JP2015014015A - 焼結鉱の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マグネタイトPFの酸化を促進することが可能な、新規かつ改良された焼結鉱の製造方法を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、鉄鉱石と、副原料と、マグネタイトPFを含むマグネタイトPF含有造粒物と、粉コークスおよび無煙炭の群から選ばれた一種または二種から成る第1の凝結材と、第1の凝結材よりも燃焼開始温度が低く、かつ燃焼速度が高い第2の凝結材とを含む配合原料の充填層を焼結機パレット内に形成する際に、マグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材を下層に偏析させることを特徴とする、焼結鉱の製造方法が提供される。
【選択図】図1

Description

本発明は、焼結鉱の製造方法に関する。
製銑プロセスで原料となる鉄鉱石のうち、粒度が10mm以下となる粉鉱石は粒度が小さいので、そのまま高炉に投入されると、高炉内の目詰まりの原因となる可能性がある。そこで、粉鉱石は、そのまま高炉に投入されるのではなく、その他の焼結用原料と共に焼き固められた焼結鉱として高炉に投入される。ここに、焼結用原料は、粉鉱石、ペレットフィード、塊鉱石やペレットの篩下粉、凝結材(粉コークス、無煙炭等の炭材)、副原料(石灰石、橄欖岩、蛇紋岩、珪石等の焼結鉱のSiO、CaO、MgO成分を調整するための原料)、造粒剤(生石灰、消石灰、有機系バインダー等)及び雑原料(スケール、雑鉱等)を含む。また、前記焼結用原料と焼結機内で循環している返鉱を所定比率で混合した原料を配合原料と呼ぶ。
ところで、近年、高品位の粉鉱石(ヘマタイト(Fe)を多く含む粉鉱石)の供給量が低減してきたこと等に鑑み、ペレットフィード(PF)を焼結用原料として使用することが期待されている。ペレットフィードは、元来鉄分の含有量が少ない原鉱を粒度が0.1mm以下になるまで粉砕し、粉砕した原料を選鉱して鉄分を高めることで製造される精鉱である。このような精鉱の一部は焼結用原料として流通している。
特許文献1及び非特許文献1〜3には、焼結鉱の製造方法が開示されている。非特許文献1〜3に開示された焼結鉱の製造方法では、鉄鉱石の造粒物を粗大粒子とし、このような造粒物を含む焼結用原料を用いて充填層を形成する。この充填層内では、造粒物周囲の空隙率が高められるので、充填層の通気性が向上する。したがって、焼結過程(充填層を焼結する過程)において、充填層内を空気(流通ガス)が通りやすくなるので、焼結鉱の生産性等が向上することが期待される。このような焼結鉱の製造方法は、MEBIOS法とも称される。なお、非特許文献1では、ゲーサイト系鉱石であるマラマンバ鉱の造粒物を粗大粒子としている。非特許文献2、3では、ピソライト鉱(HIヤンディ鉱)及びPFの造粒物を粗大粒子としている。造粒物中のPFは、ピソライト鉱の表面に存在(賦存)する。
特許文献1に開示された焼結鉱の製造方法では、このようなMEBIOS法において、鉄鉱石のみならず、凝結材も粗大粒子としている。MEBIOS法では、造粒物の粒度が大きいので、造粒物全体に熱が伝わるのに時間がかかる。特許文献1は、造粒物全体により確実に熱を伝えることを目的とし、この目的を達成するために、凝結材(無煙炭)を粗大粒子とする。特許文献1に開示された焼結鉱の製造方法では、凝結材は粗大粒子となっているので、緩慢燃焼する(すなわち、時間をかけて燃焼する)。したがって、特許文献1に開示された焼結鉱の製造方法では、高温保持時間が長くなる。これにより、造粒物全体に熱をより確実に伝えることが期待される。
特開2009−24248号公報
粗大粒子を配置した焼結原料層の焼結化挙動(川口ら、鉄と鋼、Vol.92(2006)、p779〜787) 鉄鉱石微粒子バインダー添加造粒における鉱石特性が焼結生産性に与える影響(上城ら、材料とプロセス、25(2012)、p858) 和歌山No.5 焼結機における微粒子バインダー添加テスト(山口ら、材料とプロセス、25(2012)、p859)
とこで、従来、ペレットフィードとして、ヘマタイト系のもの(ヘマタイトPF)が主流として流通していた。近年、マグネタイト系のもの(マグネタイトPF)も開発されつつあり、今後、広く流通する見込みである。
マグネタイトPFは、マグネタイト(Fe)を主たる構成鉱物として含む。マグネタイトは焼結過程でヘマタイトへ酸化し、発熱する作用がある。焼結用原料にマグネタイトPFを含めることにより、マグネタイトPFが熱源となるので、凝結材原単位の低減が期待される。このように、今後はマグネタイトPFが流通することが予想され、かつ、マグネタイトPFによって凝結材原単位の低減が期待されることから、なるべく多くのマグネタイトPFを使用して焼結鉱を作製したいという要望が強くなってきている。
しかし、マグネタイトPFと他の焼結用原料とを単純に混合し、焼結鉱を製造しただけでは、マグネタイトPFが十分に酸化せず、結果として焼結鉱内のマグネタイト成分が増加してしまうことがわかった。本発明者は、流通ガス中に多量のCOが含まれているために、マグネタイトPFが十分に酸化しなかったと考えた。
すなわち、従来の焼結鉱の製造方法で使用される凝結材は、1000℃以上の高温場でも炭素成分が残留しているため、この炭素成分が二酸化炭素と反応して一酸化炭素を生成する(C+CO→2CO)。このような反応はソリューション・ロス反応と呼ばれている。したがって、従来の焼結鉱の製造方法では、流通ガス中に大量の一酸化炭素が含まれている。そして、焼結過程においてはマグネタイトの酸化よりも一酸化炭素の2次燃焼(CO+O→CO)が優先される。したがって、マグネタイトの酸化が抑制される。
このように、マグネタイトPFと他の焼結用原料とを単純に混合し、焼結鉱を製造しただけでは、マグネタイトPFが十分に酸化しなかった。このため、凝結材の原単位低減の効果を十分に得ることができなかった。さらに、焼結鉱内のマグネタイト成分が増加してしまうため、焼結鉱の被還元性も悪化してしまっていた。すなわち、高炉内で焼結鉱を還元するのに必要なエネルギーが増加してしまっていた。したがって、焼結過程でマグネタイトPFの酸化を促進させることができる技術が求められていた。
これに対し、特許文献1及び非特許文献1〜3に開示された技術では、マグネタイトPFの使用を何ら想定していなかった。したがって、これらの技術では、マグネタイトPFの酸化を何ら促進することができなかった。また、特許文献1に開示された技術では、凝結材を緩慢燃焼させるので、焼結時間が延長され、ひいては生産性が低下することが懸念される。
なお、非特許文献2、3に開示されたPFをマグネタイトPFに置き換えて造粒物を作製した場合、造粒物中のマグネタイトPFはピソライト鉱の表面に偏在(賦存)することとなる。したがって、焼結過程においてマグネタイトPFと酸素を含む流通ガスとの接触が良好となるので、マグネタイトPFの酸化促進が期待される。
しかしながら、上述したように、従来の焼結鉱の製造方法では、流通ガス中に大量のCOが含まれている。したがって、マグネタイトPFと流通ガスとの接触が良好であったとしても、依然としてマグネタイトの酸化が抑制される。このように、単に非特許文献2、3に開示されたPFをマグネタイトPFに置き換えただけでは、マグネタイトPFの酸化は促進されない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、マグネタイトPFの酸化を促進することが可能な、新規かつ改良された焼結鉱の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明では、マグネタイトPFを造粒物とし、燃焼速度の速い炭材をこの造粒物に近接配置してCOガス濃度の比較的低い環境でそれを加熱・酸化させることによって、マグネタイトの酸化を促進させる。具体的には、鉄鉱石と、副原料と、マグネタイトPFを含むマグネタイトPF含有造粒物と、粉コークスおよび無煙炭の群から選ばれた一種または二種から成る第1の凝結材と、第1の凝結材よりも燃焼開始温度が低く、かつ燃焼速度が高い第2の凝結材とを含む配合原料の充填層を焼結機パレット内に形成する際に、マグネタイトPF含有造粒物に第2の凝結材を第1の凝結材より近接して配置することを特徴とする、焼結鉱の製造方法が提供される。
前記マグネタイトPF含有造粒物と第2の凝結材とが近接した部位は、前記充填層の下層部であってもよい。
ここで、マグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材の粒度は5mm以上であれば、前記近接部位が下層部に形成される。
また、マグネタイトPF含有造粒物は、ピソライト系粉鉱石と、ピソライト系粉鉱石の表面に付着したマグネタイトPFとを含んでいてもよい。
以上説明したように本発明によれば、充填層の下層ではマグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材が近接した充填層を形成するので、焼結過程でマグネタイトPFの酸化を促進させることができる。
本実施形態に係る焼結鉱の製造方法を実現するための焼結鉱製造システムである。 焼結機パレット内に形成される充填層の一例を示す模式図である。 充填層を構成する各分割層の組成と相対高さとの対応関係を示すグラフである。 各分割層に含まれるフリーカーボンの存在比と相対高さとの対応関係を材料毎に示すグラフである。 点火開始時刻からの時間と流通ガスの成分比との対応関係を示すグラフである。 フリーカーボンの存在比と相対高さとの対応関係を造粒物(グリーンボール)の平均粒径毎に示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.マグネタイトPFの酸化を促進する技術の検討>
本発明者は、マグネタイトPFの酸化を促進する技術について鋭意検討し、この結果、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法に想到した。そこで、まず、本発明者が行った検討について説明する。
上述したように、今後はマグネタイトPFが流通することが予想されており、さらに、マグネタイトPFの酸化発熱を利用することで凝結材原単位の低減も期待される。これらの事情により、なるべく多くのマグネタイトPFを使用して焼結鉱を作製したいという要望が強くなってきている。その一方で、マグネタイトPFと他の焼結用原料とを単純に混合し、焼結鉱を製造しただけでは、マグネタイトPFが十分に酸化しなかった。本発明者は、流通ガス中に多量の一酸化炭素が含まれているために、マグネタイトPFが十分に酸化しなかったと考えた。
そこで、本発明者は、流通ガス中の一酸化炭素濃度を低減する技術について鋭意検討し、この結果、従来の凝結材よりも低温で燃焼を開始し、かつ燃焼速度が速い凝結材(第2の凝結材)を使用することを見出した。このような凝結材は、高温場では炭素成分がほとんど残留していないので、上述したソリューション・ロス反応は殆ど起こらない。したがって、流通ガス中の一酸化炭素濃度が低減される。すなわち、マグネタイトPFと第2の凝結材を近接させることで、マグネタイトPFの酸化を促進できる。この時、マグネタイトPFと第2の凝結材とが造粒物を形成すると第2の凝結材の燃焼が阻害される。それを避けるために、マグネタイトPFは予め造粒物(炭材以外の原料を含んでもよい)としておく必要がある。
マグネタイトPFを含む造粒物と第2の凝結材とが近接した部位は、原料充填層の下層部であることが好ましい。上層部に比較して下層部は、高温保持時間が長いため、マグネタイトPF造粒物が酸化する時間を長く取れるためである。
マグネタイトPF造粒物と第2の凝結材とが近接した層を下層に形成する方法には、たとえば二段装入法が利用できる。さらに簡易にこれを実現するには、マグネタイトPFを含む造粒物および第2の凝結材の直径を5mm以上とするとよい。粗大粒子は原料装入時に原料充填層の下方に偏析するので、通常の(すなわち、二段装入を行わない)原料装入装置を使用しても、マグネタイトPFを含む造粒物に凝結材が近接した層を下層部に形成できる。
なお、特許文献1に開示された技術でも凝結材を粗大粒子としているが、特許文献1に開示された技術と本実施形態とでは、凝結材の燃焼特性が異なる。すなわち、本実施形態に係る凝結材は、特許文献1に開示された凝結材(すなわち従来の凝結材)よりも低温で燃焼を開始し、かつ、従来の凝結材よりも燃焼速度が高い。したがって、本実施形態では、特許文献1に開示された技術で懸念される生産性の低下はほとんど生じない。
さらに、本実施形態と特許文献1に開示された技術とでは、凝結材を大径化する目的も異なる。すなわち、本実施形態では、大径化した造粒物と凝結材とを近接させるために凝結材を大径化するのに対し、特許文献1に開示された技術では、凝結材を緩慢燃焼させるために、凝結材を大径化する。
本発明者は、これらの知見の下、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法に想到した。以下、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法について説明する。
<2.焼結鉱製造システム>
以下に、マグネタイトPFを含む造粒物および第2の凝結材の直径を5mm以上とした実施形態を説明する。まず、図1及び図2にもとづいて、焼結鉱製造システム10の構成について説明する。焼結鉱製造システム10は、本実施形態に係る焼結鉱の製造方法を実現するためのシステムであり、E−Pライン10Aと、D−Dライン10Bと、凝結材供給ホッパ30と、焼結機50とを備える。E−Pライン10Aは、撹拌ミキサ21と、パンペレタイザ22と、混合物供給ライン23と、グリーンボール供給ライン24とを備える。D−Dライン10Bは、ドラムミキサ41と、配合原料供給ライン42とを備える。
撹拌ミキサ21は、マグネタイトPF含有原料20を混合することでマグネタイトPF含有混合物を作製する。ここで、マグネタイトPF含有原料20は、マグネタイトPF、大径粉鉱石、及びバインダを含む焼結用原料である。大径粉鉱石は、大径の粒子(例えば粒度が2mmより大きい粒子)を含む粉鉱石である。大径粉鉱石としては、ヘマタイト系の粉鉱石、及びゲーサイト系の粉鉱石等が挙げられる。大径粉鉱石としては、より具体的にはマラマンバ鉱、及びピソライト鉱(HIヤンディ鉱)等が挙げられる。これらのうち、ピソライト鉱が特に好ましい。ピソライト鉱はマラマンバ鉱等よりも大径の粒子を多数含むからである。
ここで、本実施形態での粒度は、例えば目開きの大きさが異なる篩を用いて測定される。例えば、目開きが2mmの篩を用意し、測定対象の粉鉱石をこの篩にかける。この篩に残留した粉鉱石は、粒度が2mmより大きく、篩から落ちた粉鉱石は粒度2mm以下となる。後述する実施例及び比較例では、目開きの大きさが異なる篩を用いて粒度を測定した。
マグネタイトPFは、マグネタイト(Fe)を主たる構成鉱物として含むPFである。マグネタイトPFの種類は特に限定されない。バインダも、焼結用原料のバインダとして使用されるものであれば特に制限されない。このようなバインダとしては、例えば生石灰及び消石灰が挙げられる。マグネタイトPF含有原料20の原料全体(マグネタイトPF含有原料20、後述する第2の凝結材70及び汎用原料40の全体)に対する含有比は例えば1〜2割程度であればよい。もちろん、含有比はこの値に限定されない。
なお、マグネタイトPF含有原料20には大径粉鉱石が含まれていなくてもよい。この場合、パンペレタイザ22は、マグネタイトPF及びバインダを含有するグリーンボールを作製することとなる。ただし、グリーンボール60は大径粉鉱石を含むことが好ましい。この場合、マグネタイトPFはグリーンボール60の表面に偏在するので、マグネタイトPFと流通ガスとの接触が良好となり、ひいては、マグネタイトPFの酸化がより促されるからである。また、マグネタイトPF含有原料20には、上記以外の焼結用原料、例えば副原料、雑原料、及び返鉱のいずれかを含めてもよい。撹拌ミキサ21は、マグネタイトPF含有混合物を混合物供給ライン23に供給する。
混合物供給ライン23は、マグネタイトPF含有混合物に水を添加した後、マグネタイトPF含有混合物をパンペレタイザ22に供給する。パンペレタイザ22は、マグネタイトPF含有混合物を造粒することで、マグネタイトPF含有造粒物(図2に示すグリーンボール60)を作製する。グリーンボール60は、大径粉鉱石、マグネタイトPF、及びバインダを含む造粒物である。グリーンボール60中のマグネタイトPFは、大径粉鉱石の表面に付着している。すなわち、マグネタイトPFは、グリーンボール60の表面に偏在している。これにより、焼結過程においてマグネタイトPFと酸素を含む流通ガスとの接触が良好となる。
グリーンボール60の平均粒径(粒度)は5mm以上が好ましく、10mm以上がより好ましい。グリーンボール60の平均粒径が5mm以上であれば、グリーンボール60を含む配合原料を焼結機50に装入するだけで、グリーンボール60が充填層の下層に偏析されるからである。グリーンボール60の平均粒径の上限値は特に制限はないが、例えば15mm程度であればよい。ここで、平均粒径は、グリーンボールの粒度の算術平均値である。
なお、グリーンボール60は大径であるので、その全体に熱が伝わるのに時間がかかる。しかし、グリーンボール60はその表面に偏在するマグネタイトPFの酸化によって発熱する。すなわち、グリーンボール60は、マグネタイトの酸化により熱補填される。したがって、グリーンボール60を加熱するために高温ガス場からの熱伝達はほとんど必要ない。パンペレタイザ22は、グリーンボール60をグリーンボール供給ライン24に供給する。グリーンボール供給ライン24は、グリーンボール60及び後述する第2の凝結材70(図2参照)を配合原料供給ライン42に供給する。
凝結材供給ホッパ30は、図2に示す第2の凝結材70をE−Pライン上のグリーンボール60に投入する。具体的には、凝結材供給ホッパ30は、グリーンボール供給ライン24に第2の凝結材70を供給する。第2の凝結材70は、後述する第1の凝結材よりも低温(例えば400〜450℃)で燃焼を開始し、かつ、第1の凝結材よりも燃焼速度が高い。第2の凝結材70としては、例えばバイオマス(木材)のチャー、及び石炭のチャー等が挙げられる。第2の凝結材70としては、より具体的には、PKS炭等が挙げられる。また、第2の凝結材70は、大径の凝結材であり、その粒度はグリーンボール60と同程度であればよい。すなわち、第2の凝結材70の粒度(平均粒径)は5mm以上であることが好ましく、10mm以上であることがより好ましい。これにより、第2の凝結材70は図2に示す充填層100中でグリーンボール60に近接する。なお、第2の凝結材70は、後述する汎用原料と共にドラムミキサ41に投入されてもよい。ただし、グリーンボール60と第2の凝結材70とを近接させるという観点からは、第2の凝結材70は、E−Pライン上のグリーンボール60に投入されることが好ましい。
ドラムミキサ41は、2つのドラムミキサ(1次ミキサ、2次ミキサ)が連結された構造となっている。ドラムミキサ41は、汎用原料40に水を添加し、これらを造粒することで、図2に示す汎用原料造粒物80を作製する。汎用原料40は、焼結鉱の作製に汎用される焼結用原料、例えば鉄鉱石(粉鉱石)、副原料、第1の凝結材、雑原料、及び返鉱を含む。ここで、第1の凝結材は、従来から焼結鉱の作製に汎用される凝結材である。第1の凝結材としては、例えば粉コークス及び無煙炭等が挙げられる。第1の凝結材は、第2の凝結材70よりも高温(例えば650℃)で燃焼を開始し、かつ、第2の凝結材70よりも燃焼速度が低い。ドラムミキサ41は、汎用原料造粒物80を配合原料供給ライン42に供給する。配合原料供給ライン42は、グリーンボール60、第2の凝結材70、及び汎用原料造粒物80からなる配合原料を焼結機50に供給する。
焼結機50は公知の焼結機であり、概略的には、配合原料供給ホッパ51と、焼結ベッド52と、点火炉53と、ブロア54と、破砕部55と、成品篩57とを備える。配合原料供給ホッパ51は、配合原料を焼結ベッド52上に装入することで、図2に示す充填層100を焼結ベッド52上に形成する。ここで、配合原料供給ホッパ51と焼結ベッド52との間には焼結ベッド52側に傾斜した運搬板が設けられており、配合原料供給ホッパ51から排出された配合原料は、この運搬板上を転がって焼結ベッド52上に落下する。これにより、充填層100が焼結ベッド52上に形成される。また、充填層100には傾斜面が形成されており、運搬板から落下した配合原料は、この斜面上に落下する。そして、配合原料は、斜面上を転がり、その粒度に応じた位置に留まる。すなわち、粒度の大きい配合原料、すなわちグリーンボール60及び第2の凝結材70は充填層100の下層120まで転がるが、粒度の小さい汎用原料造粒物80は充填層100の上層110にとどまる。すなわち、充填層100は、その厚さ方向で粒度偏析が生じている。
ここで、図2に基づいて、充填層100の構成について説明する。充填層100は、上層110と下層120とに区分される。上層110には、粒度が小さい原料、すなわち汎用原料造粒物80が偏析する。一方、下層120には、粒度が大きい原料、すなわちグリーンボール60、及び第2の凝結材70が偏析する。なお、下層120には汎用原料造粒物80も含まれる。上層110と下層120との厚さの比は特に制限されないが、例えば8:2となる。なお、上層110は、充填層100の表面(上端面)を含む層であり、下層120は充填層100の底面(下端面)を含む層である。
点火炉53は、充填層100の表面を点火し、ブロア54は充填層100内の空気(流通ガス)を下方に吸引する。これにより、充填層100が焼結し、焼結ケーキが作製される。ここで、グリーンボール60及び第2の凝結材70は粗大粒子なので、下層120の通気性は上層110よりも良好となっている。さらに、マグネタイトPFはグリーンボール60の表面に偏在する。したがって、マグネタイトPFと流通ガスとの接触は非常に良好となる。
さらに、グリーンボール60に隣接している第2の凝結材70は、低温で燃焼を開始し、かつ燃焼速度が高いので、下層120が高温となる際(下層120が焼結する際)にはほぼ完全に燃焼している(炭素成分がほとんど残っていない)。したがって、下層120が高温となる際には、流通ガス中の一酸化炭素濃度(CO/CO比)は非常に低くなっており、ソリューション・ロス反応は殆ど起こらない。さらに、下層120は上層110よりも高温保持時間が長い。以上により、本実施形態では、焼結過程でマグネタイトPFの酸化が促進される。破砕部55は、焼結ケーキを破砕することで、焼結鉱を作製する。成品篩57は、破砕部55が作製した焼結鉱を成品と返鉱とに分類する。成品は高炉に供給され、返鉱は汎用原料40の一部として再利用される。
<3.焼結鉱の製造方法>
次に、上述した焼結鉱製造システム10を用いた焼結鉱の製造方法について説明する。まず、撹拌ミキサ21は、マグネタイトPF含有原料20を混合することで、マグネタイトPF含有混合物を作製する。混合物供給ライン23は、マグネタイトPF含有混合物に水を添加し、水が添加されたマグネタイトPF含有混合物をパンペレタイザ22に供給する。パンペレタイザ22は、マグネタイトPF含有混合物及び水を造粒することで、グリーンボール60を作製する。パンペレタイザ22は、グリーンボール60をグリーンボール供給ライン24に供給する。一方、凝結材供給ホッパ30は、第2の凝結材をグリーンボール供給ライン24に供給する。グリーンボール供給ライン24は、グリーンボール60及び第2の凝結材70を配合原料供給ライン42に供給する。
一方、ドラムミキサ41は、汎用原料40及び水を造粒することで汎用原料造粒物80を作製し、配合原料供給ライン42に供給する。配合原料供給ライン42は、グリーンボール60、第2の凝結材70、及び汎用原料造粒物80からなる配合原料を焼結機50に供給する。配合原料供給ホッパ51は、配合原料を焼結ベッド52上に装入することで焼結ベッド上に充填層100を形成する。ここで、グリーンボール60及び第2の凝結材70はいずれも粒度が大きいので、充填層100の下層に偏析する。すなわち、第2の凝結材70はグリーンボール60に近接する。点火炉53は、充填層100の表面を点火する。一方、ブロア54は充填層100の下方から充填層100内の空気を吸引する。これにより、充填層100が焼結され、焼結ベッドが作製される。ここで、マグネタイトPFと流通ガスとの接触は良好である。さらに、下層120が高温となる際には、流通ガス中の一酸化炭素濃度が非常に低くなっている。さらに、下層120は上層110よりも高温保持時間が長い。したがって、焼結過程でマグネタイトPFの酸化が促進される。焼結ベッドは破砕部55により破砕されることで焼結鉱となる。成品篩57は焼結鉱を成品及び返鉱に分類し、成品は高炉に供給される。
(実施例1)
(配合原料の作製)
実施例1では、以下の処理により配合原料を作製した。マグネタイトPFを含むグリーンボール用原料の配合を表1に示す。まず、表1の原料を撹拌ミキサに投入し、3分間混合した。これにより、マグネタイトPF含有混合物を作製した。
Figure 2015014015
次に、マグネタイトPF含有混合物を、マグネタイトPF含有混合物の総質量に対して8.9質量%の水分を添加して、パンペレタイザに載せ、7分間造粒して、グリーンボールを作製した。このグリーンボールは、粒度10mm超過12.5mm以下の粒子をグリーンボール総質量の85質量%含んでいた。
一方、汎用原料として粉鉱石、石灰石(副原料)、粉コークス、雑原料、及び返鉱をドラムミキサに投入し、これらを4分間混合した。ついで、ドラムミキサに水を添加し(添加量は汎用原料の総質量に対して6.8質量%)、さらにこれらを4分間混合した。これにより汎用原料造粒物を作製した。
ついで、前記汎用原料造粒物、前記グリーンボール、及びPKS炭(第2の凝結材。粒度5mm超過10mm以下)をドラムミキサに投入し、これらを15秒間混合した。これにより、配合原料を作製した。なお、この処理は図1に示す配合原料供給ライン42が配合原料を焼結機50に供給する(移送する)処理に相当する。すなわち、焼結鉱製造システム10は、配合原料を積極的に混合していないが、配合原料は配合原料供給ライン42を移送される際に自然に混合される。実施例1では、配合原料の自然な混合をドラムミキサによる短時間の撹拌(15秒の撹拌)により再現した。表2に配合原料の組成を示す。
Figure 2015014015
表2中、「鉄鉱石、石灰石他」は、粉鉱石、石灰石、雑原料、及び返鉱を意味する。また、配合原料の水の含有比は配合原料(汎用原料造粒物、グリーンボール、及びPKS炭)の総質量に対して7.3質量%であった。
ついで、焼結機50の配合原料供給ホッパ51から焼結ベッド52までの構造を再現した装入装置を用意し、この装入装置に配合原料を投入した。これにより、焼結機50内で形成される充填層を再現した。ついで、この充填層を厚さ方向に等間隔で5分割して各分割層から配合原料を取り出した。取り出した配合原料は、層厚500mm、総量が65kgとなるように、各層を順に鍋に装入した。尚、各層の残試料から分析用の試料を採取した。
(配合原料の分析)
ついで、分割層から採取した配合原料を用いて、各分割層の配合原料の構成を分析した。具体的には、各分割層の配合原料からPKS炭、グリーンボールを分類した。分類は目視によった。これらの配合原料は粒形に特徴があるので、目視による分類が可能である。その結果を図3に示す。
図3中、横軸は各分割層の構成の存在率を各分割層の配合原料の総質量に対する質量%で示す。縦軸は各分割層の相対高さを示す。相対高さは、充填層の下端面から各分割層の厚さ方向の中心面までの距離を充填層の総厚さで除算した値である。図3からも明らかな通り、PKS炭及びグリーンボール(GB)は下層に偏析した。すなわち、相対高さ0.6未満の領域からこれらの存在率が上昇し、0.5未満の領域でこれらの存在率が特に高くなった。最下層の分割層では、グリーンボール:汎用原料は大凡40:60(質量%)となる。反対に、その他の配合原料(汎用原料)は充填層の上層に偏析した。
また、各分割層に含まれる炭材の構成(PKS由来と粉コークス由来)も調査した。具体的には、PKS炭に含まれるフリーカーボンの質量%(PKS炭の総質量に対する質量%)と、粉コークスに含まれるフリーカーボンの質量%(粉コークスの総質量に対する質量%)とを燃焼法により測定した。ついで、これらの測定値と、各分割層におけるPKS炭の質量比率(図3に示した数値)及び各分割層における全フリーカーボンの分析値から、各分割層における粉コークス由来のフリーカーボンの存在率を推定した。
調査結果を図4に示す。図4の横軸は各分割層におけるPKS炭由来、粉コークス由来および全フリーカーボンの存在率(分割層の配合原料の総質量に対する重量%)を示し、縦軸は各分割層の相対高さを示す。全フリーカーボンの存在率は、PKS炭由来のフリーカーボンの存在率と粉コークス由来のフリーカーボンの存在率との合計になる。図4からも明らかな通り、PKS炭由来のフリーカーボンは相対高さ0.8未満の領域で存在率が上昇した。そして、相対高さ0.5未満の領域では、PKS炭由来のフリーカーボンの存在率と粉コークス由来のフリーカーボンの存在率とが逆転した。
また、最表層の配合原料の総質量に対するFeO質量%(滴定法により測定した二価鉄のFeO換算値)と、最下層の配合原料の総質量に対するFeO質量%とを測定した結果を表3に示す。
(鍋試験)
次いで、50kg鍋試験装置の試験鍋(内径300mm、高さ660mm)に床敷鉱を投入した。床敷鉱の高さは20mmとした。次いで、分割層の配合原料を、最下層を構成する分割層から1層ずつ順次試験鍋に投入した。これにより、試験鍋中に充填層を再現した。充填層の高さは485mmであった。
次いで、充填層の表面を1.5分点火した。その後、吸引負圧13kPaで焼成を行った。これにより、焼結ケーキを作製した。また、焼結中に試験鍋下方から排出された流通ガスの成分を分析した。CO,COの分析には赤外線分析計を、酸素の分析には磁気式分析計を用いた。
測定結果を図5に示す。横軸は点火開始時刻からの時間を示し、縦軸は各成分の体積%(流通ガスの総体積に対する体積%)を示す。図5によれば、点火開始から10分程度経過した時点から一酸化炭素濃度が低下した。一方、燃焼前面(燃焼帯(溶融帯)の下端面)が試験鍋の下端面に到達するまでに20分かかった。燃焼前面の降下速度が一定であると仮定すると、点火開始から10分程度経過した時点は、燃焼前面が相対高さ0.5%に到達した時点である。相対高さ0.5%では、PKS炭由来のフリーカーボンの存在率が粉コークス由来のフリーカーボンの存在率よりも高くなる。したがって、点火開始から10分程度経過した時点からPKS炭の燃焼による影響が顕著となり、結果として、一酸化炭素濃度が低下したと推測される。
ついで、焼結ケーキを2mの高さから5回落下させた後、粒度が5mm以上の焼結鉱を成品として篩分けした。また、成品からグリーンボール由来の焼結鉱と、汎用原料由来の焼結鉱を採取した。具体的には、最表層の分割層から得られた焼結鉱を汎用原料由来の焼結鉱とし、最下層の分割層から得られた焼結鉱をGB由来の焼結鉱とした。そして、これらの焼結鉱に含まれるFeOを滴定法により測定した。なお、汎用原料由来の焼結鉱については粒度が19mm超過21mm以下の粒子を測定対象とした。測定結果を表3に示す。
Figure 2015014015
表3中、「焼成後FeO」は焼結鉱中の二価鉄の質量%(焼結鉱の総質量に対する質量%)を示し、「焼成前FeO」は配合原料中の二価鉄の質量%(配合原料の総質量に対する質量%)を示す。表3からも明らかな通り、GB由来の焼結鉱は、元の配合原料に対して二価鉄の質量%が大きく低減している。したがって、GBを含有する分割層では、マグネタイトPFの酸化が促進されたことがわかった。一方、汎用原料由来の焼結鉱は、元の配合原料よりも二価鉄の質量%がかえって増加している。一般の焼結過程では、この程度のFeOの上昇が通常認められ、この理由としては、ヘマタイトが焼結過程でマグネタイトに変態したことが考えられている。
また、焼結ケーキ全体に関して、成品中の二価鉄の質量%、被還元性RI、還元粉化指数RDI、及びタンブラー強度TIを測定した。成品中の二価鉄の質量%は、FeO換算値であり、焼結ケーキ全体に対する成品中の二価鉄の質量%を示す。
被還元性RIは、JIS M8713に準じて測定された。具体的には、19.0mm超過22.4mm以下にふるい分けられた500gの成品を、900℃のもとで還元ガス(CO:30体積%、N2:70体積%)により180分間還元した。そして、還元前の被還元酸素量に対する還元酸素量の割合を測定し、これを被還元性とした。
また、耐還元粉化指数RDIは、JIS M8720に準じて測定された。具体的には、16.0mm超過20mm以下にふるい分けられた500gの成品を、550℃のもとで還元ガス(CO:30体積%、N2:70体積%)により30分間還元した。そして、還元後の成品を回転ドラムに充填し、900回転させた後、2.83mm以下の粒度を有する焼結鉱と他の焼結鉱とにふるい分けた。そして、2.83mm以下の粒度を有する焼結鉱の総質量(500g)に対する割合を耐還元粉化指数とした。
タンブラー強度TIは、JIS M8712に準拠し、成品を回転ドラム内で回転させて、目開き6.3mmの篩で篩い分け、試験に供された成品の総質量と、試験後の+6.3mm(6.3mm超過)の成品の総質量の比から求めた。測定結果を表4に示す。表4の評価については後述する。
Figure 2015014015
(実施例2)
実施例2では、「U−Tac conc.」及び生石灰のみでグリーンボールを作製し、「HIヤンディ」は汎用原料と共にドラムミキサに投入した。これら以外の処理は実施例1と同様とした。すなわち、実施例2では、グリーンボールを構成する鉄鉱石を全てマグネタイトPFとした。この結果を表4に示す。
(比較例)
比較例では、表1、2に示すすべての配合原料のうち、PKS炭を除く配合原料を一括してドラムミキサに投入した。そして、これらの配合原料を4分間混合し、水を添加した後さらに4分混合することで、比較例造粒物を作製した。水の添加量は配合原料の総質量に対して7.3質量%とした。それ以外の処理は実施例1と同様の処理を行った。この結果を表4に示す。
表4によれば、実施例1、2では、比較例と同等のRDIが維持されており、かつ、成品中の二価鉄が比較例よりも明らかに減少している。さらに、実施例1、2では、RIも向上している。したがって、実施例1、2では、焼結過程でマグネタイトPFの酸化が促進されていることが明らかとなった。さらに、実施例1、2では、TIも向上している。この理由として、焼結過程でマグネタイトPFの酸化が促進された結果、より多くの熱量によって配合原料が焼き固められたことが考えられる。したがって、実施例1、2では、この点においても、焼結過程でマグネタイトPFの酸化が促進されていることが明らかとなった。また、グリーンボールを大径粉鉱石及びマグネタイトPFで作製した場合、グリーンボールをマグネタイトPFで作製した場合のいずれにおいても、マグネタイトPFの酸化が促進されることもわかった。また、実施例1は実施例2よりも良好な結果が得られていることから、グリーンボールは大径粉鉱石及びマグネタイトPFで作製することが好ましいこともわかった。
(実施例3)
実施例1のグリーンボール作製処理において、水の添加量及び撹拌時間を調整することで、粒度3mm超過5mm以下のグリーンボールがグリーンボール総質量の85質量%を占めるグリーンボールを作製した。同様に、粒度5mm超過10mm以下のグリーンボールがグリーンボール総質量の85質量%を占めるグリーンボールを作製した。そして、これらのグリーンボールを含む配合原料を実施例1と同様の処理により作製し、配合原料の分析を行った。その結果を図6に示す。
図6中、「GB平均粒径3mm」は粒度3mm超過5mm以下のグリーンボールがグリーンボール総質量85質量%を占めるグリーンボールを示す。「GB平均粒径5mm」は粒度5mm超過10mm以下のグリーンボールがグリーンボール総質量の85質量%を占めるグリーンボールを示す。「GB平均粒径11mm」は実施例1のグリーンボールを示す。図6によれば、グリーンボールの平均粒径が5mm以上となる場合に、グリーンボールが下層に偏析することがわかった。なお、平均粒径が5mm未満となる場合、例えばグリーンボール及び第2の凝結材を焼結機50の焼結ベッド52上に充填し、ついで、汎用原料をグリーンボール及び第2の凝結材の上方に充填すればよい。すなわち、いわゆる2段階装入を行えばよい。
以上により、本実施形態によれば、グリーンボール60及び第2の凝結材70が下層に偏析された充填層100を形成することができるので、焼結過程でマグネタイトPFの酸化を促進させることができる。
さらに、本実施形態では、グリーンボール60の粒度(平均粒径)が5mm以上となるので、グリーンボール60が自然に下層に偏析する。
さらに、本実施形態では、グリーンボール60は、ピソライト系粉鉱石と、ピソライト系粉鉱石の表面に付着したマグネタイトPFとを含むので、マグネタイトPFの酸化をさらに促進させることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、マグネタイトPF含有造粒物を粗大粒子(粒度5mm以上の粒子)としたが、マグネタイトPF含有造粒物は粒度5mm未満の小径粒子であってもよい。ただし、この場合、マグネタイトPF含有造粒物を含む配合原料を焼結機50に投入しただけではマグネタイトPF造粒物は充填層の下層に偏析されない。そこで、この場合には、マグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材を焼結機50の焼結ベッド52上に充填し、ついで、汎用原料をマグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材の上方に充填すればよい。すなわち、いわゆる2段階装入を行えばよい。また、マグネタイトPF含有造粒物が粒度5mm未満となる場合、第2の凝結材を大径化させる必要はない。すなわち、マグネタイトPF含有造粒物は粒度5mm未満となる場合、第2の凝結材の粒度も5mm未満としてよい。
また、上述したように、マグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材は充填層の下層に偏析されることが好ましいが、上層に偏析されてもよい。マグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材を上層に偏析させる方法は、例えば2段階装入法が挙げられる。すなわち、まず、汎用原料を焼結機50の焼結ベッド52上に形成し、その上方にマグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材を充填すればよい。この方法によれば、マグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材の粒度によらず、マグネタイトPF含有造粒物及び第2の凝結材を充填層の上層に偏析させることができる。
10 焼結鉱製造システム
10A E−Pライン
10B D−Dライン
20 マグネタイトPF含有原料
21 撹拌ミキサ
22 パンペレタイザ
23 混合物供給ライン
24 グリーンボール供給ライン
30 凝結材供給ホッパ
40 汎用原料
41 ドラムミキサ
42 配合原料供給ライン
50 焼結機

Claims (4)

  1. 鉄鉱石と、副原料と、マグネタイトPFを含むマグネタイトPF含有造粒物と、粉コークスおよび無煙炭の群から選ばれた一種または二種から成る第1の凝結材と、前記第1の凝結材よりも燃焼開始温度が低く、かつ燃焼速度が高い第2の凝結材とを含む配合原料の充填層を焼結機パレット内に形成する際に、前記マグネタイトPF含有造粒物に前記第2の凝結材を前記第1の凝結材より近接して配置することを特徴とする、焼結鉱の製造方法。
  2. 前記マグネタイトPF含有造粒物に前記第2の凝結材を前記第1の凝結材より近接して配置する部位が、前記充填層の下層部であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱の製造方法。
  3. 前記マグネタイトPF含有造粒物及び前記第2の凝結材の粒度は5mm以上であることを特徴とする、請求項2記載の焼結鉱の製造方法。
  4. 前記マグネタイトPF含有造粒物は、ピソライト系粉鉱石と、前記ピソライト系粉鉱石の表面に付着したマグネタイトPFとを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結鉱の製造方法。
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