JP2013072070A - 液晶ポリエステル組成物及びコネクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】格子の破壊に対する耐性が高いコネクタ、及び溶融流動性に優れ、前記コネクタの製造に好適な液晶ポリエステル組成物の提供。
【解決手段】繊維状充填材、板状充填材、粒状充填材及び液晶ポリエステルを含有する液晶ポリエステル組成物であって、前記繊維状充填材及び粒状充填材の合計含有量に対する前記板状充填材の含有量の質量比率が0.6以下である液晶ポリエステル組成物;かかる組成物が成形されてなるコネクタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ポリエステル組成物、及び該組成物を用いて得られたコネクタに関する。
電子部品用コネクタとしては、例えば、CPU(中央処理装置)を電子回路基板に着脱自在に実装するためのCPUソケットが知られている。そしてCPUソケットは、通常、耐熱性等に優れた樹脂で形成される。
エレクトロニクス機器の高性能化等に伴って、電子回路基板に実装するCPUも、回路規模が増大している。一般に、CPUが大規模化するほど、接続ピンの数が増大する。近年では、700〜1000本程度の接続ピンを有するCPUが知られている。CPUの接続ピンは、そのCPUの底面に、例えば行列状に配置される。これら接続ピンのピッチは、接続ピンの数が多いほど、小さくなる傾向にある。また、ICが大規模化するほど、発熱量が大きくなる傾向にある。
CPUソケットは、CPUの各接続ピンに対応させて多数のピン挿入穴を有しており、格子を形成している。そして、接続ピンのピッチが小さくなるほど、ピン挿入穴のピッチも小さくなり、ピン挿入穴同士を区切る樹脂、すなわち格子の壁面の厚さは薄くなる。このため、CPUソケットでは、ピン挿入穴が多いほど、リフロー実装やピン挿入等に起因して格子の破壊が生じ易くなる。
また、CPUソケットは一般に射出成形法で製造されるが、格子の壁面の厚さが薄いと、金型に樹脂を充填する際に部分的な充填不良(樹脂の充填量が不足する現象)が生じ易くなる。そして、充填不良が生じた部分では、機械的強度が不十分になる。そこで、充填不良の発生を抑制するためには、成形に供する樹脂組成物の溶融流動性を十分に高くする必要がある。
このように、CPUソケット等の電子部品用コネクタでは、成形時の樹脂組成物の溶融流動性を向上させ、成形後の格子の破壊に対する耐性を向上させることが求められる。
これに対して、特許文献1では、液晶性ポリマーに繊維状充填材を配合してなり、溶融流動性を向上させた樹脂組成物を用いて、コネクタを製造する方法が開示されている(段落0088)等参照)。
また、特許文献2では、液晶性ポリエステル樹脂にガラスビーズを充填してなる樹脂組成物を成形して、機械的強度等を向上させたコネクタを得ることが開示されている(段落0038等参照)。
また、特許文献3では、液晶性樹脂に鱗片状強化材、又は鱗片状強化材及び繊維状強化材を配合してなる樹脂組成物を成形して、リフロー実装時のフクレ等が抑制されたコネクタを得ることが開示している(段落0011等参照)。
特開2005−276758号公報 特開平8−325446号号公報 特開2006−274068号公報
しかしながら、特許文献1〜3で開示されているコネクタ(CPUソケット)でも、ピン挿入穴が多く、格子の壁面の厚さが薄い場合には、成形時の樹脂組成物の充填不良や成形後の格子の破壊等を十分に抑制できないという問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、格子の破壊に対する耐性が高いコネクタ、及び溶融流動性に優れ、前記コネクタの製造に好適な液晶ポリエステル組成物を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明は、繊維状充填材、板状充填材、粒状充填材及び液晶ポリエステルを含有する液晶ポリエステル組成物であって、前記繊維状充填材及び粒状充填材の合計含有量に対する前記板状充填材の含有量の質量比率が0.6以下であることを特徴とする液晶ポリエステル組成物を提供する。
本発明の液晶ポリエステル組成物においては、前記繊維状充填材、板状充填材及び粒状充填材の合計含有量が50質量%以下であることが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル組成物においては、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、前記繊維状充填材を5〜80質量部含有することが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル組成物においては、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、前記板状充填材を5〜80質量部含有することが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル組成物においては、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、前記粒状充填材を5〜80質量部含有することが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル組成物においては、前記繊維状充填材は、平均繊維径が5〜20μmであり、且つ数平均繊維長が100μm以上であることが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル組成物においては、前記板状充填材は、体積平均粒径が10〜100μmであることが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル組成物においては、前記粒状充填材は、体積平均粒径が10〜100μmであることが好ましい。
本発明の液晶ポリエステル組成物においては、前記液晶ポリエステルが、これを構成する全繰返し単位の合計量に対して、下記式(A1)で表される繰返し単位を30モル%以上有することが好ましい。
Figure 2013072070
また、本発明は、上記本発明の液晶ポリエステル組成物が成形されてなることを特徴とするコネクタを提供する。
本発明によれば、格子の破壊に対する耐性が高いコネクタ、及び溶融流動性に優れ、前記コネクタの製造に好適な液晶ポリエステル組成物を提供できる。
本発明に係るコネクタを例示する概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における断面図である。 本発明に係るコネクタを例示する概略図であり、図1(a)における領域Bの拡大図である。
本発明に係る液晶ポリエステル組成物は、繊維状充填材、板状充填材、粒状充填材及び液晶ポリエステルを含有する液晶ポリエステル組成物であって、前記繊維状充填材及び粒状充填材の合計含有量に対する前記板状充填材の含有量の質量比率が0.6以下であることを特徴とする。かかる液晶ポリエステル組成物は、成形時の溶融流動性に優れ、成形後の格子の破壊に対する耐性が高いコネクタの製造に好適なものである。ここで、コネクタの格子について、「破壊に対する耐性が高い」とは、外力が印加された際に、割れ、曲げ等が生じ難く、機械的強度が高いことを意味する。
前記液晶ポリエステル組成物は、各充填材の含有量を上記のように設定したことで、その優れた効果を奏する。例えば、充填材として繊維状充填材のみを含有した液晶ポリエステル組成物は、溶融流動性が不十分で、成形時に充填不良が生じ易い。また、充填材として板状充填材のみを含有した液晶ポリエステル組成物は、成形時に充填不良は生じ難いものの、収縮が生じ易く、成形体(コネクタ)の格子の破壊や反りが生じ易い。また、充填材として繊維状充填材及び板状充填材のみを含有した液晶ポリエステル組成物は、成形時の充填不良や反りは生じ難いものの、成形体の格子の破壊が生じ易い。
前記液晶ポリエステルは、サーモトロピック液晶ポリマーであり、400℃以下の温度で異方性溶融体を形成するものであり、好適には芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオール等の原料モノマーを重合することによって得られる。
なお、より容易に液晶ポリエステルを製造するために、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジオール等の原料モノマーの一部を、エステル形成性誘導体とし、これを用いて重合することもできる。
前記エステル形成性誘導体の例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のカルボキシル基を、高反応性の酸ハロゲン基や酸無水物などの基に転化させたものや、カルボキシル基をエステル交換反応によってポリエステルを生成するようなエステルに転化させたもの等が挙げられる。
また、前記エステル形成性誘導体の例としては、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジオールのフェノール性ヒドロキシル基(フェノール性水酸基)を、エステル交換反応によってポリエステルを生成するようなエステルに転化させたもの等が挙げられる。
以下、液晶ポリエステルの繰返し単位について、具体例を挙げて説明する。
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位の例としては、下記式で表される繰返し単位(A1)〜(A4)が挙げられる。
Figure 2013072070
芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位の例としては、下記式で表される繰返し単位(B1)〜(B4)が挙げられる。
Figure 2013072070
芳香族ジオールに由来する繰返し単位の例としては、下記式で表される繰返し単位(C1)〜(C4)が挙げられる。
Figure 2013072070
前記繰返し単位(A1)〜(A4)、(B1)〜(B4)、及び(C1)〜(C4)は、いずれも芳香環中の水素原子の一部がハロゲン原子、アルキル基及びアリール基からなる群から選ばれる一種以上の置換基で置換されていてもよい。
置換基である前記ハロゲン原子の例としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
置換基である前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基等の炭素数1〜4の低級アルキル基が挙げられる。
置換基である前記アリール基は、単環状又は多環状のいずれでもよいが、単環状であることが好ましく、その例としては、フェニル基が挙げられる。
液晶ポリエステルは、繰返し単位を下記[a]〜[d]のいずれかの組み合わせで有することが望ましい。
[a]:繰返し単位(A1)及び/又は(A2)と、繰返し単位(B1)及び/又は(B2)と、繰返し単位(C1)及び/又は(C2)との組み合わせ
[b]:繰返し単位(A1)と繰返し単位(A2)との組み合わせ
[c]:前記[a]の組み合わせにおいて、(B1)又は(B2)の一部を(B3)で置き換えた組み合わせ
[d]:前記[a]の組み合わせにおいて、(C1)又は(C2)の一部を(C3)で置き換えた組み合わせ
これらの中でも、組み合わせ[a]に該当する、p−ヒドロキシ安息香酸から誘導される繰返し単位及び/又は6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から誘導される繰返し単位(繰返し単位(A1)及び/又は(A2)に相当)と、テレフタル酸から誘導される繰返し単位及び/又はイソフタル酸から誘導される繰返し単位(繰返し単位(B1)及び/又は(B2)に相当)と、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから誘導される繰返し単位及び/又はヒドロキノンから誘導される繰返し単位(繰返し単位(C1)及び/又は(C2)に相当)と、の組み合わせからなる液晶ポリエステルが、特に好ましい。
さらに、この組み合わせにおいては、繰返し単位のモル比率について、{繰返し単位(C1)+繰返し単位(C2)}/{繰返し単位(A1)+繰返し単位(A2)}を0.2〜1とすることが好ましく、{繰返し単位(B1)+繰返し単位(B2)}/{繰返し単位(C1)+繰返し単位(C2)}を0.9〜1.1とすることが好ましい。さらに、繰返し単位(B2)/繰返し単位(B1)を0よりも大きく1以下とすることが好ましく、0よりも大きく0.7以下とすることがより好ましい。さらに、繰返し単位(C2)/繰返し単位(C1)を0よりも大きく1以下とすることが好ましく、0よりも大きく0.3以下とすることがより好ましい。
液晶ポリエステルは、これを構成する全繰返し単位の合計量に対して、繰返し単位(A1)を30モル%以上有することが好ましく、前記組み合わせ[a]〜[d]において、液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して、繰返し単位(A1)を30モル%以上有することがより好ましい。
液晶ポリエステルは、例えば、下記アシル化工程及び重合工程を有する方法で製造することが好ましい。
[アシル化工程]:芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸のフェノール性ヒドロキシル基を脂肪酸無水物(例えば、無水酢酸等)によってアシル化することにより、アシル化物(すなわち、芳香族ジオールアシル化物及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸アシル化物)を得る。
[重合工程]:アシル化工程で得られたアシル化物のアシル基と、芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸のアシル化物のカルボキシル基とを、エステル交換反応によって重合させることにより、液晶ポリエステルを得る。
アシル化工程及び重合工程は、下記一般式(I)で表される複素環状有機塩基化合物の存在下で行ってもよい。
Figure 2013072070
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシメチル基、シアノ基、アルキル基の炭素数が1〜4であるシアノアルキル基、アルコキシ基の炭素数が1〜4であるシアノアルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1〜4のアミノアルキル基、炭素数1〜4のアミノアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、フェニルプロピル基又はフォルミル基である。)
前記複素環状有機塩基化合物は、入手が容易である点から、1−メチルイミダゾール及び/又は1−エチルイミダゾールが特に好ましい。
前記複素環状有機塩基化合物の使用量は、液晶ポリエステルの原料モノマー(例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール)の総使用量を100質量部としたときに、0.005〜1質量部とすることが好ましい。また、後述する成形体(コネクタ)の色調や生産性の観点からは、原料モノマーの総使用量100質量部に対して0.05〜0.5質量部とすることがより好ましい。
前記複素環状有機塩基化合物は、アシル化反応及びエステル交換反応の際の、少なくとも一時期に存在していればよく、その添加時期は、アシル化反応開始の直前であってもよいし、アシル化反応の途中であってもよいし、アシル化反応とエステル交換反応の間であってもよい。
このようにして得られた液晶ポリエステルは、溶融流動性が非常に高いという利点を有する。
脂肪酸無水物(例えば、無水酢酸等)の使用量は、原料モノマーである芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸の使用量を考慮して決定すべきである。具体的には、これら原料モノマーに含まれるフェノール性ヒドロキシル基の合計量に対して、1〜1.2倍当量とすることが好ましく、1〜1.15倍当量とすることがより好ましく、1.03〜1.12倍当量とすることがさらに好ましく、1.05〜1.1倍当量とすることが特に好ましい。
アシル化工程におけるアシル化反応は、130〜180℃で30分〜20時間行うことが好ましく、140〜160℃で30分〜5時間行うことがより好ましい。
重合工程で使用する芳香族ジカルボン酸は、アシル化工程の際に反応系中に存在させておいてもよい。すなわち、アシル化工程において、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸を同一の反応系中に存在させておいてもよい。これは、芳香族ジカルボン酸中のカルボキシル基、及び任意に水素原子を置換していてもよい置換基は、いずれも、脂肪酸無水物によって何ら影響を受けないからである。したがって、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸を反応器に仕込んだ後で、アシル化工程及び重合工程を順次行う方法でもよいし、芳香族ジオール及び芳香族ジカルボン酸を反応器に仕込んでアシル化工程を行った後で、さらに芳香族ジカルボン酸を反応器に仕込んで重合工程を行う方法でもよい。製造工程を簡便化するという観点からは、前者の方法が好ましい。
重合工程におけるエステル交換反応は、昇温速度0.1〜50℃/分で、始点を130〜160℃、終点を300〜400℃として、昇温しながら行うことが好ましく、昇温速度0.3〜5℃/分で、始点を140〜160℃、終点を310〜400℃として、昇温しながら行うことがさらに好ましい。
重合工程のエステル交換反応を行う際には、ル・シャトリエ−ブラウンの法則(平衡移動の原理)により、平衡をずらすために、副生する脂肪酸(例えば、酢酸等)及び未反応の脂肪酸無水物(例えば、無水酢酸等)を蒸発させて系外に留去することが好ましい。このとき、留出する脂肪酸の一部を環流させて反応器に戻すことにより、脂肪酸と同伴して蒸発若しくは昇華する原料モノマー等を、凝縮又は逆昇華させて反応器に戻すこともできる。
アシル化工程のアシル化反応、及び重合工程のエステル交換反応では、反応器として回分装置を用いてもよいし、連続装置を用いてもよい。いずれの反応装置を用いても、本発明に使用することが可能な液晶ポリエステルを得られる。
重合工程後は、さらに、ここで得られた液晶ポリエステルを高分子量化するための工程を行ってもよい。例えば、重合工程で得られた液晶ポリエステルを冷却した後で粉砕することにより、粉体状の液晶ポリエステルを調製し、さらに、この粉体を加熱することにより、液晶ポリエステルの高分子量化が可能である。また、冷却及び粉砕で得た粉体状液晶ポリエステルを造粒することによって、ペレット状の液晶ポリエステルを調製し、このペレット状の液晶ポリエステルを加熱することにより、液晶ポリエステルの高分子量化を行ってもよい。これらの方法による高分子量化は、当該技術分野では、固相重合と称されている。固相重合は、液晶ポリエステルを高分子量化する方法として、特に有効である。液晶ポリエステルを高分子量化することにより、後述するように好適な流動開始温度を有する液晶ポリエステルを容易に得られる。固相重合時の加熱処理は、不活性ガス(例えば、窒素ガス等)雰囲気下又は減圧下で行うことが好ましく、加熱時間は1〜20時間とすることが好ましい。また、この加熱処理に使用する装置としては、既知の乾燥機、反応機、イナートオーブン、混合機、電気炉等が挙げられる。
液晶ポリエステルの流動開始温度は、270℃〜400℃であることが好ましく、280℃〜380℃であることがより好ましい。流動開始温度がこのような範囲である場合、液晶ポリエステル組成物の溶融流動性がより良好になると共に、耐熱性(例えば、成形体がソケット等の電子部品用コネクタである場合には耐ハンダ性)がより良好となる。また、液晶ポリエステルから成形体を製造する際の溶融成形時に、熱劣化がより抑制される。
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
液晶ポリエステルは一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に設定できる。
前記繊維状充填材は特に限定されないが、例えば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維等が挙げられる。
前記繊維状充填材は、平均繊維径が5〜20μmで、平均アスペクト比が20よりも大きいもの(すなわち、数平均繊維長が100μm以上であるもの)が好ましい。平均アスペクト比が20以上であることで、成形時に形成されるウェルド部(樹脂組成物を金型に流し込んだときに2個以上の流動先端部が会合した場所で発生する線状痕)での、格子の破壊を抑制する高い効果が得られる。
例えば、前記繊維状充填材の数平均繊維長は、下記方法で測定できる。すなわち、充填材のペレット1gを坩堝に入れて600℃の電気炉にて灰化する。得られた灰分10mg、及びエチレングリコール1.5mlを3.5mlのスクリュー管に入れ、超音波洗浄器(例えば、VELVO CLEAR社製のもの等)を用いて、1分間分散させる。得られた分散液をスポイト等で吸い取り、スライドガラス上に一滴滴下し、ビデオマイクロスコープ(例えば、キーエンス社製「VHX−1000」等)を用いて100倍の視野で観察し、300本の繊維についてその繊維長を計測し、これらの計測値から数平均繊維長を求める。
液晶ポリエステル組成物中の前記繊維状充填材の含有量は、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、10〜50質量部であることがより好ましい。下限値以上とすることで、成形体は肉厚が薄くても、反りや格子の破壊に対する耐性がより向上する。また、上限値以下とすることで、液晶ポリエステル組成物の溶融流動性、押し出し性及び成形性が向上し、充填不良がより抑制され、成形体の機械的強度がより向上する。
前記板状充填材は特に限定されないが、例えば、タルク、マイカ、グラファイト等が挙げられ、タルク、マイカが好ましい。
前記板状充填材は、体積平均粒径が5μm以上であることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。下限値以上とすることで、液晶ポリエステル特有の配向を十分に抑制でき、成形体の反りをより低減できる。また、上限値以下とすることで、液晶ポリエステル組成物の流動性がより良好となる。
なお、前記板状充填材の体積平均粒径は、下記条件でのレーザー回折法による測定で求められる。
・測定条件
測定装置:Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd)
粒子屈折率:1.65−0.1i
分散媒:水
分散媒屈折率:1.33
Analysis model:General purpose
Obscuration:5〜7%
液晶ポリエステル組成物中の前記板状充填材の含有量は、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、20〜70質量部であることがより好ましい。下限値以上とすることで、成形体は肉厚が薄くても、反りや格子の破壊に対する耐性がより向上する。また、上限値以下とすることで、液晶ポリエステル組成物の溶融流動性、押し出し性及び成形性が向上し、充填不良がより抑制され、成形体の機械的強度がより向上する。
前記粒状充填材は特に限定されないが、例えば、ガラスビーズ、ガラスバルーン等が挙げられる。そして、前記粒状充填材としては、球状のものが好ましく、ガラスビーズ、ガラスバルーン等が特に好ましい。
前記粒状充填材は、体積平均粒径が5μm以上であることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。下限値以上とすることで、液晶ポリエステル特有の配向を十分に抑制でき、成形体の反りをより低減できる。また、上限値以下とすることで、液晶ポリエステル組成物の流動性がより良好となる。
なお、前記粒状充填材の体積平均粒径は、前記板状充填材の場合と同様の方法で求められる。
液晶ポリエステル組成物中の前記粒状充填材の含有量は、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、5〜80質量部であることが好ましく、10〜70質量部であることがより好ましい。下限値以上とすることで、成形体は肉厚が薄くても、反りや格子の破壊に対する耐性がより向上する。また、上限値以下とすることで、液晶ポリエステル組成物の溶融流動性、押し出し性及び成形性が向上し、充填不良がより抑制され、成形体の機械的強度がより向上する。
液晶ポリエステル組成物中の、前記繊維状充填材及び粒状充填材の合計含有量に対する前記板状充填材の含有量の質量比率([板状充填材の含有量(質量)]/{[繊維状充填材の含有量(質量)]+[粒状充填材の含有量(質量)]})は、0.6以下であり、このような範囲とすることで、特に成形体の機械的強度が向上する。
液晶ポリエステル組成物中の、前記繊維状充填材、板状充填材及び粒状充填材の合計含有量は50質量%以下であることが好ましい。このような範囲とすることで、液晶ポリエステル組成物の溶融流動性、押し出し性及び成形性が向上し、充填不良がより抑制される。
前記繊維状充填材、板状充填材及び粒状充填材は、それぞれ一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて設定すればよい。
液晶ポリエステル組成物は、本発明の効果を妨げない範囲内において、前記繊維状充填材、板状充填材、粒状充填材及び液晶ポリエステルのいずれにも該当しない、他の成分を含有していてもよい。
前記他の成分の例としては、フッ素樹脂、金属石鹸類等の離型改良剤;染料、顔料等の着色剤;酸化防止剤;熱安定剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;界面活性剤等の、通常の添加剤が挙げられる。前記着色剤としては、カーボンブラックが好ましい。
また、前記他の成分の例としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤等の外部滑剤効果を有するものも挙げられる。
また、前記他の成分の例としては、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂も挙げられる。
液晶ポリエステル組成物は、前記繊維状充填材、板状充填材、粒状充填材及び液晶ポリエステルを合計で、好ましくは35質量%以上、より好ましくは45質量%以上含み、前記繊維状充填材、板状充填材、粒状充填材及び液晶ポリエステルのみを含むものであってもよい。下限値以上とすることで、成形時の溶融流動性により優れ、成形後の格子の破壊に対する耐性がより向上する。
液晶ポリエステル組成物は、原料成分を配合することで製造でき、その配合方法は、特に限定されない。例えば、前記繊維状充填材、板状充填材、粒状充填材及び液晶ポリエステル、並びに必要に応じて前記他の成分を各々別々に溶融混合機に供給する方法が挙げられる。また、これら原料成分を乳鉢、ヘンシェルミキサー、ボールミル、リボンブレンダー等を用いて予備混合してから、溶融混合機に供給してもよい。また、液晶ポリエステルと繊維状充填材とを溶融混合することによって作製したペレットと、液晶ポリエステルと板状充填材とを溶融混合することによって作製したペレットと、液晶ポリエステルと粒状充填材とを溶融混合することによって作製したペレットとを、所望の配合比で混合してもよい。
前記液晶ポリエステル組成物は、成形時の溶融流動性に優れ、機械的強度が高い成形体の製造に好適である。成形体の製造方法は、射出成形法等、公知の方法でよい。特に、前記液晶ポリエステル組成物を成形して得られたコネクタは、肉厚が薄くても、反りや格子の破壊に対する耐性が高い。
図1は、前記液晶ポリエステル組成物が成形されてなるコネクタを例示する概略図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線における断面図である。また、図2は、図1(a)における領域Bの拡大図である。
ここに示すコネクタ100は、CPUソケットであり、平面視にて正方形の板状であり、中央部に正方形の開口部101を有する。コネクタ100の外周部及び内周部は、裏面が突出して形成されており、それぞれ外枠部102及び内枠部103を構成している。また、外枠部102及び内枠部103で挟まれた領域には、水平断面が正方形であるピン挿入穴104が、行列状に794個設けられている。このように、ピン挿入穴104同士を区切る部分、すなわち最小肉厚部201は、全体として格子状になっている。
コネクタ100の寸法は、目的に応じて任意に設定できるが、例えば、外形寸法が42mm×42mmであり、開口部101の寸法は14mm×14mmである。また、コネクタ100の厚さは、外枠部102及び内枠部103では4mmであり、これらに挟まれた領域(すなわち、最小肉厚部201の厚さ)では3mmである。ピン挿入穴104の断面寸法は0.7mm×0.7mmであり、ピッチPは1mmである。また、最小肉厚部201の幅(格子の壁面の厚さ)Wは、0.3mmである。なお、ここに示す寸法は一例であり、ピン挿入穴104の数も目的に応じて任意に設定できる
コネクタ100を射出成形法で製造する場合、その条件は、例えば、成形温度を300〜400℃、射出速度を100〜300mm/秒、射出ピーク圧力を50〜150MPaとするとよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。なお、液晶ポリエステルの流動開始温度は、以下の方法で測定した。
(液晶ポリエステルの流動開始温度の測定)
フローテスター(島津製作所社製、CFT−500型)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。
<液晶ポリエステル組成物の製造>
(液晶ポリエステルの製造)
[製造例1]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、繰返し単位(A1)となるp−ヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、繰返し単位(C1)となる4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、繰返し単位(B1)となるテレフタル酸299.0g(1.8モル)、繰返し単位(B2)となるイソフタル酸99.7g(0.6モル)、及び無水酢酸1347.6g(13.2モル)を仕込んだ。したがって、繰返し単位のモル比率は、繰返し単位(C1)/繰返し単位(A1)は約0.3、{繰返し単位(B1)+繰返し単位(B2)}/繰返し単位(C1)は1.0、繰返し単位(B2)/繰返し単位(B1)は約0.3である。
そして、反応器内を窒素ガスで十分に置換した後、1−メチルイミダゾールを0.18g添加し、窒素ガス気流下で30分かけて150℃まで昇温し、この温度(150℃)を保持して30分間還流させた。
次いで、1−メチルイミダゾールを2.4g添加した後、留出する副生成物の酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、2時間50分かけて320℃まで昇温した。その後、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなして、反応器から内容物を取り出した。
次いで、このようにして得られた内容物(固形分)を室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕した後、窒素ガス雰囲気下で、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、さらに250℃から295℃まで5時間かけて昇温し、さらに295℃で3時間保持することにより、固相重合を行った。
次いで、これを冷却することにより、液晶ポリエステル(LCP1)を得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は327℃であった。
[製造例2]
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、繰返し単位(A1)となるp−ヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、繰返し単位(C1)となる4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、繰返し単位(B1)となるテレフタル酸239.2g(1.44モル)、繰返し単位(B2)となるイソフタル酸159.5g(0.96モル)、及び無水酢酸1347.6g(13.2モル)を仕込んだ。したがって、繰返し単位のモル比率は、繰返し単位(C1)/繰返し単位(A1)は約0.3、{繰返し単位(B1)+繰返し単位(B2)}/繰返し単位(C1)は1.0、繰返し単位(B2)/繰返し単位(B1)は約0.7である。すなわち、本製造例では、繰返し単位(B2)/繰返し単位(B1)が製造例1の約2倍である。
そして、反応器内を窒素ガスで十分に置換した後、1−メチルイミダゾールを0.18g添加し、窒素ガス気流下で30分かけて150℃まで昇温し、この温度(150℃)を保持して30分間還流させた。
次いで、1−メチルイミダゾールを2.4g添加した後、留出する副生成物の酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、2時間50分かけて320℃まで昇温した。その後、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなして、反応器から内容物を取り出した。
次いで、このようにして得られた内容物(固形分)を室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕した後、窒素ガス雰囲気下で、室温から220℃まで1時間かけて昇温し、さらに220℃から240℃まで0.5時間かけて昇温し、さらに240℃で10時間保持することにより、固相重合を行った。
次いで、これを冷却することにより、液晶ポリエステル(LCP2)を得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は286℃であり、LCP1の流動開始温度よりも41℃低かった。
(液晶ポリエステル組成物及びコネクタの製造)
[実施例1]
表1に示す比率で、LCP1、LCP2、充填材及び他の成分を配合し、2軸押出機(池貝鉄工社製「PCM−30」)を用いて、シリンダー温度を340℃として造粒することにより、ペレット状の液晶ポリエステル組成物を得た。
次いで、得られた液晶ポリエステル組成物を用いて、下記条件で射出成形することにより、コネクタとして図1及び図2に示すCPUソケットを製造した。
・射出成形条件
射出成形機:ファナック社製「ROBOSHOT S−2000i 30B」
シリンダー温度:350℃
金型温度:70℃
射出速度:200mm/秒
[比較例1〜3]
各成分の配合比を表1に示す通りとしたこと以外は、実施例1と同様に、ペレット状の液晶ポリエステル組成物、及びCPUソケットを製造した。
なお、本実施例及び比較例で使用した充填材及び他の成分は下記の通りである。
(1)繊維状充填材
ガラス繊維:CS03JAPX−1(旭ファイバーグラス社製)、平均繊維径10μm、数平均繊維長325μm(実施例1)、336μm(比較例1)、304μm(比較例2)、296μm(比較例3)
(2)板状充填材
タルク:MS−KY(日本タルク社製)、体積平均粒径14.2μm
(3)粒状充填材
ガラスビーズ:EGB731(ポッターズ・バロティーニ社製)、体積平均粒径11.3μm
(4)他の成分
カーボンブラック:CB♯45(三菱化学社製)
ジペンタエリスリトールヘキサステアレート:LOXIOL VPG2571(コグニス・オレオケミカル・ジャパン社製)
<液晶ポリエステル組成物及びコネクタの評価>
上記で得られた液晶ポリエステル組成物及びコネクタについて、以下の特性評価を行った。評価結果を表1に示す。
(コネクタの格子の破壊強度)
精密万能試験機(アイコーエンジニアリング社製)を用いて、下記条件でCPUソケットの格子の破壊強度を測定した。
・測定条件
スパン間距離:20mm
試験速度:6mm/分
先端子:ボールポイント測定子を使用
(液晶ポリエステル組成物の充填圧力)
コネクタ成形時の射出ピーク圧力を測定し、充填圧力とした。
Figure 2013072070
表1から明らかなように、実施例1の液晶ポリエステル組成物は、充填圧力が低く、溶融流動性に優れ、充填不良が抑制されていた。そして、実施例1のコネクタは、格子の破壊強度が高かった。
これに対して、比較例1〜2のコネクタは、格子の破壊強度が低く、比較例3の液晶ポリエステル組成物は、充填圧力が高く、溶融流動性が不十分であった。
本発明は、電子部品用コネクタの製造に利用可能である。
100・・・コネクタ、101・・・開口部、102・・・外枠部、103・・・内枠部、104・・・ピン挿入穴、201・・・最小肉厚部、P・・・ピン挿入穴のピッチ、W・・・最小肉厚部の幅(格子の壁面の厚さ)

Claims (10)

  1. 繊維状充填材、板状充填材、粒状充填材及び液晶ポリエステルを含有する液晶ポリエステル組成物であって、
    前記繊維状充填材及び粒状充填材の合計含有量に対する前記板状充填材の含有量の質量比率が0.6以下であることを特徴とする液晶ポリエステル組成物。
  2. 前記繊維状充填材、板状充填材及び粒状充填材の合計含有量が50質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の液晶ポリエステル組成物。
  3. 前記液晶ポリエステル100質量部に対して、前記繊維状充填材を5〜80質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶ポリエステル組成物。
  4. 前記液晶ポリエステル100質量部に対して、前記板状充填材を5〜80質量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
  5. 前記液晶ポリエステル100質量部に対して、前記粒状充填材を5〜80質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
  6. 前記繊維状充填材は、平均繊維径が5〜20μmであり、且つ数平均繊維長が100μm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
  7. 前記板状充填材は、体積平均粒径が10〜100μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
  8. 前記粒状充填材は、体積平均粒径が10〜100μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
  9. 前記液晶ポリエステルが、これを構成する全繰返し単位の合計量に対して、下記式(A1)で表される繰返し単位を30モル%以上有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物。
    Figure 2013072070
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶ポリエステル組成物が成形されてなることを特徴とするコネクタ。
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