JP2010026286A - 映写スクリーンとその製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
映写スクリーンにプロジェクタなどで投写した際に視野角が広くて画面の隅まで鮮明であり、透過型または反射型のいずれも可能であるうえに不燃性にすることも可能である大型の映写スクリーンを提供する。
【解決手段】
基板は透明プラスチックまたはガラス板であり、平均粒径が2〜20μmの金属粉末を液状樹脂に分散させた透明バインダを用い、該透明バインダの塗布・加熱乾燥を少なくとも5回以上繰り返して厚さ50〜400μmの光拡散層を基板の表面に形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、プロジェクタなどで投写した際に視野角が広くて画面の隅まで鮮明であり、透過型または反射型のいずれにも適用できるうえに不燃性も可能な大型の映写スクリーンおよびその製造法に関する。
映写スクリーンは、オーバーヘッドプロジェクタで投写するだけでなく、プロジェクションテレビなどにも利用でき、その主たる部分は光拡散層または光反射層であり、これは透過型または反射型スクリーンのいずれでも同じである。この光拡散層は、シリカや酸化チタンなどの光拡散材の微粒子を添加した透明樹脂液を透光性シートの片面に形成したもの、台形状の小レンズを平面上に密接形成しているレンチキュラーレンズ層、または透明フィルムの表面を微細に粗面処理した凹凸層などが存在し、これらの加工を組み合わせたものも非常に多い。
光拡散層を有する透過型の映写スクリーンにおいて、光拡散材の微粒子を添加した透明バインダで形成した光拡散層として、特開昭55−137513号、特開2003−228305号などが例示できる。この際に、シート片面に光拡散層を形成するだけであると、光の拡散が不十分になりやすい。このため、特開昭55−137513号は、光拡散層を設けた基材シートの反対面にレンズ層を形成し、このレンズ層は光拡散作用を有するレンチキュラーレンズやフレネルレンズである。台形状の小レンズ層の光拡散層としては、特開2003−50307号、特開2005−122009号などが存在し、この場合には光拡散材を添加した光拡散層をさらに出光面側に設けている。
一方、反射型スクリーンについて、特開平5−119402号では、高輝度アルミニウム微粉末を含有した塗料で光反射層を設けている。特開平5−297463号では、偏光スクリーンの後面に反射膜を配置し、該反射膜はアルミニウム微粉末入りの塗料を塗布することによって形成する。また、特開2007−171468号では、2枚の基材間に光選択層を有するともに両基材の外面に光拡散層に設け、該光選択層の樹脂の中にフレーク状のアルミニウム微粉末を分散させている。
特開昭55−137513号公報 特開2003−228305号公報 特開2003−50307号公報 特開2005−122009号公報 特開平5−119402号公報 特開平5−297463号公報 特開2007−171468号公報
特開2003−50307号、特開2005−122009号、特開平5−119402号、特開平5−297463号のように、光拡散層が光拡散材の微粒子を添加した透明バインダまたは粗面処理の凹凸層であると、その表面において投写光が乱反射して多くの散乱光が発生することにより、スクリーンの表面輝度およびコントラストの低下を招来しやすい。また、表面の凹凸処理で光拡散性を発揮させると、その拡散性などが角度依存することになりやすく、スクリーンを見る角度によって視認性が変化してしまう。
特開平5−119402号、特開平5−297463号、特開2007−171468号のように、光拡散層や光選択層に含まれる光拡散材が平均粒径5〜50μmの鱗片状またはフレーク状のアルミニウム微粉末であると、層内に含まれるアルミニウム微粉末が、投写光と干渉して画面のぎらつく現象(以下、スペックル現象という)が発生しやすい。スペックル現象の解消には、光拡散層を分割したり、板厚方向に拡散用粒子の濃度勾配を設けると多少の効果があるけれども、これらの措置によって映写スクリーンの製造コストが相当にアップする。
一方、特開昭55−137513号などのように、レンチキュラーレンズ層や台形状の小レンズ層をシート表面に形成した光拡散層では、液晶(LCD)プロジェクタから画像を投写する場合、投写画素とレンズとの周期的構造による干渉で発生するモアレ現象を解消し、高画素数の画像を鮮明に解像させることを要する。モアレ現象を解消するには、高画素数の場合、スクリーンに投写される画素ピッチが小さくなり、レンズのピッチを非常に細かくすることが必要となるため、超精密なレンズ金型の製造に高いコストが掛かる。
本発明は、光拡散層やレンチキュラーレンズ層を有する映写スクリーンに関する前記の問題点を改善するために提案されたものであり、透過型または反射型のいずれにも適用でき、視野角が広くて投写像が画面の隅々まで鮮明である映写スクリーンを提供することを目的としている。本発明の他の目的は、基板がガラス板であることにより、耐久性が高くて不燃性になるので設置場所が限定されない映写スクリーンを提供することである。本発明の別の目的は、光拡散層を容易に形成することにより、比較的安価に製造できる映写スクリーンの製造法を提供することである。
本発明に係る映写スクリーンは、基板および光拡散層の素材に応じて透過型または反射型のいずれにも適用可能である。本発明の映写スクリーンでは、基板は透明プラスチックまたはガラス板であり、平均粒径が2〜20μmの金属粉末を液状樹脂に分散させた透明バインダを用い、該透明バインダの塗布・加熱乾燥を少なくとも5回以上繰り返して厚さ50〜400μmの均一な光拡散層を基板の表面に形成する。
本発明に係る映写スクリーンにおいて、液状樹脂に添加する金属粉末は、主成分が金属シリコンおよびアルミニウム微粉末であり、さらに微量成分としてクロム微粉末を含有すると好ましい。このアルミニウム微粉末は、透過型スクリーン用の透明バインダの場合には含有量が20重量%以下好ましくは5〜15重量%であり、反射型スクリーン用の透明バインダの場合には含有量が50重量%以上好ましくは55〜75重量%であることが望ましい。
本発明に係る映写スクリーンは、透過型の不燃性スクリーンを得るために、基板の厚さが2〜12mmであるガラス板を用いる。この基板には、金属シリコン微粉末を含む透明バインダを複数回塗布・乾燥させ、白色化した光拡散層を形成し、さらに該光拡散層の表面に接着用樹脂を配置してから、保護ガラス板を重合して加熱ロールプレスで全体を一体化させ、この際に余分の接着用樹脂分がしみ出しによって除去されて樹脂接着層が薄くなることにより、透過型の不燃性スクリーンを得る。また、透過型のスクリーンにおいて、視野角が比較的広い低輝度タイプで光拡散層の厚みは250μm以上、中輝度タイプで光拡散層の厚みは130〜200μm、視野角が比較的狭い高輝度タイプで光拡散層の厚みは120μm以下であると好ましい。
本発明に係る映写スクリーンの製造法では、2本の金属材を油中で圧接した状態でその一方を摺動させることにより、接触金属面における金属の磨耗によって金属微粉体を油中に分散させ、この金属微粉体を溶剤によって油から分離する。さらに、この金属微粉体を含む溶剤を液状樹脂に添加して透明バインダを形成し、この透明バインダを基板に塗布して乾燥すればよい。
本発明を図面によって説明すると、図1において、本発明に係る映写スクリーン1の拡大断面を示す。映写スクリーン1は、図3のように透明なプラスチック基板2またはガラス基板を用いる透過型でも、図5に示すような反射型のいずれでもよい。また、映写スクリーン1は、スクリーンに対して一方の側から投影した画像を投影側の面と同時に背面側からも視認可能な両面視認型スクリーンや、スクリーンの前面側から投影しても背面側から投影しても投影画像を視認可能な反射・透過両用スクリーンなどを包含する。
図1に例示するように、基板2の表面に厚さ50〜400μmの光拡散層8を形成し、該光拡散層は一般に透過型スクリーンに比べて反射型スクリーンを厚く定める。透過型スクリーンにおいて、視野角が比較的広い低輝度タイプで光拡散層の厚みは250μm以上好ましくは280〜320μm、中輝度タイプで光拡散層の厚みは130〜200μm好ましくは150〜170μm、視野角が比較的狭い高輝度タイプで光拡散層の厚みは120μm以下好ましくは90〜110μmである。光拡散層8の厚さが80μm未満で薄すぎると、プロジェクタの投写光によるホットスポットが出現しやすくなる。また、光拡散層8が厚くなるとともに、通常、スクリーンの輝度は低下するけれども、スクリーン表面が一様な光分布になる。
基板2は、透過型、両面視認型または反射・透過両用のスクリーン用では透明の素材を用い、ガラス板を使用すると不燃性のスクリーンを得ることも可能である。この基板は、反射型スクリーン用ならば、表面が平坦であって素材表面に鏡面状の下地層18(図5)を設けることができれば、該基板の素材が限定されることはない。
透過型スクリーンについて、基板2の厚さは、一般に2〜12mmであり、使用前に脱脂剤などで洗浄する。基板2の素材は、ガラス板、ポリアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、トリアセチルセルロース,ポリカーボネート,ポリスチレン,ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、メタクリル酸メチル/ビニル系モノマー共重合樹脂などである。特に、メタクリル樹脂は、プロジェクタにおける液晶の偏光特性を低下させる複屈折率が小さく且つ耐衝撃性が高いので好ましい。
透過型スクリーンにおいて、これを自立スクリーンとして使用するならば、基板2の厚さを3mm以上に定め、さらに補強用のプラスチックシート12(図1)を貼り合わせると好ましい。プラスチックシート12は、透明の液状接着剤および/または両面粘着フィルム10(図1)などを介して貼り合わせればよい。プラスチックシート12は、厚さ2〜6mmの透明プラスチック材またはガラス板であり、その素材は基体の基板2と同じまたは異なる無色透明板であり、基板2の変形や破損から保護するために貼着する。また、基板2の裏側に、別の透明シート(図示しない)を貼着することも可能であり、該シートにおける光源側の裏面に、エンボス仕上げ加工などによってアンチグレア処理を施したり、外光の映り込みを減らすことによってスクリーンの視認性をいっそう高めてもよい。
映写スクリーン1では、基板2にあらかじめ光吸収のティント処理を施したり、光拡散層8の形成面の反対または両面に適宜の表面処理層を設けてよい。この表面処理層として、公知の反射防止層、ハードコート層、偏光フィルタ層、帯電防止層、防呟処理層、防汚処理層またはこれらの複数層などが例示できる。また、基板2の表面に偏光フィルタを貼着したり、特定の反射防止層を形成してもよい。
映写スクリーン1において、基板2の表面に光拡散層8を形成するには、平均粒径が2〜20μmの金属粉末を液状樹脂に分散させた透明バインダを用いる。光拡散層8に添加する金属粉末は、その平均粒径が20μmを超え、つまり金属粉末の粒径が大きくなって光拡散層内での密度が低下すると、特に青色光が光拡散層を通過しやすくなり、多孔質層の出口表面での光の屈折が少なくなって表面における拡散が不十分になってしまう。
この透明バインダは、基板2の表面上に塗布・加熱乾燥を少なくとも5回以上繰り返し、光拡散層8の厚さを50〜400μmに定める。液状樹脂に添加する金属粉末は、金属シリコン、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、鉄、錫、亜鉛、マグネシウム、銅、銀またはこれらを含む合金であり、スクリーン用途に応じて金属の種類と含有量を調整すればよい。例えば、金属粉末の主成分が金属シリコンおよびアルミニウムであり、さらに微量成分としてクロム微粉末を含有すると、酸化反応によって白色の酸化アルミニウムと、光吸収性の黒色の酸化クロムを得ることができる。
本発明で用いる金属粉末を製造するには、図2に例示する微粉末製造装置3を用いると好ましい。製造装置3では、そのコンテナー内に機械油を充満させ、その中に2本の金属柱材5,6を浸漬し、両柱材5,6を垂直方向で同軸状に配置し、両柱材端面の平坦な接触面7を油中に位置させる。ついで垂直方向から強く圧接しながら、下方の柱材6を固定した状態で上方の柱材5を長時間回転すると、金属接触面7において金属の磨耗によって金属粉末が次第に油中に分散する。
この金属粉末は、その粒径が1μm前後の楕円形断面のものが多く、平均粒径が2〜20μmになるので、その表面活性が非常に高くなる。この金属粉末が、金属シリコン、アルミニウム、クロム、鉄、錫、亜鉛、マグネシウム、銅、銀などの場合には、金属本来の融点以下で溶融され、加熱によって直ちに酸化反応を起こして酸化されやすい。油中の金属粉末は、アルコールなどの溶剤を油に加えることにより、該溶剤によって油から分離させる。さらに、この溶剤を気化や濾過によって除去すると、微粉状の金属粉末を得る。
この金属粉末は、例えば、金属シリコン微粉末、アルミニウム微粉末、クロム微粉末からなる。アルミニウム微粉末は、透過型スクリーン用の透明バインダの場合には含有量が20重量%以下好ましくは5〜15重量%である。アルミニウム微粉末の含有量が、5重量%未満であれば透過光が多くなって所望の光拡散性を得ることが困難になり、一方、15重量%を超えると反射光が多くなりすぎて投写画面が不鮮明になりやすい。微量のクロム微粉末は、酸化によって黒色の光吸収材の機能を有する。金属シリコン微粉末は、所定の光拡散性を維持させるために、アルミニウム微粉末の添加量に応じて増減する。
一方、反射型スクリーン用の透明バインダの場合には、アルミニウム微粉末の含有量は、50重量%以上好ましくは55〜75重量%である。アルミニウム微粉末の含有量が、55重量%未満であれば、反射型スクリーンにおいて直進の屈折光が多くなって所望の光拡散性を得ることが困難になり、一方、75重量%を超えると反射光が多くなりすぎて投写画面がぎらつきやすい。
透明バインダを構成する液状樹脂は、基材2の素材に応じて適宜選択すればよく、一般に透明性の高い樹脂が好ましい。この液状樹脂として、難燃性の尿素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル,ポリメタクリル酸ブチルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル、ガラス,シロキサン系、ケイ素酸系などのガラス系樹脂、酢酸セルロース,ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、これらの樹脂のホモポリマーまたはコポリマーなどが例示できる。
この液状樹脂として、熱硬化性樹脂のほかに、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂などを使用することも可能であり、紫外線硬化型樹脂は、樹脂硬化のための設備が簡単で作業性に優れている。紫外線硬化型樹脂としては、光重合性を有するプレポリマーやモノマーに、必要に応じて他の単官能性や多官能性のモノマー、ポリマー、光重合開始剤、増感剤などを配合すればよい。光重合性プレポリマーとして、ポリエステルアクリレート、ポリエステルウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリオールアクリレートなどが例示できる。また、光重合性モノマーとして、単官能性アクリレート、二官能性アクリレート、三官能性以上のアクリレートなどが例示できる。光重合開始剤は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、ベンジルケタール類、チオキサントン類などであり、増感剤は、アミン類、ジエチルアミノエチルメタクリレートなどである。
所望の光拡散層8を形成するために、透明バインダは、金属粉末とともに、アルコールなどの溶剤に水を適量加えて液状化され、基材2上に塗布・加熱乾燥を少なくとも5回以上繰り返す。例えば、並置した公知のスプレーガンによって透明バインダを塗布する際に、基材2をコンベアで連続走行させることにより、均一な厚みの薄層を設け、次に熱風炉を通して加熱乾燥する。透明バインダを紫外線硬化型樹脂で構成するならば、加熱と同時に光重合させても加熱後に光重合させてもよい。
透明バインダを薄層ごとに塗布し、例えば180〜250℃の熱風で加熱乾燥すると、塗布した薄層中の透明バインダ中の溶剤は高温加熱で気化し、残った水分が金属粉末と酸化反応する際に、薄層中の微細な金属粉末はほぼ均等に加熱され、全体が均一に酸化される。この酸化反応によって、樹脂中の金属粉末は、酸素結合を起こして体積が僅かに膨張することにより、個々の金属粉末を含む薄層中の微小空間同士が連通し、硬化した薄層は多孔質になる。硬化した薄層の上に、次の薄層になる透明バインダの塗布すると、該バインダの樹脂が硬化薄層における多孔質の小孔に入り込んで充填され、両樹脂の接触間において境界が存在する。
金属粉末の酸化に際して、金属酸化物の着色を考慮することが必要である。例えば、酸化物が白色である金属シリコン、アルミニウム、亜鉛、マグネシウムなどの微粉末は光拡散層8の主成分とすることができ、酸化物が黒色の酸化クロムや酸化銀などの微粉末は光吸収のために少量添加できる。有彩色になる酸化銅や酸化ニッケルの微粉末も、少量添加することが可能である。一般に、金属粉末は、金属シリコンおよびアルミニウム微粉末であると好ましい。
光拡散層8の厚みは通常50〜400μmであり、一般に、反射型スクリーンは、透過光を多くする透過型スクリーンよりも厚く、低反射の画像形成シートでは光反射を抑制するためにより薄くなる。このため、透明バインダの塗布回数は、所望の厚みに応じて選択し、例えば、低反射の画像形成シートでは7〜15回、透過型スクリーンでは30〜70回、反射型スクリーンでは40〜100回であることが望ましい。
映写スクリーン1は、基材に合わせガラス板を用い、両ガラス板の接合に用いる接着用樹脂の厚みを薄くできれば不燃性となり、このために加熱ロールプレスで接合すると好ましい。硬化した光拡散層8は、酸化金属結合した多孔質拡散層であるから、ロールプレスの圧力に耐えることができる。合わせガラス板の接合には、接着用樹脂として、通常、厚さ1mm以上の両面接着フィルムを介在させる。ロールプレスによる加熱・加圧接合により、合わせガラス板間から余分の接着用樹脂分がしみ出し、これを除去するとガラス板間の有機成分が殆ど排出され、樹脂接着層が非常に薄くなる。接着樹脂分が少ないことにより、燃焼試験の際にガラス板間に発生する有機ガス量が少なく、発生ガス圧の上昇がきわめて少ないことで合わせガラス板が割れることを回避でき、得た映写スクリーン1は透過型の不燃性スクリーンとなる。
映写スクリーン1が不燃性スクリーンであると、多人数が集まり且つ換気が不完全になるので不燃処理が要求される場所にも設置することが可能である。従来の合わせガラス板のスクリーンは、光拡散層がビーズなどで加熱・加圧できないため、ガラス板間に接着フィルムを介在させ、真空炉で合わせガラスを作製しており、この場合には接着フィルムの厚みは殆ど減少せず、接着後でも厚さは1mm以上のままである。このようなスクリーンを燃焼試験すると、たとえ難燃性の接着フィルムを使用しても、高熱環境下において接着フィルムがガス化しやすく、ガラス板間で発生ガス圧が上昇して合わせガラスを割り、引火が発生することで不燃基準に到達できない。
映写スクリーン1は、図3に例示するように、キャスタ30を有する金属フレームの架台32に取り付けると移動可能となる。映写スクリーン1の後方に液晶プロジェクタ34を配置し、該プロジェクタから画像を投写する。映写スクリーン1の光拡散層8において、観察者22の側から鮮明でコントラストが高い投写像を見ることができる。この際に、光拡散層8に入射した光の一部は、多孔質の小孔を通過することなく、該光拡散層の内部を直進して観察者22に至るけれども、酸化アルミニウムと酸化シリコンの添加量が多いことにより、入射した垂直光のごく一部が光拡散層8をそのまま通過するにすぎない。
一方、多孔質の小孔に入射した光は、その狭い間隔の小孔を通過する際にホイヘンスの原理によって、通過後にその前方で拡がる回析現象を起こし、多孔質の小孔を通過する光が多いのでスクリーン全体に拡散していく。観察者22がスクリーン1を見ると、該スクリーンで鮮明な投写像を結像するとともに、スクリーン全体が淡い光を放ち、該スクリーンの上下左右端でも殆ど暗くならない。
映写スクリーン1について、その表面の視野角と輝度を測定すると、一般に、光源軸上の光量が100%であれば、視野角45°で光量が80%であった。これに対し、従来のスクリーンでは、視野角45°で光量が1/3〜1/2になり、光量では30〜50%に低下してしまう。映写スクリーン1は、視野角175°でも光量が1/3以上であり、どの視野角でも光量が1/3以下にならず、光拡散性が非常に優れている。
図4の使用例では、映写スクリーン1をプロジェクションテレビに組み込んでいる。テレビ受像機36において、スクリーン1を受像機前面に垂直に取り付ける。所望に応じて、その後側にフレネルレンズシート14を重合接着することも可能である。テレビ受像機36内の下方上向きに設置したプロジェクタ38から出た投影光は、受像機後方の鏡39で全反射され、スクリーン1を通過して画像が投写される。
テレビ受像機36において、プロジェクタ38は任意の市販製品であればよく、厚いフレネルレンジシート14を接着するならば、補強用のプラスチックシート12は不要である。プロジェクションテレビ受像機36は、40〜90インチのような大型化がきわめて容易であり、通常のブラウン管または液晶テレビ受像機に比べて鮮明な画像を投写することができる。
図5には別の使用例を示し、反射型スクリーン15の形成について大型の白壁面16を利用する。壁面16には、下地層18としてアルミニウム微粉末を分散した樹脂を塗布し、その厚みは約100μmである。反射型スクリーン15では、壁面16および下地層18が基板に相当する。
反射型スクリーン15の透明バインダとして、前記と同様に製造したアルミニウム微粉末60重量%、微量のクロム微粉末および金属シリコン微粉末40重量%を含む金属粉末をアクリル樹脂に分散させ、さらにアルコール水溶液を適量加えて液状化する。この透明バインダをスプレーガンによって基材2の表面に塗布し、1回の塗布ごとに約250℃の熱風を当てて塗布面を乾燥する。この塗布・加熱乾燥の作業を80回繰り返し、厚さ400μmの光拡散層20を形成する。
透明バインダの塗布・加熱乾燥により、アルミニウム微粉末は白色の酸化アルミニウム、クロム微粉末は黒色の酸化クロム、シリコン微粉末は酸化ケイ素になり、金属粉末の体積が酸化によって僅かに膨張することにより、個々の金属粉末を含む薄層中の微小空間同士が連通し、塗布バインダ薄層が多孔質になる。塗布バインダ薄層の上に、次の層になる透明バインダの塗布すると、該バインダの樹脂が、該薄層における多孔質の小孔に入り込んで充填される。
光拡散層20では、80回の塗布作業と高温熱風の乾燥作業とを繰り返すことにより、層中の金属粉末はほぼ均等に分散され且つ酸化される。得た光拡散層20は、均一に酸化アルミニウムによって白色であり、酸化クロムによって黒点が広く分散した態様になる。黒色の酸化クロムは、透明プラスチックのティント処理と同様の効果を有し、投写光源が有する可視光線の波長以外である蛍光灯や太陽光線などの光がスクリーン表面から反射されることを抑制する。
反射型スクリーン15では、観察者22と同じ側に液晶プロジェクタ24を配置し、該プロジェクタから画像を投写する。光拡散層20に入射した光のごく一部は、多孔質の小孔を通過することなく、該光拡散層の内部で反射されて観察者22に至る。一方、多孔質の小孔に入射した光は、その狭い間隔の小孔を通過する際に、通過後にその前方で拡がる回析現象を起こし、多孔質の小孔を通過する光が多いのでスクリーン全体に拡散していく。観察者22がスクリーン15を見ると、該スクリーンで鮮明な投写像を結像するとともに、該スクリーンの上下左右端でも暗くならない。スクリーン15は、どの視野角においても光量が1/3以下にならず、光拡散性が非常に優れている。
図6は、さらに別の使用例であり、店舗のショーウィンドー25の内面に接着した低反射の画像形成シート26を示し、該シートの基材として厚さ200μmのポリエステル樹脂板を用いる。透明バインダとして、前記と同様にアルミニウム微粉末10重量%、微量のクロム微粉末および金属シリコン微粉末90重量%を含む金属粉末をアクリル樹脂に分散させ、さらにアルコール水溶液を適量加えて液状化する。この透明バインダをスプレーガンによってシート26の表面に塗布し、1回の塗布ごとに約180℃の熱風を当てて塗布面を乾燥する。この塗布・加熱乾燥の作業を10回繰り返し、所定の光拡散層を形成する。
画像形成シート26は、アクリル系樹脂の透明樹脂液を介してショーウィンドー25に接着する。ショーウィンドー25の内側にプロジェクタ27を設置し、画像形成シート26へ画像を投写すると、顧客28はショーウィンドー25の前方からその投写像を明確に見ることができる。一方、画像投写していないときは、薄い画像形成シート26は全く素通しであり、ショーウィンドー25に違和感はない。
画像形成シート26は、投写像の鮮明さの点において、シリカなどの光拡散材を添加した光拡散層または凹凸層を有する透明スクリーンよりも優れている。これらの透明スクリーンでは、凹凸面に接着剤を塗布して平滑化してしまうと、光の拡散機能が低下してスクリーンとして使用できなくなるが、シート26ではこのような問題は発生しない。
図6に例示するように、映写スクリーンを画面形成シート26として、該シートを店舗のショーウィンドー25などの内面に接着する際に、該シートの素材は比較的安価で透明に近いポリエステル樹脂板であればよい。このプラスチックシートは、その厚みが通常50〜500μmであり、厚さ50μm未満では貼着作業が困難になるうえに引張り強度が問題になりやすく、500μmを超えても曲がりにくくなるだけで不経済である。
図示しないけれども、映写スクリーンは、円筒形や平面半円形状などに湾曲させて使用することができ、このような特殊用途の場合には、測定角度が90°近くになっても最高輝度の約1/3以上あることが望ましい。このような映写スクリーンでは、全方向視認可能な広告塔などに用いて宣伝効果を高めることができる。この映写スクリーンは、円筒状に湾曲し、スクリーン内側からプロジェクタで投写すると、該スクリーンの外側において、映像を一方の湾曲端から他方の湾曲端まではっきりと見ることができる。また、この映写スクリーンを内側に湾曲させ、外側からプロジェクタで湾曲スクリーンに投写すると、該スクリーンの内側において、湾曲の中央部にいる人も左右の端にいる人も映像を明確に視認できる。
本発明に係る映写スクリーンは、約30インチから200インチ程度の大型まで視野角が広くて投写像が画面の隅々まで鮮明であり、透過型または反射型などのいずれも適用できるから、街頭スクリーン、広告表示板、プロジェクションテレビなどの用途に適応させることが容易である。本発明の映写スクリーンにおける光拡散層は、微細な金属粉末を含む透明バインダが繰り返し塗布され、薄層ごとの加熱乾燥で金属粉末が酸化されて密度が均一に高くなり、青色光を含む投写光は光拡散層を透過しやすく且つ表面で十分に拡散されて拡がって進み、高価なフレネルレンズシートやレンチキラーレンズを併用しなくても、従来品と比べてスクリーン全体が均等に明るくなる。
本発明の映写スクリーンにおいて、光拡散層となる透明バインダに含まれる金属粉末は、平均粒径が2〜20μmであって粒径が約1μmのものを含んで非常に微細であり、しかも比較的多量に添加されるのでスクリーンの光透過性と光拡散性が良好になる。本発明の映写スクリーンでは、背面や前面からプロジェクタで投写すると投写像のコントラストが高く、細かい投写画素数であっても光の干渉によって生じるモアレ現象が殆ど発生しない。本発明の映写スクリーンは、表面が白色であって、投写光源が有する可視光線の波長以外の蛍光灯や太陽光線などがスクリーン表面で反射されることも少なく、投写画像の鮮明さを十分に維持できる。
本発明に係る映写スクリーンは、例えば、基板に合わせガラス板を用い且つ金属粉末を添加する透明バインダで光拡散層を形成すると、加熱ロールプレスで接合するだけで不燃性にすることが可能である。この映写スクリーンは、合わせガラス板間での接着用樹脂が少ないことにより、燃焼試験の際にガラス板間に発生する有機ガス量が少なく、発生ガス圧の上昇がきわめて少ないことで合わせガラス板が割れることを回避できる。不燃性スクリーンは、空港構内、地下鉄駅構内や地下街などで不燃処理材の使用が法で規定されている場所に設置することが可能であり、大型スクリーンによって客の注意喚起や誘導、さらに広告・宣伝効果を高めることができる。
次に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。図1に示す映写スクリーン1において、基板2は、メタクリル酸メチル単独重合体である厚さ4mmの透明アクリル板であり、その大きさは1800×1000mmで90インチである。
映写スクリーン1を製造するに際し、図2に示すような微粉末製造装置3を用いる。製造装置3において、2本の金属シリコン柱材5,6を油中に浸漬し、両柱材を垂直方向で同軸状に配置して強く圧接する。下方の柱材6を固定した状態で、上方の柱材5を長時間回転すると、金属接触面7における金属シリコン柱材の磨耗によって金属シリコン微粉末が油中に分散していく。
この金属シリコン微粉末は、加熱によって直ちに酸化反応を起こして酸化されやすい。次に、油中に金属シリコン微粉末を含む装置3にアルコール溶液を加え、該アルコール溶液によって油から金属シリコン微粉末を分離する。この溶剤を除去すると、平均粒径が2.0μmである楕円形断面の金属シリコン微粉末を得る。金属シリコンは、灰色の金属光沢をもった結晶の高純度ケイ素であり、半導体素子材料として多目的に使用されている。
透明バインダとして、前記の金属シリコン微粉末90重量%、金属シリコン微粉末と同様に製造したアルミニウム微粉末10重量%および微量のクロム微粉末を含む金属粉末をアクリル樹脂に分散させ、さらにアルコール水溶液を適量加えて液状化する。この透明バインダをスプレーガンによって基材2の表面に塗布し、1回の塗布ごとに約180℃の熱風を当てて塗布面を乾燥する。この塗布・加熱乾燥作業を60回繰り返し、厚さ300μmの光拡散層8を形成した。
透明バインダを薄層ごとに塗布・加熱乾燥することにより、樹脂中の水分が金属粉末と酸化反応し、金属粉末の体積が酸素結合によって僅かに膨張し、硬化した薄層は多孔質になる。この酸化反応により、シリコン微粉末は白色の酸化ケイ素、アルミニウム微粉末は白色の酸化アルミニウム、クロム微粉末は黒色の酸化クロムになる。光拡散層8について、60回の塗布作業と高温熱風の乾燥作業とを繰り返すことにより、層中の金属粉末はほぼ均等に分散され且つ酸化される。光拡散層8は、酸化ケイ素および酸化アルミニウムによって白色であり、酸化クロムによって黒点が広く分散した態様になる。黒色の酸化クロムは、光吸収の効果を有し、投写光源が有する可視光線の波長以外である蛍光灯や太陽光線などの光がスクリーン表面から反射されることを抑制する。
硬化した光拡散層8の上には、難燃性の尿素系樹脂である透明の液状接着剤を厚さ0.5μm以下塗布すると、該バインダの樹脂は硬化薄層における多孔質の小孔に入り込んで充填される。さらに、接着用樹脂である両面粘着フィルム10を介して、補強用のプラスチックシート12を全面に重ね合わせ、ロールプレスによって接合する。プラスチックシート12は基材2と同じ厚さ4mmの透明アクリル板である。この結果、厚さ9mmで自立可能である90インチの映写スクリーン1を得る。
得た映写スクリーン1は、低輝度タイプの透過型スクリーンであり、色彩輝度計(BM−7A)を用いて屋内照明で測定した各視野角における輝度を下記の表1に示す。基準のホワイトマットフロントタイプの測定輝度は990cd/mであり、ホワイトマットのスクリーンゲインは0.9である。映写スクリーン1で加えた酸化クロムの代わりに、基板2および/またはプラスチックシート12に超微粉末のカーボンブラックを数千ppm以下加えるティント処理を行ってもよい。
Figure 2010026286
映写スクリーン1は、最高輝度が728.2cd/mであるので低輝度タイプであるけれども、測定角度が85°でも輝度が414.2cd/mであり、視野角による輝度の低下が非常に小さい。したがって、映写スクリーン1は、視野角が非常に広いことが判る。
また、スクリーンゲイン(反射輝度)について、表1における測定角度0で0.662であるから、スクリーンゲインの1/2値は0.331、1/3値は0.220であった。映写スクリーン1は、どの測定角度においてもスクリーンゲインの1/2値を上回っているから、どの位置から見ても画面の明るさが均一であり、画面の隅で暗くなったり、色むらを起こすことがない。
映写スクリーン1は、測定角度が90°近くになっても最高輝度の半分近くあるから、該スクリーンを円筒状に湾曲し、スクリーン内側からプロジェクタ複数台で360°投写すると、該スクリーンの外側において、一方の湾曲端から他方の湾曲端まで映像がはっきりと見える。また、映写スクリーン1を内側に湾曲させ、外側からプロジェクタで投写すると、該スクリーンの内側において、湾曲の中央部にいる人も左右の端にいる人も映像を明確に視認できる。このように映写スクリーン1は変形可能であるから、特殊な広告塔などに用いて宣伝効果を高めることができる。
映写スクリーンを実施例1と同様に処理して製造するが、光拡散層となる透明バインダの中にクロム微粉末を添加しない。透明バインダの塗布・加熱乾燥作業を30〜34回繰り返し、厚さ150〜170μmの光拡散層を形成した。
実施例2で得た映写スクリーンは、中輝度タイプの透過型スクリーンであり、各視野角における輝度を下記の表2に示す。
Figure 2010026286
実施例2で得た映写スクリーンは、最高輝度が1060cd/mであるので中輝度タイプであるけれども、測定角度が−85°でも輝度が357.0cd/mであり、視野角による輝度の低下が小さい。したがって、この映写スクリーンは、視野角が相当に広いことが判る。
また、スクリーンゲイン(反射輝度)について、表2における測定角度0で0.963であるから、スクリーンゲインの1/2値は0.481、1/3値は0.321であった。この映写スクリーンは、どの測定角度においてもスクリーンゲインの1/3値を上回っているから、どの位置から見ても画面の明るさがほぼ均一であり、画面の隅で暗くなったり、色むらを起こすことがない。
映写スクリーンを実施例1と同様に処理して製造するが、基板1および保護ガラス板(シート12に相当)として、厚さ4mmのガラス板を用いる。実施例1で製造した透明バインダの塗布・加熱乾燥作業を60回繰り返し、厚さ300μmの光拡散層を形成した。
硬化した光拡散層8の上には、難燃性の尿素系樹脂である透明の液状接着剤を厚さ0.5μm以下塗布し、厚さ1mm以上の両面接着フィルムを介して、保護ガラス板を重ね合わせ、加熱ロールプレスによって接合する。この加熱接合により、余分の接着フィルム分がしみ出し、これを除去すると樹脂接着層が非常に薄く、厚さ0.5mm以下になる。合わせガラス板間で接着樹脂分が少ないことにより、得た映写スクリーンは透過型の不燃性スクリーンとなる。
実施例3で得た映写スクリーンは、低輝度タイプである透過型の不燃性スクリーンであり、各視野角における輝度を下記の表3に示す。
Figure 2010026286
実施例3で得た映写スクリーンは、最高輝度が728.2cd/mであるので低輝度タイプであるけれども、測定角度が−85°でも輝度が221.2cd/mであり、視野角による輝度の低下が小さい。したがって、この映写スクリーンは、視野角が相当に広いことが判る。
また、スクリーンゲイン(反射輝度)について、表3における測定角度0で0.682であるから、スクリーンゲインの1/2値は0.341、1/3値は0.227であった。この映写スクリーンは、測定角度−85°を除いてスクリーンゲインの1/3値を上回っているから、どの位置から見ても画面の明るさがほぼ均一であり、画面の隅で暗くなったり、色むらを起こすことがない。
比較例
市販の透過型スクリーンについて、各測定角度において輝度とスクリーンゲイン値を測定した。このスクリーンは、光の透過率が高いアクリルキャスト板からなり、該キャスト板は水槽用パネルと同じ材質のメタクリル樹脂である。光拡散層は、光を効率良く拡散する極微粒子のディフューザであり、2枚のアクリルキャスト板の間に均一な層厚で重合接着されている。プロジェクタからスクリーンへの入射光は、中間の光拡散結像層で拡散されるので、スクリーン板厚の中央で入射光の拡散が起きる。
Figure 2010026286
比較例の映写スクリーンは、最高輝度が979.3cd/mであるので中輝度タイプであるけれども、測定角度が−85°で輝度が69.4cd/mに低下しており、視野角による輝度の低下が非常に大きい。この映写スクリーンは、視野角が45°でも輝度が半分以下に低下してしまうので、視野角が非常に狭いことが判る。
また、スクリーンゲイン(反射輝度)について、表4における測定角度0で0.890であるから、スクリーンゲインの1/2値は0.445、1/3値は0.296であった。この映写スクリーンは、測定角度が50°を越えるとスクリーンゲインの1/3値を下回ってしまうから、画面の明るさが不均一であり、画面の隅で暗くなったり、色むらを起こすことが生じる。
本発明に係る映写スクリーンを分解して示す部分拡大断面図である。 本発明で用いるアルミニウム微粉末の製造装置を示す概略断面図である。 本発明の映写スクリーンの一使用例を示す概略側面図である。 本発明の他の使用例であるテレビ受像機を示す概略側面図である。 本発明の別の使用例である反射型スクリーンを示す概略側面図である。 本発明のさらに別の使用例である画像形成シートを示す概略側面図である。
符号の説明
1 映写スクリーン
2 基材
3 微粉末製造装置
8 光拡散層
12 プラスチックシート
15 反射型スクリーン
18 下地層
20 光拡散層

Claims (6)

  1. 基板および光拡散層の素材に応じて透過型または反射型のいずれにも適用可能な大型の映写スクリーンであって、基板は透明プラスチックまたはガラス板であり、平均粒径が2〜20μmの金属粉末を液状樹脂に分散させた透明バインダを用い、該透明バインダの塗布・加熱乾燥を少なくとも5回以上繰り返して厚さ50〜400μmの均一な光拡散層を基板の表面に形成する映写スクリーン。
  2. 液状樹脂に添加する金属粉末は、主成分が金属シリコンおよびアルミニウム微粉末である請求項1記載のスクリーン。
  3. アルミニウム微粉末は、透過型スクリーン用の透明バインダの場合には含有量が20重量%以下であり、反射型スクリーン用の透明バインダの場合には含有量が50重量%以上である請求項1または2記載のスクリーン。
  4. 基板の厚さが2〜12mmであるガラス板を用い、金属シリコン微粉末を含む透明バインダを複数回塗布・乾燥させ、白色化した光拡散層を形成し、さらに該光拡散層の表面に接着用樹脂を配置してから、保護ガラス板を重合して加熱ロールプレスで全体を一体化させ、この際に余分の接着用樹脂分がしみ出しによって除去されて樹脂接着層が薄くなることにより、透過型の不燃性スクリーンを得る請求項1または2記載のスクリーン。
  5. 透過型のスクリーンにおいて、視野角が比較的広い低輝度タイプで光拡散層の厚みは250μm以上、中輝度タイプで光拡散層の厚みは130〜200μm、視野角が比較的狭い高輝度タイプで光拡散層の厚みは120μm以下である請求項1または4記載のスクリーン。
  6. 2本の金属材を油中で圧接した状態でその一方を摺動させることにより、接触金属面における金属の磨耗によって金属微粉体を油中に分散させ、この金属微粉体を溶剤で油から分離し、この金属微粉体を含む溶剤を液状樹脂に添加して透明バインダを形成し、この透明バインダを基板に塗布して乾燥する映写スクリーンの製造法。
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