JP6044353B2 - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents
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Description
一方、揮発分の少ない石炭、即ち、無煙炭は、その埋蔵量が枯渇してきている。
したがって、焼結鉱の製造において、粉コークスの替わりにチャーを用いれば、焼結工程から排出されるCO2が削減され、地球環境に対するCO2低減に寄与できる。
特許文献2の提案は、循環流動層を用いて石炭(亜瀝青炭、褐炭)を600℃〜900℃で熱分解して製造したチャーを焼結用炭材として利用する。低温側で熱分解を行い、揮発分が比較的多く残留したチャー(実施例では揮発分13%を含有するチャー)を用いると、揮発分の燃焼熱により、焼結の歩留が向上し、好ましいとしている。しかし、チャー製造のための方法(リアクター)が循環流動層に限定されており、また、揮発分以外のチャーの性状については何ら言及されていない。
特許文献3の提案はチャーを製造する方法が、内燃キルンに限定しており、又、チャーを用いることにより焼結の生産性が向上すると述べているが、微粉を除去して通気性が良くなった影響であり、チャー自体の燃焼性についての言及はない。
本発明の目的は、石炭から製造したチャーを焼結機における凝結材として用いる際に、適切なチャーを選択することによって、焼結機の生産率を向上させる焼結鉱の製造方法を提供することである。
(1)石炭を熱分解して製造されたチャーを焼結機における凝結材として用いる焼結鉱の製造方法であって、
前記石炭を熱分解して製造されたチャーのマイクロストレングスを測定し、
前記マイクロストレングスの測定値が、0質量%を超え、15質量%以下である褐炭を熱分解して製造されたチャーを用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
但し、マイクロストレングスは、鋼製シリンダー(内径25.4mm、有効長さ304.8mm)に0.5mm〜1.0mmのチャー2gと直径10.5mm、重量3.5gの鋼球12個を入れ、鉛直面を管と直角方向に25rpmで800回転させた後、70メッシュで篩い分けし、篩い上質量を試料に対するパーセントで表示したものである。
(2)揮発分の含有量が10質量%以下であるチャーを用いることを特徴とする(1)に記載の焼結鉱の製造方法。
(3)前記(1)又は(2)に記載のチャーを粉コークスの一部又は全部と置換して用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
ここで、マイクロストレングスとは、鋼製シリンダー(内径25.4mm、有効長さ304.8mm)に0.5mm〜1.0mmのチャー2gと直径10.5mm、重量3.5gの鋼球12個を入れ、鉛直面を管と直角方法に25rpmで800回転させた後、70メッシュで篩い分けし、篩い上重量を試料に対するパーセントで表示したものである(日本エネルギー学会編、コークスノート2010年版、P206に記載の方法を一部変更)。
マイクロストレングスが15%以下を示すチャーは、実施例で後述するように、褐炭由来のものに相当した。褐炭は、石炭化度が低く、水分、酸素分、揮発分が高く、炭素成分が低く、燃焼による発熱量も低い。揮発分の含有量は、45質量%〜55質量%程度あり、燃焼による発熱量は、10〜20MJ/kg程度である。一方、通常の石炭(亜瀝青炭、瀝青炭)から得られるチャーは、一般的にマイクロストレングスが20%〜60%程度となった。これらのチャーでは、相対的に付着力、相対燃焼速度ともに低下した。
まず、チャーの付着力であるが、粒子表面の形態から付着力が大きく、原料の凝集力が増加すると考えられる。即ち、焼結原料の擬似粒子は、粗粒子の原料表面に微粒子の原料が付着し、形成される。マイクロストレングスが15%以下のチャーは、付着力の強い微粒子となり粗粒子の表面に付着することにより、焼結原料の造粒性が向上すると考えられる。焼結原料の造粒性が向上し、微粒子の原料の少ない擬似粒子が形成されることにより、焼結原料層の通気性が向上し、焼結生産性を向上させる。
次に、チャーの燃焼性であるが、マイクロストレングスが小さいチャーは、多孔質で、かつ粒子表面が凹凸の多い構造であるので、焼結燃焼速度(FFS(mm/min))を速め、焼結生産性を向上させる。
各種の石炭を用い、チャーを作成した。用いた石炭の組成を表1に示す。参考として、粉コークス及び無煙炭についても示した。
作成したチャーのマイクロストレングス、付着力及び相対燃焼速度を表2に示す。参考として、粉コークス及び無煙炭についても示した。
相対燃焼速度は、粉コークスの燃焼速度を基準とした時の燃焼速度の比であり、燃焼性を示す指標である。燃焼速度は以下のように定義した。即ち、熱天秤(リガク社製/熱分析装置Thermo Plus Evo2 1500℃ 高温型赤外線加熱)に測定試料10mgを設置後アルミナ試料容器(深さ2.5mm×直径5mm)、窒素を200mL/min流通させた状態で、100℃/minの昇温速度にて加熱を行い、試料温度が700℃に到達・保持後、直ちに流通ガスを窒素から空気200ml/minへ切り替え、その重量減少を測定し、その結果得られた反応時間tと反応率X(X=各時間における重量減少量/試料の初期重量)のデータから各反応率における反応速度dX/dtを算出し、X=0〜0.5までの平均値を算出するものとした。
ストレングスが15質量%以下であり、付着力及び相対燃焼速度が大きいものが得られた。
これに対し、B炭(高揮発瀝青炭)を600℃及び800℃で熱分解したチャー並びにC炭(亜瀝青炭)を800℃で熱分解したチャーは、マイクロストレングスが15質量%を超え、付着力及び相対燃焼速度が小さいものであった。
表1に示すA炭を600℃及び800℃で熱分解したチャーを炭材として用いた実施例、B炭を800℃で熱分解したチャーを炭材として用いた比較例、粉コークスを炭材として用いた参考例として、鍋試験を実施し焼結生産性を調査した。
表3に、用いた炭材の性状を示し、表4に、用いた炭材の粒度分布を示す。
表4に示す炭材粒度は、実施例、比較例及び参考例の全てにおいて、同一とした。また、炭材の配合量は、粉コークス使用の場合を、配合原料に対し4.5質量%(外数)とし、チャー使用の場合は、粉コークス使用の場合と固定炭素が同一になるようにした。
試験に用いた焼結原料を表5に示す。
鍋試験の結果、造粒性の改善で通気が良好になったことにより、燃焼進行速度(FFS)が大幅に向上した。一方、歩留は横ばいであるが、焼結進行速度(FFS)の向上により焼結の生産性が大幅に上昇した。また、焼結鉱の品質(RI)に関しても改善が認められた。
また、JPUは、Ergunの式から導かれる焼結の装入原料層の通気性を表す指標である(第3版鉄鋼便覧2、製銑・製鋼P86)。
Claims (3)
- 石炭を熱分解して製造されたチャーを焼結機における凝結材として用いる焼結鉱の製造方法であって、
前記石炭を熱分解して製造されたチャーのマイクロストレングスを測定し、
前記マイクロストレングスの測定値が、0質量%を超え、15質量%以下である褐炭を熱分解して製造されたチャーを用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
但し、マイクロストレングスは、鋼製シリンダー(内径25.4mm、有効長さ304.8mm)に0.5mm〜1.0mmのチャー2gと直径10.5mm、重量3.5gの鋼球12個を入れ、鉛直面を管と直角方向に25rpmで800回転させた後、70メッシュで篩い分けし、篩い上質量を試料に対するパーセントで表示したものである。 - 揮発分の含有量が10質量%以下であるチャーを用いることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
- 請求項1又は請求項2に記載のチャーを粉コークスの一部又は全部と置換して用いることを特徴とする焼結鉱の製造方法。
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