JP2017071828A - 焼結鉱製造用原料の製造方法 - Google Patents
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Description
焼結鉱製造プロセスは、上述の如く製造した「擬似粒子化した原料」を焼結機に入れて原料層を形成し、その原料層の表面を着火して下方からガスを吸引することで焼き固めて、焼結層を形成するものである。このプロセスにおいては、原料の擬似粒子化が十分に行われていないと原料層内の通気性が悪化し、焼結鉱製造用原料の生産性が低下してしまう。
このような焼結鉱を製造するために用いられる原料を製造する技術としては、以下の特許文献に示すように様々のものが開発されている。
例えば、熱源として使用できるという特徴をもつマグネタイト(Fe3O4)鉱石は、近年産出されるが、その多くは微粉原料(ペレットフィード)である。
この微粉原料は、通常の焼結鉱原料に比べて粒度が極めて細かいことが特徴であり、そのほとんどが粒径250μm以下である粒子を全体の80質量%以上含む鉱石である。
「選鉱」で得られた鉱石には、250μm以上1000μm以下の径を持つ粒子であって、核にもなりにくく付着粉にもなりにくい粒子を多く含むものがあり、これらは微粉鉱石と区別して「中粒鉱石」と呼ばれている。
中粒鉱石は、付着率が微粉原料と比べて著しく低下するため、造粒されずに焼結機に投入される割合が多く、そのまま使用すると焼結生産性が大きく低下する虞がある。例えば、「日本鉄鋼協会編、鉄鋼便覧(第3版)、製銑・製鋼、2・2 焼結理論、P.85」には、「粒径が小さいほど付着率が大きく好ましい」という記述がある。
マグネタイト系微粉鉱石を使用する技術に関しては、例えば特許文献2には、マグネタイト系微粉鉱石を別系統で造粒する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2は、中粒鉱石に対応できる技術とはなっていない。
中粒鉱石の大量使用による生産性の低下を確認する目的で、本願発明者らは焼結鍋試験(予備試験)を行った。図1及び表1に、焼結鍋試験の結果を示す。
また、成品破砕後の5mm未満の篩い下粉である焼結返鉱(中粒鉱石を含む)を、鉄鉱石、石灰石、生石灰、珪石に対する外数にして、全体で25質量%となるよう配合した。さらに熱源である粉コークスを、粉コークス以外の原料に対する外数として、4.2質量%配合した。なお造粒工程は、1系統のドラム型造粒ミキサーを用いて行った。
そこで発明者らは、鋭意研究の結果、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を1つの造粒系統で大量に使用し、かつマグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の比率を適正にすることで、強固かつ発熱性能に優れた造粒物を製造可能であることを知見した。さらに実験の結果、上述の造粒物を適正な使用量で使用することで、課題であった生産性低下を寧ろ上昇させることができることが分かった。
本発明の焼結鉱製造用原料の製造方法は、焼結機に供給される焼結鉱製造用原料を製造するにあたり、粒度が250μm以下である粒子が全体の80質量%以上であるマグネタイト系微粉鉱石と、粒度が1000μm以下である粒子が全体の90質量%以上であり、粒度が250μm以上1000μm以下である粒子が全体の30質量%以上である中粒鉱石と、を用意しておき、造粒を行うドラムミキサーへの供給原料全体に対する、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石の使用比率の合計が50質量%以上であり、且つ、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石の使用比率が、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たすように、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石とを前記ドラムミキサーにより混合して造粒物Xを造粒し、前記造粒された造粒物Xと別種類の焼結鉱原料を用いて造粒した造粒物Yと混合して前記焼結機にて焼結する際に、前記造粒物Xの割合を、混合して造粒される原料全体に対して15質量%以上50質量%以下とすることを特徴とする。
高炉では、その炉体の上部から製鉄用焼結鉱(単に焼結鉱と呼ぶことがある)を含む装入物を装入し、下部から熱風を吹込んで、鉄鉱石(鉱石)の還元、溶解等の一連の反応を行わせることにより、銑鉄を製造している。この高炉は、装入物が炉内を上昇してくるガスと熱交換・還元反応を連続的に行う向流型反応装置である。そのため、高炉に装入する装入物、特に焼結鉱は、炉内におけるガスの通気を阻害しない耐粉化性(強度)と良好な被還元性を有していることが重要である。
焼結鉱製造プロセスでは、擬似粒子化した原料(造粒物)を焼結機に入れて、空隙(充填層)を形成した後、原料の表面を着火して下方からガスを吸引することで焼き固める。ここで、焼結鉱原料1を造粒して擬似粒子化する際に、擬似粒子化が十分に行われていないと原料層(充填層)内の通気性が悪化し、焼結機の生産性が低下してしまう。特に、擬似粒子化されなかった1mm未満の微粉(未造粒粉)が存在すると、空隙内に容易に入り込んで閉塞させてしまい、層内の通気性を低下させることとなる。
本発明においては、微粉原料として、T. FeおよびFeOの含有量が高く、また酸化反応により発熱するので、熱源としても使用できるマグネタイト鉱石を用いている。
中粒鉱石は、付着率が微粉原料と比べて著しく低下するため、造粒されずに焼結機に投入される割合が多く、そのまま使用すると焼結機での生産性が大きく低下してしまう。
そこで、本発明では、マグネタイト系微粉鉱石と、中粒鉱石とを使用し、且つマグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の比率を適正に調整して、焼結鉱製造用原料1を製造している。
また、本発明では、並列2系統のドラムミキサー型造粒設備を使用して、焼結鉱製造用原料1を製造することとしている。図2に、並列2系統のドラムミキサー型造粒設備の模式図を示す。
以降、造粒系統Aにて、マグネタイト系微粉鉱石および中粒鉱石を大量に使用して造粒物Xを造粒することとし、造粒系統Bにて、別種類の焼結鉱原料(例えば、鉄鉱石など)を用いて造粒物Yを造粒することとする。
まず、焼結機に供給される焼結鉱製造用原料1を製造するにあたり、マグネタイト系微粉鉱石と、中粒鉱石を用意する。
用意されたマグネタイト系微粉鉱石は、粒度が250μm以下である粒子が、全体の80質量%以上含むものである。なお、前述した全体とは、微粉状とされたマグネタイト系鉱石の集合体(群)のことである。
「粉体工学便覧(粉体工学会編、日刊工業新聞社、初版(昭和61年2月28日)、P.1)」によれば、「粉体は、色々な大きさを持つ多くの粒子からなるが、この構成粒子群の平均的な大きさの概念を粒度と呼び、個々の粒子の大きさの代表寸法を粒子径と呼ぶ。実際の粒子は複雑な形状を有するために、球や直方体などの単純なものに還元した代表寸法が用いられる。」と記されている。このことから、粒径は粒子径とも表し、粒子の大きさを指す代表寸法である。
上記した篩い分け法を用いたとしても測定困難な微粉鉱石の粒度分布の測定に関しては、レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置[日機装株式会社(マイクロトラック・ベル株式会社)製 Microtrac FRA]を用いた。これは、粒子に照射された光のミー散乱の回折光強度分布と粒径の関係から、粒子を球とした粒径毎の体積比率を求めるものである。粒子の密度一定と考えれば、質量比率は体積比率に等しい。
一方、用意された中粒鉱石は、粒度が1000μm以下である粒子が、全体の90質量%以上であり、粒度が250μm以上1000μm以下である粒子が、全体の30質量%以上含まれるものである。なお、前述した全体とは、中粒鉱石の集合体(群)のことである。
造粒系統Aのドラムミキサーにおいて造粒物Xを造粒するにあたり、本発明ではマグネタイト系微粉鉱石および中粒鉱石を適正な比率で使用することとしている。適正な比率とすることで、詳細は後述するが、強固かつ発熱性能に優れた造粒物Xを製造することができる。
なお、造粒系統Aにおいては、その他の原料も使用している。その他の原料としては、造粒物Xの核となる粒径1mm以上の鉄鉱石や焼結返鉱、さらには微粉鉱石や中粒鉱石の付着性を向上させる生石灰等のバインダーを用いることが望ましいが、これらその他の原料の使用量は、通常の造粒物の造粒で使用する範疇であれば、自由に調整して差し支えない。
図4に示すように、実験結果より、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率が、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たすように、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を混合してドラムミキサーにより造粒することで、造粒後に1mm未満の未造粒粉を発生させることなく造粒が可能であることが分かった(●印)。
なお、造粒物Xを造粒する際に使用したドラムミキサーは、内径が800mm〜820mmのものを使用し、ミキサーの回転数を12rpm〜14rpmとした。また、造粒時には連続的に水分を均一噴射できるスプレーノズルを用い、造粒水分は5.0%〜10.0%に調整した。
このような造粒物Xは、マグネタイト系微粉鉱石の代わりに、ヘマタイト系微粉鉱石を用いても同様に製造可能であるが、マグネタイトは焼結層内において酸化して発熱するため、熱源の偏在という意味でマグネタイトを微粉原料に用いた造粒物の方が、ヘマタイトを微粉原料に用いた造粒物より焼結性に優れるので、マグネタイト系微粉鉱石、中粒鉱石ともに大量に使用することができる。
次に、焼結鉱製造用原料1を製造する際に用いられる造粒物Yについて、述べる。
造粒物Yは、造粒系統Bのドラムミキサーにて、別種類の焼結鉱原料を用いて、当業者常法で造粒される。
なお、造粒系統A,Bで造粒されて搬出される造粒物X,Yは、その後単にベルトコンベアで合流させるだけでもよいし、混合機等を用いて混合させてもよい。つまり、造粒物X,Yの混合の仕方については、特に限定はしない。
そこで、造粒物Xと造粒物Yを混合し、焼結鍋試験により造粒物Xの適正使用量(比率)を検討した。
焼結鍋試験おいては、図8に示すバッチ式の焼結鍋試験装置2を用いて行った。図8に示すように、焼結試験装置は、焼結鉱原料1が装入される焼結鍋3と、焼結鍋3の底部に設けられた風箱4とを有している。風箱4には、配管5等を介して吸引機6(排風機)が接続されており、配管5には除塵器7も接続されている。
焼結鉱製造における生産性として、ドワイトロイド式焼結機の規模を代表する指標である単位焼成面積に対する単位時間当たり生産量(t/h/m2)と定義する。本発明においては、焼結鉱製造プロセスを模擬した実験装置である「焼結鍋試験」で生産性を評価した。なお、焼結鍋試験は、「製銑部会法(日本鉄鋼協会共同研究会製銑部会:鉄と鋼,49(1963),P.1228)」に準ずる条件にて実施した。
生産性(t/h/m2)=[成品量(kg)/焼成時間(h)/充填層断面積(m2)]/1000
なお、充填層の断面積は、焼結鍋3の水平方向の断面積、すなわち280mm角の正方形の面積(0.0784m2)とした。
また、集合体(全体量)の配合条件としては、焼結後の成品において、SiO2が5.4質量%、塩基度CaO/SiO2が2.1もしくは1.7となるように、鉄鉱石、石灰石、生石灰、珪石の量を調整した。成品破砕後の5mm未満の篩い下粉である焼結返鉱を、鉄鉱石、石灰石、生石灰、珪石に対する外数にして全体で25質量%となるよう配合した。
なお、焼結鉱原料1の装入にあたっては、図13に示すスローピングシュート式の装入装置8を用いて装入を行った。この装入装置11は、焼結鉱原料等の原料1を収容するホッパー9と、原料1を所定量切り出すドラムフィーダ10と、原料1を移動台車11に向けて案内するシュート12とを有している。移動台車11に焼結鍋3を入れて移動台車11をシュート12の下部に移動させることにより、焼結鉱原料1等を焼結鍋3に装入することができる。
次に、焼成した焼結ケーキを落下強度試験装置(JIS M8711:1993)を用いて、床敷きを除いた焼成物全量を2mの高さから4回落下させ、回収されたもののうち、10mm以上として残ったものを成品量と定義した。また、点火バーナーによる着火を焼成開始とし、排ガスのCO2濃度が0.2vol%以下になる時間を焼成終了として、焼成時間を定義した。
上述したように、充填層の断面積を、焼結鍋3の水平方向の断面積、すなわち280mm角の正方形の面積(0.0784m2)とした。
ここで、焼結鍋試験に用いられる使用原料の構成について、以下に述べる。
表2、3に、実施例における使用原料の粒度分布を示す。表2は、篩いによる粒度測定の結果を示している。表3は、マイクロトラックによる粒度測定の結果を示している。
表6、表7に、本発明の手順で、製造された使用原料の測定結果を示す(実施例)。
また、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石とを、ドラムミキサーにより混合して造粒物Xを造粒する際の、マグネタイト系微粉鉱石の使用量に対する中粒鉱石の使用量の比率が、0.50であり、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たしている。
その結果、造粒物Xにおける1mm未満の未造粒粉発生率(造粒物Xの1mm未満の粉率)が0.2質量%となり、5質量%以下を満たすこととなる。また、単位焼成面積に対する単位時間当たり生産性が1.55(t/h/m2)となり、1.5(t/h/m2)以上を満たすこととなる。
また、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石とを、ドラムミキサーにより混合して造粒物Xを造粒する際の、マグネタイト系微粉鉱石の使用量に対する中粒鉱石の使用量の比率が、0.70であり、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たしている。
その結果、造粒物Xの1mm未満粉率が0.9質量%となり、5質量%以下を満たすこととなる。また、単位焼成面積に対する単位時間当たり生産性が1.54(t/h/m2)となり、1.5(t/h/m2)以上を満たすこととなる。
以上の結果より、造粒物Xの1mm未満粉率を5質量%以下に抑制することで、生産性が向上することがわかった。
次に、表8〜表15に、本発明と対比するために製造された使用原料の測定結果を示す(比較例)。なお、表8、表9の比較例は、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を用い、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率の合計が50質量%未満であるものである(比較例i)。
なお、表14、表15の比較例は、ヘマタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を用いて、焼結鉱製造用原料を製造した例である(比較例iv)。
ここで、表16に、表7、表11から抜粋した造粒物Xの1mm未満の未造粒粉発生率を示す。
このことより、本発明においては、1mm未満の未造粒粉率を5質量%未満と定義した。
図7に示すように、上述の焼結鍋試験の結果、造粒物Xの混合比率が供給原料全体(造粒物X+造粒物Y)の15質量%〜50質量%の範囲では、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率が高いにも関わらず、焼結鉱の生産性を維持できていることが分かる(●印)。
また、造粒物X中における中粒鉱石の配合量に対するマグネタイト系微粉鉱石の使用比率が1.0以上である場合には、先に述べたように、造粒物X中における1mm未満の未造粒粉の割合が上昇して(図4参照)、生産性が低下する(比較例ii、◇印)。
以上より、焼結機に供給される造粒した造粒物Xと別種類の焼結鉱原料を用いて造粒した造粒物Yとを、造粒物Xの割合が、焼結機における供給原料全体(造粒物X+造粒物Y)に対して15質量%以上50質量%以下とすることで、中粒鉱石を大量に使用しても生産性を低下させることなく焼結可能であることが分かる。
例えば、造粒設備に関しては、本発明では並列配備された2系統のドラムミキサー型造粒設備を使用しているが、1系統のドラムミキサー型造粒設備を使用してもよい。この場合、造粒物Xを製造した後に、洗浄作業を行って、その後、造粒物Yを製造するというように、1つのドラムミキサーで造粒物をそれぞれ製造するようにしてもよい。
2 焼結鍋試験装置
3 焼結鍋
4 風箱
5 配管
6 吸引機(排風機)
7 除塵器
8 スローピングシュート式の装入装置
9 ホッパー
10 ドラムフィーダ
11 移動台車
12 シュート
Claims (1)
- 焼結機に供給される焼結鉱製造用原料を製造するにあたり、
粒度が250μm以下である粒子が全体の80質量%以上であるマグネタイト系微粉鉱石と、
粒度が1000μm以下である粒子が全体の90質量%以上であり、粒度が250μm以上1000μm以下である粒子が全体の30質量%以上である中粒鉱石と、を用意しておき、
造粒を行うドラムミキサーへの供給原料全体に対する、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石の使用比率の合計が50質量%以上であり、且つ、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石の使用比率が、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たすように、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石とを前記ドラムミキサーにより混合して造粒物Xを造粒し、
前記造粒された造粒物Xと別種類の焼結鉱原料を用いて造粒した造粒物Yと混合して前記焼結機にて焼結する際に、前記造粒物Xの割合を、混合して造粒される原料全体に対して15質量%以上50質量%以下とする
ことを特徴とする焼結鉱製造用原料の製造方法。
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