JP2013076008A - ポリスチレン系樹脂組成物、及び、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリスチレン系樹脂発泡シートの形成に用いられ、該ポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させるのに際してサーキュラーダイ、又は、フラットダイから押出発泡させて用いられるポリスチレン系樹脂組成物であって、グリセリンとトリメチロールプロパンとの内の少なくとも一方がポリスチレン系樹脂とともに含有されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物を提供する。
【選択図】 なし
Description
このような部材の製造に際しては、前記ダイの吐出口の周囲に“メヤニ”と呼ばれる付着物が形成されることが知られている(下記特許文献1参照)。
この付着物は、溶融状態の樹脂組成物が吐出口から吐出されるのに際して該吐出口のエッジとの間に生じるせん断力によって樹脂組成物に含まれている成分の一部が該吐出口の周囲に堆積して生じるものであると考えられている。
また、この付着物は、通常、溶融状態の樹脂組成物が流動している箇所の直近で生じるために、一般には部材を製造し続けながら除去しようとすると、溶融樹脂に触れて製品が不良品となるおそれがある。
従って、安全にメヤニを除去して、上記のような問題が生じることを防止しようとすると付着物がある程度溜まった段階で部材の製造を中断して除去作業を行わなければならず、部材の製造効率の面からもその発生を防止することが求められている。
即ち、メヤニは、何時どのような形で発生するかが予測することが困難で、従来の対策としては、多くの場合、部材の製造時において対処療法的な措置が講じられているに過ぎず、具体的な予防方法が見出されてはいない。
すなわち、ポリスチレン系樹脂組成物に係る本発明は、ポリスチレン系樹脂発泡シートの形成に用いられ、該ポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させるのに際してサーキュラーダイ、又は、フラットダイから押出発泡させて用いられるポリスチレン系樹脂組成物であって、グリセリンとトリメチロールプロパンとの内の少なくとも一方がポリスチレン系樹脂とともに含有されていることを特徴としている。
従って、ポリスチレン系樹脂発泡シートの製造をメヤニ除去のために中断させることを防止でき、効率よくポリスチレン系樹脂発泡シートを作製することができる。
まず、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法においては、ポリスチレン系樹脂とともにグリセリンとトリメチロールプロパンとの内の少なくとも一方が含有されているポリスチレン系樹脂組成物をサーキュラーダイ、又は、フラットダイから押出発泡させてポリスチレン系樹脂発泡シートを作製する。
本実施形態において用いるポリスチレン系樹脂組成物には、ベース樹脂となるポリスチレン系樹脂、及び、メヤニ防止剤(グリセリンとトリメチロールプロパンとの内の少なくとも一方)の他に、他の樹脂材料、気泡調整剤、顔料といった各種添加剤を含有させうる。
さらに、本実施形態においては、これらの単量体以外の単量体を含有するコポリマーを前記ポリスチレン系樹脂組成物のベース樹脂を構成させるためのポリスチレン系樹脂として採用し得る。
なお、耐衝撃性ポリスチレン樹脂(HIPS)とは、前記スチレン系単量体以外にブタジエンなどのゴム成分を含有するものであり、例えば、該ゴム成分がスチレン系単量体と共重合しているコポリマーや、該コポリマーと他のホモポリマーあるいはコポリマーとのブレンド樹脂として市販されているものなどを採用することができる。
また、汎用ポリスチレン樹脂(GPPS)とは、添加剤等を除いて樹脂成分が実質上スチレンモノマーのみで構成されたものである。
これらのポリスチレン系樹脂は、いずれも、多くの種類が市販されており、求める特性のものが入手容易であるばかりでなく比較的安価である点においても好適である。
このリサイクル原料としては、ポリスチレン系樹脂発泡シートや該ポリスチレン系樹脂発泡シートに各種樹脂フィルムが積層されてなる積層シートを成形加工して成形品を得る上において排出される端材や不良品、用済み後に回収された成形品、及び、成形品の形成に用いられずに不要となったポリスチレン系樹脂発泡シートや前記積層シートなどが挙げられる。
従って、本実施形態のポリスチレン系樹脂組成物としては、本発明の効果をより顕著なものとし得る点において、ポリオレフィン系樹脂を含有させたものが好ましい。
この相溶化剤としての機能を期待できる樹脂としては、分子内に不飽和結合を有するスチレン系熱可塑性エラストマーを水素化した水素化物が挙げられ、該水素化物としては、通常SBBSと呼ばれている水素化されたスチレン―ブタジエン―ブチレン―スチレン共重合体、SEBSとも呼ばれている水素化されたスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、水素化されたスチレン−イソプレン−スチレン共重合体等が好ましく、中でもSBBSやSEBSが特に好ましい。
さらに、高分子型帯電防止剤としては、エチレン−メタクリル酸共重合体などのアイオノマー樹脂も採用が可能である。
また、前記ポリオレフィン系樹脂を含有させる場合には、前記ポリスチレン系樹脂と前記ポリフェニレンエーテル系樹脂との合計を100質量部とした際に、通常、1質量部以上30質量部以下となるように含有され、1質量部以上20質量部以下となるように含有されることが好ましい。
また、さらに前記相溶化剤を含有させる場合には、前記ポリオレフィン系樹脂との比率が0.1倍〜1倍となるように含有させることができる。
なお、これらポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及び、スチレン系熱可塑性エラストマーの水素化物に限らず、その他の樹脂を必要に応じてポリスチレン系樹脂組成物に含有させることができる。
即ち、本実施形態においては、ポリスチレン系樹脂組成物にグリセリンのみをメヤニ防止剤として含有させても、トリメチロールプロパンのみをメヤニ防止剤として含有させても、両方をメヤニ防止剤として含有させても良い。
なお、ポリスチレン系樹脂組成物におけるメヤニ防止剤の含有量としては、前記ベース樹脂を構成するポリスチレン系樹脂の種類や、前記のその他の樹脂の種類や量などによっても異なるが、全樹脂を100質量部とした際に、通常、0.001〜0.02質量部とされ、好ましくは0.003〜0.01質量部とされる。
このメヤニ防止剤は、例えば、前記ベース樹脂と同じか、又は異なるポリスチレン系樹脂を用いたマスターバッチの形で利用することができる。
その中でも前記気泡調整剤としては、特にタルクが好ましい。
なお、気泡調整剤は単独で用いても二種以上を併用してもよい。
この種の発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウムとクエン酸の混合物などが挙げられる。
特に、サーキュラーダイにおいては、筒状に押出されるポリスチレン系樹脂発泡シートの外周側においては、押出発泡を実施しながら吐出口周りに付着したメヤニを除去することができたとしても、内周側のメヤニは実質上取り除くことが不可能である。
本実施形態におけるポリスチレン系樹脂組成物は、その効果をより顕著に発揮させる上においてサーキュラーダイからの押出発泡に使用されることが好ましい。
なお、本実施形態のポリスチレン系樹脂発泡シートを積層シートとするのに際しては、前記ポリスチレン系樹脂組成物と樹脂フィルムを形成させるための樹脂とを共押出して作製することもできる。
1)HRM48N:
東洋スチレン社製、GPPS、商品名「HRM48N」、MFR(H)=2.2g/10min
2)リサイクル原料(以下、R−PS):
使用済みのポリスチレン系樹脂発泡成形体、例えば、魚箱、家電緩衝材、食品包装用トレーなどを回収し、リモネン溶解方式や加熱減容方式によって再生したリサイクル原料
3)MK400:
三井・ディポンポリケミカル社製、高分子型帯電防止剤(主成分:アニオン性特殊樹脂)、商品名「エンティラMK400」、MFR(M)=2g/10min以上、MFR(D)=1.5g/10min
4)グリセリン
5)TMP:
トリメチロールプロパン
なお、上記における「MFR(M)」とは、JIS K 7210の条件M(温度230℃、公称荷重2.16kg)で測定した値であることを意味し、「MFR(H)」とは、JIS K 7210の条件H(温度200℃、公称荷重5.00kg)で測定した値であることを意味し、「MFR(D)」とは、JIS K 7210の条件D(温度190℃、公称荷重2.16kg)で測定した値であることを意味する。
シート状のポリスチレン系樹脂発泡体を作製するために第一押出機と第二押出機の2台の押出機からなるタンデム押出機を使用し、第二押出機の出口にサーキュラーダイを取り付けた。
下記、表1に示すようにブレンドされた各配合を第一押出機と第二押出機とが連結されたタンデム型押出機の第一押出機に供給し、第一押出機及び、第二押出機で溶融・混練した後、押出機先端部に装着したサーキュラーダイより円筒状に押出発泡させた。
なお、上述した方法でポリスチレン系樹脂をシート状に成形した際の1m当たりのメヤニ発生個数を測定し、5個/1m以下を合格とした。
また、シート成形時の引取ロールにメヤニ防止剤がブリードアウトし、剥がれた汚れがシートに転写することで、発泡後の表面外観を損なうことがある。
そこで、シートを25m成形したときにシートへのロール汚れの転写を目視で確認できなければロール汚れも合格(判定「○」)とした。
その評価結果を表1に示す。
ただし、表からも分かるように、過度に配合すると、ロールによる汚れが生じるなど、別の問題が生じるおそれがあることから、その使用量は必要最小限にとどめておくことが好ましい。
Claims (6)
- ポリスチレン系樹脂発泡シートの形成に用いられ、該ポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させるのに際してサーキュラーダイ、又は、フラットダイから押出発泡させて用いられるポリスチレン系樹脂組成物であって、
グリセリンとトリメチロールプロパンとの内の少なくとも一方がポリスチレン系樹脂とともに含有されていることを特徴とするポリスチレン系樹脂組成物。 - ポリオレフィン系樹脂がさらに含有されている請求項1記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエーテル系ブロックとポリオレフィン系ブロックとのブロック共重合体である請求項2記載のポリスチレン系樹脂組成物。
- サーキュラーダイ、又は、フラットダイからポリスチレン系樹脂組成物を押出発泡させてポリスチレン系樹脂発泡シートを製造するポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法であって、
グリセリンとトリメチロールプロパンとの内の少なくとも一方をポリスチレン系樹脂とともに含有しているポリスチレン系樹脂組成物を前記押出発泡させることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。 - 前記ポリスチレン系樹脂組成物には、ポリオレフィン系樹脂がさらに含有されている請求項4記載のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリエーテル系ブロックとポリオレフィン系ブロックとのブロック共重合体である請求項5記載のポリスチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
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