JP2010061112A - 透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法 - Google Patents

透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010061112A
JP2010061112A JP2009159578A JP2009159578A JP2010061112A JP 2010061112 A JP2010061112 A JP 2010061112A JP 2009159578 A JP2009159578 A JP 2009159578A JP 2009159578 A JP2009159578 A JP 2009159578A JP 2010061112 A JP2010061112 A JP 2010061112A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
fresnel
image
screen
lens
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009159578A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5312234B2 (ja
Inventor
Takao Endo
貴雄 遠藤
Yuzo Nakano
勇三 中野
Isato Takeuchi
勇人 竹内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
Priority to JP2009159578A priority Critical patent/JP5312234B2/ja
Priority to US12/609,923 priority patent/US8035894B2/en
Publication of JP2010061112A publication Critical patent/JP2010061112A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5312234B2 publication Critical patent/JP5312234B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Projection Apparatus (AREA)
  • Overhead Projectors And Projection Screens (AREA)

Abstract

【課題】スペックルによる画像劣化を低減しつつ、色温度が高く、解像力が高い画像表示を行うことのできる透過型スクリーンを得る。
【解決手段】フレネルレンズスクリーン20は、入光面部分全反射式フレネルレンズ24と、その後段側に設けられた第一の光拡散部26と第一の基盤25とからなる。フレネルレンズスクリーン20の後段側に設けられた像表示要素30は、レンズ要素31と第二の基盤32と第三の基盤35とを有する。第二の基盤32の後段側には第二の光拡散部33が設けられている。第二の光拡散部33は、粒径の異なる二種類の微粒子を分散して備えている。
【選択図】図1

Description

この発明は、観測者から見てスクリーンの背面側から画像光を投影して画像を表示する透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法に関するものである。
フレネルレンズスクリーンと拡散シート(拡散層)とを組み合わせて画像の表示を行う装置として、投写型表示装置がある。この投写型表示装置はCRT(Cathode Ray Tube)やPDP(Plasma Display Panel)と異なり、非発光型の表示装置である。投写型表示装置は、プロジェクタとして、光源からの光を所定の方向へ導く照明光学系と、照明光学系によって導かれてくる光が照射されると共に画像信号に応じて光量を調整し画像を形成するライトバルブと、ライトバルブで形成された画像をスクリーンに拡大投影する投写光学系と、を備えている。
投写型表示装置には、観測者から見てスクリーンの背面から画像光を投影する背面投写型の表示装置と、観測者から見てスクリーンの手前から画像光を投影する前面投写型の表示装置がある。このうち、背面投射型の表示装置に用いられる透過型スクリーンは、プロジェクタからの画像光を観測者側に曲げるフレネルレンズスクリーンと、フレネルレンズスクリーンからの画像光の像を結像させると共に画像光に発散角度を与えて広げる像表示要素を備えている。
フレネルレンズは一般に投写画素より細かいレンズ周期(例えば画素の1/10)で作られるため、その厚み方向も非常に薄い寸法(プリズム部を含んだ厚み寸法が例えば数百μm)となる。このため、フレネルレンズを保持するためには、厚み1〜5mmほどの基盤が必要となる。基板はPMMA(Poly Methyl MethAcrylate)、MS(Methyl methacylate Styrene)、MBS(Methyl metacylate Butadiene Styrene)、PC(Polycarbonate)などの樹脂やガラスで作られることが多い。また、フレネルレンズは光硬化樹脂などを用いて基盤の上に直接形成されていることが多く、このフレネルレンズと基盤とからなる要素はフレネルレンズスクリーンと呼ばれている。
像表示要素は少なくとも光拡散手段と基盤とを含んで構成されている。光拡散手段は光の波長(可視光380nm〜780nm)より大きな表面の凹凸を利用したり、または拡散層基材と光の波長より大きな微粒子との屈折率差を利用したものである。このような光の波長より大きなゆらぎのある構造を、投写光学系で拡大されて空間的コヒーレンスの大きくなった光で照明すると、たとえ光源が時間的コヒーレンスの小さいランプ光源であったとしても、無数の明暗の斑点(ぎらつき)が無秩序に認識されることとなる。この明暗の斑点は一般にスペックル(厳密にはsubjective speckle)、もしくはシンチレーションと呼ばれ、画像劣化の問題となる。
このようなスペックル(シンチレーション)の対策としてはスクリーンの拡散層を離して配置する方法(例えば、特許文献1参照)や、拡散層基材との屈折率差が大きい(Δn>0.08)微粒子の粒径を、光の波長λの約20倍(10μm)未満にする方法(例えば、特許文献2参照)等が提案されている。
特許第3606862号公報 特開2004−271922号公報
しかしながら、上記の従来技術では、拡散層同士の間隔が大きいと、一つ目の拡散層から次の拡散層まで光が伝搬する間に画像がぼやけるので、解像力が低下する不具合が生じるという問題があった。また、屈折率差(の分散)が大きく粒径が小さい微粒子を拡散層に用いると、色温度が低くなるという不具合が生じるという問題があった。光は波長、つまり色によって光の曲がる角度(広がる角度)が異なり、屈折率差が大きいと、また粒径が小さいと良く曲がる(広がる)からである。これはMaxwell方程式の散乱問題から説明できるが、一般にはMie散乱理論として知られている。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、スペックルによる画像劣化を低減しつつ、色温度が高く、解像力が高い画像表示を行うことのできる透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法を得ることを目的とする。
この発明に係る透過型スクリーンは、発光体側から見て入光面側にプリズムが形成されたフレネル光学素子と、フレネル光学素子を保持する第一の基盤と、発光体から照射される画像光に発散角度を与えて拡げるレンズ要素を保持する第二の基盤とを順に配列した透過型スクリーンにおいて、フレネル光学素子の後段側に第一の光拡散手段を、第二の基盤の後段側に第二の光拡散手段を設けると共に、第一の光拡散手段と第二の光拡散手段とは所定の間隔を有するようにしたものである。
この発明の透過型スクリーンは、フレネル光学素子の後段側に第一の光拡散手段を設けると共に、第二の基盤の後段側に、第一の光拡散手段と所定の間隔を有するよう第二の光拡散手段を設けたので、スペックルによる画像劣化を低減しつつ、色温度が高く、解像力が高い画像表示を行うことができる。
この発明の実施の形態1による透過型スクリーンを示す構成図である。 この発明の実施の形態1による透過型スクリーンのそれぞれのフレネルレンズを示す説明図である。 この発明の実施の形態1による透過型スクリーンと投写画素との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による透過型スクリーンにおける画像光の散乱について示す説明図である。 この発明の実施の形態1による透過型スクリーンの各粒径における波長と透過率との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による透過型スクリーンにおける確率密度分布関数の実測値を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による透過型スクリーンにおける各スペックルコントラストの計算例を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による透過型スクリーンにおける特徴長さとスペックルコントラストとの実験結果を示す説明図である。 この発明の実施の形態1による透過型スクリーンにおける入光面部分全反射式フレネルレンズの拡大図である。 出光面側屈折式フレネルレンズの拡大図である。 入光面側全反射式フレネルレンズの拡大図である。 この発明の実施の形態2による透過型スクリーンを示す構成図である。 この発明の実施の形態3による透過型スクリーンを示す構成図である。 この発明の実施の形態4による透過型スクリーンを示す構成図である。 この発明の実施の形態4による透過型スクリーンにおける周期とスペックルコントラストとの関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態4による透過型スクリーンにおけるレンズ要素の周期毎のフレネルプリズム周期とスペックルコントラストとの関係を示す説明図である。を示す構成図である。 この発明の実施の形態4による透過型スクリーンの変形例(その1)を示す構成図である。 この発明の実施の形態4による透過型スクリーンの変形例(その2)を示す構成図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による透過型スクリーンを示す構成図である。
図において、透過型スクリーン10は、画像光(図示せず)を観測者1側に曲げるフレネルレンズスクリーン20と、フレネルレンズスクリーン20からの画像光の像を結像させると共に画像光に発散角度を与えて広げる像表示要素30を備えている。
透過型スクリーン10は、観測者1からスクリーンを見て、その背面側に光源や投写光学系等を有する構造である。図2にその構成を簡単に示す。
図2に示すように、光源や照明光学系、ライトバルブ、投写光学系(いずれも図示せず)からなるプロジェクタ(発光体)50からの画像光を観測者1の方向へ曲げる機能を持つフレネルレンズスクリーン20は、一般によく使われている観測者側(出光面側)にレンズが形成された出光面側屈折式フレネルレンズ21や、観測者の反対の光源側(入光面側)にレンズが形成された混合式フレネルレンズ22、入光面側全反射式フレネルレンズ23、入光面部分全反射式フレネルレンズ24などのフレネル光学素子が用いられる。
実施の形態1では、最良の形態である入光面部分全反射式フレネルレンズ24の例で説明するが、入光面側全反射式フレネルレンズ23であっても良い(その詳細については後述する)。また、これら両者には若干劣るが、次善の解として、混合式フレネルレンズ22、出光面側屈折式フレネルレンズ21であってもよい。
図1に戻り、フレネルレンズスクリーン20は、入光面部分全反射式フレネルレンズ24と、これを保持する第一の基盤25、および第一の光拡散部(第一の光拡散手段)26からなる。この第一の光拡散部26は、入光面部分全反射式フレネルレンズ24と第一の基盤25の貼合の機能も有する。像表示要素30は、少なくとも画像光に発散角度を与えて広げるレンズ要素31と、これを保持する第二の基盤32、および画像光の像を結像させる第二の光拡散部(第二の光拡散手段)33からなる。像表示要素30は、一般に観測者1が直接観測するもののため、実施の形態1では、最も観測者1側に表面処理部34を設けている。これは、例えば外光の影響を低減するために光の反射を低減させる反射防止層や、見た目のぎらつきを押さえるためのアンチグレア層、静電気によるほこりの付着を防止するための帯電防止層、表面を保護するためのハードコート層であってもよい。
表面処理部34は、第二の基盤32の観測者側最表面に直接形成されていてもよいが、実施の形態1では薄い第三の基盤35上に形成され、第一の接着層36にて第二の基盤32に貼合されている。この場合、第一の接着層36には外光を吸収する顔料・染料などを含んでいても良い。また薄い第三の基盤35はフィルム状の樹脂基材、例えばPET(PolyEthylene Terephthalate)やTAC(TriAcetylCellulose)を用いて構成されている。
第二の基盤32は、基板が、PMMA(Poly Methyl MethAcrylate)、MS(Methyl methacylate Styrene)、MBS(Methyl metacylate Butadiene Styrene)、PC(Polycarbonate)などの樹脂で形成され、少なくとも基盤厚みの半分より観測者に近い側に第二の光拡散部33が離散的に複数(図1では2層)配置されていることを特徴とする。これは第二の基盤32を成形する際に第二の光拡散部33を層状に練り込んで一対成形するが、基盤がガラスの場合はフィルム状の第二の光拡散部33を接着層で貼り合わせてもよい。この第二の光拡散部33は少なくとも2層以上から構成され、その間隔はスクリーンに投影された画像を構成する投写画素の約1/10とする。
図3にスクリーンと投写画素の関係を模式的に示す。
光源51、照明光学系52、ライトバルブ53、投写光学系54等からなるプロジェクタ50が、透過型スクリーン10に画像光2を投影する。スクリーンの高さをHとすると、標準的な観測距離は高さの3倍となる。観測者1の視力を例として1.0、高さを例としてH=1.0mとすると、観測者の分解能は約1mmとなる。投写画素の大きさ1mmは画面の高さ1mの1/1000倍であり、いわゆるHDTV(High Definition Television)の有効走査線数1080本もこれに準じている。本実施の形態1では、画面高さとして0.8m<H<1.1mを想定しているため、0.7mm<画素サイズ<1.0mmとする。尚、図3に示すように、透過型スクリーン10とプロジェクタ50とによって投写型表示装置が構成されている。また、図3中、フレネルプリズム周期27は、鋸歯状に複数配置されたフレネルプリズムの周期であり、波面3は、フレネルレンズスクリーン20から出射される画像光2の波面を示している。
図1に戻り、レンズ要素31は、少なくとも、光源からの光を立体角に広げる台形状レンズ37と外光を吸収する光吸収部38と、これを保持する第四の基盤39を備えている。この他、入光面側最表面に台形状レンズ37の配光制御を補助する補助レンズ40を配置しても良い。また、レンズ要素31と第二の基盤32とは、第二の接着層41によって貼合されている。尚、実施の形態1では、最良の形態である台形状レンズ37と光吸収部38と第四の基盤39と補助レンズ40からなるレンズ要素31で説明するが、後述する実施の形態2のレンズ要素であってもよい。
第二の光拡散部33は、少なくとも二種類以上の粒径の異なる微粒子が媒質に分散して配置されている。最良の形態である実施の形態1では、第一の微粒子42の粒径が光の波長λの10〜20倍(約5−11μm)の範囲にあり、かつ、第二の微粒子43の粒径が波長の50〜100倍(約27−53μm)の範囲にあることを特徴とする。但し、λは可視光の代表波長(530nm)とする。また微粒子の屈折率が、少なくとも媒質との屈折率差Δnにおいて、Δn<0.03の範囲にあることを特徴とする。一般に、第二の基盤32は樹脂やガラスで構成されていることから、その屈折率nは、1.4<n<1.7に代表される範囲にある。そのため微粒子の屈折率は第二の基盤32のそれよりわずか(Δn<0.03)にずれた範囲にあることとする。
このように構成された透過型スクリーン10においては、スペックルによる画像劣化を低減しつつ、色温度が高く、解像力が高い画像表示を行うことが可能となる。これについて、以下、詳細に説明する。
先ず、画像光の散乱について簡単に説明する。
散乱問題は図4に示すように、微粒子に入射波を当てると、(吸収体がない限りエネルギー保存則より)その透過波と散乱(反射)波が発生する。このときの散乱波(図4では球面波近似で例示している)の振幅を散乱振幅と呼び、この振幅の角度特性から微分散乱断面積が求められる。これを全立体角で積分したものが散乱断面積で、当然のことながら前方散乱の位相のずれと相関がある(光学定理)。この散乱断面積は古典的な散乱問題の場合はπa2(但し微粒子の半径をaとする)で表される。
ここでは可視光(波長λ=380〜780nm)を考える。光は電磁波であり、Maxwell方程式に従う横波である。微粒子との相互作用はその波長λにより異なる。上記の散乱問題は近似的に解かれており、微粒子の特徴長さlが〜0.01λでは散乱しない(透明)、l<0.1λではRayleigh散乱、l<100λではMie散乱、l>100λでは屈折、反射など幾何的な振る舞いをすることとなる。尚、上記の散乱断面積もRayleigh散乱の場合は波長の4乗に反比例するが、Mie散乱の場合はもっと複雑な波長依存性をもつ。尚、本論では波長λより小さい微粒子を扱わない為、Rayleigh散乱は考えない。
さて、微粒子の粒径a(ここでは5−50μm)が小さいと、微粒子の散乱で光が立体角に広がりやすくなることについて図4で説明する。例えば、半径aの開口に平面波が入射すると、Fresnel−Kirchhoffの回折積分より十分遠方(z>1)の波面の広がりはFraunhofer回折で近似できるため、回折パターンは開口のFourier変換で表され、その広がりは粒径aの逆数に比例することとなることが知られている。
また、可視光の範囲では、波長λが小さい方が相対的に散乱断面積が大きくなるため、短い波長(青色)が良く散乱し、長い波長(赤色)が散乱せず通り抜けやすいことになる。さらに屈折率nは媒質中の光の速度に関係し、屈折率差が大きくなると媒質中の曲がる角度も大きくなる。
ここで、光波のコヒーレンスについて簡単に説明する。一般にコヒーレンスとは位相・振幅に一定の関係がある波とされているが、初期位相、周波数(スペクトル)、波数(ベクトル量のため方向を示す)をひとまとめにして、これらの量(モード)が似ている状態にあるとコヒーレンスが高いとされる。反対にこれらのモードがばらばらな状態にあるとコヒーレンスが低いとされる。つまり位相が揃った光であったり、周波数が揃った光であったり、方向が揃った光であるとコヒーレンスが高くなる。例えば、レーザ光は初期位相が揃っていて、周波数幅が狭く(周波数が揃った光)、広がりの小さい(方向の揃った)光であるため、コヒーレンスが高い。反対に、白色光は初期位相がばらばらで、周波数幅が広く(例えば黒体放射スペクトルなど)、広がりも大きいため、コヒーレンスが低い(インコヒーレント)な光となる。これらコヒーレンスを定量的に表す指標の一つとして複素コヒーレンス度(Complex degree of Coherence)があり、ここでのコヒーレンスとは複素コヒーレンス度のことを示唆する。
従来のように微粒子の粒径を小さく、もしくは屈折率差を大きくすると、上述したように、微粒子の散乱で光が立体角に広がりやすくなる。上記光波のコヒーレンスにて説明したように、広がった光波のコヒーレンスは広がる前より小さくなるため、ぎらつきが低減することとなる。しかしながら、波長λと散乱との関係で説明したように、散乱の波長依存性はむしろ相対的に大きくなるため、色味が赤くなる弊害がある。特に小さい微粒子の場合、衝突断面積が小さいため、微粒子の充填率を大きくしないと光波が散乱せずにそのまま通り抜けることになり、反対にぎらつきが増加する弊害もある。
しかしながら、本実施の形態1のように大きい微粒子(=第二の微粒子43)を追加して混合させると、その散乱光は小さい微粒子(=第一の微粒子42)と反対の効果を持つため、波長依存性が相対的に小さいため色味の良い(白色)で、かつ突き抜けの少ない散乱光を得ることが出来る。つまり小さい微粒子による不具合を補う効果をもつ。ここで、大きい微粒子、小さい微粒子の具体的な寸法について説明する。光の散乱、回折などの波動的な特性は、光の波長と相互作用をする対象の長さに依存する。ここで図5を用いて説明する。
図5は、およそ10λ、85λ、255λ(但し、λは可視光の代表波長(530nm)とする)の構造物(それぞれ相似形状の三角プリズム)を並べたものの前方透過率を示している。
実験事実より、10λでは波長依存性が大きく、特に長波長(赤色)の透過率(つまり突き抜け)が大きいことがわかる。もちろん突き抜け成分を減らしたい場合は微粒子の充填率を増やせば良くなるが、全体的に拡散が強くなってしまう弊害があることは言うまでもない。つまり色味の良い拡散層を作る粒径の下限として10λを使うと良い。他方、>85λでは色味の変化が小さいことが示される。粒径の上限としては、微粒子が大きいと、上記微粒子の特徴長さと散乱との関係で説明したように、幾何学的な振る舞いが大きくなる(>100λ)ため、粒の影ができたり、粒が目で認識されたりする不具合があり、そのため、〜85λの範囲の微粒子を使うと良い。従って、光を適度に拡散させるのに適した第一の微粒子42として、その下限の近傍10〜20λ(約5−11μm)の範囲、色味を保つのに適した第二の微粒子43として、その上限の近傍50〜100λ(約27−53μm)の範囲とするとよい。
次に、このように微粒子を配置するとぎらつきが低減することについて説明する。
先ず、ぎらつきの定量評価の指標について説明し、次に実測値について説明する。ぎらつきの指標にスペックルコントラストがよく使われる。スペックルコントラストは平均輝度に対する標準偏差の比で定義される量で、輝度の明暗のばらつき(即ち、ぎらつき)が大きいほど値が大きくなる。これは平均輝度で規格化した確率密度分布関数からも求めることができる。図6は確率密度分布関数60の実測値の例で、横軸に平均輝度で規格化した輝度(つまり1が平均輝度となる)、縦軸に確率密度をとる。確率密度分布はその定義より、密度を積分すると全確率、すなわち1となる。スペックルコントラスト61は定義より、この確率密度分布の広がりとなる。図7はスペックルコントラストσ=0.707、0.500、0.316、0.224、0.100の計算例で、分布関数の広がりが狭いほど、スペックルコントラストσが小さくなることがわかる。
図8は、特徴長さとスペックルコントラストとの実験結果を示す説明図である。
図8の実験3は、実際に試作した10λ、85λ、255λ(但しλは可視光の代表波長(530nm)とする)の特徴的な長さの構造物(それぞれ相似形状の三角プリズム)を並べたものを部分コヒーレント(Partial Coherent)光で照明した時のスペックルコントラストの実測値である。基本的に特徴的な長さが小さい方がスペックルコントラストも小さくなるが、特徴的な長さを10λまで小さくすると反対にスペックルコントラストが大きくなる結果を得ている。これは特徴的な長さを10λまで小さくすると衝突断面積が小さくなる、もしくは波動的な特性の0次回折光が多くなるため、光波の方向が揃ったまま突き抜ける光が多くなり、結果照明光のコヒーレンスが高くなることで説明できる。もちろん、既に、説明したように、充填率を増やすことで回避もできるが、色味の劣化や、拡散が強くなって暗くなるような不具合も発生してしまう。そこで突き抜けしやすいが散乱すると良く広がる第一の微粒子と、色味がよく突き抜けしにくい第二の微粒子を、上述したように、それぞれ10〜20λ(約5−11μm)の範囲、50〜100λ(約27−53μm)の範囲として混合させるとよい。
また、スクリーンの拡散層を離して配置する従来技術では、確かにぎらつきは低減し、またこの効果が絶大であるが、しかしながら像がぼやけてしまうという致命的な不具合を生じる。実施の形態1では、複数の微粒子を分散させた拡散層の少なくとも2層以上から第二の光拡散部33が構成され、その間隔はスクリーンに投影された画像を構成する投写画素の約1/10としている。既に説明したように、透過型スクリーン10に投影される画像は、その最小単位として投写画素をもつ。実施の形態1では、画面高さHとして0.8m<H<1.1mを想定しているため、0.7mm<画素サイズ<1.0mmとする。観測者1の視力を例として1.0、画面高さを例としてH=1.0mとすると観測者の分解能は約1mmとなるため、投写画素の大きさを1mmより細かくしても観測者には分解出来ないことになる。つまり画素より細かい範囲で画像がぼやけても観測者が画像の劣化を認識するのは難しい。例えば、第二の基盤32の第二の光拡散部33はそれぞれ投写画素の約1/10ほど離れて配置されていることから、光拡散部で画像がぼやけて、コヒーレンスが低減し、結果としてぎらつきも低減するが、像のぼやけは投写画素より小さい範囲のため、観測者に画像の劣化として認識されない効果がある。つまり、像を画像の最小単位である画素の範囲内でわずかにぼやかすことで、画像の劣化として認識されずにぎらつきを低減することが出来る。以上の理由から第二の光拡散部33は少なくとも2層以上の拡散層から構成すると良い。
また、従来技術ではぎらつきを減らすのに、例えば粒径が小さく屈折率差が大きい微粒子を使って拡散を強くしたり、拡散層の間隔を広げたりすることで、像をぼかすと良いとされていた。一方、実施の形態1では光源からの光を観測者方向へ曲げるフィールドレンズの作用をするフレネルレンズを透過型スクリーンに用いている。このフレネルレンズスクリーン20は、光源から広がった光を像表示要素30へコリメートする機能を持つ。つまりフレネルレンズは画像の解像に寄与しないレンズのため、例えばレンズのピッチ(周期)を変更しても像がぼやけたりすることはない。しかしながら、実施の形態1ではこのフレネルレンズの周期を調整することで像表示要素30を照明する光波のコヒーレンスを低減し、ぎらつきを低減することが可能となる。
実施の形態1の例について図9を用いて説明する。
図9は、入光面部分全反射式フレネルレンズ24の拡大図で、斜線部が信号光束の光路である。最良の形態である入光面部分全反射式フレネルレンズ24は、観測者1から見て背面側(光源側)にフレネルレンズが形成されている。即ち、この入光面部分全反射式フレネルレンズ24は、発光体から照射される光線を屈折させる屈折面と、この屈折面で屈折された光線を反射する反射面とを有するフレネルプリズムが鋸歯状に複数配置され、手前のフレネルプリズムに遮断されて発光体からの光線が直接照射されない非入射面が、複数のフレネルプリズムが配置されている基盤面と略平行に形成されているフレネル光学素子である。
このような入光面部分全反射式フレネルレンズ24では、入光面(屈折面)で屈折し、向かいの斜面(反射面)で全反射した光束は観測者1側へ出光する。この時、連続な光束A−B−Cは、B−AとC−Bに分割されることになる。つまり、フレネルプリズム周期27を小さくすると、波面をフレネルレンズという小さい開口で細かく分割するため、光波の位相が不連続になり、間接的に空間的にコヒーレンスが低減する。コヒーレント照明、インコヒーレント照明にかかわらず、一般に開口が小さいと像がぼやけるが、ここでも投写画素という最小単位があるので、投写画素より細かい範囲で像をぼかしても、画像劣化の不具合は小さいことになる。つまり像を画像の最小単位である画素の範囲内でわずかにぼやかすことで、画像の劣化として認識されずにぎらつきを低減することが出来る。
ここで、際限なく開口、即ち、フレネルプリズム周期27を小さくできるかというと、そうではない。フレネルレンズは周期性を持つため、波長の10倍程度まで小さくすると周期的なレンズが回折格子として働くことになり、波長依存性が強くなる不具合がある。そのためフレネルレンズのピッチ(周期)mを色味の変化が小さく幾何的な振る舞いをする>50λ(約>27μm)で、かつ観測者に認識されない投写画素(H/1080)の1/10(=100μm:H=1m)より小さくすると良い。
図8の実験1,2は、実際に試作したおよそ160λ、200λ、290λ周期の入光面部分全反射式フレネルレンズ24を拡散板と組み合わせて、部分コヒーレント光で照明した時のスペックルコントラストを測定したものである。実験1と実験2は同じ試作品を照明条件を変えて測定したものである。図のマークは一対比較できるように同一条件で測定した組を示している。少なくとも同一条件では特徴長さ(フレネルプリズム周期)が小さいほうがスペックルコントラストが小さいことが実験的に示されている。また図8の実験3の相似形状の三角プリズムのスペックルコントラストにおいても少なくとも>100λ、おそらく>50λのところまでは特徴長さが小さいほうがスペックルコントラストが小さいことが示されている。
更に、実施の形態1では観測者1の反対の光源側(入光面側)にレンズが形成された入光面部分全反射式フレネルレンズ24を採用しているが、これによるコヒーレンスの低減について説明する。
図10は、従来の出光面側屈折式フレネルレンズ21、図11は入光面側全反射式フレネルレンズ23の拡大図であり、斜線部が信号光束の光路である。また、図9は、上述したように、入光面部分全反射式フレネルレンズ24の拡大図である。従来の出光面側屈折式フレネルレンズ21は、観測者1の方にフレネルレンズが形成されている。スクリーンに対して観測者1の反対側から連続的な光束A−B−Cが入射してきたとすると、フレネルレンズで観測者方向に曲げられて出光することになる。この時、光束はA−BとB−Cに分割される。他方、入光面側全反射式フレネルレンズ23と入光面部分全反射式フレネルレンズ24では光束A−B−Cは光束B−AとC−Bに分割されることになる。つまり光束が入光面側フレネルレンズ内部で上下反転し、波面の位相が不連続に分割される。図11と図9を見て分かるように、入光面側全反射式フレネルレンズ23と入光面部分全反射式フレネルレンズ24の機能はフレネルレンズによるコヒーレンスの低減について同等であるが、入光面部分全反射式フレネルレンズ24の方が製造性、迷光などの点で優れているため、最良の形態として入光面部分全反射式フレネルレンズ24を採用している。このように入光面側全反射式フレネルレンズ23、および入光面部分全反射式フレネルレンズ24を採用することで、フレネルレンズ内部で光束が上下反転し、波面の位相が不連続に分割されることで、間接的に空間的コヒーレンスを低減することができるようになる。
以上のように、実施の形態1の透過型スクリーンによれば、発光体側から見て入光面側にプリズムが形成されたフレネル光学素子と、フレネル光学素子を保持する第一の基盤と、発光体から照射される画像光に発散角度を与えて拡げるレンズ要素を保持する第二の基盤とを順に配列した透過型スクリーンにおいて、フレネル光学素子の後段側に第一の光拡散手段を、第二の基盤の後段側に第二の光拡散手段を設けると共に、第一の光拡散手段と第二の光拡散手段とは所定の間隔を有するよう構成したので、スペックルによる画像劣化を低減しつつ、色温度が高く、解像力が高い画像表示を行うことができる透過型スクリーンを実現することができる。
また、実施の形態1の透過型スクリーンによれば、第二の光拡散手段は、少なくとも媒質との屈折率差Δnが、Δn<0.03の粒径の異なる二種類の微粒子を分散して備え、二種類の微粒子のうち、第一の微粒子の粒径が代表的な光の波長の10〜20倍の範囲にあり、かつ、第二の微粒子の粒径が代表的な光の波長の50〜100倍の範囲にあるようにしたので、画像の劣化として認識されずにぎらつきを低減することが出来る。
また、実施の形態1の透過型スクリーンによれば、フレネル光学素子は、発光体から照射される光線を屈折させる屈折面と、屈折面で屈折された光線を反射する反射面とを有するフレネルプリズムが鋸歯状に複数配置され、手前のフレネルプリズムに遮断されて発光体からの光線が直接照射されない非入射面が、複数のフレネルプリズムが配置されている基盤面と略平行に形成されているので、製造性が高く、かつ迷光等の点で優れた透過型スクリーンを実現することができる。
また、実施の形態1の透過型スクリーンによれば、フレネル光学素子のフレネルプリズム周期が、代表的な光の波長λの>50倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあるようにしたので、画像の劣化として認識されずにぎらつきを低減することが出来る。
また、実施の形態1の投写型表示装置によれば、上記いずれかの透過型スクリーンと、透過型スクリーンに画像光を照射する発光体とを備えたので、スペックルによる画像劣化を低減しつつ、色温度が高く、解像力が高い画像表示を行うことができる投写型表示装置を実現することができる。
また、実施の形態1の画像表示方法によれば、発光体側から見て入光面側にプリズムが形成されたフレネル光学素子と、フレネル光学素子を保持する第一の基盤と、発光体から照射される画像光に発散角度を与えて拡げるレンズ要素を保持する第二の基盤とを順に配列し、フレネル光学素子の後段側に第一の光拡散手段を、第二の基盤の後段側に第二の光拡散手段を設けた透過型スクリーンを用い、第一の光拡散手段より出射される画像光か、または、第二の光拡散手段から出射される画像光のうち、少なくともいずれか一方の画像光を、投写画素の大きさの範囲内でぼかすようにしたので、スペックルによる画像劣化を低減しつつ、色温度が高く、解像力が高い画像表示を行うことができる。
実施の形態2.
図12は、実施の形態2の透過型スクリーン10aを示す構成図である。
実施の形態1ではレンズ要素31は台形状レンズ37と光吸収部38と第四の基盤39と補助レンズ40から構成されていたが、図12に示すように、楕円状レンズ44とそれを保持する第四の基盤39、および光吸収部45から構成されていてもよく、これを実施の形態2として説明する。尚、これ以外の構成は、図1に示した実施の形態1の構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
実施の形態2では、光吸収部45は大気との屈折率差(Δn〜0.5程度)を利用して、フレネルレンズスクリーン20からの画像光の吸収は少なく(光吸収部45を通る光路長を短く)、外光は多く吸収する(光吸収部45を通る光路長を長くする)。このように構成すると、レンズ要素31aの構成が単純になるため、歩留まりなどの改善に効果がある。
実施の形態3.
図13は、実施の形態2の透過型スクリーン10bを示す構成図である。
実施の形態1では、フレネルレンズスクリーン20と像表示要素30とが間隔を空けて配置されていたが、図13に示すように第三の接着層46にて各々を貼合してもよく、これを実施の形態3として説明する。尚、これ以外の構成は、図1に示した実施の形態1の構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。また、この場合、実施の形態1に用いられていた補助レンズ40を取り除いてもよく、図示例はこの形態を示している。
このように、実施の形態3では、フレネルレンズスクリーン20と像表示要素30とを第三の接着層46にて貼合した構成としたので、フレネルレンズスクリーン20と像表示要素30の合計の厚みが、各々単体よりも当然ながら増加するため、たわみにくくなるという効果がある。
実施の形態4.
図14は、実施の形態4の投写型表示装置を示す構成図である。
実施の形態1の例では、フレネル光学素子のフレネルプリズム周期が、光の波長λの>50倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあるようにした。これにより、画像の劣化として認識されずにぎらつきを低減することができるが、像表示要素30側でもレンズ要素のレンズ周期を最適な値とすることにより更に大きな効果を得ることができる。即ち、実施の形態4は、フレネル光学素子のフレネルプリズム周期が、光の波長λの>50倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあり、かつ、レンズ要素のレンズ周期が、光の波長λの>10倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあるようにしたものである。ここで、レンズ要素は、周期性を持つレンズ要素であれば、実施の形態1で説明した台形状レンズ37を有するレンズ要素31、または実施の形態2で説明した楕円状レンズ44を有するレンズ要素31aのいずれであっても良い。また、第二の光拡散部33の微粒子は実施の形態1に準ずると更に良いことは言うまでもないが、ここでは微粒子については特定しない。尚、図14において、その他の構成は実施の形態1〜3のいずれかと同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
先ず、レンズ要素31(31a)の周期構造に注目する。レンズ要素31(31a)の周期が小さいものはいずれの測定も、周期の大きいものよりスペックルコントラストが小さいことが実験的に示されている。図15は周期とスペックルコントラストとの関係を示す図であり、図中、□で示す値は、実際に試作したおよそ20λ、55λ、95λ、150λ(但しλは可視光の代表波長(530nm)とする)の特徴的な長さの構造物(それぞれ相似形状の三角プリズム)を並べたものにマット表面の拡散板を組み合わせてコヒーレント光で照明した時のスペックルコントラストの実測値である。また、図中、+で示す値は、同様に10λ、85λ、255λの構造物とする。図中の□は、構造物の周期に対する高さの比が25:2で、以下、これを実験例1とする。また、図中の+は、構造物の周期に対する高さの比が9:2で、以下、これを実験例2とする。
図15において、□、+ともに基本的に特徴的な長さが小さい方がスペックルコントラストが小さくなっていることが分かる。しかし、図中の+のように、10λまで小さくすると、波動的な特性の0次回折光が多くなるため、光波の方向が揃ったまま突き抜ける光が多くなるため、コヒーレンスが高くなりスペックルコントラストが大きくなる。
光の回折現象では、構造物の周期は回折の方向、構造物の高さは効率(反射率、または透過率)に影響する。構造物の高さが0の極限では構造物が無いのと等価になるため、構造物による光の回折は生じない。ここで、実験例1(図の□)は実験例2(図の+)に比べ相対的に構造物の高さが小さいので、回折の効率も相対的に小さいと考えられる。つまり実験例1(図の□)は実験例2(図の+)に比べて波動的な影響を受けにくいため、波動的な特性の0次回折光、これは光波の方向が揃ったまま突き抜ける光、の発生が相対的に少なくなることから、コヒーレンスが高くならず、周期が20λまで小さくてもスペックルコントラストが小さくなっていると考えられる。
以上をまとめると、レンズ要素31(31a)の周期が小さい方が周期の大きいものよりスペックルコントラストが小さいことが実験的に示されるが、スペックルコントラストが最小になる周期は構造物のアスペクト比に依存し、波動的な影響があっても小さい範囲、少なくとも10λより大きい必要がある。つまり投写画素の<1/10より小さく、10λより大きい範囲とするのが良い。
次に、フレネル光学素子のフレネルプリズム周期と、レンズ要素31(31a)の周期構造の組み合わせについて注目する。
図16は、レンズ要素の周期毎のフレネルプリズム周期とスペックルコントラストとの関係を示す図である。図中の実験4、5、6は、実際に試作したおよそ105λ、210λ、290λ周期の入光面部分全反射式フレネルレンズ24を像表示要素30と組み合わせて、部分コヒーレント光で照明した時のスペックルコントラストを測定したものである。実験4、5,6は同じ試作品を露光条件を変えて測定したものである。図の横軸はフレネル光学素子のフレネルプリズム周期(入光面部分全反射式フレネルレンズ24の周期)、縦軸はスペックルコントラストとする。組み合わせたレンズ要素として、レンズ要素31(31a)の周期(およそ122λ)が相対的に大きいものを■、レンズ要素31(31a)の周期(およそ85λ)が相対的に小さいものを□とする。図からフレネル光学素子のフレネルプリズム周期が小さいとスペックルコントラストが小さく、またレンズ要素31(31a)の周期の周期が小さいとスペックルコントラストが小さくなることが分かる。
即ち、フレネル光学素子のフレネルプリズム周期による効果と、レンズ要素31(31a)の周期構造による効果は、これらを組み合わせると更に効果を発揮する。実施の形態1では、フレネル光学素子のフレネルプリズム周期が、光の波長λの>50倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあるようにしているが、実施の形態4では、更に、レンズ要素31(31a)の周期を10λより大きく、かつ投写画素の<1/10より小さくしているので、よりスペックルコントラストが小さくなり、更にぎらつきを低減することが可能となる。
図17は、図14で示した投写型表示装置において、プロジェクタ50と透過型スクリーン10との間の光路に反射鏡100を配置した例であり、この反射鏡100は、透過型スクリーン10と略平行方向に配置されている。その他の構成は図14と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、図18は、同様に透過型スクリーン10に対して略垂直方向に反射鏡101を配置したものである。図18においても、その他の構成は図14と同様である。これら図17,18に示す構成において、透過型スクリーン10に入射される画像光は、それぞれの図中に破線で示した反射鏡100(101)が無い場合のプロジェクタ50から画像光と同等である。
更に、図17および図18の構成において、反射鏡100,101を光路中に複数設けてもよい。
また、図17および図18の構成において、透過型スクリーン10の構成は、実施の形態3で示したものであっても同様に適用可能である。
以上のように、実施の形態4の透過型スクリーンによれば、フレネル光学素子のフレネルプリズム周期が、代表的な光の波長λの>50倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあり、更に、レンズ要素のレンズ周期が、光の波長λの>10倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあるようにしたので、よりスペックルコントラストが小さくなり、更にぎらつきを低減することが可能となる。
1 観測者、2 画像光、3 波面、10、10a,10b 透過型スクリーン、20 フレネルレンズスクリーン、21 出光面側屈折式フレネルレンズ、22 混合式フレネルレンズ、23 入光面側全反射式フレネルレンズ、24 入光面部分全反射式フレネルレンズ、25 第一の基盤、26 第一の光拡散部、27 フレネルプリズム周期、30,30a 像表示要素、31,31a レンズ要素、32 第二の基盤、33 第二の光拡散部、34 表面処理部、35 第三の基盤、36 第一の接着層、37 台形状レンズ、38,45 光吸収部、39 第四の基盤、40 補助レンズ、41 第二の接着層、42 第一の微粒子、43 第二の微粒子、44 楕円状レンズ、46 第三の接着層、50 プロジェクタ、51 光源 52 照明光学系、53 ライトバルブ、54 投写光学系、60 確率密度分布関数、61 スペックルコントラスト、100,101 反射鏡。

Claims (7)

  1. 発光体側から見て入光面側にプリズムが形成されたフレネル光学素子と、当該フレネル光学素子を保持する第一の基盤と、前記発光体から照射される画像光に発散角度を与えて拡げるレンズ要素を保持する第二の基盤とを順に配列した透過型スクリーンにおいて、
    前記フレネル光学素子の後段側に第一の光拡散手段を、前記第二の基盤の後段側に第二の光拡散手段を設けると共に、前記第一の光拡散手段と前記第二の光拡散手段とは所定の間隔を有することを特徴とする透過型スクリーン。
  2. 第二の光拡散手段は、少なくとも媒質との屈折率差Δnが、Δn<0.03の粒径の異なる二種類の微粒子を分散して備え、当該二種類の微粒子のうち、第一の微粒子の粒径が代表的な光の波長の10〜20倍の範囲にあり、かつ、第二の微粒子の粒径が代表的な光の波長の50〜100倍の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の透過型スクリーン。
  3. フレネル光学素子は、発光体から照射される光線を屈折させる屈折面と、当該屈折面で屈折された光線を反射する反射面とを有するフレネルプリズムが鋸歯状に複数配置され、手前のフレネルプリズムに遮断されて上記発光体からの光線が直接照射されない非入射面が、複数のフレネルプリズムが配置されている基盤面と略平行に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の透過型スクリーン。
  4. フレネル光学素子のフレネルプリズム周期が、代表的な光の波長λの>50倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあることを特徴とする請求項3記載の透過型スクリーン。
  5. レンズ要素のレンズ周期が、光の波長λの>10倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあることを特徴とする請求項4記載の透過型スクリーン。
  6. 請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の透過型スクリーンと、当該透過型スクリーンに画像光を照射する発光体とを備えた投写型表示装置。
  7. 発光体側から見て入光面側にプリズムが形成されたフレネル光学素子と、当該フレネル光学素子を保持する第一の基盤と、前記発光体から照射される画像光に発散角度を与えて拡げるレンズ要素を保持する第二の基盤とを順に配列し、前記フレネル光学素子の後段側に第一の光拡散手段を、前記第二の基盤の後段側に第二の光拡散手段を設けた透過型スクリーンを用い、
    前記第一の光拡散手段より出射される画像光か、または、前記第二の光拡散手段から出射される画像光のうち、少なくともいずれか一方の画像光を、投写画素の大きさの範囲内でぼかすことを特徴とする画像表示方法。
JP2009159578A 2008-08-08 2009-07-06 透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法 Expired - Fee Related JP5312234B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009159578A JP5312234B2 (ja) 2008-08-08 2009-07-06 透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法
US12/609,923 US8035894B2 (en) 2009-01-26 2009-10-30 Transparent screen, projection display device, and image display method

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008205850 2008-08-08
JP2008205850 2008-08-08
JP2009159578A JP5312234B2 (ja) 2008-08-08 2009-07-06 透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010061112A true JP2010061112A (ja) 2010-03-18
JP5312234B2 JP5312234B2 (ja) 2013-10-09

Family

ID=42187920

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009159578A Expired - Fee Related JP5312234B2 (ja) 2008-08-08 2009-07-06 透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5312234B2 (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011232459A (ja) * 2010-04-26 2011-11-17 Mitsubishi Electric Corp 透過型スクリーン、透過型スクリーンの画像表示方法、および投写型表示装置
WO2013046858A1 (ja) * 2011-09-27 2013-04-04 日本電気株式会社 スクリーン
JP2013083750A (ja) * 2011-10-07 2013-05-09 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーン、背面投射型表示装置
WO2013154133A1 (ja) * 2012-04-13 2013-10-17 シャープ株式会社 光散乱体、光散乱体膜、光散乱体基板、光散乱体デバイス、発光デバイス、表示装置、および照明装置
JP2014115343A (ja) * 2012-12-06 2014-06-26 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーン、背面投射型表示装置
WO2015016127A1 (ja) * 2013-07-30 2015-02-05 シャープ株式会社 光拡散部材及びその製造方法、並びに表示装置
JP2016061906A (ja) * 2014-09-17 2016-04-25 大日本印刷株式会社 透過型スクリーン、表示装置および透過型スクリーンの製造方法
JP2018025620A (ja) * 2016-08-09 2018-02-15 大日本印刷株式会社 透過型スクリーン、映像表示装置
CN114660882A (zh) * 2020-12-22 2022-06-24 宁波激智科技股份有限公司 一种解散斑激光电视屏幕及其制备方法
CN114740683A (zh) * 2022-03-30 2022-07-12 中国计量大学 一种抑制激光散斑的投影屏幕

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11102024A (ja) * 1997-09-29 1999-04-13 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーン
JP2003050302A (ja) * 2001-08-06 2003-02-21 Toppan Printing Co Ltd レンチキュラーレンズシートおよびそれを用いた透過型スクリーン
JP2006208588A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Dainippon Printing Co Ltd プリズムシート、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置
JP2006301430A (ja) * 2005-04-22 2006-11-02 Mitsubishi Electric Corp 透過型スクリーン及び投写型表示装置
JP2007025178A (ja) * 2005-07-15 2007-02-01 Toppan Printing Co Ltd 透過型スクリーンおよび背面投射型ディスプレイ装置
JP2007323049A (ja) * 2006-05-02 2007-12-13 Toppan Printing Co Ltd 透過型スクリーン
JP2008032846A (ja) * 2006-07-26 2008-02-14 Dainippon Printing Co Ltd 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置
JP2008281910A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 Toppan Printing Co Ltd 透過型スクリーン及び背面投射型表示装置

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11102024A (ja) * 1997-09-29 1999-04-13 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーン
JP2003050302A (ja) * 2001-08-06 2003-02-21 Toppan Printing Co Ltd レンチキュラーレンズシートおよびそれを用いた透過型スクリーン
JP2006208588A (ja) * 2005-01-26 2006-08-10 Dainippon Printing Co Ltd プリズムシート、透過型スクリーン及び背面投射型表示装置
JP2006301430A (ja) * 2005-04-22 2006-11-02 Mitsubishi Electric Corp 透過型スクリーン及び投写型表示装置
JP2007025178A (ja) * 2005-07-15 2007-02-01 Toppan Printing Co Ltd 透過型スクリーンおよび背面投射型ディスプレイ装置
JP2007323049A (ja) * 2006-05-02 2007-12-13 Toppan Printing Co Ltd 透過型スクリーン
JP2008032846A (ja) * 2006-07-26 2008-02-14 Dainippon Printing Co Ltd 光学シート、透過型スクリーンおよび背面投射型表示装置
JP2008281910A (ja) * 2007-05-14 2008-11-20 Toppan Printing Co Ltd 透過型スクリーン及び背面投射型表示装置

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011232459A (ja) * 2010-04-26 2011-11-17 Mitsubishi Electric Corp 透過型スクリーン、透過型スクリーンの画像表示方法、および投写型表示装置
JPWO2013046858A1 (ja) * 2011-09-27 2015-03-26 日本電気株式会社 スクリーン
WO2013046858A1 (ja) * 2011-09-27 2013-04-04 日本電気株式会社 スクリーン
US9013791B2 (en) 2011-09-27 2015-04-21 Nec Corporation Screen
JP2013083750A (ja) * 2011-10-07 2013-05-09 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーン、背面投射型表示装置
WO2013154133A1 (ja) * 2012-04-13 2013-10-17 シャープ株式会社 光散乱体、光散乱体膜、光散乱体基板、光散乱体デバイス、発光デバイス、表示装置、および照明装置
JP2014115343A (ja) * 2012-12-06 2014-06-26 Dainippon Printing Co Ltd 透過型スクリーン、背面投射型表示装置
WO2015016127A1 (ja) * 2013-07-30 2015-02-05 シャープ株式会社 光拡散部材及びその製造方法、並びに表示装置
US9846326B2 (en) 2013-07-30 2017-12-19 Sharp Kabushiki Kaisha Light diffusion member, method for manufacturing same, and display device
JP2016061906A (ja) * 2014-09-17 2016-04-25 大日本印刷株式会社 透過型スクリーン、表示装置および透過型スクリーンの製造方法
JP2018025620A (ja) * 2016-08-09 2018-02-15 大日本印刷株式会社 透過型スクリーン、映像表示装置
CN114660882A (zh) * 2020-12-22 2022-06-24 宁波激智科技股份有限公司 一种解散斑激光电视屏幕及其制备方法
CN114660882B (zh) * 2020-12-22 2024-03-19 宁波激智科技股份有限公司 一种解散斑激光电视屏幕及其制备方法
CN114740683A (zh) * 2022-03-30 2022-07-12 中国计量大学 一种抑制激光散斑的投影屏幕
CN114740683B (zh) * 2022-03-30 2024-01-12 中国计量大学 一种抑制激光散斑的投影屏幕

Also Published As

Publication number Publication date
JP5312234B2 (ja) 2013-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5312234B2 (ja) 透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法
US8035894B2 (en) Transparent screen, projection display device, and image display method
US7453635B2 (en) Imaging material with improved contrast
US7605978B2 (en) Transparent screen and projection display unit
JP2008506154A (ja) 全反射フレネルレンズおよび装置
JPWO2004049059A1 (ja) 透過型スクリーンおよび投写型表示装置
JP5388938B2 (ja) 透過型スクリーン、透過型スクリーンの画像表示方法、および投写型表示装置
JP2010008895A (ja) 光学部材および表示装置
JP2005292679A (ja) マイクロミラースクリーン
JP5027323B2 (ja) スクリーン及び画像投影システム
US8274736B2 (en) Transmission-type screen, projection-type display device, and image displaying method
JP2005300907A (ja) スクリーン及びこれを用いた画像投影システム
JP2010102308A (ja) 投影スクリーン
JPWO2018181966A1 (ja) 光学シート、光制御部材、面光源装置、映像源ユニット、及び表示装置
JPH11338056A (ja) 映像表示装置
JP2004110002A (ja) 透過型スクリーン用の拡散シート及び透過型スクリーン
JP4149493B2 (ja) フレネル光学素子、表示スクリーン及び投写型表示装置
JP5048160B2 (ja) 透過型スクリーン及び投写型表示装置
JP2005195740A (ja) 光偏向器および背面投射スクリーン
WO2006020583A2 (en) Imaging material with improved contrast
JP4978436B2 (ja) スクリーン及び投射システム
JP5343490B2 (ja) プリズムシート、透過型スクリーン、背面投射型表示装置
JP4590729B2 (ja) 軸外し異方性光散乱フィルムとそれを用いた表示装置
JP3731414B2 (ja) 軸外し異方性光散乱フィルムとそれを用いた表示装置
JP4954296B2 (ja) 透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130315

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130702

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5312234

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees