JP2013075272A - アジリジン化合物の製造用触媒およびアジリジン化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、本願発明は上記の通り。特定組成を有し、かつ酸強度の量と塩基強度の量の比が特定比となる触媒であり、アルカノールアミンの接触気相分子内脱水反応によりアジリジン化合物を製造することにおいて、従来の触媒に較べ、アジリジンへの選択性を高くすることができる技術を提供することができるものである。
【解決手段】本発明は、特定の触媒組成で示され、更に酸量(200−500℃)/塩基量(200−500℃)が0.01以上、5以下であることを特徴とするアジリジン化合物製造用触媒である。
【選択図】図1
【解決手段】本発明は、特定の触媒組成で示され、更に酸量(200−500℃)/塩基量(200−500℃)が0.01以上、5以下であることを特徴とするアジリジン化合物製造用触媒である。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルカノールアミンを触媒の存在下に気相分子内脱水反応しアジリジン化合物を製造する方法に関するものである。
アルカノールアミンからアジリジン化合物を製造する方法としては、液相中でアルカノールアミンの硫酸エステルを濃アルカリで処理しアジリジン化合物を製造する方法が一般的によく知られており、この方法はエチレンイミンの製造方法として既に工業化されている。この方法は、副原料として硫酸及びアルカリを大量に用いるため生産性が低く、更には利用度の広い無機塩が大量に副生し、工業的には多くの欠点を有するものである。
最近、このような液相法の欠点を解決すべく、副原料を全く用いずにアルカノールアミンを触媒の存在下、気相分子内脱水反応により直接アジリジン化合物を製造する試みがいくつか報告され、触媒組成としては、ケイ素と、アルカリ金属、アルカリ土類金属と、ホウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、亜鉛とを組み合わせたもの(引用文献1)、酸化ケイとアルカリ金属等と、チタン、ジルコニウム、スズ等を用いた触媒、またケイ素、アルミナ等の担体に、金、銀、クロム、モリブデン、ジルコニウム等を担持した触媒、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はランタニド群を用いたもの(引用文献2)、カルシウムアパタイトと、アルカリ金属、マグネシウム、バリウム、リン、チタン、ジルコニウム、モリブデン等を用いた触媒(引用文献3)がある。
また、触媒となる酸化物における酸点と酸塩基強度に着目しこれらを限定したものがある(引用文献4)。
上記先行技術には多くの触媒組成及び触媒物性が示されているが、今だ十分に触媒組成及び物性を活用しておらず、アジリジン選択性において十分とは言いがたいものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討の結果、下記技術を見出し、発明を完成するに至ったものである。本発明は以下の通り特定されるものである。
下記一般式(I)で示される活性成分を担持した触媒が、NH3−TPDで求めた脱離温度200〜500℃の酸量を酸量(200−500℃)、CO2−TPDで求めた脱離温度200〜500℃の塩基量を塩基量(200−500℃)とした場合、塩基量(200−500℃)に対する酸量(200−500℃)の比(以下、酸量(200−500℃)/塩基量(200−500℃)とする)が0.01以上、5以下であることを特徴とするアジリジン化合物製造用触媒である。
更には上記触媒を用いて下記一般式(II)で表されるアルカノールアミンの接触気相分子内脱水反応により下記一般式(III)で示されるアジリジン化合物を製造することを特徴とするアジリジン化合物の製造方法である。
本願発明は上記の通り。特定組成を有し、かつ酸強度の量と塩基強度の量の比が特定比となる触媒であり、アルカノールアミンの接触気相分子内脱水反応によりアジリジン化合物を製造することにおいて、従来の触媒に較べ、アジリジンへの選択性を高くすることができる技術を提供することができるものである。
本発明の触媒は、下記一般式(I)で示され、更に酸量(200−500℃)/塩基量(200−500℃)が0.01以上、5以下であることを特徴とするアジリジン化合物製造用触媒である。
本発明に用いる触媒成分について以下に説明するが、本発明の効果を奏するものであれば以下のものに限定されるものではない。
ケイ素は触媒において、主に酸化物の形態で存在するが、他の成分との関係で複合酸化物として存在することがある。当該ケイ素源としては、酸化ケイ素、酸化ケイ素のゲル、他に粘土鉱物などケイ素を含む化合物を用いることができる。
ジルコニウムは触媒において、主に酸化物の形態で存在するが、他の成分との関係で複合酸化物として存在することがある。当該ジルコニウム源としては、酸化ジルコニウム、ジルコニウムの硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩素化合物や前記ジルコニウム酸化物の前駆体として酸化ジルコニウムゾル、酢酸ジルコニウムゾル、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニルなどの炭酸塩や部分加水分解生成物を用いることができるが、好ましくは酢酸ジルコニウムである。ジルコニウム量は、Siを1モルとしたときの値aは、0〜1モル(0を除く)、好ましくは0.01〜0.5モルである。なお、酸素はケイ素とジルコニウムが酸化物として存在するので、ケイ素とジルコニウムの存在量により定まるものである。
X成分は、アルカリ金属、アルカリ土類金属であり、原料としては、水酸化物、塩類(硝酸塩、炭酸塩、硫酸塩等)および金属などが用いられる。X成分量は、Siを1モルとしたときの値cは、0.005〜1モルである。
Y成分は、希土類、Ti、V、Nb、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag、Zn、B、Al、Sn、Pb、As、Sb及びBiからなる群から選ばれる少なくとも一種であり、原料としては、塩類(硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩等)、水酸化物および金属などが用いられる。X成分量は、Siを1モルとしたときの値dは、0.005〜1モルである。
Pはリンであり、リン源としてはオルトリン酸、ピロリン酸、メタリン酸、亜リン酸およびポリリン酸等の各種リン酸、五酸化リンおよび前記リン酸の塩類(リン酸アンモニウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等)などが用いられる。リン量はSiを1モルとしてときの値eが、0.01〜1モルである。
なお、酸素の量は、他の成分が主に酸化物であることからそれらに見合う値である。
(NH3−TPD測定方法)
TPD(昇温脱離法)とは、固体の温度を一定速度で連続的に上昇させ、脱離する吸着分子、あるいは分離脱離する表面錯体を測定する事により、物理・化学吸着の状態を分析する手法である。NH3−TPD測定方法は、一定量の触媒にNH3を100℃で吸着させた後、100℃から一定の昇温速度で触媒を加熱し触媒から脱離するNH3をガスクロマトグラフィー、マススペクトル、ガスマススペクトルなどにより測定するものであり、脱離する温度とピークの面積により酸強度と当該酸点の酸量がどの程度であるかを測定することができるものである。
TPD(昇温脱離法)とは、固体の温度を一定速度で連続的に上昇させ、脱離する吸着分子、あるいは分離脱離する表面錯体を測定する事により、物理・化学吸着の状態を分析する手法である。NH3−TPD測定方法は、一定量の触媒にNH3を100℃で吸着させた後、100℃から一定の昇温速度で触媒を加熱し触媒から脱離するNH3をガスクロマトグラフィー、マススペクトル、ガスマススペクトルなどにより測定するものであり、脱離する温度とピークの面積により酸強度と当該酸点の酸量がどの程度であるかを測定することができるものである。
なお、各温度においてピークが重なりブロードとなったときはピーク分離により各温度におけるピークの面積を求める。吸着量は下記式1より求めた。
CO2−TPD測定方法は、一定量の触媒にCO2を100℃で吸着させた後、100℃から一定の昇温速度で触媒を加熱し触媒から脱離するCO2をガスクロマトグラフィー、マススペクトル、ガスマススペクトルなどにより測定するものであり、脱離する温度とピークの面積により塩基度と当該塩基点の塩基量がどの程度であるかを測定することができるものである。
なお、各温度においてピークが重なりブロードとなったときはピーク分離により各温度におけるピークの面積を求める。吸着量は下記式2より求めた。
アジリジンへの転換には、酸点・塩基点が共に必要であり、酸点もしくは塩基点単独ではアジリジンの生成反応はほとんど進行しない。また、脱離温度が100〜200℃に見られる吸着点はブレンステッド酸(塩基)、脱離温度が200〜500℃に見られる吸着点はルイス酸(塩基)に由来し、アジリジン生成反応にはルイス酸点(塩基点)が関与している。さらに、上記NH3−TPDで測定された酸点の量の内、ルイス酸に由来すると考えられる酸量(200−500℃)と、上記CO2−TPDで測定されたルイス塩基に由来すると考えられる塩基量(200−500℃)との比を適正化することで、高選択率なアジリジンが得られることを見出した。適正な塩基量(200−500℃)に対する酸量(200−500℃)の比は0.01以下、5以上、好ましくは0.1以上、1以下、さらに好ましくは0.2以上、0.5以下である。塩基量(200−500℃)に対する酸量(200−500℃)の比は、下式3で表される。
当該担体は、予めケイ素とジルコニウムを複合化して得られるものである。当該担体の調製方法としては、(1)シリカに上記ジルコニウム化合物の水溶液を含浸し、乾燥し、焼成する方法、(2)シリカの微粉体と上記ジルコニウム化合物の微粉体を混合粉砕し焼成する方法、(3)シリカゾルなどの水性液と上記ジルコニウム化合物の水溶液・水性液とを混合し、乾燥し、焼成する方法などがある。当該焼成温度は、120℃〜1000℃である。
当該担体に触媒活性成分を担持することにより当該触媒を得ることができる。好ましくは、当該ケイ素とジルコニウムとを複合させて得られる担体を調製した後、触媒活性成分を担体に担持するものである。ケイ素、ジルコニウム及び触媒活性成分を同時に混合すると、その後の乾燥、焼成の条件によっては本発明が目的とする担体が得られないことがあるからである。
以下に触媒の調製方法を示すと、(1)上記各触媒活性成分の原料を水に溶解し、適宜、アンモニア等でPH調整することで各水酸化物の沈殿とし、ろ過、乾燥、焼成し粉体とした後に、当該担体の粉体と混合し成形することで触媒とする方法、(2)上記各触媒活性成分の原料を水に溶解し、適宜、アンモニア等でPH調整することで各水酸化物の沈殿とし、ろ過、乾燥、焼成し粉体とした後に、当該担体の粉体とを湿式粉砕しスラリーとし、SiC担体、ハニカム等の不活性触媒用構造体に被覆、焼付け担持などする方法(3)上記各触媒活性成分の原料を水に溶解した後、当該担体に含浸し、乾燥、焼成する方法などがある。なお、触媒の焼成温度については、用いる原料の種類にもよるが、300℃〜1000℃の広い範囲をとれ、好ましくは400〜600℃の範囲である。
(アジリジン製造方法)
本発明の方法においては、先ず、一般式(II)で表されるアルカノールアミンを上記触媒の存在下に気相分子内脱水反応(以下、単に「脱水反応」という)させて一般式(III)で表されるアジリジン化合物を生成させる。
本発明の方法においては、先ず、一般式(II)で表されるアルカノールアミンを上記触媒の存在下に気相分子内脱水反応(以下、単に「脱水反応」という)させて一般式(III)で表されるアジリジン化合物を生成させる。
これらのアルカノールアミンに対応して得られる一般式(III)のアジリジン化合物は、それぞれ、エチレンイミン、2−メチル−エチレンイミン、2−メチル−エチレンイミン、2−エチル−エチレンイミン、2−エチル−エチレンイミンである。
上記脱水反応の実施条件については特に制限はなく、従来公知の条件、例えば前記公報などに示されているような条件で実施することができる。具体的には、反応温度は300〜500℃、好ましくは350〜450℃である。反応圧力は常圧、減圧または加圧いずれでもよく、減圧の場合には5〜50kPaで実施するのが好ましい。供給する原料アルカノールアミンは必要に応じて窒素、ヘリウムなどの不活性ガスで希釈してもよく、原料ガス中のアルカノールアミン濃度は反応条件などに応じて適宜決定することができる。なお、脱水反応を減圧下に行う場合には、原料ガス中のアルカノールアミン濃度を90容量%以上とするのがよく、例えば実質的にアルカノールアミンからなる原料ガスを用いて脱水反応を行うのがよい。また、空間速度は、触媒の種類、反応温度、反応圧力などによって異なるので一概に特定できないが、通常10〜20000hr−1(標準状態)が好ましく、特に50〜5000hr−1(標準状態)が好ましい。脱水反応を減圧下に行う場合には、空間速度を50〜2000hr−1(標準状態)とするのが好ましい。
本発明で使用する反応器としては、上記脱水反応が吸熱のため反応熱を供給する必要がある、上記触媒の再生時には燃焼が起こるため発熱があり、その除熱を行う必要があるとの2つの目的のために、固定床流通反応器を用いるのがよく、特に多管式反応器が好ましく用いられる。
以下に実施例により更に発明を詳細に説明するが本発明の趣旨に反さない限り下記実施例に限定されるものではない。なお、選択率は以下に示す式4の定義に従った。
シリカ粉末8.3gに、硝酸ジルコニル36.9gを溶解した水溶液を加え十分に混合した後、乾燥し、1000℃で5時間焼成してケイ素・ジルコニア担体を得た。硝酸セシウム19.0g、水酸化ナトリウム1.0gおよび75重量%リン酸7.3gを水20gに溶解し、120℃で乾燥し、600℃で2時間焼成してZr1Si1Cs0.7Na0.2P0.4組成の触媒を調製した(酸素は他の成分量から定まるので触媒組成表記から除いた)。当該触媒はTPDより酸・塩基の吸着量と強度を測定した。
(反応工程)
触媒3.0mlを内径12mmのステンレス製反応管に充填した後、当該反応管を380℃の溶融塩浴に浸漬し、該反応管内に容量比でモノエタノールアミン:窒素=1:99の原料ガスを空間速度15000hr−1で通し反応した。反応開始から8時間後の反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果を表1に示す。
触媒3.0mlを内径12mmのステンレス製反応管に充填した後、当該反応管を380℃の溶融塩浴に浸漬し、該反応管内に容量比でモノエタノールアミン:窒素=1:99の原料ガスを空間速度15000hr−1で通し反応した。反応開始から8時間後の反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析した。その結果を表1に示す。
(実施例2)
(触媒調製)
硝酸ジルコニル二水和物36.9g、硝酸セシウム13.6g、水酸化ナトリウム2.0gおよび75重量%リン酸5.4gを水20gに溶解し、実施例1において用いたシリカ粉末8.3gと混合し、100℃で乾燥し、400℃で2時間焼成してZr1Si1Cs0.5Na0.4P0.3組成の触媒を調製した(酸素は他の成分量から定まるので触媒組成表記から除いた)。当該触媒はTPDより酸・塩基の吸着量と強度を測定した。
(触媒調製)
硝酸ジルコニル二水和物36.9g、硝酸セシウム13.6g、水酸化ナトリウム2.0gおよび75重量%リン酸5.4gを水20gに溶解し、実施例1において用いたシリカ粉末8.3gと混合し、100℃で乾燥し、400℃で2時間焼成してZr1Si1Cs0.5Na0.4P0.3組成の触媒を調製した(酸素は他の成分量から定まるので触媒組成表記から除いた)。当該触媒はTPDより酸・塩基の吸着量と強度を測定した。
(反応工程)
反応工程は実施例1と同様に反応を行った。反応結果を表1に示した。
反応工程は実施例1と同様に反応を行った。反応結果を表1に示した。
(比較例1)
硫酸マグネシウム粉末を用いてTPDより酸・塩基の吸着量と強度を測定した。
硫酸マグネシウム粉末を用いてTPDより酸・塩基の吸着量と強度を測定した。
(反応工程)
反応工程は実施例1と同様に反応を行った。反応結果を表1に示した。
反応工程は実施例1と同様に反応を行った。反応結果を表1に示した。
(比較例2)
酸化カルシウム1gを1000℃で焼成した後、TPDより酸・塩基の吸着量と強度を測定した。
酸化カルシウム1gを1000℃で焼成した後、TPDより酸・塩基の吸着量と強度を測定した。
(反応工程)
反応工程は実施例1と同様に反応を行った。反応結果を表1に示した。
反応工程は実施例1と同様に反応を行った。反応結果を表1に示した。
本発明は、化学産業、特にアルカノールアミンを触媒の存在下に気相分子内脱水反応しアジリジン化合物を製造するに用いることができるものである。
Claims (2)
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JP2011217756A JP2013075272A (ja) | 2011-09-30 | 2011-09-30 | アジリジン化合物の製造用触媒およびアジリジン化合物の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113042026A (zh) * | 2021-03-30 | 2021-06-29 | 盐城工学院 | 一种用于乙醇胺催化脱水制备氮丙啶的催化剂及其制备方法 |
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2011
- 2011-09-30 JP JP2011217756A patent/JP2013075272A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
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CN113042026A (zh) * | 2021-03-30 | 2021-06-29 | 盐城工学院 | 一种用于乙醇胺催化脱水制备氮丙啶的催化剂及其制备方法 |
CN113042026B (zh) * | 2021-03-30 | 2023-03-03 | 盐城工学院 | 一种用于乙醇胺催化脱水制备氮丙啶的催化剂及其制备方法 |
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