JP2013064144A - 粘着フィルム及びfpc用保護フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アルキル(メタ)アクリレートとカルボキシル基を有するビニルモノマーを共重合したアクリル系共重合体をエポキシ系架橋剤で架橋してなる粘着剤をフィルム基材面に塗布して形成した粘着剤層を、貼り合せた後、剥離したポリイミドシート面のぬれ張力評価法によるぬれ張力が40dyne/cm以上である粘着フィルムを用いることにより、剥離面に接着した補強板等の浮き・剥れが生じることがない。
【選択図】なし
Description
補強板の接着強度が低下する原因の一つは、剥離面に移行した粘着剤(以下、この成分を「糊残り」ともいう。)によるもので、近年、その接着強度を高く維持する要求が高まっており、この課題を解決する粘着剤の開発が強く望まれていた。
また、アクリル系粘着剤用重合体と、熱膨張性微小球、粘着付与剤及びエポキシ系架橋剤を含む粘着層は、SUS304に貼り付けた後、剥離した表面の糊残りが、目視で観察されなかったことが特許文献2に記載されている。しかし、実際にこの粘着層を用いた保護フィルムをポリイミドフィルムに貼り付けた後、保護フィルムを剥離した剥離面に補強板を接着すると、補強板に対する接着力が低下しており、補強板の浮き・剥れが生じることがある。
アルキル(メタ)アクリレートとカルボキシル基を有するビニルモノマーを共重合したアクリル系共重合体をエポキシ系架橋剤で架橋してなる粘着剤であって、該粘着剤を基材に塗布して粘着剤層を形成し、該粘着剤層をポリイミドフィルム面に貼り合せた後、前記粘着剤層を剥離したポリイミドフィルム面のぬれ張力を、下記のぬれ張力評価法により測定して、ぬれ張力が40dyne/cm以上であること、より好ましくは、60dyne/cm以上であり、さらに、アクリル系共重合体が、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート及びアクリル酸の重合単位を含むことを特徴とする粘着剤である。
又、本発明は、上記粘着剤からなる粘着剤層を積層した粘着フィルムであり、FPCに張付けて使用する保護フィルムである。
本発明は、アルキル(メタ)アクリレートとカルボキシル基を有するビニルモノマーを共重合したアクリル系共重合体をエポキシ系架橋剤で架橋してなる粘着剤からなる粘着剤層を基材に積層した粘着フィルムの検査方法であって、
前記粘着フィルムの前記粘着剤層をポリイミドフィルム面に貼り合せた後、前記粘着剤層を剥離したポリイミドフィルム面のぬれ張力を、下記のぬれ張力評価法により測定したとき、ぬれ張力が40dyne/cm以上である場合に、より好ましくは60dyne/cm以上であり、さらに、前記アクリル系共重合体が、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート及びアクリル酸の重合単位を含む場合に合格と判定することを特徴とする粘着フィルムの検査方法である。
又、本発明は、前記粘着フィルムの検査方法を含む検査工程を有する粘着フィルムの製造方法である。
「ぬれ張力評価法」は、ポリイミドフィルムに粘着剤層を貼り合せ、180℃、40Kg/cm2で30分プレス処理した後、粘着剤層を剥がし、ポリイミドフィルムの粘着剤層貼付面を試験片表面とし、水平に位置する前記試験片表面に、JIS K 6768に準じ、順次より大きな表面張力を有するぬれ張力試験用液のそれぞれ1mlを3cmの高さからスポイトで滴下し、直ちに試験片を90度傾け、滴下面を垂直方向とした場合に、液滴がはじかれずに試験片表面をぬらしながら流れる時の最大の表面張力を有するぬれ張力試験用液の表面張力(dyne/cm)を試験片のぬれ張力とする方法である。
また、本願発明は、ポリイミドフィルム面のぬれ張力が60dyne/cm以上であると、粘着フィルムの粘着剤と粘着フィルムが剥離された後に貼られる他の部材の粘着剤との組み合わせに関わらず、他の部材の接着が充分となる。
なお、本発明において、ポリイミドフィルム面のぬれ張力の上限は、ブランク(オリジナル)のポリイミドのぬれ張力となる。ぬれ張力試験用液はぬれ張力が67dyne/cm以上に対応するものは入手することができないので、ぬれ張力試験用液を水として試験すると液滴がはじかれて試験片表面を流れるので、ブランクのポリイミドのぬれ張力は73dyne/cm未満である。
特に、粘着フィルムがポリイミド樹脂層を絶縁層とするFPCの導電回路が形成されていない面に接着する保護フィルムである場合に、保護フィルムを貼付した樹脂層導体箔積層体を用いるFPCの製造工程で、保護フィルムを貼付した樹脂層導体箔積層体の搬送や加工時の各種薬品からポリイミド樹脂層面を有効に保護して、工程終了後に剥離して補強板を強固に接着することができる。
また、本発明の粘着フィルムの検査方法は、簡易な操作で、被着体から剥離した際の被着体の粘着フィルムを剥離した面に粘着剤由来の微量成分による汚染を容易に検査できる。そして、この様な検査方法を製造工程に組み込むことにより、被着体の粘着フィルム剥離面に他のフィルムを他の粘着剤層で接着する粘着フィルムである場合に、接着力低下による浮き・剥れが生じることがない優れたフィルムを効率的に製造することができる。
上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が3〜14のものが好ましい。アルキル基の炭素数がこの範囲外であると、粘着剤としての特性が損なわれ、アルキル基の炭素数が4〜9のものが更に好ましい。このようなものとして、例えば、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中で、ブチルアクリレート及び2−エチルヘキシルアクリレートが特に好ましく使用される。
上記アクリル系共重合体において、アルキル(メタ)アクリレートと共重合可能な他のモノマーとしては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、スチレン、酢酸ビニル等が挙げられる。
その様なカルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。これらの中で、アクリル酸が特に好ましい。
上記アクリル系共重合体においては、カルボキシル基を有するビニルモノマーの配合量は0.5〜10重量%が好ましい。この範囲より少ないと粘着剤の架橋度が上昇せず、充分な凝集力が得られず、この範囲を超えると粘着力が低下するので好ましくない。より好ましくは、1〜5重量%である。
アクリル系共重合体のガラス転移温度は−85〜20℃であることが望ましく、0℃以下であることがより望ましい。ガラス転移温度が使用環境の温度より高いと被着体との粘着力が低下する。
このアクリル系共重合体の製造方法としては、特に限定されず、例えば、乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合等の公知の重合方法が挙げられる。重合の開始方法としては、特に限定されず、例えば、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチルニトリル等の熱重合開始剤による方法や、光重合開始剤等が挙げられる。また、分子量を調節するために、連鎖移動剤が添加されてもよい。連鎖移動剤としては、チオール化合物、ハロゲン化合物等の連鎖移動性の高いものを使用することができる。
アクリル系共重合体とエポキシ系架橋剤等を適当な溶剤に溶解または分散させ、粘着剤層形成塗工液が適当な粘度となるよう固形分濃度を調整した塗工液を塗布、乾燥して、粘着剤層を0.1〜30μm程度に設けることが好ましい。この範囲より粘着剤層が厚いと、例えば、FPCなどの加工工程において、粘着剤層が加熱処理後の剥離時に凝集破壊が起り易くなり、良好な剥離性が得られなく、この範囲より薄いと、被着体との充分な粘着力が得られなくなる。
基材の厚みは基材として用いられるフィルム(本明細書においては、厚みによるシートとフィルムの区別は行わず、両者を含めてフィルムと称する。)の種類や粘着フィルムの用途によって要求される強度等によって異なり、特に制限されないが、例えば、FPC加工用の保護フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合は、12〜125μm程度のものが好ましい。
なお、補強板はFPCを部分的に補強するために貼り合わされ、用途により種々の材料が使用される。通常は、薄型化したFPCに対してポリイミドフィルムやポリエステルフィルムが使用される場合が多い。補強板の厚さは、ポリイミドは25μm以上、ポリエステルは25〜240μmが一般的である。
「ぬれ張力評価法」
JIS K 6768に準じた上記の方法を用いた。
「補強板密着性テスト」
補強板の接着性評価として、補強板貼り付け後の積層品のハンドリングを想定して、所定回数、一定の曲げ角度で補強板積層品を曲げたときに浮きが生じるか否かを測定した。
具体的には、100μmポリイミドフィルム(20cm×20cm)に保護フィルム(20cm×20cm)を貼合し、180℃、40Kg/cm2で30分プレス処理を行った。
その後保護フィルムを剥がし、保護フィルムを剥離した面に対してポリイミド製の補強板(ポリイミド面大きさ=15cm×15cm、厚さ=ポリイミドフィルム75μm+アクリル系粘着剤25μm)を接着し、ポリイミドフィルム/補強板積層品を作成した。室温で1時間放置した後、積層品を直径3インチの樹脂管に、ポリイミドフィルムを内側にして巻きつけた。その後、巻き戻して反転させ、補強板面を内側にして積層品を樹脂管に巻きつけた。再度巻き戻して、同じ操作を5回繰り返した後、補強板の浮き・剥れを目視にて観測した。
「TOF−SIMS分析」
FPCの裏面に見立てたポリイミドフィルムの保護フィルムを剥がした表面をION TOF社製装置を用い、測定条件として、Au1次イオン照射、測定範囲200μm×200μm、検出範囲0〜1,000a.m.uで行った。比較データとしてブランクのポリイミドフィルム面を同条件で測定したときのデータを用いた。
なお、FPCの裏面に見立てたポリイミドフィルムは、現在、FPCの基材として一般に多用されている東レ・デュポン株式会社製のカプトン100Hである。本発明においては、粘着フィルムが剥離されたFPC面のぬれ張力を測定するものであり、上記カプトン100Hが入手不能な場合は、FPCの基材として一般に使用されているポリイミドフィルムであれば等価なものとして代替が可能である。
ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びアクリル酸の重合単位からなるアクリル系共重合体の固形分40重量%に調整したアクリル系共重合体組成物を得た。アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwは50万、ガラス転移温度は−54℃であった。
上記のアクリル系共重合体組成物100重量部に対し、エポキシ系架橋剤(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(固形分60重量%))を3重量部添加して、厚さ50μmのアニール処理した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにコンマドクター工法により乾燥後の粘着剤層の厚さが10μmとなるよう塗布した後、130℃で3分間乾燥して保護フィルムを得た。
得られた保護フィルムの20cm×20cmを試料として、その粘着剤層面に、FPC代替として同じ寸法のポリイミドフィルムを180℃、40Kg/cm2で30分プレス処理をして貼り合わせた。その後、保護フィルムを剥離したポリイミド表面をTOF−SIMS分析により確認した。
その結果、粘着剤に由来する微量成分は検出されず、最大ぬれ張力評価法によるぬれ張力は67dyne/cm以上であった。なお、ぬれ張力試験用液はぬれ張力が67dyne/cm以上に対応するものは入手することができず、ぬれ張力をこれ以上具体的に測定することはできなかった。
そして、保護フィルムを剥離した面に対してポリイミド製の補強板(大きさ=15cm×15cm、厚さ=ポリイミドフィルム75μm+アクリル系粘着剤25μm)を接着し、室温で1時間放置した後、補強板密着性テストを行い目視により外観を検査したが、補強板の浮き・剥れの発生は観測されなかった。
ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸及びシクロブチルアクリレートの重合単位からなるアクリル系共重合体の固形分40重量%に調整したアクリル系共重合体組成物を得た。アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwが74万、ガラス転移温度が−23℃であった。
アクリル系共重合体組成物100重量部に対し、エポキシ系架橋剤(N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン(固形分60重量%))を3重量部添加して、実施例1と同様にして作成した保護フィルムを実施例1と同様に評価をした。
TOF−SIMS分析により確認した結果、粘着剤に由来する微量成分は検出されず、ぬれ張力評価法による最大ぬれ張力は実施例1と同様に67dyne/cm以上であった。
補強板密着性テスト後の目視による外観検査においても、剥離面に対して接着したポリイミド製の補強板の浮き・剥れの発生は観測されなかった。
ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートの重合単位からなるアクリル系共重合体の固形分40重量%に調整したアクリル系共重合体組成物を得た。アクリル系共重合体の重量平均分子量Mwは60万、ガラス転移温度は−45℃であった。
アクリル系共重合体組成物100重量部に対し、イソシアネート系架橋剤(コロネートL−45(日本ポリウレタン工業株式会社製、固形分45重量%))を6重量部とした以外は、実施例1と同様にして作成した保護フィルムを実施例1と同様に評価をした。
目視検査では糊残りは観測されなかったが、TOF−SIMS分析により確認した結果、粘着剤に由来する微量成分が検出され、ぬれ張力評価法による最大ぬれ張力は32dyne/cmであった。
補強板密着性テスト後の目視による外観検査においても、剥離面に対して接着したポリイミド製の補強板の浮き・剥れの発生が観測された。
Claims (6)
- 炭素数3〜14のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートと、カルボキシル基を有するビニルモノマーとを共重合したアクリル系共重合体を、エポキシ系架橋剤で架橋してなる粘着剤を基材に積層した粘着フィルムであって、
前記アクリル系共重合体における、カルボキシル基を有するビニルモノマーの配合量が、0.5〜10重量%であり、前記アクリル系共重合体のガラス転移温度が、−85〜+20℃であり、該粘着剤をポリエチレンテレフタレートフィルムからなる前記基材に塗布して粘着剤層を積層した粘着フィルムを形成し、前記粘着フィルムの該粘着剤層をポリイミドフィルム面に貼り合せた後、前記粘着剤層を剥離したポリイミドフィルム面のぬれ張力を、下記のぬれ張力評価法により測定して、ぬれ張力が40dyne/cm以上であることを特徴とする粘着フィルム。
ぬれ張力評価法
ポリイミドフィルムに粘着フィルムの粘着剤層を貼り合せ、180℃、40Kg/cm2で30分プレス処理した後、前記粘着剤層を剥がし、ポリイミドフィルムの前記粘着剤層の貼付面を試験片表面とし、水平に位置する前記試験片表面に、JIS K 6768に準じ、順次より大きな表面張力を有するぬれ張力試験用液のそれぞれ1mlを3cmの高さからスポイトで滴下し、直ちに試験片を90度傾け、滴下面を垂直方向とした場合に、液滴がはじかれずに試験片表面をぬらしながら流れる時の最大の表面張力を有するぬれ張力試験用液の表面張力(dyne/cm)を試験片のぬれ張力とする。 - 前記ポリイミドフィルム面のぬれ張力が、60dyne/cm以上である請求項1に記載の粘着フィルム。
- 前記アクリル系共重合体が、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート及びアクリル酸の重合単位を含むものである請求項1または2に記載の粘着フィルム。
- 前記アクリル系共重合体100重量部に対し、前記エポキシ系架橋剤を8重量部以上配合した粘着剤を除くものである、請求項1ないし3のいずれかに記載の粘着フィルム。
- 前記アクリル系共重合体100重量部に対し、前記エポキシ系架橋剤を3重量部添加したものである、請求項1ないし3のいずれかに記載の粘着フィルム。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の粘着フィルムが、フレキシブルプリント配線基板の導電回路が形成されていない面に貼付するFPC用保護フィルム。
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