JP2014162302A - 負圧式倍力装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】負圧式倍力装置において、作動応答性を阻害することなく、ブレーキ作動時に生じる振動や異音を抑制すること。
【解決手段】負圧式倍力装置においては、バルブボデー22の軸孔22a内に、プランジャ32、弁機構V、反動部材34、出力部材35が組付けられている。バルブボデー22とプランジャ32間には、これら両者間にて軸方向および径方向に弾性変形可能な弾性体61,62が設けられている。弾性体61,62は、両者22,32間の軸方向相対移動量が設定値未満であるとき、両者間の嵌合部内に収容されている。また、弾性体61,62は、両者間の軸方向相対移動量が設定値以上であるとき、両者間の嵌合部内から嵌合部外に突出して、プランジャ32がバルブボデー22に対して初期状態に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代をもって、両者により軸方向にて挟持されるように設定されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車に適用されるブレーキ装置の一構成部品である負圧式倍力装置に関するものである。
一般的に、負圧式倍力装置においては、ハウジング内を前方の負圧室と後方の変圧室とに区画する可動隔壁に連結されたバルブボデーが軸孔を備えていて、この軸孔内には、前記バルブボデーに対して軸方向に進退可能で入力部材と一体的に移動するプランジャと、このプランジャの前記バルブボデーに対する進退移動に応じて前記負圧室と前記変圧室間を連通・遮断する負圧弁および前記変圧室と大気間を連通・遮断する大気弁を備えた弁機構が組み込まれるとともに、前記プランジャの前端部と前記バルブボデーの前端部が後面に係合可能な反動部材と、この反動部材の前面に後端部にて係合し前記バルブボデーに対して軸方向に移動可能な出力部材が組付けられている。かかる負圧式倍力装置は、例えば、下記の特許文献1に記載されている。
特開2004−306949号公報
上記した特許文献1に記載されている負圧式倍力装置においては、バルブボデー(ピストン)とプランジャ間の嵌合部内にOリング(弾性体)が組付けられていて、このOリング(弾性体)によって得られる摩擦力により、バルブボデー(ピストン)とプランジャ間の軸方向相対移動が減衰されるように構成されている。これにより、弁機構での大気弁と負圧弁の挙動を安定化させることができ、ブレーキ作動時(踏込作動時・戻し作動時)に生じる振動や異音を抑制することが可能である。
ところで、上記特許文献1に記載されている負圧式倍力装置においては、Oリング(弾性体)によって得られる摩擦力により、バルブボデー(ピストン)とプランジャ間の軸方向相対移動が減衰されるように構成されているため、バルブボデー(ピストン)とプランジャ間の軸方向相対移動量に拘わらず、減衰特性は略一定である。このため、バルブボデー(ピストン)とプランジャ間の軸方向相対移動量が設定値以上であるときに要求される大きな減衰特性が得られるように設定すると、バルブボデー(ピストン)とプランジャ間の軸方向相対移動量が設定値未満であるときにも大きな減衰特性が得られて、当該装置の作動応答性が悪くなる。一方、バルブボデー(ピストン)とプランジャ間の軸方向相対移動量が設定値未満であるときに小さな減衰特性が得られて、作動応答性が良好となるように設定すると、バルブボデー(ピストン)とプランジャ間の軸方向相対移動量が設定値以上であるときにも小さな減衰特性が得られて、所期の機能(要求される振動や異音の抑制機能)が得られなくなる。
本発明は、上記した課題を解消すべくなされたもの(すなわち、当該負圧式倍力装置の作動応答性を阻害することなく、ブレーキ作動時に生じる振動や異音を効果的に抑制するもの)であり、ハウジング内を前方の負圧室と後方の変圧室とに区画する可動隔壁に連結されたバルブボデーが軸孔を備えていて、この軸孔内には、前記バルブボデーに対して軸方向に進退可能で入力部材と一体的に移動するプランジャと、このプランジャの前記バルブボデーに対する進退移動に応じて前記負圧室と前記変圧室間を連通・遮断する負圧弁および前記変圧室と大気間を連通・遮断する大気弁を備えた弁機構が組み込まれるとともに、前記プランジャの前端部と前記バルブボデーの前端部が後面に係合可能な反動部材と、この反動部材の前面に後端部にて係合し前記バルブボデーに対して軸方向に移動可能な出力部材が組付けられている負圧式倍力装置であって、前記バルブボデーと前記プランジャ間には、これら両者間にて軸方向および径方向に弾性変形可能な弾性体が設けられていて、前記両者間の軸方向相対移動量が設定値未満であるとき、前記弾性体が、前記両者間の嵌合部内に収容され、また、前記両者間の軸方向相対移動量が設定値以上であるとき、前記弾性体が、前記両者間の嵌合部内から嵌合部外に突出して、前記プランジャが前記バルブボデーに対して初期状態に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代をもって、前記両者により軸方向にて挟持されるように設定されている負圧式倍力装置に特徴がある。
ところで、本発明による負圧式倍力装置においては、上記したように、バルブボデーとプランジャ間の軸方向相対移動量が設定値以上であるとき、弾性体が、前記両者間の嵌合部内から嵌合部外に突出して、プランジャがバルブボデーに対して初期状態に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代をもって、前記両者により軸方向にて挟持されるように設定されている。このため、バルブボデーとプランジャ間の軸方向相対移動量が設定値以上であるときには、プランジャがバルブボデーに対して初期状態に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代をもって前記両者により軸方向にて挟持される弾性体にて、バルブボデーとプランジャ間の軸方向相対移動を、必要十分な高い荷重で抑制することが可能であり、要求される大きな減衰特性が得られる。
また、本発明による負圧式倍力装置においては、バルブボデーとプランジャ間の軸方向相対移動量が設定値未満であるとき、弾性体が前記両者間の嵌合部内に収容されるように設定されていて、バルブボデーとプランジャ間の軸方向相対移動が低い荷重で抑制されるように設定することが可能である。このため、バルブボデーとプランジャ間の軸方向相対移動量が設定値未満であるときには、弾性体にて小さな減衰特性が得られて、当該装置の作動応答性を良好とすることが可能である。
上記した本発明の実施に際して、前記両者間の軸方向相対移動量は、前記プランジャの前記バルブボデーに対する前進時(踏込作動時)におけるものであっても、また、前記プランジャの前記バルブボデーに対する後退時(戻し作動時)におけるものであってもよく、或いは、前記プランジャの前記バルブボデーに対する前進時と後退時におけるものであってもよい。
本発明による負圧式倍力装置の第1実施形態(一対の弾性体をプランジャに組付けた実施形態)を示した縦断側面図である。 図1に示した負圧式倍力装置の要部拡大断面図である。 図2に示した要部の非作動時における部分拡大断面図である。 図2に示した要部の踏込作動時(前進作動時)における部分拡大断面図である。 図2に示した要部の戻し作動時(後退作動時)における部分拡大断面図である。 本発明による負圧式倍力装置の第2実施形態(一対の弾性体をバルブボデーに組付けた実施形態)の要部を示した図3相当の部分拡大断面図である。 本発明による負圧式倍力装置の第3実施形態(プランジャに組付けた一つの弾性体にて踏込作動時と戻し作動時に第1実施形態と同様の作用効果が得られる実施形態)の要部を示した図3相当の部分拡大断面図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明による負圧式倍力装置の第1実施形態を示していて、この第1実施形態の負圧式倍力装置においては、ハウジング10に可動隔壁21とバルブボデー22を備えるパワーピストン20が前後方向(図1の左右方向)に移動可能に組付けられていて、ハウジング10内が可動隔壁21により前方の負圧室R1と後方の変圧室R2とに区画されている。
ハウジング10は、前方シェル11と後方シェル12を備えるとともに、前方シェルに気密的に設けられて負圧室R1を負圧源(例えば、図示省略のエンジンの吸気マニホールド)に常時連通させるための負圧導入管13を備えている。このハウジング10は、後方シェル12を気密的に貫通する複数本の取付ボルト14と、前方シェル11と後方シェル12を気密的に貫通する複数本の取付ボルト15の後方部位にて静止部材、すなわち車体(図示省略)に固定され、取付ボルト15の前方部位にてブレーキマスタシリンダ(図示省略)を支持するように構成されている。
ブレーキマスタシリンダは、公知のものであり、そのシリンダ本体(図示省略)の後端部にて前方シェル11に気密的に組付けられている。また、ブレーキマスタシリンダのピストン(図示省略)は、シリンダ本体から後方に突出して負圧室R1内に突入しており、後述する出力軸35の先端部35aによって前方に押動されるように構成されている。
パワーピストン20の可動隔壁21は、環状のプレート21aと、環状のダイアフラム21bとからなり、ハウジング10内にて前後方向(パワーピストン20の軸方向)へ移動可能に設置されている。ダイアフラム21bは、その外周縁に形成された環状の外周ビード部21b1にて、ハウジング10に気密的に挟持されている。また、ダイアフラム21bは、その内周縁に形成された環状の内周ビード部21b2にて、プレート21aの内周部とともにバルブボデー22に外周部に気密的に固定されている。
パワーピストン20のバルブボデー22は、可動隔壁21の内周部に連結された樹脂製の中空体であって、円筒状に形成された中間部位にてハウジング10の後方シェル12に気密的かつ前後方向(パワーピストン20の軸方向)へ移動可能に組付けられており、ハウジング10の前方シェル11との間に介装されたリターンスプリング23によって後方に向けて付勢されている。なお、バルブボデー22のハウジング10外に突出する部位は、後端に複数の通気孔19aを有するブーツ19によって被覆保護されている。
また、バルブボデー22には、前後方向にて貫通する段付の軸孔22aが形成されるとともに、この軸孔22aの中間段部に後端にて連通するとともに前端にて負圧室R1に連通する一対の(図1および図2では一方のみが示されている)負圧連通路22bと、軸孔22aの前方部分に略直交していてキー部材39を外周から挿通可能なキー取付孔22cが形成されている。
上記した軸孔22aには、入力軸31とプランジャ32が同軸的に組付けられるとともに、弁機構Vとフィルタ51,52が同軸的に組付けられている。また、上記した軸孔22aには、プランジャ32の前方に、連結部材33、反動部材34および出力軸(出力部材)35が同軸的に組付けられている。
入力軸31は、バルブボデー22に対して進退可能であり、球状先端部31aにてプランジャ32の受承連結部32cに関節状に連結され、後端ねじ部31bにてヨークを介してブレーキペダル(共に図示省略)に連結されていて、ブレーキペダルに作用する踏力を入力として前方に向けて受けるように構成されている。また、入力軸31は、その中間段部に係止されたリテーナ36を介してリターンスプリング37に係合していて、リターンスプリング37によって後方に向けて付勢されている。
プランジャ32は、その先端部32aにて連結部材33を介して反動部材34における後面の中央部位に当接可能であるとともに、その中間部に形成した環状溝部32bにてキー部材39に係合可能であって、先端部32aが反動部材34から連結部材33を介して出力の反力を部分的に受ける部分である。また、プランジャ32の後端には、弁機構Vにおける環状の大気弁座32dが形成されている。このプランジャ32は、先端部32aと中間部32eにて、バルブボデー22の軸孔22aに軸方向にて摺動可能に嵌合されている。なお、プランジャ32の中間部32eが嵌合する軸孔22a部位には、軸方向に延びる連通溝22a1(図2参照)が形成されていて、この連通溝22a1を通して空気が軸方向に流通可能とされている。
反動部材34は、その後面の中央部位が後方に膨出変形可能であり、出力軸35の後方円筒部35b内に収容されて前面全体にて出力軸35の後端部後面に係合(当接)した状態にて、出力軸35の後方円筒部35bとともにバルブボデー22の前端部に組付けられている。この反動部材34は、その後面にて、プランジャ32の先端部32a前面に連結部材33を介して当接可能であるとともに、バルブボデー22の円環状前端面に当接している。
出力軸35は、反動部材34とともにバルブボデー22の軸孔22aの前端部内に前後方向へ移動可能に組付けられていて、先端部35aにてブレーキマスタシリンダにおけるピストンの係合部(凹部)に押動可能に当接しており、制動作動時にはブレーキマスタシリンダのピストンから受ける反力を反動部材34に伝達するようになっている。
キー部材39は、パワーピストン20のバルブボデー22に対するプランジャ32の前後方向移動を規定する機能と、ハウジング10に対するパワーピストン20の後方への移動限界位置(バルブボデー22の後方復帰位置)を規定する機能を有していて、バルブボデー22とプランジャ32のそれぞれに対してパワーピストン20の軸方向に所要量相対移動可能に組付けられている。
弁機構Vは、バルブボデー22における負圧連通路22bの後端部に一体的に形成した円弧形状又は円形状の負圧弁座22dと、プランジャ32の後端部に一体的に形成した環状の大気弁座32dと、この大気弁座32dに対して同軸的に配置されてバルブボデー22の軸孔22a内に組付けた筒状の弁体41を備えている。弁体41は、環状の取付部41aと、この取付部41aに一体的に形成されて軸方向に移動可能な筒状の可動部41bを有している。
取付部41aは、バルブボデー22の軸孔22a内に気密的に組付けられていて、リテーナ42によってバルブボデー22における軸孔22aの定位置(段部)に固定保持されている。なお、リテーナ42は、リターンスプリング37によって前方に向けて付勢されていて、バルブボデー22における軸孔22aの段部に固定されている。
可動部41bは、負圧弁座22dに対して着座・離座可能で負圧弁座22dとにより、負圧室R1と変圧室R2間を連通・遮断可能な負圧弁を構成する負圧弁部41b1を有するとともに、大気弁座32dに対して着座・離座可能で大気弁座32dとにより、変圧室R2と大気間を連通・遮断可能な大気弁を構成する環状の大気弁部41b2を有している。この可動部41bは、圧縮スプリング43によって前方に向けて付勢されている。
上記した弁機構Vの構成によって、変圧室R2は、入力軸31およびプランジャ32のバルブボデー22に対する前後方向の移動に応じて、負圧室R1または大気に連通可能である。すなわち、入力軸31およびプランジャ32がバルブボデー22に対して図1〜図3の原位置(復帰位置)から前方へ移動して、負圧弁部41b1が負圧弁座22dに着座し、大気弁座32dが大気弁部41b2から離座したときには、変圧室R2が負圧室R1との連通を遮断されて大気に連通する。このときには、ブーツ19の通気孔19a、フィルタ51,52、弁体41の内部、大気弁座32dと大気弁部41b2間の隙間、バルブボデー22に設けた連通路等を通して、変圧室R2に大気が流入する。
また、入力軸31およびプランジャ32がバルブボデー22に対して復帰位置(原位置)に戻って、大気弁座32dが大気弁部41b2に着座し、負圧弁部41b1が負圧弁座22dから離座している状態(すなわち、大気弁が閉じて、変圧室R2と大気との連通が遮断され、かつ、負圧弁が開いて、負圧室R1と変圧室R2とが連通している状態)では、変圧室R2が大気との連通を遮断されて負圧室R1に連通する。このときには、バルブボデー22に設けた連通路、負圧弁部41b1と負圧弁座22d間の隙間、負圧連通路22b等を通して、変圧室R2から負圧室R1に空気が吸引されて流れる。
ところで、この第1実施形態においては、バルブボデー22とプランジャ32間に、これら両者22,32間にて軸方向および径方向に弾性変形可能な前後一対の弾性体61,62が設けられている。各弾性体61,62は、当該装置の非作動時において、図3に示したように、バルブボデー22とプランジャ32間の嵌合部内に所定位置(初期状態)で収容されている。
前方の弾性体61は、ゴム製のOリングであり、プランジャ32の中間部32e外周に形成した前方の環状溝32r1に組付けられている。この弾性体61は、バルブボデー22とプランジャ32間の嵌合部内から嵌合部外に突出した状態にて、図4に示したように、環状溝32r1から径方向外周に所定量突出するように構成されている。このため、弾性体61は、当該装置の踏込作動時(前進作動時)において、両者22,32間の前方への軸方向相対移動量が設定値以上であるとき、図4に示したように、両者22,32間の嵌合部内から嵌合部外に突出して、プランジャ32がバルブボデー22に対して初期状態(図3に示した状態)に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代Aをもって、両者22,32により軸方向にて挟持されるように設定されている。また、弾性体61は、両者22,32間の前方への軸方向相対移動量が設定値未満であるとき、両者22,32間の嵌合部内に収容されていて、外周部にて軸孔22aの内壁に摺接している(小さい摺動抵抗にて摺動可能に接している)。
一方、後方の弾性体62は、ゴム製のOリングであり、プランジャ32の中間部32e外周に形成した後方の環状溝32r2に組付けられている。この弾性体62は、バルブボデー22とプランジャ32間の嵌合部内から嵌合部外に突出した状態にて、図5に示したように、環状溝32r2から径方向外周に所定量突出するように構成されている。このため、弾性体62は、当該装置の戻し作動時(後退作動時)において、両者22,32間の後方への軸方向相対移動量が設定値以上であるとき、図5に示したように、両者22,32間の嵌合部内から嵌合部外に突出して、プランジャ32がバルブボデー22に対して初期状態に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代B(この径方向かかり代Bは、上記した径方向かかり代Aと同じであっても異なっていてもよい)をもって、両者22,32により軸方向にて挟持されるように設定されている。また、弾性体62は、両者22,32間の後方への軸方向相対移動量が設定値未満であるとき、両者22,32間の嵌合部内に収容されていて、外周部にて軸孔22aの内壁に摺接している(小さい摺動抵抗にて摺動可能に接している)。
上記のように構成したこの第1実施形態の負圧式倍力装置においては、上記したように、当該装置の踏込作動時(前進作動時)または当該装置の戻し作動時(後退作動時)の何れの場合においても、バルブボデー22とプランジャ32間の軸方向相対移動量が設定値以上であるとき、弾性体61または62が、両者22,32間の嵌合部内から嵌合部外に突出して、プランジャ32がバルブボデー22に対して初期状態に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代AまたはBをもって、両者22,32により軸方向にて挟持されるように設定されている。
このため、バルブボデー22とプランジャ32間の軸方向相対移動量が設定値以上であるときには、プランジャ32がバルブボデー22に対して初期状態に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代AまたはBをもって両者22,32により軸方向にて挟持される弾性体61または62にて、バルブボデー22とプランジャ32間の軸方向相対移動を、必要十分な高い荷重で抑制することが可能であり、要求される大きな減衰特性が得られる。なお、上記した径方向かかり代AまたはBは、適宜設定可能であり、上記実施形態に比して大きく設定した場合には、上記したバルブボデー22とプランジャ32間の軸方向相対移動が、上記実施形態に比して高い荷重にて抑制され、また、上記実施形態に比して小さく設定した場合には、上記したバルブボデー22とプランジャ32間の軸方向相対移動が、上記実施形態に比して低い荷重にて抑制される。
また、この第1実施形態の負圧式倍力装置においては、バルブボデー22とプランジャ32間の軸方向相対移動量が設定値未満であるとき、弾性体61または62が両者22,32間の嵌合部内に収容されるように設定して、バルブボデー22とプランジャ32間の軸方向相対移動が低い荷重で抑制されるように設定することが可能である。このため、バルブボデー22とプランジャ32間の軸方向相対移動量が設定値未満であるときには、弾性体61または62にて小さな減衰特性が得られて、当該装置の作動応答性を良好とすることが可能である。
上記した第1実施形態(図1〜図5に示した実施形態)においては、プランジャ32側に環状溝32r1,32r2と弾性体61,62を設けて実施したが、図6に示した第2実施形態のように、バルブボデー22側に環状溝22r1,22r2と弾性体61,62を設けて実施することも可能である。また、上記した第1実施形態と第2実施形態では、前後一対の弾性体61,62を設けて実施したが、図7に示した第3実施形態のように、プランジャ32側に一つの環状溝32rと弾性体61を設けて実施することも可能である。なお、一つの環状溝32rと弾性体61を設けて実施する場合において、同環状溝と弾性体をバルブボデー22側に設けて実施することも可能である。
上記した第2実施形態と第3実施形態においても、バルブボデー22とプランジャ32間(両者間)の軸方向相対移動量が設定値未満であるとき、弾性体(61,62または61)が、両者間の嵌合部内に収容され、また、両者間の軸方向相対移動量が設定値以上であるとき、弾性体が、両者間の嵌合部内から嵌合部外に突出して、プランジャ32がバルブボデー22に対して初期状態に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代をもって、両者により軸方向にて挟持されるように設定されている。このため、上記した第2実施形態と第3実施形態においても、上記した第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
上記した各実施形態においては、プランジャのバルブボデーに対する前進時(踏込作動時)と、プランジャのバルブボデーに対する後退時(戻し作動時)の何れの場合においても、バルブボデーとプランジャ間の軸方向相対移動が、バルブボデーとプランジャ間に設けられて、所定の径方向かかり代をもって、バルブボデーとプランジャにより軸方向にて挟持される弾性体により抑制されるように構成して実施したが、本発明は、踏込作動時と戻し作動時の何れか一方において、バルブボデーとプランジャ間の軸方向相対移動が、バルブボデーとプランジャ間に設けられて、所定の径方向かかり代をもって、バルブボデーとプランジャにより軸方向にて挟持される弾性体により抑制されるように構成して実施することも可能である。
また、上記した各実施形態においては、シングル式の負圧式倍力装置に本発明を実施したが、本発明は、例えば、タンデム式の負圧式倍力装置にも、上記した各実施形態と同様にまたは適宜変更して、実施することが可能であり、上記した実施形態に限定されるものではない。
10…ハウジング、20…パワーピストン、21…可動隔壁、22…バルブボデー、22a…軸孔、22b…負圧連通路、22c…キー取付孔、22d…負圧弁座、31…入力軸(入力部材)、32…プランジャ、32d…大気弁座、34…反動部材、35…出力軸(出力部材)、39…キー部材、41…弁体、41a…取付部、41b…可動部、41b1…負圧弁部、41b2…大気弁部、61,62…弾性体、A,B…所定の径方向かかり代、V…弁機構、R1…負圧室、R2…変圧室

Claims (4)

  1. ハウジング内を前方の負圧室と後方の変圧室とに区画する可動隔壁に連結されたバルブボデーが軸孔を備えていて、この軸孔内には、前記バルブボデーに対して軸方向に進退可能で入力部材と一体的に移動するプランジャと、このプランジャの前記バルブボデーに対する進退移動に応じて前記負圧室と前記変圧室間を連通・遮断する負圧弁および前記変圧室と大気間を連通・遮断する大気弁を備えた弁機構が組み込まれるとともに、前記プランジャの前端部と前記バルブボデーの前端部が後面に係合可能な反動部材と、この反動部材の前面に後端部にて係合し前記バルブボデーに対して軸方向に移動可能な出力部材が組付けられている負圧式倍力装置であって、
    前記バルブボデーと前記プランジャ間には、これら両者間にて軸方向および径方向に弾性変形可能な弾性体が設けられていて、前記両者間の軸方向相対移動量が設定値未満であるとき、前記弾性体が、前記両者間の嵌合部内に収容され、また、前記両者間の軸方向相対移動量が設定値以上であるとき、前記弾性体が、前記両者間の嵌合部内から嵌合部外に突出して、前記プランジャが前記バルブボデーに対して初期状態に向けて軸方向に移動する際に、所定の径方向かかり代をもって、前記両者により軸方向にて挟持されるように設定されている負圧式倍力装置。
  2. 請求項1に記載の負圧式倍力装置において、
    前記両者間の軸方向相対移動量は、前記プランジャの前記バルブボデーに対する前進時におけるものであることを特徴とする負圧式倍力装置。
  3. 請求項1に記載の負圧式倍力装置において、
    前記両者間の軸方向相対移動量は、前記プランジャの前記バルブボデーに対する後退時におけるものであることを特徴とする負圧式倍力装置。
  4. 請求項1に記載の負圧式倍力装置において、
    前記両者間の軸方向相対移動量は、前記プランジャの前記バルブボデーに対する前進時と後退時におけるものであることを特徴とする負圧式倍力装置。
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