JP2013083750A - 透過型スクリーン、背面投射型表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】透過型スクリーン10は、映像光の入光側に設けられるフレネルレンズ層11と、フレネルレンズ層よりも出光側に設けられる光制御層13と、光制御層13よりも出光側に設けられる光拡散層14と、光拡散層14よりも出光側に設けられる着色層15とを備え、曲面をなすような湾曲形状を有し、光制御層13の光透過部132及び光吸収部133は、この透過型スクリーン10に厚み方向に平行な断面において、光制御層13の出光側の面に沿って交互に配置され、光吸収部133は、断面形状が略楔形形状であり、着色層15は、着色された状態での光の透過率をB%とした場合に、A=100−Bとして得られるティント率A%が、30%以上70%以下である。
【選択図】図3
Description
また、例えば、透過型スクリーンを備える背面投射型表示装置に関して、その用途によっては、意匠性が高く要求される場合がある。例えば、背面投射型表示装置を自動車内の表示装置等として使用する場合等である。このように意匠性が要求される場合には、意匠面におけるシステム全体との調和も必要であり、当然ながら、表示装置としての映像の良好さも要求される。
また、コントラストの向上や、明るい映像を表示するために、光源部の出力を大きくすると、消費電力が大きくなるという問題があった。
特許文献1には、スクリーン画面の中央部と周縁部での明るさの差を改善する構成が開示されているが、上述のような課題の解決に関しては、一切開示されていない。
請求項1の発明は、一方の面側から投射された映像光を他方の面側に透過して映像を表示する透過型スクリーンであって、映像光の入光側に設けられ、映像光の進行方向を偏向するフレネルレンズ層(11)と、前記フレネルレンズ層よりも出光側に設けられ、光を透過する光透過部(132)と光を吸収する光吸収部(133)とを備える光制御層(13)と、前記光制御層よりも出光側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層(14)と、前記光拡散層よりも出光側に設けられる着色層(15)と、を備え、この透過型スクリーンは、曲面をなすような湾曲形状を有し、前記光透過部及び前記光吸収部は、この透過型スクリーンに厚み方向に平行な断面において、前記光制御層の出光側の面に沿って交互に配置されており、前記光吸収部は、前記断面における断面形状が略楔形形状であり、前記着色層は、着色された状態での光の透過率をB%とした場合に、A=100−Bとして得られるティント率A%が、30%以上70%以下であること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20A,20B,20C)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の透過型スクリーンにおいて、ピークゲインが、0.3以上3.0以下であること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20A,20B,20C)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の透過型スクリーンにおいて、前記光透過部(132)及び前記光吸収部(133)は、この透過型スクリーンの使用状態における画面左右方向に延在し、画面上下方向に配列されていること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20A,20B,20C)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、前記フレネルレンズ層(11)よりも出光側に設けられる基板層(12)を備えていること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20A,20B,20C)である。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、前記着色層(15)よりも出光側に設けられ、ハードコート機能、防眩機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防汚機能、帯電防止機能の少なくとも1つの機能を有する表面機能層(16)を備えること、を特徴とする透過型スクリーン(10,20A,20B,20C)である。
また、本明細書中において、板、シート、フィルム等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、板、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、シート、板、フィルムの文言は、適宜置き換えることができるものとする。例えば、シート状の部材は、フィルム状の部材としてもよいし、板状の部材としてもよい。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、実施形態の背面投射型表示装置1の構成を説明する図である。図1では、背面投射型表示装置の奥行き方向に平行かつ鉛直方向に平行な断面を示している。
背面投射型表示装置1は、透過型スクリーン10と、光源部80と、筐体90とを備えている。この背面投射型表示装置1は、光源部80から、透過型スクリーン10の背面側へ映像光を投射して透過型スクリーン上に映像を表示する。
本実施形態の背面投射型表示装置1は、太陽光や照明光等といった外光の影響が大きい環境で使用されるものであり、例えば、自動車の内部や船舶の内部(例えば、運転席や機関室等)に配置される車載用や船舶用の背面投射型表示装置である。
光源部80は、透過型スクリーン10に対してその背面側から映像光を投射する映像光源である。本実施形態の光源部80は、図1に示すように、透過型スクリーン10の背面側下方に配置され、ミラー等を介さずに直接投射するように構成されているが、これに限らず、例えば、光源部80から投射された光をミラーで一度反射して透過型スクリーンに投射する形態としてもよい。
この光源部80は、照射領域が次第に広がっていく発散光束(拡大投影された光束)として、透過型スクリーン10の背面側の面(入光面)の全域に映像光を投射する。このような光源部80としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)やレーザを利用したピコプロジェクタ等の小型の光源を用いることができる。
筐体90は、透過型スクリーン10を支持し、かつ、その内部に光源部80を配置可能な部材である。
図2に示すように、透過型スクリーン10は、全体的にみた場合のスクリーン面が三次元曲面をなすような湾曲形状を有している。
ここで、本明細書において、「二次元曲面」とは、単一の軸を中心として二次元的に湾曲しているもの、或いは、互いに平行な複数の軸を中心として異なる曲率で二次元的に湾曲しているものを意味する。また、「三次元曲面」とは、互いに対して角度をなす複数の軸をそれぞれ中心として、部分的に又は全体的に湾曲しているもの意味するものとする。
透過型スクリーン10は、観察者側の面(出光面)の最も観察者側に凸となっている点Cにおける法線方向Nに直交する平面(即ち、最も観察者側に凸となった点Cでの接面)が、鉛直方向に平行となっている。
透過型スクリーン10において、この湾曲形状の曲率半径は、2000mm以下であることが好ましく、250mm以上であり1500mm以下であることがより好ましい。
また、湾曲形状の軸となる第1の軸A1,第2の軸A2は、透過型スクリーン10を正面方向から見た場合の観察画面の矩形形状の対角線にそれぞれ平行である例を示したが、これに限らず、透過型スクリーン10を正面方向から見た場合に、観察画面の幾何学的中心Cを通り画面上下方向に平行な方向と、画面左右方向に平行な方向とをそれぞれ第1の軸、第2の軸としてもよい。
この透過型スクリーン10は、図3に示すように、その光源側(入光側)から順に、フレネルレンズ層11、基板層12、光制御層13、光拡散層14、着色層15、表面機能層16等を備えており、これらが接合層17a〜17c等により一体に積層された形状となっている。
以下、本実施形態の透過型スクリーン10を構成する各層について説明する。
フレネルレンズ層11は、光源側(入光側)に設けられたフレネルレンズ部112と、フレネルレンズ部112の観察者側に配置されたフレネル基材部113とを備えている。このフレネルレンズ層11は、光源部80が発散光束として投射した映像光の進行方向を偏向させ、この透過型スクリーン10の正面方向(点Cにおける接面の法線方向)へ進む平行光束とする機能を有している。
このフレネルレンズ部112の機能により、観察者によって観察される映像、特に、観察者によって透過型スクリーン10の斜め方向から観察される場合の映像の明るさの面内ばらつきを低減することができる。
図4は、実施形態のフレネルレンズ部112を説明する図である。図4(a)は、フレネルレンズ部112を光源側(入光側)正面方向から見た図であり、図4(b)は、単位レンズ111の配列方向に平行であって厚み方向に平行な面でのフレネルレンズ部112の断面の一部を拡大した図である。
図4に示すように、単位レンズ111は、点Oを中心として同心円状に配列されている。本実施形態では、その中心Oは、透過型スクリーン10の入光側の正面方向(点Cにおける接面の法線方向)から見て、透過型スクリーン10の入光面側の下方であって、点Cに対応する入光面側の点C2(幾何学的中心)を通り画面の上下方向に平行な直線上に位置している。
本実施形態のフレネルレンズ部112は、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いてフレネル基材部113に一体に形成されているが、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂を用いて形成してもよい。
フレネル基材部113は、例えば、ポリカーネート(PC)樹脂や、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂や、メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレン(MBS)樹脂、メタクリル酸メチル・スチレン(MS)樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)等を用いて形成されている。
このフレネル基材部113の厚みは、0.5〜4mmの範囲内で適宜選択可能である。
フレネル基材部113は、光を拡散する拡散材を含有していてもよいし、拡散材を含有しない層と拡散材を含有する層を共押し出し成形した形態としてもよい。
本実施形態の基板層12は、図3に示すように、透過型スクリーン10の厚み方向において、フレネルレンズ層11と光制御層13との間に設けられており、それぞれ接合層17a,17bを介して一体に積層されている。
基板層12は、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、PC樹脂、アクロニトリル・スチレン(AS)樹脂等により形成された板状の部材を用いることができる。
また、基板層12の厚さは、約1.5〜5.0mmの範囲内が好ましい。
光制御層13は、基材部131と、光学形状部134とを備えており、図3に示すように、接合層17bを介して基板層12の観察者側(出光側)に一体に積層されている。
基材部131を形成する材料としては、PC樹脂や、PET樹脂、TAC樹脂、ABS樹脂、MBS樹脂、MS樹脂等を用いることができる。
光透過部132は、図5(b)に示すように、画面左右方向に延在し、基材部131の観察者側の面に沿って画面上下方向に複数配列された単位光学形状であり、その配列方向に平行であって透過型スクリーン10の厚み方向に平行な断面形状は、図5(a)に示すように、観察者側を上底とし、光源側を下底とする略台形形状である。本実施形態の光透過部132の断面形状は、等脚台形であり、図5(a)に示すように、画面上下方向(配列方向)において対称な形状である。
この光透過部132は、光透過性を有する樹脂で形成されている。本実施形態の光透過部132は、ウレタンアクリレート等の紫外線硬化型樹脂により基材部131の出光面に一体に形成されているが、これに限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化型樹脂により形成してもよい。
また、光透過部132は、PET樹脂等の熱可塑性樹脂等を用いて熱溶融押出成形により形成されてもよく、この場合において、十分な厚みを有するならば、前述の基材部131を設けない形態としてもよい。
本実施形態の光吸収部133は、図5(a),(b)に示すように、画面左右方向に延在氏、光制御層13の出光側の面に沿って光透過部132と画面上下方向に交互に配置される形態となっている。
光吸収部133は、その配列方向に平行であって透過型スクリーンの厚み方向に平行な断面における断面形状が楔形形状である。ここでいう楔形形状とは、一方の端部の幅が広く、他方に向けて次第に幅が狭くなる形状をいい、三角形形状や台形形状等を含む。光吸収部133は、図5(a)に示すように、その断面形状が、観察者側(出光側)を下底、光源側(入光側)を上底とする略台形形状としてもよいし、光源側を頂点とする略三角形形状としてもよい。
光吸収部133に用いられる光透過性を有する樹脂は、光透過部132を形成する樹脂よりも屈折率が小さいものが好ましい。光吸収部133に用いられる光透過性を有する樹脂は、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂が好適に使用される。
なお、光吸収部133の屈折率は、光透過部132の屈折率よりも小さいことが、映像光の光線制御の観点から好ましいが、光透過部132の屈折率と同じものとしてもよいし、光透過部132の屈折率よりも大きくしてもよい。
光吸収部133に用いられる光吸収材は、可視光領域の光を吸収する機能を有する粒子状等の部材であり、例えば、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩、顔料や染料、顔料や染料で着色された樹脂粒子等である。顔料や染料で着色された樹脂粒子を用いる場合には、その樹脂粒子は、アクリル系樹脂製や、PC樹脂製、PE樹脂製、PS樹脂製、MBS樹脂、MS樹脂等により形成されたものを用いることができる。
光拡散層14の母材となる光透過性を有する樹脂は、例えば、MBS樹脂、アクリル樹脂、PC樹脂、PET樹脂等を用いることができる。
また、光拡散材としては、プラスチックビーズ等の有機フィラーであり、特に、透明度の高いものが好ましい。プラスチックビーズとしては、メラミン樹脂製、アクリル樹脂製、AS樹脂製、PC樹脂製等のものを適用可能である。また、シリコン系ビーズも光拡散材として使用可能である。さらに、所望する拡散性能等に合わせて、これらの光拡散材を適宜選択し、所定の割合で組み合わせる等して使用可能である。
光拡散層14の厚さは、0.05〜2.0mmの範囲内が好ましく、0.1〜1.5mmの範囲内とすることがより好ましい。ここで、光拡散層14の厚みが、0.05mm未満となると、光拡散効果が不十分となる可能性があり、また、2.0mmを超えると、透過型スクリーン10に表示される映像がぼやけ、解像度が低下する可能性がある。従って、光拡散層14の厚さは、上記の範囲内が好ましい。
着色層15は、光吸収材や着色剤を含有した透明樹脂により形成されている。着色層15の母材となる透明樹脂は、MBS樹脂や、アクリル樹脂、PC樹脂、PET樹脂等を用いることができる。また、光吸収材は、カーボンブラック、グラファイト、黒色酸化鉄等の金属塩等が用いられ、着色剤としては、グレー系や黒色系等の暗色系の染料や顔料等を用いることができる。
この着色層15のティント率が、30%未満の場合には、外光等の吸収作用が不十分となる可能性があり、また、映像非表示時(映像光の非投射時)に外光によって光源部80側が透けて見える等の外観不良やが生じやすくなる。さらに、ティント率が30%未満の場合であって、透過型スクリーン10のピークゲインが高い(ピークゲイン3.0超)場合には、映像表示時(光源部80の点灯時、映像光投射時)に光源部80のシルエット(光源像)が視認される等の表示不良等も生じるおそれがある。
一方、着色層15のティント率が70%を超える場合には、映像光の透過率が低下して映像の輝度が低下することや、光源部80の出力増大に伴う消費電力の増加等が生じる可能性がある。従って、着色層15のティント率は、上記の範囲内とすることが好ましい。
本実施形態の表面機能層16は、ハードコート機能を有しており、光透過性を有し、JIS K 600−5−4(1994)で規定される鉛筆硬度試験で「HB」以上の硬度を有している。
表面機能層16は、着色層15の観察者側の面に、ハードコート機能を有する塗料をスプレー塗装して形成されている。
この接合層17a,17b,17cは、紫外線硬化型のアクリル系樹脂や、圧力により粘着性が顕在化する感圧粘着型のアクリル系樹脂等を用いることができる。また、接合層17a,17b,17cの厚さは、透過型スクリーン10の大きさや使用環境、接合する各層の樹脂の特性、接合層として使用する樹脂の特性等に合わせて、10〜100μmの範囲内で適宜選択できる。
ここで、ゲインとは、透過型スクリーン10の背面側から光を入射させたとき、透過型スクリーン10の入光面での照度と、透過型スクリーン10の出光面での輝度を、透過型スクリーン10のスクリーン面(透過型スクリーン10全体としてみたときの平面方向)の法線方向となす角度ごとに測定し、以下に示す(式1)より求められる値である。
G=π×A/I ・・・(式1)
なお、(式1)において、ゲインをG、円周率をπ、輝度をA(cd/m2)、照度をI(lx)で示している。
そして、ピークゲインとは、上記式で得られるゲインのうち最もピーク(最大値)となるものであり、照度が一定の場合には、最も輝度が高いときに得られるゲインである。
一方、ピークゲインが3.0を超える場合には、視野角が狭くなったりするという問題がある。また、特に、ピークゲインが3.0を超え、着色層15のティント率が低い(ティント率30%未満)場合には、映像光投射時(光源部80の点灯時)に光源部80のシルエット(光源像)が視認されるという問題がある。
従って、透過型スクリーン10のピークゲインを、0.3以上3.0以下とすることが、良好な映像を表示するという観点から好ましい。
このような外光吸収作用を有しているので、透過型スクリーン10に表示される映像のコントラストが向上し、透過型スクリーン10は、視認性が高く良好な映像を表示できる。
ここで、本実施形態の透過型スクリーン及び背面投射型表示装置の実施例及び比較例に相当する測定例1〜16の透過型スクリーン及び背面投射型表示装置を作製し、その外観性(光源側が透けて見えるか否か)や、表示される映像のコントラスト、消費電力等について評価した。
測定例1〜16の透過型スクリーン及び背面投射型表示装置は、光源部80や筐体90、その画面サイズ(10インチ相当)や湾曲形状、各層の形状や厚み等は共通している。しかし、測定例1〜7の透過型スクリーンは、着色層15のティント率がそれぞれ異なっている。また、測定例8〜16の透過型スクリーンは、ティント率が一定であり、ピークゲインがそれぞれ異なっている。なお、測定例14の透過型スクリーンは、測定例4の透過型スクリーンと同様である。
測定例1〜16において、本実施形態の実施例に相当するもの透過型スクリーン及び背面投射型表示装置は、測定例2〜5,10〜15であり、比較例に相当するものは、測定例1,7〜9,16である。
測定例1〜16の透過型スクリーンの各層の詳細は以下の通りである。
測定例1〜7においては、光拡散層14の光拡散材の配合量は一定である。また、測定例8〜16においては、光拡散層14の光拡散材の配合量を変化させることにより、透過型スクリーンのピークゲインを変化させている。なお、測定例1〜7においてもピークゲインは変化しているが、これは、着色層15のティント率を変化させたことによるものであり、測定例1〜7の透過型スクリーンの画面左右方向における1/2角は一定である。
なお、ピークゲインに関しては、微小変角輝度計(GP−500、村上色彩技術研究所社製)により測定した。
光透過部132は、ウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂(屈折率1.55)により形成され、光吸収部133は、ウレタンアクリレート系の紫外線硬化型樹脂(屈折率1.49)に、光吸収材としてカーボンブラックを練りこんだアクリルビーズ(平均粒径約4μm)を含有している。
また、光吸収部133の配列ピッチP=60μm、光吸収部133の下底W2=30μm、光吸収部133の上底W3=6.4μm、光吸収部133の高さH=150μm、光透過部132(光学形状部134)の厚さD=168μm、光透過部132と光吸収部133の界面がなす角度θ=4.5°である。この光制御層13の観察者側面における開口率(光制御層13の観察者側面において、光透過部132が締める面積)は、50%である。
フレネルレンズ層11は、フレネル基材部113がPC樹脂製のシート状の部材であり、その厚さが130μmである。また、フレネルレンズ部112には、ウレタンアクリレート系樹脂により、図4に示すような全反射フレネルレンズ形状が形成されている。
外観性の評価(外光によって光源部80側が透けて見える現象の有無)に関しては、明室環境下において、映像非表示状態(光源部80の非点灯状態)で、表示装置の観察面から正面方向に1メートル離れたの位置から画面を観察した場合に、照明光等の外光によって光源部80側が透けてみるか否かを目視により評価している。光源部80側が透けて見えるものを不可(×)とし、光源側がやや透けて見えるものを不適(△)とし、光源部80側が透けて見えないものを良(○)とした。
また、表1に示すように、ティント率が80%や90%となる測定例6,7では、光源部80側が透けて見えることがなく、また、コントラストも良好であったが、消費電力が増大していた。
従って、着色層15のティント率は、30%以上70%以下の範囲とすることにより、映像非表示時に外光により光源部80側が透けて見える等の外観性の品位の低下を極力抑え、コントラストが高く、消費電力も低減された良好な映像を表示できる背面投射型表示装置とすることができる。
また、ピークゲインが0.2である測定例16では、上述のような、映像非表示時(光源部80の非点灯時)に外光によって光源部80側が透けて見えるといった外観不良は生じていないが、コントラストの低下や、明るい映像を表示するための消費電力の増大が生じており、好ましくない。
従って、透過型スクリーンのピークゲインは、0.3以上3.0以下の範囲内とすることにより、コントラストが高く、外光によって光源部80側が透けて見える等の品位の低下を極力抑え、消費電力も低減された良好な背面投射型表示装置とすることができる。
以上のことから、本実施形態によれば、コントラストが高く、良好な映像を表示でき、外観の品位が高く、光源側が透けて見える等の不良がない良好な透過型スクリーン及びこれを備えた背面投射型表示装置とすることができる。
図6は、実施形態の透過型スクリーンの他の層構成の例を示す断面図である。
ここでは、前述した図3等に示す透過型スクリーン10と同様の機能を果たす部分には、同一の符号や末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。また、図6では、実施形態の透過型スクリーンの他の例において、図3に示す断面に相当する断面を示しており、図6(a)〜(c)において、紙面左側が観察者側であり、紙面右側が光源側である。
図6(a)に示す透過型スクリーン20Aのように、基板層12を着色層15の出光側に設ける形態としてもよい。
また、図6(b)に示す透過型スクリーン20Bのように、基板層12を着色層15と光拡散層14との間に設ける形態としてもよい。
さらに、図6(c)に示す透過型スクリーン20Cのように、所定のティント率で着色された基板層22を光拡散層14の出光側に設けてもよい。このとき、基板層22が含有する着色剤は、前述の着色層15の着色剤と同様のものを用いることができる。
透過型スクリーン20A〜20Cは、所望する光学性能や意匠性や外観性(光源部80の非点灯時の表示画面の黒さ等)に応じて適宜選択可能である。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態において、光源部80は、背面投射型表示装置1の使用状態において、透過型スクリーン10に対して鉛直方向下側から斜めに映像光を投射する例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、透過型スクリーン10に対して鉛直方向上側から斜めに映像光を投射する形態としてもよい。この場合、透過型スクリーン10の上下方向を逆にして配置することが好ましい。
また、本実施形態において、フレネルレンズ部112は全反射型のフレネルレンズ形状である例を示したが、これに限らず、屈折型のフレネルレンズ形状ととしてもよい。
図7は、変形形態の透過型スクリーン40の層構成を説明する図である。
このように屈折型のフレネルレンズを使用する際には、フレネルレンズ部413の位置がフレネル基材層411の出光側に位置するため、別体のフレネルレンズシート41とし、光制御層13、光拡散層14、着色層15らが一体に積層された積層体42とフレネルレンズシート41からなる2枚ものの透過型スクリーン40としてもよい。
なお、この場合、フレネルレンズ形状の光学的中心が透過型スクリーンの幾何学的中心近傍に位置する形状(即ち、偏心していない形状)のフレネルレンズ形状としてもよい。
また、角度θは、光透過部及び光吸収部の配列方向(画面上下方向)において、変化する形態としてもよい。
10 透過型スクリーン
11 フレネルレンズ層
111 単位レンズ
112 フレネルレンズ部
113 フレネル基材部
12 基板層
13 光制御層
131 基材部
132 光透過部
133 光吸収部
134 光学形状部
14 光拡散層
15 着色層
16 表面機能層
80 光源部
90 筐体部
Claims (7)
- 一方の面側から投射された映像光を他方の面側に透過して映像を表示する透過型スクリーンであって、
映像光の入光側に設けられ、映像光の進行方向を偏向するフレネルレンズ層と、
前記フレネルレンズ層よりも出光側に設けられ、光を透過する光透過部と光を吸収する光吸収部とを備える光制御層と、
前記光制御層よりも出光側に設けられ、光を拡散する作用を有する光拡散層と、
前記光拡散層よりも出光側に設けられる着色層と、
を備え、
この透過型スクリーンは、曲面をなすような湾曲形状を有し、
前記光透過部及び前記光吸収部は、この透過型スクリーンに厚み方向に平行な断面において、前記光制御層の出光側の面に沿って交互に配置されており、
前記光吸収部は、前記断面における断面形状が略楔形形状であり、
前記着色層は、着色された状態での光の透過率をB%とした場合に、A=100−Bとして得られるティント率A%が、30%以上70%以下であること、
を特徴とする透過型スクリーン - 請求項1に記載の透過型スクリーンにおいて、
ピークゲインが、0.3以上3.0以下であること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1又は請求項2に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記光透過部及び前記光吸収部は、この透過型スクリーンの使用状態における画面左右方向に延在し、画面上下方向に配列されていること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記フレネルレンズ層は、光が入射する入射面と前記入射面から入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面とを備える単位レンズが複数配列されたフレネルレンズ形状部を、入光側に備えること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記フレネルレンズ層よりも出光側に設けられる基板層を備えていること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記着色層よりも出光側に設けられ、ハードコート機能、防眩機能、紫外線吸収機能、反射防止機能、防汚機能、帯電防止機能の少なくとも1つの機能を有する表面機能層を備えること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンと、
前記透過型スクリーンに対して、背面側から映像光を投射する光源部と、
を備える背面投射型表示装置。
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