JP2017071828A - 焼結鉱製造用原料の製造方法 - Google Patents

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毅郎 足立
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一也 宮川
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Abstract

【課題】難造粒性のマグネタイト系微粉鉱石及び中粒鉱石を用い、且つ中粒鉱石を大量に使用した場合、各使用比率を調整して、焼結鉱原料の粒度を改善し、強固で発熱性能、通気性に優れた焼結鉱製造用原料を効率よく製造することができる方法を提供する。【解決手段】本発明は、焼結鉱製造用原料1を製造するにあたり、粒度が250μm以下である粒子が全体の80質量%以上のマグネタイト系微粉鉱石と、粒度が1000μm以下である粒子が全体の90質量%以上、粒度が250μm以上1000μm以下である粒子が全体の30質量%以上の中粒鉱石の使用比率の合計が原料全体に対して50質量%以上、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率が閾値を満してマグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石とを混合して造粒物Xを造粒し、造粒物Xと別の造粒物Yと混合して焼結する際の造粒物Xの割合が、原料全体に対して15質量%以上50質量%以下とする。【選択図】図7

Description

本発明は、焼結鉱製造用原料の製造方法に関する。
従来より、焼結鉱を製造するための原料は、鉄鉱石、石灰類、珪石、焼結返鉱、粉コークス、ダストなどであり、それら原料を造粒機に投入し、造粒水を添加して、その造粒機を転動させることで、原料を擬似粒子化する。
焼結鉱製造プロセスは、上述の如く製造した「擬似粒子化した原料」を焼結機に入れて原料層を形成し、その原料層の表面を着火して下方からガスを吸引することで焼き固めて、焼結層を形成するものである。このプロセスにおいては、原料の擬似粒子化が十分に行われていないと原料層内の通気性が悪化し、焼結鉱製造用原料の生産性が低下してしまう。
特に、造粒段階において擬似粒子化されなかった1mm未満の微粉が、焼結層内に装入されると、容易に粒子間の空隙を閉塞し、層内の通気性を低下させる。このため、造粒を行う造粒段階においては、1mm未満の微粉を発生させないことが重要となる。
このような焼結鉱を製造するために用いられる原料を製造する技術としては、以下の特許文献に示すように様々のものが開発されている。
特許文献1は、マグネタイトペレットフィードを使用することができ、かつ、焼結鉱のRDIを改善することが可能な、新規かつ改良された焼結鉱の製造方法を提供することを目的としている。特許文献1は、粒径が1mm以下の粒子を80%以上含有する微粉鉱石及びその他の焼結用原料を、粒径が1mmを超える粒子を50%以上含有する粗粒原料と配合して高炉装入用焼結原料を製造する際、核粒子となる粗粒原料の表面に付着する微粉鉱石及びその他の焼結用原料の平均粒度を求め、この平均粒度から付着粉層の空間率εを推定し、空間率εが0.45以下となるように付着粉層となる粗粒原料に対する微粉鉱石及びその他の焼結用原料の配合割合を調整することを目的としている。
特許文献2は、予備造粒時の付着粉層の空間率εを制御することにより、高い強度をもった造粒物を生産性良く製造し、微粉鉱石の増加に伴った焼結ベッドの通気性低下を防止することを目的としている。特許文献2には、鉄分の含有率が総質量に対して60質量%以上となり、鉄分の一部を構成するFeOの含有率が総質量に対して15質量%以上となり、250μm以下の粒度を有する粒子の含有率が総質量に対して80質量%以上となるマグネタイトペレットフィードを造粒することで、第1の擬似粒子を生成するステップと、マグネタイトペレットフィード以外の他の焼結原料を造粒することで、第2の擬似粒子を生成するステップと、第1の擬似粒子と第2の擬似粒子とを、マグネタイトペレットフィードの割合が鉄鉱石の総質量に対して10質量%以上となるように混合するステップと、を含む焼結鉱の製造方法が開示されている。
特開平06-228663号公報 特開2013−253281号公報
ところで、近年では、良質な焼結鉱製造用原料の枯渇に伴い、微粉原料(ペレットフィード)を焼結鉱製造プロセスで使用する必要が生じている。
例えば、熱源として使用できるという特徴をもつマグネタイト(Fe)鉱石は、近年産出されるが、その多くは微粉原料(ペレットフィード)である。
この微粉原料は、通常の焼結鉱原料に比べて粒度が極めて細かいことが特徴であり、そのほとんどが粒径250μm以下である粒子を全体の80質量%以上含む鉱石である。
なお、焼結鉱原料である鉄鉱石は、鉄に対する酸素の結合量の違いにより、主にヘマタイト(Fe)鉱石と、マグネタイト(Fe)鉱石とに大別される。マグネタイト鉱石についてであるが、この鉱石を構成するFeは、FeOとFeとが1:1で規則正しく存在する結晶構造を有しているため、それらの存在量を調べるためにはFeOの量を測定すればよい。一般に、天然鉱山から産出される鉄鉱石には、純粋なFeO(ウスタイト)は存在していない。
天然で産出される鉱石には、不純物のないマグネタイトは存在せず、必ずSiO、Alに代表される脈石を含んでおり、現状ではマグネタイト鉱石の明確な定義はされていない。一例としては、マグネタイト鉱石の成分は、T. Feが68.0質量%、FeOが28.6質量%のものがあり、一般にヘマタイト鉱石と比べて、T. FeおよびFeOの含有量が高いことが特徴である。また、このマグネタイト鉱石は、酸化反応により発熱するため、熱源として使用できるという特徴もある。また、近年産出されるマグネタイト鉱石は、その多くが微粉原料(ペレットフィード)である。
さて、マグネタイト鉱石とは別の鉱石についての話題であるが、近年では、脈石成分が多く含まれた鉄鉱石が産出されており、その脈石成分の含有量の急増が原因で、山元で選鉱処理を施された、いわゆる「選鉱」が流通されるようになってきている。
「選鉱」で得られた鉱石には、250μm以上1000μm以下の径を持つ粒子であって、核にもなりにくく付着粉にもなりにくい粒子を多く含むものがあり、これらは微粉鉱石と区別して「中粒鉱石」と呼ばれている。
一般に流通している「中粒鉱石」は、全体重量の9割以上が1000μm以下の粒子であり、かつ250μm〜1000μmの粒子が全体重量の3割以上含まれるものが一般的である。
中粒鉱石は、付着率が微粉原料と比べて著しく低下するため、造粒されずに焼結機に投入される割合が多く、そのまま使用すると焼結生産性が大きく低下する虞がある。例えば、「日本鉄鋼協会編、鉄鋼便覧(第3版)、製銑・製鋼、2・2 焼結理論、P.85」には、「粒径が小さいほど付着率が大きく好ましい」という記述がある。
以上述べたようなマグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石のいずれも、鉄鉱石資源の枯渇に伴い産出されるようになった劣質原料(難造粒性鉱石)であり、焼結生産性を落とさずに、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を使用して、焼結鉱製造用原料を製造する技術は産業持続性及び、省エネルギーの観点からも極めて重要である。
マグネタイト系微粉鉱石を使用する技術に関しては、例えば特許文献2には、マグネタイト系微粉鉱石を別系統で造粒する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2は、中粒鉱石に対応できる技術とはなっていない。
一方、中粒鉱石を使用する技術に関しては、既往技術が極めて少ないが、その中でも例えば、特許文献1には、配合する鉱石の粒度分布を管理することにより造粒物被覆層の空隙率をコントロールし、造粒物強度を上昇させることを目的とする方法が開示されている。しかしながら、特許文献1の方法では、熱源(例えば、コークスなど)を造粒物中に配置することが難しいため、中粒鉱石を大量に使用することは困難である。また、特許文献1の方法では、予備造粒物に熱源が含まれないため、予備造粒物を大量に使用すると焼結層内の熱源の偏在が顕著となり、焼成不良となってしまう虞がある。
また中粒鉱石を通常の造粒方法で大量に使用すると、未造粒粉の増加に伴い充填層の通気性が悪化し、生産性が低下する虞がある。
中粒鉱石の大量使用による生産性の低下を確認する目的で、本願発明者らは焼結鍋試験(予備試験)を行った。図1及び表1に、焼結鍋試験の結果を示す。
まず、全体の配合条件として、焼結後の成品において、SiOが5.4質量%、塩基度CaO/SiOが2.1となるように、鉄鉱石、石灰石、生石灰、珪石の量を調整した。
また、成品破砕後の5mm未満の篩い下粉である焼結返鉱(中粒鉱石を含む)を、鉄鉱石、石灰石、生石灰、珪石に対する外数にして、全体で25質量%となるよう配合した。さらに熱源である粉コークスを、粉コークス以外の原料に対する外数として、4.2質量%配合した。なお造粒工程は、1系統のドラム型造粒ミキサーを用いて行った。
図1、表1を参照すると、中粒鉱石の配合量を増加させると、造粒物中の1mm未満の未造粒粉(1mm未満の粉率)が増加し(図1の■印)、生産性が低下することが分かる(図1の◆印)。
そこで発明者らは、鋭意研究の結果、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を1つの造粒系統で大量に使用し、かつマグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の比率を適正にすることで、強固かつ発熱性能に優れた造粒物を製造可能であることを知見した。さらに実験の結果、上述の造粒物を適正な使用量で使用することで、課題であった生産性低下を寧ろ上昇させることができることが分かった。
そこで、本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、難造粒性のマグネタイト系微粉鉱石及び中粒鉱石を用い、且つその中粒鉱石を大量に使用した場合でも、それぞれの使用比率を調整することで、焼結鉱原料の粒度を改善することができると共に、強固でかつ発熱性能及び通気性に優れた焼結鉱原料を効率よく製造することができる焼結鉱製造用原料の製造方法を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
本発明の焼結鉱製造用原料の製造方法は、焼結機に供給される焼結鉱製造用原料を製造するにあたり、粒度が250μm以下である粒子が全体の80質量%以上であるマグネタイト系微粉鉱石と、粒度が1000μm以下である粒子が全体の90質量%以上であり、粒度が250μm以上1000μm以下である粒子が全体の30質量%以上である中粒鉱石と、を用意しておき、造粒を行うドラムミキサーへの供給原料全体に対する、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石の使用比率の合計が50質量%以上であり、且つ、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石の使用比率が、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たすように、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石とを前記ドラムミキサーにより混合して造粒物Xを造粒し、前記造粒された造粒物Xと別種類の焼結鉱原料を用いて造粒した造粒物Yと混合して前記焼結機にて焼結する際に、前記造粒物Xの割合を、混合して造粒される原料全体に対して15質量%以上50質量%以下とすることを特徴とする。
本発明によれば、難造粒性のマグネタイト系微粉鉱石及び中粒鉱石を用い、且つその中粒鉱石を大量に使用した場合でも、それぞれの使用比率を調整することで、焼結鉱原料の粒度を改善することができると共に、強固でかつ発熱性能及び通気性に優れた焼結鉱原料を効率よく製造することができる。
中粒鉱石配合率、生産性、造粒物X中における1mm未満の粉率の関係を示した図である。 造粒系統を模式的に示した図である。 造粒物Xに占めるマグネタイト微粉鉱石及び中粒鉱石の配合率合計と、生産率の関係を示した図である。 中粒鉱石とマグネタイト系鉱石配合量の比と、造粒物X中における1mm未満の未造粒粉の関係を示した図である。 造粒物X中における1mm未満の未造粒粉量と生産性の関係を示した図である。 造粒物Xの断面光顕写真を示した図である。 造粒物Xの配合率と生産性の関係を示した図である。 バッチ式の焼結試験装置の概略図である。 スローピングシュート式の装入装置の概略図である。
以下、本発明にかかる焼結鉱製造用原料1の製造方法の実施の形態を、図を基に説明する。
高炉では、その炉体の上部から製鉄用焼結鉱(単に焼結鉱と呼ぶことがある)を含む装入物を装入し、下部から熱風を吹込んで、鉄鉱石(鉱石)の還元、溶解等の一連の反応を行わせることにより、銑鉄を製造している。この高炉は、装入物が炉内を上昇してくるガスと熱交換・還元反応を連続的に行う向流型反応装置である。そのため、高炉に装入する装入物、特に焼結鉱は、炉内におけるガスの通気を阻害しない耐粉化性(強度)と良好な被還元性を有していることが重要である。
焼結鉱を製造するにあたっては、高炉よりも上流の工程(製銑プロセスにおける焼結事前処理工程)で、例えばパレットを無端ベルト状で構成した焼結機(ドワイトロイド式焼結機)を用いる。この焼結機では、まず、パレットに、鉱石等の焼結鉱製造用原料1、粉コークス等の固体燃料、副原料等を順次供給・充填して焼結原料層を形成する。そして、原料層の上部に着火し、下向きに空気を通過させることにより、焼結原料層の下部に向けて燃焼を進め、成品排出側に至るまでに、焼結鉱製造用原料1の焼成を行う。
このような焼結鉱製造用原料1(焼結鉱原料と呼ぶことがある)の中に、様々な原料を造粒機で造粒して擬似粒子化したものがある。例えば、擬似粒子は、鉄鉱石、石灰類、珪石、焼結返鉱、粉コークス、ダストなどの焼結鉱原料1を造粒機に投入し、造粒水を添加して、その造粒機を転動させることで製造される。
焼結鉱製造プロセスでは、擬似粒子化した原料(造粒物)を焼結機に入れて、空隙(充填層)を形成した後、原料の表面を着火して下方からガスを吸引することで焼き固める。ここで、焼結鉱原料1を造粒して擬似粒子化する際に、擬似粒子化が十分に行われていないと原料層(充填層)内の通気性が悪化し、焼結機の生産性が低下してしまう。特に、擬似粒子化されなかった1mm未満の微粉(未造粒粉)が存在すると、空隙内に容易に入り込んで閉塞させてしまい、層内の通気性を低下させることとなる。
ところで、近年では、良質な焼結鉱製造用原料1の枯渇に伴い、焼結鉱原料1に比べて粒度が極めて細かい微粉原料(ペレットフィード)を、焼結鉱製造プロセスで使用する必要が生じている。
本発明においては、微粉原料として、T. FeおよびFeOの含有量が高く、また酸化反応により発熱するので、熱源としても使用できるマグネタイト鉱石を用いている。
また、近年では、中粒鉱石と呼ばれている、山元で選鉱処理を施された鉱石も流通するようになってきている。この中粒鉱石は、全体重量の9割以上が1000μm以下の粒子であり、かつ250μm〜1000μmの粒子が全体重量の3割以上含まれているので、核にもなりにくく、付着粉にもなりにくい粒子を多く含む鉱石である。
中粒鉱石は、付着率が微粉原料と比べて著しく低下するため、造粒されずに焼結機に投入される割合が多く、そのまま使用すると焼結機での生産性が大きく低下してしまう。
マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石のいずれも、鉄鉱石資源の枯渇に伴い産出されるようになった劣質原料(難造粒性鉱石)であり、焼結鉱の生産性を落とさずに、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を使用して、焼結鉱製造用原料1を製造する技術は産業持続性及び、省エネルギーの観点からも極めて重要である。
そこで、本発明では、マグネタイト系微粉鉱石と、中粒鉱石とを使用し、且つマグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の比率を適正に調整して、焼結鉱製造用原料1を製造している。
本発明においては、用意しておいたマグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石とを混合して予備造粒物(以降、造粒物Xと呼ぶ)を造粒すると共に、別種類の焼結鉱原料を用いて造粒した造粒物(以降、造粒物Yと呼ぶ)とを造粒し、予備造粒物と造粒物を所定の割合で混合することで、焼結機に供給される焼結鉱製造用原料1を製造する。
また、本発明では、並列2系統のドラムミキサー型造粒設備を使用して、焼結鉱製造用原料1を製造することとしている。図2に、並列2系統のドラムミキサー型造粒設備の模式図を示す。
造粒系統A,Bの各々系統には、それぞれドラムミキサーが配備されている。なお、これら造粒系統A,Bのそれぞれのドラムミキサーに使用する原料を、どのように配分するかにより、製造される造粒物の構造が決定される。
以降、造粒系統Aにて、マグネタイト系微粉鉱石および中粒鉱石を大量に使用して造粒物Xを造粒することとし、造粒系統Bにて、別種類の焼結鉱原料(例えば、鉄鉱石など)を用いて造粒物Yを造粒することとする。
本発明においては、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石とを混合して造粒された造粒物Xに着目して、詳細に説明する。
まず、焼結機に供給される焼結鉱製造用原料1を製造するにあたり、マグネタイト系微粉鉱石と、中粒鉱石を用意する。
用意されたマグネタイト系微粉鉱石は、粒度が250μm以下である粒子が、全体の80質量%以上含むものである。なお、前述した全体とは、微粉状とされたマグネタイト系鉱石の集合体(群)のことである。
ここで、微粉鉱石の粒径の定義について、述べる。
「粉体工学便覧(粉体工学会編、日刊工業新聞社、初版(昭和61年2月28日)、P.1)」によれば、「粉体は、色々な大きさを持つ多くの粒子からなるが、この構成粒子群の平均的な大きさの概念を粒度と呼び、個々の粒子の大きさの代表寸法を粒子径と呼ぶ。実際の粒子は複雑な形状を有するために、球や直方体などの単純なものに還元した代表寸法が用いられる。」と記されている。このことから、粒径は粒子径とも表し、粒子の大きさを指す代表寸法である。
そして、粒子径測定方法の一つに「篩い分け法」が挙げられる。見開きの分かった大小二種の篩いによって粉体を分けると、細かい方の篩い網の上に残った粒子群は二つの目開きの間の大きさを有する。ここで、篩い目の上に残ったものを篩目寸法を超える粒径、通過したものを篩目寸法以下の粒径と定義する。
上記した篩い分け法を用いたとしても測定困難な微粉鉱石の粒度分布の測定に関しては、レーザー回折・散乱式粒子径・粒度分布測定装置[日機装株式会社(マイクロトラック・ベル株式会社)製 Microtrac FRA]を用いた。これは、粒子に照射された光のミー散乱の回折光強度分布と粒径の関係から、粒子を球とした粒径毎の体積比率を求めるものである。粒子の密度一定と考えれば、質量比率は体積比率に等しい。
以上の定義に基づいて、本発明で用いるマグネタイト系微粉鉱石を、集合体中において、粒度が250μm以下である粒子が、80質量%(内数)以上含まれるものとした。
一方、用意された中粒鉱石は、粒度が1000μm以下である粒子が、全体の90質量%以上であり、粒度が250μm以上1000μm以下である粒子が、全体の30質量%以上含まれるものである。なお、前述した全体とは、中粒鉱石の集合体(群)のことである。
すなわち、本発明で用いる中粒鉱石は、この集合体中において、粒度が1000μm以下である粒子が、90質量%(内数)以上含んでいるものとしている。さらに、中粒鉱石の集合体中において、粒度が250μm以上1000μm以下である粒子が、30質量%(内数)以上含んでいる。
造粒系統Aのドラムミキサーにおいて造粒物Xを造粒するにあたり、本発明ではマグネタイト系微粉鉱石および中粒鉱石を適正な比率で使用することとしている。適正な比率とすることで、詳細は後述するが、強固かつ発熱性能に優れた造粒物Xを製造することができる。
ただし、図3に示すように、造粒物Xに占める微粉鉱石と中粒鉱石の使用量の合計が50質量%未満(●印)であると、製造した造粒物Xに期待の特性(強固かつ発熱性能に優れている)が得られず、生産性を向上させることができない。一方、造粒物Xに占める微粉鉱石と中粒鉱石の使用量の合計が50質量%以上(▲印)であると、造粒物Xに期待の特性が現れ、且つ生産性を向上させることができる。
それ故、造粒を行うドラムミキサーへの供給原料全体に対する、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率の合計を、50質量%以上としている。
なお、造粒系統Aにおいては、その他の原料も使用している。その他の原料としては、造粒物Xの核となる粒径1mm以上の鉄鉱石や焼結返鉱、さらには微粉鉱石や中粒鉱石の付着性を向上させる生石灰等のバインダーを用いることが望ましいが、これらその他の原料の使用量は、通常の造粒物の造粒で使用する範疇であれば、自由に調整して差し支えない。
ところで、上述したように、中粒鉱石は極めて付着力が低く、造粒され難いものである。一方で、マグネタイト系微粉鉱石は、粒度が小さいために付着力に優れている。このような特性より、発明者らはマグネタイト系鉱石を、いわば糊のように捉えて、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率を調整することで、強固な造粒物を製造することができると知見した。
この知見に基づいて、発明者らは、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を使用して種々の造粒実験を行った。
図4に示すように、実験結果より、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率が、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たすように、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を混合してドラムミキサーにより造粒することで、造粒後に1mm未満の未造粒粉を発生させることなく造粒が可能であることが分かった(●印)。
また、図5に示すように、造粒後の1mm未満の未造粒粉の量が5質量%以下のとき、原料層の通気性が維持されて生産性は維持もしくは向上することが分かった(●印)。
なお、造粒物Xを造粒する際に使用したドラムミキサーは、内径が800mm〜820mmのものを使用し、ミキサーの回転数を12rpm〜14rpmとした。また、造粒時には連続的に水分を均一噴射できるスプレーノズルを用い、造粒水分は5.0%〜10.0%に調整した。
図6に示すように、製造した造粒物Xを樹脂に埋め込んで切断し、その切断面を観察したところ、250μm〜1000μmの中粒鉱石は、マグネタイト系微粉鉱石で構成される被覆層の中に、遊星状に配置されていることが分かった。なお、図6に示されている造粒物Xは、造粒物の核とする目的で焼結返鉱を配合し、造粒したものである。
このような造粒物Xは、マグネタイト系微粉鉱石の代わりに、ヘマタイト系微粉鉱石を用いても同様に製造可能であるが、マグネタイトは焼結層内において酸化して発熱するため、熱源の偏在という意味でマグネタイトを微粉原料に用いた造粒物の方が、ヘマタイトを微粉原料に用いた造粒物より焼結性に優れるので、マグネタイト系微粉鉱石、中粒鉱石ともに大量に使用することができる。
なお、造粒物Xに発熱源である粉コークスを添加して造粒する方法も考えられるが、この方法では造粒性に乏しい粉コークスが造粒されずに造粒物X中の微粉割合が増加してしまい、通気性が悪化することとなる。
次に、焼結鉱製造用原料1を製造する際に用いられる造粒物Yについて、述べる。
造粒物Yは、造粒系統Bのドラムミキサーにて、別種類の焼結鉱原料を用いて、当業者常法で造粒される。
造粒物Yの元となる焼結鉱原料には、マグネタイト系微粉鉱石、中粒鉱石以外の鉱石を用いている。例えば、焼結鉱原料としては、通常鉄鉱石、石灰石、珪石、焼結返鉱、粉コークス、ダストなどを用いている。ただし、造粒物Yを製造するにあたり、マグネタイト系微粉鉱石や中粒鉱石を用いることを排除するものではない。
なお、造粒系統A,Bで造粒されて搬出される造粒物X,Yは、その後単にベルトコンベアで合流させるだけでもよいし、混合機等を用いて混合させてもよい。つまり、造粒物X,Yの混合の仕方については、特に限定はしない。
とはいえ、造粒物X,Yの混合の比率に関しては、適正な比率で行うこととしている。
そこで、造粒物Xと造粒物Yを混合し、焼結鍋試験により造粒物Xの適正使用量(比率)を検討した。
焼結鍋試験おいては、図8に示すバッチ式の焼結鍋試験装置2を用いて行った。図8に示すように、焼結試験装置は、焼結鉱原料1が装入される焼結鍋3と、焼結鍋3の底部に設けられた風箱4とを有している。風箱4には、配管5等を介して吸引機6(排風機)が接続されており、配管5には除塵器7も接続されている。
焼結鍋試験の方法(実施の条件)を下記に示す。
焼結鉱製造における生産性として、ドワイトロイド式焼結機の規模を代表する指標である単位焼成面積に対する単位時間当たり生産量(t/h/m)と定義する。本発明においては、焼結鉱製造プロセスを模擬した実験装置である「焼結鍋試験」で生産性を評価した。なお、焼結鍋試験は、「製銑部会法(日本鉄鋼協会共同研究会製銑部会:鉄と鋼,49(1963),P.1228)」に準ずる条件にて実施した。
また、焼結鍋試験における生産性は、以下に示す式で定義した。
生産性(t/h/m)=[成品量(kg)/焼成時間(h)/充填層断面積(m)]/1000
なお、充填層の断面積は、焼結鍋3の水平方向の断面積、すなわち280mm角の正方形の面積(0.0784m)とした。
本実施形態の焼結鍋試験では、280mm角(水平方向の断面が正方形)、高さが600mmの角筒状の焼結鍋3に、パレット保護用床敷きとして粒径10〜20mmの焼結鉱を装入する。装入された焼結鉱の上部に、鉄鉱石、石灰石等の副原料、凝固剤としてコークス、および粒径5mm以下の焼結返鉱のそれぞれを混合、造粒した原料1を装入した。
また、集合体(全体量)の配合条件としては、焼結後の成品において、SiOが5.4質量%、塩基度CaO/SiOが2.1もしくは1.7となるように、鉄鉱石、石灰石、生石灰、珪石の量を調整した。成品破砕後の5mm未満の篩い下粉である焼結返鉱を、鉄鉱石、石灰石、生石灰、珪石に対する外数にして全体で25質量%となるよう配合した。
なお、マグネタイト系微粉鉱石の酸化による発熱分を考慮して、配合率に伴い粉コークス使用量を減配して、適宜調整した。粉コークス配合量は、粉コークス以外の全ての原料に対する外数として管理した。
なお、焼結鉱原料1の装入にあたっては、図13に示すスローピングシュート式の装入装置8を用いて装入を行った。この装入装置11は、焼結鉱原料等の原料1を収容するホッパー9と、原料1を所定量切り出すドラムフィーダ10と、原料1を移動台車11に向けて案内するシュート12とを有している。移動台車11に焼結鍋3を入れて移動台車11をシュート12の下部に移動させることにより、焼結鉱原料1等を焼結鍋3に装入することができる。
焼結鍋3に原料1を装入後、点火バーナーで原料1の充填層表面に着火した後、風箱4に接続された吸引機6(排風機)で吸引圧15.7kPa一定の条件で空気を吸引して原料1中のコークスを燃焼させ、焼成した。焼成終了は、鍋直下の温度計が最高温度に到達した時刻とした。
次に、焼成した焼結ケーキを落下強度試験装置(JIS M8711:1993)を用いて、床敷きを除いた焼成物全量を2mの高さから4回落下させ、回収されたもののうち、10mm以上として残ったものを成品量と定義した。また、点火バーナーによる着火を焼成開始とし、排ガスのCO濃度が0.2vol%以下になる時間を焼成終了として、焼成時間を定義した。
なお、排ガス分析には、0.2ポイントの精度を有する赤外線ガス分析計(富士電機株式会社製 型式2RJF2C15)を用い、CO濃度0.2vol%をコークス燃焼の終了点とした。
上述したように、充填層の断面積を、焼結鍋3の水平方向の断面積、すなわち280mm角の正方形の面積(0.0784m)とした。
以上より、焼結鍋3の面積と焼成時間、成品量から、単位面積あたりの生産性(t/h/m)を算出した。
ここで、焼結鍋試験に用いられる使用原料の構成について、以下に述べる。
表2、3に、実施例における使用原料の粒度分布を示す。表2は、篩いによる粒度測定の結果を示している。表3は、マイクロトラックによる粒度測定の結果を示している。
表4に、実施例における使用原料の化学成分を示す。なお、実施例においては、A鉱石、B鉱石及びC鉱石をマグネタイト系微粉鉱石とし、D鉱石およびE鉱石を中粒鉱石としている。
表2〜表4より、本発明においては、粒度が250μm以下である粒子が、集合体(全体重量)の80質量%以上を占める、マグネタイト系微粉鉱石を用いた。また、本発明では、用いる粒度が1000μm以下である粒子が、集合体(全体重量)の90質量%以上を占め、且つ、粒度が250μm以上1000μm以下である粒子が、集合体(全体重量)の30質量%以上を占める、中粒鉱石を用いた。
表5に、造粒物X、造粒物Yそれぞれにおける配合比率、及び造粒物Xと造粒物Yの配合比率を示す。
表5より、造粒物X中における、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率の合計を、50質量%以上とした。また、造粒した造粒物Xと別種類の焼結鉱原料を用いて造粒した造粒物Yと混合して焼結機にて焼結する際の造粒物Xの割合を、焼結機に供給する原料全体、すなわち混合して造粒される原料全体(造粒物X+造粒物Y)に対して、15質量%以上50質量%以下とした。
なお、表5中に記されている番号(No.1など)は、以降に説明する実施例の番号に対応している。
表6、表7に、本発明の手順で、製造された使用原料の測定結果を示す(実施例)。
表6、表7の実施例1を参照すると、造粒を行うドラムミキサーへの供給原料全体に対する、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率の合計が75質量%であり、50質量%以上を満たしている。なお、その内訳としては、マグネタイト系微粉鉱石が50質量%であり、中粒鉱石が25質量%である。
また、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石とを、ドラムミキサーにより混合して造粒物Xを造粒する際の、マグネタイト系微粉鉱石の使用量に対する中粒鉱石の使用量の比率が、0.50であり、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たしている。
さらに、造粒物Xの割合が、焼結機における供給原料全体量(造粒物X+造粒物Y)に対して、15質量%であり、15質量%以上50質量%以下を満たしている。
その結果、造粒物Xにおける1mm未満の未造粒粉発生率(造粒物Xの1mm未満の粉率)が0.2質量%となり、5質量%以下を満たすこととなる。また、単位焼成面積に対する単位時間当たり生産性が1.55(t/h/m)となり、1.5(t/h/m)以上を満たすこととなる。
また、実施例2を参照すると、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率の合計が60.7質量%であり、50質量%以上を満たしている。なお、その内訳としては、マグネタイト系微粉鉱石が35.7質量%であり、中粒鉱石が25質量%である。
また、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石とを、ドラムミキサーにより混合して造粒物Xを造粒する際の、マグネタイト系微粉鉱石の使用量に対する中粒鉱石の使用量の比率が、0.70であり、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たしている。
さらに、造粒物Xの割合が、焼結機における供給原料全体(造粒物X+造粒物Y)に対して、15質量%であり、15質量%以上50質量%以下を満たしている。
その結果、造粒物Xの1mm未満粉率が0.9質量%となり、5質量%以下を満たすこととなる。また、単位焼成面積に対する単位時間当たり生産性が1.54(t/h/m)となり、1.5(t/h/m)以上を満たすこととなる。
以降、実施例3〜実施例42まで、同様に、本発明で規定した閾値を満たしている。その結果、実施例3〜実施例42の造粒物Xの1mm未満粉率及び生産性も、閾値を満たしている。
以上の結果より、造粒物Xの1mm未満粉率を5質量%以下に抑制することで、生産性が向上することがわかった。
以上より、本発明を用いることで、難造粒性のマグネタイト系微粉鉱石及び中粒鉱石を用い、且つその中粒鉱石を大量に使用した場合でも、それぞれの使用比率を閾値の範囲内とすることで、焼結鉱原料1の粒度を改善することができると共に、強固でかつ発熱性能及び通気性に優れた焼結鉱原料1を効率よく製造することができる。
次に、表8〜表15に、本発明と対比するために製造された使用原料の測定結果を示す(比較例)。なお、表8、表9の比較例は、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を用い、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率の合計が50質量%未満であるものである(比較例i)。
表8、表9の比較例43を参照すると、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を用い、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率の合計が30質量%であるので、50質量%以上を満たしていない。その結果、生産性が1.43(t/h/m)となり、1.5(t/h/m)以上を満たしていない。つまり、比較例の条件では、生産性が低下する傾向である。
表10、表11の比較例は、造粒物Xを造粒する際におけるマグネタイト系微粉鉱石の使用量に対する中粒鉱石の使用量の比率、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]」が、1.0以上であるものである(比較例ii)。
表10、表11の比較例50を参照すると、マグネタイト系微粉鉱石の使用量に対する中粒鉱石の使用量の比率が、1.05あるので、1.0未満を満たしていない。その結果、造粒物Xの1mm未満粉率が6.0質量%であるので、5質量%以下を満たしていない。それ故、生産性が1.46(t/h/m)となり、1.5(t/h/m)以上を満たしていない。つまり、比較例の条件では、焼結鉱原料の粒度を改善することができず、生産性が低下する傾向である。
表12、表13の比較例は、造粒物Xの割合が、焼結機における供給原料全体量(造粒物X+造粒物Y)に対して、15質量%であり、15質量%未満、乃至は、50質量%を超えるものである(比較例iii)。
表12、表13の比較例58を参照すると、造粒物Xの割合が、焼結機における供給原料全体量(造粒物X+造粒物Y)に対して、10質量%であり、15質量%以上50質量%以下を満たしていない。その結果、生産性が1.45(t/h/m)となり、1.5(t/h/m)以上を満たしていない。つまり、比較例の条件では、生産性が低下する傾向である。
以降、比較例44〜比較例49、比較例51〜比較例57、比較例59〜比較例73、同様に、本発明で規定したいずれかの閾値を満たしていない。その結果、比較例においては、生産性が1.5(t/h/m)未満となり、生産性が明らかに低下する傾向が見られた。
なお、表14、表15の比較例は、ヘマタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を用いて、焼結鉱製造用原料を製造した例である(比較例iv)。
表14、表15の比較例50を参照すると、ヘマタイト系微粉鉱石と中粒鉱石を使用すると、生産性が1.48(t/h/m)となり、1.5(t/h/m)以上を満たしていない。つまり、ヘマタイト系微粉鉱石を用いた場合でも、生産性が明らかに低下する傾向である。
ここで、表16に、表7、表11から抜粋した造粒物Xの1mm未満の未造粒粉発生率を示す。
造粒物に1mm未満の未造粒粉が存在すると、原料層の空隙が閉塞され、通気性が悪化する。それ故、着火してガスを吸引する際に、閉塞された箇所にはガスが通過せず、焼結が十分にされないので、焼結鉱製造用原料の生産性に明らかな低下傾向が見られた。
このことより、本発明においては、1mm未満の未造粒粉率を5質量%未満と定義した。
また、表17に、表7、表11から抜粋した、単位焼成面積に対する単位時間当たり生産性を示す。
生産性(t/h/m)は、焼結鉱製造の生産効率を示すものであり、実操業において、最も重要視される指標である。なお、本発明においては、マグネタイト系微粉鉱石、および、中粒鉱石配合率0%のときの生産性1.50(t/h/m)を、実操業における基準値と定義している。
図7に示すように、上述の焼結鍋試験の結果、造粒物Xの混合比率が供給原料全体(造粒物X+造粒物Y)の15質量%〜50質量%の範囲では、マグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率が高いにも関わらず、焼結鉱の生産性を維持できていることが分かる(●印)。
一方、造粒物X中のマグネタイト系微粉鉱石と中粒鉱石の使用比率が50質量%に満たない場合には、造粒物Xに期待の特性(強固かつ発熱性能に優れている)が得られず、生産性を向上させることができない(比較例i、○印)。
また、造粒物X中における中粒鉱石の配合量に対するマグネタイト系微粉鉱石の使用比率が1.0以上である場合には、先に述べたように、造粒物X中における1mm未満の未造粒粉の割合が上昇して(図4参照)、生産性が低下する(比較例ii、◇印)。
造粒物Xの使用量が15質量%に満たない場合には、造粒物Xによる生産向上効果が十分に現れない(比較例iii、△印)。また、造粒物Xの使用量が50質量%を超えると、歩留が低下して生産性が低下する(比較例iii、△印)。これは、通気構造は保たれているものの、発熱に適した温度の異なる粉コークスとマグネタイト系微粉鉱石の偏在が大きくなり、いわゆるムラ焼けが生じたためと推測できる。
また、微粉鉱石としてヘマタイト系の鉱石を用いた場合には、歩留が低下して生産性が低下する(比較例iv、▲印)。これは、ヘマタイト鉱石はマグネタイト鉱石と違い発熱しないため、マグネタイト鉱石を使用した場合と比較して熱源の偏在が大きくなったためと推測できる。
以上より、焼結機に供給される造粒した造粒物Xと別種類の焼結鉱原料を用いて造粒した造粒物Yとを、造粒物Xの割合が、焼結機における供給原料全体(造粒物X+造粒物Y)に対して15質量%以上50質量%以下とすることで、中粒鉱石を大量に使用しても生産性を低下させることなく焼結可能であることが分かる。
なお、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する領域を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な事項を採用している。
例えば、造粒設備に関しては、本発明では並列配備された2系統のドラムミキサー型造粒設備を使用しているが、1系統のドラムミキサー型造粒設備を使用してもよい。この場合、造粒物Xを製造した後に、洗浄作業を行って、その後、造粒物Yを製造するというように、1つのドラムミキサーで造粒物をそれぞれ製造するようにしてもよい。
1 焼結鉱製造用原料
2 焼結鍋試験装置
3 焼結鍋
4 風箱
5 配管
6 吸引機(排風機)
7 除塵器
8 スローピングシュート式の装入装置
9 ホッパー
10 ドラムフィーダ
11 移動台車
12 シュート

Claims (1)

  1. 焼結機に供給される焼結鉱製造用原料を製造するにあたり、
    粒度が250μm以下である粒子が全体の80質量%以上であるマグネタイト系微粉鉱石と、
    粒度が1000μm以下である粒子が全体の90質量%以上であり、粒度が250μm以上1000μm以下である粒子が全体の30質量%以上である中粒鉱石と、を用意しておき、
    造粒を行うドラムミキサーへの供給原料全体に対する、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石の使用比率の合計が50質量%以上であり、且つ、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石の使用比率が、「中粒鉱石使用量[質量%]/マグネタイト系微粉鉱石使用量[質量%]<1.0」を満たすように、前記マグネタイト系微粉鉱石と前記中粒鉱石とを前記ドラムミキサーにより混合して造粒物Xを造粒し、
    前記造粒された造粒物Xと別種類の焼結鉱原料を用いて造粒した造粒物Yと混合して前記焼結機にて焼結する際に、前記造粒物Xの割合を、混合して造粒される原料全体に対して15質量%以上50質量%以下とする
    ことを特徴とする焼結鉱製造用原料の製造方法。
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