JP2013101841A - 耐熱性高分子電解質膜及びその製造方法 - Google Patents

耐熱性高分子電解質膜及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高分子型燃料電池や水電解装置などの電解質膜を対象とし、高温作動下において高プロトン伝導性、低燃料透過性、高耐酸化性、優れた機械的特性を有する耐熱性高分子電解質膜及びその低コストかつ簡便な製造プロセスを提供する。
【解決手段】本発明の耐熱性高分子電解質膜は、脂環式ポリベンズイミダゾールを含む主鎖と、前記主鎖に放射線グラフト重合により付加されたグラフト鎖とを含み、少なくとも前記グラフト鎖の一部がスルホン酸基を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、脂環式ポリベンズイミダゾールを含む主鎖と、前記主鎖に放射線グラフト重合により付加されたグラフト鎖とを含み、少なくとも前記グラフト鎖の一部がスルホン酸基を有する、固体高分子型燃料電池に適した耐熱性高分子電解質膜、及びその製造方法に関する。
高分子電解質膜を用いた燃料電池は、作動温度が150℃以下と低く、発電効率やエネルギー密度が高いことから、メタノール、水素等を燃料として利用した携帯機器用電源、家庭向けコジェネレーション電源、燃料電池自動車の電源として期待されている。この燃料電池においては、例えば、図1に示すように、高分子電解質膜、電極触媒、ガス拡散電極、及び、膜電極接合体など、重要な要素技術の上に成り立っている。その中でも燃料電池として優れた特性を有する高分子電解質膜の開発は最も重要な技術の一つである。
固体高分子型燃料電池において、高分子電解質膜は、水素イオン(プロトン)を伝導するためのいわゆる「電解質」として、さらに、燃料である水素やメタノールと酸素とを直接混合させないための「隔膜」として作用する。この高分子電解質膜としては、プロトン伝導性が大きいこと、長期間の使用に耐える化学的な安定性、特に、膜の劣化の主因となる水酸化ラジカル等に対する耐性(耐酸化性)が優れていること、電池の作動温度以上での長期間耐熱性があること、また、プロトン伝導性を高く保持するために膜の保水性が一定で高いことが要求される。一方、隔膜としての役割から、膜の機械的な強度や寸法安定性が優れていることや、水素、メタノール及び酸素の透過性が低い性質を有することなどが要求される。
固体高分子型燃料電池用の電解質膜としては、デュポン社により開発されたパーフルオロスルホン酸全フッ素系高分子電解質膜「ナフィオン(デュポン社登録商標)」などが一般に用いられてきた。しかしながら、ナフィオン等の従来の全フッ素系高分子電解質膜は、化学的な耐久性や安定性には優れているが、高温低湿度では保水性が不十分であり、イオン交換膜の乾燥が生じてプロトン伝導性が低下したり、メタノールを燃料とする場合には、膜の膨潤やメタノールのクロスオーバーが起きたりする。また、自動車用電源で必要な100℃を超える作動条件での機械的特性が著しく低下するという欠点があった。さらに、全フッ素系高分子電解質膜の製造は、フッ素系モノマーの合成から出発するために、製造工程が多く、複雑になり、したがって高価であり、家庭向けコジェネレーションシステム用電源や燃料電池自動車用電源として実用化する場合の大きな障害になっている。
そこで、上記全フッ素系高分子電解質膜に替わる低コストの高分子電解質膜の開発が活発に進められてきた。例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンやエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体などの部分フッ素系高分子フィルム基材にスチレンモノマーをグラフト重合により導入し、次いでスルホン化することにより部分フッ素系高分子電解質膜を作製する試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。しかし、フッ素系高分子フィルム基材は、ガラス転移温度が低いため、100℃以上の高温での機械的強度が著しく低下すること、電解質膜に大きな電流を長時間流すとポリスチレングラフト鎖に導入されたスルホン酸基の脱落が起こり、電解質膜のプロトン伝導性が大幅に低下すること、更に、燃料である水素や酸素のクロスオーバーを起こし易いという欠点があった。
一方、低コスト炭化水素系高分子電解質膜としては、芳香族高分子電解質膜が提案されている(例えば、特許文献2参照)。芳香族高分子電解質膜は、高温での機械的強度に優れ、メタノール、水素、酸素などの燃料透過性が低いことから、高温での使用が期待されている。この芳香族高分子電解質膜は、エンジニアリングプラスチックに代表される芳香族高分子化合物を濃硫酸、クロロスルホン酸などのスルホン化溶液に溶解させることでスルホン化し、次いでスルホン化した芳香族高分子化合物の溶液をキャスト法により製膜化することで作製する(例えば、特許文献3参照)。この芳香族高分子電解質膜は、スルホン酸基が結合した芳香族モノマーから重合反応し、次いで製膜することでも得られる(例えば、特許文献4参照)。
さらに、放射線グラフト重合により、芳香族高分子基材膜にプロトン伝導性基の前駆体を含む高分子グラフト鎖を導入後、化学処理により、グラフト型芳香族高分子電解質膜が作製できることが報告されている。ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を基材膜とする場合、スチレンスルホン酸エチルエステルを放射線グラフト重合後、加水分解することにより、あるいは、ポリイミド(カプトン)を基材膜とする場合、スチレンを放射線グラフト重合後、スルホン化することにより、グラフト型芳香族高分子電解質膜を作製する方法が開示されている。(例えば、特許文献5、6及び7参照)。
特開2001−348439号公報 米国特許第5403675号公報 特表平11−502245号公報 特開2004−288497号公報 特開2008−53041号公報 特開2008−195748号公報 特開2010−92787号公報
芳香族高分子電解質膜は、高温で優れた特性を持つことから、高温での使用が期待されている。しかし、特許文献3及び4に開示された芳香族高分子電解質膜の作製方法では、芳香族高分子化合物を溶解するために大量の強酸を使用するため、スルホン化した化合物の析出に大量の希釈水を使用するなど複雑な工程が必要である。また、スルホン酸基がランダムに芳香族高分子鎖中に存在するため、機械的強度を維持する疎水性層とプロトン伝導を担う電解質層の分離が明瞭でないことから、プロトン伝導性、低燃料透過性や耐酸化性が不十分である。
これらの欠点を補う観点から、特許文献5〜7に示したようなグラフト型芳香族高分子電解質膜が提案されているが、PEEKを基材膜としたグラフト型芳香族高分子電解質膜はガラス転移点(140℃)の制約から、より高温で機械強度、耐久性の著しい低下が起こる。また、特許文献7に示されるポリイミドを基材膜としたグラフト型芳香族高分子電解質膜では、イミド環の高温水中での加水分解により膜劣化が著しいという欠点がある。
なお、本発明者らの分析によれば、ポリイミドよりも耐熱性の高い芳香族ポリベンズイミダゾールフィルム基材では、放射線に対する安定性が高く、そのポリマー基材に電離性放射線を照射して、ラジカルなどのグラフト活性点を生成させた後、モノマーをグラフト重合させても充分なラジカルは生成されず、電解質膜に必要なグラフト鎖の導入は困難であった。このため、芳香族ポリベンズイミダゾールフィルム基材では本来の電解質膜に必要なプロトン伝導度を得ることができないという問題があった。
本発明は、上記課題を解決し、膜の高温での機械特性や耐久性を向上させる目的でなされたものであって、高分子電解膜の基材にポリベンズイミダゾールを用いるとともに脂環式炭化水素基を導入することによって、従来の方法では難しかった芳香族ポリベンズイミダゾールを含む主鎖ポリマーへの放射線グラフト重合を可能にした。そして、このような脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材のグラフト鎖にスルホン酸基を導入することで、従来の芳香族高分子電解質膜やグラフト型芳香族高分子電解質膜よりも、プロトン伝導性、低燃料透過性、機械的特性、耐酸化性、熱水耐性に優れた耐熱性高分子電解質膜が得られることを見いだした。
すなわち、本発明の耐熱性高分子電解質膜は、脂環式ポリベンズイミダゾールを含む主鎖と、前記主鎖に放射線グラフト重合により付加されたグラフト鎖と、を含む耐熱性高分子電解質膜であって、少なくとも前記グラフト鎖の一部がスルホン酸基を有することを特徴とする。
本発明の好ましい実施形態において、前記脂環式ポリベンズイミダゾールは、下記式(I):

[式中、Rは、C3〜20シクロアルキレン又はC7〜14スピロアルキレンであり、nは、20〜1000の整数である]で示される。前記グラフト鎖は、芳香族ビニル化合物、アクリル酸又はその誘導体、アクリルアミド誘導体、ビニルケトン類、アクリロニトリル類、及びビニルフッ素系化合物から選択されるモノマーを、前記主鎖に放射線グラフト重合して調製される。
さらに好ましい実施形態において、前記モノマーは、付加的にモノマー全体の10重量%以下の量の多官能性モノマーを含み、当該多官能性モノマーが、ビス(ビニルフェニル)エタン、ジビニルベンゼン、2,4,6−トリアリロキシ−1,3,5−トリアジン(トリアリルシアヌレート)、トリアリル−1,2,4−ベンゼントリカルボキシレート、ジアリルエーテル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ジビニルエーテル、1,5−ヘキサジエン、及びブタジエンから選択されることを特徴とする。
別の視点において、本発明の耐熱性高分子電解質膜の製造方法は、脂環式ポリベンズイミダゾールを含む高分子基材に電離性放射線を照射する工程、当該照射された基材を1種又は2種以上のモノマーと接触させて当該モノマーを放射線グラフト重合する工程、及び前記放射線グラフト重合により導入されたグラフト鎖をスルホン化する工程、を含むことを特徴とする。
前記脂環式ポリベンズイミダゾールは、下記式(I):

[式中、Rは、C3〜20シクロアルキレン又はC7〜14スピロアルキレンであり、nは、20〜1000の整数である]で示され、かつ前記モノマーが、芳香族ビニル化合物、アクリル酸又はその誘導体、アクリルアミド誘導体、ビニルケトン類、アクリロニトリル類、及びビニルフッ素系化合物から選択されるビニルモノマーであることが好ましい。
さらに好ましい実施形態において、本発明の製造方法は、前記高分子基材を調製するために、脂環式ポリベンズイミダゾールと塩化リチウムとを含むリオトロピック液晶性の溶液を調製し、そして当該溶液を薄膜状のフィルムに流延及び乾燥する工程をさらに含むことができる。
本発明のさらに異なる視点において、上記方法で製造され、イオン交換容量が0.5〜3.3mmol/gであり、かつ120℃で、4時間インキュベートした後の熱水耐性が90%以上である耐熱性高分子電解質膜、及びこのような耐熱性高分子電解質膜を備える燃料電池が提供される。
本発明の耐熱性高分子電解質膜は、元来、高い耐熱性を有する脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材を用いているために、高温作動下においても、安定で高プロトン伝導性、低燃料透過性、高耐酸化性、優れた機械的特性などの特徴を有することができる。また、脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材にモノマーと多官能性モノマーをグラフトさせることで、グラフト鎖同士、及び/又はグラフト鎖と高分子鎖との架橋効果がさらに高まる。さらに、グラフト鎖中の芳香環のスルホン化により、意図的にミクロ/ナノ領域の電解質層を形成できるため、機械的強度を維持する疎水性層とプロトン伝導を担う電解質層の分離がより明瞭となり、高プロトン伝導性および優れた機械的強度を併せ持つ耐熱性高分子電解質膜を得ることができる。
一方、本発明の耐熱性高分子電解質膜の製造方法は、従来の、スルホン化溶液への溶解・希釈工程が不要となり、スルホン化溶液が繰り返し使えるため、環境にやさしく、しかも製造コストを著しく削減できる。本発明の方法により作製した耐熱性高分子電解質膜は、さらに高温で処理することにより、一部のスルホン酸基同士の間に架橋が導入され、多重架橋構造が付与されるため、更なる優れた機械的強度を持つ耐熱性高分子電解質膜とすることができる。
本発明に関する典型的な燃料電池の模式図である。 (A)本発明に係る脂環式ポリベンズイミダゾールを用いて作製したフィルムのX線回折(XRD)データである。(B)本発明の方法により作製した脂環式ポリベンズイミダゾールフィルムに220kGyの放射線(γ線)を照射したときのラジカルの生成を調べた結果である。
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の耐熱性高分子電解質膜は、脂環式ポリベンズイミダゾールを含む主鎖と、当該主鎖に放射線グラフト重合により付加されたグラフト鎖とを含む。当該主鎖は、グラフト重合工程及びスルホン化工程における反応溶液中で膜形状を維持することができ、得られた高分子電解質膜が高い機械特性を有する脂環式ポリベンズイミダゾールからなるものであれば、その構造は特に限定されるものではない。このような脂環式ポリベンズイミダゾールは、市販されているか、又は当業者であれば化学文献に記載された方法により調製することができる。例えば、Inoue Y. et al., Die Makromolekulare Chemie 95 (1966) 236-247に記載された方法により、3,3’−ジアミノベンジジン四塩酸塩水和物等の芳香族テトラアミン類と、シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式炭化水素化合物のジカルボン酸と、をポリリン酸中で加熱することにより得られる。
芳香族テトラアミン類の他の例としては、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニル;1,2,4,5−テトラアミノベンゼン;1,2,5,6−テトラアミノナフタレン;2,3,6,7−テトラアミノナフタレン;3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルメタン;3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルエタン;3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニル−2,2−プロパン;3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルチオエーテル;及び3,3’,4,4’−テトラアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。好ましい芳香族テトラアミンは、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルである。
あるいは、芳香族テトラアミンは、以下の構造を有してもよい。

上記式において、R’は、−O−、−C(=O)−、−C(CH−、−S(=O)−又はフェニレン基で表される二価の基である。
脂環式炭化水素化合物のジカルボン酸類の例としては、C3〜20シクロアルキレン又はC7〜14スピロアルキレン等のジカルボン酸が挙げられる。これらの主鎖を構成する脂環式ポリベンズイミダゾールは、当該分野において既知の方法によりさらに修飾することによって、さらに別の脂環式ポリベンズイミダゾールを製造することもできる。
本発明の好ましい実施形態において、前記脂環式ポリベンズイミダゾールは、下記式(I):

[式中、Rは、C3〜20シクロアルキレン又はC7〜14スピロアルキレンであり、nは、20〜1000の整数、好ましくは200〜800の整数である]で表すことができる。
3〜20シクロアルキレンとしては、シクロプロピレン、シクロペンチレン及びシクロヘキシレン等のモノシクロアルキシレン;ビシクロ[2.2.1]ペンチレン(ノルボルニレン)、1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプチレン(イソボルニレン)及びビシクロ[2.2.2]オクチレン等のビシクロアルキレン;並びにトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニレン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニレン(アダマンチレン)等のトリシクロアルキレン、テトラシクロ[6.2.1.13,6,02,7]デカニレン等のテトラシクロアルキレンを含む。C7〜14スピロアルキレンとしては、スピロ[3,3]ヘプチレン、スピロ[2,4]ヘプチレン、スピロ[2,5]オクチチレン、スピロ[3,4]オクチチレン、スピロ[2,6]ノナニレン、スピロ[3,5]ノナニレン、スピロ[4,4]ノナニレン、スピロ[4,5]デカニレン、スピロ[5,5]ウンデカニレン、スピロ[5,6]ドデカニレン等が含まれる。これらのシクロアルキレン、及びスピロアルキレンが、シス型又はトランス型の異性体や光学異性体を含む場合は、いずれの異性体又はその混合物を用いてもよい。
好ましい実施形態として、上記C3〜20シクロアルキレンは、1,4−シクロへキシレン、ノルボルニレン、ジノルボルニレン、アダマンチレン、ジアダマンチレン、ビシクロ[2.2.2]オクチレンであり、C7〜14スピロアルキレンとしては、スピロ[3,3]ヘプチレンが好ましい。上記式(I)において、Rがシクロへキシレンであるものを、以下「A−PBI」と称する場合がある。
本発明において、脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材にグラフト重合するモノマーとしては、得られたグラフト脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム中のグラフト鎖がスルホン化でき、かつグラフト鎖同士が電離性放射線照射により架橋できることから、スチレンなどの芳香族ビニル化合物、アクリル酸とその誘導体、アクリルアミド類、ビニルケトン類、アクリロニトリル類、ビニルフッ素系化合物、又は多官能性モノマーなどが挙げられる。
上記スチレンなどの芳香族ビニル化合物としては、下記式(II):

(式中、Xは、−H、−CH、−CHCH、−OH、−Cl、−F、−Brまたは−Iを示し、Yは、−H、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−C(CH、−OCH、−OCHCH、−OCHCHCH、−OC(CH、−CHCl、−CN、−SOCH、−Si(OCH、−Si(OCHCH、−CH=CH、−OCH=CH、−C≡CH、−OH、−Cl、−F、−Brなどが挙げられる)。上記式(II)において、置換基Yは、ビニル基に対して、メタ、パラ及びオルトのいずれの位置に結合してもよいことを示す。
上記アクリル酸とその誘導体としては、下記式(III):

(式中、Xは、−H、−CH、−CHCH、−OH、−Cl、−F、−Br又は−Iを示し、Yは、−H、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−C(CH、−CHCl、−Si(OCH、−Si(OCHCH、及びベンゼン環などが挙げられる)で表されることを特徴とする。
上記アクリルアミド類としては、下記一般式(IV):

(式中、Xは、−H、−CH、−CHCH、−OH、−Cl、−F、−Br又は−Iを示し、Yは−H、−CH、−CHCH、−CHCHCH、−C(CH、−CHCl、及びベンゼン環などが挙げられる)で表されることを特徴とする。
上記ビニルケトン類としては、下記一般式(V):

(式中、Xは、−H、−CH、−CHCH、−OH、−Cl、−F、−Br又は−Iを示し、mは1〜5の整数である)で表されることを特徴とする。
上記ニトリル類としては、アクリロニトリル(CH=CHCN)及びメタクリロニトリル[CH=C(CH)CN]などが挙げられる。
また、上記ビニルフッ素系化合物としては、CF=CF−C、CF=CF−O−(CF−SOF、CF=CF−O−CF−CF(CF)−O−(CF−SOF、CF=CF−SOF、CF=CF−O−(CH−X、CH=CH−O−(CF−X、CF=CF−O−(CF−X、CF=CF−O−CF−CF(CF)−O−(CF−X、CF=CF−O−(CH−CH、CH=CH−O−(CF−CF、CF=CF−O−(CF−CF、CF=CF−O−CF−CF(CF)−O−(CF−CFなどが挙げられる。これらの式中mは、各々出現ごとに独立して、1〜5の整数であり、Xはハロゲン原子、好ましくは塩素又はフッ素である。
上記多官能性モノマーとしては、グラフト反応においてグラフト鎖同士に架橋付与できる構造であれば特に限定されない。該多官能性モノマーとしては、ビス(ビニルフェニル)エタン、ジビニルベンゼン、2,4,6−トリアリロキシ−1,3,5−トリアジン(トリアリルシアヌレート)、トリアリル−1,2,4−ベンゼントリカルボキシレート(トリアリルトリメリテート)、ジアリルエーテル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ジビニルエーテル、1,5−ヘキサジエン、ブタジエンなどが挙げられる。多官能性モノマーをグラフト重合することで、グラフト鎖の同士の間に架橋構造が付与できる。多官能性モノマーは、モノマー全体中の重量配合比10%以下で用いることが好ましい。10%を超えて使用すると高分子電解質膜が脆くなる。
本発明の異なる視点において、上記耐熱性高分子電解質膜の製造方法は、脂環式ポリベンズイミダゾールからなる高分子基材に電離性放射線を照射する工程、当該照射された基材を1種又は2種以上のモノマーと接触させて当該モノマーを放射線グラフト重合する工程、及び前記放射線グラフト重合により導入されたグラフト鎖をスルホン化する工程、を含むことを特徴とする。
まず、本発明の方法に用いる脂環式ポリベンズイミダゾールは、上述した方法により得られ、通常、分子量約1.6×10Da、融点(Td)が500℃以上の粉末である。分子量の測定は、GPC等の慣用法を用いて測定することができる。これを用いてフィルム状の高分子基材を調製する。好ましい実施形態において、本発明に用いる高分子基材は、前記脂環式ポリベンズイミダゾールと塩化リチウムとを含むリオトロピック液晶性の溶液を薄膜状に流延し、乾燥して得られるフィルムである。
このようにして作製した脂環式ポリベンズイミダゾールフィルムは、図2に示すように、通常の方法により作製したフィルムよりも結晶性が高く、これによって、放射線照射したときに発生するラジカルの寿命が長くなるため、モノマーのグラフト率を上げるうえで好ましい。図2(A)は、脂環式ポリベンズイミダゾールの粉末をDMAc(ジメチルアセトアミド)溶剤に溶かして製膜する際に、LiCl(塩化リチウム)を添加又は無添加の場合の膜の結晶化の程度をXRDで調べた結果である。図2(A)に示したように、LiClを添加した場合に膜の結晶性が高くなることが分かる。図2(B)は、このようにして作製した膜に220kGyのγ線を照射して生成するラジカルを測定した結果である。結晶性の高い膜を用いたほうが、生成するラジカルの寿命がより長く、放射線グラフト重合反応に好ましいことが分かる。
本発明の方法において、放射線グラフト重合は、室温(約20℃)〜150℃の温度、アルゴンのような不活性ガス又は酸素存在下で、高分子基材に5〜1000kGyの放射線を照射することにより行うことが好ましい。5Gy未満では燃料電池として必要な0.02([Ω・cm]−1)以上の導電率を得るために必要なグラフト率を得ることが困難であり、1000kGyを超えると高分子膜基材が脆くなる。放射線グラフト重合は、高分子基材とモノマー誘導体を同時に放射線照射してグラフト重合させる同時照射法と、高分子基材を先に放射線照射してからモノマー誘導体と接触させてグラフト重合させる前照射法により行うことができるが、ホモポリマーの生成量の少ない前照射法が好ましい。前照射法においては、高分子基材を不活性ガス中で照射するポリマーラジカル法と、高分子基材を酸素存在下で照射するパーオキサイド法とがあるが、いずれも使用可能である。
高分子基材の放射線グラフト重合は、モノマー液体中に、高分子基材を浸漬して行う。高分子基材のグラフト重合性、グラフト重合して得られるグラフト高分子基材の重合溶液中での膜形状維持の観点から、ジクロロエタン、クロロホルム、N−メチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ−プチロラクトン、n−ヘキサン、メタノール、エタノール、1−プロパノール、t−ブタノール、トルエン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホオキシドなどの溶媒で希釈したモノマー溶液中に、高分子基材を浸漬する方法を用いることが好ましい。
本発明において、脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材へのモノマーのグラフト重合は、電離性放射線により、脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材に生成したラジカルなどのグラフト活性点を利用して行う。グラフト率を制御することによって、電解質膜の特性が変わる。好ましいグラフト率は脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材に対し、5〜150重量%である。より好ましいグラフト率は30〜120重量%である。150重量%を超えるとグラフト脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材の燃料電池に適する機械的強度が得られない。
本発明において、脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材、又はモノマーをグラフトした脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材は高濃度スルホン化溶液に溶解するため、スルホン化工程では、低濃度スルホン化溶液に浸漬して、低温の処理が望ましい。好ましいスルホン化条件は、10℃以下で、0.005〜0.1mol/Lのスルホン化剤を含むスルホン化溶液である。より好ましくは、−10℃〜4℃、さらに好ましくは−5℃〜0℃の低温で、0.01〜0.05mol/Lのスルホン化剤を含むスルホン化溶液である。スルホン化剤としては、特に制限は無いが、好ましくは塩化スルホン酸(クロロ硫酸)を用いることができる。溶媒としてはジクロロエタン等を用いることができる。その結果、脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材の形状を保持した状態でスルホン化反応できることから、脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材から直接燃料電池に適用する優れた性能を持つ耐熱性高分子電解質膜を得ることができる。また、スルホン化溶液を繰り返し使用することができるため、複数のフィルム基材を連続的に処理することが可能となる。
高分子電解質膜はフィルム基材中にスルホン化により導入されたスルホン酸基のプロトン解離性により発現する。そのスルホン酸基量は、1g乾燥電解質膜中にスルホン酸基のミリモル数であるイオン交換容量(単位はmmol/g)として定義する。高分子電解質膜のイオン交換容量はスルホン化条件(スルホン化試薬、溶媒の種類、スルホン化時間、温度)及びグラフト高分子膜のグラフト率によって制御可能である。低含水率で高プロトン伝導性の耐熱性高分子電解質膜を作製するには、イオン交換容量は0.5〜3.3mmol/gに調整することが好ましい。更に好ましくは、1.0〜3.0mmol/gである。0.5mmol/g未満では実用的なプロトン伝導性を得ることが困難であり、3.3mmol/gを超えると含水率が大きくなり、機械的な強度が著しく低下する。
スルホン化後の耐熱性高分子電解質膜を加熱処理することで、グラフト鎖上に更なる架橋構造が導入できるため、その機械的強度、耐熱性が向上する。下記式(VI)で表される熱架橋構造を効率的に導入するため、上記加熱処理は、室温〜300℃、0〜24時間が好ましい。熱架橋反応は該芳香族高分子フィルム基材のガラス温度(Tg)〜Tg+50℃の範囲で効率的に進行することから、熱処理条件は、真空下、120−250℃、1〜12時間が更に好ましい。

本発明において、燃料電池用高分子電解質膜の抵抗を下げるため、高分子電解質膜を薄くすることも考えられる。しかし現状では、過度に薄い高分子電解質膜では破損しやすく、膜自体の製作が困難である。したがって、本発明では、15〜200μmの耐熱性高分子電解質膜が好ましい。さらに好ましくは20〜100μmの範囲の耐熱性高分子電解質膜である。
本発明のさらなる実施形態において、上記本発明に係る脂環式ポリベンズイミダゾール(例えば、A−PBI)と、脂環式炭化水素を含まない芳香族ポリベンズイミダゾール(PBI)と、をブレンド又は共重合した高分子基材(以下、まとめて「ブレンド膜」という。)を用いて本発明の方法に従って放射線重合及びスルホン化を行い、耐熱性高分子電解質膜を作製してもよい。PBIとしては、脂環式炭化水素(例えば、式(I)におけるR基)の代わりに、フェニル基又は2個のフェニル基が酸素原子、スルホン基、ヘキサフルオロイソプロピリデン基などで架橋されたものを用いることができる。このようにして作製したブレンド電解質膜もまた本発明の範囲に含まれるものであり、高いプロトン伝導性とより高い機械的強度を有する。
以下、本発明を実施例及び比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各測定値は以下の測定によって求め、表1に示した。
(1)グラフト率(%)
高分子膜基材を主鎖部、モノマーとのグラフト重合した部分をグラフト鎖部とすると、主鎖部に対するグラフト鎖部の重量比は、次式のグラフト率(Grafting[重量%])として表される。
グラフト率(Grafting )=100×(W−W)/W
:グラフト前の乾燥状態の重量(g)
:グラフト後の乾燥状態の重量(g)
(2)イオン交換容量(mmol/g)
高分子電解質膜のイオン交換容量(Ion Exchange Capacity:IEC)は次式で表される。
IEC=n/W
n :高分子電解質膜のスルホン酸基量(mmol)
:高分子電解質膜の乾燥重量(g)
nの測定は、高分子電解質膜を1M塩酸溶液中に50℃で4時間浸漬し、完全にプロトン型(H型)とした後、脱イオン水でpH=6〜7まで洗い、遊離酸を完全に除去後、飽和 NaCl水溶液中に24時間浸漬することでイオン交換を行い、プロトンHを遊離する。その後、該電解質膜とその水溶液を0.02M NaOHで中和滴定することで、高分子電解質膜のスルホン酸基量を、プロトンH量 n=0.02V ((V: 滴定した0.02M NaOH の体積(ml))として求めた。
(3)含水率(%)
80℃で、水中で24時間保存のH型の高分子電解質膜を取り出し、即ち表面の水を軽く拭き取った後含水重量Wを測定する。この膜を60℃にて16時間、真空乾燥後、重量測定することで高分子電解質膜の乾燥重量 Wdを求め、W、Wから次式により含水率を算出する。
含水率=100(W−W)/W
(4)プロトン伝導性(S/cm)
室温で、水中で保存のH型の高分子電解質膜を取り出し、即ち両白金電極に挟み、インピーダンスよる膜抵抗を測定する。高分子電解質膜のプロトン伝導度は次式を用いて算出した。
κ=d/(Rm・S)
κ:高分子電解質膜のプロトン伝導度(S/cm)
d:両白金電極の距離(cm)
Rm: 高分子電解質膜の抵抗(Ω)
S:抵抗測定における高分子電解質膜の電気流れの断面積(cm
(5)熱水耐性(プロトン伝導度の維持率%)
室温での水中に浸漬後の高分子電解質膜のプロトン伝導度をσとし、120℃の温水に浸漬後の高分子電解質膜のプロトン伝導度をσとする。高分子電解質膜の熱水耐性は次式を用いて算出した。
熱水耐性=100(σ/σ
(実施例1)
Inoue Y. et al., Die Makromolekulare Chemie 95 (1966) 236-247に記載された方法と同様の方法により調製した、シス型シクロヘキサンを導入した脂環式ポリベンズイミダゾール(以下、A−PBIと略す)からなる2cm×3cmのフィルム基材(厚25μm)をコック付きのガラス製セパラブル容器に入れて脱気後、ガラス容器内をアルゴンガスで置換した。この状態で、A−PBIフィルム基材に60Co線源からのγ線を室温で220kGy照射した。引き続いて、このガラス容器中に、アルゴンガスのバブリングにより脱気した50mlスチレンの1−プロパノール溶液50mlを、照射されたA−PBIフィルム基材が浸漬するよう添加した。アルゴンガスで置換した後、ガラス容器を密閉し、80℃で24時間放置した。得られたグラフト高分子フィルム基材をトルエンで洗浄した。乾燥後のフィルム基材重量から、グラフト率を算出した。次に、グラフト膜を0.05Mのクロロスルホン酸/ジクロロエタン溶液で0℃にて処理することにより電解質膜を得た。この耐熱性高分子電解質膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、プロトン伝導度、熱水耐性を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、50ml スチレンの1−プロパノール溶液50ml 中に多官能性ビニルモノマーのジビニルベンゼンを2重量%導入し、同様な手法で耐熱性高分子電解質膜を得た。本実施例で得られた耐熱性高分子電解質膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、プロトン伝導度、熱水耐性を表1に示す。
(実施例3)
実施例2と同様の手順にしたがって得られた耐熱性高分子電解質膜に、更に180℃、2時間で真空下で熱処理を行うことで、一部スルホン酸基が反応しスルホン基橋架け構造を有する多重架橋耐熱性電解質膜を得た。本実施例で得られた耐熱性高分子電解質膜のグルフト率、イオン交換容量、含水率、プロトン伝導度、熱水耐性を表1に示す。
(比較例1)
2cm×3cmの芳香族ポリベンズイミダゾールフィルム基材(25μm)を実施例1)と同じ放射線グラフト重合条件で処理したところ、グラフト率は極端に低かった。本比較例で得られた耐熱性高分子電解質膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、プロトン伝導度、熱水耐性を表1に示す。
(比較例2)
2cm×3cmの脂環式ポリイミドフィルム基材(25μm)を実施例1と同じ放射線グラフト重合条件で処理した後、同様な手法で電解質膜を得た。本比較例で得られた耐熱性高分子電解質膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、プロトン伝導度、熱水耐性を表1に示す。
(比較例3)
2cm×3cmのポリエーテルエーテルケトンフィルム基材(25μm)を実施例1)と同じ放射線グラフト重合条件で処理した後、同様な手法で電解質膜を得た。本比較例で得られた耐熱性高分子電解質膜のグラフト率、イオン交換容量、含水率、プロトン伝導度、熱水耐性を表1に示す。
本発明の耐熱性高分子電解質膜は、高温作動下において高プロトン伝導性、低燃料透過性、高耐酸化性、優れた機械的特性を有する電解質膜である。この作製プロセスにおいては、脂環式ポリベンズイミダゾールフィルム基材に種々のモノマーをグラフトできるため、複雑な廃酸処理・製膜工程を含む従来法に比べ、作製コストが著しく削減できる。また、スルホン化率の制御、グラフト率の制御により、高分子電解質膜のミクロ相分離構造が設計できることから、メタノール、水素などを燃料とした携帯機器、家庭向けコジェネレーションや自動車用の燃料電池に最適な高分子電解質膜を提供することが期待でき、その経済効果は大きい。

Claims (11)

  1. 脂環式ポリベンズイミダゾールを含む主鎖と、前記主鎖に放射線グラフト重合により付加されたグラフト鎖と、を含む耐熱性高分子電解質膜であって、少なくとも前記グラフト鎖の一部がスルホン酸基を有することを特徴とする、耐熱性高分子電解質膜。
  2. 前記脂環式ポリベンズイミダゾールが、下記式(I):

    [式中、Rは、C3〜20シクロアルキレン又はC7〜14スピロアルキレンであり、nは、20〜1000の整数である]で示される請求項1に記載の耐熱性高分子電解質膜。
  3. 前記グラフト鎖が、芳香族ビニル化合物、アクリル酸又はその誘導体、アクリルアミド誘導体、ビニルケトン類、アクリロニトリル類、及びビニルフッ素系化合物から選択されるモノマーを、前記主鎖に放射線グラフト重合して調製される請求項1又は2に記載の耐熱性高分子電解質膜。
  4. 前記モノマーが、付加的にモノマー全体の10重量%以下の量の多官能性モノマーを含み、当該多官能性モノマーが、ビス(ビニルフェニル)エタン、ジビニルベンゼン、2,4,6−トリアリロキシ−1,3,5−トリアジン(トリアリルシアヌレート)、トリアリル−1,2,4−ベンゼントリカルボキシレート、ジアリルエーテル、ビス(ビニルフェニル)メタン、ジビニルエーテル、1,5−ヘキサジエン、及びブタジエンから選択される請求項3に記載の耐熱性高分子電解質膜。
  5. 脂環式ポリベンズイミダゾールを含む高分子基材に電離性放射線を照射する工程、
    当該照射された基材を1種又は2種以上のモノマーと接触させて当該モノマーを放射線グラフト重合する工程、及び
    前記放射線グラフト重合により導入されたグラフト鎖をスルホン化する工程、
    を含むことを特徴とする、耐熱性高分子電解質膜の製造方法。
  6. 前記脂環式ポリベンズイミダゾールが、下記式(I):

    [式中、Rは、C3〜20シクロアルキレン又はC7〜14スピロアルキレンであり、nは、20〜1000の整数である]で示され、かつ前記モノマーが、芳香族ビニル化合物、アクリル酸又はその誘導体、アクリルアミド誘導体、ビニルケトン類、アクリロニトリル類、及びビニルフッ素系化合物から選択される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記高分子基材を調製するために、脂環式ポリベンズイミダゾールと塩化リチウムとを含むリオトロピック液晶性の溶液を調製し、そして当該溶液を薄膜状のフィルムに流延及び乾燥する工程をさらに含む請求項5又は6に記載の方法。
  8. 前記スルホン化工程が、前記高分子基材を、10℃以下の温度で、0.005〜0.1mol/Lのスルホン化剤を含むスルホン化溶液と接触させることからなる請求項5〜7何れか1項に記載の方法。
  9. 前記スルホン化工程に続いて、前記高分子基材を真空下、120〜250℃の温度で、1〜12時間熱処理する工程を含み、導入したグラフト鎖間に多重架橋構造を付与する請求項5〜8何れか1項に記載の方法。
  10. 請求項5〜9の何れか1項に記載の方法で製造され、イオン交換容量が0.5〜3.3mmol/gであり、かつ120℃で、4時間インキュベートした後の熱水耐性が90%以上である耐熱性高分子電解質膜。
  11. 請求項1〜4又は10に記載の耐熱性高分子電解質膜を備える燃料電池。
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