JP3919075B2 - イオン伝導性電解質膜の評価方法 - Google Patents

イオン伝導性電解質膜の評価方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン伝導性電解質膜及びその製造方法並びにその評価方法に関し、更に詳しくは特に高分子固体電解質型燃料電池(PEFC)等の電解質として好適に使用できるイオン伝導性電解質膜及びその製造方法並びにその評価方法に関し、更にそれらイオン伝導性膜を有する燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題、資源問題等からよりクリーンで効率の高いエネルギー源が求められており、燃料電池が期待されている。燃料電池は、電気化学反応により燃料の有する化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置であり、理論的には高いエネルギー効率が実現可能である。
【0003】
このような燃料電池の中でも、PEFCは、より低い温度で運転可能であって、安全性や小型化の観点からも多くの利点を有し、種々の用途が検討されている。このPEFCは、電解質として固体高分子電解質膜を備える。固体高分子電解質膜は、高いイオン伝導度が要求されており、ペルフルオロカーボンを主体としてイオン伝導性を実現するイオン交換基としてのスルホン酸基を備える、ペルフルオロカーボンスルホン酸ポリマーから構成される樹脂(例えば、ナフィオン、デュポン社製)が用いられてきた。
【0004】
このナフィオン膜は、湿潤状態で高いイオン(プロトン)伝導性を示すが、非常に高価であるため、燃料電池全体のコストを押し上げることになり、燃料電池の普及を妨げる要因となるおそれがあった。そこで、固体高分子電解質膜のコストを抑えるために、より安価な材料である炭化水素を構成成分として含む固体高分子電解質膜が検討されている。
【0005】
このような固体高分子電解質膜としては、ベースフィルムに放射線重合により、スチレンと1,4−ブタンジオールジアクリレートとをグラフト化させる方法により製造されたイオン伝導性膜が特開2001−216837号公報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
たしかに従来技術のイオン伝導性膜は高いイオン伝導度を有するものの、イオン伝導性膜に要求される性能は止まるところを知らず、さらに高性能のイオン伝導性膜が求められている。
【0007】
このようにイオン伝導性膜について研究を進めるにあたり、必要とされるイオン伝導性膜の評価方法には不都合があった。つまり、従来のイオン伝導性膜の評価方法は、燃料電池に組み込む等の実際の使用環境を再現しイオン伝導性膜のイオン伝導度を測定するように非常に煩雑な方法であったり、簡易的な方法として知られる交流インピーダンス法のようにイオンが実際に膜を透過するときの伝導度を測定しているわけではなく正確な伝導度とはいえない評価法しか存在しなかった。また、これらの従来の評価方法は実際に使用される形態(膜状)としなければ性能の評価を行うことが困難であった。
【0008】
そこで、本発明では、イオン伝導性膜について、燃料電池として組み込まれたときのイオン伝導度の値を相関性良く評価できるイオン伝導性膜の評価方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
(イオン伝導性膜の評価方法)
従来の交流インピーダンス法について検討したところ、クラスター等が小さく、イオンの伝導度が低い場合であっても、同じような水分含有量であれば高い伝導度が算出される問題があった。これは交流インピーダンス法による測定は試料を電極間に挟み込んで行うために、そのときに試料厚みが小さい等の理由で電極間距離が短いと、試料に由来する抵抗が低くなり、電極に由来する抵抗や分極との分離が困難になることや、測定に交流を用いるために実際にイオンが膜内を通過させることがないことにあると考えた。
【0011】
上記課題を解決する目的で、本発明者らは鋭意研究を行い、全く新しい原理でイオン伝導性膜のイオン伝導度を評価する方法を探索した結果、イオン伝導性膜のイオン伝導度はNMR測定におけるスピン−格子緩和時間(T1)を測定することにより推定できることを発見し、以下の発明を行った。
【0012】
すなわち、本発明のイオン伝導性電解質膜の評価方法は、陽イオン交換膜からなるイオン伝導性電解質膜をリチウム塩溶液で含浸し、該イオン伝導性電解質膜のイオン交換基に結合しているイオンをリチウムイオンに置換してリチウムイオン置換イオン伝導性電解質膜とするイオン交換工程と、
Li−NMRにより前記リチウムイオン置換イオン伝導性電解質膜の緩和時間を測定する測定工程と、該緩和時間に基づいて該イオン伝導性電解質膜のプロトン伝導性を評価する評価工程とを有することを特徴とする(請求項1)。
【0013】
つまり、緩和時間を測定することでNMR測定の対象となる元素の運動性が推定できる。燃料電池ではイオン伝導性膜を透過するイオンはプロトンであるので、1H−NMR測定により直接的にプロトンのイオン伝導性膜内での運動性についての知見が得られるが、 1 H−NMRでは、緩和時間がイオン交換基のプロトン由来のものに加え、その他のプロトン(たとえば、水の水素やイオン交換基以外の水素)由来のものにも影響されるので、イオン伝導性膜のプロトン伝導経路であるイオン交換基のイオンを特異的にリチウムイオンで置換して、置換したリチウムイオンについてNMR測定を行うことにより、イオン伝導性膜のイオン透過に関係するイオン交換基に結合するイオンを特異的に測定することが可能となり、より正確なイオン伝導度の値が測定可能となる。リチウムイオンは原子量が小さく、イオン伝導性膜内での挙動がプロトンと近いと考えられるほか、NMRの感度が高い利点がある。そして、具体的にLi−NMRを用いる場合には、前記評価工程は、前記緩和時間が2秒以上であるときに前記イオン伝導性電解質膜を好ましいと評価する工程であることが好ましい(請求項2)。
測定された緩和時間(プロトンの運動性)は、たとえば、イオン交換基のクラスターの大きさとの関連が推定できる。
【0014】
本方法によれば、イオン伝導性膜を材料について直接、イオン伝導度の測定が可能となるので、イオン伝導度の評価を行う場合に、使用条件に合わせたイオン伝導性膜の製膜が必要なくなる。また、NMRの測定はごく僅かな量の試験試料でも測定可能であるという利点もある。したがって、本評価方法を新規イオン伝導性膜の探索・研究に適用した場合には、その探索等が速やかに遂行できる。また、イオン伝導性膜の製造工程において材料の品質管理等に適用した場合にも製膜工程の前にイオン伝導度の評価が可能となるので、コストの低減に寄与できる。なお、本明細書における、「緩和時間」とはスピン−格子緩和時間であり、その緩和時間の測定は25℃で行ったものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
(イオン伝導性膜の評価方法)
本実施形態のイオン伝導性膜の評価方法は、NMRによりイオン伝導性膜の緩和時間を測定する測定工程と、その緩和時間を評価する評価工程とを有する。本評価方法が適用できるイオン伝導性膜は特に限定されない。
【0027】
緩和時間としてはスピン−格子緩和時間(T1)を意味する。NMRにより緩和時間を測定する方法としては、公知の方法が採用できる。たとえば、90°ラジオ波パルスを試料に照射し、パルスの定常状態への復帰を測定することで、算出できる。
【0028】
NMRとしてはLi−NMRが適用され、イオン伝導性膜としての測定の他、イオン伝導性膜を形成する前の材料としての形態でも測定が可能である。測定雰囲気としては、イオン伝導性膜の使用条件に合わせることが好ましい。たとえば、水により、膨潤させた状態で測定を行うことが、より実際の条件下でのイオン伝導度を反映するものと考えられるので好ましい。
【0029】
さらに、測定工程の前に、イオン伝導性電解質膜をリチウム塩溶液で含浸し、そのイオン伝導性電解質膜のイオン交換基に結合しているイオンをリチウムイオンに置換してリチウムイオン置換イオン伝導性電解質膜とするイオン交換工程を有する。
【0030】
イオン交換工程で用いられるリチウム塩は特に限定されないが、LiCl、LiOH、LiFが好ましい例として例示できる。特に対アニオンの大きさが小さい方がより早くイオン交換工程が終了できるので好ましい。イオン交換工程ではリチウム塩溶液としては水溶液を用いることができる。そのリチウム塩溶液中にイオン伝導性膜を含浸する方法はイオン伝導性膜をリチウム塩溶液中に浸漬する方法が例示できる。この含浸させる時間はイオン伝導性膜中のイオン交換基のイオンがすべてリチウムイオンで置換されるのに充分な時間である。
【0031】
イオン伝導性膜中のイオン交換基のイオンをリチウムイオンで置換してリチウムイオン置換イオン伝導性膜とした後に、水等のリチウムイオンを含まずリチウム塩を溶解できる液体でリチウムイオン置換イオン伝導性膜を洗浄して、イオン交換基に結合していないリチウムイオンを洗い流すことが好ましい。余分なリチウムイオンを洗浄除去することで、より正確なイオン伝導度を推定できる。
【0032】
評価工程としては得られた緩和時間の値からイオン伝導性膜のプロトン伝導度を評価する方法としては緩和時間が長いほど優れたイオン伝導度を示すものと評価する。具体的には緩和時間が2秒以上である場合にそのイオン伝導性膜が優れたものであると評価する。そして、予め実際の使用条件でイオン伝導性膜のプロトン伝導度を実際に測定し、その実測値と本評価方法における緩和時間との関係を求め、検量線を作成することも可能である。
【0033】
参考:イオン伝導性膜)
参考形態のイオン伝導性膜は以下の(1)及び(2)の2つに大別できる。これらは排他的な分類ではなく重複する範囲があることはいうまでもない。本イオン伝導性膜は使用する目的に応じてその形態を適正に変化させることができるが、燃料電池の高分子固体電解質やリチウム二次電池の固体電解質として用いる場合には15μm以上の厚さとすることが好適である。さらに本イオン伝導性膜は下記の構成要素に加えて使用条件に合わせて種々の構成要素を加えることもできる。たとえば、ポリテトラフルオロエチレンからなるフィブリルや多孔質体を補強材として混合することもできる。
【0034】
▲1▼共有結合により結合したモノマー単位からなる高分子主鎖から構成される樹脂薄膜と、その高分子主鎖に結合し、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル及び1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテルからなる群から選択される1以上の架橋剤と、スチレンとの反応物からなり、そのスチレン由来のベンゼン環がスルホン化されている側鎖基とを有するイオン伝導性膜。
【0035】
▲2▼共有結合により結合したモノマー単位からなる高分子主鎖から構成される樹脂薄膜に高エネルギー線を照射してフリーラジカルを生成する高エネルギー線照射工程と、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル及び1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテルからなる群から選択される1以上の架橋剤と、スチレンとを含む重合剤溶液とその樹脂薄膜とを接触させる重合工程と、そのスチレンに由来するベンゼン環をスルホン化するスルホン化工程と、を有する製造方法により製造されたイオン伝導性膜。
【0036】
▲1▼及び▲2▼のイオン伝導性膜は、イオン伝導度の観点からは、架橋剤がエチレングリコールジメタクリレート又はエチレングリコールジビニルエーテルである場合には、架橋剤(A)とスチレン(B)との体積混合比(A/B)が0.03〜0.18であることが好ましく、架橋剤が1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテルである場合には、架橋剤(A)とスチレン(B)との体積混合比(A/B)が0.05より小さいことが好ましい。
【0037】
樹脂薄膜は安定性の観点からフッ素系樹脂であることが好ましい。具体的にはテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系オレフィン樹脂が好ましい例として挙げられる。
【0038】
フッ素系樹脂以外にはポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が例示できる。
【0039】
さらに、これらのイオン伝導性膜は、前述のイオン伝導性膜の評価方法(Li−NMRを測定する評価方法)により緩和時間が2秒以上とされる材料から形成されることが好ましい。
【0040】
▲2▼のイオン伝導性膜を特定する製造方法は後述する「イオン伝導性膜の製造方法」欄で説明するのでここでの説明は省略する。
【0041】
(イオン伝導性膜の製造方法)
参考形態のイオン伝導性膜の製造方法は、高エネルギー線照射工程と重合工程とスルホン化工程とからなる。
【0042】
高エネルギー線照射工程は、樹脂薄膜に高エネルギー線を照射してフリーラジカルを生成する工程である。樹脂薄膜としては安定性の観点からフッ素系樹脂であることが好ましい。具体的にはテトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルアルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素系オレフィン樹脂が好ましい例として挙げられる。
【0043】
高エネルギー線照射によるラジカル生成の容易さの観点からは水素元素を有するフッ素系オレフィン樹脂、たとえば、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体又はポリフッ化ビニリデンが好ましい。また、この2種類の高分子は高エネルギー線照射において、いわゆる「架橋型高分子」に分類される高分子であり、高エネルギー線照射による側鎖のC−H結合若しくはC−F結合の切断に起因する反応によって主鎖のC−C結合の切断が進行し難く、分子量の低下が少ない、つまり機械的特性が劣化することが少ないので、イオン伝導性膜の基本的な骨格をなす樹脂薄膜としては好ましい。
【0044】
高エネルギー線の照射エネルギー及び照射量としては特に限定されないが、必要な量の重合剤が重合できること、つまり必要な量の重合剤が結合できる量のラジカルが発生するように調節する。高エネルギー線としては電子線やガンマ線などが好適な例として挙げられる。電子線やガンマ線は樹脂薄膜の内部にまで到達でき、樹脂内部にも重合剤の反応起点であるラジカルが発生できるからである。たとえば、高エネルギー線として電子線を照射する場合は、加速電圧250kV、照射線量400kGy程度の組み合わせが挙げられる。
【0045】
高エネルギー線の照射雰囲気としては生成するラジカルの安定性を考慮して、不活性雰囲気下且つ低温で行うことが好ましい。ここで低温とは可能ならば、樹脂薄膜を構成する樹脂のミクロブラウン運動が凍結されるガラス転移温度以下であることが、生成したラジカルの再結合が抑制できるので好ましい。特に、高エネルギー線照射工程から重合工程に移行する際に長時間必要な場合には低温で保存することが好ましい。
【0046】
重合工程は架橋剤とスチレンとを含む重合剤をラジカルを生成させた樹脂薄膜と反応させる工程である。架橋剤とスチレンとの混合物をそのまま樹脂薄膜に反応させても良いし適正な溶媒と混合して樹脂薄膜と反応させても良い。一般的には不活性ガスのバブリング等により酸素を除去した適正な溶媒(トルエン、キシレン等)中に重合剤を混合した溶液中に高エネルギー線を照射した樹脂薄膜を浸漬し、加温することで樹脂薄膜内のラジカルを起点として重合剤が反応できる。好ましくは、重合剤からなる高分子を溶解できる溶媒で、重合剤単独で重合した高分子を抽出・除去する。
【0047】
架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジビニルエーテル及び1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテルからなる群から選択される1以上である。
【0048】
イオン伝導度の観点から、架橋剤がエチレングリコールジメタクリレート又はエチレングリコールジビニルエーテルである場合には、架橋剤(A)とスチレン(B)との体積混合比(A/B)が0.03〜0.18であることが好ましく、架橋剤が1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテルである場合には、架橋剤(A)とスチレン(B)との体積混合比(A/B)が0.05より小さいことが好ましい。
【0049】
スルホン化工程は、スチレンに由来するベンゼン環をスルホン化する工程であり、そのスルホン基の導入方法は特に限定しないが、一般的な方法であるクロロスルホン酸と反応させる方法が例示できる。
【0050】
参考:燃料電池)
参考形態の燃料電池は主にPEFCである。本参考形態の燃料電池としては燃料電池セルを複数積層したスタックを形成しているものを規定する。そして電解質膜として上述したイオン伝導性膜又はイオン伝導性膜の製造方法で製造したイオン伝導性膜を用いる。電解質膜を挟んだ両側の反応電極にそれぞれ燃料ガスと酸化剤ガスとを供給するガス供給装置がそれぞれ対応する側のセパレータから接続される。そして燃料ガスとしては水素ガスを酸化剤ガスとして空気をそれぞれ便宜的に規定する。
【0051】
本燃料電池の燃料電池セルは電解質膜の両側を反応電極で狭持した後にさらに拡散層で狭持したMEAの両側をセパレータで狭持した構造をもつ。
【0052】
反応電極については特に限定されず、通常のものを使用可能である。たとえば、カーボン粉末上に白金や白金のアロイを分散させた触媒を用いることが可能である。たとえば、この触媒をそのままもしくは結着剤等と混合して電解質膜表面で製膜することで反応電極を形成できる。
【0053】
拡散層はたとえば一般的なカーボン粉末と撥水性高分子粉末との混合物を用いることができる。
【0054】
セパレータも一般的に使用されている材質、形態のものが使用できる。セパレータには流路が形成され、その流路には反応ガスを供給するためのガス供給装置が接続されると同時に、反応しなかった反応ガス及び発生した水を除去する手段とが接続される。
【0055】
【実施例】
(イオン伝導性膜の評価方法)
〔本発明方法〕
イオン伝導性膜として架橋剤(A)にエチレングリコールジビニルエーテルを用い、スチレン(B)との体積混合比(A/B)を0〜0.18の範囲で変化させて調製した4種類について評価を行った。まず、それぞれのイオン伝導性膜を0.5mol/LのLiCl溶液に12時間浸漬し、イオン交換基のイオンをリチウムイオンで置換した(イオン交換工程)。その後、リチウムイオンでイオン交換したイオン伝導性膜を水中に3時間浸漬し洗浄し、イオン伝導性膜への水の含浸による時間的質量変化がなくなったのを確認した後に、測定温度25℃でLi−NMRにより緩和時間を測定した(測定工程)。緩和時間は、Liの90°パルスを照射し、定常状態に戻るまでに要する時間を測定することで規定した。
【0056】
〔実機による方法〕
それぞれのイオン伝導性膜について、燃料電池セルを作成し、発電試験を行うことで、イオン伝導性膜のプロトン伝導度を測定した。
【0057】
本燃料電池セルはイオン伝導性膜の両側を反応電極で狭持した後にさらに拡散層で狭持したMEAの両側をセパレータで狭持した構造をもつ。反応電極はカーボン粉末表面に白金を分散させた触媒を用い、この触媒を結着剤としてのナフィオン溶液と混合して電解質膜表面で製膜することで反応電極をした。拡散層はカーボン粉末と撥水性高分子粉末との混合物を用いた。セパレータは耐腐食金属製のものを使用した。
【0058】
この燃料電池セルの両極に水素と酸素とを供給して0.5A/cm2の電流密度での発電時に交流インピーダンス法から求めた直流抵抗成分を基にイオン伝導性膜のプロトン伝導度を測定した。
【0059】
〔交流インピーダンス法〕
また、それぞれのイオン伝導性膜について交流インピーダンス法でイオン伝導度を測定した。交流インピーダンス法は、白金電極を用いて測定した。測定条件としては、イオン伝導性膜をイオン交換水で含浸した後に測定温度25℃、測定周波数1000Hzで測定した。
【0060】
(結果)
結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 0003919075
【0062】
表1から明らかなように、本発明方法で測定した値と実機による測定値とは良い相関関係が認められた。この関係を近似式で表すと、(伝導度)=0.001e1.1515t、(tは緩和時間(秒))、R2=0.9932として表すことができる。したがって、本発明方法で測定した緩和時間が2秒以上であると、伝導度が良好であることが分かった。
【0063】
次に交流インピーダンス法で測定した値と実機による測定値とを比較すると、あまり良い相関関係が得られなかった。たとえば、実機でのイオン伝導度が0.005程度の試料1のイオン伝導性膜が交流インピーダンス法では0.15(S/cm)と良好な値が示される等、交流インピーダンス法では実際のイオン伝導度の推定が困難であった。
【0064】
製造したイオン伝導性膜の評価
(実施例1)
エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)からなる樹脂薄膜(厚み50μm)に対して、加速電圧250kVの電子線を400kGy照射した(高エネルギー線照射工程)。電子線照射量は以下の実験で最適値を設定した。
【0065】
その後、予め窒素で30分間バブリングを行い脱気をした、トルエン/スチレン+架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレート=2/3(体積比)に浸漬し、窒素バブリングを行いながら、70℃で3時間重合を行った(重合工程)。スチレンとエチレングリコールジメタクリレートとの混合比はスチレンの体積を基準として混合した。体積混合比として種々の割合を設定した。具体的にはエチレングリコールジメタクリレートの混合割合として、3、6、12及び18%の4つの濃度を設定した。重合反応後、クロロホルム中で3時間煮沸して単独で重合した高分子を抽出除去した。
【0066】
その後、クロロホルムを乾燥した。そして、クロロスルホン酸(0.5M、1,2−ジクロロエタン溶液)に24時間浸漬してスルホン化を行った(スルホン化工程)。得られたイオン導電性膜を実施例1のイオン伝導性膜とした。
【0067】
・電子線照射量の決定
ETFEからなる樹脂薄膜(厚み50μm)について、加速電圧250kVの電子線を100、200、300、400kGyの照射量でそれぞれ照射した。その後、予め窒素で30分間バブリングを行い脱気をした、トルエン/スチレン+ジビニルベンゼン=2/3(体積比)に浸漬し、窒素バブリングを行いながら、70℃で3時間重合を行った。
【0068】
重合反応後、クロロホルム中で3時間煮沸して単独で重合した高分子を抽出除去した。
【0069】
電子線照射前の樹脂薄膜の質量に対して、重合操作により増加した質量の割合(重合率)を百分率で求めた。結果を図1に示す。図1から明らかなように、200〜400kGyでほぼ重合率が80%程度を示していた。以上の結果から、電子線の照射量として400kGyを採用した。
【0070】
(実施例2)
実施例1の操作において、架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートに代えて、エチレングリコールジビニルエーテルを用いた以外は実施例1と同様の操作でイオン伝導性膜を製造して実施例2のイオン伝導性膜とした。
【0071】
(実施例3)
実施例1の操作において、架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートに代えて、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテルを用いた以外は実施例1と同様の操作でイオン伝導性膜を製造して実施例3のイオン伝導性膜とした。
【0072】
(比較例1)
実施例1の操作において、架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートに代えて、ジビニルベンゼンを用いた以外は実施例1と同様の操作でイオン伝導性膜を製造して比較例1のイオン伝導性膜とした。
【0073】
(比較例2)
実施例1の操作において、架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートに代えて、1,4−ブタンジオールジメタクリレートを用いた以外は実施例1と同様の操作でイオン伝導性膜を製造して比較例2のイオン伝導性膜とした。
【0074】
(比較例3)
実施例1の操作において、架橋剤としてのエチレングリコールジメタクリレートに代えて、1,4−ブタンジオールジアクリレートを用いた以外は実施例1と同様の操作でイオン伝導性膜を製造して比較例3のイオン伝導性膜とした。
【0075】
(評価)
各実施例及び比較例のそれぞれのイオン伝導性膜について、上述した本発明の評価方法で緩和時間を測定し、その緩和時間を前述の近似式を用いてイオン導電度を導出した。結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
Figure 0003919075
【0077】
表2から明らかなように、各実施例のイオン伝導度はどれも良好な値であった。特に実施例1(エチレングリコールジメタクリレート)及び2(エチレングリコールジビニルエーテル)では実験を行った、混合割合が3%〜18%の間のすべてにおいて良好なイオン伝導度を示した。実施例3(1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル)では、混合割合が5%より小さい場合に特に良好なイオン伝導度を示した。また、各実施例のイオン伝導性膜はどれも充分な強度、可撓性を有していた。
【0078】
それに対して、各比較例のイオン伝導性膜のプロトン伝導度は、どれも実施例のイオン伝導性膜よりも低い値であった。また、ジビニルベンゼンを添加した比較例1では10%以上の架橋剤の添加割合で膜が非常に脆いものとなり燃料電池セルの電解質膜としての使用に耐えるものではなかった。
【0079】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のイオン伝導性膜の評価方法は、NMRの測定という簡便な操作により、迅速に測定対象のイオン伝導性膜のプロトン伝導度を評価することが可能となり、イオン伝導性膜の開発の迅速化やイオン伝導性膜の製造過程における品質管理に要するコストの低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における電子線照射量を決定する試験の結果を示したグラフである。

Claims (2)

  1. 陽イオン交換膜からなるイオン伝導性電解質膜をリチウム塩溶液で含浸し、該イオン伝導性電解質膜のイオン交換基に結合しているイオンをリチウムイオンに置換してリチウムイオン置換イオン伝導性電解質膜とするイオン交換工程と、
    Li−NMRにより前記リチウムイオン置換イオン伝導性電解質膜の緩和時間を測定する測定工程と、
    該緩和時間に基づいて該イオン伝導性電解質膜のプロトン伝導性を評価する評価工程とを有することを特徴とするイオン伝導性電解質膜の評価方法。
  2. 前記評価工程は、前記緩和時間が2秒以上であるときに前記イオン伝導性電解質膜を好ましいと評価する工程である請求項に記載のイオン伝導性電解質膜の評価方法。
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