JP5336018B1 - ガス化溶融炉用コークスの製造方法、及びコークスの使用方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス化溶融炉用の熱源として用いられたときに優れた火格子機能を有するコークスを、経済的且つ効率的に製造することが可能な製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法は、連続式成型コークス製造プロセスによるコークスの製造方法であって、石炭とバインダとを含む原料を加圧成型して成型炭を得る成型工程と、成型炭を、竪型シャフト炉を用いて昇温して乾留し、圧壊強度が2500N以上であるガス化溶融炉用コークスを得る乾留工程と、を有する。本発明の乾留工程における600〜700℃の間の昇温速度の平均値は、0を超え且つ5℃/分以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガス化溶融炉用コークスの製造方法、及び当該製造方法によって得られたコークスの使用方法に関する。
高炉用コークスは、還元材及び熱源としての役割を果たすとともに、高炉内の通気性を維持するための支持体としても機能しており、高炉製鉄法では必要不可欠のものである。このように、高炉コークスは、支持体としても機能するものであることから、高炉における通気抵抗が増加することを避ける観点から、鉄鉱石など硬いものと接触しても容易に割れたり摩耗したりして微粒化しないように、高いドラム強度(DI)を有するものが用いられている。
このような高炉用コークスの製造方法としては、室炉法とFCP(Formed Coke Process、連続式成型コークス製造プロセス)法とが知られている。このうち、FCP法では、石炭とピッチ、アスファルト及びタールなどのバインダとを配合し加圧成型して得られる成型炭を乾留してコークスを製造する。FCP法は室炉法に比べて、原料の成型炭が割れたり欠けたりするために、大きなコークスが得にくい傾向にある。このため、原料の石炭としては、成型炭の破損を抑制するために、特許文献1に示すように粘結炭を用いることが必要である。
一方、コークスの用途としては、高炉の他に、廃棄物などを溶融処理するガス化溶融炉が挙げられる。このようなガス化溶融炉では、一般廃棄物、産業廃棄物又は廃棄物を乾燥、焼却、粉砕処理した処理物などを、溶融処理して、スラグ及びメタルとして再資源化することができる。このようなガス化溶融炉に用いられるコークスとしては、通常、高炉用コークスが用いられていた。
ところが、高炉用コークスの主原料である粘結炭は、産地が限定されているうえに採掘量にも制限があり、将来的には枯渇することが懸念されている。このため、ガス化溶融炉において高炉用コークスの使用量を削減する技術が検討されている。
特許第3491092号公報
しかしながら、従来の技術では、ガス化溶融炉用の熱源として高炉用コークスの使用量を十分に低減することは難しい状況にある。また、高炉用コークスの代替原料が提案されているものの、工業規模で量産できるようなものは未だ見出されていない。このため、ガス化溶融炉用の熱源を、経済的且つ効率的に製造する技術を確立することが求められていた。
このような事情の下、本発明者らは、高炉に用いられる高炉用コークスを単に改良するのではなく、ガス化溶融炉に適合した、高炉用コークスとは異なるガス化溶融炉用コークスを開発すべく種々検討を行った。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ガス化溶融炉用の熱源として用いられたときに優れた火格子機能を有するガス化溶融炉用コークスを、経済的且つ効率的に製造することが可能な製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、優れた経済性を有するコークスの使用方法を提供することを目的とする。
ガス化溶融炉用コークスは、廃棄物とともにシャフト炉などに投入されて、熱源として用いられるものであることから、優れた火格子機能を具備して、コークス原単位を低減することが求められる。そこで、本発明者らは、優れた火格子機能を発揮するためにコークスが具備すべき特性を検討した。コークスが優れた火格子機能を発揮するためには、十分な強度を有しつつも、通常の高炉用コークスよりも大きいサイズを有することが好ましい。高炉用コークスの強度の指標としては、上述のとおり、ドラム指数が知られている。高炉用コークスは、高炉の高さが高いために、高炉に充填される鉄鉱石の荷重に耐える必要がある。
ところが、ガス化溶融炉用コークスの用途に着目すると、ガス化溶融炉用コークスが接触する廃棄物は、高炉用コークスが接触する鉄鉱石よりも軽く、柔らかい傾向にある。このため、ガス化溶融炉用コークスは、高炉用コークスほど耐摩耗性が要求されない。ここで、ドラム指数は、単なる強度のみならず摩耗性にも影響される特性であることから、ガス化溶融炉用コークスの指標として用いると、オーバースペックとなる可能性があり、経済的且つ効率的にガス化溶融炉用コークスを製造する観点からすると、相応しくない指標といえる。
上述の知見にもとづいて、本発明者らは、ドラム指数ではなく、ガス化溶融炉用コークスの強度の指標として圧壊強度を用い、ガス化溶融炉に好適に用いられる、優れた火格子機能を有するガス化溶融炉用コークスを、経済的且つ効率的に製造する方法を検討した。その結果、原料として粘結炭を用いなくても、ガス化溶融炉用として特に好適なコークスを製造する方法を見出した。
すなわち、本発明は、連続式成型コークス製造プロセスによるコークスの製造方法であって、石炭とバインダとを含む原料を加圧成型して成型炭を得る成型工程と、成型炭を、竪型シャフト炉を用いて昇温して乾留し、圧壊強度が2500N以上であるガス化溶融炉用コークスを得る乾留工程と、を有し、乾留工程における600〜700℃の間の昇温速度の平均値が0を超え且つ5℃/分以下であるガス化溶融炉用コークスの製造方法を提供する。
本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法によれば、原料として粘結炭を用いなくても、優れた火格子機能を有するガス化溶融炉用コークスを経済的且つ効率的に製造することができる。この理由は以下のとおりである。すなわち、本発明では、原料として、粘結炭に限定されない石炭を用いるとともに、従来高炉用コークスの製造方法として知られていた連続式成型コークス製造プロセス法を採用している。ここで、従来は、高いドラム強度を有するコークスを製造するうえで粘結炭は必須であり、連続式成型コークス製造プロセス法はサイズの大きいコークスを製造するには不向きであると考えられていた。
しかしながら、本発明では、乾留工程における、成型炭の600〜700℃の間の昇温速度の平均値を5℃/分以下とすることによって、乾留工程における成型炭の割れを抑制することができる。これによって、高い歩留まりで大きいサイズを有するガス化溶融炉用コークスを得ることができる。このように600〜700℃の間の昇温速度を低減することによって、割れが抑制される理由は、この温度範囲においては炭素同士の重合反応が進行するが、反応速度が速すぎると成型炭の収縮が急激に進んで、クラックが誘発されやすくなるためと考えられる。
また、ガス化溶融炉に用いられた場合の火格子機能を維持するための指標として、圧壊強度を採用したことから、コークスの強度に関する品質を過剰にすることを回避することができる。これによって、原料として粘結炭に限定されない石炭を連続式成型コークス製造プロセス法に採用しても、高い歩留まりでガス化溶融炉用として好適なコークスを製造することができる。
本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法は、原料として粘結炭に限定されない石炭を用いているうえに、高い歩留まりでガス化溶融炉用コークスを製造できることから、経済性に優れている。また、連続式成型コークス製造プロセスを採用していることから、ガス化溶融炉用コークスを効率的に製造することができる。そして、得られるガス化溶融炉用コークスは、所定値以上の圧壊強度を有していることから、ガス化溶融炉において優れた火格子機能を発揮することができる。すなわち、本発明によれば、ガス化溶融炉用の熱源として用いられたときに、優れた火格子機能を有するコークスを、経済的且つ効率的に製造することができる。
本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法において、成型工程における石炭は非粘結炭のみからなるものであることが好ましい。これによって、一層経済性に優れたガス化溶融炉用コークスの製造方法となる。
本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法において、乾留工程における成型炭の平均粒径が60mm以上であることが好ましい。このように大きなサイズの成型炭を連続式成型コークス製造プロセスに用いると、乾留工程で破損して歩留まりが低下すると考えられていた。しかしながら、本発明では、600〜700℃の間の昇温速度を十分に低減していることから、大きなサイズの成型炭を用いても、成型炭の割れによる歩留まりの低下を抑制することができる。これによって、一層優れた火格子機能を有するガス化溶融炉用コークスを高い歩留まりで製造することができる。
本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法において、竪型シャフト炉の頂部の温度が250〜400℃であることが好ましい。成型炭が竪型シャフトに導入された際の当初の昇温速度は、竪型シャフト炉の頂部温度によって調整される。頂部温度を250℃以上とすることによって、成型炭が急速に加熱されて硬質の外殻が形成される。これによって、さらに温度が上昇して軟化溶融したときに成型炭同士が融着したり、成型炭同士が潰れたりすることを十分に抑制することができる。一方、頂部温度が400℃を超えると、成型炭が膨張する温度領域まで急激に昇温されることなるため、膨れ割れが生じやすくなる傾向にある。これらの要因から、竪型シャフト炉の頂部の温度を250〜400℃とすれば、ガス化溶融炉用コークスの歩留まりを一層高くすることができる。
本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法において、竪型シャフト炉は、互いに温度が異なるガスを、炉内にそれぞれ導入する複数の羽口を有しており、上記ガスのうち、温度が最も高いガスの羽口における温度が850〜950℃であることが好ましい。このように、竪型シャフト炉が互いに温度が異なるガスを導入する複数の羽口を有することによって、成型炭の昇温速度を温度に応じて制御することができる。乾留工程における加熱温度が高いほど、コークスの強度を大きくすることができる。しかしながら、加熱温度の最大値が950℃を超えると、炉内ガス中に含まれる酸化成分(HO,CO)によってコークスのガス化反応が生じてコークスの歩留まりが低下するとともに、強度が低下する傾向にある。したがって、温度が最も高いガスの羽口における温度を850〜950℃として、竪型シャフト炉内の最高温度をその温度範囲に調整することによって、高い圧壊強度を有するガス化溶融炉用コークスを高い歩留まりで製造することができる。
本発明ではまた、上述の製造方法によって得られたガス化溶融炉用コークスと廃棄物とをガス化溶融炉の内部に導入し、ガス化溶融炉用コークスを熱源として用いて廃棄物を加熱及び溶融する工程を有する、コークスの使用方法を提供する。本発明のコークスの使用方法は、原料として粘結炭に限定されない石炭を用いているうえに、高い歩留まりで製造されるコークスを使用して廃棄物を加熱及び溶融している。そして、このコークスは、ガス化溶融炉において、十分な火格子機能を発揮することができるものである。したがって、本発明のコークスの使用方法は、従来の高炉用コークスを用いる方法よりも経済性に優れている。
本発明によれば、ガス化溶融炉用の熱源として用いられたときに優れた火格子機能を有するコークスを、経済的且つ効率的に製造することが可能なガス化溶融炉用コークスの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、優れた経済性を有するコークスの使用方法を提供することができる。
本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法の好適な実施形態に用いられる連続式成型コークス製造設備の概要を示す模式図である。 本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法の好適な実施形態における竪型シャフト炉の概要と温度勾配を示す模式図である。 本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法の好適な実施形態における乾留工程の昇温速度を示す模式図である。 ガス化溶融炉用コークスの圧壊強度の測定に用いられる測定装置の模式図である。 本発明のガス化溶融炉用コークスの製造方法で得られたガス化溶融炉用コークスをガス化溶融炉に用いた場合における、ガス化溶融炉用コークスの大きさとガス化溶融炉の溶融物の温度との関係を示すグラフである。 本発明のガス化溶融炉用コークスの使用方法の好適な実施形態に用いられるガス化溶融設備の概要を示す模式図である。 実施例1〜3及び比較例1でコークスを製造する際の最高温度と製造したコークスの圧壊強度との関係を示す図である。 実施例1〜3及び比較例1でコークスを製造する際の昇温パターンを示すグラフである。 実施例4〜6及び比較例2でコークスを製造する際の最高温度と製造したコークスの圧壊強度との関係を示す図である。 実施例4〜6及び比較例2でコークスを製造する際の昇温パターンを示すグラフである。 実施例7,8,9でコークスを製造する際の昇温パターンを示すグラフである。 実施例10〜15でコークスを製造する際の昇温パターンを示すグラフである。 実施例10〜15及び比較例3〜5のコークスの圧壊強度を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態のガス化溶融炉用コークスの製造方法は、連続式成型コークス製造プロセスを用いたガス化溶融炉用コークスの製造方法である。この製造方法は、石炭とバインダとを含む原料を加圧成型して成型炭を得る成型工程と、成型炭を、竪型シャフト炉を用いて昇温して乾留しガス化溶融炉用のコークスを得る乾留工程と、を有する。
図1は、本発明の好適な実施形態であるガス化溶融炉用コークスの製造方法に用いられる連続式成型コークス製造設備の概要を示す模式図である。図1の連続式成型コークス製造設備100は、石炭とバインダとを含む原料を加圧成型して成型炭を作製する成型炭製造部10と、成型炭製造部10の下流側に設けられ、成型炭を乾留してガス化溶融炉用コークスを製造する乾留部20とを有する。このような連続式成型コークス製造設備100を用いて本実施形態のガス化溶融炉用コークスの製造方法を実施することができる。
成型工程では、まず、石炭とバインダとを準備する。石炭としては、コスト低減の観点から、粘結炭の比率を下げることが好ましく、粘結炭を全く使用せずに非粘結炭のみを用いることがより好ましい。非粘結炭としては、原料のコスト低減と入手容易性確保の観点から、るつぼ膨張指数が3以下のものを用いる。このるつぼ膨張指数は、JIS M8801の「るつぼ膨張指数試験方法」によって測定される。非粘結炭は、タンク11から一次粉砕機12に導入されて粉砕された後、乾燥器13に導入される。ここで、非粘結炭に含まれる水分を2〜3質量%にまで低減することが好ましい。乾燥器13で乾燥された非粘結炭は、二次粉砕機14で粉砕されて微粒化される。
バインダは、粒状の非粘結炭を結合させる機能を有するものであり、通常の石炭タール、石油系ピッチ、石炭系ピッチ、軟ピッチ、ポリビニルアルコール、石油アスファルト及び廃油などを用いることができる。非粘結炭とバインダと必要に応じて熱水とを、混練機15で混練して、成型炭の原料を調製する。バインダとして例えば軟ピッチ(SOP)を用いる場合、非粘結炭とSOPとの配合比は、非粘結炭とSOPとの合計を基準として非粘結炭の質量比率が4〜8%であることが好ましい。
原料は、原料コストを低減する観点から、るつぼ膨張指数が3を超える石炭を含まないことが好ましい。原料は、石炭に由来する粉コークス、集じん粉、又はチャーを含んでいてもよい。粉コークス及び集じん粉としては、例えば、一般的なコークス炉で生成されるものを用いることができる。チャーとは、発火性を抑制するために、発火性の高い亜瀝青炭や褐炭などの石炭を事前に加熱処理(乾留)したものである。
混練機15で調製された原料を成型機16に導入して加圧成型し成型炭を複数作製する。成型機16としてはダブルロール成型機を用いることができる。原料の加圧成型は、線圧10〜100kN/cmに加圧して行うことが好ましい。このようにして作製された成型炭は、一旦タンク17に保管される。成型炭の平均粒径は、好ましくは60mm以上である。ここでいう平均粒径は、成型炭の体積V[ml]を同一体積の球と仮定したうえで下記式(1)によって算出される粒径A[mm]の算術平均値である。
=2×((V×3/4/π)1/3)×10 (1)
本実施形態では、後述する乾留工程における昇温速度を特定の範囲に制御していることから、上述のような大きな成型炭を用いても、割れたり欠けたりして小粒化することを十分に抑制することができる。成型工程で作製されたタンク17の成型炭は、所定サイズ以上を有するもののみを、乾留部20に移送するようにしてもよい。この場合、所定サイズ未満のものは、戻り配管を経由して混練機15に戻してもよい。成型炭の形状は特に限定されず、例えば、マセック型としてもよい。成型炭は、表面部分と中心部分との温度差を低減できるような形状であれば、後述する乾留工程において、熱応力による割れの発生を一層低減することができる。
乾留工程では、成型工程で作製された成型炭を、竪型シャフト炉である乾留炉21の頂部から導入し、加熱されたガスと接触させて昇温する。
図2は、連続式成型コークス製造設備100における乾留炉21の概要とその内部の温度勾配とを示す模式図である。乾留炉21は、成型炭を加熱する第1の加熱ガスを乾留炉21内部に供給する第1の羽口21aと、第1の羽口21aよりも下方に、第1の加熱ガスよりも高い温度を有する第2の加熱ガスを供給する第2の羽口21bと、を有する。第1の加熱ガスを第1の羽口21aから乾留炉21に導入する際の第1の加熱ガスの温度、すなわち第1の加熱ガスの導入温度は、好ましくは600〜700℃である。第2の加熱ガスを第2の羽口21bから乾留炉21に導入する際の第2の加熱ガスの温度、すなわち第2の加熱ガスの導入温度は、好ましくは850〜1000℃であり、より好ましくは850〜950℃である。このように、乾留炉21は、互いに温度が異なる第1の加熱ガスと第2の加熱ガスとをそれぞれ導入する複数の羽口を有することから、成型炭の昇温速度を精度よく調整することができる。
乾留炉21は、第2の羽口21bの下方に、ガス抽出口21cを有する。エジェクター25によって、ガス抽出口21cから抽出されたガスは、エジェクター25を駆動するガスと一体になって第1の加熱ガスとなる。乾留炉21は、ガス抽出口21cの下方に、乾留によって生成したコークスを冷却する冷却ガスを導入する冷却ガス導入口21dを有する。冷却ガス導入口21dから導入される冷却ガスの温度、すなわち冷却ガスの導入温度は、好ましくは20〜60℃である。すなわち、乾留炉21には、上方から下方に向けて、第1の羽口21a、第2の羽口21b、ガス抽出口21c及び冷却ガス導入口21dが順次設けられている。
乾留炉21の第1の羽口21aよりも上方の領域は、第1の加熱領域Aである。成型炭は、第1の加熱領域Aを下降する過程において、第1の加熱ガスの導入温度付近まで加熱される。乾留炉21の第1の羽口21aと第2の羽口21bとの間の領域は、第2の加熱領域Bである。第1の加熱領域Aで第1の加熱ガスの導入温度付近まで昇温された成型炭は、第2の加熱領域Bを下降する過程において、第2の加熱ガスの導入温度付近まで加熱される。第1の加熱ガス及び第2の加熱ガスの導入温度を変えることによって、乾留炉21内における成型炭の昇温速度を調整することができる。
図2における曲線xは成型炭の温度を示しており、曲線y及びzは乾留炉21内のガスの温度を示している。本明細書における成型炭の温度は、成型炭の中心部の温度をいう。このような温度は、成型炭に熱電対を突き刺して、熱電対の先端を成型炭の中心部に配置することによって測定することができる。図2に示すように、成型炭の昇温時は、成型炭の温度を示す曲線xは、ガスの温度を示す曲線yよりも若干低い傾向にある。一方、成型炭の降温時には、成型炭の温度を示す曲線xは、ガスの温度を示す曲線zよりも若干高い傾向にある。
成型炭が乾留炉21の頂部から導入されると、成型炭は乾留炉21内を上昇する加熱ガスと向流接触する。これによって、成型炭の昇温が開始される。成型炭の導入当初の加熱温度は、乾留炉21の頂部の温度を変えることによって調整することができる。乾留炉21の頂部の温度は、好ましくは450℃以下であり、より好ましくは250〜400℃である。このような温度範囲とすることによって、成型炭の膨れや収縮による割れを抑制するとともに粘結不足に伴う成型炭の崩壊を十分に抑制することができる。
本実施形態では、乾留炉21内で成型炭を600℃から700℃に昇温する際の昇温速度を、所定の範囲とする。具体的には、成型炭が600℃から700℃まで昇温するときの昇温速度の平均値が0を超え且つ5℃/分以下である。このような昇温速度とすることによって、炭素の重合反応に伴う収縮によって生じるクラックを十分に低減することができる。
成型炭の温度を600℃から700℃まで昇温するときの昇温速度の平均値の上限値は、成型炭の破損を一層確実に抑制する観点から、好ましくは3℃/分であり、より好ましくは2℃/分である。なお、昇温速度の平均値の下限値は、ガス化溶融炉用コークスを一層効率的に製造する観点から、好ましくは0.1℃/分であり、より好ましくは1℃/分である。本明細書において温度T℃からT℃まで昇温するときの昇温速度の平均値は、例えば、両者の温度差(T−T)を、T℃からT℃に昇温するのに所要した時間(分)で除して求めることができる。
成型炭の温度を600℃まで昇温するとき、及び700℃から昇温するときの昇温速度を調整することは必須ではない。500〜800℃の温度範囲では、半成コークスの収縮が発生する傾向にある。特に成型炭の体積が大きい場合には、収縮時に亀裂が発生しやすくなる。したがって、一層高い強度を有する成型炭を得る観点から、500℃から800℃に昇温する際の昇温速度の平均値の上限は3℃/分であることが好ましい。ただし、成型炭の滞留時間が長くなり過ぎることを回避するため、500℃から800℃に昇温する際の昇温速度の平均値の下限は、好ましくは0.1℃/分であり、より好ましくは1℃/分である。
一層高い圧壊強度を有するガス化溶融炉用コークスを一層高い歩留まりで製造する観点から、成型炭の温度を200℃から400℃まで昇温するときの昇温速度の平均値は、好ましくは0を超え且つ25℃/分以下である。同様の観点から、成型炭の温度を400℃から500℃まで昇温するときの昇温速度の平均値は、好ましくは0を超え且つ10℃/分以下である。同様の観点から、成型炭の温度を800℃から最高温度まで昇温するときの昇温速度の平均値は、好ましくは0を超え且つ10℃/分以下である。
成型炭の温度は、乾留炉21の第2の羽口21b付近で最高温度に到達する。この最高温度は、第2の加熱ガスの導入温度とほぼ同等である。このようにして、成型炭の乾留が進行してコークスが生成する。成型炭の最高温度が高いほど、コークス強度は上昇する傾向にある。したがって、乾留時における成型炭の最高温度は、好ましくは850〜1000℃である。一方、第2の加熱ガス中に含まれる水分が多い場合、第2の加熱ガスの温度が950℃以上になると、水分とコークス中の炭素とが反応して、生成したコークスがガス化する傾向にある。コークスがガス化すると、コークスの強度が低下するとともに、歩留まりが低下する。このため、成型炭の最高温度は、より好ましくは850〜950℃である。ただし、第2の加熱ガス中に含まれる水分が少ない場合はこの限りではない。
生成したコークスは、乾留炉21を下方に移動して、冷却領域Cを下降する。冷却領域Cでは、コークスが冷却ガス導入口21dから導入された冷却ガスと向流接触して、50〜150℃程度まで冷却される。冷却されたコークスは乾留炉21の底部から取り出される。このようにして、ガス化溶融炉用として好適なコークスが得られる。
図3は、本実施形態のガス化溶融炉用コークスの製造方法の乾留工程において、乾留時間と乾留温度との関係を示すグラフである。図3中、実線は乾留炉21内に滞留している成型炭又はコークスの中心付近の温度を示し、点線は乾留炉21の内部の温度を示す。乾留炉21の頂部から乾留炉21内に導入された成型炭は、乾留炉21内を上昇するガスと接触して昇温が開始される。成型炭の導入後、乾留炉21内を成型炭は下降することによって徐々に昇温される。当初の昇温速度は、例えば5〜25℃/分とする。その後、成型炭の昇温速度は、第1の羽口21aに近づくにつれて徐々に小さくなる。
成型炭を600〜700℃に昇温する間(図3中の領域P)は、昇温速度を、0を超え且つ5℃/分以下の範囲、好ましくは0を超え且つ3℃/分以下の範囲とする。その後、第1の羽口21aの位置を通過した成型炭は、さらに昇温される。この時の昇温速度は、例えば3〜10℃/分とする。そして、成型炭が第2の羽口21bに到達したときに最高温度に到達する。生成したコークスは、その後冷却され、乾留炉21から取り出される。このようにして得られるコークスは、ガス化溶融炉用コークスとして用いられる。乾留炉21内における成型炭及びコークスの滞留時間は、例えば5〜10時間である。
本実施形態の製造方法によって得られるガス化溶融炉用コークスは、乾留工程時における割れが防止されていることから、十分に大きいサイズを有する。そして、ガス化溶融炉用コークスは、2500以上、好ましくは3000N以上の圧壊強度を有する。圧壊強度の上限は特に限定されないが、例えば10,000Nである。本実施形態の製造方法で得られるガス化溶融炉用コークスは、ガス化溶融炉のコークスとして用いた場合に、火格子機能が高く、優れた熱源として機能する。
本明細書における圧壊強度は、図4に示す測定装置60を用いて以下の手順で測定される。まず、コークスを1000℃の空気に30分間暴露する。その後、コークスをN雰囲気中で常温まで冷却する。冷却後、図4の測定装置60において、加圧圧力が計測可能な油圧ジャッキ62上に載置された可動板64の上に、測定対象であるコークス66を配置する。そして、油圧ジャッキ62のシリンダを上方に繰り出すことによって、可動板64を上方に移動させる。これによって、コークス66は、可動板64と可動板64の上方に固定された固定板68との間に挟まれる。コークス66には荷重が加えられて最終的に破壊される。破壊した時の荷重から、圧壊強度が求められる。
一方、従来から高炉用コークスの強度評価方法として用いられているドラム強度は、50mm以上の粒度のコークスをドラム内に入れて、所定の回転速度で所定時間回転させた後、15mm篩上に残った割合(重量%)として求められる。この強度はドラムとの衝突による摩耗が影響する数値であるため、ガス化溶融炉中で熱源としての適性を評価する指標としては相応しくない。本実施形態のガス化溶融炉用コークス製造方法においては、圧潰強度が2500N以上のコークスを製造しているため、ガス化溶融炉中で熱源として使用した場合に、優れた火格子機能を発揮することができる。
乾留工程で熱源又は冷却媒体として用いられるガスとしては、乾留工程での発生ガス(COG)を循環して使用する。このようなガスは、乾留部20に備えられるガス循環設備によって循環して用いられる。すなわち、乾留炉21の頂部から排出されたガスは、顕熱回収装置22a及びガスクーラー22bを備えるタール回収設備22に導入される。タール回収設備22では、ガスに含まれる水分やタール及びピッチの軽質留分を除去してガスの精製を行う。精製されたガスは、循環設備によって乾留炉21に再び導入され、循環して使用される。循環設備には、蓄熱炉23と熱交換器24が備えられている。精製されたガスの一部は、蓄熱炉23において例えば850〜1000℃に加熱された後、第2の加熱ガスとして、第2の羽口21bから乾留炉21に導入される。また、生成されたガスの他の一部は、熱交換器24において例えば500〜600℃に加熱された後、エジェクター25の駆動ガスとなる。このガスは、エジェクター25において、乾留炉21のガス抽出口21cから抽出されたガスと一体になって第1の加熱ガスとなる。この第1の加熱ガスは、第1の羽口21aから乾留炉21に導入される。
本実施形態で製造されたガス化溶融炉用コークスは、通常のガス化溶融炉の熱源として好適に用いられる。ガス化溶融炉用コークスは、熱源として機能するものであることから、大きいサイズを有するものであることが好ましい。このような観点から、ガス化溶融炉用コークスの平均粒径の下限は、好ましくは50mm以上であり、より好ましくは60mm以上である。また、ガス化溶融炉用コークスの平均粒径の上限は、ハンドリングの容易性など実用上の観点から、例えば120mm未満である。ここでいう平均粒径は、ガス化溶融炉用コークスの体積V[ml]を同一体積の球と仮定したうえで下記式(2)によって算出される粒径A[mm]の算術平均値である。
=2×((V×3/4/π)1/3)×10 (2)
図5は、コークスをガス化溶融炉用に用いたときのコークスの平均粒径とガス化溶融炉中の溶融物温度との関係と示すグラフである。図5には、コークスの平均粒径が大きくなるほど、溶融物温度が高くなることが示されている。すなわち、サイズの大きいコークスは、ガス化溶融炉用の熱源として好適に用いられる。なお、図5におけるコークスの平均粒径は、コークスを同一体積の球に換算したときの直径の算術平均値である。
ガス化溶融炉用コークスの形状は特に限定されるものではなく、球状であってもよいし、直方体形状であってもよい。この形状は、成型工程で得られる成型炭の形状を変えて調整することができる。
図6は、廃棄物を溶融処理するガス化溶融炉を模式的に示す図である。上述の連続式成型コークス製造プロセスで製造したコークスは、高い圧壊強度を有していることから、優れた火格子機能を有する。また、高炉用コークスに比べて、経済的且つ効率的に製造することが可能であることから、図6に示すようなガス化溶融炉用のコークスとして好適に用いられる。
ガス化溶融設備200は、ガス化溶融炉40とガス化溶融炉40の上部に設けられた装入装置50とを備えている。ガス化溶融炉40は、シャフト部42と該シャフト部42の下端に設けられる朝顔部44と、朝顔部44の下部に設けられる炉底部46と、を有する。炉底部46には、上から順に、熱分解帯用の上段羽口45と、燃焼溶融帯用の下段羽口47とが設けられている。上段羽口45及び下段羽口47は、それぞれ複数段であってもよい。
ガス化溶融炉用であるコークス、廃棄物及び塩基度調整剤としての石灰石は、装入装置50によって、ガス化溶融炉40に導入される。このようにして、ガス化溶融炉40の内部に、コークス、廃棄物及び石灰石が導入される。ここで用いられる廃棄物としては、一般廃棄物・産業廃棄物、又はこれらに乾燥、焼却、破砕等の処理を施して得られた処理物、これらを一度埋め立て処理した後、再度掘り起こした土砂分を含む埋め立てごみ等が挙げられる。
下段羽口47からは酸素又は酸素富化空気が供給され、上段羽口45からは燃焼支持ガスとして空気が供給される。ガス化溶融炉40の下部に配置されたコークス41は、下段羽口47から供給された酸素又は酸素富化空気によって燃焼されて、熱源として機能する。このコークス41は、良好な火格子機能を有する。ガス化溶融炉40の上部に配置された廃棄物48は、コークスの燃焼によって加熱されて、熱分解残渣43となる。熱分解残渣43は、主に上段羽口45から供給された空気によって燃焼される。
ガス化溶融炉40の内部は、コークス41等の燃焼によって温度勾配が生じている。具体的には、ガス化溶融炉40は、上方から下方に向けて乾燥・予熱帯40a(約300〜400℃)、熱分解帯40b(約600〜800℃)、及び燃焼・溶融帯40c(約1000〜1800℃)を有する。ガス化溶融炉40の内部に導入された廃棄物48は、乾燥・予熱帯40a、熱分解帯40b及び燃焼・溶融帯40cの順に通過する。これによって、廃棄物48中の可燃分は熱分解ガス化して燃焼室に導入され、灰分は、熱分解残渣43を経て溶融物となる。スラグ及びメタルを含む溶融物は、炉底部46に設けられた出滓口49から排出される。
ガス化溶融炉40で生成した熱分解ガスは、シャフト部42を上昇し、装入装置50の下部に接続された排ガス管52から燃焼室へ導入される。燃焼排ガスは可燃ガスとして燃焼された後、ボイラーで廃熱回収される。その後、排ガスは、減温塔で温度が調整された後、集塵機及び触媒反応塔を通過して、煙突から排出される。
ガス化溶融設備200では、上述の製造方法で製造したガス化溶融炉用コークスを熱源として用いて廃棄物を処理している。このガス化溶融炉用コークスは、炉底部46で安定して火格子を形成することができるため、効率よく廃棄物を熱分解及び溶融して処理することができる。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例を参照して本発明の内容をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[コークスの製造]
(実施例1)
原料として、非粘結炭(るつぼ膨張指数:2.5)と、バインダ(SOP)とを準備した。これらの原料と水とを配合して混練し、ダブルロール成型機を用いて40kN/cmで加圧成型して、複数の成型炭を作製した。非粘結炭とバインダとの配合比率(質量基準)は、非粘結炭:バインダ=100:8とした。作製した成型炭の平均粒径は、60mmであった。作製した成型炭を、昇温速度が制御可能なバッチ式の電気炉で加熱して乾留を行い、成型炭を乾留炉に導入して乾留を行ったときの反応をシュミレーションした。このようにして、図1に示すような乾留炉で得られるコークスと同等のコークスを作製した。
乾留時の初期温度を10℃、乾留時の最高温度を1000℃、初期温度から最高温度までの昇温速度の平均値を1.67℃/分として、成型炭の乾留を行った。乾留炉に見立てた電気炉に導入するガスとしては窒素ガスを用いた。乾留工程における運転条件は、表1に示すとおりである。このようにして、実施例1のコークスを得た。
(実施例2〜実施例6、比較例1,2)
成型炭を乾留炉で乾留する際の初期温度及び最高温度を表1,2及び図8,10に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1,2のコークスを得た。
[コークスの特性及び歩留まり]
各実施例及び比較例において、コークスの歩留まりと圧壊強度とを求めた。コークスの歩留まりは、投入した成型炭全体の質量に対する得られたコークスの質量比率として求めた。得られたコークスの圧壊強度は、図4に示す測定装置を用いて上述の手順で測定した。コークスの歩留まり及び圧壊強度を表1及び表2に示す。表1は最高温度の影響を示しており、表2は初期温度(炉頂温度)の影響を示している。
Figure 0005336018
図7は、実施例1〜3及び比較例1でコークスを製造する際の最高温度と製造したコークスの圧壊強度との関係を示す図である。乾留してコークスを製造する際の最高温度を高くすることによって、圧壊強度を高くすることができる。図8は、実施例1〜3、及び比較例1でコークスを製造する際の昇温パターンを示すグラフである。
Figure 0005336018
図9は、実施例4〜6及び比較例2でコークスを製造する際の初期温度と製造したコークスの圧壊強度との関係を示す図である。コークスを製造する際の初期温度を高くし過ぎると、圧壊強度が低くなる。図10は、実施例4〜6、及び比較例2でコークスを製造する際の昇温パターンを示すグラフである。
(実施例7)
成型炭を乾留炉で乾留する際の初期温度及び最高温度を表3に示すとおりとしたこと、及び成型炭の昇温速度の平均値を、600〜700℃の間のみ0.5℃/分とし、他の温度範囲における昇温速度の平均値を1.5℃/分としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7のコークスを得た。そして、実施例1と同様にして実施例7のコークスの圧壊強度を測定した。このコークスの圧壊強度を表3に示す。
(実施例8)
成型炭を乾留炉で乾留する際の初期温度及び最高温度を表3に示すとおりとしたこと、及び成型炭の昇温速度の平均値を、500〜600℃の間のみ0.5℃/分とし、他の温度範囲における昇温速度の平均値を1.5℃/分としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例8のコークスを得た。そして、実施例1と同様にして実施例8のコークスの圧壊強度を測定した。このコークスの圧壊強度を表3に示す。
(実施例9)
成型炭を乾留炉で乾留する際の初期温度及び最高温度を表3に示すとおりとしたこと、及び成型炭の昇温速度の平均値を、700〜800℃の間のみ0.5℃/分とし、他の温度範囲における昇温速度の平均値を1.5℃/分としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例9のコークスを得た。そして、実施例1と同様にして実施例9のコークスの圧壊強度を測定した。このコークスの圧壊強度を表3に示す。
Figure 0005336018
図11は、実施例7〜9のコークスを製造する際の昇温パターンを示すグラフである。線1,2,3は、それぞれ実施例7,8,9における成型炭の温度変化を模式的に示している。表3に示す実施例7〜9の結果から、600〜700℃における昇温速度を小さくすることによって、コークスの圧壊強度が一層向上することが確認された。
(実施例10)
実施例1と同様にして成型炭を作製し電気炉で加熱して乾留を行って、実施例10のコークスを作製した。乾留時の初期温度を10℃、乾留時の最高温度を900℃、初期温度から300℃までの昇温速度を6℃/分、300〜600℃までの昇温速度を3℃/分、600〜700℃までの昇温速度を0.5℃/分、700〜900℃までの昇温速度を3℃/分として、成型炭の乾留を行った。乾留炉に見立てた電気炉に導入するガスとしては窒素ガスを用いた。実施例1と同様にして実施例10のコークスの圧壊強度を測定した。このコークスの圧壊強度を、昇温速度とともに表4に示す。
(実施例11〜15及び比較例3〜5)
乾留時の600〜700℃における昇温速度を表4に示すとおりにそれぞれ変更したこと以外は、実施例10と同様にして乾留を行い、実施例11〜15及び比較例3のコークスを作製した。また、乾留時の600〜700℃及び700〜900℃の昇温速度を表4に示すとおりに変更したこと以外は、実施例10と同様にして乾留を行い、比較例4のコークスを作製した。また、乾留時の300〜600℃及び600〜700℃の昇温速度を表4に示すとおりに変更したこと以外は、実施例10と同様にして乾留を行い、比較例5のコークスを作製した。そして、実施例10と同様にして各実施例及び各比較例のコークスの圧壊強度を測定した。このコークスの圧壊強度を、昇温速度及び昇温開始からの経過時間(加熱時間)とともに表4に示す。
図12は、実施例10〜15のコークスを製造する際の昇温パターンを示すグラフである。実施例10〜15におけるコークスの製造条件は、600〜700℃の昇温速度のみが相違しており、その他の製造条件は同一である。表4に示すとおり、比較例3のコークスの製造条件は、実施例10〜15とは600〜700℃の昇温速度のみが相違している。比較例4のコークスの製造条件は、実施例10〜15とは600〜700℃の昇温速度と、700〜900℃の昇温速度が相違している。比較例5のコークスの製造条件は、実施例10〜15とは300〜600℃の昇温速度と、600〜700℃の昇温速度が相違している。
Figure 0005336018
図13は、実施例10〜15及び比較例3〜5のコークスの圧壊強度を示すグラフである。表4に示すとおり、600〜700℃における昇温速度を5℃/分以下にすることによって、高い圧壊強度を有するコークスを製造できることが確認された。
本発明によれば、ガス化溶融炉用の熱源として用いられたときに優れた火格子機能を有するコークスを、経済的且つ効率的に製造することができる。また、本発明によれば、コークスを経済的に使用することができる。
10…成型炭製造部、11,17…タンク、12…一次粉砕機、13…乾燥器、14…二次粉砕機、15…混練機、16…成型機、20…乾留部、21…乾留炉、21a…第1の羽口、21b…第2の羽口、21c…ガス抽出口、21d…冷却ガス導入口、22…タール回収設備、22a…顕熱回収装置、22b…ガスクーラー、23…蓄熱炉、24…熱交換器、25…エジェクター、40…ガス化溶融炉、40a…乾燥・予熱帯、40b…熱分解帯、40c…燃焼・溶融帯、41,66…コークス、42…シャフト部、43…熱分解残渣、44…朝顔部、45…上段羽口、46…炉底部、47…下段羽口、49…出滓口、48…廃棄物、50…装入装置、52…排ガス管、60…圧壊強度測定装置、62…油圧ジャッキ、64…可動板、68…固定板、100…連続式成型コークス製造設備、200…ガス化溶融設備。

Claims (5)

  1. 連続式成型コークス製造プロセスによるコークスの製造方法であって、
    石炭とバインダとを含む原料を加圧成型して成型炭を得る成型工程と、
    前記成型炭を、竪型シャフト炉を用いて昇温して乾留し、圧壊強度が2500N以上であるガス化溶融炉用コークスを得る乾留工程と、を有し、
    前記成型工程における前記石炭は非粘結炭のみからなり、
    前記乾留工程における600〜700℃の間の昇温速度の平均値が0を超え且つ5℃/分以下であり、
    前記乾留工程において、前記竪型シャフト炉の頂部の温度は10〜400℃であり、前記竪型シャフト炉は、互いに温度が異なるガスを、炉内にそれぞれ導入する複数の羽口を有しており、前記ガスのうち、温度が最も高いガスの導入温度が850〜1000℃である、ガス化溶融炉用コークスの製造方法。
  2. 前記乾留工程における前記成型炭の平均粒径が60mm以上である請求項1に記載のガス化溶融炉用コークスの製造方法。
  3. 前記竪型シャフト炉の頂部の前記温度が250〜400℃である、請求項1又は2に記載のガス化溶融炉用コークスの製造方法。
  4. 度が最も高い前記ガスの導入温度が850〜950℃である、請求項1〜のいずれか一項に記載のガス化溶融炉用コークスの製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか一項の製造方法によって得られたコークスと廃棄物とをガス化溶融炉に導入し、前記コークスを熱源として用いて前記廃棄物を加熱及び溶融する工程を有する、コークスの使用方法。
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