JP2016193407A - 放射性物質濃縮装置用イオン交換膜 - Google Patents
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Abstract
放射性物質存在下での劣化が抑制され、製品寿命が長い放射性物質濃縮装置用イオン交換膜を提供する。
【解決手段】
芳香族炭化水素系高分子樹脂の主鎖及び/又は該芳香族炭化水素系高分子樹脂に形成されたグラフト鎖にイオン交換基を結合させてなる、放射線環境下にて使用するイオン交換膜である。ポリエーテルエーテルケトンの主鎖及び/又はポリエーテルエーテルケトンに形成されたグラフト鎖にイオン交換基を結合させてなるイオン交換膜である。無機フィラーを含有する芳香族炭化水素系高分子樹脂の主鎖及び/又は該芳香族炭化水素系高分子樹脂に形成されたグラフト鎖にイオン交換基を結合させてなるイオン交換膜である。上記放射性物質は、トリチウムと、セシウムと、ストロンチウムと、ヨウ素とからなる群のうちいずれか一つ以上である。
【選択図】図1
Description
引張強度試験は、市販の引張試験機を用いて行う事ができる。試験条件などは、JIS K
7127に準拠して行われる。放射線照射量としては実際の使用環境を考慮して、500kGyまでの範囲を使用して照射を実施される場合が多い。芳香族炭化水素系高分子樹脂に照射する放射線の種類としては、γ線、X線、電子線、イオンビーム、紫外線等を例示できる。γ線、電子線は、ラジカル生成が容易なため好ましく用いられる。
本発明のイオン交換膜の製造方法例として、放射線グラフト重合法を用いる場合を説明する。該製造方法は、溶融させたPEEKを成膜して基材を作製する成膜工程と、基材にビニルモノマーをグラフト重合させる第一グラフト重合工程と、基材に放射線を照射し、イオン交換基含有モノマーをグラフト重合させる第二グラフト重合工程とを含む。
本工程においては、PEEKを混練可能な粘度になるまで溶融させ、混練することが好ましい。混練温度は、用いられるPEEKの融点以上であればよく、350〜400℃が好ましい。混練回数は、例えば2軸混練押出機(例:パーカーコーポレーション社製HK25D)を使った場合、400〜600rpmが好ましい。混練装置としては、上述の2軸混練押出機等、従来公知のものを用いることができる。
本発明は、第二グラフト重合工程で行う放射線グラフト重合反応の前処理として、基材を構成するPEEKとビニルモノマーとをグラフト重合させ、PEEKにグラフト鎖を形成させることが好ましい。これによりイオン交換基含有モノマーのグラフト率を向上できる。
グラフト鎖を形成させたPEEKからなる基材に放射線グラフト重合法によりイオン交換基を結合させる。本工程では、基材を乾燥させた後、放射線を照射し、ラジカルを生成させる。PEEKに予めにグラフト鎖を形成させておくことで、ラジカル生成量を向上させることができる。生成させたラジカルと、イオン交換基含有モノマーとを反応させて、PEEKにイオン交換基を結合させる。
PEEKとイオン交換基含有モノマーとの反応は、溶媒にイオン交換基含有モノマーを分散させたイオン交換基含有モノマー反応液に、PEEKからなる基材を浸漬させて行うことが好ましい。これによりイオン交換基含有モノマーのホモポリマー化を抑制できる。
第二グラフト重合工程終了後の基材に結合されたイオン交換基を、洗浄、乾燥後、従来公知の方法で有効化させる。具体例としては、イオン交換膜を純水に90〜95℃で浸漬させて加水分解処理を行い、イオン交換基をH型に変換する方法等が挙げられる。これにより本発明のイオン交換膜を製造することができる。
(成膜工程)
混練装置内に、PEEK粉末を投入し、温度条件350℃以上でPEEK粉末を溶融させて混練した。混練は、パーカーコーポレーション社製の2軸混練押出機(HK25D)を用いた。混練時間終了後、PEEKをペレット化した。該ペレットを再び混練装置内に投入して溶融させ、さらに混練させた。得られたペレットを乾燥させた。
基材を寸法2cm×3cmで切り出し、乾燥状態の重量を測定し、DVBモノマーとの反応前の基材の乾燥時重量(W1)とした。また成分重量比1:3でジビニルベンゼン(DVB)を1,4-ジオキサンに添加したDVB反応液を調製した。ガラス容器内で基材とDVB反応液とを大気中、90℃で反応させ、DVBモノマーをPEEKに重合させて、PEEKにグラフト鎖を形成させた。反応終了後、基材をアルゴン雰囲気下、1時間乾燥させた。基材の乾燥状態の重量を測定し、DVBモノマーとの反応後の基材の放射線照射前の乾燥時重量(W2)とした。
乾燥後の基材をガラス容器に入れ、アルゴン雰囲気下で30kGyのγ線を照射した。また、スチレンスルホン酸エチルエステル(ETSS)を1,4-ジオキサンに添加したETSS反応液を調製した。上記ガラス容器内で該ETSS反応液に基材を浸漬させた。その後、アルゴン雰囲気下、反応温度85℃で基材とETSS反応液とを24時間反応させ、ETSSモノマーをPEEKに重合させスルホン酸基を基材のPEEKに結合させた。
ガラス容器内で、第二グラフト重合工程終了後の基材を、純水に95℃で浸漬させて加水分解処理を行い、実施例1のイオン交換膜を得た。
混練装置内に、炭化水素系高分子樹脂としてのPEEK粉末と、機能性フィラーとしてのタルク粉末(一次粒子径0.6nm)とを投入し、温度条件350℃以上でPEEK粉末を溶融させながらタルク粉末と混練した。PEEK粉末とタルク粉末との混練物におけるタルク粉末の含有率は10%とした。混練は、パーカーコーポレーション社製の2軸混練押出機(HK25D)を用いた。混練時間終了後、タルクを含有させたPEEKをペレット化した。該ペレットを再び混練装置内に投入して溶融させ、さらにタルクとPEEKとを混練させた。上記のペレットを乾燥させた。
比較例として用いたフッ素系樹脂を基材とするイオン交換膜を以下に記載する。
比較例1:デュポン社製ナフィオン(登録商標)N115
比較例2:デュポン社製ナフィオン(登録商標)424
比較例3:デュポン社製ナフィオン(登録商標)N117
膜厚がいずれも100μmの実施例1ないし3および比較例1ないし3のイオン交換膜を寸法2cm×3cmで切り出した。切り出した各イオン交換膜について、それぞれ交流インピーダンスメーターを用いて膜抵抗測定を行った。膜抵抗測定は、各イオン交換膜を1M硫酸水溶液で湿潤させた後、対極となる2つのPt電極(電極間距離5mm)の間に配置し、100kHzの交流電流を印加して行った。得られた膜抵抗値Rm(Ω)に基づき、式(5)により各イオン交換膜の導電率を求めた。式(5)において、dは電極間距離、Sはイオン交換膜の膜面積である。
寸法2cm×3cmで切り出した電解質膜をH型にし、乾燥状態の重量を測定し、乾燥時重量をW1とした。該電解質膜を飽和食塩水に50℃で4時間浸漬した。浸漬槽から電解質膜を取り出した後、水酸化ナトリウムを用いて中和滴定した。イオン交換容量は、中和滴定で得た飽和食塩水のブランクの滴定値N1と中和滴定値N2とを用いて、式(6)に基づき求めた。
2 陰極
3 陽極
4 イオン交換膜
5 陰極室
6 陽極室
7 直流電源
Claims (4)
- 芳香族炭化水素系高分子樹脂の主鎖及び/又は該芳香族炭化水素系高分子樹脂に形成されたグラフト鎖にイオン交換基を結合させてなる、放射線環境下にて使用するイオン交換膜。
- ポリエーテルエーテルケトン又はポリエーテルケトンの主鎖及び/又は該ポリエーテルエーテルケトン又はポリエーテルケトンに形成されたグラフト鎖にイオン交換基を結合させてなる、放射線環境下にて使用するイオン交換膜。
- 無機フィラーを含有する芳香族炭化水素系高分子樹脂の主鎖及び/又は該芳香族炭化水素系高分子樹脂に形成されたグラフト鎖にイオン交換基を結合させてなるイオン交換膜。
- 放射性物質が、トリチウムと、セシウムと、ストロンチウムと、ヨウ素とからなる群のうちいずれか一つ以上である請求項1に記載の放射性物質濃縮または分離装置用、もしくは放射線環境下にて使用するイオン交換膜。
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