JP2013060403A - 美肌用組成物、化粧料および食品 - Google Patents

美肌用組成物、化粧料および食品 Download PDF

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Abstract

【課題】 高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分を含有し、皮膚結合組織のヒアルロン酸の分解を抑制する作用に優れる美肌用組成物を提供する。
【解決手段】 美肌用組成物は、白ウコンの抽出物を含む。この白ウコンの抽出物は、ヒアルロニダーゼの活性を阻害する機能を有する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、美肌用組成物、化粧料および食品に関する。
ヒアルロン酸は、β−D−N−アセチルグルコサミンとβ−D−グルクロン酸とが交互に結合してできた直鎖状の高分子多糖である。水分保持能力が非常に高く、皮膚、関節、脳等の生体内の細胞外マトリックスに存在し、細胞間隙への水分の保持、組織内へのゼリー状のマトリックス形成による細胞の保持、組織の潤滑性および柔軟性の保持などの機能を有する。
ヒアルロニダーゼは、グリコシド結合を切断することによりヒアルロン酸を分解する酵素である。ヒアルロニダーゼは生体内に広く分布し皮膚にも存在する。皮膚のヒアルロニダーゼが活性化されると、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解され、皮膚の弾力性および保湿性低下、しわの発生などにつながる。また、生体内でアレルギー反応が起こる際にもヒアルロニダーゼは活性化し、ヒアルロン酸を分解してアレルギー症状を引き起こす原因となる。
そこで、ヒアルロニダーゼ活性を阻害することが、皮膚の弾力性および保湿性の維持、抗アレルギー性などに寄与すると考えられ、ヒアルロニダーゼ活性阻害能を有し、美肌効果を発揮する美肌用組成物の開発が望まれる。
ショウガ科の植物は、健康商品、化粧料、漢方薬、医薬などの材料として広く利用される。たとえば、特許文献1には、ショウガ科の植物であるミョウガに抗菌作用、抗血栓作用および抗炎症作用を有する成分が含まれていることが開示されている。
また、ショウガ科クルクマ属に属する多年草植物であるウコンとしては、たとえば、春ウコン(学名:Curcuma aromatica Salisb.)、秋ウコン(学名:Curcuma longa Linn)、白ウコン(学名:Curcuma caesia)、紫ウコン(学名:Curcuma zedoaria Roscoe)などの品種が良く知られている。このようなウコンは、独特の風味および香りを有し、肝機能、抗酸化力などを増強するとされるクルクミンと、ターメロン、シネオール、クルクメノン、クルクモール、エレメン、パラメチトルイルカピノール、フラボノイド、アズレン、カンファなどの薬理活性を有する精油成分を含んでいることが知られている。
特開2006−241068号公報
しかしながら、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する有効成分がショウガ科の植物に含まれていることについては知られていない。
したがって本発明の目的は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分を含有し、皮膚結合組織のヒアルロン酸の分解を抑制する作用に優れる美肌用組成物を提供することであり、該美肌用組成物を含む化粧料および食品を提供することである。
本発明は、ヒアルロニダーゼの活性を阻害する機能を有する美肌成分として、白ウコンの抽出物を含むことを特徴とする美肌用組成物である。
また本発明の美肌用組成物において、白ウコンの抽出物は、白ウコンの根の抽出物であることを特徴とする。
また本発明の美肌用組成物において、白ウコンの抽出物は、白ウコンをヘキサンまたは超臨界二酸化炭素で抽出して得られる抽出物であることを特徴とする。
また本発明の美肌用組成物において、白ウコンの抽出物は、下記式(1)で表されるジテルペン化合物を含むことを特徴とする。
また本発明の美肌用組成物において、白ウコンの抽出物は、下記式(2)で表されるジテルペン化合物を含むことを特徴とする。
また本発明の美肌用組成物において、白ウコンの抽出物は、下記式(3)で表されるジテルペン化合物を含むことを特徴とする。
また本発明の美肌用組成物において、白ウコンの抽出物は、下記式(4)で表されるジテルペン化合物を含むことを特徴とする。
また本発明の美肌用組成物は、春ウコンの抽出物をさらに含むことを特徴とする。
また本発明は、前記美肌用組成物を含むことを特徴とする化粧料である。
また本発明は、前記美肌用組成物を含むことを特徴とする食品である。
本発明によれば、美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼの活性を阻害する機能(以下、「ヒアルロニダーゼ活性阻害能」という)を有する成分として、白ウコンの抽出物を含む。白ウコンの抽出物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有するので、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解されるのを防止することができる。そのため、美肌用組成物は、皮膚の弾力性および保湿性の維持、抗アレルギー性に寄与することができる。
また本発明によれば、白ウコンの抽出物は、白ウコンの根の抽出物である。白ウコンの根には、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分が多く含まれている。そのため、白ウコンの根の抽出物を含む美肌用組成物は、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解されるのをより効果的に防止することができる。
また本発明によれば、白ウコンの抽出物は、白ウコンをヘキサンまたは超臨界二酸化炭素で抽出して得られる抽出物である。白ウコンをヘキサンまたは超臨界二酸化炭素で抽出してなる抽出物には、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分が多く含まれている。そのため、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解されるのをより効果的に防止することができる。
また本発明によれば、美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分として、上記式(1)で表されるジテルペン化合物を含む。上記式(1)で表されるジテルペン化合物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する。そのため、上記式(1)で表されるジテルペン化合物を含む美肌用組成物は、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解されるのを効果的に防止することができる。
また本発明によれば、美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分として、上記式(2)で表されるジテルペン化合物を含む。上記式(2)で表されるジテルペン化合物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する。そのため、上記式(2)で表されるジテルペン化合物を含む美肌用組成物は、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解されるのを効果的に防止することができる。
また本発明によれば、美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分として、上記式(3)で表されるジテルペン化合物を含む。上記式(3)で表されるジテルペン化合物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する。そのため、上記式(3)で表されるジテルペン化合物を含む美肌用組成物は、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解されるのを効果的に防止することができる。
また本発明によれば、美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分として、上記式(4)で表されるジテルペン化合物を含む。上記式(4)で表されるジテルペン化合物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する。そのため、上記式(4)で表されるジテルペン化合物を含む美肌用組成物は、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解されるのを効果的に防止することができる。
また本発明によれば、美肌用組成物は、春ウコンの抽出物をさらに含む。春ウコンの抽出物には、高いチロシナーゼ活性阻害能を有する成分が含まれている。チロシナーゼは、メラニン生成の初期反応であるアミノ酸チロシンからL−DOPA(L-β-(3,4-Dihydroxyphenyl)alanine)への水酸化、L−DOPAからDOPAキノンへの酸化を触媒する酵素である。美肌用組成物が、チロシナーゼの活性を阻害することが可能な成分として春ウコンの抽出物を含むことによって、肌の美白効果に寄与することができる。
また本発明によれば、化粧料は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する美肌用組成物を含むので、皮膚の弾力性および保湿性の維持、抗アレルギー性に寄与する優れた美肌効果を有する。
また本発明によれば、食品は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する美肌用組成物を含むので、美容食品などとして有用である。
[美肌用組成物]
本実施形態に係る美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼの活性を阻害する機能(ヒアルロニダーゼ活性阻害能)を有する成分として、白ウコンの抽出物を含む組成物である。
ここで、白ウコン(学名:Curcuma caesia)は、熱帯アジア原産のショウガ科クルクマ属に属する多年草植物で、別名「ハナショウガ」とも呼ばれ、蝋細工のような赤い綺麗な花を付ける。
本実施形態で用いられる白ウコンは、天然のものであっても、人工栽培されたものであってもよい。本実施形態では、白ウコンは、福岡県みやま市山川町で、葉については7月〜10月に収穫されたものを使用し、根については10月〜12月に収穫されたものを使用する。
抽出に供される白ウコンの部位としては、根、茎、葉など、いずれの部位を用いてもよいが、ヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分が多く含まれているという観点では、根を用いるのが好ましい。
また、収穫された白ウコンは、乾燥されずにそのまま抽出に供されてもよく、乾燥されて抽出に供されてもよい。また、白ウコンは、粉末化などの加工が施されてから抽出に供されてもよい。抽出効率の観点からは、抽出に供される白ウコンは、乾燥された粉末状であることが好ましい。白ウコンの乾燥粉末は、たとえば、白ウコンをスライスした後、日陰で5〜6時間放置し、熱風乾燥機を用いて約80℃で熱風乾燥した後、機械的に粉砕して粉末状にすることで得ることができる。
また、白ウコン抽出物を得る抽出方法としては、白ウコンを有機溶剤で抽出する方法、超臨界二酸化炭素で抽出する方法などが挙げられる。白ウコンの抽出に用いる有機溶剤としては、たとえば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナンおよびデカンなどの炭化水素系溶剤、酢酸エチル、アセトン、アルコール類、水アルコール系溶媒などが挙げられる。これらのうち、ヘキサンが特に好ましい。
有機溶剤を用いて白ウコンを抽出する場合、有機溶剤は、白ウコン100質量部に対し、30〜60質量部用いるようにすればよい。また、抽出の温度は、通常20〜50℃の範囲とすることが好ましく、抽出時間は、通常24〜72時間とすることが好ましい。
また、超臨界二酸化炭素を用いて白ウコンを抽出する場合、白ウコンと超臨界二酸化炭素とを接触させることによって行われる。抽出条件は特に制限されず、二酸化炭素が超臨界になる条件であれば特に制限されないけれども、好ましくは、圧力8〜36MPa、温度35〜80℃である。また、白ウコンに対する超臨界二酸化炭素の使用量も特に制限されないけれども、好ましくは白ウコン100質量部に対して、超臨界二酸化炭素を2000〜20000質量部用いればよい。また、抽出時間も特に制限されないけれども、好ましくは1〜10時間程度である。
前記圧力範囲、温度範囲、超臨界二酸化炭素の使用量範囲、抽出時間範囲の中で、各条件を適宜組み合わせて最適条件を選択すれば、各成分の含有量がさらに高い抽出物を得ることも可能である。抽出は、具体的には、白ウコンを耐圧抽出容器に入れ、白ウコンを超臨界二酸化炭素と同じ温度に保温した後、該耐圧抽出容器内に超臨界二酸化炭素を導入することによって行われる。このようにして得られる白ウコン抽出物はそのまま化粧料、食品などの材料として使用できる。また、油状物である白ウコン抽出物を、濃縮、希釈、濾過、乾燥などの一般的な粉末化の手法によって、粉末化して用いてもよい。
本実施形態に係る美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分として、白ウコンの抽出物を含む。
ヒアルロニダーゼは、グリコシド結合を切断することによりヒアルロン酸を分解する酵素である。ヒアルロニダーゼは生体内に広く分布し皮膚にも存在する。皮膚のヒアルロニダーゼが活性化されると、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解され、皮膚の弾力性および保湿性低下、しわの発生などにつながる。また、生体内でアレルギー反応が起こる際にもヒアルロニダーゼは活性化し、ヒアルロン酸を分解してアレルギー症状を引き起こす原因となる。
本実施形態の美肌用組成物は白ウコンの抽出物を含み、その白ウコンの抽出物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有するので、皮膚結合組織のヒアルロン酸が分解されるのを防止することができる。そのため、美肌用組成物は、皮膚の弾力性および保湿性の維持、抗アレルギー性に寄与することができる。
次に、白ウコンの抽出物に含まれる成分について説明する。白ウコンの抽出物には、ヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分が含有されている。白ウコン抽出物のヒアルロニダーゼ阻害活性について、以下の評価を行って確認した。
<白ウコンの抽出>
白ウコンの根をスライスした後、日陰で5〜6時間放置し、熱風乾燥機を用いて約80℃で熱風乾燥した後、粉砕して粉末状にすることで白ウコン根粉末を得た。その乾燥後の白ウコン根粉末152.4gをヘキサン1.5L(リットル)に室温下、3日間浸漬させて抽出し、抽出液を得た。この操作をもう一度繰返し、得られた抽出液を合わせてロータリーエバポレータで減圧濃縮し、2.6gの白ウコン根ヘキサン抽出物を得た。
<白ウコン抽出物のヒアルロニダーゼ阻害活性評価>
白ウコン根ヘキサン抽出物のヒアルロニダーゼ阻害活性について、ヒアルロニダーゼ活性阻害率(測定方法の詳細については後述する)を用いて評価した。ヒアルロニダーゼ活性阻害率は、その値が大きいほど、ヒアルロニダーゼ阻害活性が高いことを示す。白ウコン根抽出物のヒアルロニダーゼ阻害活性評価における試料溶液の濃度は、5mg/mL、1mg/mLおよび0.5mg/mLとした。評価結果を表1に示す。
表1から、白ウコンの抽出物は、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有することが明らかである。
<カラムクロマトグラフィーにより分画した画分のヒアルロニダーゼ阻害活性評価>
高いヒアルロニダーゼ阻害活性が認められた白ウコン根ヘキサン抽出物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して、ヘキサン、酢酸エチル、メタノールを用いて7画分に分画した。分画した7画分のそれぞれのヒアルロニダーゼ活性阻害率を表2に示す。なお、7画分のそれぞれの収量は、フラクション1(以下、「Fr.1」という)が191.1mg、フラクション2(以下、「Fr.2」という)が1.2g、フラクション3(以下、「Fr.3」という)が533.6mg、フラクション4(以下、「Fr.4」という)が127.0mg、フラクション5(以下、「Fr.5」という)が273.4mg、フラクション6(以下、「Fr.6」という)が18.2mg、フラクション7(以下、「Fr.7」という)が70.5mgであった。
<ヒアルロニダーゼ阻害活性成分の同定>
高いヒアルロニダーゼ阻害活性が認められたFr.2、Fr.4、Fr.5およびFr.6を用いて、白ウコンに含まれるヒアルロニダーゼ阻害活性成分の同定を行った。
(Fr.4に含まれるヒアルロニダーゼ阻害活性成分の同定)
Fr.4をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン、酢酸エチル)で精製し、その精製した成分のNMRを測定したところ、2成分がほぼ等量で混在していることが確認された。そのため、Fr.4を高速液体クロマトグラフィー(略称:HPLC、溶出溶媒:ヘキサン、アセトン)を用いて分画することで、2つの成分(第1成分および第2成分)に単離した。
単離された第1成分について、MS(マススペクトル)および13C−NMRスペクトルを測定した。第1成分のスペクトルデータを表3に示す。
得られたスペクトルデータは、(Biosci.Biotechnol.Biochem.,70(10),2494-2500,2006)に記載されるスペクトルデータと一致するので、第1成分を、下記式(1)に示す化学構造を有するラブダン型のジテルペン化合物((E)-8β(17)-labd-12-ene-15,16,17-trial)と同定した。
また、単離された第2成分について、MS(マススペクトル)および13C−NMRスペクトルを測定した。第2成分のスペクトルデータを表4に示す。
得られたスペクトルデータは、(Biosci.Biotechnol.Biochem.,66(12),2698-2700,2002)に記載されるスペクトルデータと一致するので、第2成分を、下記式(2)に示す化学構造を有するラブダン型のジテルペン化合物((E)-8β(17)-epoxylabd-12-ene-15,16-dial)と同定した。
(Fr.6に含まれるヒアルロニダーゼ阻害活性成分の同定)
Fr.6をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン、酢酸エチル)で精製することによって、1つの成分(第3成分)を単離した。
単離された第3成分について、MS(マススペクトル)および13C−NMRスペクトルを測定した。第3成分のスペクトルデータを表5に示す。
得られたスペクトルデータは、(J.Nat.Prod.,60,1287-1293,1997)に記載されるスペクトルデータと一致するので、第3成分を、下記式(3)に示す化学構造を有するラブダン型のジテルペン化合物(16-oxo-8(17),12(E)-labdadien-15-oic acid)と同定した。
(Fr.5に含まれるヒアルロニダーゼ阻害活性成分の同定)
Fr.5に含まれるヒアルロニダーゼ阻害活性成分は、上記のFr.4に含まれる式(1),(2)で表されるジテルペン化合物、および、上記のFr.6に含まれる式(3)で表されるジテルペン化合物であることが確認された。
(Fr.2に含まれるヒアルロニダーゼ阻害活性成分の同定)
Fr.2をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン、酢酸エチル)で精製することによって、1つの成分(第4成分)を単離した。
単離された第4成分について、MS(マススペクトル)および13C−NMRスペクトルを測定した。第4成分のスペクトルデータを表6に示す。
得られたスペクトルデータは、(Phytochemistry,36(3),699-701,1994)に記載されるスペクトルデータと一致するので、第4成分を、下記式(4)に示す化学構造を有するラブダン型のジテルペン化合物(Labda-8(17),12-diene-15,16-dial)と同定した。
以上の結果から、白ウコン抽出物には、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分として、上記式(1)〜(4)で表されるジテルペン化合物が含まれていることがわかる。したがって、本実施形態の美肌用組成物が、上記式(1)〜(4)で表されるジテルペン化合物の少なくともいずれか1つの化合物を含むように構成されることによって、高いヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する組成物となる。
また、上記では、白ウコン根のヘキサン抽出物に含まれる成分についての同定結果を示したが、白ウコン根の超臨界二酸化炭素抽出物にも同様に、上記式(1)〜(4)で表されるジテルペン化合物が含まれていることを確認した。また、白ウコン葉のヘキサン抽出物または超臨界二酸化炭素抽出物には、上記式(4)で表されるジテルペン化合物が含まれていることを確認した。
また、本実施形態の美肌用組成物は、白ウコンの抽出物以外に、春ウコン(学名:Curcuma aromatica Salisb.)の抽出物をさらに含むことが好ましい。本実施形態では、春ウコンは、福岡県みやま市山川町で、葉については7月〜10月に収穫されたものを使用し、根については10月〜12月に収穫されたものを使用する。
春ウコンの抽出物には、高いチロシナーゼ活性阻害能を有する成分が含まれている。チロシナーゼは、メラニン生成の初期反応であるアミノ酸チロシンからL−DOPA(L-β-(3,4-Dihydroxyphenyl)alanine)への水酸化、L−DOPAからDOPAキノンへの酸化を触媒する酵素である。美肌用組成物が、チロシナーゼの活性を阻害することが可能な成分として春ウコンの抽出物を含むことによって、肌の美白効果に寄与することができる。
また、春ウコンの抽出物には、ヒアルロニダーゼ活性阻害能を有する成分として、上記式(4)で表されるジテルペン化合物が含まれていることが確認されている。
抽出に供される春ウコンの部位としては、根、茎、葉など、いずれの部位を用いてもよいが、チロシナーゼ活性阻害能を有する成分が多く含まれているという観点では、根を用いるのが好ましい。
また、収穫された春ウコンは、乾燥されずにそのまま抽出に供されてもよく、乾燥されて抽出に供されてもよい。また、春ウコンは、粉末化などの加工が施されてから抽出に供されてもよい。抽出効率の観点からは、抽出に供される春ウコンは、乾燥された粉末状であることが好ましい。春ウコンの乾燥粉末は、たとえば、春ウコンをスライスした後、日陰で5〜6時間放置し、熱風乾燥機を用いて約80℃で熱風乾燥した後、機械的に粉砕して粉末状にすることで得ることができる。
また、春ウコン抽出物を得る抽出方法としては、春ウコンを有機溶剤で抽出する方法、超臨界二酸化炭素で抽出する方法などが挙げられる。春ウコンの抽出に用いる有機溶剤としては、前述の白ウコンの抽出と同様の溶剤を挙げることができる。また、春ウコンを超臨界二酸化炭素で抽出する場合には、前述の白ウコンと同様の抽出条件で抽出するようにすればよい。
美肌用組成物に白ウコンの抽出物と春ウコンの抽出物とを含有させる場合には、それぞれ別々に抽出して得られた白ウコンの抽出物と春ウコンの抽出物とを混合するようにしてもよいし、白ウコンおよび春ウコンの混合物を抽出原料とし、その混合物を抽出するようにしてもよい。
[化粧料]
本実施形態の化粧料は、本実施形態の美肌用組成物とともに油性基剤、水性基剤、界面活性剤、pH調整剤などを含む。
油性基剤としては、たとえば、ミツロウ、カカオ油、カルナバロウ、高級脂肪酸(イソステアリン酸、ウンデシレン酸など)、固形パラフィン、高級アルコール(セチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノールなど)などの常温固形状油性化合物、ワセリン、ラノリン、還元ラノリンなどの常温固形状油性化合物、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油、ピーナッツ油、流動パラフィン、オレイン酸、リノール酸、エステル類(ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチルなど)、シリコーン油(ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性オルガノポリシロキサン、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸など)などが挙げられる。
水性基剤としては、たとえば、グリセリン、ソルビトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸およびその塩、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩などの保湿剤、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、カルボキシビニルポリマ、ヒドロキシプロピルセルロース、アラビアゴムなどの増粘剤などが挙げられる。油性基剤および水性基剤は化粧料の製剤形態に応じて選択され、それぞれ1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
界面活性剤としては、たとえば、イソステアリン酸ポリエチレングリコール、ステアリン酸ソルビタン、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなどのカチオン型界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル、カゼインナトリウム、レシチン、コラーゲンなどの天然界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
pH調整剤としては、たとえば、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。
また、本実施形態の化粧料は、本実施形態の美肌用組成物とともに、生理活性成分を含んでいてもよい。生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に生理活性を付与する化合物であれば特に制限されず、たとえば、本実施形態の美肌用組成物以外のヒアルロニダーゼ活性阻害成分、消炎剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、賦活剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分などが挙げられる。
これらの中でも、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分などが特に好ましい。生理活性成分は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。生理活性成分の具体例としては、たとえば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントインなどの消炎剤、ビタミンA類(パルミチン酸レチノールなど)、ビタミンB類(リボフラビン,ニコチン酸アミドなど)、ビタミンD類(コレカルシフェロールなど)、ビタミンE類(dl−α−トコフェロールなど)などの抗酸化剤、ローヤルゼリー、コレステロール誘導体、各種アミノ酸などの賦活剤、γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウムなどの血行促進剤などが挙げられる。本実施形態の化粧料における生理活性成分の含有量は従来の化粧料におけるのと同程度でよい。
また、本実施形態の化粧料は、化粧料に一般的に用いられる化粧料添加剤の1種または2種以上のそれぞれ適量を含んでいてもよい。化粧料添加剤としては、たとえば、粉剤(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、塩類、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、香料、水、アルコールなどが挙げられる。これらの化粧料添加剤は、化粧料の形態に応じて、適宜選択して用いられる。
本実施形態の化粧料は、従来と同様の製造方法によって、従来から知られる化粧料の形態に調製される。本実施形態の化粧料が採り得る化粧料形態としては特に制限されないけれども、たとえば、美白料、クレンジングクリーム、クレンジングローション、先顔クリーム、石けんなどの皮膚洗浄剤、保湿化粧水、柔軟化粧水、収斂化粧水などの整肌料、ミルキィローション、エモリエントミルク、バニシングクリームなどの保護料、マッサージクリーム、マッサージローション、フォームパック、ピールオフパックなどの賦活料、入浴剤、パップ剤などが挙げられる。その他、石鹸、ボディーソープ、乳液、ボディローション、パック、入浴剤、シャンプー、リンス、コンディショナー、育毛剤、日焼け止め剤などに添加することもできる。
[食品]
本実施形態の食品は、一般的な各種の食品に、本実施形態の美肌用組成物を含有させたものである。本実施形態の食品における美肌用組成物の含有量は特に制限されない。
本実施形態の食品の形態は特に制限されず、固体、半固体、液体、流動食などのいずれであってもよい。その具体例としては、たとえば、ガム、キャンディ、グミ、錠菓、チョコレート、焼き菓子、ケーキなどの菓子類、ゼリー、ムースなどのデザート類、かき氷、シャーベットなどの冷菓、アイスクリーム、生クリーム、ヨーグルト、バター、チーズなどの乳製品、生麺、干麺、ゆで麺、蒸し麺、あげ麺、即席麺など麺類、かまぼこ、ちくわなどの水産加工品、ハム、ソーセージなどの畜産加工品、パン、ジャムなどの農産物加工品、サラダ油、てんぷら油などの食用油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシングなどの油脂加工食品、缶詰、瓶詰などの長期保存用加工食品、ソース、たれ、スープなどの調味料類、炭酸飲料、清涼飲料、乳飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、ミネラルウォーター、アルコール飲料、果汁飲料、栄養飲料などの飲料、ドリンク剤などが挙げられる。また、ハードカプセル、ソフトカプセル、顆粒、錠剤(タブレット)などに成形し、または粉末の状態で、健康食品、機能性食品などとして利用することもできる。
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
福岡県みやま市山川町で10月〜12月に収穫され、約80℃で熱風乾燥された白ウコンの根を、5mm以下程度の大きさとなるように粉砕した。このようにして得られた白ウコン根粉末100.4gを300mL(ミリリットル)容の耐圧抽出容器に入れ、40℃に保温した。この耐圧抽出容器に34.3MPa、40℃の超臨界二酸化炭素約9800gを導入し(流速20g/分)、前記白ウコン根粉末に直接接触させて抽出を行った。抽出終了後、白ウコン根抽出物A3.3g(原料に対して約3.3質量%に相当)が、褐色透明もしくは褐色懸濁の油状あるいは粘性油状物として得られた。このようにして得られた白ウコン根抽出物Aには、前記式(1)〜(4)で表されるジテルペン化合物が含まれている。この白ウコン根抽出物Aを実施例1の美肌用組成物とした。
(実施例2)
白ウコンの根に代えて、白ウコンの葉を用いたこと以外は実施例1と同様にして、白ウコンの葉を超臨界二酸化炭素で抽出し、原料に対して約1.7質量%の白ウコン葉抽出物Bを得た。このようにして得られた白ウコン葉抽出物Bには、前記式(1)〜(4)で表されるジテルペン化合物が含まれている。この白ウコン葉抽出物Bを実施例2の美肌用組成物とした。
(実施例3)
約80℃で熱風乾燥され、粉砕して得られた白ウコン根粉末79.3gをヘキサン0.8L(リットル)に室温下、3日間浸漬させて抽出し、抽出液を得た。この操作をもう一度繰返し、得られた抽出液を合わせてロータリーエバポレータで減圧濃縮し、1.8gの白ウコン根抽出物C(原料に対して約2.3質量%に相当)を得た。このようにして得られた白ウコン根抽出物Cには、前記式(1)〜(4)で表されるジテルペン化合物が含まれている。この白ウコン根抽出物Cを実施例3の美肌用組成物とした。
(実施例4)
白ウコンの根をスライスした後、日陰で5〜6時間放置し、約80℃で熱風乾燥した後、粉砕して粉末状にすることで白ウコン根粉末を得た。その乾燥後の白ウコン根粉末152.4gをヘキサン1.5L(リットル)に室温下、3日間浸漬させて抽出し、抽出液を得た。この操作をもう一度繰返し、得られた抽出液を合わせてロータリーエバポレータで減圧濃縮し、2.6gの白ウコン根抽出物D(原料に対して約1.7質量%に相当)を得た。このようにして得られた白ウコン根抽出物Dには、前記式(1)〜(4)で表されるジテルペン化合物が含まれている。この白ウコン根抽出物Dを実施例4の美肌用組成物とした。
(実施例5)
福岡県みやま市山川町で10月〜12月に収穫され、約80℃で熱風乾燥された春ウコンの根を、5mm以下程度の大きさとなるように粉砕した。このようにして得られた春ウコン根粉末100.1gを300mL(ミリリットル)容の耐圧抽出容器に入れ、40℃に保温した。この耐圧抽出容器に34.3MPa、40℃の超臨界二酸化炭素約9800gを導入し(流速20g/分)、前記春ウコン根粉末に直接接触させて抽出を行った。抽出終了後、春ウコン根抽出物E3.3g(原料に対して約3.3質量%に相当)が、褐色透明もしくは褐色懸濁の油状あるいは粘性油状物として得られた。
上記のようにして得られた春ウコン根抽出物Eと、実施例1で得られた白ウコン根抽出物Aとを、1:1の質量比で混合し、抽出混合物Fを得た。この抽出混合物Fを実施例5の美肌用組成物とした。
(実施例6)
春ウコンの根に代えて、春ウコンの葉を用いたこと以外は実施例5と同様にして、春ウコンの葉を超臨界二酸化炭素で抽出し、原料に対して約1.8質量%の春ウコン葉抽出物Gを得た。
上記のようにして得られた春ウコン葉抽出物Gと、実施例1で得られた白ウコン根抽出物Aとを、1:1の質量比で混合し、抽出混合物Hを得た。この抽出混合物Hを実施例6の美肌用組成物とした。
(実施例7)
春ウコン根粉末110.5gをヘキサン1.5L(リットル)に室温下、3日間浸漬させて抽出し、抽出液を得た。この操作をもう一度繰返し、得られた抽出液を合わせてロータリーエバポレータで減圧濃縮し、2.21gの春ウコン根抽出物I(原料に対して約2.1質量%に相当)を得た。
上記のようにして得られた春ウコン根抽出物Iと、実施例1で得られた白ウコン根抽出物Aとを、1:1の質量比で混合し、抽出混合物Jを得た。この抽出混合物Jを実施例7の美肌用組成物とした。
(実施例8)
春ウコンの根をスライスした後、日陰で5〜6時間放置し、約80℃で熱風乾燥した後、粉砕して粉末状にすることで春ウコン根粉末を得た。その乾燥後の春ウコン根粉末100.3gをヘキサン1.5L(リットル)に室温下、3日間浸漬させて抽出し、抽出液を得た。この操作をもう一度繰返し、得られた抽出液を合わせてロータリーエバポレータで減圧濃縮し、2.3gの春ウコン根抽出物K(原料に対して約2.3質量%に相当)を得た。
上記のようにして得られた春ウコン根抽出物Kと、実施例1で得られた白ウコン根抽出物Aとを、1:1の質量比で混合し、抽出混合物Lを得た。この抽出混合物Lを実施例8の美肌用組成物とした。
(比較例1)
ミョウガをヘキサンに室温下、3日間浸漬させて抽出し、抽出液を得た。得られた抽出液をロータリーエバポレータで減圧濃縮し、ミョウガ抽出物を得た。なお、ヒアルロニダーゼ阻害活性評価時の処理条件は、以下のようにした。
・ポジティブコントロール:(+)−カテキン 77.7%(処理濃度2mM)
ロズマリン酸 92.6%(処理濃度2mM)
実施例1〜8および比較例1の美肌用組成物について、ヒアルロニダーゼ阻害活性およびチロシナーゼ阻害活性を評価した。
<ヒアルロニダーゼ阻害活性評価方法>
ヒアルロニダーゼ(EC 3.2.1.35)は、グリコシド結合を切断することによりヒアルロン酸を分解する酵素である。
評価対象の試料をDMSO(Dimethyl sulfoxide)に溶解させた試料溶液(処理濃度:5mg/mL)40μLと、0.1M酢酸緩衝液(pH3.8〜4.0)160μLとをチューブに入れてよく混合し、そこへヒアルロニダーゼ溶液(4000units/mL)100μLを添加して、37℃で20分間インキュベートした。次に、ヒアルロニダーゼ活性化剤としてCompound48/80溶液(0.5mg/mL)を200μL加え、さらに37℃で20分間インキュベートした。
続いて、ヒアルロン酸ナトリウム溶液(0.8mg/mL)500μLを添加して37℃で40分間インキュベートした。その後、反応停止剤として0.4N水酸化ナトリウム水溶液200μLを加え、氷上で冷却して反応を停止させた。
反応停止後、0.1Mホウ酸緩衝液(pH9.1)200μLを加えてよく混合し、100℃で5分間加熱した後、氷上で冷却した。続いて、20000Gで10分間遠心分離した。次に、遠心分離後の上澄み液140μLと発色試薬600μLとをよく混合し、37℃で20分間インキュベートした。これをサンプルSとする。
なお、前記発色試薬としては、10N塩酸12.5mLと酢酸37.5mLとの混液にp−ジメチルアミノベンズアルデヒド25gを溶解し、1ヵ月を使用期限として10℃以下で保存した保存液を、使用直前に酢酸で10倍に希釈したものを用いた。
また同様にして、試料溶液の代わりにDMSOを用いたもの(以下、「コントロールC」という)、ヒアルロニダーゼの代わりに0.1M酢酸緩衝液(pH3.8〜4.0)を用いたもの(以下、「サンプルブランクSB」という)、ならびに、試料溶液の代わりにDMSOを用い、ヒアルロニダーゼの代わりに0.1M酢酸緩衝液(pH3.8〜4.0)を用いたもの(以下、「コントロールブランクCB」という)を準備した。なお、ヒアルロニダーゼ、Compound48/80、およびヒアルロン酸ナトリウムは、いずれも0.1M酢酸緩衝液(pH3.8〜4.0)で溶解して試験に用いた。
コントロールブランクCBを測定ブランクとして、サンプルS、コントロールCおよびサンプルブランクSBについて、波長585nmにおける吸光度を測定した。測定結果から、ヒアルロニダーゼ活性阻害率を下記式(A)に従い、算出した。試験は3回行い、その平均を1データとして表した。ヒアルロニダーゼ活性阻害率は、その値が大きいほど、ヒアルロニダーゼ阻害活性が高いことを示す。
ヒアルロニダーゼ活性阻害率(%)=
{C−(S−SB)}/C×100 ・・・(A)
[式中、符号CはコントロールCの吸光度を示し、SはサンプルSの吸光度を示し、SBはサンプルブランクSBの吸光度を示す。]
<チロシナーゼ阻害活性評価方法>
チロシナーゼ(EC 1.14.18.1)は、メラニン生成の初期反応であるアミノ酸チロシンからL−DOPA(L-β-(3,4-Dihydroxyphenyl)alanine)への水酸化、L−DOPAからDOPAキノンへの酸化を触媒する酵素である。本試験では、L−DOPAを基質として用い、その反応生成物であるDOPAキノンの吸収波長である475nmにおける吸光度を測定し、DOPAキノンの生成阻害からチロシナーゼ活性阻害率を求めた。
評価対象の試料を、20%DMSO−1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)に溶解させて試料溶液(処理濃度:5mg/mL)を調製する。調製した試料溶液100μLと1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8、株式会社ヤトロン製)400μLとを混合し、これにチロシナーゼ(30units、シグマ(SIGMA)社製)60μLを加え、37℃のウォーターバス上で20分間馴致した。その後、2mMに調製したL−DOPA(和光純薬株式会社製)440μLを加えて、37℃で5分間反応させた。これをサンプルSとする。
また同様にして、試料溶液を添加しないもの(以下、「コントロールC」という)、チロシナーゼを添加しないもの(以下、「サンプルブランクSB」という)、ならびに試料溶液およびチロシナーゼをともに添加しないもの(以下、「コントロールブランクCB)を準備した。検定試料、チロシナーゼおよびL−DOPAは、いずれも1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)で溶解して試験に用いた。
コントロールブランクCBを測定ブランクとして、サンプルS、コントロールCおよびサンプルブランクSBについて、波長475nmにおける吸光度を測定した。測定結果から、チロシナーゼ活性阻害率を下記式(B)に従い、算出した。試験は3回行い、その平均を1データとして表した。チロシナーゼ活性阻害率は、その値が大きいほど、チロシナーゼ阻害活性が高いことを示す。
チロシナーゼ活性阻害率(%)=
{C−(S−SB)}/C×100 ・・・(B)
[式中、符号CはコントロールCの吸光度を示し、SはサンプルSの吸光度を示し、SBはサンプルブランクSBの吸光度を示す。]
実施例1〜8および比較例1の美肌用組成物についての、ヒアルロニダーゼ阻害活性およびチロシナーゼ阻害活性の評価結果を表7に示す。
表7から明らかなように、白ウコンの根または葉の抽出物を含む実施例1〜8の美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼ活性阻害率が高い値を示す。したがって、実施例1〜8の美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼが活性化されるのを阻害するので、ヒアルロン酸が分解されるのを防止することができる。
また、白ウコン根抽出物Aからなる実施例1の美肌用組成物と、白ウコン葉抽出物Bからなる実施例2の美肌用組成物とを比較すると、実施例1の方が実施例2よりも高いヒアルロニダーゼ活性阻害率を示す。このことから、白ウコンの葉よりも根の抽出物の方が、ヒアルロン酸の分解防止効果が高いことがわかる。
また、白ウコン根抽出物Cからなる実施例3の美肌用組成物と、白ウコン根抽出物Dからなる実施例4の美肌用組成物とを比較すると、実施例4の方が実施例3よりも高いヒアルロニダーゼ活性阻害率を示す。このことから、白ウコンを日陰で放置した後に熱風乾燥し、その後粉砕して抽出処理を行った場合に、ヒアルロン酸の分解防止効果が高くなることがわかる。
また、実施例7の美肌用組成物に含まれる春ウコン根抽出物Iと、実施例8の美肌用組成物に含まれる春ウコン根抽出物Kとを比較すると、春ウコン根抽出物Kの方が春ウコン根抽出物Iよりも高いヒアルロニダーゼ活性阻害率を示す。このことから、春ウコンを日陰で放置した後に熱風乾燥し、その後粉砕して抽出処理を行った場合に、ヒアルロン酸の分解防止効果が高くなることがわかる。
また、白ウコン根抽出物Aと春ウコン抽出物とが混合された抽出混合物からなる実施例5〜8の美肌用組成物は、白ウコン根抽出物Aのみからなる実施例1の美肌用組成物と比較して、ヒアルロニダーゼ活性阻害率が高い状態で維持された上で、高いチロシナーゼ活性阻害率を示す。実施例5〜8のように、白ウコン抽出物と春ウコン抽出物とを含む美肌用組成物は、ヒアルロニダーゼ阻害活性およびチロシナーゼ阻害活性のいずれの阻害活性も高い組成物であることがわかる。

Claims (10)

  1. ヒアルロニダーゼの活性を阻害する機能を有する美肌成分として、白ウコンの抽出物を含むことを特徴とする美肌用組成物。
  2. 白ウコンの抽出物は、白ウコンの根の抽出物であることを特徴とする請求項1に記載の美肌用組成物。
  3. 白ウコンの抽出物は、白ウコンをヘキサンまたは超臨界二酸化炭素で抽出して得られる抽出物であることを特徴とする請求項1または2に記載の美肌用組成物。
  4. 白ウコンの抽出物は、下記式(1)で表されるジテルペン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の美肌用組成物。
  5. 白ウコンの抽出物は、下記式(2)で表されるジテルペン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の美肌用組成物。
  6. 白ウコンの抽出物は、下記式(3)で表されるジテルペン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の美肌用組成物。
  7. 白ウコンの抽出物は、下記式(4)で表されるジテルペン化合物を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の美肌用組成物。
  8. 春ウコンの抽出物をさらに含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の美肌用組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の美肌用組成物を含むことを特徴とする化粧料。
  10. 請求項1〜8のいずれか1つに記載の美肌用組成物を含むことを特徴とする食品。
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