JP5412940B2 - 焼結鉱製造用凝結材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼製造における焼結鉱製造プロセスに使用する凝結材の製造方法に関するものである。
焼結鉱製造プロセスでは、粉鉄鉱石、並びに焼結工場系内及び高炉や製鋼工場や圧延工場など焼結工場系外で発生する篩下粉、ダストやミルスケール等の鉄分を含む原料(雑鉄源)、石灰石などの造滓材(副原料)を焼結原料としている。前記焼結原料はそれぞれ異なった化学成分からなるので、高炉操業に適した化学成分の焼結鉱を製造するために、前記焼結原料それぞれの使用割合を適切に配合する。前記焼結原料を適切に配合したものに凝結材を加えて配合原料とする。凝結材には、主としてコークスが使用され、一部無煙炭が使用される。凝結材に使用するコークスは、粒径が小さくて高炉に使用するには不適当なコークスを、さらに粉砕して凝結材として適当な粒径にして焼結鉱製造プロセスで使用する。粒径が小さく高炉使用に不適当とされるコークスの量は、焼結鉱製造プロセスで必要とされる凝結材量に対して少ないため、不足する量を無煙炭で補ったり、高炉で使用可能な粒径のコークスを粉砕して補ったりしている。
なお、石炭は、石炭化度、用途、形状(粒度)により分類される。石炭化度による分類では、非特許文献1に記載されているように、発熱量(無水無鉱物基)と燃料比(固定炭素÷揮発分)を用い、無煙炭、半無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭に分類される。無煙炭は燃料比(固定炭素FC mass%/揮発分VM mass%)が9より大きい石炭であると分類されている。ここで、固定炭素FC mass%及び揮発分VM mass%はJIS M8812(2004)に規定されている石炭類の工業分析方法による。なお、揮発分VM mass%/固定炭素FC mass%の値は、その測定値の水分ベースを合わせて算出する。
現在、焼結鉱製造プロセスとして一般に採用されているドワイトロイド(DL)式焼結機では、前記配合原料からなる充填層の下方を負圧とし、上方から下方に空気を流通させて配合原料中の凝結材を燃焼させる。通常はコークス炉ガス等の燃料ガスを配合原料からなる充填層直上の空間で燃焼させ、この燃焼熱で配合原料表層中に含まれる凝結材を着火し燃焼させる。すなわち、配合原料表層の凝結材が昇温され、着火温度に達して燃焼を開始し、その燃焼が継続的に進行することにより発生する燃焼熱で粉鉱石等の鉄分を含む原料と副原料は焼結するに十分に高い温度まで加熱されて焼結し塊成化する。同時に、高温の燃焼ガスは原料表層から下方に向かって流通するので、燃焼熱は配合原料表層から順次下方に伝わり、配合原料は順次昇温される。この過程で配合原料中の凝結材が着火温度まで昇温されると燃焼を開始する。このように配合原料が表層から下層へと順次昇温されて配合原料中の凝結材が順次燃焼することによって粉鉱石等の鉄分を含む原料と副原料の焼結が表層から下層へと進行し焼結鉱が製造される。
焼結鉱製造プロセスの凝結材として、揮発分を多く含む石炭をそのまま使用すると、石炭中の揮発分は揮発分の着火温度よりも低い温度あるいは揮発分が着火しても燃焼が十分進行しない温度で放出され始めるため、石炭中の揮発分が燃焼過程で十分に利用されずに焼結機排ガス中に混じり、排ガス処理過程で揮発分が冷却され凝縮して生じたタールが排ガスダクトに付着してダクトを閉塞に至らせたり電気集塵機等の集塵能力を低下させて大気環境を悪化させたりするなどの排ガス処理に関する問題を引き起こすので、揮発分の高い石炭を焼結鉱製造プロセスの凝結材として使用することは困難である。すなわち、揮発分を多く含む石炭をそのまま使用すると、揮発分が焼結ガス中に混入し、排ガス処理に関する問題を引き起こす。そこで、揮発分の低いコークス又は無煙炭が凝結材として使用されている。
しかしながら、無煙炭の使用量を増加させると、排ガス処理に関する問題を引き起こすまでには至らなくとも、焼結鉱の生産性が低下するという問題が生じる。すなわち、昇温過程で無煙炭中に含まれる揮発分がタールとなって揮発し、そのタールは低温の下層で冷やされて凝縮し原料層の空間を埋めてしまい通気性が悪化して焼結鉱の生産性が低下する。この問題を解決するために石炭を実質上非酸化性の雰囲気で300℃以上、900℃以下の温度範囲で熱分解して得たチャーを配合することを特徴とする焼結鉱の製造方法が特許文献1に記載されている。熱分解温度が300℃未満では、焼成過程でタールを放出するために通気性が低下し、熱分解温度が300℃以上の場合に得られたチャーでは、粉コークスとほぼ同様な燃焼挙動を示すので、通気性の悪化はないと特許文献1に記載されている。しかしながら、亜瀝青炭や褐炭などの揮発分の高い石炭は300℃では殆ど揮発分は除去されないことから、特許文献1で使用する石炭は無煙炭のような揮発分の少ない石炭を想定して、通気性の改善を図っていると考えられる。
例えば、非特許文献2には揮発分36.37mass%と揮発分を多く含む石炭の昇温過程での揮発分の発生による重量減少の推移が示されているが、純N2、N2+O2(1vol%)、N2+CO2(24vol%)、またはN2+H2O(24vol%)という非酸化性雰囲気または酸化性の弱い雰囲気では、高揮発分の石炭は300℃ではほとんど揮発分が除去されていないことがわかる。
焼結鉱は高炉で原料として使用される。高炉に装入される鉄原料は、焼結鉱、ペレット、塊鉱石である。ペレットは焼結鉱と比較して高価である。塊鉱石は焼結鉱と比較して被還元性に劣るため、塊鉱石に替えて高炉で使用する焼結鉱の量を増やすと、高炉の還元材比を低減することができる。したがって、高炉を経済的に操業するためには高炉での焼結鉱の使用量を増やすことが効果的であり、焼結鉱の生産性を高めることが求められる。
配合原料中の凝結材使用割合が一定ならば、凝結材の燃焼速度が大きくかつ燃焼温度が高いほど、凝結材の燃焼完了時間が短くなりかつ焼結鉱の歩留まりが向上して、焼結鉱の生産性が向上する。
石炭粒子の燃焼過程の粒子温度測定結果が非特許文献3に記載されている。石炭は加熱されて熱分解し揮発分を放出する。熱分解後の炭素を主成分とする固体をチャーと呼ぶ。揮発分が放出されて揮発分が燃焼する領域では粒子温度平均値は1900℃程度にある。次に、チャーの燃焼が開始し、チャーの燃焼領域では粒子温度平均値は1500℃以下である。粒子温度は主として単位時間当たりの燃焼発熱量と放熱量のバランスで決定され、単位時間当たりに粒子の加熱に利用される熱量が大きいほど温度上昇が大きくなると考えられる。したがって、揮発分燃焼領域での粒子温度平均値が高いのは、揮発分の燃焼速度が大きいこと、すなわち単位時間当たりの燃焼量が多いことにより、粒子温度が高温まで上昇することを示しており、揮発分の燃焼が燃焼温度の上昇に有効であることを示している。
すなわち、凝結材中に揮発分が含まれるとき、配合原料が表層から下層に順次昇温されて凝結材が熱分解し凝結材中の揮発分が放出される過程で、放出された揮発分が直ちに着火して燃焼すれば凝結材粒子の昇温が促進される。揮発分の燃焼によって凝結材粒子の昇温が促進されて凝結材粒子温度が高くなる。凝結材粒子温度が高くなるほど燃焼反応の速度が大きくなるので、凝結材粒子の燃焼が短時間に完了する。そのため、単位時間当たりの燃焼発熱量と放熱量の差で決定される凝結材粒子の燃焼温度は高温になる。すなわち、凝結材が揮発分を含み、その揮発分が直ちに着火して燃焼すれば、凝結材の燃焼完了時間が短くなりかつ焼結鉱の歩留まりが向上して、焼結鉱の生産性が向上する。
特開平5−230558号公報
燃料協会編:新版 燃料便覧、コロナ社、1974、P.61〜71 笠岡成光、阪田祐作、童楚良:燃料協会誌、第62巻 第673号(1983)、P.335〜347 斎藤正浩、定方正毅、佐藤正之、佐賀井武:化学工学論文集、第13巻 第4号(1987)、P.451〜458 日本鉄鋼協会編:第3版 鉄鋼便覧 第II巻、製銑・製鋼、丸善、1979、P.168〜172 重見彰利:製銑ハンドブック、(株)地人書館発行、昭和54年12月10日、P.367 燃料協会編:改訂6版 熱管理技術講義、丸善、昭和49年、P.114 日本鉄鋼協会編:鉄鋼製造法(第1分冊、製銑・製鋼),丸善,昭和47年,P.266〜267
無煙炭の埋蔵量は瀝青炭、亜瀝青炭または褐炭に比較して少なく、市場が小さいため、無煙炭を安定的に購入することが難しく、将来的にはその絶対量が不足すると考えられる。無煙炭供給量が不足すると、高価な粘結性の高い原料炭を使用して製造した高炉で使用可能な大きさのコークスを粉砕して凝結材量を確保することになり、経済的でない。したがって、安価で大量に賦存する亜瀝青炭や褐炭を焼結鉱製造用の凝結材として使用することが好ましい。しかしながら、亜瀝青炭や褐炭は揮発分を多く含むため、そのままでは焼結鉱製造用の凝結材として使用することはできない。
なお、石炭化度による分類では、亜瀝青炭は無水無鉱物基の発熱量が8,100kcal/kg以下で7,300kcal/kgより大きい石炭、褐炭は同じく発熱量が7,300kcal/kg以下で5,800kcal/kgより大きい石炭であると分類されている(例えば、非特許文献1参照)。なお、無水無鉱物基の発熱量Hd.m.fは、JIS M8814(2003)に規定されている発熱量HJISから次式で計算して求める。
Figure 0005412940
ここで、灰分補正率は1.08を使用し、灰分及び水分はJIS M8812(2004)に規定されている石炭類の工業分析方法による。なお、発熱量HJIS、灰分及び水分の測定値を使用するときは、その測定値の水分ベースを合わせて無水無鉱物基の発熱量Hd.m.fを算出する。
原料炭乾留時の揮発分発生挙動について説明すると、300℃までは、水分蒸発や鉱物質中に含まれる結晶水の分解によるH2O、および石炭に吸蔵されるCOやCH4などのガス成分が発生するが石炭そのものの変質は生じない。300℃を過ぎると石炭本質の熱分解が始まって、ガスやタールが急激に発生する。300〜500℃程度の間で低温タールが放出される(例えば、非特許文献4参照)。
揮発分の多い石炭についても原料炭とほぼ同様の揮発分発生挙動を示すと考えられる。焼結鉱製造プロセスにおいて、着火温度以下で放出された低温タールは燃焼することなく焼結排ガス中に混入することが考えられる。また、低温タールが着火したとしても、その燃焼速度は大きくないため、低温タールの燃焼が継続してその燃焼が完了する前に、燃焼ガスに含まれる未燃焼の低温タールが下層の冷たい配合原料に熱を奪われて失火する現象が生じると考えられる。
このように300〜500℃程度の間で放出される石炭中の揮発分は着火温度よりも低い温度で放出されるため、あるいは揮発分が着火しても燃焼が十分進行しないため、揮発分を多く含む石炭を使用する場合は、石炭中の揮発分が燃焼過程で十分に利用されずに焼結機排ガス中に混じり、排ガス処理過程で揮発分が冷却され凝縮して生じたタールが排ガスダクトに付着してダクトを閉塞に至らせたり電気集塵機等の集塵能力を低下させて大気環境を悪化させたりするなどの排ガス処理に関する問題を引き起こす。
本発明は、無煙炭またはコークスに代替して使用可能な焼結鉱製造用凝結材を亜瀝青炭や褐炭から製造する方法を提供することを目的とする。
(1) 褐炭又は非粘結の亜瀝青炭の少なくともいずれかを、循環流動層加熱炉で600℃から900℃の温度まで加熱して、10〜60分間の熱分解処理をし、600℃に加熱して測定したときの揮発分を5.1mass%以下の凝結材とすることを特徴とする焼結鉱製造用凝結材の製造方法。
(2) 前記加熱が、600℃から750℃の温度までの加熱であることを特徴とする上記(1)記載の焼結鉱製造用凝結材の製造方法。
(3) 上記(1)又は(2)に記載の方法で製造された焼結鉱製造用凝結材が、当該凝結材を600℃に加熱して測定したときの揮発分が3mass%以下となる焼結鉱製造用凝結材であることを特徴とする焼結鉱製造用凝結材の製造方法。
ここで、600℃に加熱して測定した揮発分とは、JIS M 8812(2004)に記載されている石炭類の場合に準じて測定する条件の内、900℃となっている箇所を600℃に変更して測定し算出した無水ベースの揮発分(mass%)である。
本発明の焼結鉱製造用凝結材の製造方法により、高価でかつ供給不安のある無煙炭に代替して安価で大量に賦存する亜瀝青炭や褐炭から焼結鉱製造用凝結材を製造することが可能になり、資源の有効利用と経済性向上に寄与する。
さらに、本発明の焼結鉱製造用凝結材を焼結鉱製造プロセスで使用することにより、被還元性良好な焼結鉱の生産量を増やすことが可能となるため、高炉プロセスにおいては、還元材比を低減し、高価なコークスや微粉炭の使用量を低減することができる。その結果、製銑プロセス全体の経済性向上とCO2発生量抑制による地球温暖化防止に寄与することができる。
本発明の焼結鉱製造用凝結材の製造方法の一例を示す図である。 気孔体積200mmの時の気孔径と気孔表面積の関係を示す図である。 コークス、無煙炭および石炭加熱処理後の微細気孔量を示す図である。 非粘結亜瀝青炭の加熱処理温度と加熱処理後の水素分との関係を示す図である。 非粘結亜瀝青炭の加熱処理温度と加熱処理後の揮発分との関係を示す図である。 焼結鉱製造試験における加熱処理温度とダスト中の重油分濃度の関係を示す図である。 凝結材製造時の加熱処理温度と焼結鉱製造試験の生産率の関係を示す図である。 焼結鉱製造試験における600℃に加熱して測定したときの揮発分とダスト中の重油分濃度との関係を示す図である。
原料炭の乾留時の熱分解挙動について説明する。乾留温度が常温から300℃までは、水分蒸発や、石炭内の鉱物質中に含まれる結晶水の分解によるH2O、および石炭に吸蔵されるCOやCH4などのガス成分が発生するが石炭そのものの変質は生じない。300℃を過ぎると石炭本質の熱分解が始まって、ガスやタールが急激に発生する。300℃から600℃位までは、CH4等の炭化水素ガスが半分以上の割合で発生するが、600以上ではH2を主体とするガス(一部CH4、COを含む)が発生する(例えば、非特許文献4参照)。
通常の室炉式コークス炉では、炭化室内の石炭が高温の燃焼室から炉壁れんがを通して加熱されて乾留される。炭化室内の石炭の乾留において、乾留開始後15時間程度では、炭化室内中心部を除き大部分の石炭は600〜900℃に昇温され、ガス発生量は装入直後を除き極大を示し、発生ガスはH2を主体として一部CH4とCOを含むガス組成で、そのカロリーは3000〜4000kcal/Nm3である(例えば、非特許文献4参照)。
揮発分を多く含むその他の石炭一般についてもコークス原料炭とほぼ同様の熱分解挙動を示すと考えられ、600℃以上の高い温度で放出される揮発分はH2を主体とするガスと考えられる。H2ガスの最低着火温度は510℃であり(例えば、非特許文献5参照)、発生したH2ガスは600℃では発生と共に速やかに着火する。また、H2の燃焼速度は、CH4やCOやその他の石炭の揮発分に含まれる炭化水素ガスに比べて大きい(例えば、非特許文献6参照)。したがって、600℃以上の高い温度で放出されるH2を主体とするガスからなる揮発分は速やかに燃焼が完了する。
一方、300〜500℃程度の間で放出される揮発分は低温タールと称される重質のタールである。着火温度以下で放出されたタールは燃焼することなく焼結排ガス中に混入することが考えられる。また、低温タールが着火したとしても、その燃焼速度は大きくない。
すなわち、600℃より低温までは揮発分の発生が少なく、600℃以上でH2を主成分とするガスを発生することが優れた焼結鉱製造用凝結材に求められる性質である。600℃未満ではタールが多い揮発となるため、600℃より低温までは揮発分の発生が少ないほど望ましい。
但し、600℃より低温までの揮発分の発生量が無煙炭と同等以下であれば焼結鉱製造用凝結材として無煙炭と同程度には使用可能である。600℃に加熱して測定した揮発分は900℃に加熱して測定した揮発分の6〜8割程度である。焼結用凝結材として使用される無煙炭の揮発分(900℃加熱)は通常5mass%程度であるから、600℃に加熱して測定した揮発分が3mass%以下であれば、600℃以上での水素ガス発生量は無煙炭と同程度と考えられ、無煙炭に代替して使用することが可能である。600℃に加熱して測定した揮発分を3mass%以下にするためには、600℃で30分間以上加熱処理すれば良い。さらに600℃よりも高い温度で加熱処理するときは、その加熱温度に応じて30分間よりも短い処理時間で、600℃に加熱して測定した揮発分を3mass%以下にすることが可能である。ここで、600℃に加熱して測定した揮発分とは、JIS M 8812(2004)に記載されている石炭類の場合に準じて測定する条件の内、900℃となっている箇所を600℃に変更して測定し算出した無水ベースの揮発分(mass%)である。
石炭を乾留して凝結材を製造する方式として、間接加熱方式と直接加熱方式とが考えられる。間接加熱方式として、ロータリーキルン、充填層が考えられる。しかしながら、間接加熱方式は、伝熱が遅く生産性が低いという欠点がある。直接加熱方式としては、ロータリーキルン、充填層、流動層が考えられる。しかしながら、ロータリーキルンにおいては、熱ガスが空間部を通り過ぎるので熱ガスと石炭の接触が十分でなく熱伝達効率が小さいという欠点がある。充填層では、粒度分布の大きい石炭粉を使用すると充填層内での均一なガスの流れを得ることが困難であり、操業が不安定となる。流動層は、熱ガスと石炭粒子との間の伝熱速度が大きく、特に循環流動層は、粒度分布が大きい石炭でも熱ガスと共に飛散する粒径の小さな粒子をサイクロンで捕集して流動層に循環することによって処理するため、石炭を乾留する方法として循環流動層は最適であり、循環流動層加熱炉を用いることが好ましい。
石炭を乾留したとき塊状のコークスとなる性質を粘結性とよぶ。粘結性についは強度の高い塊状のコークスになりやすいものから順に、強粘結、粘結、弱粘結、非粘結と分類される。無煙炭、半無煙炭および褐炭は非粘結であり、瀝青炭および亜瀝青炭は発熱量(無水無鉱物基)と燃料比(固定炭素÷揮発分)により、強粘結、粘結、弱粘結、非粘結と分類されている(例えば、非特許文献1参照)。
焼結鉱製造用凝結材の原料として使用する石炭は、流動層で加熱して乾留する際に塊成化して流動状態を妨げることを防ぐために、流動層の安定操業の観点からは弱粘結の石炭であることが望ましい。さらには、以下に述べるように燃焼性の観点から非粘結の石炭であることがより好ましい。
粘結性をもっている石炭を加熱すると、350〜450℃で軟化して流動性をもつ状態になり、その間に激しい熱分解を伴って膨張し、500℃付近で固化して塊となる(例えば、非特許文献7参照)。すなわち、石炭が粘結性をもっていると石炭は加熱により液状化して流動性をもつので、石炭が加熱され熱分解して発生する揮発分より生じたガスからなる微細な気泡は流動化している液状の石炭内で合体し大きな気泡となり石炭本体を膨張させながら石炭本体から抜けることになるため、固化して塊となった炭素主体の固体中には微細な気泡を起因とする微細な気孔は少なく微細な気孔が合体した大きな気泡を起因とする大きな気孔が大部分を占める。
一方、非粘結の石炭は石炭本体が液状化しないため微細な気孔が合体することなく石炭が加熱され熱分解して揮発分が抜けた後のチャー中にそのまま微細な気孔が多く残ることになる。微細な気孔を多く持つチャーは反応に関与する表面積が大きくなるので燃焼速度が大きい。従って、非粘結の亜瀝青炭、褐炭を原料としこれを加熱処理して焼結鉱製造用凝結材を製造することが燃焼速度の大きな凝結材を製造するのに望ましい。
気孔が円柱状であると仮定し、気孔体積が200mm3の時の気孔径と気孔表面積の関係について計算した結果を図2に示す。気孔径10μ以下になると気孔表面積の増大が顕著になることがわかる。すなわち、気孔径10μ以下の微細な気孔を多く持つチャーは反応に関与する表面積が大きくなるので燃焼速度が大きいと考えられる。
粒径が2〜5mmのコークス、無煙炭および石炭を加熱炉内に設置したるつぼに入れてN2雰囲気で室温から750℃まで50分間で昇温し750℃で30分間加熱処理した後N2気流中で冷却したチャーの2〜3mmの試料について、水銀ポロシメータによって気孔径10μ以下の微細気孔量を測定した。その結果を図3に示す。使用した石炭は弱粘結の瀝青炭、弱粘結の亜瀝青炭、非粘結の亜瀝青炭および褐炭である。非粘結の亜瀝青炭および褐炭を加熱処理した後のチャーに気孔径10μ以下の微細気孔量が多く、その微細気孔量は200mm3/gよりも多くなっている。
従って、本発明においては、焼結鉱製造用凝結材を製造する原料として、流動層の安定操業の観点および燃焼性の観点から、非粘結の亜瀝青炭および褐炭を使用する。
30μよりも小さな(30μm未満)微粒子が30mass%よりも多く(30mass%超)含まれる焼結鉱製造用凝結材は、これを焼結鉱製造プロセスでの使用する際に発塵の原因となって、作業環境が悪化したり、作業環境を適切に維持するために集塵設備を設置するなどの対策にコストがかかるため、焼結鉱製造プロセスでの使用に適さない。さらに、微粉炭燃焼において、大粒子の方が小粒子よりも燃焼温度が高いため(例えば非特許文献3参照)、焼結鉱製造用凝結材中の微粒子は燃焼時の粒子温度が高くならず、30μよりも小さな微粒子が30mass%超含まれる焼結鉱製造用凝結材を使用すると、配合原料層の最高到達温度が低下しかつ高温保持時間が短くなるため製造した焼結鉱の強度が低下する。上記理由より、30μよりも小さな微粒子が30mass%以下であることが好ましい。
また、5mmよりも大きな(5mm超)粗粒子が20mass%よりも多く(20mass%超)含まれる焼結鉱製造用凝結材は、燃焼速度が遅くなり燃焼完了時間が長くなるため、このような焼結鉱製造用凝結材を使用すると、焼結鉱の生産性が低下する。そのため、5mmよりも大きな粗粒子が20mass%以下であることが好ましい。
本発明の焼結鉱製造用凝結材を製造する方法を、図1の例に基づいて説明する。あらかじめ粒径10mm程度以下に調整した石炭11を、例えば、高炉ガス、コークス炉ガス、転炉ガス等の燃料ガス21を空気、酸素富化空気または酸素22で高温ガス発生炉2において部分燃焼または完全燃焼して製造した高温ガス23にて、循環流動層加熱炉1で流動化させながら加熱して熱分解させる。熱分解を受けた後の炭素を主成分とする固体をチャーと呼ぶ。
熱分解温度は循環流動層加熱炉1(以下単に流動層加熱炉と言うことがある)内に設置して測定する温度の値を代表値とし、流動層加熱炉1に装入する石炭11の単位時間当たりの量を調整したり、燃料ガス21と空気、酸素富化空気または酸素22の量を調整したりして高温ガス23の温度と量を調整することによって、熱分解温度が600〜900℃の範囲内となるように調整して流動層加熱炉1内で石炭を加熱処理する。なお、流動層加熱炉1内の石炭またはチャーが燃焼するとチャーの製造歩留まりが低下するので、高温ガス23には基本的にはO2が含まれないように燃焼条件を選択する。ただし、歩留まりを極端に低下させない範囲で、熱分解温度の調節を目的として、高温ガス23に少量のO2が残るようにしても良いし、少量の空気、酸素富化空気または酸素を流動層加熱炉1に直接供給しても良い。
流動層加熱炉1は連続的にまたは半連続的に操業される。すなわち、石炭11は流動層加熱炉1に連続的にあるいは流動層加熱炉1の温度変動が大きくならない範囲で断続的に装入され、流動層加熱炉1からはチャー12が流動層加熱炉1内の石炭あるいはチャーの滞留量が調整されるように連続的にあるいは断続的に排出される。温度変動が大きくなるとチャーに含まれる揮発分が変動し、焼結鉱製造用凝結材としての燃焼性が変化するため、焼結鉱製造プロセスが変動して製造される焼結鉱の品質に変動が生じる可能性がある。そのため、温度変動が大きいことは好ましくなく、温度変動幅が50℃を超えないように調整することが望ましい。
流動層加熱炉1から排ガス24と共に飛散するチャー粒子をサイクロン3で捕集する。サイクロン3で捕集したチャー13を流動層加熱炉1に循環して熱分解反応を継続させる。サイクロン3で捕集しきれない微粉のチャーとタール含む排ガス25は熱回収装置4で顕熱の一部を回収され、熱回収装置4の排ガス26はガス精製装置5で処理されて、タール18、微粉のチャーを含むスラジ19、および燃料として使用可能なプロセスガス27にそれぞれ分離回収される。流動層加熱炉1から排出されるチャー12は冷却装置6で冷却される。冷却装置6から排出されるチャー14に粒径5mm以上の粒子が含まれるときは、このチャー14を篩い7で篩い分けて、篩い上の粒径5mm以上の粗粒チャー16を破砕機8で破砕したチャー17を篩い7に循環して再度篩い分ける。篩い7で篩い分けた篩い下のチャー15を焼結鉱製造用凝結材とする。破砕機8で破砕程度を調節することにより破砕機8で破砕したチャー17を篩下のチャー15に混合した混合物を焼結鉱製造用凝結材としても良い。
また、流動層加熱炉1に装入する石炭11の粒径、サイクロン3の形状、篩い7の網目の大きさ、粗粒チャー16の破砕装置8での破砕方法により、この焼結鉱製造用凝結材の粒度を、30μm未満の微粒割合が30mass%以下で、かつ5mmを超える粗粒割合が20mass%以下に調節することが可能であり、これを焼結鉱製造用凝結材として用いても良い。30μm未満の微粒を除去するにはサイクロン3を通過する排ガス24の温度、圧力、流量に応じてサイクロン3の形状を設計することにより排ガス24に含まれるチャー粒子を分級し微粒チャーの大部分を排ガス25とともに飛散させることができる。
サイクロン3で捕集されない炭素分を主成分とする微粉チャーは排ガス25とともに熱回収装置4、ガス精製装置5で処理されてスラジ19として回収される。微粉のチャーを含むスラジ19は製鉄所内で発生する酸化鉄主体のダスト等と混合して塊成化することにより、この塊成化物を回転床炉などで還元するときの還元材として微粉のチャーを利用することが可能である。回収されるタール18は化学原料としてあるいはコークス製造用石炭と混合して使用することが可能である。プロセスガス27は本プロセスの燃料ガス21として、あるいは製鉄所の燃料として使用することが可能である。
前記製造方法により、非粘結の亜瀝青炭を原料として加熱処理温度を変えて加熱処理時間30分で製造した焼結鉱製造用凝結材の水素分と揮発分をそれぞれ図4および図5に示す。凝結材に含まれる水素分が多いほど燃焼速度の上昇が期待できる。さらに揮発分が多いほど燃焼温度の上昇が期待できる。燃焼速度の上昇には凝結材に含まれる水素分が多いほどよいが少なくとも1mass%以上であることが好ましい。また、加熱処理温度が750℃以下では2mass%以上の水素分を含有するので、より多くの水素分を含むという観点からさらに好ましい。燃焼温度の上昇には凝結材に含まれる揮発分が多いほどよいが少なくとも2mass%以上であることが好ましい。600℃から900℃の加熱処理温度では水素分は1mass%以上で揮発分は2mass%以上である。1000℃では水素分は1%未満で揮発分は2mass%未満となる。900℃を超えた高温で加熱処理すると水素分と揮発分が少なくなり、凝結材粒子の燃焼速度の上昇と燃焼温度の上昇が期待できない。したがって、加熱処理温度は900℃以下の温度とする。なお、加熱処理時間は、10分以上であれば熱分解が十分に進行すること、60分以上ではほとんど熱分解反応が完了することから、10分から60分の間とすれば良い。
本発明の方法で製造した焼結鉱製造用凝結材中の揮発分は、600℃までは揮発分の発生が少ない。この焼結鉱製造用凝結材を加えた配合原料をDL式焼結器で処理して焼結鉱を製造するとき、この焼結鉱製造用凝結材は600℃以上になると、H2を主成分とするガスが主体の揮発分が発生する。H2ガスの最低着火温度は510℃であるため、発生したH2ガスは発生と共に速やかに着火する。さらに、H2ガスは燃焼速度が大きいため、着火と共にその燃焼が継続的に進行し速やかに燃焼が完了する。H2の燃焼に伴い、揮発分として発生するCH4、COやその他の炭化水素などの燃焼性ガスも温度が上昇することにより短時間で燃焼が完了する。したがって揮発分が燃焼過程で十分に利用されずに焼結機排ガス中に混じることにより、排ガス処理過程で揮発分が冷却され凝縮して生じたタールが排ガスダクトに付着してダクトを閉塞に至らせたり電気集塵機等の集塵能力を低下させて大気環境を悪化させたりするなどの排ガス処理に関する問題を引き起こす懸念はない。
さらに、燃焼速度の大きな600℃以上から発生するH2を主成分とする揮発分の燃焼により、炭素を含む固体粒子の温度上昇が大きくなり、炭素を含む固体粒子の燃焼も速くなる。その結果、配合原料の昇温速度が大きくなる。このような温度上昇の効果が作用することによって、焼結鉱製造用凝結材の燃焼完了時間が短くなり、単位空気量当たりの凝結材燃焼量が多くなり、排ガス中のCO2濃度が上昇するなど、凝結材の燃焼熱利用効率が上昇する。燃焼完了時間が短くなるため焼結の生産率は向上し、また凝結材の燃焼熱利用効率が上昇するため凝結材の使用量を減らすことができる。
以下に、本発明に係る実施例および比較例を示す。
内径1.0mの循環流動層加熱炉を使用し、非粘結の亜瀝青炭を循環流動層加熱炉で600℃から900℃の温度範囲に加熱処理して、焼結鉱製造用凝結材を製造した。
この際、循環流動層加熱炉内の固体チャー滞留量を約1.6トンとし、水分含有量31mass%、乾燥ベースの揮発分含有量36%の非粘結の亜瀝青炭を、毎時約6.3トン、乾燥ベースでは毎時約4.4トンで装入した。
装入された非粘結の亜瀝青炭は循環流動層加熱炉内で速やかに昇温されて熱分解し、凝結材が製造された。このときの加熱処理時間に相当する循環流動層加熱炉内の平均滞留時間は約30分となった。高炉ガスとコークス炉ガスの混合ガスを燃料ガスとした。この燃料ガスを予熱空気で部分燃焼して酸素ガスを含まない弱還元性の高温ガスを得た。この高温ガスを循環流動層内に導入し、この高温ガスの顕熱により非粘結の亜瀝青炭を加熱して熱分解させた。加熱温度は高炉ガスとコークス炉ガスの混合比、予熱空気の温度、燃料ガス量と予熱空気量の比、そして石炭乾燥による水分量の調整によって600℃から900℃の温度範囲に調整した。
さらに、比較例として加熱処理温度を400℃、500℃および1000℃とする以外は上記実施例と同様の方法で調整して、同じ非粘結の亜瀝青炭を原料として焼結鉱製造用凝結材を製造した。
上記の非粘結の亜瀝青炭を原料として製造した凝結材を使用し、直径30cm、層高60cmの焼結試験装置を用いて、所定の配合原料で焼結鉱製造試験を実施した。配合原料条件を表1に示す。さらに、比較のため凝結材として粉コークスを使用して同様に焼結鉱製造試験を実施した。原料の装入量は約70kgで、床敷き層の厚みは約20mm(約1.5kg)であり、グレートの上に床敷きの焼結鉱を、次いで原料を装入した。点火時間1.5分、吸引負圧1500mmAq(14.7kPa)で焼成した。
Figure 0005412940
この焼結試験装置は、配合原料を装入する鍋、風箱、配管、除塵装置(サイクロン集塵機)、吸引ブロワー、煙突と配合原料の表層を加熱するためのプロパンバーナーとから構成されている。
非粘結の亜瀝青炭を400℃(比較例1)、500℃(比較例2)、600℃(実施例1)および700℃(実施例2)で加熱処理して製造した凝結材を使用して焼結鉱を実験的に製造する際、除塵装置内に板を設置して焼結鉱製造試験の際に発生する排ガス中のダストを付着させて、このダスト中の重油分濃度を溶媒抽出法により測定した。測定結果を図6に示す。
400℃、500℃で加熱処理して製造した凝結材を使用した焼結鉱製造試験ではダスト中の重油分濃度が40mg/kgであったが、600℃以上に加熱処理して製造した凝結材を使用した焼結鉱製造試験ではダスト中の重油分濃度が10mg/kgと小さかった。600℃以上に加熱処理して製造した凝結材を使用した焼結鉱製造試験では未燃焼の揮発分の発生が少ないためにダスト中の重油分濃度が小さくなったと考えられる。このことから実機焼結鉱製造プロセスにおいても600℃以上に加熱処理して製造した凝結材から発生する揮発分による焼結鉱製造プロセスの排ガス処理に関する問題を引き起こすことはないと考えられる。
次に、非粘結の亜瀝青炭を600〜1000℃で加熱処理して製造した凝結材、粉コークス、粉コークスと無煙炭の混合物および弱粘結の亜瀝青炭を900℃で加熱処理して製造した凝結材を用いて焼結鉱製造試験を実施した。これら凝結材の揮発分と水素分、および焼結鉱製造試験結果から求めた成品歩留まりと生産率を表2に示す。
ここで、成品歩留まりは、焼成後のシンターケーキを2mの高さから5回落下させた後に篩い分けて、5mm以上の焼結鉱の重量(+5mm焼結鉱重量、kg)を秤量して下記に示す式より求めた。
製品歩留まり(%)={(+5mm焼結鉱質量(kg)−床敷き質量(kg))/(焼結後のシンターケーキ質量(kg)−床敷き質量(kg))}×100
また、点火から排ガス温度が最大値を示す時間を測定して焼結時間(min)とし、下記に示す式より生産率(t/d/m)を求めた。
生産率(t/d/m)={(+5mm焼結鉱質量(kg)−床敷き質量(kg))/(焼結時間(min)×焼結鍋内装入原料断面積(m))}×1.44
600〜900℃で非粘結の亜瀝青炭を加熱処理して製造した凝結材を使用したとき(実施例3〜6)は成品歩留まりと生産率が高かったのに対し、非粘結の亜瀝青炭を1000℃で加熱処理して製造した凝結材を使用したとき(比較例3)、粉コークスを使用したとき(比較例4)及び粉コークスと無煙炭を混合し、その混合割合を粉コークス70mass%、無煙炭30mass%として混合した凝結材を使用したとき(比較例5)は成品歩留まりと生産率が低かった。
弱粘結の亜瀝青炭を900℃で加熱処理して製造した凝結材を使用したとき(比較例6)は、非粘結の亜瀝青炭を1000℃で加熱処理して製造した凝結材を使用したとき(比較例3)、粉コークスを使用したとき(比較例4)、粉コークスと無煙炭を混合し、その混合割合を粉コークス70mass%、無煙炭30mass%として混合した凝結材を使用したとき(比較例5)よりは成品歩留まりと生産率は高かったが、非粘結の亜瀝青炭を900℃で加熱処理して製造した凝結材を使用したとき(実施例6)よりも成品歩留まりと生産率が低かった。
Figure 0005412940
加熱処理温度600〜1000℃で非粘結の亜瀝青炭を加熱処理して製造した凝結材を使用したとき(実施例3〜6、及び比較例3)の加熱処理温度と生産率の関係を図7に示す。加熱処理温度600〜750℃で製造した凝結材を使用したとき生産率が高くなっている。その原因は凝結材に含まれる水素分と揮発分が十分多いためと考えられ、加熱処理温度は600〜750℃が好ましいと考えられる。
水分含有量31mass%、乾燥ベースの揮発分含有量36%の非粘結の亜瀝青炭を流動層加熱炉で600℃で加熱して熱分解した。内径1mの流動層加熱炉内に滞留量する固体チャーを約1.6トンとし、前記の非粘結の亜瀝青炭を流動層加熱炉に装入する量を変えて流動層加熱炉に滞留する時間を変えて凝結材を製造した。毎時約4.8トン、毎時約6.3トン、毎時約9.4トン、毎時約18.5トン装入して製造した凝結材は、600℃に加熱して測定した揮発分がそれぞれ1.9mass%(実施例7)、2.8mass%(実施例8)、3.8mass%(実施例9)、5.1mass%(実施例10)となった。それぞれの凝結材を使用して焼結鉱を実験的に製造した。除塵装置内に板を設置して焼結鉱製造試験の際に発生する排ガス中のダストを付着させて、このダスト中の重油分濃度を溶媒抽出法により測定した。測定結果を図8に示す。実施例9及び実施例10では焼結鉱製造試験におけるダスト中の重油分濃度が10mg/kg以下であり十分小さな値であったが、実施例7及び実施例8では焼結鉱製造試験におけるダスト中の重油分濃度が5mg/kg以下とさらに小さく、凝結材から発生する揮発分による焼結鉱製造プロセスの排ガス処理に関する問題の発生を回避するにはより好ましいと考えられる。
1:流動層加熱炉
2:高温ガス発生炉
3:サイクロン
4:熱回収装置
5:ガス精製装置
6:冷却装置
7:篩い
8:破砕装置
11:石炭
12:チャー
13:チャー
14:チャー
15:チャー
16:粗粒チャー
17:チャー
18:タール
19:スラッジ
21:燃料ガス
22:空気、酸素富化空気または酸素
23:高温ガス
24:排ガス1
25:排ガス2
26:排ガス3
27:プロセスガス

Claims (3)

  1. 褐炭又は非粘結の亜瀝青炭の少なくともいずれかを、循環流動層加熱炉で600℃から900℃の温度まで加熱して、10〜60分間の熱分解処理をし、600℃に加熱して測定したときの揮発分を5.1mass%以下の凝結材とすることを特徴とする焼結鉱製造用凝結材の製造方法。
  2. 前記加熱が、600℃から750℃の温度までの加熱であることを特徴とする請求項1記載の焼結鉱製造用凝結材の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の方法で製造された焼結鉱製造用凝結材が、当該凝結材を600℃に加熱して測定したときの揮発分が3mass%以下となる焼結鉱製造用凝結材であることを特徴とする焼結鉱製造用凝結材の製造方法。
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