JP2013106591A - 多層麺の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷蔵保存後に電子レンジ等で再加熱しても、製造直後の焼いたような食感や麺の香ばしい風味を有する、特に焼きそば用および焼きうどん用の麺として好適な麺を製造することができる麺の製造方法を提供すること。
【解決手段】麺を多層麺とし、該多層麺の最外層の片側または両側を構成する層を、穀粉100質量部に対して、加水25〜34質量部とした麺生地から形成する。好ましくは、前記麺生地に、小麦ふすまおよび/または小麦胚芽を配合する。
【選択図】なし

Description

本発明は、冷蔵保存後に電子レンジ等で再加熱しても、製造直後の焼いたような食感や麺の香ばしい風味を有する、特に焼きそば用および焼きうどん用の麺として好適な麺を製造することができる多層麺の製造方法に関する。
近年、スーパーやコンビニエンスストアでは、調理済みの焼きそば、焼きうどん、中華麺類、日本そば類、うどん類、パスタ類等が広く販売されている。これらの麺類は、保存中に、食感、風味、外観等が経時的に劣化して商品価値を低下させることが多い。特に、焼きそばや焼きうどんでは、製造直後の焼いたような食感や麺の香ばしい風味が経時的に劣化して、焼きそばや焼きうどんとしての特徴が失われてしまうことが大きな問題となっており、その解決が望まれている。
焼きそばや焼きうどん等に焼いたような食感や香ばしい風味を付与する方法としては、従来より種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、鉄板で焼いたような食感や香ばしい風味を現出することのできる即席焼きそばの製造方法として、着味を施した麺線を所定形状に成型してなる麺塊を油揚げして着味油揚げ麺塊を造り、この着味油揚げ麺塊の表面を焼成して焦げ目を付けることを特徴とする即席焼きそばの製造方法が記載されている。
また、特許文献2には、好ましい焦げ目で、粘弾性に優れて食感がよく、炒め調理による香ばしい風味を有する麺類が得られる技術として、α化した麺類を、高温の熱風を直接吹き付けて短時間加熱して、炒め調理と焼き色付けがされた麺類に仕上げることを特徴とする麺類の加熱調理法が提案されている。
しかし、特許文献1および2に記載されている技術は、保存後に再加熱した場合の食感や風味の劣化を改善する技術ではない。
特開2006−141234号公報 特開2000−245376号公報
本発明の目的は、冷蔵保存後に電子レンジ等で再加熱しても、製造直後の焼いたような食感や麺の香ばしい風味を有する、特に焼きそば用および焼きうどん用の麺として好適な麺を製造することができる麺の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、種々検討した結果、麺を多層麺とし、該多層麺の最外層の少なくとも1層を、低加水量の麺生地から形成することにより、上記目的を達成する麺が得られることを知見し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、多層麺の最外層の片側または両側を構成する層を、穀粉100質量部に対して、加水25〜34質量部とした麺生地から形成することを特徴とする多層麺の製造方法を提供するものである。
前記麺生地には、小麦ふすまおよび/または小麦胚芽を配合することが好ましい。
また、前記多層麺は焼きそばまたは焼きうどんであることが特に好ましい。
本発明の多層麺の製造方法によれば、冷蔵保存後に電子レンジ等で再加熱しても、製造直後の焼いたような食感や麺の香ばしい風味を有する麺を製造することができる。
本発明の製造方法により製造された多層麺は、特に焼きそば用および焼きうどん用の麺として好適である。
本発明は、多層麺の最外層の片側または両側を構成する層を形成する麺生地として、該麺生地の粉材料として用いられる穀粉100質量部に対して、加水25〜34質量部、好ましくは27〜32質量部、より好ましくは29〜30質量部とした麺生地を用いることを特徴とする。
麺生地を調製する際の加水量は、通常、粉材料100質量部に対して少なくとも35質量部以上であり、本発明で用いられる前記麺生地の加水量は、麺生地として通常用いられている麺生地の加水量に比して低加水量のものである。
前記麺生地の加水量が25質量部未満であると、麺線成形時非常に脆いものになり、また加水量が34質量部超であると、食感の特徴が出にくい。
前記の低加水量の麺生地を調製するための前記穀粉としては、目的とする麺の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、デュラム小麦粉等の小麦粉の他、そば粉、米粉、ライ麦粉、大麦粉等の穀粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシースターチ、小麦澱粉、およびそれらの加工澱粉等の澱粉等を、単独でまたは適宜組み合わせて用いることができる。
また、前記の低加水量の麺生地には、小麦蛋白質、大豆蛋白質、乳蛋白質、卵黄粉、卵白粉、全卵粉、脱脂粉乳等の蛋白質素材;動植物油脂、粉末油脂等の油脂類;かんすい、焼成カルシウム、食物繊維、膨張剤、増粘剤、乳化剤、食塩、糖類、甘味料、香辛料、調味料、ビタミン類、ミネラル類、色素、香料、デキストリン等の従来より麺生地に配合されている添加物を、目的とする麺の種類に応じて適宜選択して配合することができる。
前記の低加水量の麺生地には、小麦ふすまおよび/または小麦胚芽を配合することが好ましい。
小麦ふすまを配合する場合は、その配合量を、穀粉100質量部に対して、1〜5質量部とするのが好ましく、2〜3質量部とするのがより好ましい。
小麦胚芽を配合する場合は、その配合量を、穀粉100質量部に対して、0.5〜5質量部とするのが好ましく、1〜2質量部とするのがより好ましい。
小麦ふすまおよび小麦胚芽を配合する場合は、穀粉100質量部に対して、小麦ふすま0.5〜5質量部および小麦胚芽0.2〜5質量部とするのが好ましく、小麦ふすま1〜3質量部および小麦胚芽0.5〜2質量部とするのがより好ましい。
前記の低加水量の麺生地に小麦ふすまおよび/または小麦胚芽を配合することにより、本発明の効果、特に麺の香ばしさを一層改善することができる。
本発明の多層麺の製造方法は、その最外層の片側または両側を構成する層を、前記の低加水量の麺生地から形成する以外は、従来の多層麺の製造方法と同様にして実施することができる。
前記の低加水量の麺生地から形成される層以外の層を形成する麺生地としては、従来より用いられている麺生地を、目的とする麺の種類に応じて適宜用いることができる。
本発明に係る多層麺は、二層構造の二層麺および三層構造の三層麺であることが好ましい。二層麺の場合には、二層とも前記の低加水量の麺生地から形成してもよい。
二層麺の場合、二層麺全体の厚みは1.2〜3.0mmであることが好ましく、二層の厚みの比は、好ましくは1/1〜1/6、より好ましくは1/2〜1/4である。
二層の厚みの比が上記範囲を外れると、粘弾性のバランスが悪く、食感が劣る。
三層麺の場合、三層麺全体の厚みは1.2〜3.0mmであることが好ましく、外層の厚み/内層の厚み/外層の厚みの比は、好ましくは外層/内層/外層=1/1/1〜1/6/1、より好ましくは外層/内層/外層=1/2/1〜1/4/1である。
外層の厚み/内層の厚み/外層の厚みの比が上記範囲を外れると、粘弾性のバランスが悪く、食感が劣る。
上記三層麺の場合、2つの外層の厚みは、異なっていてもよいが、同程度の厚みであることが好ましい。
本発明で製造される多層麺としては、麺の種類が制限されるものではなく、焼きそば、焼きうどん、中華麺類、日本そば類、うどん類、パスタ類等が挙げられるが、焼きそば、焼きうどんであることが特に好ましい。
本発明を具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例によって制限されるものではない。
実施例1〜4(二層構造の焼きそば)
表1に示す(麺の配合)および下記に示す(麺の作製方法)により、それぞれ二層麺を作製した。
これらの二層麺を用いて、下記の(焼きそばの作製方法)により、それぞれ焼きそばを作製し、冷蔵した。各焼きそばを1日間冷蔵後、電子レンジ(1500W)で30秒加熱し、麺の焼いたような食感および麺の香ばしい風味について下記の評価基準でパネラー10名に評価させた。その結果(パネラー10名の平均点)を表2に示す。
Figure 2013106591
(麺の作製方法)
表1に示す配合の原料を用いて、かん水、水および塩を加えて、減圧(−0.093MPa)で混捏(高速6分および低速7分)し、圧延して、低加水層(低加水量の麺生地から形成される層)用の厚さ8mmのシート状生地および片側層(通常の加水量の麺生地から形成される層)用の厚さ8mmのシート状生地をそれぞれ調製した。
低加水層用シート状生地と片側層用シート状生地とを積層し、圧延して、#18丸ウェーブの切り刃を通して、1.55mm厚の麺線とした。
得られた麺線に対して、1気圧で、蒸しを3分行った。さらに、90秒間、30℃で、麺線に対して、温水でシャワーを行った。その後、茹で歩留が160%になるように蒸しを行い、水洗冷却した麺線100質量部に、ほぐれ剤(太陽化学製「はなれゆ」)2質量部をスプレーにより均一に付着させ、二層麺を得た。
(焼きそばの作製方法)
1.フライパンにサラダ油15gを投入し、1分間加熱した。
2.得られた麺500gを投入し、2分間炒めた。
3.さらに、ソース100gを投入し、1分間炒めた。
4.得られた焼きそばをお盆に載せて広げて冷却し、2分後、ムラ無く混ぜて更に1分半冷却した。
5.麺を200gずつ計量し、冷蔵した。
(麺の焼いたような食感の評価基準)
5点 対照品に比べ、麺の焼いたような食感のバランスが極めて良好であった。
4点 対照品に比べ、麺の焼いたような食感のバランスが良好であった。
3点 対照品(麺の焼いたような食感のバランスがやや良好であった。)
2点 対照品に比べ、麺の焼いたような食感のバランスがやや悪かった。
1点 対照品に比べ、麺の焼いたような食感のバランスが極めて悪かった。
(麺の香ばしい風味の評価基準)
5点 対照品に比べ、麺の香ばしい風味が極めて良好であった。
4点 対照品に比べ、麺の香ばしい風味が良好であった。
3点 対照品(麺の香ばしい風味がやや良好であった。)
2点 対照品に比べ、麺の香ばしい風味がやや悪かった。
1点 対照品に比べ、麺の香ばしい風味が粘弾性のバランスが極めて悪かった。
Figure 2013106591
実施例5(三層構造の焼きそば)
表3に示す(麺の配合)および下記に示す(麺の作製方法)により、それぞれ三層麺を作製した。
これらの三層麺を用いて、下記の(焼きそばの作製方法)により、それぞれ焼きそばを作製し、冷蔵した。各焼きそばを1日間冷蔵後、電子レンジ(1500W)で30秒加熱し、麺の焼いたような食感および麺の香ばしい風味について実施例1の場合と同様の評価基準でパネラー10名に評価させた。その結果(パネラー10名の平均点)を表4に示す。
Figure 2013106591
(麺の作製方法)
表3に示す配合の原料を用いて、かん水および水を加えて、減圧(−0.093MPa)で混捏(高速6分および低速7分)し、圧延して、厚さ8mmの内層用および低加水層(外層)用のシート状生地をそれぞれ調製した。上記低加水層(外層)用シート状生地2枚の間に上記内層用シート状生地を配置して積層し、圧延して、外層の厚み/内層の厚み/外層の厚みの比が、外層/内層/外層=1/1/1の三層麺帯とした後、#18丸ウェーブの切り刃を通して、1.55mm厚の麺線とした。
得られた麺線に対して、1気圧で、蒸しを3分行った。さらに、90秒間、30℃で、麺線に対して、温水でシャワーを行った。その後、茹で歩留が160%になるように蒸しを行い、水洗冷却した麺線100質量部に、ほぐれ剤(太陽化学製「はなれゆ」)2質量部をスプレーにより均一に付着させ、三層麺を得た。
(焼きそばの作製方法)
1.フライパンにサラダ油15gを投入し、1分間加熱した。
2.得られた麺500gを投入し、2分間炒めた。
3.さらに、ソース100gを投入し、1分間炒めた。
4.得られた焼きそばをお盆に載せて広げて冷却し、2分後、ムラ無く混ぜて更に1分半冷却した。
5.麺を200gずつ計量し、冷蔵した。
Figure 2013106591

Claims (3)

  1. 多層麺の最外層の片側または両側を構成する層を、穀粉100質量部に対して、加水25〜34質量部とした麺生地から形成することを特徴とする多層麺の製造方法。
  2. 前記麺生地に、小麦ふすまおよび/または小麦胚芽を配合する請求項1に記載の多層麺の製造方法。
  3. 前記多層麺が焼きそばまたは焼きうどんである請求項1または2に記載の多層麺の製造方法。
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