JP2013072422A - 圧縮機、この圧縮機の製造方法、及びこの圧縮機の製造に用いられる治具 - Google Patents

圧縮機、この圧縮機の製造方法、及びこの圧縮機の製造に用いられる治具 Download PDF

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Abstract

【課題】扁平形状の支持配管を挿入部内に位置決めすることができ、支持配管と挿入部との間にクリアランスを形成することもできる圧縮機を提供する。
【解決手段】圧縮機50は、密閉容器3と、密閉容器3の内部に収容され、圧縮室21で冷媒を圧縮する圧縮部10と、密閉容器3を貫通し、圧縮部10の圧縮室21に接続された扁平形状の延長配管43と、密閉容器3の外面側に設けられ、内部に挿入された延長配管43を支持する扁平管42と、を備え、密閉容器3の外面側には、扁平管42が挿入される挿入部41bが形成されたリング41が接合されており、扁平管42は、外周部に形成された複数の凸部42aが挿入部41bに突接することによって位置決めされ、扁平管42と挿入部41bとがろう付け接合されているものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、圧縮機、この圧縮機の製造方法、及びこの圧縮機の製造に用いられる治具に関するものである。
従来より、圧縮機には、密閉容器内に配置された圧縮部の圧縮室に接続された円管状の接続配管が設けられている。例えば、密閉容器内が吐出圧力となる高圧シェル型の圧縮機では、冷凍サイクル回路の低圧側と圧縮室とを接続する接続配管が、密閉容器を貫通して設けられている。また例えば、密閉容器内が吸入圧力となる低圧シェル型の圧縮機では、冷凍サイクル回路の高圧側と圧縮室とを接続する接続配管が、密閉容器を貫通して設けられている。また例えば、複数の圧縮部で冷媒を順次圧縮していく多段の圧縮機では、低段側圧縮部の圧縮室と高段側圧縮部の圧縮室とを接続配管で接続する。このような接続配管には、一部が密閉容器の外部に配置され、両端部が密閉容器に貫通して低段側圧縮部の圧縮室と高段側圧縮部の圧縮室とを接続するものがある。
このような密閉容器を貫通する接続配管の密閉容器から突出した部分は、密閉容器の外面側に設けられた円管状の支持配管の内部に挿入されて支持されている。この支持配管は、密閉容器の外周側に形成された挿入部に一端が挿入され、両者がろう付け接合される。また、接続配管と支持配管も、ろう付けによって接合されている。
また、一方が他方に挿入された円管状の両部材を互いに固定する技術としては、例えば「複数片のコレット部12及びこのコレット部の先端部に形成される複数個の凹凸条部13からなるコレット状型押具1と、ロッド基部21及び上記コレット部内に嵌挿されるテーパ杆22からなるテーパロッド2とで構成されるカシメ冶具10と、頭部に回転可能なねじ込み金具5を有し、筒状金具4の外周部に凹凸管6と開口部端部が嵌め込まれる接続金具20とを備え、カシメ冶具10のコレット部12の先端部の凹凸条部13を、接続金具20の筒状金具4の内周部に位置させ、テーパロッド2を移動させてコレット部12を拡開させて、凹凸管6を内カシメ力により接続金具20に接続する。」というものが提案されている(特許文献1参照)。
特開平7−251228号公報(要約、図4)
例えば、容量の異なる圧縮機において密閉容器を共通化しようとした場合、容量の小さい圧縮機においては、圧縮室の容積を小さくするため、圧縮部の厚みを薄くすることが考えられる。また例えば、圧縮機を圧縮部の厚み方向に小型化するような場合も、圧縮部の厚みを薄くすることが考えられる。このように圧縮部の厚みを薄くした場合、圧縮部の側面側から圧縮室に接続配管を接続させようとすると、円管状の接続配管は圧縮部の厚みに応じて直径が減少し、圧縮室を流通する冷媒の流量を減少させてしまう。このため、圧縮部の厚みを薄くした場合、圧縮室を流通する冷媒の流量の減少を防止するために、扁平形状の接続配管を用いることが考えられる。この場合、扁平形状接続配管を支持する支持配管も、扁平形状となる。
例えば上記のような理由等によって扁平形状の接続配管を圧縮機に用いることが考えられるが、扁平形状の接続配管を用いた場合、円管状の接続配管を用いた従来の圧縮機には無かった以下のような課題が発生する。
従来の円管状の支持配管を挿入部にろう付け接合する場合、支持配管と挿入部との間に浸透したろう材は、毛細管現象によって両者の間に略均一に広がっていく。このため、従来の円管状の支持配管を挿入部にろう付け接合する場合、ろう付け工程中に、支持配管は挿入部内で位置決めされていた。また、円管状の支持配管は、管軸を中心とした回転方向の傾きを考慮する必要もなかった。
しかしながら、扁平形状の支持配管を挿入部にろう付け接合する場合、支持配管と挿入部との間に浸透したろう材は、両者の間に略均一に広がっていかない。このため、扁平形状の支持配管を挿入部にろう付け接合する場合、ろう付け工程において支持配管を挿入部内に位置決めすることができず、扁平形状の支持配管が、管軸を中心とした回転方向に所望の姿勢から傾いてしまう。このため、支持配管内を通して接続配管を圧縮室に接続しようとした場合に、接続配管も支持配管に倣って傾いてしまい、接続配管を圧縮室に接続できないという課題があった。
このとき、特許文献1に開示された固定技術によって扁平形状の支持配管を挿入部内に位置決めすることも考えられる。しかしながら、特許文献1に記載の固定技術では、支持配管の外周部全域に形成される突状によって支持配管が挿入部に固定することとなるため、両者の間にろう材を浸透させるためのクリアランスを形成できないという課題があった。
本発明は上述のような課題を解決するためになされたものであり、扁平形状の支持配管を挿入部内に位置決めすることができ、支持配管と挿入部との間にクリアランスを形成することもできる圧縮機、この圧縮機の製造方法、及びこの圧縮機の製造に用いられる治具を提供することを目的とする。
本発明に係る圧縮機は、密閉容器と、該密閉容器の内部に収容され、圧縮室で冷媒を圧縮する圧縮部と、前記密閉容器を貫通し、前記圧縮部の圧縮室に接続された扁平形状の接続配管と、前記密閉容器の外面側に設けられ、内部に挿入された前記接続配管を支持する扁平形状の支持配管と、を備え、前記密閉容器の外面側には、前記支持配管が挿入される挿入部が形成されており、前記支持配管は、外周部に形成された複数の凸部が前記挿入部に突接することによって位置決めされ、前記支持配管と前記挿入部とがろう付け接合されているものである。
また、本発明に係る圧縮機の製造方法は、前記支持配管を前記挿入部に挿入し、外周部に複数の突起が形成された治具で前記支持配管を拡開して、前記支持配管に形成される凸部を前記挿入部に突接させる工程と、前記支持配管と前記挿入部との間をろう付けし、前記挿入部と前記支持配管とを接合する工程と、前記支持配管に扁平形状の前記接続配管を挿入して、該接続配管を前記圧縮室に接続し、該接続配管と前記支持配管とをろう付け接合する工程と、を備えたものである。
また、本発明に係る圧縮機の製造に用いられる治具は、本発明に係る圧縮機の支持配管の拡開に用いる治具であって、中心部に貫通穴が形成されて外周面が前記支持配管に対応した扁平形状となっており、少なくとも3分割されて構成されたコレット部と、該コレット部の貫通穴に挿入され、該コレット部を拡開するテーパロッドと、を備え、前記コレット部には、前記貫通穴の中心軸を軸対称とした位置に少なくとも2つの凸部が形成されているものである。
本発明においては、支持配管の外周部に凸部を形成し、当該凸部を挿入部に突接させることにより、支持配管を挿入部内で位置決めしている。このため、本発明は、支持配管と挿入部との間にクリアランスを形成しつつ、支持配管を挿入部内で位置決めすることができる。したがって、支持配管内を通して接続配管を圧縮室に接続しようとした場合、接続配管が傾くことがなくなるので、接続配管を圧縮室に良好に接続することができる。
本発明の実施の形態に係る圧縮機を示す縦断面図である。 図1のA−A断面図である。 本発明の実施の形態に係る圧縮機のリング及び扁平管を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係る圧縮機における密閉容器とリングの関係を説明するための説明図である。 従来のリング状突起部の形状を採用したリングと密閉容器の関係を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係る圧縮機の扁平管(支持配管)を拡開するための治具を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係る圧縮機の扁平管(支持配管)をリングに位置決めする工程を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係る圧縮機の扁平管(支持配管)を拡開するための治具の別の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係る圧縮機の扁平管(支持配管)を拡開するための治具のさらに別の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係る圧縮機の扁平管(支持配管)を拡開するための治具のさらに別の一例を示す説明図である。 本発明の実施の形態に係る圧縮機の扁平管(支持配管)を拡開するための治具のさらに別の一例を示す説明図である。
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る圧縮機を示す縦断面図である。また、図2は図1のA−A断面図である。
2シリンダーロータリー式圧縮機である圧縮機50は、鉄製の密閉容器3を備えている。この密閉容器3は側面部が曲面形状となった円筒形状に形成されており、その内部には、圧縮部10、この圧縮部10の駆動源であるモーター4、及び、モーター4の駆動力を圧縮部10に伝達する回転軸1が収納されて構成されている。
圧縮部10は、第1軸受部14、第2軸受部15、第1シリンダー16、第2シリンダー18、及び中間プレート17等を備えている。詳しくは、第1シリンダー16には、第1シリンダー内径16aとなる略円筒状の貫通孔が形成されている。また、第2シリンダー18には、第2シリンダー内径18aとなる略円筒状の貫通孔が形成されている。そして、これら第1シリンダー16及び第2シリンダー18は、第1シリンダー内径16a及び第2シリンダー内径18aの内径中心に沿った方向に積層されている。また、第1シリンダー16及び第2シリンダー18を積層する際、これらの間には、中間プレート17が配置される。
第1軸受部14は、第1シリンダー16の上面部に設けられており、第1シリンダー内径16aとなる貫通孔の上部開口を閉塞する。つまり、第1シリンダー16の貫通孔は、第1軸受部14と中間プレート17とによって、機密性が確保されている。また、第2軸受部15は、第2シリンダー18の下面部に設けられており、第2シリンダー内径18aとなる貫通孔の下部開口を閉塞する。つまり、第2シリンダー18の貫通孔は、第2軸受部15と中間プレート17とによって、機密性が確保されている。
順次積層された第1軸受部14、第1シリンダー16、中間プレート17、第2シリンダー18及び第2軸受部15には、回転軸1が貫通している。この回転軸1は、第1軸受部14及び第2軸受部15によって回転自在に支持されている。また、回転軸1には、第1シリンダー16と対応する位置に第1偏芯部1aが形成され、第2シリンダー18と対応する位置に第2偏芯部1bが形成されている。また、第1偏芯部1aには略円筒状の第1ピストン12が設けられ、第2偏芯部1bには略円筒上の第2ピストン13が設けられている。
これら圧縮部10は、第1シリンダー16や第2シリンダー18の外周部が密閉容器3に溶接されることにより、密閉容器3内に固定されている。また、圧縮部10の回転軸1を回転駆動するモーター4も、例えばそのステーターが密閉容器3に圧入又は溶接されて、固定されている。
図2に示すように、第1シリンダー16内には、ベーン19が摺動自在に設けられている。モーター4によって回転軸1が回転すると、第1シリンダー16内を第1ピストン12が回転する。このときベーン19が第1ピストン12の外周部に追従することにより、圧縮室21が形成される。同様に、第2シリンダー18内にも、ベーン19が摺動自在に設けられている。モーター4によって回転軸1が回転すると、第2シリンダー18内を第2ピストン13が回転する。このときベーン19が第2ピストン13の外周部に追従することにより、圧縮室21が形成される。
これら第1シリンダー16及び第2シリンダー18内に形成された圧縮室21には、吸入穴20が連通している。そして、これら吸入穴20には、リング41、扁平管42、延長配管43及び吸入管31を介して、マフラー32が接続されている。なお、圧縮室21とマフラー32との接続構成の詳細については後述する。つまり、マフラー32を通った冷媒(つまり、冷凍サイクル回路の低圧側の冷媒)は、吸入穴20から圧縮室21に吸入される。そして圧縮室21に吸入された冷媒は、圧縮されて、第1軸受部14及び第2軸受部15のフランジ部に形成された弁(図示せず)から密閉容器3内に吐出される。密閉容器3内に吐出された冷媒は、モーター4のステーターとローターとの間等を通過し、吐出管33から密閉容器3外へ流出する。
続いて、圧縮室21とマフラー32との接続構成の詳細、つまり、リング41、扁平管42、延長配管43及び吸入管31の構成について説明する。
なお、扁平管42が本発明の支持配管に相当し、延長配管43が本発明の接続配管に相当する。
図3は、本発明の実施の形態に係る圧縮機のリング及び扁平管を示す説明図である。なお、図3(b)は、リング41及び扁平管42の平面図(図2と同方向から見た図面)である。また、図3(a)は図3(b)を上方から見た図、図3(c)は図3(b)を下方から見た図となっている。
以下、この図3及び上述の図1,2を参照して、リング41、扁平管42、延長配管43及び吸入管31の構成について説明する。
延長配管43は、密閉容器3を貫通して配置されるものであり、その先端部が圧縮室21と連通した吸入穴20に嵌入されて圧縮室21に接続されている。この延長配管43は、扁平形状の配管で、その短軸方向が密閉容器3の中心軸(つまり回転軸1の回転軸)に沿うように設けられている。そして、延長配管43は、密閉容器3の外部に突出した部分が扁平管42に挿入され、扁平管42によって支持されている。
例えば銅製である扁平管42は、密閉容器3の外面側に設けられた挿入部に一端が挿入され、該挿入部にろう付け接合されたものである。この挿入部は密閉容器3に直接設けられてもよいが、本実施の形態では、溶接部品である鉄製のリング41に内周形状が扁平形状の挿入部41bを形成し、この挿入部41bに扁平管42を挿入してろう付け接合している。これは、肉厚の薄い密閉容器3に挿入部を形成するよりも、密閉容器3にリング41を溶接して該リング41に挿入部41bを形成した方が、扁平管42の接合部分の強度を確保できるからである。この扁平管42には、吸入管31も挿入されてろう付け接合されている。これにより、圧縮室21とマフラー32とが接続されることとなる。
ここで、圧縮機50の製造方法で後述するように、延長配管43を吸入穴20に嵌入する際、延長配管43を扁平管42の内部に通しながら(換言すると、扁平管42をガイドとして)、延長配管43を吸入穴20に嵌入する。このため、扁平管42をリング41の挿入部41bにろう付け接合する際、扁平管42の位置精度が重要となってくる。しかしながら、支持配管である扁平管42をリング41の挿入部41bにろう付け接合する場合、円管状の支持配管をろう付け接合する場合と異なり、ろう付け工程において扁平管42を挿入部41b内に位置決めすることができない。
つまり、円管状の支持配管を挿入部にろう付け接合する場合、支持配管と挿入部との間に浸透したろう材は、毛細管現象によって両者の間に略均一に広がっていく。このため、円管状の支持配管を挿入部にろう付け接合する場合、ろう付け工程中に、支持配管は挿入部内で位置決めされていた。また、円管状の支持配管は、管軸を中心とした回転方向の傾きを考慮する必要もなかった。しかしながら、扁平管42を挿入部41bにろう付け接合する場合、扁平管42と挿入部41bとの間に浸透したろう材は、両者の間に略均一に広がっていかない。このため、扁平管42を挿入部41bにろう付け接合する場合、ろう付け工程において扁平管42を挿入部41bに位置決めすることができず、扁平管42が、管軸を中心とした回転方向に所望の姿勢から傾いてしまう。
そこで、本実施の形態では、図3に示すように、扁平管42の外周部に4カ所の凸部42aを形成し、これら凸部42aを挿入部41bの内周面に突接させることにより、扁平管42を位置決めしている。このような構成で扁平管42を位置決めすることにより、扁平管42と挿入部41bとの間にろう材を浸透させるためのクリアランス45を形成することができ、ろう付け不良を防止することもできる。
上述のように、扁平管42の接合部分の強度を確保するため、本実施の形態では、扁平管42をろう付け接合する挿入部41bをリング41に形成し、このリング41を密閉容器3の外面側に溶接している。また、リング41と密閉容器3の溶接方法は特に限定されるものではないが、本実施の形態では、リング41をリングプロジェクション溶接で取り付けている。これは、リングプロジェクション溶接は、リング41と密閉容器3との間に通電するだけで両者を接合でき、両者の接合部分を順次接合していくアーク溶接等に比べ、密閉容器3の熱ひずみを抑制できる(つまり、より精度よくリング41を取り付けられる)からである。
リング41をリングプロジェクション溶接で取り付ける場合、リングプロジェクション溶接時に電流の集中部となるリング状の突起部41aをリング41に形成する必要がある。ここで、本実施の形態に係る圧縮機50は、密閉容器3の側面部外周側(つまり曲面部)にリング41が接合される構成となっている。このため、リング41の突起部41aは、扁平管42の長軸方向に沿った断面(つまり横断面)において、中央部が凹んだ曲線形状に形成されている。このような形状にリング41の突起部41aを形成するのは、以下に示す理由によるものである。
図4は、本発明の実施の形態に係る圧縮機における密閉容器とリングの関係を説明するための説明図であり、図4(a)が密閉容器にリングの突起部を当接させる前の状態を示し、図4(b)が密閉容器にリングの突起部を当接させた状態(つまり、溶接時の状態)を示すものである。
また、図5は、従来のリング状突起部の形状を採用したリングと密閉容器の関係を説明するための説明図であり、図5(a)が密閉容器にリングの突起部を当接させる前の状態を示し、図5(b)が密閉容器にリングの突起部を当接させた状態(つまり、溶接時の状態)を示すものである。
図5に示すように、従来のリング状の突起部141aは、その先端形状が平坦な形状となっている。このため、リングプロジェクション溶接時にリング141を密閉容器3に当接した場合、両者の間に隙間Lが発生してしまう。特に、本実施の形態のようにリング141に扁平管42をろう付け接合した場合、扁平管42の長軸方向(図5の左右方向)にリング141(つまり突起部141a)も長くする必要が生じるため、隙間Lの大きさも大きくなってしまう。このため、この隙間Lがリングプロジェクション溶接時の溶け込み量よりも大きくなってしまい、リング141と密閉容器3の間が接合不良となり、冷媒漏れが発生してしまう場合がある。
一方、本実施の形態に係るリング41においては、上述のように、リング状の突起部41aは、中央部が凹んだ曲線形状に形成されている。このため、図4に示すように、リングプロジェクション溶接時にリング41を密閉容器3に当接した場合、両者の間の隙間を小さくできる。このため、リング41と密閉容器3の間の接合不良を防止でき、接合部から冷媒漏れが発生しない安定した溶接が可能となる。なお、本実施の形態では、突起部41a先端部の曲線形状の曲率半径を密閉容器3の側面部の曲率半径と略同一に形成している。このため、リング41と密閉容器3の間の接合不良をより防止することができる。
(圧縮機50の製造方法)
上述のように構成された圧縮機50は、次のような工程により製造される。
図6は、本発明の実施の形態に係る圧縮機の扁平管(支持配管)を拡開するための治具を説明するための説明図である。また、図7は、本発明の実施の形態に係る圧縮機の扁平管(支持配管)をリングに位置決めする工程を説明するための説明図である。
図6に示すように、治具100は、中心部に貫通穴が形成されたコレット部101と、コレット部101の貫通穴に挿入されるテーパロッド105を備えている。コレット部101は、その外周面が扁平管42の内周面形状に対応した扁平形状となっており、4分割された構成となっている。また、コレット部101の外周面には、扁平管42に形成される凸部42aと対応する位置に、4つの凸部101aが形成されている。なお、図6では、4分割されたコレット部101のそれぞれに、1つずつ凸部101aが形成されている。テーパロッド105は、先端部がテーパ形状に形成されたものである。テーパロッド105をシリンダー等によってコレット部101の貫通穴に押し込むことにより、コレット部101が拡開する構成となっている。
この治具100を用いて、まず、扁平管42をリング41の挿入部41bに位置決めする。具体的には、図7(a)に示すように、治具100のコレット部101を扁平管42内に配置する。そして、扁平管42からリング41の方に向かってテーパロッド105をコレット部101の貫通穴に押し込み、コレット部101を拡開する。これにより、図7(b)に示すように、扁平管42も拡開されて外周部に凸部42aが形成され、これら凸部42aが挿入部41bに突接することにより、扁平管42はリング41の挿入部41bに位置決めされる。その後、位置決めされたリング41と扁平管42は、ろう付け接合さる。この際、扁平管42とリング41の挿入部41bとの間にはクリアランス45が形成されているため、ろう材がクリアランス45内に浸透し、リング41と扁平管42が良好にろう付け接合される。
リング41と扁平管42をろう付け接合した後、リング41を密閉容器3にリングプロジェクション溶接する工程に入る。具体的には、図4(b)に示すように、リング41の突起部41aを密閉容器3の側面部外周側に当接し、両者の間に通電して両者を接合する。
密閉容器3にリング41及び扁平管42を接合した後、密閉容器3の内部に圧縮部10を配置する。そして、密閉容器3の内部に圧縮部10を配置した後、密閉容器3の外部から扁平管42の内部へ延長配管43を挿入し、延長配管43を吸入穴20に嵌入する。延長配管43を吸入穴20に嵌入した後、次に、吸入管31を扁平管42内に挿入する。その後、扁平管42、延長配管43及び吸入管31をろう付け接合する。
なお、回転軸1、モーター4、マフラー32及び吐出管33等の取り付け工程は、従来の工程を採用すればよい。
以上、本実施の形態のように構成された圧縮機50においては、扁平管42の外周部に凸部42aを形成し、当該凸部42aを挿入部41bに突接させることにより、扁平管42を挿入部41b内で位置決めしている。このため、扁平管42と挿入部41bとの間にろう材が浸透するクリアランス45を形成しつつ、扁平管42を挿入部41b内で位置決めすることができる。したがって、扁平管42内を通して延長配管43を吸入穴20に挿入する際、両者の位相がずれないので、延長配管43を吸入穴20に良好に嵌入することができる。
また、本実施の形態では、密閉容器3に溶接接合されるリング41を設け、リング41に挿入部41bを形成し、リング41の挿入部41bに扁平管42を挿入してろう付け接合している。このため、肉厚の薄い密閉容器3に直接形成された挿入部に扁平管42を挿入してろう付け接合する場合と比べ、扁平管42と挿入部との接合部分の強度を向上させることができる。
また、本実施の形態では、リング41をプロジェクション溶接により密閉容器3に接合し、リング41のリング状の突起部41aを中央部が凹んだ曲線形状に形成したので、リング41と密閉容器3の間の接合不良を防止でき、接合部から冷媒漏れが発生しない安定した溶接を実現できる。
なお、本実施の形態で説明した圧縮機50はあくまでも一例である。圧縮部10は、2シリンダータイプに限定されるものではなく、シングルタイプであってもよい。圧縮部10の機構もロータリー式に限定されるものではなく、スクロール式やスクリュー式等、種々の機構を採用することができる。圧縮部10を複数設置し、冷媒を順次圧縮していく多段式の圧縮機としても勿論よい。
また、支持配管である扁平管42によって支持される配管は、延長配管43に限定されるものではない。例えば、吸入管31を吸入穴20に直接嵌入し、吸入管31を扁平管42で支持してもよい。また、扁平管42で支持する配管は、吸入側の配管に限定されるものではなく、密閉容器を貫通して圧縮室に接続される配管であればよい。例えば、密閉容器内が吸入圧力となる低圧シェル型の圧縮機において、冷凍サイクル回路の高圧側と圧縮室とを接続する接続配管を扁平管42で支持してもよい。また例えば、多段式の圧縮機の各圧縮室管を接続する接続配管を、密閉容器の外面側にて扁平管42により支持してもよい。
また、扁平管42を拡開する治具100も、あくまでも一例である。例えば、図8に示すように、リング41から扁平管42の方に向かってテーパロッド105を引き込んでコレット部101を拡開するように、治具100を構成してもよい。また例えば、コレット部101の分割数も4分割に限定されるものではなく、図9に示すようにコレット部101が少なくとも3分割されていれば、扁平形状を崩すことなく扁平管42を拡開することができる。また例えば、コレット部101の凸部101aの数と分割数が一致している必要は必ずしもなく、例えば図10に示すように凸部101aの数とコレット部101の分割数を異ならせても勿論よい。また例えば、図11に示すように、テーパロッド105の中心軸を軸対称とした位置に少なくとも2つの凸部101aを形成すれば、当該治具によって扁平管42を位置決めすることができる。つまり、扁平管42の外周部において扁平管42の中心軸を軸対称とした位置に少なくとも2つの凸部42aを形成することにより、扁平管42を挿入部41b内に位置決めすることができる。
1 回転軸、1a 第1偏芯部、1b 第2偏芯部、3 密閉容器、4 モーター、10 圧縮部、12 第1ピストン、13 第2ピストン、14 第1軸受部、15 第2軸受部、16 第1シリンダー、16a 第1シリンダー内径、17 中間プレート、18 第2シリンダー、18a 第2シリンダー内径、19 ベーン、20 吸入穴、21 圧縮室、31 吸入管、32 マフラー、33 吐出管、41 リング、41a 突起部、41b 挿入部、42 扁平管、42a 凸部、43 延長配管、45 クリアランス、50 圧縮機、100 治具、101 コレット部、101a 凸部、105 テーパロッド、141 リング、141a 突起部。

Claims (7)

  1. 密閉容器と、
    該密閉容器の内部に収容され、圧縮室で冷媒を圧縮する圧縮部と、
    前記密閉容器を貫通し、前記圧縮部の圧縮室に接続された扁平形状の接続配管と、
    前記密閉容器の外面側に設けられ、内部に挿入された前記接続配管を支持する扁平形状の支持配管と、
    を備え、
    前記密閉容器の外面側には、前記支持配管が挿入される挿入部が形成されており、
    前記支持配管は、外周部に形成された複数の凸部が前記挿入部に突接することによって位置決めされ、
    前記支持配管と前記挿入部とがろう付け接合されていることを特徴とする圧縮機。
  2. 前記支持配管に形成された凸部は、該支持配管の中心軸を軸対称とした位置に少なくとも2つ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記挿入部が形成された溶接部品を備え、
    該溶接部品が前記密閉容器に溶接され、
    該溶接部品の前記挿入部に前記支持配管がろう付け接合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧縮機。
  4. 前記密閉容器は、その側面部が曲面形状となった円筒形状に形成され、
    前記接続配管は前記密閉容器の側面部を貫通し、
    前記接続配管及び前記支持配管は、その短軸方向が前記密閉容器の中心軸方向に沿って配置されるものであり、
    前記溶接部品は、プロジェクション溶接によって前記密閉容器に取り付けられるものであり、前記挿入部が形成された側と反対の面に、プロジェクション溶接時に電流の集中部となるリング状の突起部が形成され、
    前記溶接部品の前記突起部は、前記接続配管の長軸方向に沿った断面において、中央部が凹んだ曲線形状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の圧縮機。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の圧縮機の製造方法であって、
    前記支持配管を前記挿入部に挿入し、外周部に複数の突起が形成された治具で前記支持配管を拡開して、前記支持配管に形成される凸部を前記挿入部に突接させる工程と、
    前記支持配管と前記挿入部との間をろう付けし、前記挿入部と前記支持配管とを接合する工程と、
    前記支持配管に扁平形状の前記接続配管を挿入して、該接続配管を前記圧縮室に接続し、該接続配管と前記支持配管とをろう付け接合する工程と、
    を備えたことを特徴とする圧縮機の製造方法。
  6. 請求項4に記載の圧縮機の製造方法であって、
    前記支持配管を前記溶接部品の前記挿入部に挿入し、外周部に複数の突起が形成された治具で前記支持配管を拡開して、前記支持配管に形成される凸部を前記挿入部に突接させる工程と、
    前記支持配管と前記挿入部との間をろう付けし、前記溶接部品と前記支持配管とを接合する工程と、
    前記支持配管の短軸方向が前記密閉容器の中心軸に沿うように前記溶接部品の前記突起部を前記密閉容器の側面部外面側に押し当てて、前記溶接部品と前記密閉容器とをプロジェクション溶接を行う工程と、
    前記支持配管に扁平形状の前記接続配管を挿入して、該接続配管を前記圧縮室に接続し、該接続配管と前記支持配管とをろう付け接合する工程と、
    を備えたことを特徴とする圧縮機の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の圧縮機の支持配管の拡開に用いる治具であって、
    中心部に貫通穴が形成されて外周面が前記支持配管に対応した扁平形状となっており、少なくとも3分割されて構成されたコレット部と、
    該コレット部の貫通穴に挿入され、該コレット部を拡開するテーパロッドと、
    を備え、
    前記コレット部の外周面には、前記貫通穴の中心軸を軸対称とした位置に少なくとも2つの凸部が形成されていることを特徴とする治具。
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