JP6695959B2 - 粘着シート、及び磁気ディスク装置 - Google Patents

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Description

本発明は、粘着シート、及び磁気ディスク装置に関する。
特許文献1に示されるように、磁気ディスク装置に利用される粘着シートが知られている。この種の粘着シートとしては、例えば、カバーシール等と称されるものがある。カバーシールは、磁気ディスク装置が備える箱状のベース部と、このベース部に取り付けられる板状のカバー部との間に形成される細い隙間(継目)を塞ぐために利用されている。
このように磁気ディスク装置では、粘着シートを利用して気密性が確保されており、湿気やシロキサン化合物等の磁気ディスク装置に悪影響を与え得る物質が外部から内部へ進入することが防止されている。
ところで、磁気ディスク装置の内部において、空気の代わりにヘリウム等の低密度ガスを充填することで、磁気ディスク装置の性能を向上させることが試みられている(例えば、特許文献2参照)。磁気ディスク装置内に空気よりも低密度のガスを充填すると、磁気ディスク装置の駆動時に内部で発生する気流の乱れ等が低減され、磁気ディスク装置の性能が向上する。
特開2014−162874号公報 特開2010−3356号公報
ヘリウムガス等の低密度ガスは、磁気ディスク装置の内部から外部へ非常に漏出し易い物質である。そのため、磁気ディスク装置内の低密度ガスを外部へ漏出させないような、ガスバリア性に優れる粘着シートが望まれている。
また、この種の粘着シートは、通常、概ね平面状に広げられた状態で被着体に貼り付けられるものである。そのため例えば粘着シートを、被着体の開口部を塞ぎつつ被着体の形状に倣って折り曲げた状態で被着体に貼り付けると、粘着シートが被着体から浮き上がる等して、粘着シートと被着体との間にガスが容易に通過可能な隙間が形成され、粘着シートのガスバリア性等が損なわれることがあった。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持できる耐反発性に優れる粘着シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記粘着シートが貼り付けられた磁気ディスク装置を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、被着体に貼り付けられる粘着面を裏側に有する粘着剤層と、前記粘着剤層の表側に配される金属層、及び前記金属層の表側に配される樹脂層を有する基材とを備え、前記基材の初期弾性率と前記基材の厚みの積が、3000N/mm以下であり、以下に示される定荷重剥離試験により測定される剥離距離が2mm以下である粘着シートが、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持できる耐反発性に優れることを見出し、本発明の完成に至った。
定荷重剥離試験:ステンレス鋼板からなる試験板の片方の表面に、前記粘着面が密着する形で前記粘着シートからなる試験片(幅10mm×長さ100mm)を貼り付けた後、前記試験片を23℃で24時間養生する。その後、70℃の条件下で、前記試験片の長さ方向の一端に、前記試験板の前記表面と垂直方向に100gfの荷重をかけ、1時間経過後の前記試験片の剥離距離を測定する。
前記粘着シートにおいて、前記粘着剤層の70℃における損失弾性率G’’が、5×10Pa以上であることが好ましい。
前記粘着シートにおいて、前記粘着剤層のプローブタックが、120kN/m以上であることが好ましい。
前記粘着シートにおいて、前記粘着剤層の厚みT2は、12μm以上であってもよい。
前記粘着シートにおいて、前記粘着剤層の厚みT2は、前記金属層の厚みt2よりも大きいものであってもよい。
前記粘着シートにおいて、前記金属層の厚みt2に対する、前記基材中に含まれる前記樹脂層及び前記樹脂層以外の他の樹脂層の合計厚みの割合が、1.5以上8.0以下であってもよい。
前記粘着シートにおいて、前記基材の総厚みT1に対する前記粘着剤層の厚みT2の割合T2/T1が、0.2以上2.5以下であってもよい。
前記粘着シートにおいて、前記基材は、記粘着剤層と、前記金属層との間に介在される他の樹脂層を有するものであってもよい。
前記粘着シートにおいて、前記他の樹脂層の厚みt3は、前記樹脂層の厚みt1以下であってもよい。
前記粘着シートにおいて、磁気ディスク用カバーシールとして利用されてもよい。
また、本発明に係る磁気ディスク装置は、磁気ディスクを含む磁気ディスクユニットと、前記磁気ディスクに対する情報の読み書きを行う磁気ヘッドを含むヘッドユニットと、上方に開口した箱状をなし、前記開口を囲む枠状端部を含み、内部で前記磁気ディスクユニット及び前記ヘッドユニットを収納するベース部と、外周縁が前記枠状端部の内周縁で囲まれるように前記開口を覆う形で前記ベース部に取り付けられるカバー部と、前記何れかの粘着シートからなり、前記枠状端部の内周縁と前記カバー部の外周縁との間に形成される隙間を塞ぐように、前記枠状端部と前記カバー部とに亘って貼り付けられるシール本体部と、このシール本体部の周縁に延設され前記ベース部の側面に貼り付けられる1つ又は複数の延設部とを有し、前記カバー部の上面及び前記ベース部の上面から前記側面に亘って折り曲げられた状態で貼り付けられるカバーシールと、を備える。
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決することができ、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持できる耐反発性に優れる粘着シートを提供することができる。また更に、本発明によれば、上記粘着シートが貼り付けられた磁気ディスク装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る粘着シートの構成を模式的に表した断面図 本発明の他の実施形態に係る粘着シートの構成を模式的に表した断面図 カバーシールとして用いられる粘着シートの平面図 上面に粘着シートが貼り付けられているハードディスクドライブの平面図 ハードディスクドライブの構成を模式的に表した断面図 定荷重剥離試験の内容を模式的に表した説明図
粘着シートは、主として、表側に配される基材と、この基材の裏側に積層される粘着剤層とを備える。なお、使用前(被着体に貼り付けられる前)の状態において、粘着シートの粘着剤層の表面(粘着面)には、剥離ライナーが貼り付けられている。
なお、一般的に、「粘着シート」は、「粘着テープ」、「粘着フィルム」等と異なった名称で呼ばれることもあるが、本明細書では、表現を「粘着シート」に統一する。また、粘着シートにおける粘着剤層の表面を、「粘着面」と称する場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る粘着シート1の構成を模式的に表した断面図である。この粘着シート1は、3層構造の基材2を備えている。粘着シート1は、表側に配される第1樹脂層(本発明の樹脂層に相当)21と、第1樹脂層21の裏側に配される金属層22と、金属層22の裏側に配される第2樹脂層(本発明の他の樹脂層に相当)23とを備える基材2と、この基材2の裏側に積層される粘着剤層3とを備える。なお、粘着剤層3は、基材2における第2樹脂層23の裏側に積層されている。図1において、粘着剤層3の裏側の表面(粘着面)3aには、剥離ライナー4が貼り付けられている。
図2は、本発明の他の実施形態に係る粘着シート1Aの構成を模式的に表した断面図である。この粘着シート1Aは、2層構造の基材2Aを備えている。粘着シート1Aは、表側に配される第1樹脂層(本発明の樹脂層に相当)21と、第1樹脂層21の裏側に配される金属層22とを備える基材2Aと、この基材2Aの裏側に積層される粘着剤層3とを備える。なお、粘着剤層3は、基材2Aにおける金属層22の裏側に積層されている。図2において、粘着剤層3の裏側の表面(粘着面)には、剥離ライナー4が貼り付けられている。
粘着シートは、基材や粘着剤層以外にも、本発明の目的を達成できる範囲において、他の層(例えば、中間層、下塗り層、ラミネート層)を備えていてもよい。以下、粘着シートを構成する各部分等について説明する。
(基材)
基材は、粘着剤層を保持し、被着体の表面形状に倣って折り曲げ等が可能な部材である。基材における金属層と樹脂層(第1樹脂層、第2樹脂層)との積層には、例えば、ドライラミネート方式等の公知の積層方法が用いられる。そのため、金属層と樹脂層との間(例えば、金属層と第1樹脂層との間、及び金属層と第2樹脂層との間)には、それぞれラミネート層が形成されてもよい。
基材の初期弾性率(N/mm)は、3000N/mm以下に設定され、より好ましくは2800N/mm以下であり、更に好ましくは2600N/mm以下である。基材の初期弾性率N/mmは、後述する測定方法により測定される。基材の初期弾性率(N/mm)が、このような範囲であると、基材(粘着シート)を被着体の形状に倣って折り曲げた状態で維持することができる。なお、初期弾性率の下限値については、特に制限はないが、例えば、1000N/mm以上が好ましく、1200N/mm以上がより好ましく、1400N/mm以上が更に好ましい。
基材の厚み(総厚みT1)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、基材の厚み(総厚みT1)の下限値としては、20μm以上が好ましく、25μm以上がより好ましく、28μm以上が更に好ましい。また、基材の厚み(総厚みT1)の上限値としては、例えば、75μm以下が好ましく、70μm以下がより好ましく、65μm以下が更に好ましい。
基材の厚み(総厚みT1)が、このような範囲であると、粘着シートが、被着体の表面形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に貼り付き易くなり、また、粘着シートの薄型化を図ることができる。
基材の初期弾性率(N/mm)と前記基材の厚み(総厚みT1)の積(N/mm)は、3000N/mm以下に設定され、より好ましくは2800N/mm以下であり、更に好ましくは2600N/mm以下である。前記積(N/mm)が、このような範囲であると、基材(粘着シート)を被着体の形状に倣って折り曲げた状態で維持することができる。なお、前記積(N/mm)の下限値については、特に制限はないが、例えば、1000N/mm以上が好ましく、1200N/mm以上がより好ましく、1400N/mm以上が更に好ましい。
基材の両面又は片面には、必要に応じて、公知乃至慣用の表面処理(例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等)が施されてもよいし、下塗り剤によるコーティング処理が施されてもよい。例えば、基材の裏側に配される第2樹脂層(他の樹脂層)の表面に対して、前記表面処理等を施し、第2樹脂層の表面と、粘着剤層との密着性等を高めてもよい。
<金属層>
金属層は、基材において必須の構成であり、基材の剛性を確保等する機能を備えている。金属層としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、鉄、ニッケル、スズ、ステンレス等の金属材料からなる層が好ましい。また、金属層としては、例えば、金属箔(圧延された金属)を用いてもよいし、蒸着法、スパッタリング法等の一般的な成膜方法で形成される膜状物を用いてもよい。金属層を構成する金属材料としては、粘着シートが被着体の表面形状等に倣って折り曲げられた際に塑性変形しつつ、その変形後の形状で維持され易い等の観点より、アルミニウム層(アルミニウム箔)が好ましい。
金属層の厚みt2は、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、金属層の厚みt2の下限値としては、2μm以上が好ましく、4μm以上がより好ましく、6μm以上が更に好ましい。また、金属層の厚みt2の上限値としては、例えば、15μm以下が好ましく、13μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましい。
金属層の厚みt2がこのような範囲であると、粘着シートが被着体の表面形状等に倣って折り曲げられた際に塑性変形した状態で維持され易い。
<第1樹脂層>
第1樹脂層は、基材において必須の構成であり、基材の表側に配される部分であり、フィルム状の樹脂材料からなる層である。第1樹脂層は、金属層を表側から覆うように金属層に積層されており、粘着シートの貼り付け時や貼り付け後等において、外力が加えられて金属層が破損等しないように金属層を保護する機能を備えている。
第1樹脂層に利用されるプラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。なお、オレフィン系樹脂としては、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)等の延伸されたオレフィン系樹脂が好ましい。
それらの中でも、粘着シートが被着体の表面形状等に倣って折り曲げられた際に、粘着剤層の密着性が確保されるように折り曲げ後の形状で維持され易い等の観点より、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、より好ましくはポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂であり、更に好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)である。
なお、第1樹脂層は、単層の形態を有していてもよいし、また、複層の形態を有していてもよい。
第1樹脂層の厚みt1は、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、4μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましく、8μm以上が更に好ましい。また、第1樹脂層の厚みt1は、例えば、55μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。
なお、基材において、第1樹脂層の厚みt1は、金属層の厚みt2よりも大きく設定することが好ましい。
<第2樹脂層>
第2樹脂層は、基材において任意の構成であり、必要に応じて金属層の裏側に積層される。第2樹脂層は、上述した第1樹脂層と同様、フィルム状の樹脂材料からなる層であり、基材が第2樹脂層を含む場合、第2樹脂層は、金属層と粘着剤層との間に介在される。第2樹脂層に利用される樹脂材料としては、例えば、第1樹脂層の樹脂材料として例示されたものが挙げられる。
樹脂材料の中でも、粘着シートが被着体の表面形状等に倣って折り曲げられた際に、粘着剤層の密着性が確保されるように折り曲げ後の形状で維持され易い等の観点より、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、より好ましくはポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂であり、更に好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)、延伸ポリプロピレン(OPP)である。
なお、第2樹脂層は、単層の形態を有していてもよいし、また、複層の形態を有していてもよい。
第2樹脂層の厚みt3は、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、1μm以上が好ましく、3μm以上がより好ましく、5μm以上が更に好ましい。また、第1樹脂層の厚みt1は、例えば、15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、8μm以下が更に好ましい。
第2樹脂層と第1樹脂層とを、互いに同じ樹脂材料で構成してもよいし、互いに異なる樹脂材料で構成してもよい。
基材において、第2樹脂層の厚みt3は、第1樹脂層の厚みt1以下に設定することが好ましい。
第2樹脂層を含む基材を備えた粘着シート(例えば、上記粘着シート1の場合)と、第2樹脂層を含まない基材を備えた粘着シート(例えば、上記粘着シート1A)とは、何れも、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持することができる。
なお、被着体に一旦、粘着シートが貼り付けられた後、貼り直し等の為に粘着シートを被着体から引き剥がす際に、被着体に粘着剤(粘着剤層の残りかす)が残り難い等の観点からは、基材中に第2樹脂層が含まれることが好ましい(例えば、上記粘着シート1の場合)。
第2樹脂層を含む基材における金属層の厚みt2に対する、第1樹脂層の厚みt1の割合t1/t2の上限値、及び第2樹脂層を含まない基材における金属層の厚みt2に対する、第1樹脂層の厚みt1及び第2樹脂層の厚みt3の合計厚みt1+t3の割合(t1+t3)/t2の上限値は、何れも、8.0以下が好ましく、7.5以下がより好ましい。また、第2樹脂層を含む基材における金属層の厚みt2に対する、第1樹脂層の厚みt1の割合t1/t2の下限値、及び第2樹脂層を含まない基材における金属層の厚みt2に対する、第1樹脂層の厚みt1及び第2樹脂層の厚みt3の合計厚みt1+t3の割合(t1+t3)/t2の下限値は、何れも、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上が更に好ましい。つまり、金属層の厚みt2に対する、基材中に含まれる第1樹脂層、第2樹脂層等の樹脂層の合計厚みの割合が、上記範囲であると、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持できる粘着シートを提供し易い。
(粘着剤層)
粘着剤層は、アクリル系ポリマー(アクリル系重合体)を主成分とするアクリル系粘着剤から形成される。このような粘着剤は、例えば、上記アクリル系ポリマー、架橋剤に、必要に応じて各種の添加剤を添加することにより作製できる。主成分であるアクリル系ポリマーの含有量は、粘着剤(固形分)の総質量に対して、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。なお、粘着剤層におけるアクリル系ポリマーの含有量の上限値は、粘着剤(固形分)の総質量に対して、特に制限はないが、例えば、99質量%以下が好ましい。
上記アクリル系ポリマーは、粘着剤層のベースポリマーとして粘着性を発現する役割を担う。アクリル系ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アクリル酸アルキルエステル及び/又はメタクリル酸アルキルエステル)をモノマー主成分(主モノマー)とし、必要に応じて、他のエチレン性不飽和単量体を共重合成分(共重合性モノマー)とする(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーを用いることができる。なお、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びエチレン性不飽和単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられる。それらの中でも、アルキル基の炭素数が2〜14である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が例示される。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの配合割合は、モノマー主成分として用いられているので、モノマー成分全量に対して、50質量%以上(50〜100質量%)であり、80質量%以上が好ましく、90質量%以上が更に好ましい。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマー成分全量に対する割合の上限としては、特に制限されないが、99質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合が、このような範囲内であると、アクリル系ポリマーとしての特性(粘着性等)を発現できる。
アクリル系ポリマーでは、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対して共重合が可能なモノマー成分(共重合性モノマー)が用いられていてもよい。共重合性モノマーは、アクリル系ポリマーに架橋点を導入させるためや、アクリル系ポリマーの凝集力をコントロールするために用いることができる。共重合性モノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
上記共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イソクロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー又はその酸無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルの他、ビニルアルコール、アリルアルコール等の水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等のアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基含有モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノ含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチルビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール、N−ビニルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、N−(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー等が挙げられる。また、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α−メチルスチレン等)、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート等のイソシアネート基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマーの他、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等を用いることもできる。それらの中でも、共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等を好適に用いることができる。
上記共重合性モノマーの配合割合は、モノマー成分全量に対して50質量%未満の範囲で、モノマー成分の種類応じて適宜選択することができる。
例えば、共重合性モノマーがカルボキシル基含有モノマー(例えば、アクリル酸)である場合、カルボキシル基含有モノマーの配合割合(下限値)は、全モノマー成分100質量%に対して、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%が更に好ましい。また、カルボキシル基含有モノマーの配合割合(上限値)は、全モノマー成分100質量%に対して、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。
例えば、共重合性モノマーが水酸基含有モノマー(例えば、アクリル酸4−ヒドロキシブチル)である場合、水酸基含有モノマー配合割合(下限値)は、全モノマー成分100質量%に対して、0.07質量%以上が好ましく、0.08質量%以上がより好ましく、0.09質量%以上が更に好ましい。また、また、水酸基含有モノマーの配合割合(上限値)は、全モノマー成分100質量%に対して、3質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が更に好ましい。
上記アクリル系ポリマーは、公知乃至慣用の重合方法により上記モノマー成分を重合させることによって調製できる。アクリル系ポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や紫外線照射による重合方法等が挙げられる。それらの中でも、コスト、量産性等の観点から、溶液重合方法が好ましい。なお、アクリル系ポリマーの重合に際しては、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤や溶剤等、それぞれの重合方法に応じた適宜な成分を、公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用できる。
アクリル系ポリマーを溶液重合により重合させる際に用いられる重合開始剤としては、アゾ系開始剤が好ましい。前記アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(以下、AMBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリアン酸等が挙げられる。上記アゾ系開始剤は、モノマー成分全量(100質量部)に対して、0.05〜0.5質量部の割合で用いられることが好ましく、0.1〜0.3重量部の割合で用いられることがより好ましい。
アクリル系ポリマーを溶液重合により重合させる際に用いられる溶剤としては、公知慣用の有機溶剤等を用いることが可能である。前記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合使用してもよい。
上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、30万〜200万が好ましく、60万〜150万がより好ましく、70万〜150万が更に好ましい。アクリル系ポリマーの重量平均分子量がこのような範囲内であると、良好な粘着特性を発揮し、塗工性も良好である。上記重量平均分子量は、重合開始剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度等によりコントロールすることができる。
上記アクリル系粘着剤に用いられる架橋剤は、粘着剤層のゲル分率(溶剤不溶分の割合)をコントロールする等の役割を担う。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。それらの中でも、イソシアネート系架橋剤を必須の架橋剤として用いることが好ましく、さらにエポキシ系架橋剤を併用することがより好ましい。これら架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−ト、水素添加キシリレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート類等が挙げられる。また、前記イソシアネート系架橋剤としては、その他に、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]等も用いられる。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル−トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂等が挙げられる。
上記粘着剤中の架橋剤の含有量(上限値)は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、3.5質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましい。また、上記粘着剤中の架橋剤の含有量(下限値)は、1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。
中でも、イソシアネート系架橋剤の含有量(上限値)は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、3質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましい。また、イソシアネート系架橋剤の含有量(下限値)は、1質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。
上記アクリル系粘着剤には、前記成分の他、必要に応じて、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料等)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤等の公知の添加剤が、本発明の目的を達成できる範囲で含まれていてもよい。
粘着シートにおける粘着剤層の形成方法は、特に制限されず、公知の粘着剤層の形成方法の中から適宜選択することができる。前記形成方法の具体例としては、例えば、上記粘着剤(又は粘着剤溶液)を、所定の面上(基材の裏面上等)に、乾燥後の厚みが所定の厚みとなるように塗布し、必要に応じて乾燥乃至硬化させる方法(直写法)が挙げられる。また、前記形成方法としては、適当な剥離ライナー上に粘着剤(又は粘着剤溶液)を、乾燥後の厚み所定の厚みとなるように塗布し、必要に応じて乾燥乃至硬化させて粘着剤層3を形成した後、該粘着剤層を所定の面上(基材の裏面上等)に転写(移着)させる方法(転写法)等が挙げられる。なお、粘着剤(又は粘着剤溶液)の塗布に際しては、慣用の塗工機(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター等)を用いることができる。
粘着剤層の厚みT2(下限値)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、12μm以上が好ましく、13μm以上がより好ましく、14μm以上が更に好ましい。また、粘着剤層の厚み(上限値)は、例えば、55μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、47μm以下が更に好ましい。
粘着剤層の厚みT2が、このような範囲であると、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持できる耐反発性に優れる粘着シートを提供し易い。なお、粘着剤層は単層、複層の何れの形態を有していてもよい。
粘着剤層の70℃における損失弾性率G’’(下限値)は、特に制限されないが、例えば、5×10Pa以上が好ましく、3×10Pa以上がより好ましく、4×10Pa以上が更に好ましく、4.5×10Pa以上が特に好ましい。また、粘着剤層の70℃における損失弾性率G’’(上限値)は、特に制限されないが、例えば、5×10Pa以下が好ましい。粘着剤層の70℃における損失弾性率G’’がこのような範囲であると、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持できる耐反発性に優れる粘着シートを提供し易い。なお、粘着剤層の70℃における損失弾性率G’’は、後述する測定方法により求められる。
粘着剤層のプローブタックは、特に制限されないが、例えば、120kN/m以上が好ましい。粘着剤層のプローブタックが、このような範囲であると、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持できる粘着シートを提供し易い。なお、粘着剤層のプローブタックは、後述する測定方法により求められる。
粘着剤層のゲル分率(溶剤不溶分)は、特に制限されないが、例えば、その下限値は、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは30質量%以上である。また、前記ゲル分率(溶剤不溶分)の上限値は、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以下である。前記ゲル分率がこのような範囲であると、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持できる粘着シーを提供し易い。
なお、粘着剤層のゲル分率とは、粘着剤中の「溶剤不溶成分の割合」を意味し、以下の「粘着剤のゲル分率の測定方法」により算出される値である。
粘着剤のゲル分率は、以下のようにして求められる。粘着剤を約1g採取し、これを精秤して浸漬前の粘着剤の質量を求める。次に、これを酢酸エチル約40gに7日間浸漬した後、酢酸エチルに不溶解部分を全て回収し、130℃で2時間乾燥させて、その不溶解部分の乾燥質量を求める。そして、得られた数値を以下の式に代入して算出する。
粘着剤の溶剤不溶分(質量%)=(不溶解部分の乾燥質量/浸漬前の粘着剤の質量)×100
基材の総厚みT1に対する粘着剤層の厚みT2の割合T2/T1(下限値)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜設定されるものであるが、例えば、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上が更に好ましい。また、基材の総厚みT1に対する粘着剤層の厚みT2の割合T2/T1(上限値)は、例えば、2.5以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.8以下が更に好ましい。
前記割合T2/T1が、このような範囲であると、ガスバリア性に優れると共に、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に対する密着を維持できる粘着シートを提供し易い。
(剥離ライナー)
使用前の粘着シートにおいて、粘着剤層の表面(粘着面)は、剥離ライナーによって保護される。剥離ライナーとしては、公知のものから適宜、選択したものを利用することができる。ただし、粘着シートを、ハードディスクドライブ(磁気ディスク装置)等に貼り付けて使用する場合には、環状シロキサン等のシロキサン化合物(シロキサンガス)の発生が抑制される等の観点より、非シリコーン系の剥離ライナーを使用することが好ましい。
上記非シリコーン系の剥離ライナーとしては、シリコーン系剥離処理剤が用いられていなければ特に限定されず、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等の剥離層を有する基材;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系ポリマーからなる低接着性基材;オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)等の無極性ポリマーからなる低接着性基材等を用いることができる。それらの中でも、剥離処理面側のフィルム層がオレフィン系樹脂からなる剥離ライナー(ポリオレフィン系剥離ライナー)が好ましく、剥離処理面側のフィルム層がポリエチレンからなる剥離ライナー(ポリエチレン系剥離ライナー)が特に好ましい。なお、上記ポリオレフィン系剥離ライナーは、粘着面と接する面側を形成する層がポリオレフィン系樹脂から構成されていればよく、例えば、ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂の積層フィルムであってもよい。
(粘着シートの特性)
粘着シートは、湿気、シロキサン化合物(例えば、環状シロキサン等)、低密度ガス(例えば、ヘリウム)等の各種ガス成分を透過させ難いという性質(ガスバリア性、ガス透過抑制性)を備えている。なお、湿気やヘリウム等の各種ガス成分は、粘着シート(基材)を厚み方向に通過するように移動するものではなく、粘着剤層中を移動するものと考えられている。
また、粘着シートは、被着体の形状に倣って折り曲げられた状態であっても、その状態のまま、被着体に対する密着を維持できる性質(耐反発性)を備えている。例えば、粘着シートを、角部を成すように隣接する2つの平面を有する被着体に対して、角部を跨ぐように貼り付けた場合、粘着シートは被着体の形状に倣って折り曲げられた状態で被着体に密着することができる。粘着シートは、端側が被着体から剥離して浮き上がること等が防止される。
粘着シートは、その他に、被着体の凹凸面に対する追従性(段差追従性)、剛性、作業性(取扱性)、保存安定性、耐久性等の特性を備えている。
粘着シートは、後述する定荷重剥離試験(70℃、1時間)の結果(剥離距離)が2mm以下であり、より好ましくは1.5mm以下であり、更に好ましくは1mm以下である。粘着シートは、通常、70℃以下の温度環境下で使用される。そのため、70℃における定荷重剥離試験の結果が上記範囲であれば、粘着シートは、被着体に対する十分な密着力(粘着力)を備えていると言える。
粘着シートは、後述する耐反発性試験(70℃、24時間)の結果(合計浮き高さ)が2mm未満であり、より好ましくは1.5mm以下であり、更に好ましくは1mm以下であり、特に好ましくは0mmである。上記のように、粘着シートは、通常、70℃以下の温度環境下で使用される。そのため、70℃における耐反発性試験の結果が上記範囲であれば、粘着シートは、耐反発性に優れると言える。
粘着シートは、後述する透湿度試験の結果(透湿度)が0.1(g/m/24h)以下である。
また、粘着シートは、突き刺し強度が、好ましくは1.0N/sqmm以上であり、より好ましくは2.0N/sqmm以上である。なお、突き刺し強度は、後述する測定方法により測定される。
また、粘着シートは、引き裂き強度が、好ましくは100mN以上であり、より好ましくは200mN以上である。なお、引き裂き強度、後述する測定方法により測定される。
(粘着シートの用途)
粘着シートは、例えば、ハードディスクドライブ(磁気ディスク装置)5の気密性を確保するために、ハードディスクドライブに貼り付けられるカバーシールとして用いられる。図3は、カバーシールとして用いられる粘着シート1の平面図であり、図4は、上面に粘着シート1が貼り付けられているハードディスクドライブ5の平面図であり、図5は、ハードディスクドライブ5の構成を模式的に表した断面図である。なお、図5には、図4のA−A線断面図が示されている。
図3に示されるように、カバーシール用の粘着シート1は、ハードディスクドライブ5の上面に貼り付けられる矩形状のシール本体部11と、シール本体部11における四辺の縁部(周縁)にそれぞれ延設され、ハードディスクドライブ5の側面に貼り付けられる4つの延設部12,13,14,15とを備えている。延設部12,14は、シール本体部11の長辺側の縁部に延設され、延設部13,15は、シール本体部11の短辺側の縁部に延設されている。各延設部12等は、矩形状をなしている。
ここで、ハードディスクドライブ5の構成について説明する。ハードディスクドライブ5は、図5に示されるように、磁気ディスク、スピンドルモータ等を含む磁気ディスクユニット51や、磁気ディスクに対する情報の読み書きを行う磁気ヘッド等を含むヘッドユニット52等を収納する箱状のベース部53と、このベース部53に取り付けられるカバー部(トップカバー)54とを備えている。ベース部53は、SUS等の金属材料等からなり、全体的には、上方に開口した箱状をなしている。具体的には、ベース部53は、底板53aと、この底板53aの周囲に立設された周壁53bとを備えている。底板53aと周壁53bとで囲まれた部分に、上述した磁気ディスクユニット51やヘッドユニット52等が収納される。周壁53bの上端には、開口53cを囲む枠状をなした端部(以下、枠状端部)53dがある。
カバー部54は、全体的には、板状をなしており、SUS等の金属材料等から構成されている。カバー部54は、平面視で矩形状をなす板状の本体部54aを備えている。この本体部54a(カバー部54)の端部54bの周縁(外周縁)が、上述した枠状端部53dの内周縁で囲まれる形で、前記開口53cを覆うようにベース部53に取り付けられる。要するに、カバー部54は、所謂落とし蓋のような状態で、ベース部53の開口53cを塞ぐ構成となっている。カバー部54とベース部53とで囲まれた空間内に、ベース部53に設けられている逆止弁を備えた供給口(不図示)を介して、ヘリウムガス等の低密度ガスが供給される。
そして、枠状端部53dの内周縁とカバー部54の外周縁との間には、細い隙間(継ぎ目)55が形成されている。なお、本実施形態の場合、枠状端部53dの上端面と、カバー部54の上面とは、略同一平面上に配されている。他の実施形態においては、カバー部54の上面に凹凸形状が形成されていてもよい。また、他の実施形態においては、枠状端部53dの上端面と、カバー部54の端部54bの上面とが段差状に配されるものであってもよい。
粘着シート1のうち、シール本体部11は、粘着面がカバー部54(本体部54a)の上面を全面的に覆うと共に枠状端部53dの上面を覆う形で、ハードディスクドライブ5に貼り付けられている。なお、枠状端部53dの内周縁と、カバー部54の外周縁との間に形成される隙間55は、シール本体部11の周縁部分によって塞がれている。つまり、粘着シート1のシール本体部11は、枠状端部53dの内周縁とカバー部54の外周縁との間に形成される隙間55を塞ぐように、枠状端部53dとカバー部54(端部54b)とに亘って貼り付けられている。
また、粘着シート1の各延設部12等は、ベース部53の側面(周壁53bの外壁面)に貼り付けられている。
このような粘着シート1は、図5に示されるように、ハードディスクドライブ5の上面(カバー部54の上面及びベース部53の上面)と、ハードディスクドライブ5の側面(ベース部53の側面)との間にある角部を跨ぐように、ハードディスクドライブ5の上面からハードディスクドライブ5の側面に亘って折り曲げられた状態で貼り付けられている。
粘着シート1では、シール本体部11の周縁部分が、ハードディスクドライブ5の上面にある細い隙間(継ぎ目)55を塞いでいる。そして、そのシール本体部11の周縁部分には、更に外側に延びる形で延設部が設けられている。この延設部は、ハードディスクドライブ5の上面に隣接するハードディスクドライブ5の側面(ベース部53の側面)に貼り付けられている。つまり、ハードディスクドライブ5の上面にある細い隙間(継ぎ目)55と粘着シート1の端部(延設部の端部)までの距離が、例えば、シール本体部11のみからなる矩形状のカバーシールと比べて、延設部の長さ分だけ長くなっている。
このように、隙間(継ぎ目)55と粘着シート1の端部までの距離が長く設定されていると、ハードディスクドライブ5内のガスが、外部に放出されるまでに粘着剤層3中を移動する距離が長くなる。また、これとは反対に、外部のガスが、ハードディスクドライブ5内に進入する場合でも、同様に、粘着剤層3中を移動する距離が長くなる。このように、ハードディスクドライブ5内と外部(外界)との間においてガスが移動する距離が長くなることにより、粘着シート1によるガスバリア性が高められている。
なお、上述したように、粘着シート1は、優れた耐反発性を備えており、ハードディスクドライブ5(被着体)の形状に倣って折り曲げられた状態であっても、その状態のまま、ハードディスクドライブ5(被着体)に対する密着性が維持され、粘着シート1の端側がハードディスクドライブ5(被着体)から剥離して浮き上がること等が防止される。そのため、粘着シート1では、ハードディスクドライブ5内と外部(外界)との間においてガスが移動する距離が長く保たれる。
特に、粘着シート1は、比較的、高温条件下(例えば、70℃)においても、ガスバリア性、耐反発性等が確保される。
なお、カバー部54には、各種部品の組み込みや、データの書き込み等のために利用される図示されない孔(穴)が設けられており、これらの孔も粘着シート1のシール本体部11によって一括して塞がれている。
粘着シートは、上述したカバーシールの用途以外に、所定形状に加工されて、ハードディスクドライブ5のカバー部54やベース部53等に設けられている各種孔(穴)を塞ぐための用途等の他の用途で用いられてもよい。
また、粘着シートは、平坦な表面の被着体に貼り付けられてもよいし、多少の凹凸表面を有する被着体に貼り付けられてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
(基材aの作製)
ドライラミネート接着による積層方式により、PETフィルム層(厚み:9μm)、アルミニウム層(厚み:7μm)及びPETフィルム層(厚み:9μm)が、この順番で表側から裏側にかけて並ぶ3層構成の基材aを作製した。なお、得られた基材aの総厚みは、30μmであった。
(粘着剤組成物溶液Iの調製)
アクリル酸ブチル93質量部、アクリル酸7質量部、及びアクリル酸4−ヒドロキシブチル0.1質量部を、酢酸エチルを溶媒として、アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を開始剤として、常法により溶液重合させて、重量平均分子量が150万のアクリル系ポリマーの溶液(固形分濃度:25質量%)を得た。この溶液に、前記アクリル系ポリマー100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物、固形分濃度75質量%)2質量部(固形分換算)を配合して、粘着剤組成物溶液Iを得た。
(粘着シートの作製)
基材aの裏側にあるPETフィルム層の面上に、乾燥後の厚みが15μmとなるように粘着剤組成物溶液Iを塗布し、その塗布された溶液Iを120℃で3分間乾燥して、基材a上に粘着剤層を形成した。更に、離型処理及びエンボス処理された熱可塑性フィルムからなる剥離ライナー(サンエー化研(株)製、商品名「SFL−70T2」、厚み:70μm)を、粘着剤層の表面に貼り合わせて、実施例1における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔実施例2〕
基材aの裏側にあるPETフィルム層の面上に、乾燥後の厚みが30μmとなるように粘着剤組成物溶液Iを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔実施例3〕
基材aの裏側にあるPETフィルム層の面上に、乾燥後の厚みが45μmとなるように粘着剤組成物溶液Iを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔実施例4〕
表側のPETフィルム層の厚みを25μmに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、3層構造の基材bを作製した。なお、得られた基材bの総厚みは、46μmであった。そして、基材bの裏側にあるPETフィルム層の面上に、実施例1と同様の粘着剤組成物溶液Iを乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、その塗布された溶液Iを120℃で3分間乾燥して、基材b上に粘着剤層を形成した。更に、実施例1と同様の剥離ライナーを、粘着剤層の表面に貼り合わせて、実施例4における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔実施例5〕
ドライラミネート接着による積層方式により、OPPフィルム層(厚み:30μm)、アルミニウム層(厚み:7μm)及びOPPフィルム層(厚み:9μm)が、この順番で表側から裏側にかけて並ぶ3層構成の基材cを作製した。なお、得られた基材cの総厚みは、51μmであった。
基材cの裏側にあるOPPフィルム層の面上に、乾燥後の厚みが30μmとなるように粘着剤組成物溶液Iを塗布し、その塗布された溶液Iを120℃で3分間乾燥して、基材c上に粘着剤層を形成した。更に、実施例1と同様の剥離ライナーを、粘着剤層の表面に貼り合わせて、実施例5における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔実施例6〕
表側のOPPフィルム層の厚みを40μmに代えたこと以外は、実施例5と同様にして、3層構造の基材dを作製した。なお、得られた基材dの総厚みは、61μmであった。次いで、基材dの裏側にあるOPPフィルム層の面上に、実施例5と同様にして、粘着剤層(厚み:30μm)を形成しつつ、粘着剤層の表面に剥離ライナーを貼り合わせて、実施例6における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔実施例7〕
裏側のOPPフィルム層の厚みを4.5μmに代えたこと以外は、実施例5と同様にして、3層構造の基材eを作製した。なお、得られた基材eの総厚みは、46.5μmであった。次いで、基材eの裏側にあるOPPフィルム層の面上に、実施例5と同様にして、粘着剤層(厚み:30μm)を形成しつつ、粘着剤層の表面に剥離ライナーを貼り合わせて、実施例7における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔実施例8〕
表側のOPPフィルム層の厚みを40μmに代えると共に、裏側のOPPフィルム層の厚みを4.5μmに代えたこと以外は、実施例5と同様にして、3層構造の基材fを作製した。次いで、基材fの裏側にあるOPPフィルム層の面上に、実施例5と同様にして、粘着剤層(厚み:30μm)を形成しつつ、粘着剤層の表面に剥離ライナーを貼り合わせて、実施例7における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔実施例9〕
ドライラミネート接着による積層方式により、PETフィルム層(厚み:38μm)及びアルミニウム層(厚み:7μm)が、この順番で表側から裏側にかけて並ぶ2層構成の基材gを作製した。なお、得られた基材gの総厚みは、47.5μmであった。
基材gの裏側にあるアルミニウム層の面上に、乾燥後の厚みが30μmとなるように粘着剤組成物溶液Iを塗布し、その塗布された溶液Iを120℃で3分間乾燥して、基材g上に粘着剤層を形成した。更に、実施例1と同様の剥離ライナーを、粘着剤層の表面に貼り合わせて、実施例9における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔比較例1〕
表側のPETフィルム層の厚みを38μmに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、3層構造の基材hを作製した。なお、得られた基材hの総厚みは、59μmであった。そして、基材hの裏側にあるPETフィルム層の面上に、実施例1と同様の粘着剤組成物溶液Iを乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、その塗布された溶液Iを120℃で3分間乾燥して、基材h上に粘着剤層を形成した。更に、実施例1と同様の剥離ライナーを、粘着剤層の表面に貼り合わせて、比較例1における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔比較例2〕
表側のPETフィルム層の厚みを50μmに代えたこと以外は、実施例1と同様にして、3層構造の基材iを作製した。なお、得られた基材iの総厚みは、71μmであった。次いで、基材iの裏側にあるPETフィルム層の面上に、比較例1と同様にして、粘着剤層(厚み:30μm)を形成しつつ、粘着剤層の表面に剥離ライナーを貼り合わせて、比較例2における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔比較例3〕
ドライラミネート接着による積層方式により、PIフィルム層(厚み:25μm)、アルミニウム層(厚み:7μm)及びPIフィルム層(厚み:9μm)が、この順番で表側から裏側にかけて並ぶ3層構成の基材jを作製した。なお、得られた基材jの総厚みは、46μmであった。そして、基材jの裏側にあるPIフィルム層の面上に、実施例1と同様の粘着剤組成物溶液Iを乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、その塗布された溶液Iを120℃で3分間乾燥して、基材j上に粘着剤層を形成した。更に、実施例1と同様の剥離ライナーを、粘着剤層の表面に貼り合わせて、比較例3における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔比較例4〕
アクリル酸4−ヒドロキシブチルの配合量を0.05質量部に代えると共に、イソシアネート系架橋剤の配合量を0.4質量部(固形分換算)に代えたこと以外は、実施例1の粘着剤組成物溶液Iと同様にして、粘着剤組成物溶液IIを得た。
基材b(実施例4参照)の裏側にあるPETフィルム層の面上に、粘着剤組成物溶液IIを乾燥後の厚みが30μmとなるように塗布し、その塗布された溶液IIを120℃で3分間乾燥して、基材b上に粘着剤層を形成した。更に、実施例1と同様の剥離ライナーを、粘着剤層の表面に貼り合わせて、比較例4における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
〔比較例5〕
基材aの裏側にあるPETフィルム層の面上に、乾燥後の厚みが10μmとなるように粘着剤組成物溶液Iを塗布したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例5における剥離ライナー付きの粘着シートを得た。
(基材の初期弾性率)
実施例及び比較例で使用される基材a〜基材jの初期弾性率(N/mm)を、以下に示される方法で測定した。
剥離ライナー付き粘着テープを10mm幅×50mm長さに切り出し、それから剥離ライナーを剥がしたものを測定サンプルとした。測定サンプルの上端を引張試験機の上側のチャックに挟んで固定した後、上下のチャック間距離が20mmになるように移動させ、下側のチャックに測定サンプルの下端を挟んで固定した。固定されたサンプルを50mm/分の速度で引張試験(応力−歪試験)を行い、その初期傾きから弾性率を算出して、これを初期弾性率とした。
(基材の初期弾性率と基材の厚みの積)
上記基材の初期弾性率(N/mm)と、基材の厚み(総厚みT1)との積(N/mm)を求めた。結果は、表1に示した。
〔粘着剤層の損失弾性率G’’〕
実施例及び比較例で使用される粘着剤組成物溶液I,IIからなる各粘着剤層の損失弾性率G’’(70℃)を、以下に示される方法で測定した。
粘着剤組成物溶液を、片面に離型処理したPETフィルム(厚み:38μm)の離型処理面上に、乾燥後の厚みが50μmとなるように塗布した。粘着剤組成物溶液が塗布されたPETフィルムを130℃で3分間加熱乾燥し、更に50℃にて24時間エージングすることにより得られた粘着剤層をPETフィルムから剥離した。次いで、その粘着剤層を複数枚重ね合せて、厚みが2mmの粘着剤層とし、それを直径7.9mmの円盤状に打ち抜いたものを、測定サンプルとした。測定サンプルをパラレルプレート(直径7.9mm)で挟み込んで固定し、粘弾性試験機(「ARES(Advanced Rheometric Expansion System)」、レオメトリック・サイエンティフィック社製)により、70℃における損失弾性率G’’(70℃)を測定した。測定条件は、下記の通りである。
<測定条件>
周波数:1Hz
昇温速度:5℃/分
測定温度域:−60〜200℃
測定モード:せん断モード
(粘着剤層のプローブタック)
実施例及び比較例の各粘着剤層におけるプローブタック(kN/m)を、以下に示されるASTM D2979(転倒試験機による接着剤の感圧粘着性試験法)に準じた方法で測定した。
転倒試験機における円形のステンレス製プローブ(直径:5mm)を、剥離ライナーを剥がした状態の粘着剤層の粘着面に、一定荷重(100gf/5mmφ)をかけながら、1秒間接触させた後、プローブを粘着面から垂直方向に引き離すのに要する力を求め、これを粘着剤層のプローブタック(粘着力)の値とした。なお、プローブの接触速さは100mm/分であり、引き離し速さは100mm/分である。結果は、表1に示した。
〔評価〕
実施例1〜9、及び比較例1〜5で得られた各粘着シートについて、以下に示される評価試験を行った。
(1.透湿度試験)
透湿度を、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて測定した。具体的には、粘着シートを、試験用カップ(アルミニウム製、直径30mm、JIS Z0208のカップ法で用いられるカップ)の口径に合わせて、直径30mm(円周約94mm)の円形状に切り取ったものを、試験サンプルとした。そして、前記カップの内部に約15gの塩化カルシウムを入れた状態で、前記試験片で前記カップの口を密閉した。なお、前記試験サンプルの粘着面と接触する(粘着する)前記カップの口縁の幅(糊代)は、2.0mmであった。
その後、前記カップを60℃、90%RHの恒温高湿チャンバー内に入れて、24時間放置した前後の塩化カルシウムの重量増加を測定することで透湿度(g/m/24h)を求めた。なお、透湿度(g/m/24h)が0.1以下であれば、粘着シートは十分な透湿抑制性(ガスバリア性)を備えていると言える。結果は、表1に示した。
(2.定荷重剥離試験)
粘着シートから、幅10mm、長さ100mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。試験片から剥離ライナーを剥がした後、5kgローラーを用いて、試験片を試験板(SUS304BA)に貼り付けた。そして、試験片が貼り付けられた試験板を、室温(23℃)環境下で24時間養生した。図6は、定荷重剥離試験の内容を模式的に表した説明図である。図6に示されるように、試験片100が貼り付けられた面が下方に配された状態で試験板101を水平に保持しつつ、試験片101の長手方向の一端101aに100gの重り102を、糸103を利用して吊るした。このような状態の試験片101を、70℃の環境下に投入し、1時間後の試験片100の剥離距離(試験板101の表面から試験片100の一端101aまでの距離)Dを測定した。なお、剥離距離Dが2mm以下であれば、粘着シートは十分な接着信頼性(接着力)を備えていると言える。結果は、表1に示した。
(3.耐反発性試験)
実施例及び比較例で得られた粘着シートの基材側に、両面粘着シート(商品名「No.5000NS」、日東電工(株)製)を貼り合せ、それを幅10mm、長さ90mmの大きさに切断した。その貼り合せた物の両面粘着シート側の剥離ライナーを剥がし、両面粘着シートの粘着面に、同じ大きさのアルミニウム板(A1050、厚み:0.3mm)を貼り合せたものを試験サンプルとした。この試験サンプルの長手方向を、アルミニウム板側が内側に配される形で、直径65mmの円柱に沿わせて湾曲させた。次いで、粘着シート側の剥離ライナーを剥がし、イソプロピルアルコールを染み込ませたクリーンウエスにて10往復擦り洗浄した清浄な被着体に、ラミネーターを用いて浮きのないように試験サンプルを圧着した。これを室温で5時間放置した後、試験サンプルの長手方向における端部が、被着体表面から浮き上がった高さを測定し、以下に示される評価基準で評価した。なお、測定は、試験サンプルの両端について行い、これら両端における浮き高さの合計値(合計浮き高さ)を耐反発性の値とした。被着体としては、アルミニウム板(A1050)を用いた。評価は、70℃の環境下で24時間経過後の浮き高さとした。なお、上記耐反発性の値が、2mmを超えると、十分な耐反発性を備えていないと判断される。結果は、表1に示した。
Figure 0006695959
表1に示されるように、実施例1〜9の粘着シートは、ガスバリア性(耐透湿性)に優れると共に、耐反発性に優れることが確かめられた。
これに対し、比較例1〜4の粘着シートは、耐反発性に問題があり、比較例5の粘着シートは、ガスバリア性(耐透湿性)に問題があることが確かめられた。
ここで、各実施例を代表して、実施例4の粘着シートについて、以下に示される方法により、突き刺し強度、及び引き裂き強度を測定した。
(突き刺し強度)
実施例4の粘着シートについて、JIS Z1707(食品包装用プラスチックフィルム)に準拠して突き刺し強度(N/sqmm)を測定した(直径:2.5mm、突き刺し速度:10mm/分)測定結果は、7.78N/sqmmであった。
(引き裂き強度)
実施例4の粘着シートについて、JIS P8116(エレメンドルフ)に準拠して引き裂き強度(mN)を測定した(8枚積層)。測定結果は、607mNであった。
1,1A…粘着シート、2,2A…基材、21…第1樹脂層(樹脂層)、22…金属層、23…第2樹脂層(他の樹脂層)、3…粘着剤層、4…剥離ライナー

Claims (7)

  1. 被着体に貼り付けられる粘着面を裏側に有する粘着剤層と、
    前記粘着剤層の表側に配される金属層、及び前記金属層の表側に配される樹脂層を有する基材とを備える粘着シートであって
    前記粘着剤層の70℃における損失弾性率G’’が5×10 Pa以上であり、
    前記基材の初期弾性率と前記基材の厚みの積が3000N/mm以下であり、
    以下に示される定荷重剥離試験により測定される剥離距離が2mm以下であり、
    前記粘着シートは、シール本体部と、該シール本体部の周縁部分において外側に延びる形の延設部と、を有する、粘着シート。
    定荷重剥離試験:ステンレス鋼板からなる試験板の片方の表面に、前記粘着面が密着する形で前記粘着シートからなる試験片(幅10mm×長さ100mm)を貼り付けた後、前記試験片を23℃で24時間養生する。その後、70℃の条件下で、前記試験片の長さ方向の一端に、前記試験板の前記表面と垂直方向に100gfの荷重をかけ、1時間経過後の前記試験片の剥離距離を測定する。
  2. 前記粘着剤層のプローブタックが120kN/m以上である、請求項に記載の粘着シート。
  3. 前記粘着剤層の厚みT2は12μm以上である、請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記金属層の厚みt2に対する、前記基材中に含まれる前記樹脂層及び前記樹脂層以外の他の樹脂層の合計厚みの割合が1.5以上8.0以下である、請求項1〜の何れか一項に記載の粘着シート。
  5. 前記基材の総厚みT1に対する前記粘着剤層の厚みT2の割合T2/T1が0.2以上2.5以下である、請求項1〜の何れか一項に記載の粘着シート。
  6. 磁気ディスク用カバーシールとして利用される、請求項1〜の何れか一項に記載の粘着シート。
  7. 磁気ディスクを含む磁気ディスクユニットと、
    前記磁気ディスクに対する情報の読み書きを行う磁気ヘッドを含むヘッドユニットと、
    上方に開口した箱状をなし、前記開口を囲む枠状端部を含み、内部で前記磁気ディスクユニット及び前記ヘッドユニットを収納するベース部と、
    外周縁が前記枠状端部の内周縁で囲まれるように前記開口を覆う形で前記ベース部に取り付けられるカバー部と、
    請求項1〜の何れか一項に記載の粘着シートからなり、前記枠状端部の内周縁と前記カバー部の外周縁との間に形成される隙間を塞ぐように、前記枠状端部と前記カバー部とに亘って貼り付けられるシール本体部と、このシール本体部の周縁に延設され前記ベース部の側面に貼り付けられる1つ又は複数の延設部とを有し、前記カバー部の上面及び前記ベース部の上面から前記側面に亘って折り曲げられた状態で貼り付けられるカバーシールと、を備える磁気ディスク装置。
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