JP2013087342A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼結機の生産率と焼結鉱の歩留の両方を向上させる焼結鉱の製造方法を提供する。
【解決手段】低品位炭を熱分解して製造されたチャーを焼結機における凝結材として用いる焼結鉱の製造方法であって、前記低品位炭が、揮発分の含有量が30質量%以上、51質量%以下の石炭であり、前記チャーの平均燃焼速度が、粉コークスに対して1.05倍以上、1.22倍以下である。チャーの揮発分の含有量が5質量%以下であり、チャーを粉コークスと置換して用いることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、焼結鉱の製造方法に関する。
焼結鉱製造プロセスは、粉鉄鉱石及び焼結工場系内、焼結工場系外で発生する篩下粉、ダスト、ミルスケール等の鉄分を含む原料(雑鉄源)並びに石灰石などの造滓材(副原料)を焼結原料とする。前記焼結原料に燃料としてコークス、石炭等の凝結材、および返鉱(成品粒度を満足しなかった焼結鉱で再度焼結処理を行うために循環しているもの)を加えて配合原料とする。現在、一般に行われているドワイトロイド(DL)式焼結機の焼結鉱製造プロセスでは、前記配合原料からなる充填層の下方を負圧とし、上方から下方に空気を流通させて配合原料中の凝結材を燃焼させる。発生した燃焼熱により焼結原料を焼結して塊成化した焼結鉱を製造する。この焼結鉱を高炉では主要な原料として使用する。
焼結鉱製造プロセスでは、揮発分の高い凝結材の使用ができない。揮発分の高い凝結材は、その燃焼により発生するタールその他の副生物が、焼結原料層の下部で再凝固し燃焼時の通気性を悪化させる原因と成り、又、焼結機の排気系統に付着し、支障をきたすからである。又、タールは、発がん性の特定化学物質の指定を受けており、タール除去の取り扱いは、厳重に管理されなければならない。そこで、現状、焼結鉱製造プロセスでは、揮発分の少ない粉コークスと無煙炭が、凝結材として使用されている。
粉コークスは、製鉄所で製造するコークスのうち、高炉の製造に適した整粒コークスを篩い出した後の粒径の小さなコークスである。しかし、高炉が使用する整粒コークスに対し、粉コークスの量は少なく、焼結鉱製造用コークスとして不足する。
一方、揮発分の少ない石炭、即ち、無煙炭は、その埋蔵量が枯渇してきている。
そこで、粉コークスや、無煙炭に代替する揮発分の低い凝結材が望まれている。製鉄所の焼結鉱製造プロセスは、大量生産のプロセスであるため、粉コークスや無煙炭に代替する揮発分の低い凝結材の原料としては、大量の入手が可能で安価な褐炭、亜瀝青炭のような低品位炭が考えられる。
高品位の瀝青炭である粘結炭を乾留した場合、石炭中の揮発分は、石炭ガス、タールとして放出され、残留後の固形分はコークスとなる。一方、低品位炭を加熱して熱分解すると、石炭中の揮発分は石炭ガスとして放出され、同時にタールも石炭ガスとともに放出され、残留後の残渣の固形分は、チャーとなる。チャーの形状は、残留後も、ほとんど原形のままであるが,多少の亀裂を生じて膨張または収縮し、砕けやすい性質となっている。成分的には,炭素分と灰分よりなり、焼結鉱製造プロセスの粉コークスや無煙炭に代替する揮発分の低い凝結材とすることができる。
コークスは、石炭を1200℃〜1300℃の高温で乾留し、揮発分を除去して製造されるのに対し、チャーは、一般に石炭を300℃〜900℃で熱分解して製造されるため、チャーに含まれる水素が多い。コークスに含有される水素は、0.2%程度であるのに対して、チャーに含有される水素は、1%〜2%である。
したがって、焼結鉱の製造において、粉コークスの替わりにチャーを用いれば、焼結工程から排出されるCOが削減され、地球環境に対するCO低減に寄与できる。
又、チャーは、一般的に燃焼速度が速いので、焼結工程において、生産性が上昇する効果が期待できる。さらに、焼結工程における焼結歩留まりへの影響も考えられる。
これまで、石炭を300℃〜900℃で熱分解して製造したチャーを焼結用炭材の全量または一部として使用する提案がある(特許文献1)。
循環流動層を用いて石炭(亜瀝青炭、褐炭)を600℃〜900℃で熱分解して製造したチャーを焼結用炭材として利用する提案がある(特許文献2)。
特開平5−230558号公報 特開2010−254929号公報
特許文献1の課題はCO削減を主とするものであり、焼結鉱の生産性についての記載は無い。チャー中の水素分を使用することがキーであり、300℃〜600℃の比較的低温で製造したチャーを用いる方が好ましいとしているが、揮発分が高いと想定される。そして、焼結鉱生産性及び歩留に優れたチャーの製造に適した石炭に関しての検討はなされていない。
特許文献2の提案は、低温側で熱分解を行い、揮発分が比較的多く残留したチャー(実施例では揮発分13%を含有するチャー)を用いると、揮発分の燃焼熱により、焼結の歩留が向上し、好ましいとしている。しかし、石炭を亜瀝青炭、褐炭に限定しており、現在国内でいわゆる一般炭として多く流通している高揮発瀝青炭クラスの石炭から作成したチャーを使用した場合の作用については言及されていない。
焼結鉱製造プロセスにおいて、粉コークス及び無煙炭に代替する揮発分が低い凝結材が望まれている。
本発明の目的は、低品位炭から製造したチャーを焼結機における凝結材として用いることによって、焼結機の生産率と焼結鉱の歩留の両方を向上させる焼結鉱の製造方法を提供することである。
本発明者等は、種々の石炭を種々の条件で乾留して得たチャーを焼結用炭材として使用した際の焼結生産性向上効果を調べた。その結果、低品位炭から所定の条件で製造し、かつその燃焼速度がコークスと比較して一定の範囲にあるチャーを焼結機における凝結材として用いることによって、焼結機の生産率と焼結鉱の歩留の両方を向上させことができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
本発明の要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)低品位炭を熱分解して製造されたチャーを焼結機における凝結材として用いる焼結鉱の製造方法であって、
前記低品位炭が、揮発分の含有量が30質量%以上、51質量%以下の石炭であり、
前記チャーの平均燃焼速度が、粉コークスに対して1.05倍以上、1.22倍以下であることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
但し、前記平均燃焼速度は、熱天秤に測定試料10mgを設置後、窒素を100mL/min流通させた状態で、50℃/minの昇温速度にて加熱を行い、試料温度が750℃に到達後、直ちに流通ガスを窒素から空気100ml/minへ切り替え、その重量減少を測定し、その結果得られた反応時間tと反応率X(X=各時間における重量減少量/試料の初期重量)のデータから各反応率における反応速度dX/dtを算出し、X=0〜0.6までの平均値を算出したものである。
(2)前記チャーの揮発分の含有量が5質量%以下であることを特徴とする(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
(3)前記(1)及び(2)のいずれかに記載のチャーを粉コークスと置換して用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
本発明によれば、低品位炭から製造したチャーを焼結機における凝結材として用いることによって、焼結機の生産率と焼結鉱の歩留の両方を向上させることができる。
本発明者らは、種々の石炭を種々の条件で乾留して得たチャーを焼結用炭材として使用した際の焼結歩留・生産性向上効果を調べた。その結果、焼結の燃焼進行速度は炭材の燃焼速度に概ね比例すること、焼結の歩留は燃焼速度が過大となると低下すること、両者の積である焼結生産性は、置換したチャーの燃焼速度に第1に左右され、それがコークスと比較して1.05倍以上、1.22倍以下の範囲とすれば、焼結生産性の向上効果が概ね得られることを見出した。本願は、かかる知見に基づいて発明されたものである。
本願第1発明の第1の構成要件として、チャーの原料となる石炭を、揮発分の含有量が30質量%以上、51質量%以下の低品位石炭と規定した。
高揮発分の低品位炭を原料としたチャーは、粉コークスに比較して燃焼速度が速い。その理由は以下によると考えられる。即ち、粉コークスの場合は、原料は、粘結性を有する石炭であり、加熱により粘結成分が液状化し、揮発分により発生するガスは液状の石炭内で合体し、大きな気泡となり抜けていくため、微細な気孔は少ない。これに対し、高揮発分の低品位炭を原料としたチャーは、石炭に粘結成分がないため液状化せず微細な気孔が多く残ることにより、粉コークスに比較して燃焼速度が速くなると考えられる。また、コークスを構成する炭素のグラファイト化(結晶化)が進行していることも、チャーと比較して燃焼速度が遅い要因であるものと考えられる。したがって、チャーの原料は、揮発分がある程度高い低品位炭であることが望ましく、揮発分の含有量は、30質量%以上が必要となる。一方、揮発分が過剰な低品位炭では、チャーに過剰な気孔が残留して燃焼速度が過大となる。また、乾留後の強度が低下して好ましい粒度のチャーが得られない。これにより、チャーの原料である低品位炭の揮発分の含有量は、51%以下が必要である。
第2の構成要件として、チャーの燃焼速度をコークスと比較して1.05倍以上、1.22倍以下の範囲とする。燃焼速度が1.22倍を超えると燃焼速度が過大となり焼成温度が低下して歩留が低下する。この影響で生産率も低下する。
第2の発明では、さらに、チャーの残留揮発分含有量は5%以下が好ましいとした。
焼結用炭材中の揮発分は排ガスに持ち込まれて電気集塵機の火災の原因となるため、通常5%以下に管理されている。このため、第1の発明で得られたチャーにおいて、さらに揮発分が5%以下であれば、コークスとの置換に際してその制約がなく、第1の発明の効果を十分に発揮できる。現在粉コークスに代替使用されている無煙炭の揮発分も5%程度であり、この条件を満たしたものとなっている。
高揮発分の低品位炭を原料とし、熱分解(炭化)温度を変更して得られる各種チャーの工業分析値を表1に例示する。表1で、神華炭とは中国産、セナキン炭とはインドネシア産、ピナン炭とはインドネシア産である。又、チャーAおよびチャーBは、共に豪州から輸入したチャーである。チャーAは、ビクトリア州から産出される褐炭を乾燥後ブリケット化したもの(表1中の豪州褐炭と同等品)を、ロータリーキルンによって熱分解することによって製造したチャーである。また、チャーBは、同じく豪州褐炭ブリケットを竪型シャフト炉によって熱分解することによって製造したチャーである。
Figure 2013087342
30質量%以上、51質量%以下の高揮発分の低品位炭を700℃以上、900℃以下で熱分解したチャーは、表1に示すように揮発分の含有量が5%以下であり、焼結鉱製造プロセスに適したものであった。実質的には、第1の発明の要件を満たせば、第2の発明の要件を満たすことが期待できる。
低品位炭を原料として作成したチャーを用い、燃焼速度を測定した結果を表1の燃焼速度比の欄に示す。
チャーの平均燃焼速度の測定は、熱天秤(ブルカーエイエックスエス社製/TG−DTA2020SA)に測定試料10mgを設置後(アルミナ深皿パン(深さ5.1mm×直径5.2mm))、窒素を100mL/min流通させた状態で、50℃/minの昇温速度にて加熱を行い、試料温度が750℃に到達後、直ちに流通ガスを窒素から空気100ml/minへ切り替え、その重量減少を測定し、その結果得られた反応時間tと反応率X(X=各時間における重量減少量/試料の初期重量)のデータから各反応率における反応速度dX/dtを算出し、X=0〜0.6までの平均値を算出した。
燃焼速度の数値は、粉コークスの値を基準として、その比率で表した。いずれのチャーも粉コークスに比較して大きな燃焼速度を示した。
表1で示したチャーを用いて、チャーの製造条件や燃焼速度と焼結生産率との関係を焼結試験装置により調べた。焼結試験装置は、直径30cm、層高60cmであり、配合原料を装入する鍋、風箱、配管、除塵装置(サイクロン集塵機)、吸引ブロワー、煙突と配合原料の表層を加熱するためのプロパンバーナーとから構成されている。
ベース条件は、燃料として粉コークスを4.5質量%配合したものであり、チャーを使用したケースは、粉コークスとチャーの粒度を一定とし、粉コークスの半量、あるいは全量を等発熱量でチャーに置換した。チャー配合時の配合原料条件を表2に示す。
原料の装入量は約70kgで、床敷き層の厚みは約20mm(約1.5kg)であり、グレートの上に床敷きの焼結鉱を、次いで原料を装入した。点火時間1.5分、吸引負圧1500mmAq(14.7kPa)で焼成した。
Figure 2013087342
実験結果を表1の焼結実験結果の欄に示す。歩留、および生産率におけるチャーを半量あるいは全量置換した場合の試験値は、粉コークスでの試験値を基準とした増加比率で表示している。プラスの数値は増加を意味し、マイナスの数値は減少を意味する。
実施例1乃至実施例5は、使用したチャーの燃焼速度が1.05倍以上、1.22倍以下の範囲であって、いずれの場合も歩留・生産性ともに向上した。一方、比較例1乃至比較例4は、使用したチャーの燃焼速度が1.05倍以上、1.22倍以下の範囲外であって、歩留・生産性の一方または両方が低下した。かかる結果に基づき、本発明では、チャーの燃焼速度を1.05倍以上、1.22倍以下の範囲に規定した。
実施例5、比較例3及び比較例4においては、半量置換に加えて全量置換の試験も実施した。全量置換における歩留及び生産率の増加率は、半量置換のそれに対し、概ね、2倍となった。これは、すべての置換率において、置換量と歩留増加或いは生産率増加との関係が比例することを示している。従って、本願チャーの焼結使用を規定した第3の発明においては、特にその置換量の制約を定めない。
低品位炭から製造したチャーを焼結機における凝結材として用いることによって、焼結機の生産率と焼結鉱の歩留の両方を向上させることできる。

Claims (3)

  1. 低品位炭を熱分解して製造されたチャーを焼結機における凝結材として用いる焼結鉱の製造方法であって、
    前記低品位炭が、揮発分の含有量が30質量%以上、51質量%以下の石炭であり、
    前記チャーの平均燃焼速度が、粉コークスに対して1.05倍以上、1.22倍以下であることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
    但し、前記平均燃焼速度は、熱天秤に測定試料10mgを設置後、窒素を100mL/min流通させた状態で、50℃/minの昇温速度にて加熱を行い、試料温度が750℃に到達後、直ちに流通ガスを窒素から空気100ml/minへ切り替え、その重量減少を測定し、その結果得られた反応時間tと反応率X(X=各時間における重量減少量/試料の初期重量)のデータから各反応率における反応速度dX/dtを算出し、X=0〜0.6までの平均値を算出したものである。
  2. 前記チャーの揮発分の含有量が5質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 前記請求項1及び請求項2のいずれかに記載のチャーを粉コークスと置換して用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
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