JP2006131731A - 固体電解質材料、膜−電極接合体及び燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】 PBIにプロトン伝導性化合物をドープしてなる固体電解質材料であって、機械的強度を保ちつつ、プロトン伝導性に優れる固体電解質材料を提供する。
【解決手段】 少なくとも、アミノ基を2つ以上有するジアミン化合物又はその反応性誘導体と、同じ芳香族環に2つ以上のカルボキシ基が直接結合した第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、1つ又は2つ以上の芳香族環及び当該芳香族環に結合した2つ以上のカルボキシ基を有し、且つ、少なくとも一箇所において芳香族環とカルボキシ基の間及び/又はカルボキシ基を有する芳香族環の間が、非芳香族基を介して連結した第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、から合成されるポリベンズイミダゾールに、プロトン伝導性化合物をドープしてなる固体電解質材料。
【選択図】 なし
【解決手段】 少なくとも、アミノ基を2つ以上有するジアミン化合物又はその反応性誘導体と、同じ芳香族環に2つ以上のカルボキシ基が直接結合した第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、1つ又は2つ以上の芳香族環及び当該芳香族環に結合した2つ以上のカルボキシ基を有し、且つ、少なくとも一箇所において芳香族環とカルボキシ基の間及び/又はカルボキシ基を有する芳香族環の間が、非芳香族基を介して連結した第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、から合成されるポリベンズイミダゾールに、プロトン伝導性化合物をドープしてなる固体電解質材料。
【選択図】 なし
Description
本発明は、固体電解質材料、これを用いた膜−電極接合体及び燃料電池に関する。
燃料電池は、燃料と酸化剤を電気的に接続された2つの電極に供給し、電気化学的に燃料の酸化を起こさせることで、化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する。火力発電とは異なり、カルノーサイクルの制約を受けないので、高いエネルギー変換効率を示すものである。燃料電池は、通常、電解質膜を燃料極及び酸化剤極で挟持した基本構造を有する単セルを複数積層して構成されており、中でも、電解質膜として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子電解質型燃料電池は、小型化が容易であること、低い温度で作動すること、などの利点があることから、特に携帯用、移動体用電源として注目されている。
従来、固体高分子型燃料電池の電解質膜としては、高いプロトン伝導性を有し、また、耐酸化性に優れることから、ナフィオン(商品名、デュポン社製)に代表されるパーフルオロカーボンスルホン酸膜が一般的に用いられてきた。しかし、パーフルオロカーボンスルホン酸膜は、フッ素系樹脂を材料とするため高価であり、燃料電池のコスト削減を阻む要因の一つとなっている。
そのため、安価な材料を用いた電解質膜の開発が進められており、中でも、ポリベンゾイミダゾール(PBI)は、スルホン酸やリン酸等のプロトン伝導性化合物との複合化又はスルホン酸基やリン酸基等のプロトン伝導性基の導入が可能であり、また、耐熱性や機械的特性等にも優れることから注目されている。例えば、PBI膜にプロトン伝導性化合物である酸をドープしてなる電解質膜(特許文献1)や、PBIにプロトン伝導性基を有する側鎖を導入した電解質膜等が提案されている。
そのため、安価な材料を用いた電解質膜の開発が進められており、中でも、ポリベンゾイミダゾール(PBI)は、スルホン酸やリン酸等のプロトン伝導性化合物との複合化又はスルホン酸基やリン酸基等のプロトン伝導性基の導入が可能であり、また、耐熱性や機械的特性等にも優れることから注目されている。例えば、PBI膜にプロトン伝導性化合物である酸をドープしてなる電解質膜(特許文献1)や、PBIにプロトン伝導性基を有する側鎖を導入した電解質膜等が提案されている。
PBIを用いた電解質膜のプロトン伝導性を向上させるために、PBI膜への酸のドープ量を増加したり、PBIに導入するプロトン伝導性基の量を増加することが行われている。しかしながら、酸のドープ量又はプロトン伝導性基の導入量の増加に伴い、電解質膜の機械的強度が低下してしまうという問題がある。
そこで、プロトン伝導性と電解質膜の機械的強度との両立を図るための様々な試みがなされている。例えば、PBIにプロトン伝導性基を有する側鎖を導入した電解質膜としては、PBIの主鎖に2つのスルホン酸基を備えた側鎖が結合してなる固体電解質材料が特許文献2に記載されている。
一方、酸をドープさせるPBIとして従来用いられてきたPBIは、得られる電解質膜の機械的強度は高いが充分な量の酸をドープすることができなかったり、或いは、十分な量の酸をドープできるが得られる電解質膜の機械的強度が不十分なものであった。
一方、酸をドープさせるPBIとして従来用いられてきたPBIは、得られる電解質膜の機械的強度は高いが充分な量の酸をドープすることができなかったり、或いは、十分な量の酸をドープできるが得られる電解質膜の機械的強度が不十分なものであった。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、PBIにプロトン伝導性化合物をドープしてなる固体電解質材料であって、機械的強度を保ちつつ、プロトン伝導性に優れる固体電解質材料を提供することを目的とする。
本発明により提供される固体電解質材料は、少なくとも、アミノ基を2つ以上有するジアミン化合物又はその反応性誘導体と、同じ芳香族環に2つ以上のカルボキシ基が直接結合した第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、1つ又は2つ以上の芳香族環及び当該芳香族環に結合した2つ以上のカルボキシ基を有し、且つ、少なくとも一箇所において芳香族環とカルボキシ基の間及び/又はカルボキシ基を有する芳香族環の間が、非芳香族基を介して連結した第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、から合成されるポリベンズイミダゾールに、プロトン伝導性化合物をドープしてなることを特徴とするものである。
本発明の固体電解質材料は、少なくとも、ジアミン化合物又はその反応性誘導体と、剛直な主鎖骨格を形成することが可能な第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、柔軟な主鎖骨格を形成することが可能な第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体とから合成されるポリベンゾイミダゾールを用いていることから、機械的強度を保持しつつ、プロトン伝導性化合物のドープ量を向上させることが可能である。
前記第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体は、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
式(1)中、各符号は以下の意味で用いられる。
R1は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
Y1は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。nは、ベンゼン環に結合するY1の数を示す0〜4の数であり、Y1が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
R1は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
Y1は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。nは、ベンゼン環に結合するY1の数を示す0〜4の数であり、Y1が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
特に、前記第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体は、少なくともイソフタル酸、その塩及びそのエステルから選ばれることが好ましい。
前記第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体は、下記式(2)で表される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
式(2)中、各符号は以下の意味で用いられる。
R2は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、O、S、SO2、CO又は単結合のいずれかである。但し、R3、R4及びR5の少なくとも1つは、単結合以外の基である。pは、0又は1の数である。
Y2は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。mは、それぞれ独立して、ベンゼン環に結合するY2の数を示す0〜4の数であり、Y2が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
R2は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、O、S、SO2、CO又は単結合のいずれかである。但し、R3、R4及びR5の少なくとも1つは、単結合以外の基である。pは、0又は1の数である。
Y2は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。mは、それぞれ独立して、ベンゼン環に結合するY2の数を示す0〜4の数であり、Y2が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
特に、前記第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体として、少なくともフェニレン二酢酸を含むことが好ましい。
本発明の固体電解質材料は、固体電解質膜の両面に一対の電極を有する膜−電極接合体の固体電解質膜材料として好適に用いることができ、本発明の固体電解質材料を用いた膜−電極接合体を備えた燃料電池は、優れた電池特性を示す。
本発明によれば、プロトン伝導性化合物の吸着能が高く、且つ、機械的強度に優れた固体電解質材料を得ることができる。
従って、本発明により得られる固体電解質材料は、優れたプロトン伝導性を示すものである。充分量のプロトン伝導性化合物が吸着されていることから、低温域においてもプロトン伝導性は保持され、広い温度範囲において優れたプロトン伝導性を発現することが可能である。
また、プロトン伝導性化合物の吸着に伴う機械的強度の低下が少なく抑えられており、特に機械的強度が低下しやすい高温下においても形状を保持することができる。さらに、ポリベンズイミダゾールを用いていることから、耐熱性にも優れている。従って、本発明の固体電解質材料は高温条件下の使用も可能である。
従って、本発明により得られる固体電解質材料は、優れたプロトン伝導性を示すものである。充分量のプロトン伝導性化合物が吸着されていることから、低温域においてもプロトン伝導性は保持され、広い温度範囲において優れたプロトン伝導性を発現することが可能である。
また、プロトン伝導性化合物の吸着に伴う機械的強度の低下が少なく抑えられており、特に機械的強度が低下しやすい高温下においても形状を保持することができる。さらに、ポリベンズイミダゾールを用いていることから、耐熱性にも優れている。従って、本発明の固体電解質材料は高温条件下の使用も可能である。
本発明の固体電解質は、膜−電極接合体を構成する電解質膜の材料として好適であり、本発明の固体電解質材料を用いた膜−電極接合体を備えた燃料電池は、優れた電池特性を発現することが可能である。
本発明の固体電解質材料は、少なくとも、アミノ基を2つ以上有するジアミン化合物又はその反応性誘導体と、同じ芳香族環に2つ以上のカルボキシ基が直接結合した第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、1つ又は2つ以上の芳香族環及び当該芳香族環に結合した2つ以上のカルボキシ基を有し、且つ、少なくとも一箇所において芳香族環とカルボキシ基の間及び/又はカルボキシ基を有する芳香族環の間が、非芳香族基を介して連結した第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、から合成されるポリベンズイミダゾールに、プロトン伝導性化合物をドープしてなることを特徴とするものである。
第一の芳香族ジカルボン酸は、2つ以上のカルボキシ基が、同じ芳香族環に直接結合した構造を有するものである。このような第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、アミノ基を2つ以上有するジアミン化合物(以下、単に、ジアミン化合物ということがある)又はその反応性誘導体とが、脱水・環化重合して形成されるベンズイミダゾールの繰り返し単位(以下、第一の繰り返し単位ということがある)は、主鎖骨格を形成する部分に、第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体に由来する芳香族環が、直接ベンズイミダゾール環に結合した構造を有し、且つ、主鎖骨格を形成する部分には当該芳香族環に結合するアルキル基等の柔軟な連結構造を含まないことから(例えば、式(3)のA部分のような構造)、剛直な主鎖骨格を形成する。この剛直な性質を有する第一の繰り返し単位によって、本発明で用いられるPBIの機械的強度が保持される。
第一の芳香族ジカルボン酸は、上述したように、同じ芳香族環に2つ以上のカルボキシ基が直接結合した構造を有しているものであれば、第一の芳香族ジカルボン酸の全体的構造として上記のような構造を有していてもよいし、部分的に上記のような構造を有していてもよい。
第一の芳香族ジカルボン酸において、2つ以上のカルボキシ基が結合した芳香族環は、特に限定されるものではなく、例えば、環内ヘテロ原子を含んでいてもよいし、2つ以上の芳香族環が縮合した構造を有していてもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、カルボキシ基以外の置換基を有していてもよい。好ましくは、単環構造を有するものであり、中でもベンゼン環が好ましい。
第一の芳香族ジカルボン酸において、2つ以上のカルボキシ基が結合した芳香族環は、特に限定されるものではなく、例えば、環内ヘテロ原子を含んでいてもよいし、2つ以上の芳香族環が縮合した構造を有していてもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、カルボキシ基以外の置換基を有していてもよい。好ましくは、単環構造を有するものであり、中でもベンゼン環が好ましい。
上記のような第一の芳香族ジカルボン酸の反応性誘導体としては、2つ以上のアミノ基を有するジアミン化合物又はその反応性誘導体と反応し、ポリベンズイミダゾールを構成する繰り返し単位を形成することが可能なものであれば、特に限定されない。例えば、第一の芳香族ジカルボン酸のカルボキシ基の水素原子が置換した塩やエステル、カルボキシ基の水酸基が置換した各種のアシル化合物、酸アミド、酸無水物などが挙げられる。
第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体としては、下記式(1)で表される少なくとも1種であることが好ましい。
式(1)中、各符号は以下の意味で用いられる。
R1は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
Y1は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。nは、ベンゼン環に結合するY1の数を示す0〜4の数であり、Y1が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
R1は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
Y1は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。nは、ベンゼン環に結合するY1の数を示す0〜4の数であり、Y1が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
式(1)中、R1は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基としては、特に限定されず、例えば、不飽和結合を含んでいてもよいし、直鎖状であっても分岐鎖を有していてもよい。また、脂環式構造を含んでいてもよい。好ましい炭素数1〜6の炭化水素基としては、飽和アルキル基が挙げられ、特に炭素数1〜2の飽和アルキル基が好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基としては、特に限定されず、例えば、複数の芳香族環が縮合又は連結した構造を有していてもよいし、環内にヘテロ原子を含む構造であってもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、置換基を有していてもよい。好ましい炭素数4〜10の芳香族基としては、単環構造を有するものが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。R1は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、フェニル基のいずれかであることが好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基としては、特に限定されず、例えば、複数の芳香族環が縮合又は連結した構造を有していてもよいし、環内にヘテロ原子を含む構造であってもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、置換基を有していてもよい。好ましい炭素数4〜10の芳香族基としては、単環構造を有するものが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。R1は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、フェニル基のいずれかであることが好ましい。
第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体のベンゼン環が有する置換基Y1は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかであり、また、Y1自体があってもなくてもよい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基としては、特に限定されず、例えば、不飽和結合を含んでいてもよいし、直鎖状であっても分岐鎖を有していてもよい。また、脂環式構造をふくんでいてもよい。好ましい炭素数1〜6の炭化水素基としては、飽和アルキル基が挙げられ、特に炭素数1〜2の飽和アルキル基が好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基としては、特に限定されず、例えば、不飽和結合を含んでいてもよいし、直鎖状であっても分岐鎖を有していてもよい。また、脂環式構造をふくんでいてもよい。好ましい炭素数1〜6の炭化水素基としては、飽和アルキル基が挙げられ、特に炭素数1〜2の飽和アルキル基が好ましい。
ハロゲンとしては、F、Cl、Br又はIのいずれかであることが好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基としては、特に限定されず、例えば、複数の芳香族環が縮合又は連結した構造を有していてもよいし、環内にヘテロ原子を含む構造であってもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、置換基を有していてもよい。好ましい炭素数4〜10の芳香族基としては、単環構造を有するものが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
Y1が存在する場合は、メチル基、エチル基、フェニル基、F、Cl、Br又はIのいずれかであることが好ましい。また、複数のY1が存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基としては、特に限定されず、例えば、複数の芳香族環が縮合又は連結した構造を有していてもよいし、環内にヘテロ原子を含む構造であってもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、置換基を有していてもよい。好ましい炭素数4〜10の芳香族基としては、単環構造を有するものが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
Y1が存在する場合は、メチル基、エチル基、フェニル基、F、Cl、Br又はIのいずれかであることが好ましい。また、複数のY1が存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体としては、具体的には、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル等が挙げられるが、少なくとも、イソフタル酸、その塩、及びそのエステルから選ばれる1種を用いることが好ましい。これは、イソフタル酸、その塩、及びそのエステルを用いて得られるPBIが、特に機械的強度に優れているからである。
第二の芳香族ジカルボン酸は、1つ又は2つ以上の芳香族環及び当該芳香族環に結合した2つ以上のカルボキシ基を有し、且つ、少なくとも一箇所において芳香族環とカルボキシ基の間及び/又はカルボキシ基を有する芳香族環の間が、非芳香族基を介して連結した構造を有するものである。
すなわち、第二の芳香族ジカルボン酸は、2つ以上のカルボキシ基を有する1つの芳香族環を有し、且つ、少なくとも1箇所において芳香族環とカルボキシ基が、非芳香族基を介して連結した構造を有するか、或いは、1つ以上のカルボキシ基を有する2つ以上の芳香族環を有し、且つ、芳香族環とカルボキシ基の間及びカルボキシ基を有する2つの芳香族環の間の少なくとも1箇所において、芳香族環とカルボキシ基及び/又は2つの芳香族環が、非芳香族基を介して連結した構造を有するものである。ここで、非芳香族基を介して連結する、カルボキシ基を有する2つの芳香族環は、それぞれが有するカルボキシ基と、ジアミン化合物又はその反応性誘導体とがアミド結合を形成することによって、主鎖骨格を形成するものである。
すなわち、第二の芳香族ジカルボン酸は、2つ以上のカルボキシ基を有する1つの芳香族環を有し、且つ、少なくとも1箇所において芳香族環とカルボキシ基が、非芳香族基を介して連結した構造を有するか、或いは、1つ以上のカルボキシ基を有する2つ以上の芳香族環を有し、且つ、芳香族環とカルボキシ基の間及びカルボキシ基を有する2つの芳香族環の間の少なくとも1箇所において、芳香族環とカルボキシ基及び/又は2つの芳香族環が、非芳香族基を介して連結した構造を有するものである。ここで、非芳香族基を介して連結する、カルボキシ基を有する2つの芳香族環は、それぞれが有するカルボキシ基と、ジアミン化合物又はその反応性誘導体とがアミド結合を形成することによって、主鎖骨格を形成するものである。
このような第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、2つ以上のアミノ基を有するジアミン化合物又はその反応性誘導体とが脱水・環化縮合して形成されるベンズイミダゾールの繰り返し単位(以下、第二の繰り返し単位ということがある)は、第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体に由来する芳香族環とベンズイミダゾール環の間、及び、第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体に由来する2つの芳香族環の間の少なくとも1箇所において、主鎖骨格に柔軟性を付与することが可能な非芳香族基が介在しているため、柔軟性のある主鎖骨格を形成(例えば、式(4)のB部分)し、PBIに柔軟性を付与することができる。柔軟性のあるPBIは、プロトン伝導性化合物をドープしやすく、高いプロトン伝導性を示す固体電解質材料を得ることが可能である。
第二の芳香族ジカルボン酸は、上述したように、1つ又は2つ以上の芳香族環及び当該芳香族環に結合した2つ以上のカルボキシ基を有し、且つ、少なくとも一箇所において芳香族環とカルボキシ基の間及び/又はカルボキシ基を有する芳香族環の間が、非芳香族基を介して連結した構造を有しているものであれば、第二の芳香族ジカルボン酸の全体的構造として上記のような構造を有していてもよいし、部分的に上記のような構造を有していてもよい。
第二の芳香族ジカルボン酸において、カルボキシ基を有する芳香族環は、特に限定されるものではなく、例えば、環内ヘテロ原子を含んでいてもよいし、2つ以上の芳香族環が縮合した構造を有していてもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、カルボキシ基以外の置換基を有していてもよい。好ましくは、単環構造を有するものであり、中でもベンゼン環が好ましい。第二の芳香族ジカルボン酸が、1つ以上のカルボキシ基を有する2つ以上の芳香族環を有する場合、これら芳香族環は、それぞれ異なってもよいし同一でもよい。
また、非芳香族基は、芳香族環を含まず、当該非芳香族基を含む主鎖骨格に柔軟性を付与することが可能な基であれば、特に限定されるものではなく、例えば、直鎖状又は分岐鎖を有していてもよいし、ヘテロ原子をふくんでいてもよいし、不飽和結合を含んでいてもよい。好ましくは、ヘテロ原子を含んでいても良い炭素数1〜6の炭化水素基、S、O、SO2、CO等である。
第二の芳香族ジカルボン酸は、上述したような少なくとも1箇所において、非芳香族環を介する連結構造を有するものであるが、第二の繰り返し単位により形成される主鎖骨格の柔軟性の点からは、本発明のポリベンゾイミダゾールの主鎖骨格に含まれる第二の芳香族ジカルボン酸に由来する部分1モルにつき平均2箇所以上に、非芳香族基が介在することが好ましい。
第二の芳香族ジカルボン酸は、上述したような少なくとも1箇所において、非芳香族環を介する連結構造を有するものであるが、第二の繰り返し単位により形成される主鎖骨格の柔軟性の点からは、本発明のポリベンゾイミダゾールの主鎖骨格に含まれる第二の芳香族ジカルボン酸に由来する部分1モルにつき平均2箇所以上に、非芳香族基が介在することが好ましい。
第二の芳香族ジカルボン酸の反応性誘導体としては、2つ以上のアミノ基を有するジアミン化合物又はその反応性誘導体と反応し、ポリベンズイミダゾールを構成する繰り返し単位を形成することが可能なものであれば、特に限定されない。例えば、第二の芳香族ジカルボン酸のカルボキシ基の水素原子が置換した塩やエステル、カルボキシ基の水酸基が置換した各種のアシル化合物、酸アミド、酸無水物などが挙げられる。
第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体としては、下記式(2)で表される少なくとも1種であることが好ましい。
式(2)中、各符号は以下の意味で用いられる。
R2は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、O、S、SO2、CO又は単結合のいずれかである。但し、R3、R4及びR5の少なくとも1つは単結合以外の基である。pは、0又は1の数である。
Y2は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。mは、それぞれ独立して、ベンゼン環に結合するY2の数を示す0〜4の数であり、Y2が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
R2は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、O、S、SO2、CO又は単結合のいずれかである。但し、R3、R4及びR5の少なくとも1つは単結合以外の基である。pは、0又は1の数である。
Y2は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。mは、それぞれ独立して、ベンゼン環に結合するY2の数を示す0〜4の数であり、Y2が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
式(2)中、R2は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基としては、特に限定されず、例えば、不飽和結合を含んでいてもよいし、直鎖状であっても分岐鎖を有していてもよい。また、脂環式構造を含んでいてもよい。好ましい炭素数1〜6の炭化水素基としては、飽和アルキル基が挙げられ、特に炭素数1〜2の飽和アルキル基が好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基としては、特に限定されず、例えば、複数の芳香族環が縮合又は連結した構造を有していてもよいし、環内にヘテロ原子を含む構造であってもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、置換基を有していてもよい。好ましい炭素数4〜10の芳香族基としては、単環構造を有するものが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。R2は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、フェニル基のいずれかであることが好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基としては、特に限定されず、例えば、複数の芳香族環が縮合又は連結した構造を有していてもよいし、環内にヘテロ原子を含む構造であってもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、置換基を有していてもよい。好ましい炭素数4〜10の芳香族基としては、単環構造を有するものが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。R2は、それぞれ独立して、H、メチル基、エチル基、フェニル基のいずれかであることが好ましい。
R3、R4及びR5は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、O、S、SO2、CO又は単結合のいずれかである。R5、R6及びR7は、これらの少なくとも1つが単結合以外の基であれば、残りの2つの基(p=1の場合)、又は残りの1つの基(p=0の場合)が単結合であってもよいものであるが、主鎖に付与される柔軟性の観点から、R5、R6及びR7のうちの2つ以上が単結合以外の基であることが好ましく、特に3つ全てが単結合以外の基であることが好ましい。ここで、炭素数1〜6の炭化水素基としては、主鎖骨格に柔軟性を付与できるものであれば、特に限定されず、例えば、不飽和結合を含んでいてもよいし、直鎖状であっても分岐鎖を有していてもよい。また、脂環式構造を含んでいてもよい。好ましい炭素数1〜6の炭化水素基としては、飽和アルキレン基が挙げられ、特に炭素数1〜2の飽和アルキレン基が好ましい。R3、R4及びR5としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、O、S、SO2、COのいずれかであることが好ましい。
第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体のベンゼン環が有する置換基Y2は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかであり、また、Y1自体があってもなくてもよい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基としては、特に限定されず、例えば、不飽和結合を含んでいてもよいし、直鎖状であっても分岐鎖を有していてもよい。また、脂環式構造を含んでいてもよい。好ましい炭素数1〜6の炭化水素基としては、飽和アルキル基が挙げられ、特に炭素数1〜2の飽和アルキル基が好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基としては、特に限定されず、例えば、不飽和結合を含んでいてもよいし、直鎖状であっても分岐鎖を有していてもよい。また、脂環式構造を含んでいてもよい。好ましい炭素数1〜6の炭化水素基としては、飽和アルキル基が挙げられ、特に炭素数1〜2の飽和アルキル基が好ましい。
ハロゲンとしては、F、Cl、Br又はIのいずれかであることが好ましい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基としては、特に限定されず、例えば、複数の芳香族環が縮合又は連結した構造を有していてもよいし、環内にヘテロ原子を含む構造であってもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、置換基を有していてもよい。好ましい炭素数4〜10の芳香族基としては、単環構造を有するものが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
Y2が存在する場合は、メチル基、エチル基、フェニル基、F、Cl、Br又はIのいずれかであることが好ましい。また、複数のY2が存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基としては、特に限定されず、例えば、複数の芳香族環が縮合又は連結した構造を有していてもよいし、環内にヘテロ原子を含む構造であってもよい。また、芳香族環に脂環式構造が縮合していてもよいし、置換基を有していてもよい。好ましい炭素数4〜10の芳香族基としては、単環構造を有するものが挙げられ、特にフェニル基が好ましい。
Y2が存在する場合は、メチル基、エチル基、フェニル基、F、Cl、Br又はIのいずれかであることが好ましい。また、複数のY2が存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。
第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体としては、具体的には、例えば、m−フェニレン二酢酸、o−フェニレン二酢酸、p−フェニレン二酢酸、m−フェニレン二酢酸メチル、m−フェニレン二酢酸エチル等が挙げられ、中でも、m−フェニレン二酢酸が好ましい。
本発明において、第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体並びに第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体は、それぞれ、1種類のみを用いてもよいし、或いは、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる、アミノ基を2つ以上有するジアミン化合物としては、特に限定されるものではないが、1分子中に、アミノ基を4つ有する化合物、すなわち、テトラミンが好ましく、得られる繰り返し単位の剛直性の観点から、特に芳香族テトラミンが好ましい。芳香族テトラミンとしては、例えば、1,2,4,5−テトラアミノベンゼン、3,3'−ジアミノベンジジン、3,3',4,4'−テトラアミノジフェニルエーテル、3,3',4,4'−テトラアミノジフェニルチオエーテル、3,3',4,4'−テトラアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)プロパン、ビス(3,4−ジアミノフェニル)メタン、2,2−ビス(3,4−ジアミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3,4−ジアミノフェノキシ)ベンゼン等が挙げられる。
これらのうち、得られる繰り返し単位の剛直性が高く、ポリベンゾイミダゾールの機械的強度を高く保つことができる観点から、3,3'−ジアミノベンジジン及びこれらの反応性誘導体が特に好ましい。
ジアミン化合物の反応性誘導体としては、第一及び第二の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体と反応し、ポリベンズイミダゾールを構成する繰り返し単位を形成することが可能なものであれば、特に限定されない。例えば、N−アシル誘導体等が挙げられる。
ジアミン化合物又はその反応性誘導体は、1種類を単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
ジアミン化合物又はその反応性誘導体は、1種類を単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
以上のように、本発明において使用するPBIは、少なくとも、ジアミン化合物又はその反応性誘導体と、2種類以上のジカルボン酸より合成されることを特徴とするものであり、第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体に由来し、剛直性を有する第一の繰り返し単位と、第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体に由来し、柔軟性を有する第二の繰り返し単位とが重合したものである。
従来、燃料電池用電解質膜に用いられてきたPBIは、剛直性が高い繰り返し単位のみからなるものや、柔軟性を有する繰り返し単位のみからなるものであったため、機械的強度は高いものの、燃料電池用電解質膜として充分な量のプロトン伝導性化合物をドープすることができなかったり、充分な量のプロトン伝導性化合物をドープすることはできるものの、機械的強度が著しく低下してしまうものであった。
従来、燃料電池用電解質膜に用いられてきたPBIは、剛直性が高い繰り返し単位のみからなるものや、柔軟性を有する繰り返し単位のみからなるものであったため、機械的強度は高いものの、燃料電池用電解質膜として充分な量のプロトン伝導性化合物をドープすることができなかったり、充分な量のプロトン伝導性化合物をドープすることはできるものの、機械的強度が著しく低下してしまうものであった。
これに対し、本発明では、上述したように、剛直性を有する第一の繰り返し単位と、柔軟性を有する第二の繰り返し単位を有するポリベンゾイミダゾールを用いるため、燃料電池用電解質材料として充分な量のプロトン伝導性化合物をドープすることが可能であると同時に、プロトン伝導性化合物をドープすることに伴う機械的強度の低下を抑制することができる。本発明において使用するPBIは、従来のPBIでは膜材料として必要な強度を保持できないほどに多量のプロトン伝導性化合物を保持しても、充分な膜強度を保持することが可能である。
ここで、第一の芳香族ジカルボン酸としてイソフタル酸、第二の芳香族ジカルボン酸としてm−フェニレン二酢酸、ジアミン化合物として3,3'−ジアミノベンジジンを用いた場合に得られるPBI(以下、PBI(I)という)を例に、本発明に用いるPBIを詳しく説明する。
PBI(I)は、イソフタル酸及び3,3’−ジアミノベンジジンに由来する第一の繰り返し単位(式3)と、m−フェニレン二酢酸及び3,3’−ジアミノベンジジンに由来する第二の繰り返し単位(式4)とを含む。式(3)で表される第一の繰り返し単位は、主鎖骨格が芳香環のみより形成されおり、強い剛直性を有する。この剛直性を有するベンゾイミダゾール単位によって、PBI(I)の機械的強度が保持される。一方、式(4)で表される第二の繰り返し単位は、主鎖骨格に2つのメチレン基を有しており、柔軟性を有する。この第二の繰り返し単位により柔軟性が付与されたPBI(I)は、プロトン伝導性化合物の吸着性が向上し、高いプロトン伝導性を示す固体電解質材料とすることができる。
このように、本発明において使用するPBIは、機械的強度を保持しつつ、プロトン伝導性化合物のドープ量を向上させることが可能であり、このようなPBIにプロトン伝導性化合物をドープさせてなる本発明の固体電解質材料は、高いプロトン伝導性と適度な膜強度とが両立した優れた電解質材料である。
ジアミン化合物と、第一の芳香族ジカルボン酸及び/又はその反応性誘導体と、第二の芳香族ジカルボン酸及び/又はその反応性誘導体とを用いて、ポリベンズイミダゾールを合成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリリン酸を溶媒とする脱水・環化重合により合成することができる。また、ポリリン酸のかわりにメタンスルホン酸/五酸化リン混合溶媒系を用いた同様の機構による重合を適用することもできる。
また、本発明で用いられるPBIは、各繰返し単位同士の重合形式が特に限定されず、ランダム重合、交互重合、ブロック重合のいずれでもよく、また、これら複数の重合形式を組み合わせてもよい。
PBI中の各繰り返し単位の割合は、第一及び第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の仕込み量によって調節することができ、通常、第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体:第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体=10〜90モル%:90〜10モル%、好ましくは30〜70モル%:70〜30モル%程度とする。各芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の仕込み量が10モル%より小さい場合、ポリベンゾイミダゾールの剛直性又は柔軟性が不十分となり、機械的強度とプロトン伝導性化合物のドープ量とが両立したPBIが得られにくい。
PBI中の各繰り返し単位の割合は、第一及び第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の仕込み量によって調節することができ、通常、第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体:第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体=10〜90モル%:90〜10モル%、好ましくは30〜70モル%:70〜30モル%程度とする。各芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体の仕込み量が10モル%より小さい場合、ポリベンゾイミダゾールの剛直性又は柔軟性が不十分となり、機械的強度とプロトン伝導性化合物のドープ量とが両立したPBIが得られにくい。
尚、本発明において用いるPBIは、本発明の効果を損なわない限り、第一の繰り返し単位及び第二の繰り返し単位以外の繰り返し単位を含んでいても良い。この場合、第一の繰り返し単位と第二の繰り返し単位の合計が、全繰り返し単位の70〜100モル%程度となるようにすることが好ましい。
PBIの分子量は、特に限定されるものではないが、1,000以上であることが好ましく、3,000以上であればより好ましい。また、この分子量は1,000,000以下であることが好ましい。この分子量が1,000未満の場合、或いは、1,000,000を超える場合、成膜性が低下してしまい、膜を形成することが困難になるおそれがある。ここで、PBI分子量は、実質的には濃硫酸中で測定した場合の対数粘度で評価することができる。
本発明の固体電解質材料は、以上のようなPBIを、通常、膜状に成形したもの(以下、PBI膜という)にプロトン伝導性化合物をドープしてなるものである。本発明の固体電解質材料は、上記した複数の芳香族ジカルボン酸及び/又はその反応性誘導体より合成されるPBIの他、その他のPBI等の高分子化合物を含有してしてもよいが、上記した複数の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体より合成されるPBIの含有量を70〜100重量%程度、好ましくは90〜100重量%程度とする。また、必要に応じて、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、架橋剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
上述のPBI、及び必要に応じてその他の成分を用いて、PBI膜を製造する方法は特に限定されるものではないので、一般的に用いられている方法によって製造すればよく、例えば、PBI及び必要に応じてその他の成分を、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホンアミド、ベンジルアルコール等の溶媒、又はこれらの混合液に溶解し、得られた溶液を基板上に塗布又は流延し、乾燥することによって、PBIを膜状に成形することができる。PBI膜の膜厚は、膜の機械的強度や、燃料電池用電解質膜として用いた場合の燃料及び酸化剤の透過性等を考慮して決定すればよく、通常10〜200μm程度、好ましくは30〜100μm程度とする。
プロトン伝導性化合物をPBI膜にドープさせる方法は、特に限定されるものではなく、PBI膜に酸性化合物等のプロトン伝導性化合物を接触させればよい。典型的には、PBI膜をプロトン伝導性化合物を含む溶液に浸漬する方法(浸漬法)が挙げられる。また、プロトン伝導性化合物を含む溶液を塗布する方法(塗布法)でもよい。
プロトン伝導性化合物としては、例えば、酸性化合物、特に、硫酸、リン酸、塩酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の強酸が挙げられる。強酸の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は、PBI膜の塩基性部位へのドープ力が強く、また、高温条件下でも安定且つ優れたプロトン伝導性を発現するからである。
プロトン伝導性化合物としては、例えば、酸性化合物、特に、硫酸、リン酸、塩酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の強酸が挙げられる。強酸の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は、PBI膜の塩基性部位へのドープ力が強く、また、高温条件下でも安定且つ優れたプロトン伝導性を発現するからである。
これらのプロトン伝導性化合物を含む溶液(ドープ溶液)は、上記したようなプロトン伝導性化合物を、例えば、水、メタノール、エタノール、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等の溶剤に溶解させたものを用いることができる。ドープ溶液中のプロトン伝導性化合物濃度は、使用する酸性化合物等のプロトン伝導性化合物やプロトン伝導性化合物をドープさせるPBI膜等によって異なってくるが、30〜85vol%程度とすることが好ましい。プロトン伝導性化合物濃度が30vol%より小さいドープ溶液では、プロトン伝導性化合物のPBI膜へのドープ量が小さく、充分なプロトン伝導性を有する電解質膜が得られないおそれがある。一方、プロトン伝導性化合物濃度が85vol%より大きいドープ溶液では、膜自体がこの溶液に溶解してしまったり、酸性化合物分子の分散性が低いため、PBI膜に酸性化合物が吸着しにくい場合がある。
浸漬法では、PBI膜を、通常、室温(約20〜25℃)で、プロトン伝導性化合物を含む溶液中に24〜72時間程度浸漬し、メタノール等で洗浄、その後50〜80℃程度で乾燥すればよく、適宜最適な条件に設定することができる。乾燥工程後、加熱処理を行ってもよい。
以上のようにして得られる本発明の固体電解質材料は、プロトン伝導性化合物のドープ量が多く、プロトン伝導性に優れるものである。また、多くのプロトン伝導性化合物をドープしていることから、低温条件下(例えば60℃以下)においても、プロトン伝導性を保持することが可能である。しかも、本発明の固体電解質材料は、PBIにプロトン伝導性化合物をドープさせたものであり、プロトン伝導性が固体電解質材料の水分量に依存しないので、水分管理を要せず、無加湿下においても高いプロトン伝導性を発現する。よって、固体電解質材料に水分を保持しにくい高温条件下(例えば100℃以上)においてもプロトン伝導性を発現することができる。
また、高い機械的強度を有しているため、高温条件下においても形状(膜形状)を保つことができる。さらに、PBIを用いているため、耐熱性にも優れる。
従って、本発明の固体電解質材料は、低温から高温領域にわたる広い温度範囲において使用することが可能であり、高いプロトン伝導性を示すものであり、燃料電池用電解質膜の材料として好適に用いることができる。
また、無加湿下でも運転可能であることから、メタノール等のアルコール透過性が低く、直接メタノール型燃料電池の電解質膜としても好適である。
従って、本発明の固体電解質材料は、低温から高温領域にわたる広い温度範囲において使用することが可能であり、高いプロトン伝導性を示すものであり、燃料電池用電解質膜の材料として好適に用いることができる。
また、無加湿下でも運転可能であることから、メタノール等のアルコール透過性が低く、直接メタノール型燃料電池の電解質膜としても好適である。
本発明の固体電解質材料は、代表的には燃料電池用電解質膜の材料として用いられるが、その他の分野においても利用可能である。燃料電池用電解質膜として用いる場合には、一般的な固体高分子電解質膜のように、通常、その両面に触媒層とガス拡散層とからなる電極により挟持して、膜−電極接合体とすることができる。この膜−電極接合体は、さらにその外側に、燃料及び酸化剤流路が画成されたセパレータを設けることによって燃料電池用セルとし、燃料電池を構成することができる。
燃料としては、水素ガスや水素を発生させるガス等のガス状燃料、及びメタノール等のアルコール水溶液等の液体状燃料を用いることができ、酸化剤としては、空気等の酸素を含むガス状酸化剤を用いることができる。
燃料としては、水素ガスや水素を発生させるガス等のガス状燃料、及びメタノール等のアルコール水溶液等の液体状燃料を用いることができ、酸化剤としては、空気等の酸素を含むガス状酸化剤を用いることができる。
[固体電解質材料の作製]
(実施例)
まず、攪拌機、窒素導入管、塩化カルシウム管を取り付けた300ml4つ口フラスコに、ポリリン酸200gを入れ、120℃に加熱し、一晩攪拌した。ここに、3,3’−ジアミノベンジジン1.61g(7.5mmol)をゆっくりと加えた後、2時間攪拌した。得られた茶褐色溶液に、m−フェニレン二酢酸0.72g(3.75mmol)、イソフタル酸0.623g(3.75mmol)を加え、170℃までゆっくりと加熱しながら攪拌し、20時間保持した。さらに、220℃に加熱し、2時間加熱・攪拌した。得られた反応溶液を冷却し、精製水中に再沈殿し、得られたポリマーを濾過後、5wt%炭酸水素カリウム水溶液中で一晩攪拌した。これを濾過後、精製水を取り替えながらポリマーが中性になるまで洗浄した後回収し、減圧乾燥を行った。尚、3,3’−ジアミノベンジジン、イソフタル酸、m−フェニレン二酢酸(和光純薬品工業製)は、精製したものを用いた。
得られたポリマーを、再度5wt%水酸化カリウム水溶液中で一晩攪拌した。これを濾過した後、精製水を取り替えながら、3日間洗浄を行った。さらに、これを濾過し、50℃で一晩攪拌させることにより、PBIを得た。
(実施例)
まず、攪拌機、窒素導入管、塩化カルシウム管を取り付けた300ml4つ口フラスコに、ポリリン酸200gを入れ、120℃に加熱し、一晩攪拌した。ここに、3,3’−ジアミノベンジジン1.61g(7.5mmol)をゆっくりと加えた後、2時間攪拌した。得られた茶褐色溶液に、m−フェニレン二酢酸0.72g(3.75mmol)、イソフタル酸0.623g(3.75mmol)を加え、170℃までゆっくりと加熱しながら攪拌し、20時間保持した。さらに、220℃に加熱し、2時間加熱・攪拌した。得られた反応溶液を冷却し、精製水中に再沈殿し、得られたポリマーを濾過後、5wt%炭酸水素カリウム水溶液中で一晩攪拌した。これを濾過後、精製水を取り替えながらポリマーが中性になるまで洗浄した後回収し、減圧乾燥を行った。尚、3,3’−ジアミノベンジジン、イソフタル酸、m−フェニレン二酢酸(和光純薬品工業製)は、精製したものを用いた。
得られたポリマーを、再度5wt%水酸化カリウム水溶液中で一晩攪拌した。これを濾過した後、精製水を取り替えながら、3日間洗浄を行った。さらに、これを濾過し、50℃で一晩攪拌させることにより、PBIを得た。
得られたPBIのN−メチルピロリドン(NMP)5wt%溶液を作製し、不溶分を濾過により取り除いた。得られた濾液をガラス板上に流延し、80℃で24時間乾燥し、さらに5時間精製水で煮沸洗浄を行うことにより、PBI膜を得た。
得られたPBI膜を60vol%のリン酸/メタノール溶液中に72時間浸漬させた。この膜をメタノールで洗浄し、余分なリン酸を洗い流し、常圧下40℃で1時間乾燥した。その後、45℃で24時間減圧乾燥し、常圧下120℃で1時間加熱処理することにより、PBI膜とリン酸とを複合化し、膜状の固体電解質材料(固体電解質材料膜)を得た。
(比較例)
上記実施例において、m−フェニレン二酢酸を加えない以外は、同様の方法でPBIを合成し、固体電解質材料膜を作製した。
上記実施例において、m−フェニレン二酢酸を加えない以外は、同様の方法でPBIを合成し、固体電解質材料膜を作製した。
[固体電解質材料膜の評価]
(1)リン酸ドープ量の算出
以下の式に従い、実施例及び比較例で得られた固体電解質材料膜のリン酸ドープ量を算出した。
(1)リン酸ドープ量の算出
以下の式に従い、実施例及び比較例で得られた固体電解質材料膜のリン酸ドープ量を算出した。
実施例で得られた固体電解質材料膜のリン酸ドープ量は139wt%、比較例で得られた固体電解質材料膜のリン酸ドープ量は112wt%であった。
(2)引張り試験
室温(約25℃)、乾燥状態(湿度約50%)の下、JIS K7127に準じ、ダンベル型の試験片を用いて、実施例及び比較例で得られた固体電解質材料膜の引張強度、破断伸度、引張弾性率を測定した。
室温(約25℃)、乾燥状態(湿度約50%)の下、JIS K7127に準じ、ダンベル型の試験片を用いて、実施例及び比較例で得られた固体電解質材料膜の引張強度、破断伸度、引張弾性率を測定した。
結果を表1に示す。表1からわかるように、実施例の固体電解質材料膜は、比較例の固体電解質材料膜と比較して、高い引張弾性率を有し、外力に対する変形量は小さいが、引張り強度及び破断伸度が小さかった。しかしながら、燃料電池用電解質膜として要求される機械的強度を充分に有していた。
リン酸ドープ量の算出及び引張試験の結果より、実施例の固体電解質材料膜は、膜の機械的強度を保ちつつ、リン酸ドープ量の増加が可能であることがわかる。
リン酸ドープ量の算出及び引張試験の結果より、実施例の固体電解質材料膜は、膜の機械的強度を保ちつつ、リン酸ドープ量の増加が可能であることがわかる。
(3)プロトン伝導度測定
実施例及び比較例で得られた固体電解質材料膜について、大気環境下、所定温度(100〜160℃)に設定した恒温槽内で、インピーダンスアナライザー(横河ヒューレットパッカード(株)製、YHP4192A)を用いて750mVで複素インピーダンス測定を行い、コール−コールプロットにより直流成分を読取ってプロトン伝導度を算出した。結果を図1に示す。
実施例及び比較例で得られた固体電解質材料膜について、大気環境下、所定温度(100〜160℃)に設定した恒温槽内で、インピーダンスアナライザー(横河ヒューレットパッカード(株)製、YHP4192A)を用いて750mVで複素インピーダンス測定を行い、コール−コールプロットにより直流成分を読取ってプロトン伝導度を算出した。結果を図1に示す。
図1に示すように、実施例の固体電解質材料膜は、比較例の固体電解質材料膜と比較して、全測定温度範囲において高いプロトン伝導度を示し、また、低温域におけるプロトン伝導性の低下の度合いが小さく、安定したプロトン伝導性を示した。
Claims (7)
- 少なくとも、アミノ基を2つ以上有するジアミン化合物又はその反応性誘導体と、同じ芳香族環に2つ以上のカルボキシ基が直接結合した第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、1つ又は2つ以上の芳香族環及び当該芳香族環に結合した2つ以上のカルボキシ基を有し、且つ、少なくとも一箇所において芳香族環とカルボキシ基の間及び/又はカルボキシ基を有する芳香族環の間が、非芳香族基を介して連結した第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体と、から合成されるポリベンズイミダゾールに、プロトン伝導性化合物をドープしてなる固体電解質材料。
- 前記第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体は、下記式(1)で表される少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の固体電解質材料。
R1は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
Y1は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。nは、ベンゼン環に結合するY1の数を示す0〜4の数であり、Y1が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。 - 前記第一の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体が、少なくともイソフタル酸、その塩及びそのエステルから選ばれる、請求項2に記載の固体電解質材料。
- 前記第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体は、下記式(2)で表される少なくとも1種の化合物である、請求項1乃至3のいずれかに記載の固体電解質材料。
R2は、それぞれ独立して、H、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基のいずれかである。
R3、R4及びR5は、それぞれ独立して、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、O、S、SO2、CO又は単結合のいずれかである。但し、R3、R4及びR5の少なくとも1つは、単結合以外の基である。pは、0又は1の数である。
Y2は、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数1〜6の炭化水素基、ヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数4〜10の芳香族基、又はハロゲン(F,Cl,Br,I)のいずれかである。mは、それぞれ独立して、ベンゼン環に結合するY2の数を示す0〜4の数であり、Y2が複数存在する場合には、互いに異なっていても同一でもよい。 - 前記第二の芳香族ジカルボン酸又はその反応性誘導体として、少なくともフェニレン二酢酸を含む請求項4に記載の固体電解質材料。
- 固体電解質膜の両面に一対の電極を有する膜−電極接合体であって、前記固体電解質膜が、請求項1乃至5のいずれかに記載の固体電解質材料を含む、膜−電極接合体。
- 請求項6に記載の膜−電極接合体を有する燃料電池。
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