、増粘多糖類の分散性を改善する目的で用いられる。本発明に用いられる金属塩とは、一般的に食品などに用いられている金属塩類であれば好適に利用でき、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられ、これらからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
ナトリウム塩としては、例えば、L−アスコルビン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、臭化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸水素ナトリウム、DL−酒石酸ナトリウム、L−酒石酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、フマル酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸三ナトリウムが挙げられ、本発明においては、これらからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
カリウム塩としては、塩化カリウム、クエン酸第一カリウム、クエン酸三カリウム、DL−酒石酸水素カリウム、L−酒石酸水素カリウム、炭酸カリウム、ピロリン酸四カリウム、ポリリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、グルコン酸カリウム、L−グルタミン酸カリウム、酢酸カリウム、臭化カリウム、硝酸カリウム、ソルビン酸カリウムが挙げられ、本発明においては、これらからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
カルシウム塩としては、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、L−グルタミン酸カルシウム、酢酸カルシウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウムが挙げられ、本発明においては、これらからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、L−グルタミン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウムが挙げられ、本発明においては、これらからなる群より選ばれる少なくとも1種以上であることが好ましい。
以上の中でも、より分散性改善効果が高いものとして、乳酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、グルコン酸ナトリウムを用いることがより好ましい。
本発明において、これら金属塩の澱粉分解物に対する添加量は、澱粉分解物100質量部に対し、0.5〜40質量部、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜10質量部である。金属塩の含有量が0.5質量部未満の場合は、増粘組成物の分散性が改善されない。一方、40質量部を超える場合、金属塩含有澱粉分解物の製造および硬度、吸湿性に悪影響を及ぼすため好ましくない。また、10質量部を超える場合は、10質量部以下の添加量の場合と同等の分散性を示すこと、味への影響もあることから、金属塩を含有しない澱粉分解物と併用し、増粘組成物中の金属塩含有量を調整することが好ましい。
本発明において、増粘組成物とは金属塩含有澱粉分解物と増粘多糖類とを含むものであり、増粘組成物に含まれる金属塩含有澱粉分解物と増粘多糖類との質量比は、金属塩含有澱粉分解物:増粘多糖類=55:45〜99:1、好ましくは60:40〜99:1、より好ましくは65:35〜99:1、最も好ましくは70:30〜99:1である。金属塩含有澱粉分解物:増粘多糖類=55:45より金属塩含有澱粉分解物の含有比が小さい場合は分散性の改善が認められない。
本発明における「分散性が良い状態」とは、増粘組成物を水に投入、攪拌した際に、粒子同士が十分に離れてから膨潤することにより、粒子同士が結着することなく、別の粒子の膨潤を阻害しない状態であり、「分散性が悪い状態」とは、粒子同士が十分に離れる前に膨潤し、隣接する粒子と接触して水の移動を阻害する膜を形成することによって、他の粒子の水と接触が阻害され、膨潤していない粒子、膨潤が不十分な粒子が膨潤した粒子の膜で取り囲まれた「ダマ」を多数生成する状態である。
本発明において分散性の評価は、分散性評価試験によっておこなう。本発明における分散性評価試験は、以下の手順で行う。増粘組成物3.0gを20℃の水または80℃の熱水100gに対して添加後、水では5秒静置後、熱水では3秒静置後、水では1分、熱水では30秒攪拌棒で攪拌し、目視で発生したダマの大きさと数を確認し分散性の良いほうから、−(分散性が良好でダマの発生なし)、+(分散性は良好だが小さなダマが数個発生)、++(分散性がやや悪く、小さなダマが多数発生)、+++(分散性が悪く、大きなダマが多数発生)の4段階で評価を行った。
本発明における分散性の改善とは、増粘組成物において、その組成比を変更せず、澱粉分解物を、金属塩を含まないものと置き換えたものと比較して、分散性評価試験における分散性の評価段階が分散性の良い側に向上したことを意味する。
本発明によって得られた増粘組成物を使用することによって、使用時にダマの発生の抑えられたとろみ調整剤を得ることができる。さらに、本発明においては、従来技術に記載の、金属塩溶液をバインダーとして用いることなく、増粘組成物の分散性を向上させることが可能である。すなわち、増粘組成物製造の際に造粒が必要な場合、水のみをバインダーとして造粒することが可能となり、バインダーの添加量による組成への影響を考慮する必要がないため噴霧量、噴霧時間などの設定を比較的自由に行うことが出来、作業が容易となる。
以下に、本発明に係る増粘組成物について、実施例を交えて詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の例に限定されるものではない。
本発明においては以下の試薬を用いた。
キサンタンガム:エコーガムT(CPケルコ社製)
乳酸カルシウム:乳酸カルシウム五水和物(扶桑化学工業株式会社製)
塩化カルシウム:塩化カルシウム(林純薬工業株式会社製)
塩化ナトリウム:塩化ナトリウム(林純薬工業株式会社製)
グルコン酸ナトリウム:グルコン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)
L−アスコルビン酸ナトリウム:L−アスコルビン酸ナトリウム(林純薬工業株式会社製)
塩化カリウム:塩化カリウム(林純薬工業株式会社製)
塩化マグネシウム:塩化マグネシウム六水和物(林純薬工業株式会社製)
ステアリン酸カルシウム:ステアリン酸カルシウム(林純薬工業株式会社製)
[調製例1] (本発明に係る金属塩含有澱粉分解物の噴霧乾燥による製造)
水1250質量部(以下「部」という)に攪拌下、馬鈴薯澱粉1000部を添加して調製したスラリーに、アルファアミラーゼ(酵素力価13000U/g)を1部加え、88〜90℃にて150分間酵素分解処理を行った。ついで、希塩酸でpH4.0に調整し酵素を失活させた後、乳酸カルシウム・五水和物を70部、添加溶解し、炭酸カルシウムでpH5.5に調整し、この液に液固形分当り0.5%のろ過助剤(ラヂオライト#800、昭和化学工業株式会社製)および0.5%の活性炭を加え、液温65〜75℃で吸引ろ過し、濃縮し、ニロ社製モービルマイナ型スプレードライヤーにて、入口温度170〜180℃、出口温度100〜105℃で噴霧乾燥して、乳酸カルシウムを5%含有する澱粉分解物を得た(調製品1)。DE16.2で、比容積は2.3mL/gであった。90%以上の粒子は粒径が500μm以下であった。
[比較調製例1] (澱粉分解物の噴霧乾燥による製造)
水1250質量部(以下「部」という)に攪拌下、馬鈴薯澱粉1000部を添加して調製したスラリーに、アルファアミラーゼ(酵素力価13000U/g)を1部加え、88〜90℃にて140分間酵素分解処理を行った。ついで、希塩酸でpH4.0に調整し酵素を失活させた後、炭酸カルシウムでpH5.5に調整し、この液に液固形分当り0.5%のろ過助剤(ラヂオライト#800、昭和化学工業株式会社製)および0.5%の活性炭を加え、液温65〜75℃で吸引ろ過し、濃縮し、ニロ社製モービルマイナ型スプレードライヤーにて、入口温度170〜180℃、出口温度100〜105℃で噴霧乾燥して、澱粉分解物を得た(比較調製品1)。DE15.3で比容積は2.2mL/gであった。90%以上の粒子は粒径が500μm以下であった。
[調製例2] (本発明に係る金属塩含有澱粉分解物のドラムドライヤー乾燥による製造)
比較調製品1−1の300部に水を加えて濃度60%の澱粉分解物水溶液を調製し、これらの液に表1に示す金属塩を溶解し、常法に従って、カツラギ工業株式会社製常圧開放式ダブルドラムドライヤー(φ1250mm×L3000mm、蒸気内圧0.8MPa、回転数1.6rpm)で乾燥粉末化し、乾燥粉末を得た(調製品2−1〜2−12)。90%以上の粒子は粒径が150μm以下であった。
Figure 2013111035
[比較調製例2] (澱粉分解物のドラムドライヤー乾燥による製造)
比較調製品1の300部に水を加えて濃度60%の澱粉分解物水溶液を調製し、この液を常法に従って、カツラギ工業株式会社製常圧開放式ダブルドラムドライヤー(φ1250mm×L3000mm、蒸気内圧0.8MPa、回転数1.6rpm)で乾燥粉末化し、乾燥粉末を得た(比較調製品2−1)。90%以上の粒子は粒径が150μm以下であった。
また、比較調製品1の300部に水を加えて濃度60%の澱粉分解物水溶液を調製し、この液にステアリン酸カルシウム(添加量:0.3質量部、調製品中の金属塩含有量:0.1質量部/澱粉分解物100質量部)を溶解し、常法に従って、カツラギ工業株式会社製常圧開放式ダブルドラムドライヤー(φ1250mm×L3000mm、蒸気内圧0.8MPa、回転数1.6rpm)で乾燥粉末化し、乾燥粉末を得た(比較調製品2−2)。90%以上の粒子は粒径が150μm以下であった。
(増粘組成物の製造)
キサンタンガムおよび調製品を表2に示す割合で直径60mmのプラスチック容器に量り取り、これら容器同士を向き合わせた状態で混合し、本発明に係る実施品1〜17を得た。
Figure 2013111035
[比較例1] (増粘組成物の製造)
キサンタンガムおよび調製品、比較調製品を表3に示す割合で直径60mmのプラスチック容器に量り取り、これら容器同士を向き合わせた状態で混合し、比較品1〜19を得た。
Figure 2013111035
30gのキサンタンガムと、70gの調製品1を混合したのち流動層造粒機(FLO−MINI/フロイント産業製)に投入し、吸気温度80℃に設定した上で、バインダーとして水40gを2.5g/minの流速で連続噴霧し、バインダー全量噴霧後、吸気温度80℃で5分間乾燥した。得られた造粒物を目開き1.40mmと0.15mmのふるいを用いて分級し、目開き1.40mmを通過し、目開き0.15mmの篩を通過しないものを回収し、本発明に係る実施品18を得た。
[比較例2]
30gのキサンタンガムと、70gの比較調製品1−1を混合したのち流動層造粒機(FLO−MINI/フロイント産業製)に投入し、実施例2に記載の操作を行い、比較品20を得た。
[評価例]
(分散性評価試験)
分散性評価試験は、以下の手順で行った。
(20℃の水における試験)
1.増粘組成物3.0gを300mL容ビーカー中の20℃の水100gに添加後5秒静置
2.1分間攪拌棒で攪拌
3.下記の評価基準に基づき目視で評価
(80℃の熱水における試験)
1.増粘組成物3.0gを300mL容ビーカー中の80℃の熱水100gに添加後3秒静置
2.30秒間攪拌棒で攪拌
3.下記の評価基準に基づき目視で評価
(評価基準)
−(分散性が良好でダマの発生なし)、
+(分散性は良好だが小さなダマが数個発生)、
++(分散性がやや悪く、小さなダマが多数発生)、
+++(分散性が悪く、大きなダマが多数発生)
[測定例1] (金属塩の含有量の比較)
金属塩含有量の異なる実施品、比較品に対し分散性評価試験を実施し評価を行い表4の結果を得た。
Figure 2013111035
この結果から、金属塩を0.5質量部/澱粉分解物100質量部以上含有する澱粉分解物を含有した増粘組成物は含有しないものに比べ分散性が向上していることが分かる。
[測定例2] (澱粉分解物含有比の比較)
澱粉分解物の含有比の異なる実施品、比較品に対し分散性評価試験を実施し評価を行い表5及び6の結果を得た。
Figure 2013111035
Figure 2013111035
この結果から、増粘多糖類よりも質量比で金属塩含有澱粉分解物を多く含む増粘組成物は、少ないものに比べ、分散性が向上していることが分かる。また、金属塩を含有する澱粉分解物を使用した増粘組成物は、金属塩を含有しない澱粉分解物を使用したものに比べ分散性が向上していることが分かる。
[測定例3] (金属塩の種類による比較)
金属塩の異なる実施品に対し分散性評価試験を実施し評価を行い表7の結果を得た。
Figure 2013111035
この結果から、本発明に係る増粘組成物は、金属塩の種類に係わらず良好な分散性を示すことが分かる。
[測定例4] (製造法による比較)
製造法の異なる実施品に対し分散性評価試験を実施し評価を行い表8の結果を得た。
Figure 2013111035
この結果から、本発明は、流動造粒品についても効果が認められることが分かる。
(とろみ調整剤としての利用)
実施品3の4.5gを300mL容ビーカー中の20℃の水100gに添加し、1分間攪拌棒で攪拌することで、適度なとろみの付いた水溶液を得ることができた。
本発明の実施により、分散性のよい増粘組成物、およびそれを利用したとろみ調整剤を得ることができる。
特開2004−49225号公報 特開2010−81943号公報 特開2008−61608号公報 特許第3930897号明細書 特開2008−68194号公報 特開2011−120538号公報 特開2006−6252号公報
水1250質量部(以下「部」という)に攪拌下、馬鈴薯澱粉1000部を添加して調製したスラリーに、アルファアミラーゼ(酵素力価13000U/g)を1部加え、88〜90℃にて150分間酵素分解処理を行った。ついで、希塩酸でpH4.0に調整し酵素を失活させた後、乳酸カルシウム・五水和物を70部、添加溶解し、炭酸カルシウムでpH5.5に調整し、この液に液固形分当り0.5%のろ過助剤(ラヂオライト#800、昭和化学工業株式会社製)および0.5%の活性炭を加え、液温65〜75℃で吸引ろ過し、濃縮し、ニロ社製モービルマイナ型スプレードライヤーにて、入口温度170〜180℃、出口温度100〜105℃で噴霧乾燥して、乳酸カルシウムを5%含有する澱粉分解物を得た(調製品1)。DE16.2で、比容積は2.3mL/gであった。90%以上の粒子は粒径が150μm以下であった。
水1250質量部(以下「部」という)に攪拌下、馬鈴薯澱粉1000部を添加して調製したスラリーに、アルファアミラーゼ(酵素力価13000U/g)を1部加え、88〜90℃にて140分間酵素分解処理を行った。ついで、希塩酸でpH4.0に調整し酵素を失活させた後、炭酸カルシウムでpH5.5に調整し、この液に液固形分当り0.5%のろ過助剤(ラヂオライト#800、昭和化学工業株式会社製)および0.5%の活性炭を加え、液温65〜75℃で吸引ろ過し、濃縮し、ニロ社製モービルマイナ型スプレードライヤーにて、入口温度170〜180℃、出口温度100〜105℃で噴霧乾燥して、澱粉分解物を得た(比較調製品1)。DE15.3で比容積は2.2mL/gであった。90%以上の粒子は粒径が150μm以下であった。
比較調製品1−1の300部に水を加えて濃度60%の澱粉分解物水溶液を調製し、これらの液に表1に示す金属塩を溶解し、常法に従って、カツラギ工業株式会社製常圧開放式ダブルドラムドライヤー(φ1250mm×L3000mm、蒸気内圧0.8MPa、回転数1.6rpm)で乾燥粉末化し、乾燥粉末を得た(調製品2−1〜2−12)。90%以上の粒子は粒径が500μm以下であった。
比較調製品1の300部に水を加えて濃度60%の澱粉分解物水溶液を調製し、この液を常法に従って、カツラギ工業株式会社製常圧開放式ダブルドラムドライヤー(φ1250mm×L3000mm、蒸気内圧0.8MPa、回転数1.6rpm)で乾燥粉末化し、乾燥粉末を得た(比較調製品2−1)。90%以上の粒子は粒径が500μm以下であった。
また、比較調製品1の300部に水を加えて濃度60%の澱粉分解物水溶液を調製し、この液にステアリン酸カルシウム(添加量:0.3質量部、調製品中の金属塩含有量:0.1質量部/澱粉分解物100質量部)を溶解し、常法に従って、カツラギ工業株式会社製常圧開放式ダブルドラムドライヤー(φ1250mm×L3000mm、蒸気内圧0.8MPa、回転数1.6rpm)で乾燥粉末化し、乾燥粉末を得た(比較調製品2−2)。90%以上の粒子は粒径が500μm以下であった。

Claims (7)

  1. 金属塩を含有する澱粉分解物と増粘多糖類とを含む分散性の改善された増粘組成物。
  2. 金属塩の含有量が、澱粉分解物100質量部に対し、0.5〜40質量部であることを特徴とする、請求項1に記載の増粘組成物。
  3. 金属塩がカルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の増粘組成物。
  4. 増粘組成物に含まれる金属塩含有澱粉分解物と増粘多糖類との質量比が、金属塩含有澱粉分解物:増粘多糖類=55:45〜99:1であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の増粘組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の増粘組成物を含む、とろみ調整剤。
  6. 請求項1〜4のいずれか一つに記載の増粘組成物の成分である、金属塩含有澱粉分解物。
  7. 澱粉分解物の製造工程中に、金属塩を添加することを特徴とする、増粘組成物の製造方法。
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