JP2013099955A - 記録装置、記録装置の制御方法及び制御プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】記録媒体が表面にリリースコート層又はオーバーコート層を備え、この記録媒体がサーマルヘッドに接した状態で放置された場合に、この放置された条件に応じて記録媒体の表面をサーマルヘッドから所定量移動させる動作パターンを設定し、この設定した動作パターンで搬送制御する。
【選択図】図8
Description
従来、これを回避するために、待機時に一定の時間経過後、プラテンローラを正転、逆転、正転の順に回転して感熱紙の完全密着を防止するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。すなわち、この特許文献1では、長時間の圧接を原因とした感熱紙とサーマルヘッドの圧着、及び、高温環境で生じる溶着及び低温環境で生じる氷着を原因とした感熱紙とサーマルヘッドの密着が生じる前に、プラテンローラを回転することで密着を防止するようにしている。
しかし、このライナーレスラベルロール紙は、表面にリリースコート層を有し、裏面に糊面を有し、このリリースコート層の上に糊面を重ねてロール状に巻いているため、リリースコート層に糊が付着し、糊が付着したままサーマルヘッドへと搬送され、サーマルヘッドに直ぐに貼り付いてしまう。この貼り付いた状態が発生すると、紙送り不良が発生し、印字紙送りの起動時のピッチ乱れや紙走行不良を招いてしまう。
また、ライナーレスラベルに限らず、表面保護のためのオーバーコート層を設けた場合にも、直ぐにサーマルヘッドのヘッド表面に貼り付いて同様の問題が生じる場合があった。
この構成によれば、記録媒体が表面にリリースコート層又はオーバーコート層を備え、この記録媒体がサーマルヘッドに接した状態で放置された場合に、この放置された条件に応じて記録媒体の表面をサーマルヘッドから所定量移動させて引き剥がす動作パターンを設定し、この設定した動作パターンで搬送部を制御する制御部を備えるので、記録媒体の表面とサーマルヘッドとの貼り付きが生じても、記録媒体の表面をサーマルヘッドから確実に引き剥がすことができ、この貼り付きによる送り不良を回避することができる。
また、上記構成において、前記制御部は、前記記録媒体と前記サーマルヘッドとの貼り付き強度に影響を与える影響情報を取得し、この影響情報に基づいて前記動作パターンを設定してもよい。この構成によれば、無駄な動作を回避した動作パターンを設定でき、騒音防止、省電力が可能になる。この場合、前記制御部は、前記影響情報に基づいて前記搬送部の動作時間間隔、逆送り中及び正送り中の間欠動作の有無或いは回数の少なくともいずれかを設定することが好ましい。また、前記影響情報は、温度又は湿度の少なくともいずれかに設定することが好ましい。
また、本発明は、記録媒体を搬送する搬送部と、この搬送部によって搬送される記録媒体に画像を記録するサーマルヘッドとを備える記録装置の制御方法において、表面にリリースコート層又はオーバーコート層を備える記録媒体が前記サーマルヘッドに接した状態で放置された場合に、この放置された条件に応じて前記記録媒体の表面を前記サーマルヘッドから所定量移動させる動作パターンを設定し、この設定した動作パターンで前記搬送部を制御することを特徴とする。この構成によれば、記録媒体の表面とサーマルヘッドとの貼り付きが生じても、記録媒体の表面をサーマルヘッドから確実に引き剥がすことができ、この貼り付きによる送り不良を回避することができる。
図1は、本発明を適用した実施形態に係るサーマルプリンタの外観図であり、図2はこのサーマルプリンタの内部構造を示す図である。
このサーマルプリンタ1は、長尺のライナーレスラベルをロール状に巻回したライナーレスラベルロール紙(以下、ロール紙という)20(図2参照)を記録媒体とし、サーマルヘッド35(図2参照)により文字を含む画像を感熱記録するダイレクトサーマルプリンタである。また、このライナーレスラベルロール紙20に代えて通常のロール紙(糊面を備えないロール紙)を装填することによって、通常のロール紙にも感熱記録が可能に構成されている。
プラテンローラ34は、プリンタ本体11の幅方向に延在してカバーフレーム13に支持されている。このため、カバーフレーム13を開くとプラテンローラ34がカバーフレーム13と一体的に上方へ移動し、ロール紙20の装填/取り外し時にプラテンローラ34が邪魔にならず、装填/取り外し作業を容易に行うことができる。
また、このプラテンローラ34の軸の一端には、図示せぬ歯車が設けられており、本体フレーム12には、カバーフレーム13を閉じたときにその歯車に噛み合う歯車伝達機構(不図示)と後述する搬送モータ43とが設けられている。プラテンローラ34には、搬送モータ43の駆動力が歯車伝達機構を介して伝達され、このプラテンローラ34の回転によりライナーレスラベル25が搬送される。
オートカッタ機構36は、固定刃37と可動刃38とを備え、固定刃37は、カバーフレーム13に取り付けられ、可動刃38は、ライナーレスラベル25と直交する方向に進退可能に本体フレーム12に取り付けられる。カバーフレーム13を閉じたときに、固定刃37と可動刃38とはロール紙20の搬送路を挟んで対向配置され、可動刃駆動部(不図示)によって可動刃38が駆動されると、可動刃38が固定刃37に交差し、ライナーレスラベル25を切断する。
このサーマルプリンタ1は、ホストコンピュータ(図示略)との間で印刷ジョブ毎の印刷データ等の各種データを通信するためのインタフェース(I/F)41と、プリンタ1の各部を制御するコントローラ(制御部)42と、プラテンローラ34を回転駆動するための搬送モータ43と、コントローラ42の制御に従ってサーマルヘッド35、搬送モータ43及びオートカッタ機構36の各々を駆動する駆動回路を備えた駆動部(搬送部)44と、サーマルヘッド35の温度を検出するサーミスタ(温度検出部)46とを備えている。
また、コントローラ42は、記録媒体がライナーレスラベルロール紙20か通常のロール紙かに応じて動作モードを切り換えるための入力スイッチ(入力SW)42Aを備えている。この入力スイッチ42Aには、ディップスイッチ等のハードウェアスイッチ、或いは、メモリスイッチ(ソフトウェアスイッチ)が適用され、コントローラ42は、この入力スイッチ42Aの状態に応じて動作モードの切り換えを行う。つまり、ライナーレスラベルロール紙20の動作モードの場合、このロール紙が後述するようにオーバーコート層を備えるため、その分、通常のロール紙の場合よりもヘッドエネルギーを多く制御し、かつ、記録速度を遅くする動作モードに切り換える。
すなわち、このライナーレスラベル25は、記録面の表面層が、糊面25Eを剥離可能なリリースコート層25Dに形成され、このリリースコート層25Dの上に裏面の糊面25Eを台紙無しで重ねてロール状に巻くことによりライナーレスラベルロール紙20にすることができる。
このような貼り付きは、ライナーレスラベル25の糊面25Eとプラテンローラ34との間でも発生すると考えられるが、この点について発明者等が調査したところ、ライナーレスラベル25とプラテンローラ34との間の貼り付き力は、プラテンローラ34の材質を選定することによって、ライナーレスラベル25とサーマルヘッド35との間の貼り付き力よりもずっと小さいものであり、ライナーレスラベル25とサーマルヘッド35との間の貼り付きが問題になることが判った。
この図に示すように、同じ時間tだけ経過した場合に、温度が高いほど貼り付き強度Gが高く、逆に温度が低いほど貼り付き強度Gが低くなることが明らかであった。また、この図には、通常の搬送力だけでライナーレスラベル25をサーマルヘッド35から引き剥がし可能な貼り付き強度Gの上限値G0を示している。
すなわち、図6によれば、特性曲線f1で示す高温条件の場合、貼り付き強度Gが上限値G0以下となる放置時間tA未満であれば、ライナーレスラベル25をサーマルヘッド35から確実に引き剥がすことができる。同様に、特性曲線f2で示す標準温度条件の場合、貼り付き強度Gが放置時間tB(>tA)未満であれば、確実に引き剥がすことができ、特性曲線f3で示す低温条件の場合、貼り付き強度Gが放置時間tC(>tB)未満であれば、確実に引き剥がすことができる。
ここで、上述したようにサーマルプリンタ1は、ヘッド温度測定用のサーミスタ46を備えている。本実施形態では、このサーミスタ46が、サーマルヘッド35が発熱していない状態、つまり、ヘッド停止状態のときは環境温度を検出できることに着目し、このサーミスタ46の検出温度を環境温度として取得するようにしている。
さらに、逆送りの後に短時間で正送りを行うことによって、その送りの逆転時にライナーレスラベル25に瞬間的に大きな力を作用させることができ、より引き剥がし易くできる。
図7(A)は、逆送りを、立ち下がり期間Rの間、継続した後、正送りを、立ち上がり期間Fの間、継続して行う基本動作パターンを示している。この基本動作パターンでは、立ち下がり期間Rと立ち上がり期間Fが同時間であり、送り動作前の元の位置に戻すようにしている。
また、図7(B)は、逆送り中と正送り中に間欠停止を一回ずつ行う動作パターンを示しており、図7(C)は、逆送り中に間欠停止を2回行う動作パターンを示している。このように間欠停止を行えば、同方向の送り動作を間欠的に行うことができ、より引き剥がし易くできると考えられる。また、この送り動作を行った場合にでも、1回目で引き剥がされない可能性も考えられるため、立ち下がり期間Rと立ち上がり期間Fとを同期間にしなくてもよく、例えば、トータルの正送り時間(立ち上がり期間F)を、逆送り時間より長く設定することで、前回の印字終了位置よりも確実に正送りした位置から印字開始できるようにしてもよい。
例えば、放置時間が40分の場合、この40分より若干短い時間(例えば30分)を動作時間間隔に設定すれば、引き剥がし可能の範囲で動作回数を減らすことができ、その分、騒音防止、省電力が可能になる。このようにして設定した動作時間間隔は、コントローラ42が環境温度から特定できるように、環境温度と動作時間間隔とを対応付けたテーブル、或いは、環境温度から動作時間間隔を演算する演算式の情報として、ROM等のメモリに格納される。
まず、コントローラ42は、入力スイッチ42Aの状態に応じてライナーレスラベルロール紙20の動作モードか否かを判定し(ステップS1)、ライナーレスラベルロール紙20の動作モードの場合(ステップS1:YES)、紙入れ状態で放置が発生したか否かを判定する(ステップS2)。この紙入れ状態で放置が発生したか否かは、例えば、コントローラ42が印刷データの受信待ち時間を計測し、この計測値が閾値を超えた場合に放置が発生したと判定する。また、この場合の閾値は、貼り付き強度Gが上限値G0に至る時間よりも確実に短い時間に設定される。
そして、コントローラ42は、この設定した動作パターンで引き剥がし動作を開始させる(ステップS4)。この場合、コントローラ42は、紙入れ状態の放置が発生時点からの動作時間間隔の経過を待って、駆動部44により逆送り、正送りを行って搬送停止し、再び、動作時間間隔の経過を待って、駆動部44により逆送り、正送りを行って搬送停止する、といった間欠動作を実行する。
そして、放置が継続し、かつ、動作モードも変更されていない場合には(ステップS5:NO)、コントローラ42は、ステップS3の処理へ移行し、サーミスタ46の検出温度を再取得し、この取得した検出温度に応じた動作パターンを設定して引き剥がし動作を継続する。
一方、放置が解除された場合、又は、動作モードが変更された場合(ステップS5:YES)、コントローラ42は、引き剥がし動作を停止し(ステップS6)、この処理を終了する。なお、この処理は、サーマルプリンタ1のメイン電源がオンの場合に所定の周期で繰り返し実行され、紙入れ状態の放置が発生した場合にライナーレスラベル25をサーマルヘッド35から引き剥がす搬送制御が確実に実行されるようにしている。
これによれば、印刷開始時にライナーレスラベル25とサーマルヘッド35とが貼り付いても、印刷時の通常の搬送力でライナーレスラベル25をサーマルヘッド35から確実に引き剥がすことができ、かつ、この搬送制御を間欠的に行うので、貼り付き強度Gが上限値G0を超えない状態に保持できる。従って、印刷開始時の紙送り不良を回避でき、これを原因とした紙送り起動時のピッチ乱れや走行不良も回避できる。
しかも、逆送り、正送りの順で搬送させる動作パターンを設定するので、正送りから開始した場合にロール紙20からライナーレスラベル25が引き出されてそれがプリンタ1内に滞留してしまうといった不具合がなく、かつ、効率よく引き剥がすことができる。
また、本実施形態では、動作モードを切り換えるための入力スイッチ42Aの状態に基づきライナーレスラベルロール紙20の動作モードの場合にだけ、動作パターンの設定及び動作パターンに基づく搬送制御を行うようにしたので、サーマルヘッド35に貼り付かない通常のロール紙がセットされている場合に上記貼り付きを防止する制御を行ってしまう事態を確実に回避できる。
また、この種の影響情報に応じて変更する動作パターンのパラメータは、1)の動作時間間隔に限らず、他のパラメータ(2)逆送り、正送りの繰り返し実施回数、3)送り動作中の間欠動作の有無及び時間(何回に分割するか)、4)正送り、逆送りの各送り量)でもよい。
また、上記実施形態において、サーマルプリンタ1の電源投入直後も上記動作パターンを設定し、この動作パターンで搬送制御を行うようにしてもよい。これによっても、印刷開始前に貼り付きを外すことができる。
さらに、上記実施形態では、上記処理を実行するための制御プログラムをサーマルプリンタ1内に予め格納しておく場合について説明したが、この制御プログラムを磁気記録媒体、光記録媒体、半導体記録媒体等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納し、コンピュータが記録媒体からこの制御プログラムを読み取って実行するようにしてもよい。また、この制御プログラムを通信ネットワーク上の配信サーバ等からダウンロードできるようにしてもよい。
この構成によれば、記録媒体が表面にリリースコート層又はオーバーコート層を備え、この記録媒体がサーマルヘッドに接した状態で放置された場合に、記録媒体の表面とサーマルヘッドとの貼り付きが生じても、記録媒体の表面をサーマルヘッドから確実に引き剥がすことができ、この貼り付きによる送り不良を回避することができる。
Claims (8)
- 記録媒体を搬送する搬送部と、この搬送部によって搬送される記録媒体に画像を記録するサーマルヘッドとを備える記録装置において、
前記記録媒体が表面にリリースコート層又はオーバーコート層を備え、この記録媒体が前記サーマルヘッドに接した状態で放置された場合に、この放置された条件に応じて前記記録媒体の表面を前記サーマルヘッドから所定量移動させる動作パターンを設定し、この設定した動作パターンで前記搬送部を制御する制御部を備えることを特徴とする記録装置。 - 請求項1に記載の記録装置において、
前記制御部は、前記記録媒体を逆送り、正送りの順で搬送させる動作パターンを設定すること特徴とする記録装置。 - 請求項1又は2に記載の記録装置において、
前記制御部は、前記記録媒体と前記サーマルヘッドとの貼り付き強度に影響を与える影響情報を取得し、この影響情報に基づいて前記動作パターンを設定することを特徴とする記録装置。 - 請求項3に記載の記録装置において、
前記制御部は、前記影響情報に基づいて前記搬送部の動作時間間隔、逆送り中及び正送り中の間欠動作の有無或いは回数の少なくともいずれかを設定することを特徴とする記録装置。 - 請求項3又は4に記載の記録装置において、
前記影響情報は、温度又は湿度の少なくともいずれかであることを特徴とする記録装置。 - 請求項1乃至5のいずれかに記載の記録装置において、
前記記録媒体は、表面にリリースコート層を有し、裏面に粘着層を有したライナーレス紙であり、リリースコート層の上に粘着層を重ねた状態から引き出されて前記搬送部により搬送されることを特徴とする記録装置。 - 記録媒体を搬送する搬送部と、この搬送部によって搬送される記録媒体に画像を記録するサーマルヘッドとを備える記録装置の制御方法において、
表面にリリースコート層又はオーバーコート層を備える記録媒体が前記サーマルヘッドに接した状態で放置された場合に、この放置された条件に応じて前記記録媒体の表面を前記サーマルヘッドから所定量移動させる動作パターンを設定し、この設定した動作パターンで前記搬送部を制御することを特徴とする記録装置の制御方法。 - 記録媒体を搬送する搬送部と、この搬送部によって搬送される記録媒体に画像を記録するサーマルヘッドとを備える記録装置をコンピュータにより制御するための制御プログラムにおいて、
前記コンピュータを、表面にリリースコート層又はオーバーコート層を備える記録媒体が前記サーマルヘッド接した状態で放置された場合に、この放置された条件に応じて前記記録媒体の表面を前記サーマルヘッドから所定量移動させる動作パターンを設定し、この設定した動作パターンで前記搬送部を制御する制御部として機能させることを特徴とする制御プログラム。
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