JP4590729B2 - 軸外し異方性光散乱フィルムとそれを用いた表示装置 - Google Patents

軸外し異方性光散乱フィルムとそれを用いた表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光の入射角度に応じて散乱性が異なる(あるいは、入射角度選択性を持つ)特性、すなわち「異方性」を有し、特に、入射光の入射角度とは光軸の中心が異なる方向へ強い光散乱を生じるような「軸外し」の光散乱特性、および光散乱特性に指向性を持つ光散乱フィルムと、それを適用して表示画像の視認性(明るさやコントラストなど)を向上したり、消費電力を軽減することが実現される表示装置に関する。
【0002】
上記の表示装置としては、バックライトやエッジライトなどの特殊光源を必要とせず、周辺光(日光や室内照明光など)からの反射光を表示光とするタイプの「反射型液晶表示装置」や、表示装置に内蔵される前記の特殊光源を擁するタイプの「透過型液晶表示装置」や、または、その双方を兼ねるタイプである「反射/透過型液晶表示装置(半透過型液晶表示装置とも言う)」が代表される。
以後、本明細書では、液晶表示装置について中心に説明するが、本発明の適用は、それに限らず、プラズマ・ディスプレイ(PDP)やエレクトロ・ルミネセンス(EL)などの、画素が自己発光するタイプの表示装置や、CRT方式のテレビ画面にも、本発明が適用されることは言うまでもない。
【0003】
なお、本発明において、「散乱」という用語と「拡散」という用語を光に関して使用する場合、これらは同義である。
また、「フィルム」という用語と「シート」という用語も、本発明では同義語として使用される。
【0004】
【従来の技術】
液晶表示装置では、観察の際の視野角を確保する(すなわち、表示装置の前面には、明るく表示画像を見せる)ことや、表示画面の全面に渡って均一な明るさで表示画像を見えるようにする目的で、装置の前面に光散乱フィルムを配置することが行なわれている。
従来の光散乱フィルムとしては、表面をマット状に加工した樹脂フィルムや、内部に拡散材を包含した樹脂フィルムなどが用いられている。
【0005】
しかし、上記のフィルムの場合、入射光の入射角度に依存した散乱性の変化といった機能(以後、散乱異方性と称する)を持たせることは原理上困難であり、現実にそのような機能は持ちあわせていないため、表示装置に使用した際に不要な散乱光が生じ、表示の明るさやコントラストの低下、あるいは表示画像のぼけを招くという問題点がある。
【0006】
表面をマット状に加工した光散乱フィルムの場合、フィルム表面をサンドブラスター処理のように物理的に加工してマット面を形成したり、あるいは、酸性またはアルカリ性の溶液による溶解処理により化学的にマット面を形成する。
マット面(凹凸の形状など)の制御により、散乱光の出射範囲/方向(以後、散乱指向性と称する)を制御することは可能であるが、散乱異方性までも制御することは、原理的に困難である。
【0007】
また、内部に拡散材を包含した光散乱フィルムにおいても、散乱異方性を制御するために、拡散材の屈折率,大きさ,形状などを制御する試みも為されているが、技術的に難易度が高く、実用上十分であるとは言えないのが現状である。
【0008】
特に、上記のフィルムでは、散乱異方性や軸外しの光散乱特性がなく、光散乱の指向性が小さく、表示装置に適用しても、表示装置の最表面からの照り返しによる方向(正反射方向)や、表示画像の観察に不適切な方向に、不要な散乱光を生じ、表示の明るさやコントラストの低下、あるいは表示画像のぼけを招くという問題点がある。
【0009】
一方、後方散乱特性がほとんどなく前方散乱特性が強い(周辺光が表示装置へ入射する際にのみ光散乱を生じ、装置から表示光が出射する際には光散乱を生じない)という散乱異方性を持つ散乱板を用いた反射型液晶表示装置に関する特許出願が、特開平8−201802号公報に示されている。
【0010】
上記公報に記載された発明では、散乱板の構成は具体的に説明されておらず、「透明微細粒子を透明な重合性高分子で固めたもの」とだけ記載されている。
このような散乱板では、上述した「内部に拡散材を包含した光散乱フィルム」と同様に、散乱異方性(前方か後方か)を制御できたとしても、散乱指向性までも制御するのは困難である。
【0011】
また、散乱板としてホログラムを用いた透過型液晶表示装置に係る特許出願が、特開平9−152602号公報に示されている。
上記出願は、バックライトを有する液晶表示装置からの出射表示光を散乱させるものであり、散乱板としてホログラムを採用しているため、散乱異方性や散乱指向性を制御することも容易ではあるが、必然的に分光(波長分散)を伴ってしまうため、観察する視点を移動するに応じて、表示光の色が変化して視覚されることになる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記出願に係る各種の公知技術では、散乱異方性と散乱指向性の双方の光散乱性を備えると共に、観察位置によって表示光の色が変化しない光散乱シートに係る報告はされていない。
【0013】
本発明は、散乱異方性(前方か後方か、および入射角度の選択性)を持たせ、散乱指向性(縦横の散乱範囲・方向)までも制御することが容易であると共に、観察位置によって表示光の色が変化しない特性の光散乱フィルムとそれを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【0014】
特に、上記光散乱フィルムに「軸外し」の光散乱特性を持たせることにより、観察に好適な方向へ強く散乱光を出射せしめ、観察に寄与する光の利用効率を高めることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の光散乱フィルムは、
フィルム内部に、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布し、屈折率の高低からなる帯状の濃淡を形成しており、
特定のフィルム断面では、前記帯状の濃淡の伸びる方向が、フィルムの主面に対して傾斜しており、その傾斜方向がフィルムの厚さ方向に渡って徐々に変化した構成であり、
上記の傾斜方向に応じて、特定範囲の角度で入射する光については、光散乱を生じて、入射方向とは異なる光軸の中心を持つ方向に最も強い強度分布を持って出射し、それ以外の角度で入射する光については、光散乱を生じずに透過するような、入射角度選択性および軸外し機能を有する光散乱性を持つ軸外し異方性光散乱フィルムであって、
上記の傾斜方向が、フィルムの法線に対して13°±4°を含む範囲の角度であることを特徴とする軸外し異方性光散乱フィルムである。
【0016】
請求項2に記載の発明は、
フィルム内部に、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布し、屈折率の高低からなる帯状の濃淡を形成しており、
特定のフィルム断面では、前記帯状の濃淡の伸びる方向が、フィルムの主面に対して傾斜しており、その傾斜方向が、フィルムの法線に対して13°±4°を含む範囲の角度であり、
上記の傾斜方向に応じて、特定範囲の角度で入射する光については、光散乱を生じて、入射方向とは異なる光軸の中心を持つ方向に最も強い強度分布を持って出射し、それ以外の角度で入射する光については、光散乱を生じずに透過するような、入射角度選択性および軸外し機能を有する光散乱性を持つことを特徴とする軸外し異方性光散乱フィルムである。
【0017】
請求項3に記載の発明は、
フィルムの法線に対して斜めから入射する光が、その入射角度よりもフィルムの法線に近づく方向に、強い強度分布を持って散乱透過光を出射することを特徴とする請求項1または2に記載の軸外し異方性光散乱フィルム。
【0018】
請求項4に記載の発明は、
帯状の濃淡を形成する屈折率の異なる部分が、それぞれ大きさは不規則であり、フィルム表面では、縦長(あるいは、横長)の形状で露出しており、
フィルム表面で露出した上記の形状に応じて、光散乱を生じて出射する範囲/方向が、横長(あるいは、縦長)となるような、光散乱特性に指向性を持つことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の軸外し異方性光散乱フィルムである。
【0019】
請求項5に記載の発明は、
各画素の発光/非発光を変調することにより、表示パターンが変更される画像表示素子に対して、前面側(観察者側)に、請求項1〜4の何れかに記載の軸外し異方性光散乱フィルムを配置した構成である表示装置である。
【0020】
請求項6に記載の発明は、
印加電圧に応じて、各画素の透過/非透過(あるいは透明/散乱)を変調することにより、表示パターンが変更される画像表示素子に対して、前面側(観察者側)または背面側(観察者と反対側)の何れかの位置に、請求項1〜4の何れかに記載の軸外し異方性光散乱フィルムを配置した構成である表示装置である。
【0021】
請求項8に記載の発明は、
印加電圧に応じて、各画素の透過/非透過(あるいは透明/散乱)を変調することにより、表示パターンが変更される液晶パネルに対して、液晶パネルを構成する前面側(観察者側)のガラスの表面(観察者側)または裏面(観察者と反対側)の何れかの位置に、請求項1〜4の何れかに記載の軸外し異方性光散乱フィルムを配置した構成である表示装置である。
【0022】
<作用>
本発明の光散乱フィルムは、その製造にあたり、散乱異方性(入射角度選択性)および散乱指向性を制御することが容易であり、表示装置に適用した場合に、表示画像の観察範囲(視域)を適切に設定することができ、設定範囲での表示輝度を向上させることができる。
【0023】
特に、「軸外し」の散乱指向性を持つため、反射型液晶表示装置への適用の際に、入射する周辺光(太陽光や照明光)が正反射する方向以外に、表示光となる散乱光を出射させることが可能となる。
【0024】
上記の特性を有するため、光散乱フィルムが散乱異方性(入射角度選択性)を持っていたとしても、散乱異方性に合致して光散乱を生じる場合には、入射光と散乱出射光とは、互いの中心光路は正反射の関係となる。
【0025】
反射型液晶表示装置では、周辺光が正反射する方向に、最も輝度の高い表示光が出射することになるが、同時に正反射方向は、表示面の最外に配置される透明部材(一般に、ガラス)の表面での照り返し(ギラツキ)の影響が最も強い方向であり、逆に表示光が見えにくくなることがある。
【0026】
軸外しの散乱指向性を付与することで、周辺光が正反射する方向以外の方向(一般に、表示装置の正面方向)に、最も輝度の高い表示光を出射させることができ、上記したギラツキによる弊害が回避される。
【0027】
また、反射型液晶表示装置以外の用途では、
光散乱フィルムの持つ入射角度選択性のため、表示画像光は適切な範囲に散乱するが、それ以外の方向から入射する光(例えば周辺光)は散乱せずに直接透過するため、表示画像光以外の光によるコントラストの低下を招くことがない。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を説明する。
<実施形態1>
図1は、本発明の光散乱フィルムの一例を示す説明図であり、図1(a) は平面図、図1(b) は特定の断面における断面図である。
【0029】
同図に示すように、光散乱フィルムの内部では、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布し、屈折率の高低からなる帯状の濃淡(同図では、白−黒で表現する)を形成している。
【0030】
特定のフィルム断面を表す図1(b) では、前記帯状の濃淡の伸びる方向が、フィルムの主面に対して左下がりに傾斜した状態で、屈折率の異なる部分が分布している。
【0031】
また、その傾斜方向は、フィルムの厚さ方向に渡って徐々に変化(同図の下側に行くにつれて、濃淡の伸びる方向が、フィルムの主面に垂直に近づいている)した構成となっている。
【0032】
図1の光散乱フィルム1の光学特性について、まず、図1(b) で考える。
屈折率の異なる部分が分布して、帯状の濃淡が傾斜して伸びる方向に概ね沿った角度(フィルム1の垂線から角度θをなす、図の矢印2の方向)で入射する光に対しては、光散乱が生じることになる。
【0033】
上記方向とは異なる(概ね垂直な)角度(図の矢印4の方向)で入射する光に対しては、単なる透明フィルムとして機能し、入射光は散乱されずに出射する。
【0034】
光散乱フィルム1では、屈折率の異なる部分の傾斜して伸びる方向がフィルムの厚み方向で徐々に変化しており、入射光は、これに沿った方向に強く光散乱が生じる特性があり、光散乱が生じる角度でフィルムに光線が入射する場合、フィルムから出射する散乱光は、入射光の入射角度とは異なる方向(図の矢印3の方向)を中心に広がることになる。
【0035】
次に、図1(a) で考えると、
屈折率の異なる部分は、フィルム表面では不規則に分布しているため、ホログラムのような規則性がなく、そのため、光の回折現象によって引き起こされる色分散が生じない。
従って、本発明の光散乱フィルムによれば観察位置による出射光の色変化は生じず、理想的な白色を呈することになる。
【0036】
屈折率の異なる部分の形状が縦長(あるいは、横長)であると、その部分に入射する光が散乱出射する場合には、それぞれの部分からの出射光の光散乱特性が、横長(あるいは、縦長)となるような指向性を持つ。
【0037】
上記の形状は、概ね楕円形となっており、その大きさは、小さいと散乱範囲は広くなり、逆に大きいと散乱範囲は狭くなる。
縦横方向での散乱特性を制御するべく、縦横の長さ比は、30:1〜1:30程度の間で選ばれ、大きさは、1μmから100μmの範囲内で、所望の散乱性や散乱角度となるよう選ばれる。
図1(a) では、形状が横長であるから出射光は縦長に散乱することになる。
このことは、光散乱フィルム1の作製工程で後述する。
【0038】
図2は、本実施形態の光散乱フィルム1の持つ散乱異方性(入射角度選択性)の一例を示すグラフである。
図中、実線5で示すように、特定の入射角度範囲(図では0°から60°)の光に対してはヘイズ値が80%以上あり、逆にそれとは対称な入射角度(図では−60°から0°)の光に対してのヘイズ値は20%以下となっており、これが本明細書で言う光散乱性の散乱異方性(入射角度選択性)を指す。
【0039】
図3は、本発明の光散乱フィルム1の持つ軸外しの機能の一例を示すグラフである。
同図は、入射角度30°(図2で、ヘイズ値が80%以上である角度の1つ)にて、照明光が本発明の光散乱フィルム1に入射した場合の、出射する散乱光の強度分布を示すグラフである。
【0040】
同図に示されるように、出射光は、10°の方向に最も強い散乱光が生じている。つまり、入射角度である30°とは異なる方向に光軸をずらしたことになっており、これが、本発明で言う軸外し(オフアクシス)機能を指す。
【0041】
また、上述したように、屈折率の異なる部分のフィルム表面上の形状が横長(あるいは、縦長)であると、その部分に入射する光が散乱出射する場合には、それぞれの部分からの出射光の光散乱特性が、縦長(あるいは、横長)となるような指向性を持つ。
例えば、図1(a) のように形状が横長であると、光散乱フィルムからの散乱出射光は、散乱光の強度分布を示す図4から分かるように、縦長の楕円形となるような分布となる。
【0042】
<実施形態2>
図8は、本発明の光散乱フィルムの一例を示す説明図であり、図8(a) は平面図、図8(b) は特定の断面における断面図である。
本実施形態は、図1〜図4を用いて説明した<実施形態1>に係る光散乱フィルムとは、構造とそれに基づく光学特性はほぼ等しく、同一の構成要件については、同一の符号を用いて同様の説明が成り立つ。
【0043】
本実施形態では、屈折率の異なる部分が分布して、帯状の濃淡が傾斜して伸びる角度(入射光が光散乱を生じる角度)として、図8(b) に示すように、13°を含む角度範囲で傾いている構造となっている。
また、本実施形態では、実施形態1のように、その傾斜角度がフィルムの厚さ方向に渡って徐々に変化する構成を必須とはしていない。
【0044】
実施形態1の場合と同様に、図8(b) に示す矢印2の方向で入射する光に対しては、光散乱が生じるとする。
同図では、矢印2の角度は、散乱異方性を生じる範囲内で13°よりも大きい角度となっている。
【0045】
図9は、屈折率の異なる概ね楕円形状の特定の部分を示す拡大図である。
図9により、入射光が散乱出射する光路を説明すると、この時、微視的に見ると、楕円形状の部分の界面で、入射光2は正反射する。
【0046】
これにより、入射光2と散乱出射光3との光軸の中心がずれ、散乱出射光3はフィルム法線方向に近い角度となり、光散乱フィルム1は軸外しの機能を持つことになる。
すなわち、入射光2は13°よりも若干大きい角度で、散乱出射光3の光軸の中心は13°よりも若干小さくフィルム法線方向に近い角度となる。
【0047】
標準的な反射型液晶表示装置の使用形態を考える場合、使用者は、表示画面にほぼ垂直に面することとなり、斜め上方からの周辺光(室内照明灯や日光)が、観察に最も多く利用される。
装置への周辺光は、概ね20°から40°の間で入射するように、使用者は、装置と入射光の方向との相対関係を設定するのが通常である。
【0048】
標準的な観察条件を考慮して、フィルム内での上記傾斜角度には、ある程度の幅を持たせることが必要であり、入出射の際のフィルム1の界面での光の屈折を考慮した実験的な確認の結果、13°を中心として±4°の範囲内が好適であることが分かった。
【0049】
図8(a) の平面図による説明は、実施形態1と全く同様である。
軸外しの光散乱特性を顕著にするには、実施形態1のように、上記傾斜角度をフィルム内でも徐々に変化させるのが好適であり、大幅な軸外しを必要としない場合には、実施形態2のようにするのが好適であり、それらは任意に使い分けられる。
【0050】
図5は、本発明の光散乱フィルム1を適用した反射型液晶表示装置について、要部を概念的に示す断面図である。
表示装置は、液晶パネル6と、その背面(非観察者側)に配置された正反射性もしくは散乱性の反射板7と、液晶パネル6の前面(観察者側)に配置された光散乱フィルム1とで構成されている。
【0051】
反射板7は、図示のように液晶パネル6と別体ではなく、液晶パネル6中に、液晶の駆動電極を兼ねる反射体(反射電極と称する)として内在したタイプでも良い。また、反射板7が半透過性(反射と透過の双方の機能)であり、反射板7のさらに背面(非観察者側)にバックライトを要する場合は、反射/透過型液晶表示装置(半透過型液晶表示装置)としての適用も可能である。
【0052】
尚、同図では説明の便宜上、光散乱フィルム1,液晶パネル6,反射板7をそれぞれ離間させて図示しているが、実際には一体積層されている。
また、液晶の種類によっては、偏光板や位相差板その他の光学フィルム、または、カラーフィルター,配向膜,透明電極などが使われる場合もあるが、図示は省略する。
【0053】
液晶パネル6は、一般的な構造のものからなり、印加電圧の有無に応じて入射光を変調し、白/黒(透過/非透過)の切り替え表示を行なう。
【0054】
光散乱フィルム1は、図示のように、入射光8が液晶表示装置の前面側から光散乱フィルム1に入射する際に光散乱が生じ、入射光とは光軸がずれた散乱光9として出射させる。
散乱光9は、液晶パネル6の背面側の反射板7で反射し、光散乱フィルム1を透過して前面に出射する。この際、光散乱フィルム1は、出射する散乱光10を2次散乱させずにそのまま透過させる。
【0055】
このように、光散乱フィルム1の持つ散乱異方性(入射角度選択性)により、表示光出射の際の不必要な散乱を生じることがなく、画素の写り込みによる所謂2重像を生じることがないため、表示像のぼけを軽減させることが実現される。
加えて、散乱指向性(特に、軸外し機能)により、不要な散乱を軽減し、表示装置の正面での表示の明るさやコントラストを向上させることが実現される。
【0056】
液晶表示装置の液晶表示パネル6には、R,G,B画素に対応してカラーフィルタを搭載したカラー表示用パネルまたはモノクロ表示用パネルのいずれを使用しても良い。
また、液晶表示装置は、TN方式,STN方式,ゲストホスト方式,ポリマー分散型など、液晶の駆動方式には制約を受けるものではない。
【0057】
次に、本発明の光散乱フィルム1の構造について、更に詳細に説明する。
上述したように、本発明の光散乱フィルム1の内部には、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布することにより、屈折率の高低からなる濃淡模様が形成されている。
【0058】
この屈折率の差異は、小さすぎると散乱性が悪くなり、逆に大きすぎるとどのような角度で光が入射しても光散乱が生じてしまうことになり、入射角選択性の特性を持たせることが困難となる。
そのため、表面上の屈折率差だけでは光散乱が生じず、フィルム1に厚みがあることで十分な散乱性を持つような最適な屈折率差である必要がある。
【0059】
本発明では、上記条件に適合するように、屈折率差は0.001から0.2の範囲で適宜選択し、フィルム厚みは屈折率差に応じて1000μmから1μmの範囲で適宜選択している。
【0060】
記録できる屈折率差は、フィルムの作製方法や記録材料などにより制限を受けるため、大きな屈折率差を持つ場合はフィルムを薄く、小さな屈折率差を持つ場合はフィルムを厚くすることで、本発明の光散乱フィルムを実現することが可能である。
【0061】
一例を挙げると、平均屈折率が1.52で厚みが20μmのフィルム中に、屈折率が1.56(屈折率差0.04)の部分を分布させて、濃淡模様を形成することで、十分な散乱性と入射角度選択性を持つ光散乱フィルムを得ることができた。
【0062】
フィルム内の濃淡の分布(特定断面での、帯状の濃淡が傾斜して伸びる方向)は、光散乱フィルムのアプリケーション毎に異なるが、図5に示した反射型液晶表示装置用の前面散乱板を例にとると、表示装置に対する垂線方向(0°方向)から60°方向(装置正面より上方)までから入射する光を散乱させ、逆に垂線方向から−60°方向(装置正面より下方)までの光に対しては散乱を生じない機能が、実用上では望ましい。
【0063】
上述のように、角度20°〜40°(斜め上方)での入射光に対して最も効率的に光散乱を生じさせる必要があり、観察者は、表示装置(光散乱フィルム)に対して垂線方向(0°=正面)から−20°の間の角度で観察することが多い。
【0064】
20°〜40°の角度での入射光を、10°の方向を中心に散乱透過させるようにするには、フィルム内での上記傾斜角度は、13°±4°の範囲とすることが最適である。
【0065】
尚、光線の方向(角度)は、基準面に対する垂線を0°とみなし、時計回りを+,反時計回りを−として考えるのが、光学分野では一般的である。
従って、図5では、入射光について考えると、入射光8は、入射面から観察者側に立てた垂線より時計回りに上方から入射するため、+の入射角度である。
出射光について考えると、散乱光9は、出射面から反射板7側に立てた垂線より時計回りに下方へ出射するため、+の出射角度である。散乱光10は、出射面から観察者側に立てた垂線より反時計回りに下方へ出射するため、−の出射角度となる。
【0066】
図3に示すような軸外しの機能を顕著に実現させるために、上述した実施形態1による光散乱フィルムは、上記の傾斜角度がフィルムの厚み方向に対して徐々に変化した構造となっている。
【0067】
図5に示す反射型液晶表示装置用の前面散乱板を例にとると、液晶表示装置が概ねその垂線方向(0°=正面)から−20°方向(装置正面から下方)の間で観察されることが多いため、入射角度30°の入射光8については、光軸の中心をずらした散乱光9とすることが望ましい。(散乱光9の出射角度は+20°を中心とし、散乱光10の出射角度は−20°を中心とすることになる)
【0068】
このため、図5に示す光散乱フィルム1は、30°方向からの入射光を、光軸の中心を−10°ずらした方向に散乱させるように、フィルム厚み方向に対して屈折率の異なる部分の傾斜角度が徐々に変化した構造としている。
【0069】
この例では、フィルム界面での光の屈折を考慮して、前記傾斜角度は、フィルム表面近傍(図1断面図の上側)では、上記した通り、フィルムに対する垂線方向から約19°傾いており、そこからフィルム裏面(図1断面図の下側)に向かって、徐々に傾斜角度が小さくなり、フィルム裏面近傍では、フィルムに対する垂線方向から約6. 5°傾斜した構造としている。
【0070】
屈折率の異なる部分の大きさは、光散乱を生じさせるためにランダムで規則性はないが、必要な散乱性を持たせるために、その平均の大きさは直径で0.1μmから300μmの範囲内で、それぞれの用途での必要な散乱性に応じて適宜選択される。
【0071】
一例として、12μmの平均の大きさを持つ屈折率の高低からなる濃淡模様とすることで、約±40°程度の散乱広がりをもつ散乱性が得られた。
【0072】
また、光散乱に指向性を持たせるために、フィルム(図1平面図)の縦方向と横方向とでは、屈折率の異なる部分の平均の大きさを異ならせている。
一例として、縦方向に伸びた楕円状に光散乱を生じさせるために、縦方向での平均サイズは12μmであるが、横方向での平均サイズは50μmという横長の形状とすることで、縦方向に約±40°,横方向には約±10°という散乱指向性を持つ光散乱フィルムが得られた。
【0073】
また、本発明の光散乱フィルムは、本明細書中ではフィルムという用語で統一して述べたが、例えば、ガラス基板や樹脂基板のような硬質基板上に形成されたシートであっても良い。
【0074】
従って、図5の液晶表示装置において、本発明の光散乱フィルム1は、同図に示すように、液晶パネル6とは別体のフィルムでなくとも、例えば、液晶パネル6の前面ガラス11上に形成された形態であっても良い。
【0075】
このとき、本発明の光散乱フィルム1は、前面ガラス11の観察者側あるいは液晶層側のどちらであっても、上記の機能に変わりなく利用できる。
【0076】
以下、本発明の光散乱フィルムを作製する手段について説明する。
本発明の光散乱フィルムは、光学的な露光手段により作製することができる。
【0077】
図6は、図1に示す構造の光散乱フィルム1を、スペックルパターンを利用して作製する光学系の一例を示す説明図である。
レーザー光源14から出たレーザー光15ですりガラス16を照射する。
すりガラス16のレーザー照射側とは反対の面には、所定距離Fをおいて感光材料19を配置し、すりガラス13で透過散乱したレーザー光が作り出す複雑な干渉パターンであるスペックルパターンが感光材料19に露光記録される。
【0078】
この際、図示のようにレーザー光15と感光材料19は所定角度αだけ傾いて配置されているため、スペックルパターンは感光材料中で、所定角度だけ傾いて露光記録されることになる。
【0079】
この角度が、光散乱フィルム1中の屈折率の異なる部分の傾き(すなわち、図2に示す入射角度選択性の散乱ピーク角度θ)に相当することになるので、前記角度は用途に応じて0から60°程度の範囲内で適宜選択される。
当然のことながら、光散乱フィルム1中の屈折率の異なる部分の傾きと、入射角度選択性の散乱ピーク角度θとは、フィルム界面での光の屈折現象が介在するため、異なる角度である。
【0080】
また、レーザー光15と感光材料19との傾き角度αと、入射角度選択性の散乱ピーク角度θとも、使用する感光材料によっては、記録,現像などの処理工程によって異なる場合もある。
【0081】
露光記録に使用するレーザ光源14は、アルゴンイオンレーザーの514.5nm,488nmまたは457.9nmの波長のうち、感光材料の感度に応じて適宜選択して使用することができる。
また、アルゴンイオンレーザー以外でも、コヒーレント性の良いレーザー光源であれば使用可能であり、例えば、ヘリウムネオンレーザーやクリプトンイオンレーザーなどが使用できる。
【0082】
また、ここで使用する感光材料19は、レーザー光による露光部と未露光部との屈折率の変化の形態を記録できる感光材料であり、記録しようとする濃淡模様より高い解像力を持ち、その厚みの方向にもパターンを記録できるような材料である必要がある。
【0083】
このような記録材料としては、体積型ホログラム用感光材料が利用でき、アグファ社製ホログラム用銀塩感光材料8E56乾板,デュポン社製ホログラム用感光材料HRFフィルムあるいは重クロム酸ゼラチン,ポラロイド社製DMP−128記録材料などが使用可能である。
【0084】
「光測定ハンドブック 朝倉書店 田幸敏治ほか著 1994年11月25日発行」の記述(p.266 〜p.268 )によれば、濃度や位相が位置によってランダムな値を示すようなスペックルパターンでは、
前記パターンの大きさは、感光材料から拡散板を見込む角度に反比例して、パターンの平均径が決定される。
従って、拡散板の大きさを、水平方向よりも垂直方向で大きくした場合、感光材料上に記録されるパターンは、水平方向よりも垂直方向が細かいものとなる。
【0085】
図6の光学系での作製方法によるスペックルパターンでは、使用するレーザー光15の波長λおよびすりガラス16の大きさD,すりガラス16と感光材料19との距離Fが、記録されるスペックルパターンの平均サイズdを決定することになり、一般に、dは次式で表される。
d=1.2λF/D
【0086】
また、このスペックルパターンの奥行き方向の平均長さtは
t=4.0λ(F/D)2
で表される。
【0087】
以上より、λおよびF/Dの値を最適化することで、所望の散乱性を持つように所望の3次元的な屈折率分布を持つ光散乱層2を得ることが出来る。
一例として、λ=0.5μmで、F/D=2とすると、d=1.2μm,t=8μmとなり、フィルム表面上の濃淡模様は平均1.2μmで分布し、フィルムの厚み方向には、前記傾斜角度に従った方向に平均8μmの大きさで分布することになる。
【0088】
ただし、これらの大きさはあくまでも平均の大きさであり、実際にはこれらの大きさを中心に大小様々な大きさで、屈折率の異なる部分が表面上および奥行き方向に傾斜して分布することになる。
【0089】
上述の手段により作製された光散乱フィルムは、そのままでは、原理的にフィルムの厚み方向に渡って、変化のない同じ傾斜角度φで、屈折率の異なる部分が分布することになる。(図7a参照)
【0090】
実施形態1のように、大幅な軸外しの機能を持つ異方性光散乱フィルムを実現するためには、フィルムの厚み方向に渡って、徐々に上記傾斜角度を変化させる必要があり、その手段について、以下に説明する。
【0091】
屈折率の異なる部分の傾斜角度φを変動させることは、屈折率の異なる部分が記録された光散乱フィルム1のフィルム厚Lを変化させることで達成される。
すなわち、図7aに示したような同一の傾斜角度φで記録された光散乱フィルムのフィルム厚Lを、図7bに示すようにL' に増加させると、それに従って、傾斜角度φがφ' に変化する原理を利用する。
【0092】
フィルムの厚さ方向で、全体に渡って一様にフィルム厚を変化させず、図7cに示すように、フィルム表面近傍(図中、X近傍)ではあまり厚み変動がなく、フィルム裏面近傍(図中、Y近傍)で厚みの増大が大きければ、本発明の軸外し異方性光散乱フィルムを実現できる。
【0093】
光散乱フィルムを構成する材料に応じて、厚みを変動させる処理方法が異なるため、一例として、デュポン社製ホログラム用感光材料「HRFフィルム」を用いた場合について説明する。
【0094】
HRFフィルムは、ホログラムの露光記録後に、同じデュポン社から市販されている「CTFフィルム」をラミネートし、所定の処理(加熱およびUV露光定着)により、感光材料自身の厚みを変化させて、ホログラムの再生色を変化させられる特性を持っている。
【0095】
このことは、当該技術分野においては公知であるが、この際、その処理工程により、厚みの変動を制御することも可能である。
【0096】
「PROCEEDINGS OF SPIE 」Volume 3637 ,p196,”Holographic Diffusive Reflectors for Reflective color LCDs”中のFig.7 およびその説明にて述べられているように、膜厚増加のメカニズムは、CTF中のモノマーがHRFフィルム中へ拡散していき、その厚みを増加させるというものである。
このため、CTFとHRFをラミネートした後のモノマーの拡散時間を制御することで、HRFのCTFに面した側では大きく膜厚が増加し、CTFをラミネートしていない反対側では膜厚がそれほど大きく増加しない条件があり得る。
【0097】
上述した反射型液晶表示装置用の前面散乱板を例にとると、HRFフィルムに上記手段により異方性光散乱フィルムを露光記録後(傾斜角度19°)、CTFフィルムをHRFフィルム裏面側にラミネートし、40秒ほど120℃で加温放置してからUV露光による定着を行なうことで、フィルム厚み方向で屈折率の異なる部分の傾斜角度が、フィルム表面近傍で約19°,裏面近傍で約6.5°である軸外し異方性光散乱フィルムを得ることができる。
【0098】
光散乱フィルム1に散乱指向性を付与するには、図6の光学系で用いるすりガラスの大きさを縦横で異ならせて、長方形あるいは楕円形としたすりガラス16を光学系に配置することにより実現できる。
【0099】
一例を挙げると、すりガラス16の大きさDが縦(y)方向と横(x)方向で異なり、前記(F/Dx)=2,(F/Dy)=20で、他の条件が上記と同じだとすると、スペックルパターンの横方向の平均サイズdx=1.2μmで、縦方向の平均サイズdy=12μmとなり、縦横比1:10の平均サイズのスペックルパターンが得られる。
【0100】
このように露光記録することで、縦横方向の散乱性が異なる散乱異方性を持つ光散乱フィルムが得られることになる。
【0101】
上述の作製手段は、あくまで一例であり、本発明はこれに限るものではなく、あるいは光学的な露光手段でない作製方法においても、本発明の光散乱フィルムは実現される可能性がある。
【0102】
【発明の効果】
以上のように、本発明によって、散乱異方性と散乱指向性の双方の光散乱性を備え、観察位置によって表示光の色が変化しないだけでなく、軸外しの散乱指向性を持つ光散乱フィルムが提供される。
【0103】
すなわち、本発明の光散乱フィルムでは、フィルムに対して所定範囲の角度で入射する光については光散乱が生じ、それとは異なる角度で入射する光については単なる透明フィルムとして機能するため、光散乱性に入射角度選択性を持つと共に、光散乱が生じる角度で光が入射した際に、その入射角度とは光軸を外して異なる方向へ散乱光を生じるという散乱指向性を持つ。
そのため、光散乱の発生を要する光と光散乱の発生が不要な光とを、フィルムへの入射角度に応じて分離し、且つ必要な散乱光を所望の方向へ偏向することができる。
【0104】
特に、表示装置の標準的な観察条件を考慮して、概ね20°から40°の間で入射する装置への周辺光により、装置の正面で明るい表示画像を視覚する上で、フィルム内での屈折率の異なる部分が分布する傾斜角度を、13°を中心として±4°の範囲内に設定することが好適である。
【0105】
本発明の光散乱フィルムを表示装置に適用した場合には、表示装置への入射光による不要な散乱を生じることなく、適正な観察位置(およそ、装置正面)での表示の明るさ,精細さ,見易さ,コントラストを向上し、且つ表示画像のぼけを軽減させるなどの効果がある。
【0106】
また、光散乱フィルム内での屈折率の異なる部分は、フィルム表面では不規則に分布しているため、ホログラムで見られるような観察位置に応じた出射光の色変化は生じない。
【0107】
加えて、光散乱が生じる入射角度で光が入射した際に、その散乱光の広がりが、縦横で異なるような散乱指向性をも併せ持つことが可能である。
そのため、必要な範囲・方向にのみ散乱光を出射することが出来、結果として、表示装置に用いた場合に、不必要な散乱を生じることなく表示の明るさ,コントラストを向上させるなどの効果がある。
【0108】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光散乱フィルムを示す説明図。(平面図と断面図)
【図2】本発明の光散乱フィルムの持つ入射角度選択性の一例を示すグラフ。
【図3】本発明の光散乱フィルムの持つ散乱異方性(軸外し機能)を示す出射光強度分布の一例を示すグラフ。
【図4】本発明の光散乱フィルムが持つ散乱指向性を示す説明図。
【図5】本発明の光散乱フィルムを用いた反射型液晶表示装置について、要部を概念的に示す断面図。
【図6】図1に示す光散乱フィルムを、スペックルパターンを利用して作製する光学系の一例を示す説明図。
【図7】本発明の光散乱フィルムに、軸外し機能を付与する作製手段を概念的に示す説明図。
【図8】本発明の光散乱フィルムを示す説明図。(平面図と断面図)
【図9】図8の光散乱フィルムの内部を部分的に拡大して示す説明図。
【符号の説明】
1…光散乱フィルム
2…散乱方向から入射する照明光
3…光散乱フィルムからの出射散乱光
4…透過方向から入射する照明光
5…実測したヘイズ値のプロット
6…液晶パネル
7…反射板
8…周辺照明光
9…散乱光
10…出射散乱光
11…液晶パネルの前面ガラス板
12…液晶層
13…液晶パネルの背面ガラス板
14…レーザー光源
15…レーザー光
16…すりガラス
17…ビームエキスパンダー
18…コリメーター
19…感光材料

Claims (6)

  1. フィルム内部に、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布し、屈折率の高低からなる帯状の濃淡を形成しており、
    特定のフィルム断面では、前記帯状の濃淡の伸びる方向が、フィルムの主面に対して傾斜しており、その傾斜方向がフィルムの厚さ方向に渡って徐々に変化した構成であり、
    上記の傾斜方向に応じて、特定範囲の角度で入射する光については、光散乱を生じて、入射方向とは異なる光軸の中心を持つ方向に最も強い強度分布を持って出射し、それ以外の角度で入射する光については、光散乱を生じずに透過するような、入射角度選択性および軸外し機能を有する光散乱性を持つ軸外し異方性光散乱フィルムであって、
    上記の傾斜方向が、フィルムの法線に対して13°±4°を含む範囲の角度であることを特徴とする軸外し異方性光散乱フィルム。
  2. フィルムの法線に対して斜めから入射する光が、その入射角度よりもフィルムの法線に近づく方向に、強い強度分布を持って散乱透過光を出射することを特徴とする請求項1に記載の軸外し異方性光散乱フィルム。
  3. 帯状の濃淡を形成する屈折率の異なる部分が、それぞれ大きさは不規則であり、フィルム表面では、縦長(あるいは、横長)の形状で露出しており、
    フィルム表面で露出した上記の形状に応じて、光散乱を生じて出射する範囲/方向が、横長(あるいは、縦長)となるような、光散乱特性に指向性を持つことを特徴とする請求項1〜2の何れかに記載の軸外し異方性光散乱フィルム。
  4. 各画素の発光/非発光を変調することにより、表示パターンが変更される画像表示素子に対して、前面側(観察者側)に、請求項1〜3の何れかに記載の軸外し異方性光散乱フィルムを配置した構成である表示装置。
  5. 印加電圧に応じて、各画素の透過/非透過(あるいは透明/散乱)を変調することにより、表示パターンが変更される画像表示素子に対して、前面側(観察者側)または背面側(観察者と反対側)の何れかの位置に、請求項1〜3の何れかに記載の軸外し異方性光散乱フィルムを配置した構成である表示装置。
  6. 印加電圧に応じて、各画素の透過/非透過(あるいは透明/散乱)を変調することにより、表示パターンが変更される液晶パネルに対して、液晶パネルを構成する前面側(観察者側)のガラスの表面(観察者側)または裏面(観察者と反対側)の何れかの位置に、請求項1〜3の何れかに記載の軸外し異方性光散乱フィルムを配置した構成である表示装置。
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