JP2013091375A - 負圧式倍力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】乱流に起因する作動応答遅れや作動音の発生を抑制する。
【解決手段】負圧式倍力装置では、ハウジング10内を負圧室R1と変圧室R2に区画する可動隔壁21に連結されたバルブボデー22の軸孔22aに、バルブボデー22に対して進退可能なプランジャ32、負圧室R1と変圧室R2間を連通・遮断する負圧弁及び変圧室R2と大気間を連通・遮断する大気弁を備えた弁機構V、プランジャ32とバルブボデー22の前端部が後面に係合可能な反動部材34、反動部材34の前面に後端部にて係合する出力軸35が組付けられている。大気弁を通過後の大気は、バルブボデー22に設けた軸方向連通路X(主に、円筒状の内側通路X1)と径方向連通路Yを通して変圧室R2に流入する。軸方向連通路Xは、円弧状整流壁22eと円弧状内周壁部22b1により、プランジャ32の外周に形成される円筒状の内側通路X1と、内側通路X1の外周に形成される外側通路X2とされている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車に適用される負圧式倍力装置に係り、特に、ハウジング内にて可動隔壁によって区画される前方の負圧室と後方の変圧室との間に生じる差圧により、入力が増大されて出力するように構成されている負圧式倍力装置に関するものである。
この種の負圧式倍力装置の一つとして、ハウジング内を前方の負圧室と後方の変圧室とに区画する可動隔壁に連結されたバルブボデーが軸孔を備えていて、この軸孔内には、前記バルブボデーに対して軸方向に進退可能なプランジャと、このプランジャの前記バルブボデーに対する進退移動に応じて前記負圧室と前記変圧室間を連通・遮断する負圧弁および前記変圧室と大気間を連通・遮断する大気弁を備えた弁機構が組み込まれるとともに、前記プランジャの前端部と前記バルブボデーの前端部が後面に係合可能な反動部材と、この反動部材の前面に後端部にて係合し前記バルブボデーに対して軸方向に移動可能な出力部材が組付けられていて、前記プランジャが前記バルブボデーに対して原位置から軸方向に前進移動することにより、前記バルブボデーに設けられて前端にて前記負圧室に連通する負圧連通路の後端部に形成されている円弧状の弁座部を前記負圧弁が閉じて前記負圧室と前記変圧室間の連通が遮断され、前記大気弁が開いて前記変圧室と大気間が連通されて、前記バルブボデーに設けられて後端部にて大気に連通する軸方向連通路と、前記負圧連通路が形成されていない部位にて前記バルブボデーに設けられて径外端にて前記変圧室に連通し径内方にて前記軸方向連通路に連通する径方向連通路を通して、大気が前記変圧室に流入するように構成され、前記プランジャが前記バルブボデーに対して前進位置から原位置に後退移動することにより、前記大気弁が閉じて前記変圧室と大気間の連通が遮断され、前記負圧弁が開いて前記負圧室と前記変圧室間が連通されて、前記径方向連通路と前記軸方向連通路の前記大気弁より前方部位と前記負圧連通路を通して前記変圧室から前記負圧室に空気が流入するように構成されているものがあり、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
特開2007−22435号公報
上記した特許文献1に記載されている負圧式倍力装置においては、バルブボデーに設けられている軸方向連通路と径方向連通路が接続されている部位(交差する部位)での大気の流れを円滑にして、その流れに乱れが生じ難くしている。したがって、軸方向連通路と径方向連通路が接続されている部位にて、大気の流れが乱れることによる作動応答遅れや作動音の発生を抑制することが可能である。
しかし、上記した特許文献1に記載されている負圧式倍力装置においては、軸方向連通路での大気の流れを円滑にする構成が採用されておらず、開状態となっている大気弁を通過後の大気の流れに乱れが生じて、これに起因する作動応答遅れや作動音の発生が問題となることがある。
本発明は、上記した課題を解消すべくなされたものであり、上記した負圧式倍力装置において、前記負圧連通路を形成している通路形成壁の内周壁部とにより前記プランジャの外周に円筒状の内側通路を形成するとともに、前記通路形成壁の周方向端壁部とにより前記内側通路の外周に外側通路を形成する整流壁が前記バルブボデーに設けられていて、前記内側通路と前記外側通路によって前記軸方向連通路の前記大気弁より前方部位が形成されていることを特徴とする負圧式倍力装置に特徴がある。
この負圧式倍力装置においては、プランジャをバルブボデーに対して原位置から軸方向に前進移動させると、負圧弁が閉じて負圧室と変圧室間の連通が遮断されるとともに、大気弁が開いて変圧室と大気間が連通される。このため、バルブボデーに設けた軸方向連通路と径方向連通路を通して変圧室に大気が流入して、変圧室の圧力が負圧から順次大気圧となり、負圧室と変圧室間の差圧に応じた出力が出力部材に生じる。また、出力部材に出力が生じると、その反力が出力部材から反動部材の前面に伝達されるとともに反動部材の後面からバルブボデーとプランジャに伝達される。
ところで、本発明の負圧式倍力装置においては、バルブボデーに整流壁が設けられていて、プランジャの外周に円筒状の内側通路が形成されるとともに、この内側通路の外周に外側通路が形成されている。しかも、円筒状の内側通路が、整流壁と負圧連通路を形成している通路形成壁の内周壁部とにより形成されている。このため、開状態となっている大気弁を通過後の大気は、主として上記した内側通路を流れて、径方向連通路へと流れる。したがって、大気弁通過時に絞られた大気がバルブボデーとプランジャ間の大空間に広がる流れ(大空間に広がる流れは、急激な体積変化のため乱流となり得る)を整流壁と内周壁部により防止されて、同部位での乱流の発生が抑制され、乱流に起因する作動応答遅れや作動音の発生が抑制される。
また、本発明の負圧式倍力装置においては、プランジャをバルブボデーに対して前進位置から原位置に後退移動させると、大気弁が閉じて変圧室と大気間の連通が遮断されるとともに、負圧弁が開いて負圧室と変圧室間が連通される。このため、バルブボデーに設けた径方向連通路と軸方向連通路の大気弁より前方部位と負圧連通路を通して変圧室から負圧室に空気が流入して、変圧室の圧力が大気圧に近い圧力から順次負圧となり、負圧室と変圧室間の差圧が消失して出力が消失する。ところで、この場合には、上記した軸方向連通路の大気弁より前方部位にて、変圧室から負圧室に向けて流れる空気が、整流壁によって形成される内側通路と外側通路の両方を流れる。これにより、変圧室の圧力が大気圧に近い圧力から負圧室の負圧に近い圧力に低下するまでの応答性(戻りの応答性)が良好に維持される。
上記した本発明の実施に際して、前記弁座部と前記整流壁間には、前記負圧弁の前記弁座部に対する着座を保証する段差が設定されていることも可能である。この場合には、弁座部に対する負圧弁の着座時における面圧を保証し得て、シール性を確保することが可能である。また、この場合において、前記段差は、前記負圧弁の材質に応じて設定されていて、前記負圧弁が前記弁座部に着座したときの前記負圧弁の潰れ量(弾性変形量)は所望量に設定されていることも可能である。この場合には、負圧弁の耐久性を確保した状態で、所望の特性(ジャンピング特性やヒステリシス特性)を得ることが可能である。
本発明による負圧式倍力装置の一実施形態を示す断面図である。 図1に示した負圧式倍力装置の要部拡大断面図である。 図1および図2に示したバルブボデー単体の背面図である。 図3に示したバルブボデーのA−B−C断面図である。 図3に示したバルブボデーのA−B−D断面図である。
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明を車両用ブレーキの負圧式倍力装置に実施した実施形態を示していて、この実施形態の負圧式倍力装置においては、ハウジング10に可動隔壁21とバルブボデー22を備えるパワーピストン20が組付けられていて、ハウジング10内が可動隔壁21により前方の負圧室R1と後方の変圧室R2とに区画されている。
ハウジング10は、図1に示したように、前方シェル11と後方シェル12を備えるとともに、負圧室R1を負圧源(例えば、図示省略のエンジンの吸気マニホールド)に常時連通させるための負圧導入管13を備えている。このハウジング10は、同ハウジング10と可動隔壁21を気密的に貫通する複数本(図1では1本が示されている)のタイロッド14の後端部に設けられたねじ部14aにて静止部材、すなわち車体(図示省略)に固定されるように構成されている。なお、タイロッド14の前端部に設けられたねじ部14bには、ブレーキマスタシリンダ100が組付けられている。
ブレーキマスタシリンダ100は、そのシリンダ本体101の後端部101aが前方シェル11に形成された中心筒部11aを貫通して負圧室R1内に気密的に突入し、またシリンダ本体101に形成されたフランジ部101bの後面が前方シェル11の前面に当接している。また、ブレーキマスタシリンダ100のピストン102は、シリンダ本体101から後方に突出して負圧室R1内に突入しており、後述する出力軸35の先端ロッド部35aによって前方に押動されるように構成されている。
パワーピストン20の可動隔壁21は、金属製で環状のプレート21aと、ゴム製で環状のダイアフラム21bとからなり、ハウジング10内にて前後方向(パワーピストン20の軸方向)へ移動可能に設置されている。ダイアフラム21bは、その外周縁に形成された環状の外周ビード部にて、後方シェル12の外周縁に設けられた折り返し部と前方シェル11とにより気密的に挟持されている。また、ダイアフラム21bは、その内周縁に形成された環状の内周ビード部にて、バルブボデー22の前端部外周に形成した環状の溝にプレート21aの内周部とともに気密的に固定されている。
パワーピストン20のバルブボデー22は、可動隔壁21の内周部に連結された樹脂製の中空体であって、円筒状に形成された中間部位にてハウジング10の後方シェル12に気密的かつ前後方向へ移動可能に組付けられており、ハウジング10の前方シェル11との間に介装されたリターンスプリング15によって後方に向けて付勢されている。なお、バルブボデー22のハウジング10外に突出する部位は、後端に複数の通気孔19aを有するブーツ19によって被覆保護されている。
また、バルブボデー22には、図2〜図5に示したように、前後方向にて貫通する段付の軸孔22aが形成されるとともに、この軸孔22aの中間段部に後端にて連通するとともに前端にて負圧室R1に連通する一対の負圧連通路22bと、軸孔22aの前方部分に略直交していてキー部材39を外周から挿通可能な一対のキー取付孔22cが形成されている。
上記した軸孔22aには、入力軸31とプランジャ32が同軸的に組付けられるとともに、弁機構Vとフィルタ51,52が同軸的に組付けられている。また、上記した軸孔22aには、プランジャ32の前方に、反動部材34および出力軸(出力部材)35が同軸的に組付けられている。
入力軸31は、バルブボデー22に対して進退可能であり、球状先端部31aにてプランジャ32の受承連結部32cに関節状に連結され、後端ねじ部31bにてヨークを介してブレーキペダル(共に図示省略)に連結されていて、ブレーキペダルに作用する踏力を入力として前方に向けて受けるように構成されている。
プランジャ32は、その先端部32aにて反動部材34における後面の中央部位に係合可能であるとともに、その中間部に形成した環状フランジ部32bにてキー部材39に係合可能であって、先端部32aが反動部材34から出力の反力を部分的に受ける部分である。また、プランジャ32の後端には、弁機構Vの環状大気弁部41bに離座可能に着座する環状の大気弁座32dが形成されていて、この大気弁座32dと弁機構Vの環状大気弁部41bによって、変圧室R2と大気間を連通・遮断する大気弁が構成されている。
反動部材34は、その後面の中央部位が後方に膨出変形可能なリアクションゴムディスクであり、出力軸35の後方円筒部35b内に収容されて前面全体にて出力軸35の後端部後面に係合(当接)した状態にて、バルブボデー22の前端部に組付けられている。この反動部材34は、その後面にて、プランジャ32の先端部32a前面に当接可能であるとともに、バルブボデー22の円環状前端面に当接している。
出力軸35は、反動部材34とともにバルブボデー22の軸孔22aの前端部内に前後方向へ移動可能に組付けられていて、図1に示したように、先端部に組付けた先端ロッド部35aにてブレーキマスタシリンダ100におけるピストン102の係合部に押動可能に当接しており、制動作動時にはブレーキマスタシリンダ100のピストン102から受ける反力を反動部材34に伝達するようになっている。
キー部材39は、パワーピストン20のバルブボデー22に対するプランジャ32の前後方向移動を規定する機能と、ハウジング10に対するパワーピストン20の後方への移動限界位置(バルブボデー22の後方復帰位置)を規定する機能を有していて、バルブボデー22とプランジャ32のそれぞれに対してパワーピストン20の軸方向に所要量相対移動可能に組付けられている。
弁機構Vは、バルブボデー22における各負圧連通路22bの後端部に一体的に形成した円弧形状の負圧弁座22d(弁座部)と、プランジャ32の後端部に一体的に形成した環状の大気弁座32dと、この大気弁座32dに対して同軸的に配置されてバルブボデー22に組付けた筒状の弁体41を備えている。弁体41は、負圧弁座22dに対して着座・離座可能で負圧弁座22dとにより、負圧室R1と変圧室R2を連通・遮断可能な負圧弁を構成する負圧弁部41aを有するとともに、大気弁座32dに対して着座・離座可能で大気弁座32dとにより、変圧室R2と大気を連通・遮断可能な大気弁を構成する環状の大気弁部41bを有している。
負圧弁部41aと大気弁部41bは、弁体41の可動部(軸方向に移動可能な部分)に一体的に形成されていて、圧縮スプリング42によって負圧弁座22dと大気弁座32dに向けて(前方に向けて)付勢されている。なお、弁体41の固定部(軸方向に移動不能な部分)は、リテーナ43を介して入力軸31の段部に係止する圧縮スプリング44によって前方に向けて付勢されていて、バルブボデー22における軸孔22aの定位置(段部)に保持されている。
上記した弁機構Vの構成によって、変圧室R2は、入力軸31およびプランジャ32のバルブボデー22に対する前後方向の移動に応じて、負圧室R1または大気に連通可能である。すなわち、図1および図2に示した入力軸31およびプランジャ32がバルブボデー22に対して原位置から前方へ移動して、負圧弁部41aが負圧弁座22dに着座し、大気弁座32dが大気弁部41bから離座したときには、変圧室R2が負圧室R1との連通を遮断されて大気に連通する。このときには、ブーツ19の通気孔19a、フィルタ51,52、弁体41の内部、大気弁座32dと大気弁部41b間の隙間、バルブボデー22に設けた軸方向連通路Xと径方向連通路Y等を通して、変圧室R2に大気が流入する。
また、図1および図2に示したように、入力軸31およびプランジャ32がバルブボデー22に対して復帰位置(原位置)に戻って、大気弁座32dが大気弁部41bに着座し、負圧弁部41aが負圧弁座22dから離座している状態(すなわち、大気弁が閉じて、変圧室R2と大気との連通が遮断され、かつ、負圧弁が開いて、負圧室R1と変圧室R2とが連通している状態)では、変圧室R2が大気との連通を遮断されて負圧室R1に連通する。このときには、バルブボデー22に設けた径方向連通路Yと軸方向連通路X、負圧弁部41aと負圧弁座22d間の隙間、負圧連通路22b等を通して、変圧室R2から負圧室R1に空気が吸引されて流れる。
上記した軸方向連通路Xは、図2および図3に示したように、バルブボデー22に設けられて後端部にて大気に連通する軸方向連通路Xo(図2参照)の大気弁より前方部位であり、円筒状の内側通路X1とこの内側通路X1の外周に形成された一対の外側通路X2によって形成されている。円筒状の内側通路X1は、各負圧連通路22bを形成している通路形成壁の円弧状内周壁部22b1と、バルブボデー22に設けた一対の円弧状整流壁22eにより、プランジャ32の外周に形成されている。一対の外側通路X2は、各負圧連通路22bを形成している通路形成壁の両周方向円弧端壁22b2と、バルブボデー22に設けた一対の円弧状整流壁22eによりそれぞれ円弧状に形成されている。なお、各外側通路X2は、その後端にて、各負圧連通路22bを形成している通路形成壁の円弧状外周壁部22b3とバルブボデー22の円筒状外壁22f間に形成される通路を通して互いに連通している。
一方、上記した径方向連通路Yは、図1〜図5に示したように、各負圧連通路22bが形成されていない部位にて、バルブボデー22に設けられていて、径外端にて変圧室R2に連通し、径内方にて軸方向連通路Xに連通している。なお、径方向連通路Yは、軸方向連通路Xの外側通路X2に対応して形成されていて、径内方にて軸方向連通路Xの内側通路X1と外側通路X2の各前端部に連通している。
また、この実施形態においては、図3に示したように、各負圧弁座22dと各円弧状整流壁22e間(負圧弁座22dの座面と円弧状整流壁22eの接続部)に、負圧弁部41aの負圧弁座22dに対する着座を保証する段差Sがそれぞれ設けられている。各段差Sは、負圧弁部41aの材質(例えば、硬度)に応じて設定されていて、負圧弁部41aが負圧弁座22dに着座したときの負圧弁部41aの潰れ量(弾性変形量)は所望量に設定されている。
上記のように構成したこの実施形態の負圧式倍力装置においては、ブレーキペダルを踏み込んで、入力軸31とプランジャ32をバルブボデー22に対して原位置(復帰位置)から軸方向に前進移動させると、負圧弁部41aが負圧弁座22dに着座することにより負圧弁が閉じて、負圧室R1と変圧室R2間の連通が遮断されるとともに、大気弁座32dが大気弁部41bから離座することにより大気弁が開いて、変圧室R2と大気間が連通される。このため、バルブボデー22に設けた軸方向連通路Xo(前方部位の軸方向連通路Xを含む)と径方向連通路Yを通して変圧室R2に大気が流入して、変圧室R2の圧力が負圧から順次大気圧となり、負圧室R1と変圧室R2間の差圧に応じた出力が出力軸35に生じる。また、出力軸35に出力が生じると、その反力が出力軸35から反動部材34の前面34aに伝達され、反動部材34の後面からバルブボデー22とプランジャ32に伝達される。
ところで、この実施形態の負圧式倍力装置においては、バルブボデー22に円弧状整流壁22eが設けられていて、プランジャ32の外周に円筒状の内側通路X1が形成されるとともに、この内側通路X1の外周に外側通路X2を形成されている。しかも、円筒状の内側通路X1が、円弧状整流壁22eと、負圧連通路22bを形成している通路形成壁の円弧状内周壁部22b1とにより形成されている。このため、開状態となっている大気弁(大気弁座32dと大気弁部41b間の隙間)を通過後の大気は、主として上記した円筒状の内側通路X1を流れて、径方向連通路Yへと流れる。したがって、大気弁通過時に絞られた大気がバルブボデー22とプランジャ32間の大空間に広がる流れ(大空間に広がる流れは、急激な体積変化のため乱流となり得る)を円弧状整流壁22eと円弧状内周壁部22b1により防止されて、同部位での乱流の発生が抑制され、乱流に起因する作動応答遅れや作動音の発生が抑制される。
また、この実施形態の負圧式倍力装置においては、入力軸31とプランジャ32をバルブボデー22に対して前進位置から原位置に後退移動させると、大気弁が閉じて変圧室R2と大気間の連通が遮断されるとともに、負圧弁が開いて負圧室R1と変圧室R2間が連通される。このため、バルブボデー22に設けた径方向連通路Yと軸方向連通路X(後端部にて大気に連通する軸方向連通路Xoの大気弁より前方部位)と負圧連通路22bを通して変圧室R2から負圧室R1に空気が流入して、変圧室R2の圧力が大気圧に近い圧力から順次負圧となり、負圧室R1と変圧室R2間の差圧が消失して出力が消失する。ところで、この場合には、上記した軸方向連通路Xにて、変圧室R2から負圧室R1に向けて流れる空気が、円弧状整流壁22eによって形成される内側通路X1と外側通路X2の両方を流れる。これにより、変圧室R2の圧力が大気圧に近い圧力から負圧室R1の負圧に近い圧力に低下するまでの応答性(戻りの応答性)が良好に維持される。
また、この実施形態の負圧式倍力装置においては、各負圧弁座22dと各円弧状整流壁22e間(負圧弁座22dと円弧状整流壁22eの接続部)に、負圧弁部41aの負圧弁座22dに対する着座を保証する段差Sがそれぞれ設けられている。このため、負圧弁座22dに対する負圧弁部41aの着座時における面圧を保証し得て、シール性を確保することが可能である。
また、各段差Sが、負圧弁部41aの材質(例えば、硬度)に応じて設定されていて、負圧弁部41aが負圧弁座22dに着座したときの負圧弁部41aの潰れ量(弾性変形量)が所望量に設定されている。このため、負圧弁部41aが負圧弁座22dに着座したとき、負圧弁部41aとにより環状部を形成する部分は、円弧状整流壁22eの端面(図4、図5の右端面)に接して受け止められ、負圧弁部41aの必要以上の潰れが防止される。したがって、負圧弁部41aの耐久性を確保した状態で、所望の特性(ジャンピング特性やヒステリシス特性)を得ることが可能である。
上記した実施形態においては、プランジャ32の外周に形成される円筒状の内側通路X1が、一対の円弧状整流壁22eと一対の円弧状内周壁部22b1により構成される実施形態について説明したが、円筒状の内側通路(X1)を構成する整流壁(22e)と内周壁部(22b1)の形状・個数は適宜変更可能であり、上記実施形態に限定されるものではない。
また、上記した実施形態においては、各負圧弁座22dと各円弧状整流壁22e間に、負圧弁部41aの負圧弁座22dに対する着座を保証する段差Sをそれぞれ設けて実施したが、これらの段差を設けないで実施すること(例えば、各負圧弁座22dの座面と各円弧状整流壁22eの端面(図4、図5の右端面)が同一面となるように構成して実施すること)も可能である。
10…ハウジング、20…パワーピストン、21…可動隔壁、22…バルブボデー、22a…軸孔、22b…負圧連通路、22c…キー取付孔、22d…負圧弁座、22e…整流壁、22f…円筒状外壁、31…入力軸、32…プランジャ、32d…大気弁座、34…反動部材、35…出力軸、39…キー部材、41…弁体、41a…負圧弁部、41b…大気弁部、Xo…軸方向連通路、X…軸方向連通路(大気弁より前方部位)、X1…円筒状の内側通路、X2…外側通路、Y…径方向連通路、S…段差、V…弁機構、R1…負圧室、R2…変圧室

Claims (3)

  1. ハウジング内を前方の負圧室と後方の変圧室とに区画する可動隔壁に連結されたバルブボデーが軸孔を備えていて、この軸孔内には、前記バルブボデーに対して軸方向に進退可能なプランジャと、このプランジャの前記バルブボデーに対する進退移動に応じて前記負圧室と前記変圧室間を連通・遮断する負圧弁および前記変圧室と大気間を連通・遮断する大気弁を備えた弁機構が組み込まれるとともに、前記プランジャの前端部と前記バルブボデーの前端部が後面に係合可能な反動部材と、この反動部材の前面に後端部にて係合し前記バルブボデーに対して軸方向に移動可能な出力部材が組付けられていて、
    前記プランジャが前記バルブボデーに対して原位置から軸方向に前進移動することにより、前記バルブボデーに設けられて前端にて前記負圧室に連通する負圧連通路の後端部に形成されている円弧状の弁座部を前記負圧弁が閉じて前記負圧室と前記変圧室間の連通が遮断され、前記大気弁が開いて前記変圧室と大気間が連通されて、前記バルブボデーに設けられて後端部にて大気に連通する軸方向連通路と、前記負圧連通路が形成されていない部位にて前記バルブボデーに設けられて径外端にて前記変圧室に連通し径内方にて前記軸方向連通路に連通する径方向連通路を通して、大気が前記変圧室に流入するように構成され、
    前記プランジャが前記バルブボデーに対して前進位置から原位置に後退移動することにより、前記大気弁が閉じて前記変圧室と大気間の連通が遮断され、前記負圧弁が開いて前記負圧室と前記変圧室間が連通されて、前記径方向連通路と前記軸方向連通路の前記大気弁より前方部位と前記負圧連通路を通して前記変圧室から前記負圧室に空気が流入するように構成されている負圧式倍力装置において、
    前記負圧連通路を形成している通路形成壁の内周壁部とにより前記プランジャの外周に円筒状の内側通路を形成するとともに、前記通路形成壁の周方向端壁部とにより前記内側通路の外周に外側通路を形成する整流壁が前記バルブボデーに設けられていて、前記内側通路と前記外側通路によって前記軸方向連通路の前記大気弁より前方部位が形成されていることを特徴とする負圧式倍力装置。
  2. 請求項1に記載の負圧式倍力装置において、前記弁座部と前記整流壁間には、前記負圧弁の前記弁座部に対する着座を保証する段差が設定されていることを特徴とする負圧式倍力装置。
  3. 請求項2に記載の負圧式倍力装置において、前記段差は、前記負圧弁の材質に応じて設定されていて、前記負圧弁が前記弁座部に着座したときの前記負圧弁の潰れ量は所望量に設定されていることを特徴とする負圧式倍力装置。
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