JP2010061112A - 透過型スクリーン、投写型表示装置および画像表示方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フレネルレンズスクリーン20は、入光面部分全反射式フレネルレンズ24と、その後段側に設けられた第一の光拡散部26と第一の基盤25とからなる。フレネルレンズスクリーン20の後段側に設けられた像表示要素30は、レンズ要素31と第二の基盤32と第三の基盤35とを有する。第二の基盤32の後段側には第二の光拡散部33が設けられている。第二の光拡散部33は、粒径の異なる二種類の微粒子を分散して備えている。
【選択図】図1
Description
図1は、この発明の実施の形態1による透過型スクリーンを示す構成図である。
図において、透過型スクリーン10は、画像光(図示せず)を観測者1側に曲げるフレネルレンズスクリーン20と、フレネルレンズスクリーン20からの画像光の像を結像させると共に画像光に発散角度を与えて広げる像表示要素30を備えている。
透過型スクリーン10は、観測者1からスクリーンを見て、その背面側に光源や投写光学系等を有する構造である。図2にその構成を簡単に示す。
図2に示すように、光源や照明光学系、ライトバルブ、投写光学系(いずれも図示せず)からなるプロジェクタ(発光体)50からの画像光を観測者1の方向へ曲げる機能を持つフレネルレンズスクリーン20は、一般によく使われている観測者側(出光面側)にレンズが形成された出光面側屈折式フレネルレンズ21や、観測者の反対の光源側(入光面側)にレンズが形成された混合式フレネルレンズ22、入光面側全反射式フレネルレンズ23、入光面部分全反射式フレネルレンズ24などのフレネル光学素子が用いられる。
光源51、照明光学系52、ライトバルブ53、投写光学系54等からなるプロジェクタ50が、透過型スクリーン10に画像光2を投影する。スクリーンの高さをHとすると、標準的な観測距離は高さの3倍となる。観測者1の視力を例として1.0、高さを例としてH=1.0mとすると、観測者の分解能は約1mmとなる。投写画素の大きさ1mmは画面の高さ1mの1/1000倍であり、いわゆるHDTV(High Definition Television)の有効走査線数1080本もこれに準じている。本実施の形態1では、画面高さとして0.8m<H<1.1mを想定しているため、0.7mm<画素サイズ<1.0mmとする。尚、図3に示すように、透過型スクリーン10とプロジェクタ50とによって投写型表示装置が構成されている。また、図3中、フレネルプリズム周期27は、鋸歯状に複数配置されたフレネルプリズムの周期であり、波面3は、フレネルレンズスクリーン20から出射される画像光2の波面を示している。
散乱問題は図4に示すように、微粒子に入射波を当てると、(吸収体がない限りエネルギー保存則より)その透過波と散乱(反射)波が発生する。このときの散乱波(図4では球面波近似で例示している)の振幅を散乱振幅と呼び、この振幅の角度特性から微分散乱断面積が求められる。これを全立体角で積分したものが散乱断面積で、当然のことながら前方散乱の位相のずれと相関がある(光学定理)。この散乱断面積は古典的な散乱問題の場合はπa2(但し微粒子の半径をaとする)で表される。
実験事実より、10λでは波長依存性が大きく、特に長波長(赤色)の透過率(つまり突き抜け)が大きいことがわかる。もちろん突き抜け成分を減らしたい場合は微粒子の充填率を増やせば良くなるが、全体的に拡散が強くなってしまう弊害があることは言うまでもない。つまり色味の良い拡散層を作る粒径の下限として10λを使うと良い。他方、>85λでは色味の変化が小さいことが示される。粒径の上限としては、微粒子が大きいと、上記微粒子の特徴長さと散乱との関係で説明したように、幾何学的な振る舞いが大きくなる(>100λ)ため、粒の影ができたり、粒が目で認識されたりする不具合があり、そのため、〜85λの範囲の微粒子を使うと良い。従って、光を適度に拡散させるのに適した第一の微粒子42として、その下限の近傍10〜20λ(約5−11μm)の範囲、色味を保つのに適した第二の微粒子43として、その上限の近傍50〜100λ(約27−53μm)の範囲とするとよい。
先ず、ぎらつきの定量評価の指標について説明し、次に実測値について説明する。ぎらつきの指標にスペックルコントラストがよく使われる。スペックルコントラストは平均輝度に対する標準偏差の比で定義される量で、輝度の明暗のばらつき(即ち、ぎらつき)が大きいほど値が大きくなる。これは平均輝度で規格化した確率密度分布関数からも求めることができる。図6は確率密度分布関数60の実測値の例で、横軸に平均輝度で規格化した輝度(つまり1が平均輝度となる)、縦軸に確率密度をとる。確率密度分布はその定義より、密度を積分すると全確率、すなわち1となる。スペックルコントラスト61は定義より、この確率密度分布の広がりとなる。図7はスペックルコントラストσ=0.707、0.500、0.316、0.224、0.100の計算例で、分布関数の広がりが狭いほど、スペックルコントラストσが小さくなることがわかる。
図8の実験3は、実際に試作した10λ、85λ、255λ(但しλは可視光の代表波長(530nm)とする)の特徴的な長さの構造物(それぞれ相似形状の三角プリズム)を並べたものを部分コヒーレント(Partial Coherent)光で照明した時のスペックルコントラストの実測値である。基本的に特徴的な長さが小さい方がスペックルコントラストも小さくなるが、特徴的な長さを10λまで小さくすると反対にスペックルコントラストが大きくなる結果を得ている。これは特徴的な長さを10λまで小さくすると衝突断面積が小さくなる、もしくは波動的な特性の0次回折光が多くなるため、光波の方向が揃ったまま突き抜ける光が多くなり、結果照明光のコヒーレンスが高くなることで説明できる。もちろん、既に、説明したように、充填率を増やすことで回避もできるが、色味の劣化や、拡散が強くなって暗くなるような不具合も発生してしまう。そこで突き抜けしやすいが散乱すると良く広がる第一の微粒子と、色味がよく突き抜けしにくい第二の微粒子を、上述したように、それぞれ10〜20λ(約5−11μm)の範囲、50〜100λ(約27−53μm)の範囲として混合させるとよい。
図9は、入光面部分全反射式フレネルレンズ24の拡大図で、斜線部が信号光束の光路である。最良の形態である入光面部分全反射式フレネルレンズ24は、観測者1から見て背面側(光源側)にフレネルレンズが形成されている。即ち、この入光面部分全反射式フレネルレンズ24は、発光体から照射される光線を屈折させる屈折面と、この屈折面で屈折された光線を反射する反射面とを有するフレネルプリズムが鋸歯状に複数配置され、手前のフレネルプリズムに遮断されて発光体からの光線が直接照射されない非入射面が、複数のフレネルプリズムが配置されている基盤面と略平行に形成されているフレネル光学素子である。
図10は、従来の出光面側屈折式フレネルレンズ21、図11は入光面側全反射式フレネルレンズ23の拡大図であり、斜線部が信号光束の光路である。また、図9は、上述したように、入光面部分全反射式フレネルレンズ24の拡大図である。従来の出光面側屈折式フレネルレンズ21は、観測者1の方にフレネルレンズが形成されている。スクリーンに対して観測者1の反対側から連続的な光束A−B−Cが入射してきたとすると、フレネルレンズで観測者方向に曲げられて出光することになる。この時、光束はA−BとB−Cに分割される。他方、入光面側全反射式フレネルレンズ23と入光面部分全反射式フレネルレンズ24では光束A−B−Cは光束B−AとC−Bに分割されることになる。つまり光束が入光面側フレネルレンズ内部で上下反転し、波面の位相が不連続に分割される。図11と図9を見て分かるように、入光面側全反射式フレネルレンズ23と入光面部分全反射式フレネルレンズ24の機能はフレネルレンズによるコヒーレンスの低減について同等であるが、入光面部分全反射式フレネルレンズ24の方が製造性、迷光などの点で優れているため、最良の形態として入光面部分全反射式フレネルレンズ24を採用している。このように入光面側全反射式フレネルレンズ23、および入光面部分全反射式フレネルレンズ24を採用することで、フレネルレンズ内部で光束が上下反転し、波面の位相が不連続に分割されることで、間接的に空間的コヒーレンスを低減することができるようになる。
図12は、実施の形態2の透過型スクリーン10aを示す構成図である。
実施の形態1ではレンズ要素31は台形状レンズ37と光吸収部38と第四の基盤39と補助レンズ40から構成されていたが、図12に示すように、楕円状レンズ44とそれを保持する第四の基盤39、および光吸収部45から構成されていてもよく、これを実施の形態2として説明する。尚、これ以外の構成は、図1に示した実施の形態1の構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
実施の形態2では、光吸収部45は大気との屈折率差(Δn〜0.5程度)を利用して、フレネルレンズスクリーン20からの画像光の吸収は少なく(光吸収部45を通る光路長を短く)、外光は多く吸収する(光吸収部45を通る光路長を長くする)。このように構成すると、レンズ要素31aの構成が単純になるため、歩留まりなどの改善に効果がある。
図13は、実施の形態2の透過型スクリーン10bを示す構成図である。
実施の形態1では、フレネルレンズスクリーン20と像表示要素30とが間隔を空けて配置されていたが、図13に示すように第三の接着層46にて各々を貼合してもよく、これを実施の形態3として説明する。尚、これ以外の構成は、図1に示した実施の形態1の構成と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。また、この場合、実施の形態1に用いられていた補助レンズ40を取り除いてもよく、図示例はこの形態を示している。
このように、実施の形態3では、フレネルレンズスクリーン20と像表示要素30とを第三の接着層46にて貼合した構成としたので、フレネルレンズスクリーン20と像表示要素30の合計の厚みが、各々単体よりも当然ながら増加するため、たわみにくくなるという効果がある。
図14は、実施の形態4の投写型表示装置を示す構成図である。
実施の形態1の例では、フレネル光学素子のフレネルプリズム周期が、光の波長λの>50倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあるようにした。これにより、画像の劣化として認識されずにぎらつきを低減することができるが、像表示要素30側でもレンズ要素のレンズ周期を最適な値とすることにより更に大きな効果を得ることができる。即ち、実施の形態4は、フレネル光学素子のフレネルプリズム周期が、光の波長λの>50倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあり、かつ、レンズ要素のレンズ周期が、光の波長λの>10倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあるようにしたものである。ここで、レンズ要素は、周期性を持つレンズ要素であれば、実施の形態1で説明した台形状レンズ37を有するレンズ要素31、または実施の形態2で説明した楕円状レンズ44を有するレンズ要素31aのいずれであっても良い。また、第二の光拡散部33の微粒子は実施の形態1に準ずると更に良いことは言うまでもないが、ここでは微粒子については特定しない。尚、図14において、その他の構成は実施の形態1〜3のいずれかと同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
光の回折現象では、構造物の周期は回折の方向、構造物の高さは効率(反射率、または透過率)に影響する。構造物の高さが0の極限では構造物が無いのと等価になるため、構造物による光の回折は生じない。ここで、実験例1(図の□)は実験例2(図の+)に比べ相対的に構造物の高さが小さいので、回折の効率も相対的に小さいと考えられる。つまり実験例1(図の□)は実験例2(図の+)に比べて波動的な影響を受けにくいため、波動的な特性の0次回折光、これは光波の方向が揃ったまま突き抜ける光、の発生が相対的に少なくなることから、コヒーレンスが高くならず、周期が20λまで小さくてもスペックルコントラストが小さくなっていると考えられる。
図16は、レンズ要素の周期毎のフレネルプリズム周期とスペックルコントラストとの関係を示す図である。図中の実験4、5、6は、実際に試作したおよそ105λ、210λ、290λ周期の入光面部分全反射式フレネルレンズ24を像表示要素30と組み合わせて、部分コヒーレント光で照明した時のスペックルコントラストを測定したものである。実験4、5,6は同じ試作品を露光条件を変えて測定したものである。図の横軸はフレネル光学素子のフレネルプリズム周期(入光面部分全反射式フレネルレンズ24の周期)、縦軸はスペックルコントラストとする。組み合わせたレンズ要素として、レンズ要素31(31a)の周期(およそ122λ)が相対的に大きいものを■、レンズ要素31(31a)の周期(およそ85λ)が相対的に小さいものを□とする。図からフレネル光学素子のフレネルプリズム周期が小さいとスペックルコントラストが小さく、またレンズ要素31(31a)の周期の周期が小さいとスペックルコントラストが小さくなることが分かる。
また、図18は、同様に透過型スクリーン10に対して略垂直方向に反射鏡101を配置したものである。図18においても、その他の構成は図14と同様である。これら図17,18に示す構成において、透過型スクリーン10に入射される画像光は、それぞれの図中に破線で示した反射鏡100(101)が無い場合のプロジェクタ50から画像光と同等である。
更に、図17および図18の構成において、反射鏡100,101を光路中に複数設けてもよい。
また、図17および図18の構成において、透過型スクリーン10の構成は、実施の形態3で示したものであっても同様に適用可能である。
Claims (7)
- 発光体側から見て入光面側にプリズムが形成されたフレネル光学素子と、当該フレネル光学素子を保持する第一の基盤と、前記発光体から照射される画像光に発散角度を与えて拡げるレンズ要素を保持する第二の基盤とを順に配列した透過型スクリーンにおいて、
前記フレネル光学素子の後段側に第一の光拡散手段を、前記第二の基盤の後段側に第二の光拡散手段を設けると共に、前記第一の光拡散手段と前記第二の光拡散手段とは所定の間隔を有することを特徴とする透過型スクリーン。 - 第二の光拡散手段は、少なくとも媒質との屈折率差Δnが、Δn<0.03の粒径の異なる二種類の微粒子を分散して備え、当該二種類の微粒子のうち、第一の微粒子の粒径が代表的な光の波長の10〜20倍の範囲にあり、かつ、第二の微粒子の粒径が代表的な光の波長の50〜100倍の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の透過型スクリーン。
- フレネル光学素子は、発光体から照射される光線を屈折させる屈折面と、当該屈折面で屈折された光線を反射する反射面とを有するフレネルプリズムが鋸歯状に複数配置され、手前のフレネルプリズムに遮断されて上記発光体からの光線が直接照射されない非入射面が、複数のフレネルプリズムが配置されている基盤面と略平行に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の透過型スクリーン。
- フレネル光学素子のフレネルプリズム周期が、代表的な光の波長λの>50倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあることを特徴とする請求項3記載の透過型スクリーン。
- レンズ要素のレンズ周期が、光の波長λの>10倍で、かつ投写画素の<1/10の範囲にあることを特徴とする請求項4記載の透過型スクリーン。
- 請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載の透過型スクリーンと、当該透過型スクリーンに画像光を照射する発光体とを備えた投写型表示装置。
- 発光体側から見て入光面側にプリズムが形成されたフレネル光学素子と、当該フレネル光学素子を保持する第一の基盤と、前記発光体から照射される画像光に発散角度を与えて拡げるレンズ要素を保持する第二の基盤とを順に配列し、前記フレネル光学素子の後段側に第一の光拡散手段を、前記第二の基盤の後段側に第二の光拡散手段を設けた透過型スクリーンを用い、
前記第一の光拡散手段より出射される画像光か、または、前記第二の光拡散手段から出射される画像光のうち、少なくともいずれか一方の画像光を、投写画素の大きさの範囲内でぼかすことを特徴とする画像表示方法。
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