JP2019001320A - 負圧式倍力装置 - Google Patents

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【課題】作動時における応答性を阻害することなく振動や異音を効果的に抑制することができる負圧式倍力装置を提供すること。
【解決手段】負圧式倍力装置100は、ブースタシェル110と、ブースタシェル110を負圧室R1と変圧室R2とに気密的に区画するプレート部材121及びダイアフラム122とからなる可動隔壁120と、可動隔壁120がフランジ部131aと対向するように連結されたバルブボディ130と、変圧室R2を負圧室R1及び大気に連通又は遮断する弁機構150と、を備える。負圧式倍力装置100は、フランジ部131aのフランジ側対向面131a1とプレート部材121のプレート側対向面121aとの間に配設されて、プレート側対向面121aの側からフランジ側対向面131a1の側に向けて突出し、フランジ側対向面131a1に当接して弾性変形可能な緩衝部材170を備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、負圧式倍力装置に関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に開示された負圧式倍力装置が知られている。この従来の負圧式倍力装置は、負圧室と変圧室との連通を開閉する負圧弁と、変圧室と大気との連通を開閉する第一大気弁と、第一大気弁よりも大気側で変圧室と大気との連通を開閉する第二大気弁と、第二大気弁の外内を連通させるオリフィス通路とを有する弁機構を備えている。そして、従来の負圧式倍力装置の非作動時においては、第一大気弁及び第二大気弁が閉弁してオリフィス通路が変圧室に連通することを阻止するようになっている。一方、従来の負圧式倍力装置が作動開始時においては、第二大気弁が閉弁している状態で第一大気弁が開弁することによってオリフィス通路を介して変圧室を大気に連通させ、その後、第二大気弁が開弁することにより第一大気弁及び第二大気弁を介して変圧室を大気に連通させるようになっている。これにより、従来の負圧式倍力装置の作動開始時においては、オリフィス通路によって変圧室に導入される大気を制限し、弁機構の振動や異音等の発生を防止するようになっている。
特開2003−127851号公報
しかしながら、上記従来の負圧式倍力装置では、第一大気弁のみが開弁された状態ではオリフィス通路により変圧室に流入する大気が制限される。このため、負圧式倍力装置の作動時(特に、作動開始初期)において、バルブボディの移動(前進)に対して負圧室と変圧室との間の圧力差が遅れて生じる。その結果、第一大気弁が開弁してからバルブボディ(即ち、パワーピストン(可動隔壁))が前進するまでの時間差が大きくなり、負圧式倍力装置が倍力効果を発生するまでの応答性が低下する虞がある。
又、上記従来の負圧式倍力装置においては、第二大気弁が開弁されると、変圧室に流入する大気が増える。この場合、負圧室と変圧室との間に生じる圧力差が大きくなるので、可動隔壁が速やかに移動(前進)してバルブボディのフランジ部に当接し、振動(衝撃)や異音を発生させる虞がある。そして、このような振動(衝撃)や異音は、負圧式倍力装置が作動してバルブボディと可動隔壁とが相対移動する状況であれば、発生する可能性がある。尚、上記特許文献1に記載された上記オリフィス通路を有していない負圧式倍力装置であっても、特に、作動開始初期においては、バルブボディと可動隔壁との間に相対移動が生じ易く、相対移動が生じた状態で可動隔壁が移動(前進)することによって振動(衝撃)や異音を発生させる虞がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。即ち、本発明の目的は、作動時における応答性を阻害することなく振動や異音を効果的に抑制することができる負圧式倍力装置を提供することにある。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る負圧式倍力装置の発明は、中空状のブースタシェルと、ブースタシェルを負圧室と変圧室とに気密的に区画する環状の可動隔壁と、一端側に外方に向けて延設されたフランジ部を有し、可動隔壁がフランジ部と対向するように連結された筒状のバルブボディと、バルブボディの内部に配設され、変圧室を負圧室及び大気に連通又は遮断する弁機構と、を備えた負圧式倍力装置であって、フランジ部において可動隔壁に対向するフランジ側対向面と、可動隔壁においてフランジ側対向面に対向する可動隔壁側対向面と、の間に配設されて、フランジ側対向面及び可動隔壁側対向面のうちの少なくとも一方の側からフランジ側対向面及び可動隔壁側対向面のうちの他方の側に向けて突出し、他方に当接して弾性変形可能な緩衝部材を備える、ように構成される。
これによれば、緩衝部材は、フランジ側対向面と可動隔壁側対向面との間に配設される。即ち、緩衝部材は、バルブボディの内部に配設された弁機構から離間した位置に配置される。従って、緩衝部材は、弁機構を通して変圧室に流入される大気を絞ることがなく、負圧式倍力装置の作動時において弁機構を通して変圧室に大気を制限することなく流入させることができる。その結果、バルブボディの移動(前進)に対して負圧室と変圧室との間の圧力差を速やかに発生させることができ、弁機構が開弁してからバルブボディ(即ち、可動隔壁)が前進してバルブボディを押圧するまでの時間差を小さくすることができる。これにより、負圧式倍力装置が倍力効果を発生するまでの作動応答性を良好に維持することができる。
又、緩衝部材は、フランジ側対向面及び可動隔壁側対向面のうちの少なくとも一方の側から他方の側に向けて突出し、他方に当接して弾性変形することができる。即ち、緩衝部材は、自身が弾性変形することにより、可動隔壁がバルブボディのフランジ部に直接的に当接することを防止することができる。これにより、負圧式倍力装置が作動してバルブボディと可動隔壁とが相対移動する状況であっても、緩衝部材は、可動隔壁とバルブボディとの当接による振動(衝撃)や異音の発生を効果的に抑制することができる。
本発明の実施形態に係る負圧式倍力装置を備えたブレーキ装置の構成を示す概略図である。 図1の負圧式倍力装置の構成を示す全体図である。 図2の緩衝部材を示す平面図である。 図3の緩衝部材の組付状態を示す断面図である。 本発明の実施形態の第一変形例に係る緩衝部材を示す平面図である。 図5の緩衝部材の組付状態を示す断面図である。 本発明の実施形態の第二変形例に係る緩衝部材を示す平面図である。 図7の緩衝部材の組付状態を示す断面図である。 本発明の実施形態の第三変形例に係る緩衝部材の組付状態を示す断面図である。 図9の変形例に係る緩衝部材の組付状態を示す断面図である。 図9の変形例に係る緩衝部材の組付状態を示す断面図である。 本発明の実施形態の第四変形例に係る緩衝部材の組付状態を示す断面図である。 本発明の実施形態の第五変形例に係る緩衝部材を示す平面図である。 図13の緩衝部材の組付状態を示す断面図である。 本発明の実施形態のその他の変形例に係る緩衝部材を示す断面図である。 本発明の実施形態のその他の変形例に係る緩衝部材を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態及び各変形例の相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。又、説明に用いる各図は概念図であり、各部の形状は必ずしも厳密なものではない場合がある。
本実施形態の負圧式倍力装置100は、図1に示すように、車両のブレーキ装置10を構成するものである。車両のブレーキ装置10は、シリンダ機構20を備えている。シリンダ機構20は、マスタシリンダ21と、マスタピストン22,23と、マスタリザーバ24と、を備えている。マスタピストン22,23は、マスタシリンダ21内に摺動可能に配設されている。マスタピストン22,23は、マスタシリンダ21内を第一マスタ室21aと第二マスタ室21bとに区画している。マスタリザーバ24は、第一マスタ室21a及び第二マスタ室21bに連通する管路を有するリザーバタンクである。マスタリザーバ24と各マスタ室21a,21bとは、マスタピストン22,23の移動により連通又は遮断される。
又、シリンダ機構20は、ホイールシリンダ25、ホイールシリンダ26、ホイールシリンダ27及びホイールシリンダ28を備えている。ホイールシリンダ25は、車両の左後輪RLに配置されている。ホイールシリンダ26は、車両の右後輪RRに配置されている。ホイールシリンダ27は、車両の左前輪FLに配置されている。ホイールシリンダ28は、車両の右前輪FRに配置されている。マスタシリンダ21と各ホイールシリンダ25〜28は、アクチュエータ30を介して接続されている。これにより、各ホイールシリンダ25〜28は、左後輪RL、右後輪RR、左前輪FL及び右前輪FRに制動力を付与する。尚、詳細な説明を省略するが、アクチュエータ30は、図示省略の管路、電動ポンプ、電磁弁及び逆止弁等から構成されている。
車両のブレーキ装置10においては、運転者がブレーキペダル29を踏み込むと、マスタシリンダ21に気密的に連結された負圧式倍力装置100により踏力が倍力され、マスタシリンダ21内のマスタピストン22,23が押圧される。これにより、第一マスタ室21a及び第二マスタ室21bに同圧のマスタシリンダ圧が発生する。マスタシリンダ圧は、アクチュエータ30を介してホイールシリンダ25〜28に伝達される。
負圧式倍力装置100は、図2に示すように、中空状のブースタシェル110を備えており、ブースタシェル110に対して、可動隔壁120及びバルブボディ130が一体に前後方向に移動可能に組み付けられている。そして、ブースタシェル110の内部は、可動隔壁120により、前方の負圧室R1と、後方の変圧室R2と、に区画されている。
ブースタシェル110は、例えば、鉄、アルミ又は樹脂(強化プラスチック)等から形成されるフロントシェル部材111及びリアシェル部材112から構成される。フロントシェル部材111には、負圧室R1を負圧源(例えば、図示省略のエンジンの吸気マニホールド)に連通させるための負圧導入口111aが形成されている。負圧導入口111aには、逆止弁113が設けられている。逆止弁113は、負圧室R1側から負圧源側への空気の連通を許可し、負圧源側から負圧室R1側への空気の連通を遮断するように構成されている。
又、ブースタシェル110は、径方向の二箇所にて、フロントシェル部材111及びリアシェル部材112を気密的に貫通するタイロッドボルト114を有している。尚、図2においては、一方のタイロッドボルト114のみを示す。二本のタイロッドボルト114は、フロントシェル部材111の側にてマスタシリンダ21を支持するようになっている。このため、フロントシェル部材111の内面111bとタイロッドボルト114の拡径部114aとの間には、リテーナ115が配置されている。又、ブースタシェル110は、リアシェル部材112を気密的に貫通するリアボルト116を有している。リアボルト116は、車両の車体(例えば、カウル等)に固定されるようになっている。
可動隔壁120は、ブースタシェル110内にてバルブボディ130の軸線の方向に沿って前後方向に移動可能に設けられている。可動隔壁120は、環状のプレート部材121と、プレート部材121に支持される環状のダイアフラム122と、から構成されている。プレート部材121は、金属製(例えば、鉄)又は樹脂製であり、ダイアフラム122に対して前方側(フロントシェル部材111の側)にて、バルブボディ130の後述するフランジ部131aに対向するように配置される。
ダイアフラム122は、環状の弾性部材(例えば、環状のゴム材料)から形成されて伸縮変形可能となっており、外周縁がブースタシェル110(フロントシェル部材111及びリアシェル部材112)に気密的に固定され、且つ、内周縁がプレート部材121とともにバルブボディ130に気密的に固定される。具体的に、ダイアフラム122は、図2に示すように、外周ビード部122a、内周ビード部122b及びシート部122cを備えている。外周ビード部122aは、ダイアフラム122の外周縁に環状に設けられており、フロントシェル部材111とリアシェル部材112との連結部分にて気密的に挟持される。内周ビード部122bは、ダイアフラム122の内周縁に環状に設けられており、プレート部材121とともにバルブボディ130の外周面131bに気密的に固定される。シート部122cは、外周ビード部122aと内周ビード部122bとを互いに接続する。
筒状のバルブボディ130は、図2に示すように、ブースタシェル110(より具体的には、リアシェル部材112)に対して相対移動可能に設けられ、且つ、可動隔壁120と一体にフロントシェル部材111に向けて前進及びリアシェル部材112に向けて後進する。バルブボディ130は、樹脂製で円筒状に形成された本体部131を備えている。本体部131は、前方側(一端側)の開口端部に径方向にて外方に向けて延設されたフランジ部131aを有している。本体部131は、フランジ部131aとフロントシェル部材111との間に設けられたリターンスプリングSと係合しており、リターンスプリングSによって後方に向けて付勢されている。
本体部131は、中央部分にてブースタシェル110のリアシェル部材112に設けられた筒部112aに軸線の方向に沿って前後方向に相対移動可能に組み付けられている。筒部112aの開口端部にはリップ状のシール部材112bが設けられており、本体部131はリアシェル部材112(ブースタシェル110)に対して気密的に組み付けられている。又、本体部131(即ち、バルブボディ130)のブースタシェル110外に突出する部位は、蛇腹状のブーツ160によって被覆保護されている。
本体部131の内部には、一対の負圧連通路132が設けられている。尚、図2においては一方の負圧連通路132のみを示す。負圧連通路132は、前方端にてブースタシェル110の負圧室R1に連通するとともに、後方端にて本体部131の内部に連通するようになっている。又、本体部131の内部には、入力軸141とプランジャー142とが同軸になるように組み付けられるとともに、弁機構150とフィルタ143とが同軸になるように組み付けられている。更に、本体部131の内部には、プランジャー142の前方に、弾性部材(例えば、ゴム材料)からなる反動部材144及び出力軸145が同軸となるように組み付けられている。
入力軸141は、本体部131の軸線の方向に沿って前後方向に移動可能であり、球状先端部にてプランジャー142の連結部分に関節状に連結される。入力軸141は、後端に設けられた螺子部によりヨーク(図示省略)を介してブレーキペダル29に連結され、ブレーキペダル29に作用する踏力を操作力として前方に向けて受けるように構成されている。又、入力軸141は、弁機構150に係合しているスプリングによって後方に向けて付勢されている。
プランジャー142は、先端部にて反動部材144における後面の中央部分に当接する。又、プランジャー142は、中央部分に形成された環状の溝部においてキー部材に係合する。更に、プランジャー142は、後端部に、弁機構150における環状の大気弁座が設けられている。尚、キー部材は、バルブボディ130の本体部131に対するプランジャー142の前後方向への移動を規制する機能と、ブースタシェル110に対するバルブボディ130の後方への移動限界位置(バルブボディ130の後方復帰位置)を規定する機能を有する部材である。
反動部材144は、出力軸145の後方円筒部145aに収容されて、出力軸145の後方円筒部145aとともにバルブボディ130の本体部131に組み付けられている。反動部材144は、後方円筒部145aに収容された状態で、後面の中央部分が前方に向けて膨出変形するようになっている。
出力軸145は、図示を省略するが、先端部においてマスタシリンダ21のマスタピストン22,23を押動するようになっている。又、出力軸145は、制動作動時において、マスタシリンダ21のマスタピストン22,23から受ける反力を反動部材144に伝達するようになっている。
弁機構150は、バルブボディ130の内部に配設される。弁機構150は、バルブボディ130の本体部131における負圧連通路132の後端部に一体に形成された負圧弁座と、プランジャー142の後端部に一体に形成された大気弁座と、を備えている。又、弁機構150は、大気弁座に対して同軸となるように配置された筒状の弁体151を備えている。弁体151は、環状の取付部と、取付部に一体に形成されて軸線の方向に沿って移動可能な筒状の可動部と、を有している。弁体151の取付部は、バルブボディ130の本体部131内に気密的に組み付けられており、円環部材146によって本体部131に保持されている。
弁体151の可動部は、負圧弁座に対して着座又は離座することにより、負圧弁座とともに負圧室R1と変圧室R2との間を連通又は遮断する負圧弁を構成する負圧制御弁部を有する。又、弁体151の可動部は、大気弁座に対して着座又は離座することにより、大気弁座とともに変圧室R2と大気との間を連通又は遮断する大気弁を構成する大気制御弁部を有する。
緩衝部材170は、図2に示すように、可動隔壁120を構成するプレート部材121と、バルブボディ130の本体部131に形成されたフランジ部131aと、の間に配置されている。より具体的に、緩衝部材170は、円環状のフランジ部131aの一面側であって可動隔壁120に対向するフランジ側対向面131a1と、可動隔壁120のプレート部材121の内周側にてフランジ側対向面131a1に対向する可動隔壁側対向面としての円環状のプレート側対向面121aと、の間に配置される。
緩衝部材170は、弾性変形可能な弾性材料(例えば、ゴム材料)から形成されており、図3及び図4に示すように、本体部171と、突部172と、から構成される。本体部171は、図3に示すように、円環状に形成されている。本体部171は、図4に示すように、内周面171aにてバルブボディ130の本体部131を挿通するようになっている。
突部172は、図3及び図4に示すように、略球状に形成されて、本体部171の周方向に沿って間欠的に複数(本実施形態においては、五つ)設けられる。突部172は、図4に示すように、本体部171の一面171bから本体部171の軸線の方向に向けて突出して形成されている。そして、緩衝部材170は、図4に示すように、突部172がフランジ側対向面131a1に当接するように、換言すれば、本体部171の他面171cがプレート部材121に当接するようにバルブボディ130の本体部131に組み付けられる。これにより、緩衝部材170の突部172は、一方である可動隔壁120におけるプレート側対向面121aの側から他方である本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1の側に向けて突出し、フランジ側対向面131a1に当接して弾性変形する。
このように構成された負圧式倍力装置100においては、入力軸141及びプランジャー142がバルブボディ130の本体部131に対して前後方向に移動することに応じて、弁機構150が作動することにより、変圧室R2は大気又は負圧室R1に連通可能である。これにより、変圧室R2が大気に連通した場合には、変圧室R2内に大気が流入し、負圧室R1(負圧)と変圧室R2(大気圧)との間に生じた圧力差によって可動隔壁120が前方に(フロントシェル部材111に向けて)移動する。この場合、可動隔壁120は、バルブボディ130の本体部131に設けられたフランジ部131aと係合することにより、バルブボディ130の本体部131とともに前方に(フロントシェル部材111に向けて)移動する。これにより、出力軸145は前方に(フロントシェル部材111に向けて)移動してマスタシリンダ21のマスタピストン22,23を押圧し、マスタシリンダ圧がアクチュエータ30を介してホイールシリンダ25〜28に伝達される。
ところで、運転者がブレーキペダル29に対して踏み込み操作を開始すると、入力軸141及びプランジャー142とともにバルブボディ130の本体部131が前方に(フロントシェル部材111に向けて)移動する。この場合、踏み込み操作が開始された初期においては、可動隔壁120に対してバルブボディ130が相対的に前進することにより、可動隔壁120とバルブボディ130とが一時的に相対移動する。即ち、踏み込み操作が開始された初期においては、プレート部材121のプレート側対向面121aと本体部131のフランジ部131aのフランジ側対向面131a1とが互いに離間する方向に相対移動する。尚、バルブボディ130はリターンスプリングSによって後方に向けて付勢されている。従って、バルブボディ130の可動隔壁120に対する相対移動には、リターンスプリングSが発生する付勢力が反力として作用する。
一方、ブレーキペダル29が踏み込み操作されると、入力軸141及びプランジャー142が、バルブボディ130の本体部131に対して図2に示す位置(原位置であり復帰非作動位置)から前方に移動する。これにより、負圧制御弁部が負圧弁座に着座するとともに大気弁座が大気制御弁部から離座し、変圧室R2は大気に連通する。従って、変圧室R2には、フィルタ143、弁体151の内部、大気弁座との隙間、本体部131に設けられた連通路等をとして、大量の大気が流入する。その結果、上述したように、負圧室R1と変圧室R2との間に圧力差が発生し、入力軸141の前方への作動に伴って可動隔壁120が前方に(フロントシェル部材111、即ち、本体部131のフランジ部131aに向けて)移動する。
負圧式倍力装置100は、上述したように、可動隔壁120のプレート部材121とバルブボディ130のフランジ部131aとの間に緩衝部材170が配置される。これにより、可動隔壁120とバルブボディ130とが相対移動した状況において、変圧室R2への大気の流入に伴って可動隔壁120が前方に移動する場合には、プレート部材121(可動隔壁120)はフランジ部131aとの間で緩衝部材170を押圧しながらバルブボディ130とともに前方に移動する。この場合、緩衝部材170は、突部172が本体部171よりも優先して弾性変形することにより、可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する際の衝撃を和らげる。従って、踏み込み操作の初期において可動隔壁120とバルブボディ130とが相対移動した場合であっても、その後に可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や当接音(異音)は緩衝部材170によって抑制される。
又、ブレーキペダル29の踏み込み操作が継続される場合、バルブボディ130はブレーキペダル29の移動(ストローク)に応じて前方に移動する。ところが、例えば、負圧制御弁部が負圧弁座に着座する状態又は大気弁座が大気制御弁部から離座する状態によって変圧室R2に流入する大気に変動が生じる場合、変圧室R2の圧力に変動が生じて可動隔壁120とバルブボディ130とが相対移動する状況が繰り返し生じ得る。このように、可動隔壁120とバルブボディ130とが繰り返し相対移動した場合であっても、緩衝部材170は、突部172が本体部171よりも優先して弾性変形することにより、可動隔壁120が間欠的にバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を抑制する。
運転者によってブレーキペダル29に対する踏み込み操作が解除されると、入力軸141及びプランジャー142が、バルブボディ130の本体部131に対して復帰非作動位置(原位置)に戻る。入力軸141及びプランジャー142が復帰非作動位置(原位置)に戻ると、大気制御弁部が大気弁座に着座し、負圧制御弁部が負圧弁座から離座する。この場合、変圧室R2と大気との連通が遮断され、且つ、負圧室R1と変圧室R2とが連通する。そして、この場合には、バルブボディ130の本体部131に設けられた連通路、負圧制御弁部と負圧弁座との隙間、負圧連通路132等を通して、変圧室R2から負圧室R1に空気が吸引される。その結果、変圧室R2の圧力と負圧室R1の圧力とは等しくなるので、リターンスプリングSの付勢力によって可動隔壁120及びバルブボディ130が後方に移動し、出力軸145が後方に移動する。これにより、出力軸145によるマスタシリンダ21のマスタピストン22,23の押圧が解除され、マスタシリンダ圧が減少する。
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態の負圧式倍力装置100は、中空状のブースタシェル110と、ブースタシェル110を負圧室R1と変圧室R2とに気密的に区画する環状のプレート部材121及び環状のダイアフラム122とから構成される環状の可動隔壁120と、一端側に径方向にて外方に向けて延設されたフランジ部131aを有し、可動隔壁120がフランジ部131aと対向するように連結された筒状のバルブボディ130と、バルブボディ130の内部に配設され、変圧室R2を負圧室R1及び大気に連通又は遮断する弁機構150と、を備えている。負圧式倍力装置100は、フランジ部131aにおいて可動隔壁120に対向するフランジ側対向面131a1と、可動隔壁120のプレート部材121においてフランジ側対向面131a1に対向する可動隔壁側対向面としてのプレート側対向面121aと、の間に配設されて、フランジ側対向面131a1及びプレート側対向面121aのうちの少なくとも一方であるプレート側対向面121aの側からフランジ側対向面131a1及びプレート側対向面121aのうちの他方であるフランジ側対向面131a1の側に向けて突出し、フランジ側対向面131a1に当接して弾性変形可能な緩衝部材170を備える、ように構成される。
この場合、緩衝部材170は、環状の本体部171と、本体部171の一面171bから本体部171の軸線の方向に沿って突出した突部172と、から構成される。そして、この場合、突部172は、本体部171の周方向に沿って、間欠的に設けられる。
これらによれば、緩衝部材170は、フランジ側対向面131a1とプレート側対向面121aとの間に配設される。即ち、緩衝部材170は、バルブボディ130の内部に配設される弁機構150から離間した位置に配置される。従って、緩衝部材170は、弁機構150を通して変圧室R2に流入される大気を絞ることなく、負圧式倍力装置100の作動時において弁機構150を通して変圧室R2に大気を制限することなく流入させることができる。その結果、バルブボディ130の移動(前進)に対して負圧室R1と変圧室R2にとの間の圧力差を速やかに発生させることができ、弁機構150の大気弁座が大気制御弁部から離座する状態となってからバルブボディ130及び可動隔壁120が圧力差によって移動(前進)を開始するまでの時間差を小さくすることができる。これにより、負圧式倍力装置100が倍力効果を発生するまでの作動応答性を良好に維持することができる。
又、緩衝部材170の突部172は、フランジ側対向面131a1とプレート側対向面121aにとの間に配設された状態で、本体部171の一面171bにてプレート側対向面121aの側からフランジ側対向面131a1の側に向けて突出し、フランジ側対向面131a1に当接して弾性変形することができる。即ち、緩衝部材170は、突部172が弾性変形することにより、可動隔壁120(より詳しくは、プレート部材121)がバルブボディ130のフランジ部131aに直接的に当接することを防止することができる。これにより、負圧式倍力装置100が作動してバルブボディ130と可動隔壁120とが相対移動する状況であっても、緩衝部材170は、可動隔壁120とバルブボディ130との当接による振動(衝撃)や異音の発生を効果的に抑制することができる。
ここで、例えば、上述した従来の負圧式倍力装置のようにオリフィス通路を有する場合、オリフィス通路が適正に変圧室に流入する大気を制限して振動等を抑制するためには、弁機構の成形時や組み付け時における構成部品の高い寸法精度及び組み付け精度を実現する必要がある。この場合、部品の歩留まり率の悪化を生じて負圧式倍力装置の生産性が低下する可能性がある。これに対して、負圧式倍力装置100においては、円環状の本体部171及び突状の突部172を有する緩衝部材170をフランジ側対向面131a1とプレート側対向面121aとの間に配設するのみで振動等を抑制することができる。これにより、極めて簡素な構成により振動(衝撃)や異音を低減することができるため、必要十分な寸法精度及び組み付け精度を確保すればよく、部品の歩留まり率を高めて負圧式倍力装置100の生産性を向上させることができる。
(実施形態の第一変形例)
上記実施形態においては、緩衝部材170が本体部171の周方向に沿ってそれぞれ分離されて配置された略球状の突部172を有するようにした。これに代えて、図5及び図6に示すように、緩衝部材170が、本体部171の周方向に沿って形成された溝173によって本体部171の径方向にて分離され、本体部171の周方向に沿って連続的に設けられた断面矩形状の突部174を有するようにすることも可能である。
この第一変形例においては、図5に示すように、本体部171に設けた溝173の溝底面が本体部171の一面171bとなる。これにより、溝173によって本体部171の径方向にて分離された二本の突部174は、図6に示すように、本体部171の周方向に沿って連続的に、且つ、本体部171の一面171bから本体部171の軸線の方向に向けて突出して形成される。
そして、この第一変形例における緩衝部材170も、図6に示すように、突部174がフランジ側対向面131a1に当接するように、換言すれば、本体部171の他面171cがプレート部材121に当接するようにバルブボディ130の本体部131に組み付けられる。これにより、緩衝部材170の突部174は、可動隔壁120におけるプレート側対向面121aの側から本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1の側に向けて突出し、フランジ側対向面131a1に当接する。
従って、この第一変形例においても、上記実施形態と同様に、可動隔壁120とバルブボディ130とが相対移動した場合において、緩衝部材170は、突部174が本体部171よりも優先して弾性変形することができる。これにより、緩衝部材170は、相対移動が生じて可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。従って、上記実施形態と同様の効果が得られる。又、第一変形例においては、本体部171に周方向に沿った溝173を設けることにより、突部174を形成することができる。このように本体部171に溝173を設けることによって突部174を形成することができるので、緩衝部材170を極めて容易に製造することができる。
(実施形態の第二変形例)
上記実施形態においては、緩衝部材170が本体部171の周方向に沿って略球状の突部172を有するようにした。これに代えて、図7及び図8に示すように、緩衝部材170が、本体部171の径方向に沿って形成されたスリット状の溝175によって分離されて、周方向に沿って配置された複数(この第二変形例においては八つ)の断面略矩形状の突部176を有することも可能である。
この第二変形例においては、図7に示すように、本体部171に設けられたスリット状の溝175によって八つの突部176が形成される。この場合、図7に示すように、本体部171に設けた溝175の溝底面が本体部171の一面171bとなる。これにより、溝175によって本体部171の周方向に沿って間欠的に分離された八つの突部176は、図8に示すように、本体部171の一面171bから本体部171の軸線の方向に向けて突出して形成される。
そして、この第二変形例における緩衝部材170も、図8に示すように、突部176がフランジ側対向面131a1に当接するように、換言すれば、本体部171の他面171cがプレート部材121に当接するようにバルブボディ130の本体部131に組み付けられる。これにより、緩衝部材170の突部176は、可動隔壁120におけるプレート側対向面121aの側から本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1の側に向けて突出し、フランジ側対向面131a1に当接する。
従って、この第二変形例においても、上記実施形態と同様に、可動隔壁120とバルブボディ130とが相対移動した場合において、緩衝部材170は、突部176が本体部171よりも優先して弾性変形することができる。これにより、緩衝部材170は、相対移動が生じて可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。従って、上記実施形態と同様の効果が得られる。
又、第二変形例においては、突部176がスリット状の溝175によって分離されて形成される。これにより、突部176がフランジ部131aのフランジ側対向面131a1に当接する当接面(即ち、受圧面)の受圧面積を大きくすることができる。このため、例えば、変圧室R2の容積が大きく設定されて上述した圧力差が大きくなる負圧式倍力装置100において、可動隔壁120が緩衝部材170を押圧する押圧力が大きくなっても、突部176は適切に弾性変形することができる。従って、緩衝部材170は、可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。更に、第二変形例においては、本体部171にスリット状の溝175を設けることにより、突部174を形成することができるので、緩衝部材170を極めて容易に製造することができる。
(上記実施形態の第三変形例)
上記実施形態及び上記各変形例においては、バルブボディ130の本体部131の外周面に対して緩衝部材170の本体部171の内周面171aが接触するように、緩衝部材170を組み付けるようにした。これに代えて、緩衝部材170を少なくともバルブボディ130のフランジ部131aに対して固定するようにすることも可能である。尚、この第三変形例においては、上記実施形態にて説明した突部172を有する緩衝部材170が固定される場合を例示して説明する。しかしながら、上記第一変形例及び上記第二変形例にて説明した突部174及び突部176を有する緩衝部材170がフランジ部131aに固定される場合も同様である。
この場合、図9に示すように、バルブボディ130のフランジ部131aのフランジ側対向面131a1に対して、フランジ部131aの周方向に沿って保持部としての保持溝131a2が形成される。そして、フランジ部131aに設けられた保持溝131a2に対して、緩衝部材170の本体部171の他面171c側が挿入されることにより、緩衝部材170がフランジ部131aに固定される。尚、この場合、図9に示すように、本体部171の内周面171aの内径の大きさは、バルブボディ130の本体部131の外周面の外径の大きさよりも大きく設定される。
この第三変形例における緩衝部材170は、フランジ部131aに設けられた保持溝131a2に他面171c側が挿入される。従って、緩衝部材170は、図9に示すように、突部172がプレート側対向面121aに当接するように、バルブボディ130の本体部131に組み付けられる。これにより、緩衝部材170の突部172は、一方である本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1の側から他方である可動隔壁120におけるプレート側対向面121aの側に向けて突出し、プレート側対向面121aに当接する。
この第三変形例においても、上記実施形態と同様に、可動隔壁120とバルブボディ130とが相対移動した場合において、緩衝部材170は、突部172が本体部171よりも優先して弾性変形することができる。これにより、この第三変形例においても、可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。従って、上記実施形態と同様の効果が得られる。
又、この第三変形例においては、バルブボディ130(本体部131)の外周面131b、フランジ部131aのフランジ側対向面131a1及び可動隔壁120(プレート部材121)のプレート側対向面121aのうちの少なくとも一つであるフランジ側対向面131a1に、緩衝部材170を保持する保持部としての保持溝131a2を設けることができる。これにより、第三変形例においては、保持溝131a2に緩衝部材170を固定する、即ち、緩衝部材170をフランジ部131a(バルブボディ130)に一体に設けることができる。このため、例えば、ブースタシェル110に固定された可動隔壁120に対してバルブボディ130を組み付ける際の組み付け作業性を向上させることができる。従って、負圧式倍力装置100を容易に組み立てることができるので、負圧式倍力装置100の生産性を向上させることができる。
ここで、緩衝部材170の固定に関しては、上述したようにバルブボディ130のフランジ部131aに緩衝部材170を固定することに代えて、図10に示すように、少なくとも可動隔壁120のプレート部材121に緩衝部材170を固定することも可能である。この場合、図10に示すように、可動隔壁120のプレート部材121のプレート側対向面121aに対して、プレート部材121の周方向に沿って保持部としての保持溝121a1が形成される。そして、プレート側対向面121aに設けられた保持溝121a1に対して、緩衝部材170の本体部171の他面171c側が挿入されることにより、緩衝部材170がプレート部材121に固定される。
これにより、緩衝部材170は、図10に示すように、突部172がフランジ側対向面131a1に当接するように、可動隔壁120のプレート部材121に組み付けられる。換言すれば、緩衝部材170をプレート部材121(可動隔壁120)に一体に設けることができる。従って、緩衝部材170の突部172は、可動隔壁120におけるプレート側対向面121aの側から本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1の側に向けて突出し、フランジ側対向面131a1に当接する。そして、この場合においても、可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。
更に、緩衝部材170の固定に関しては、上述したようにバルブボディ130のフランジ部131a及び可動隔壁120のプレート部材121に緩衝部材170を固定することに代えて、図11に示すように、少なくともバルブボディ130の本体部131に緩衝部材170を固定することも可能である。この場合、図11に示すように、本体部131の外周面131bに対して、本体部131の周方向に沿って保持部としての保持溝131b1が形成される。そして、本体部131の外周面131bに設けられた保持溝131b1に対して緩衝部材170の本体部171の内周面171aが挿入されることにより、緩衝部材170がバルブボディ130の本体部131に固定される。
これにより、緩衝部材170は、図11に示すように、突部172がフランジ側対向面131a1に当接するように、又は、図示を省略するが突部172がプレート側対向面121aに当接するように、バルブボディ130の本体部131に一体に組み付けられる。従って、緩衝部材170の突部172は、可動隔壁120におけるプレート側対向面121aの側から本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1の側に向けて(又は、本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1の側から可動隔壁120におけるプレート側対向面121aの側に向けて)突出し、フランジ側対向面131a1(又は、プレート側対向面121a)に当接する。そして、この場合においても、可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。
(実施形態の第四変形例)
上記実施形態及び上記各変形例においては、バルブボディ130及び可動隔壁120とは別体とした緩衝部材170を設けるようにした。これに代えて、図12に示すように、可動隔壁120を構成するダイアフラム122と一体に緩衝部材170を形成し、バルブボディ130のフランジ部131aと可動隔壁120のプレート部材121との間に緩衝部材170を配置するように構成することも可能である。尚、この第四変形例においては、上記実施形態にて説明した突部172を有する緩衝部材170がダイアフラム122と一体に形成される場合を例示して説明する。しかしながら、上記第一変形例及び上記第二変形例にて説明した突部174及び突部176を有する緩衝部材170がダイアフラム122と一体に形成される場合も同様である。
この場合、緩衝部材170は、図12に示すように、プレート部材121によって支持されるダイアフラム122の内周縁側から分岐するように形成される。そして、緩衝部材170は、他面171cがプレート部材121に当接した状態で固定される。これにより、第四変形例においては、プレート部材121の内周縁側は、ダイアフラム122及び緩衝部材170によって包囲されるようになる。
従って、この第四変形例における緩衝部材170は、図12に示すように、突部172がフランジ側対向面131a1に当接するように、可動隔壁120に組み付けられる。これにより、緩衝部材170の突部172は、可動隔壁120におけるプレート側対向面121aの側から本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1の側に向けて突出し、フランジ側対向面131a1に当接する。そして、この場合においても、可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。従って、上記実施形態及び上記第一変形例及び上記第二変形例と同様の効果が得られる。
又、この第四変形例においては、緩衝部材170を、可動隔壁120を構成するダイアフラム122と一体に設けることができる。従って、ダイアフラム122をプレート部材121に組み付ける(接着する)ことにより緩衝部材170を容易に固定することができるとともに、ブースタシェル110に固定された可動隔壁120に対してバルブボディ130を組み付ける際の組み付け作業性を向上させることができる。従って、負圧式倍力装置100を容易に組み立てることができるので、負圧式倍力装置100の生産性を向上させることができる。
(実施形態の第五変形例)
上記実施形態及び上記各変形例においては、緩衝部材170が環状の本体部171を有するようにした。これに代えて、図13及び図14に示すように、緩衝部材170を突状に形成された複数の突部材179のみから構成することも可能である。
この第五変形例においては、図13に示すように、突部材179は円錐状に形成される。そして、複数(例えば、上記実施形態の突部172と同様に五つ)の突部材179は、それぞれ、バルブボディ130の本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1及び可動隔壁120のプレート部材121におけるプレート側対向面121aのうちの一方に固定される。尚、第五変形例においては、複数の突部材179がフランジ側対向面131a1に固定される場合を例示して説明する。
この場合、図14に示すように、バルブボディ130のフランジ部131aのフランジ側対向面131a1に対して、フランジ部131aの周方向に沿って複数の保持部としての保持凹部131a3が形成される。そして、フランジ部131aに設けられた保持凹部131a3に対して、緩衝部材170を構成する複数の突部材179の底面179b(図13を参照)側が挿入されることにより、それぞれの突部材179(緩衝部材170)がフランジ部131aに固定される。
この第五変形例における突部材179(即ち、緩衝部材170)は、フランジ部131aに設けられた保持凹部131a3に底面179b側が挿入される。従って、突部材179(緩衝部材170)は、図14に示すように、突部材179の先端179a(図13を参照)がプレート側対向面121aに当接するように、バルブボディ130の本体部131に組み付けられる。これにより、突部材179は、本体部131のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1の側から可動隔壁120におけるプレート側対向面121aの側に向けて突出し、プレート側対向面121aに当接する。
この第五変形例においても、上記実施形態と同様に、可動隔壁120とバルブボディ130とが相対移動した場合において、緩衝部材170を構成するそれぞれの突部材179が弾性変形することができる。これにより、この第五変形例においても、可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。従って、上記実施形態と同様の効果が得られる。
又、この第五変形例においては、環状の本体部171を有することなく突部材179のみから緩衝部材170を構成することができるので、緩衝部材170を極めて容易に且つ安価に製造することができる。又、保持凹部131a3にそれぞれの突部材179を固定することができるので、例えば、ブースタシェル110に固定された可動隔壁120に対してバルブボディ130を組み付ける際の組み付け作業性を向上させることができる。従って、負圧式倍力装置100を容易に組み立てることができるので、負圧式倍力装置100の生産性を向上させることができる。
本発明の実施にあたっては、上記実施形態及び上記各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態においては、緩衝部材170が、本体部171の一面171bに形成された略球状(断面形状にて円弧状)となる突部172を有するようにした。これに代えて、緩衝部材170が、図15に示すように、本体部171の一面171bに形成された断面形状にて略台形状となる突部177を有することも可能である。この場合においても、突部177は、本体部171よりも優先して弾性変形することができる。従って、可動隔壁120とバルブボディ130とが相対移動した場合であっても、緩衝部材170は、可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。
又、上記第一変形例においては、緩衝部材170は、本体部171に周方向に沿った溝173を形成することにより、径方向に互いに離間した二本の周状の突部174を有するようにした。これに代えて、緩衝部材170が、図16に示すように、本体部171の一面171bに一本の周状の突部178を有することも可能である。この場合においても、突部178は、本体部171よりも優先して弾性変形することができる。従って、可動隔壁120とバルブボディ130とが相対移動した場合であっても、緩衝部材170は、可動隔壁120がバルブボディ130を押圧する状況において発生する振動(衝撃)や異音を効果的に抑制することができる。
又、上記実施形態及び上記第一変形例〜第四変形例においては、緩衝部材170の本体部171と突部172,174,176を同一の弾性材料(例えば、ゴム材料)から形成するようにした。又、上述した突部177,178も本体部171と同一の弾性材料(例えば、ゴム材料)から形成するようにした。これに代えて、本体部171と突部172,174,176,177,178とを異なる材料から形成することも可能である。
この場合、二色成形方法等を用いて、例えば、本体部171を樹脂材料から形成し、突部172,174,176,177,178を弾性材料から形成することができる。又、二色成形方法等を用いることにより、例えば、バルブボディ130の本体部131を樹脂材料から形成し、上記第五変形例における突部材179を弾性材料から形成し、本体部131(フランジ部131a)と突部材179とを一体に形成することも可能である。更に、二色成形方法等を用いることにより、例えば、可動隔壁120のプレート部材121を樹脂材料から形成し、上記第五変形例における突部材179を弾性材料から形成し、可動隔壁120(プレート部材121)と突部材179とを一体に形成することも可能である。
又、上記実施形態及び上記第一変形例〜第四変形例においては、緩衝部材170の突部172,174,176を本体部171の一面171bに設けるようにした。又、上述した突部177,178も本体部171の一面171bに設けるようにした。この場合、突部172,174,176,177,178を本体部171の一面171bに設けることに加えて、突部172,174,176,177,178を他面171cにも設けることが可能である。又、上記第五変形例においては、バルブボディ130のフランジ部131aにおけるフランジ側対向面131a1に突部材179を設けるようにした。この場合、突部材179をフランジ側対向面131a1に設けることに加えて、可動隔壁120のプレート部材121におけるプレート側対向面121aにも突部材179を設けることも可能である。このように、突部172,174,176,177,178及び突部材179を設けた場合であっても、上記実施形態及び上記各変形例と同様の効果が得られる。
更に、上記第三変形例においては、保持部としての周方向に沿って設けられた保持溝121a1,131a2,131b1を設けて、緩衝部材170を固定するようにした。又、上記第五変形例においては、保持部として保持凹部131a3を設け、突部材179を固定するようにした。これらに代えて、緩衝部材170及び突部材179を、フランジ部131aのフランジ側対向面131a1又はプレート部材121のプレート側対向面121aに対して、例えば、接着剤等により接着して固定するようにすることも可能である。又、これらに代えて、フランジ側対向面131a1又はプレート側対向面121aにおいて、周方向に沿って離間して(間欠的に)配置された保持穴(保持孔)を形成することも可能である。尚、この場合、緩衝部材170の内周面171a及び他面171cには、形成された保持穴(保持孔)と係合するように凸部が設けられる。
10…ブレーキ装置、20…シリンダ機構、21…マスタシリンダ、21a…第一マスタ室、21b…第二マスタ室、22,23…マスタピストン、24…マスタリザーバ、25〜28…ホイールシリンダ、29…ブレーキペダル、30…アクチュエータ、100…負圧式倍力装置、110…ブースタシェル、111…フロントシェル部材、111a…負圧導入口、111b…内面、112…リアシェル部材、112a…筒部、112b…シール部材、113…逆止弁、114…タイロッドボルト、114a…拡径部、115…リテーナ、116…リアボルト、120…可動隔壁、121…プレート部材、121a…プレート側対向面(可動隔壁側対向面)、121a1…保持溝(保持部)、122…ダイアフラム、122a…外周ビード部、122b…内周ビード部、122c…シート部、130…バルブボディ、131…本体部、131a…フランジ部、131a1…フランジ側対向面、131a2…保持溝(保持部)、131a3…保持凹部(保持部)、131b…外周面、131b1…保持溝(保持部)、132…負圧連通路、141…入力軸、142…プランジャー、143…フィルタ、144…反動部材、145…出力軸、145a…後方円筒部、146…円環部材、150…弁機構、151…弁体、160…ブーツ、170…緩衝部材、171…本体部、171a…内周面、171b…一面、171c…他面、172…突部、173…溝、174…突部、175…溝、176…突部、177…突部、178…突部、179…突部材(緩衝部材)、179a…先端、179b…底面、FL…左前輪、FR…右前輪、RL…左後輪、RR…右後輪、R1…負圧室、R2…変圧室、S…リターンスプリング

Claims (6)

  1. 中空状のブースタシェルと、
    前記ブースタシェルを負圧室と変圧室とに気密的に区画する環状の可動隔壁と、
    一端側に径方向にて外方に向けて延設されたフランジ部を有し、前記可動隔壁が前記フランジ部と対向するように連結された筒状のバルブボディと、
    前記バルブボディの内部に配設され、前記変圧室を前記負圧室及び大気に連通又は遮断する弁機構と、を備えた負圧式倍力装置であって、
    前記フランジ部において前記可動隔壁に対向するフランジ側対向面と、前記可動隔壁において前記フランジ側対向面に対向する可動隔壁側対向面と、の間に配設されて、前記フランジ側対向面及び前記可動隔壁側対向面のうちの少なくとも一方の側から前記フランジ側対向面及び前記可動隔壁側対向面のうちの他方の側に向けて突出し、前記他方に当接して弾性変形可能な緩衝部材を備える、ように構成された負圧式倍力装置。
  2. 前記緩衝部材は、
    前記可動隔壁及び前記バルブボディのうちの一方に一体に設けられる、請求項1に記載の負圧式倍力装置。
  3. 前記可動隔壁は、
    前記バルブボディの前記フランジ部に対向する環状のプレート部材と、前記プレート部材に支持される環状のダイアフラムと、から構成され、
    前記緩衝部材は、
    前記プレート部材及び前記ダイアフラムのうちの一方に一体に設けられる、請求項2に記載の負圧式倍力装置。
  4. 前記バルブボディの外周面、前記フランジ部の前記フランジ側対向面及び前記可動隔壁の前記可動隔壁側対向面のうちの少なくとも一つに、前記緩衝部材を保持する保持部を設けた、請求項1乃至請求項3のうちの何れか一項に記載の負圧式倍力装置。
  5. 前記緩衝部材は、
    環状の本体部と、
    前記本体部の一面から前記本体部の軸線の方向に沿って突出した突部と、から構成された、請求項1乃至請求項4のうちの何れか一項に記載の負圧式倍力装置。
  6. 前記突部は、
    前記本体部の周方向に沿って、連続的又は間欠的に設けられる、請求項5に記載の負圧式倍力装置。
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