JP2013059353A - 発芽穀物の口腔内刺激物質の低減方法 - Google Patents

発芽穀物の口腔内刺激物質の低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な処理操作で発芽穀物中に含まれる口腔内刺激物質の含有量を低減し得る方法を提供すること。
【解決手段】発芽穀物に含まれる口腔内刺激物質を、酸による加水分解、吸着除去、あるいは分離除去して、その含有量を低減する、麦芽等の発芽穀物の口腔内刺激物質の低減方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、発芽穀物の口腔内刺激物質の低減方法に関する。
発芽穀物とは、例えば玄米・小麦・大麦・大豆・トウモロコシなどを発芽させたものであり、多くの飲食品の原料として広く利用されている。特に、麦芽を原料とする酒類・食品類は数多く存在する。例えば、ビールや発泡酒などの醸造酒、ウィスキー等の蒸留酒、ポン菓子等の菓子類などが挙げられる。こうした飲食品類は、口腔内刺激の一種であるエグミを有していることが多い。エグミとは、消費者が、飲食時の苦みや、飲食後の舌・喉の荒れを感じるような不快に感じる味のことである。
エグミ物質は、口に残ると味覚を少し麻痺させてしまうことがある。その結果、飲食品類のおいしさをあまり感じることができなくなり食欲が減退する虞がある。例えば、ビール飲料では、エグミは、ビールを口に含んだときの味わい・のどごし・後味にも関係するが、エグミ物質を多く含むビール飲料を多量に摂取した場合、飲用していくうちにビールの味わい・のどごし・後味などが悪くなり、飲用欲求が減退することがある。仮に、エグミ物質を低減することができれば、よりすっきりとしたさわやかな味わい・のどごし・後味を有するビール飲料を製造することが可能になる。
本発明者らの鋭意研究によって、エグミといった口腔内刺激の原因となる口腔内刺激物質の一種が、麦芽等の発芽穀物に含まれることが明らかにされており、その化学構造式が特定されている(図1〜3参照)。例えば麦芽の場合、当該口腔内刺激物質は、特に幼芽と呼ばれる部分に多く存在するという知見が得られている。
従って、発芽穀物を原料とする飲食品のエグミなどの口腔内刺激を低減するために、当該飲食品を製造する際に、当該発芽穀物から口腔内刺激物質を多く含む部分、例えば麦芽の場合は幼芽部分を予め除去したものを使用することが行われている。(例えば、特許文献1参照)
国際公開第2004/106483号パンフレット
上述の方法では、発芽穀物から口腔内刺激物質を多く含む部分を除去する作業に膨大な時間と手間を要し、人件費等のコストが大幅に嵩むという問題を抱えていた。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、簡便な処理操作で発芽穀物中に含まれる口腔内刺激物質の含有量を低減し得る方法を提供するものである。
上記目的を達成するための本発明の第1特徴構成は、発芽穀物に含まれる、以下の化学構造式;
Figure 2013059353
で示される口腔内刺激物質1(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、
以下の化学構造式;
Figure 2013059353
で示される口腔内刺激物質2(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、及び
以下の化学構造式;
Figure 2013059353
で示される口腔内刺激物質3(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans、Meはメチル基)からなる群より選択される少なくとも1つの口腔内刺激物質を酸によってpH0.1〜3.0にて加水分解して、その含有量を低減する点にある。
〔作用及び効果〕
発芽穀物に含まれる口腔内刺激物質を加水分解してその含有量を低減することによって、その発芽穀物を原料とする飲食品の口腔内刺激を低減することが可能である。その結果、消費者の味覚麻痺や食欲減退を防止することができる。
さらに本発明においては、口腔内刺激物質を多く含む部分、例えば麦芽の場合は幼芽を発芽穀物から予め除去する必要もなく、発芽穀物をそのままの形で処理することが可能となり、処理が簡便であり、時間と手間が省かれ、人件費等のコストが大幅に嵩む虞が減少する。
その上、処理時間等の加水分解の処理条件を調整すれば、口腔内刺激物質の低減の程度を制御して、発芽穀物中の口腔内刺激物質の含有量を自在に調節することができる。そのため、同じ種類の発芽穀物から、口腔内刺激の強弱に種々のバリエーションをもつ多様な飲食品を製造することができ、香味に対する多様化が進む現代の消費者の嗜好に迅速に対応することができる。
尚、口腔内刺激とは、例えばエグミ・苦味・甘味・痺れ感・服用感・飲み応えなどであり、主として喉や舌に作用する刺激を意味するものである。また、口腔内刺激物質とは当該口腔内刺激の原因となる物質を意味し、例えば本発明者らによって特定された図1〜3に記載される化合物が挙げられる。
また本構成であれば、一般に市販されて入手が容易な塩酸・硫酸などの無機酸や酢酸などの有機酸を使用することによって口腔内刺激物質を容易に加水分解することができる。また、酸による加水分解をpH0.1〜3.0にて実施するため、より確実に口腔内刺激物質を加水分解することができる。一方、pHの値が0.1より低い場合および3.0よりも高い場合には、加水分解が起こらないか、起こるとしても非常に時間を要する。このように分解速度の確保、或いは、処理品の性状等を考慮すると、pH0.1〜3.0の範囲が好適である。
本発明の第2特徴構成は、前記酸が塩酸・硫酸・リン酸・酢酸からなる群から選択される点にある。
〔作用及び効果〕
塩酸・硫酸・リン酸・酢酸は一般に市販されており、入手が容易である。
本発明の第3特徴構成は、発芽穀物に含まれる、以下の化学構造式;
Figure 2013059353
で示される口腔内刺激物質1(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、
以下の化学構造式;
Figure 2013059353
で示される口腔内刺激物質2(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、及び
以下の化学構造式;
Figure 2013059353
で示される口腔内刺激物質3(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans、Meはメチル基)からなる群より選択される少なくとも1つの口腔内刺激物質を、樹脂又は活性炭を用いて吸着除去して、その含有量を低減する方法であって、前記樹脂が吸着樹脂・・ゲルろ過用樹脂・アフィニティクロマト用担体からなる群から選択される少なくとも1種を用いて実施する点にある。
〔作用及び効果〕
発芽穀物に含まれる口腔内刺激物質を吸着除去してその含有量を低減することによって、その発芽穀物を原料とする飲食品の口腔内刺激を低減することが可能である。その結果、消費者の味覚麻痺や食欲減退を防止することができる。
さらに本発明においては、口腔内刺激物質を多く含む部分、例えば麦芽の場合は幼芽を発芽穀物から予め除去する必要もなく、発芽穀物をそのままの形で処理することが可能となり、処理が簡便であり、時間と手間が省かれ、人件費等のコストが大幅に嵩む虞が減少する。
その上、口腔内刺激物質を吸着させる担体の選択等の吸着除去の処理条件を調整すれば、口腔内刺激物質の低減の程度を制御して、発芽穀物中の口腔内刺激物質の含有量を自在に調節することができる。そのため、同じ種類の発芽穀物から、口腔内刺激の強弱に種々のバリエーションをもつ多様な飲食品を製造することができ、香味に対する多様化が進む現代の消費者の嗜好に迅速に対応することができる。
また本構成であれば、樹脂又は活性炭を用いて吸着除去を効率良く行うことができる。また、発芽穀物中の口腔内刺激物質の含有量の調節を容易に行うことができる。
また吸着樹脂・ゲルろ過用樹脂・アフィニティクロマト用担体は一般に市販されており、入手が容易である。
本発明の第4特徴構成は、発芽穀物に含まれる、以下の化学構造式;
Figure 2013059353
で示される口腔内刺激物質1(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、
以下の化学構造式;
Figure 2013059353
で示される口腔内刺激物質2(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、及び
以下の化学構造式;
Figure 2013059353
で示される口腔内刺激物質3(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans、Meはメチル基)からなる群より選択される少なくとも1つの口腔内刺激物質を、冷水を用いて分離除去して、その含有量を低減する点にある。
〔作用及び効果〕
発芽穀物に含まれる口腔内刺激物質を分離除去してその含有量を低減することによって、その発芽穀物を原料とする飲食品の口腔内刺激を低減することが可能であり、その結果、消費者の味覚麻痺や食欲減退を防止することができる。
さらに本発明においては、口腔内刺激物質を多く含む、例えば麦芽の場合は幼芽を発芽穀物から予め除去する必要もなく、発芽穀物をそのままの形で処理することが可能となり、処理が簡便であり、時間と手間が省かれ、人件費等のコストが大幅に嵩む虞が減少する。
その上、各種分離膜や抽出溶媒の選択等の分離除去の処理条件を調整すれば、口腔内刺激物質の低減の程度を制御して、発芽穀物中の口腔内刺激物質の含有量を自在に調節することができる。そのため、同じ種類の発芽穀物から、口腔内刺激の強弱に種々のバリエーションをもつ多様な飲食品を製造することができ、香味に対する多様化が進む現代の消費者の嗜好に迅速に対応することができる。
また例えば、発芽穀物をそのまま冷水中に晒して、冷水中に口腔内刺激物質を溶出させることによって、発芽穀物中の各種酵素が働かない状態で発芽穀物中に含まれる口腔内刺激物質を分離除去することが可能である。
本発明の第5特徴構成は、上記第1〜4特徴構成のいずれかに記載の低減方法を単独或いは任意に組み合わせて、発芽穀物の口腔内刺激物質を低減する工程を包含する発芽穀物加工方法で得られる発芽穀物加工品とした点にある。
〔作用及び効果〕
本発明の発芽穀物加工品は口腔内刺激が低減されているため、本発明の発芽穀物加工品を原料として、味覚麻痺や食欲減退を招来し難い飲食物を製造することができる。
本発明の第6特徴構成は、上記第5特徴構成に記載の発芽穀物加工品を原料として製造される飲食物とした点にある。
〔作用及び効果〕
本発明の飲食物は、口腔内刺激が低減された発芽穀物加工品を原料として製造されたものであるため、多量に飲食しても味覚麻痺や食欲減退を招来し難い。
本発明の第7特徴構成は、前記発芽穀物を麦芽とした点にある。
〔作用及び効果〕
口腔内刺激物質の含有量を低減した麦芽を原料として製造されたビール飲料等の飲食品は、口腔内刺激物質の含有量を低減していない麦芽から製造されたビール飲料と比べて、その味わい・のどごし・後味が改善されており、かつ品質的にもより安定している。
口腔内刺激物質1(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)の化学構造式である。 口腔内刺激物質2(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)の化学構造式である。 口腔内刺激物質3(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans、Meはメチル基)の化学構造式である。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
〔第1実施形態〕
(発芽穀物)
本発明に適用可能な発芽穀物としては、例えばオオムギ・コムギ・ライムギ・カラスムギ・オートムギ・ハトムギなどの麦や、イネ(米)・トウモロコシ・ヒエ・アワ・キビ・ソバ・ダイズ・アズキ・エンドウ・ソラマメもしくはインゲンマメ等を発芽させたものが挙げられ、好ましくは麦芽(オオムギ)又は発芽玄米(米)である。しかし、本発明者らによって特定された3種の口腔内刺激物質(図1〜図3参照)のうちの少なくとも1種を含むものであればこれらに限定されるものではない。
また、本発明における発芽穀物には、完全な発芽穀物の他に、例えば胚乳・幼芽・穀皮などの分画物や、完全な発芽穀物もしくはその分画物の処理物も含まれる。
当該処理物としては、完全な発芽穀物もしくはその分画物に、例えば粉砕・破砕・摩砕・乾燥・抽出・懸濁等、あるいはこれらを任意に組み合わせた処理など何らかの処理を加えたものであれば特に限定されない。
例えば、完全な発芽穀物もしくはその分画物の粉砕物・破砕物・摩砕物・乾燥物・凍結乾燥物等、完全な発芽穀物もしくはその分画物又はこれらの粉砕物・破砕物・摩砕物・乾燥物・凍結乾燥物等を適当な溶媒で抽出した抽出物(超臨界抽出も含む)、抽出液又は抽出後の固形物(残渣)、あるいは、完全な発芽穀物もしくはその分画物又はこれらの粉砕物・破砕物・摩砕物・乾燥物・凍結乾燥物等を適当な溶媒に懸濁させた懸濁物(懸濁液)又はその濃縮物(濃縮液)などが挙げられる。
(1)高温高圧の流体によって発芽穀物の口腔内刺激物質を加水分解してその含有量を低減する実施形態
本実施形態においては、上述した発芽穀物を高温高圧の流体で処理して発芽穀物中の口腔内刺激物質を加水分解する(以下、この加工処理を高温高圧処理という)。
高温高圧処理に用いる流体(液体)としては、例えば蒸留水・脱塩水・水道水・アルカリイオン水・海洋深層水・イオン交換水・脱酸素水・アルコール等の水溶性の有機化合物・無機塩類を含む水などが挙げられるがこれらに限定されない。
高温高圧処理に用いる流体(気体)としては、上述の液体の蒸気、即ち水蒸気・アルコール蒸気などが挙げられる。
高温高圧処理に用いる流体としては、上述の流体の他に、超臨界流体または亜臨界流体等が含まれる。ある特定の圧力と温度(臨界点)を越えると、気体と液体の境界面が消失して両者が渾然一体となった流体の状態を維持する範囲が存在する。こうした流体を超臨界流体といい、気体と液体の中間の性質を持つ高密度の流体となる。亜臨界流体とは、臨界点よりも圧力および温度が低い状態の流体である。
高温高圧処理時の流体の温度は約120℃〜220℃程度であることが好ましい。より好ましくは、約140℃〜200℃程度であり、この温度範囲においては、発芽穀物中のエグミ物質の分解が十分に促進され、さらに芳香成分が増加して香りが良くなり、なお且つ高温高圧処理による酸化及び酸化に伴うこげ臭等も少ない。
高温高圧処理時の流体の圧力は、約0.1〜2.2MPaであることが好ましく、さらに約0.2〜1.4MPaがより好ましい。特に高温高水蒸気圧処理においては飽和水蒸気圧であることが好ましい。本明細書で「圧力」というときは「ゲージ圧力」を意味する。従って、例えば「圧力0.1MPa」は絶対圧力に換算すると、大気圧に0.1MPaを加えた圧力となる。この範囲であれば、発芽穀物中のエグミ成分をより効率的に分解できる。
処理時間は、好ましくは約1秒〜60分間であり、より好ましくは約3秒〜30分間である。特に好ましくは約5秒〜10分間であり、この範囲であればさらに投入エネルギーを低減でき、設備の稼働率を上げられるという効果がある。
高温高圧処理に使用する装置は特に限定されず、高温高圧に耐えられる構造のものであればいかなるものでも使用できる。例えば、当該装置としては、耐圧の反応容器と加熱装置が組み合わされている装置が挙げられる。当該装置では、液体または気体が加熱装置で加熱され高温高圧状態の液体または気体となって反応容器に送られる。
加熱装置は加熱できればいかなるものも使用できる。例えば電気・石油・石炭もしくはガスによる加熱・太陽熱による加熱・地熱による加熱等が挙げられるがこれらに限られない。
また、前記装置は単なる耐熱耐圧パイプの類でもよい。反応容器またはパイプの素材は耐圧耐熱であればよいが、金属等の成分が溶出したり、有毒物質が生成したり、好ましくない臭いが生ずるような材質は避けるのが好ましい。前記素材としては、無用の反応や腐食、劣化などを防ぐためステンレスなどの素材が好ましいがこれに限定されるものではない。
本実施形態においては、高温高圧処理の前後又は高温高圧処理と同時に公知の加工処理を行ってもよい。公知の加工処理としては、例えば粉砕・混合・抽出(超臨界抽出も含む)・乾燥(真空乾燥等)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
例えば、高温高圧処理後そのまま放置した場合には、発芽穀物のでんぷんが糊化し、冷えると固化して次の粉砕工程に労力が必要となる。そのため、より扱いやすい形態の加工品とするために、高温高圧処理後、粉砕が容易になる乾燥工程を付加することが望ましい。そのための一つの方法としては、高温高圧処理後、急激に圧力を下げ、水分を短時間で飛散させることにより急速に乾燥させる方法が挙げられる。この方法によれば、急激な圧力の低下により、組織がスポンジ状となり、通常の乾燥のように固くなるという問題を解消できる。この乾燥工程により、その後の溶解や粉砕も容易となる。この乾燥工程を積極的に付加することにより、流体処理物を自然乾燥するよりもより次の工程で利用しやすい形態のものとして得ることが可能となる。
また、上記の乾燥工程に際し、流体処理物を押し出しまたは引き出し手段と所望によりさらに切断手段とを組み合わせることにより、任意の形状に成形することもできる。形状としてはスティック状・円柱状・球状・多角柱状・多角体状等所望に応じて変形することができる。また、この際、加工物の水分含有率を操作することも可能である。
また、発芽穀物を粉砕してその粉砕物を高温高圧処理するか、あるいは高温高圧処理と同時に発芽穀物を粉砕した場合、発芽穀物についてより均一な高温高圧処理を実施し得ると共に、その後の高温高圧処理物の成形をより容易に行うことができる。さらに粉砕工程に加えて混合工程を付加した場合、粉砕した発芽穀物を均一に混合することができる。
本実施形態を効率良く実施し得る装置としては、エクストルーダの使用が挙げられる。エクストルーダとは、膨化食品などの製造によく用いられている処理装置である。具体的には、スクリュー回転により生じる搬送・混合・粉砕・剪断機能等により、発芽穀物について高温高圧処理(加熱及び加圧)を実施しながら、連続的にその他の加工処理を行うことができる。従って、この装置によれば、発芽穀物の高温高圧処理だけでなく、その他の加工処理についても非常に効率良く実施し得ると共に、連続処理が可能なことから、発芽穀物加工品を多量に製造することができる。その結果、そうした発芽穀物加工品を原料とする飲食品等の生産効率を飛躍的に向上させることができる。
本実施形態において好ましいエクストルーダとしては、押し出し筒内に配置された二軸等の多軸または一軸のスクリューにより、発芽穀物を混合しながら加熱加圧し、高温高圧状態でダイから押し出す装置が挙げられる。特に、安定して高温高圧処理を行えることから二軸型がより好ましい。
また、エクストルーダを使用する際、高温高圧処理後に、処理雰囲気を高圧から低圧に急激に開放するようにした場合、処理物(発芽穀物)の水分が蒸散して膨化するため、処理物が多孔質となって表面積が増加し、水等の液体に溶け易くなり、その後の加工処理等に有利である。また、ダイの形状を適当に選択することにより、所望の形状に成形された処理物が得られる。尚、エクストルーダ以外でも本実施形態を実施し得る装置であれば、いかなる装置を使用しても良い。
本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、例えば、飲食品の原料として使用することができる。つまり、本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、高温高圧処理により香ばしい香り(焙煎香など)が付与されており、しかもエグミ等の口腔内刺激が低減されているため、消費者の味覚を麻痺させて飲食欲求を減退させることもない。さらに口腔内刺激が低減されている分、発芽穀物の有するコクやウマミが引き立つ良質な原料となり得る。
飲食品としては、例えば酒類・ジュース・コーヒー・茶・麦芽飲料等の清涼飲料・製菓・製パン類・穀粉・麺類・飯類・加工食品・調味料等が挙げられるがこれらに限定されない。
(2)酸によって発芽穀物の口腔内刺激物質を加水分解してその含有量を低減する実施形態
本実施形態においては、上述した発芽穀物を酸によって処理して発芽穀物中の口腔内刺激物質を加水分解する(以下、この加工処理を酸処理という)。
酸処理は、例えば、発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)の固形物を酸性の液体と接触させるか、あるいは、発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)を水等に懸濁させた懸濁液又は発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)の抽出液等に酸を添加するなどして適宜実施することができる。
酸処理に用いる酸としては、例えば塩酸・硫酸・リン酸・酢酸などが挙げられ、加水分解を触媒するに必要な水素イオン濃度を提供するものであれば有機酸、無機酸を問わず、特に限定されるものではない。しかしながら本発明を飲食物としての利用という点を鑑みた場合、硫酸が望ましい。
酸処理を行うときのpHは、口腔内刺激物質が分解されるpHであれば特に限定されないが、分解速度の確保や処理品の性状を考慮すると、pH0.1〜3.0の範囲が好ましい。
処理温度としては、当該口腔内刺激物が加水分解する温度であればよく、特に限定はしないが、4℃から100℃以内で行われることが望ましい。
本実施形態においては、酸処理の前後又は酸処理と同時に公知の加工処理を行ってもよい。公知の加工処理としては、例えば粉砕・混合・抽出(超臨界抽出も含む)・乾燥(真空乾燥等)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。例えば、酸処理の終了後に、アルカリ性の試薬等で中和させるなどの処理を行うことが望ましい。
本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、例えば、飲食品の原料として使用することができる。つまり、本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、エグミ等の口腔内刺激が低減されているため、消費者の味覚を麻痺させて飲食欲求を減退させることもなく、さらに口腔内刺激が低減されている分、発芽穀物の有するコクやウマミが引き立つ良質な原料となり得る。
飲食品としては、例えば酒類・ジュース・コーヒー・茶・麦芽飲料等の清涼飲料・製菓・製パン類・穀粉・麺類・飯類・加工食品・調味料等が挙げられるがこれらに限定されない。
(3)アルカリによって発芽穀物の口腔内刺激物質を加水分解してその含有量を低減する実施形態
本実施形態においては、上述した発芽穀物をアルカリによって処理して発芽穀物中の口腔内刺激物質を加水分解する(以下、この加工処理をアルカリ処理という)。
アルカリ処理は、例えば、発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)の固形物をアルカリ性の液体と接触させるか、あるいは、発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)を水等に懸濁させた懸濁液又は発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)の抽出液等にアルカリを添加するなどして適宜実施することができる。
アルカリ処理に用いるアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム・水酸化カリウム・水酸化カルシウムなどが挙げられ、加水分解を触媒するに必要な水酸化物イオン濃度を提供するものであれば、特に限定されるものではない。しかしながら本発明を飲食物としての利用という点を鑑みた場合、水酸化ナトリウムが望ましい。
アルカリ処理を行うときのpHは、口腔内刺激物質が分解されるpHであれば特に限定されないが、分解速度の確保や処理品の性状を考慮すると、pH11〜13.9の範囲が好ましい。
アルカリ処理を行うときの処理温度としては、当該口腔内刺激物が加水分解する温度であればよく、特に限定はしないが、4℃から100℃以内で行われることが望ましい。
本実施形態においては、アルカリ処理の前後又はアルカリ処理と同時に公知の加工処理を行ってもよい。公知の加工処理としては、例えば粉砕・混合・抽出(超臨界抽出も含む)・乾燥(真空乾燥等)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。例えば、アルカリ処理の終了後に、酸性の試薬等で中和させるなどの処理を行うことが望ましい。
本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、例えば、飲食品の原料として使用することができる。つまり、本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、エグミ等の口腔内刺激が低減されているため、消費者の味覚を麻痺させて飲食欲求を減退させることもなく、さらに口腔内刺激が低減されている分、発芽穀物の有するコクやウマミが引き立つ良質な原料となり得る。
飲食品としては、例えば酒類、ジュース、コーヒー、茶、麦芽飲料等の清涼飲料、製菓、製パン類、穀粉、麺類、飯類、加工食品、調味料等が挙げられるがこれらに限定されない。
〔第2実施形態〕
本実施形態においては、発芽穀物中の口腔内刺激物質を吸着させて除去する(以下この加工を吸着処理という)。
吸着させて除去するとは、口腔内刺激物質を吸着させるために使用する物質で処理して、その物質との親和性により、口腔内刺激物質を吸着もしくは溶解させて除去することをいう。
この場合、発芽穀物は、そのままの形状で、もしくは市販のミルにより予め粉砕したものを使用しても良いし、発芽穀物(好ましくはその粉砕物)を水等に懸濁させた懸濁液または発芽穀物(好ましくはその粉砕物)を抽出した抽出液を使用しても良い。
口腔内刺激物質を吸着させるために使用する物質としては、特に限定されるものではないが、例えば樹脂などの固体状の形態でもよいし、また例えば水、エタノールなどの液体状の形態でもよいし、また例えば気体状の形態のものでもよいし、あるいはそれらの超臨界もしくは亜臨界流体などを用いても良い。
液体状の物質を用いた除去の実施形態としては、例えば粉砕した発芽穀物を、水、エタノール、もしくは水とエタノール混合液などの液体に浸して口腔内刺激物質を液体と共に除去し、残渣を飲食物もしくは原料として使用することが挙げられる。
液体状物質としては、特に冷水を好適に用いることができる。この場合、発芽穀物中に含まれるアミラーゼなどの酵素が十分な活性を有しない温度の水とすることが重要である。冷水の温度は、例えば0℃〜30℃が好ましい。液体状の物質を用いて口腔内刺激物質を除去した後に、さらに当該残渣を細かく粉砕してもよいし、再度温水や、その他の液体などで有効成分などを再抽出してその抽出液を使用するなどしてもよい。
固体状の物質を用いた除去の実施形態としては、例えば、発芽穀物(好ましくはその粉砕物)を水等に懸濁させた懸濁液または発芽穀物(好ましくはその粉砕物)の抽出液等と、樹脂又は活性炭とを接触させて処理することができる。
吸着処理に用いる樹脂としては、例えば、吸着樹脂・イオン交換樹脂・ゲルろ過用樹脂・アフィニティクロマト用担体などが挙げられ、口腔内刺激物を吸着除去できるものであれば、特に限定されるものではない。当該吸着樹脂は、例えば逆相クロマトグラフィーにて使用され得るシリカゲルの表面に種々のアルキル鎖(炭素数2〜18)を化学結合させたもの、あるいは、順相クロマトグラフィーにて使用され得るシリカゲルの表面にアミノ基やシアノ基を化学結合させたもの等が例示される。
また、口腔内刺激物質を吸着させるために使用する物質は、粒子状・膜状とすることができ、さらにステンレス管・パイプなどの配管に塗布できるように加工されたものでもよい。
しかしながら、吸着処理後の発芽穀物加工品を飲食物の原料として利用するという点を鑑みた場合、吸着処理によって樹脂成分等が処理液などに混入しないものが望ましい。
本実施形態においては、吸着処理の前後又は吸着処理と同時に公知の加工処理を行ってもよい。公知の加工処理としては、例えば粉砕・混合・抽出(超臨界抽出も含む)・乾燥(真空乾燥等)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。例えば、上述の吸着処理後の発芽穀物加工品を飲食物の原料として利用するという点を考慮して、樹脂等で吸着処理した後に、ろ過などの手段で残留樹脂を除去する工程を付加しても良いし、もしくは処理の後にpHなど調整する工程を付加しても良い。
尚、吸着処理を行うときの処理条件としては、使用する樹脂のもっとも最適な温度、pHで処理することが望ましいが、口腔内刺激物質を吸着除去できるような温度、pHであればよく、特に限定はしないが、4℃から100℃、pH1から13で行われることが望ましい。
本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、例えば、飲食品の原料として使用することができる。つまり、本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、エグミ等の口腔内刺激が低減されているため、消費者の味覚を麻痺させて飲食欲求を減退させることもなく、さらに口腔内刺激が低減されている分、発芽穀物の有するコクやウマミが引き立つ良質な原料となり得る。
飲食品としては、例えば酒類・ジュース・コーヒー・茶・麦芽飲料等の清涼飲料・製菓・製パン類・穀粉・麺類・飯類・加工食品・調味料等が挙げられるがこれらに限定されない。
〔第3実施形態〕
本実施形態においては、発芽穀物を酵素処理することによって発芽穀物中の口腔内刺激物質を加水分解する(以下、この加工処理を酵素処理という)。
酵素処理は、例えば、発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)を水等に懸濁させた懸濁液又は発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)の抽出液等に、適当な酵素を添加して酵素反応(加水分解)を行わせることによって実施することができる。
酵素処理に用いる酵素としては、例えば、β−グルコシダーゼやβ−グリコシダーゼなどが挙げられ、これら酵素により、β−グリコシド結合を有する口腔内刺激物質を分解することができる。当該酵素は、対照となる口腔内刺激物質を酵素分解することができれば、特に限定されるものではない。
一方、酵素処理後の発芽穀物加工品を飲食物の原料として利用するという点を鑑みた場合、同一の植物由来であるもの、もしくは他種の植物由来であるもの、動物由来であるものなどが望ましい。
また、同じ観点から、酵素処理後に当該酵素を容易に失活させることができること、もしくは分離除去させやすいことなどが望ましいが、これらは特に限定するものではない。酵素処理を行うときの処理条件としては、使用する酵素の至適温度、至適pHであることが望ましいが、当該口腔内刺激物質を分解できる温度、pHであればよく、特に限定はしないが、4℃から100℃、pH1から13で行われることが望ましい。
本実施形態においては、酵素処理の前後又は酵素処理と同時に公知の加工処理を行ってもよい。公知の加工処理としては、例えば粉砕・混合・抽出(超臨界抽出も含む)・乾燥(真空乾燥等)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、例えば、飲食品の原料として使用することができる。つまり、本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、エグミ等の口腔内刺激が低減されているため、消費者の味覚を麻痺させて飲食欲求を減退させることもなく、さらに口腔内刺激が低減されている分、発芽穀物の有するコクやウマミが引き立つ良質な原料となり得る。
飲食品としては、例えば酒類・ジュース・コーヒー・茶・麦芽飲料等の清涼飲料・製菓・製パン類・穀粉・麺類・飯類・加工食品・調味料等が挙げられるがこれらに限定されない。
〔第4実施形態〕
(1)分離膜によって発芽穀物の口腔内刺激物質を分離除去してその含有量を低減する実施形態
本実施形態においては、発芽穀物中の口腔内刺激物を、透析膜や限外ろ過用メンブレンなど細孔を有する分離膜を用いて分離除去する(以下、この加工処理を膜分離処理という)。
膜分離処理は、発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)を水等に懸濁させた懸濁液又は発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)の抽出液等について適用することが好ましい。
ここでいう細孔を有する分離膜とはタンパク精製などに使用される透析膜などが挙げられ、口腔内刺激物質を分離除去できるものであれば、特に限定されるものではない。また、必ずしも薄い膜状のものである必要はなく、例えばミクロの格子状の網目のものであるとか、もしくはセラミックのようなものや、素焼きの陶器状に加工されたものも分離膜と称し、特にこれらに限定されるものではない。
膜分離処理を行うときの処理条件としては、使用する分離膜のもっとも最適な温度、pHで処理することが望ましいが、当該口腔内刺激物を分離除去できるような温度、pHであればよく、特に限定はしないが、4℃から100℃、pH1から13で行われることが望ましい。
本実施形態においては、膜分離処理の前後又は膜分離処理と同時に公知の加工処理を行ってもよい。公知の加工処理としては、例えば粉砕・混合・抽出(超臨界抽出も含む)・乾燥(真空乾燥等)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、例えば、飲食品の原料として使用することができる。つまり、本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、エグミ等の口腔内刺激が低減されているため、消費者の味覚を麻痺させて飲食欲求を減退させることもなく、さらに口腔内刺激が低減されている分、発芽穀物の有するコクやウマミが引き立つ良質な原料となり得る。
飲食品としては、例えば酒類・ジュース・コーヒー・茶・麦芽飲料等の清涼飲料・製菓・製パン類・穀粉・麺類・飯類・加工食品・調味料等が挙げられるがこれらに限定されない。
(2)冷水によって発芽穀物の口腔内刺激物質を分離除去してその含有量を低減する実施形態
本実施形態においては、発芽穀物中の口腔内刺激物質を冷水を用いて分離除去する(以下、この加工処理を冷水分離処理という)。
冷水分離処理は、例えば、発芽穀物(好ましくは、その粉砕物)の固形物を適当な冷水と接触させること(冷水中に晒すなど)によって適宜実施することができる。
冷水として使用可能な水としては、例えば蒸留水・脱塩水・水道水・アルカリイオン水・海洋深層水・イオン交換水・脱酸素水などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。また、アルコールなどの他の液体との混合液などでも良い。
本実施形態においては、冷水分離処理の前後又は冷水分離処理と同時に公知の加工処理を行ってもよい。公知の加工処理としては、例えば粉砕・混合・抽出(超臨界抽出も含む)・乾燥(真空乾燥等)等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。例えば、冷水分離処理後に、凍結乾燥やスプレイドライなどによる乾燥工程を付加しても良い。冷水温度やそのpHは、口腔内刺激物質を分離除去できるような温度、pHであれば良く、特に限定はされないが、0℃〜30℃、pH1〜pH13で行われることが望ましい。
本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、例えば、飲食品の原料として使用することができる。つまり、本実施形態により処理された発芽穀物加工品は、エグミ等の口腔内刺激が低減されているため、消費者の味覚を麻痺させて飲食欲求を減退させることもなく、さらに口腔内刺激が低減されている分、発芽穀物の有するコクやウマミが引き立つ良質な原料となり得る。
飲食品としては、例えば酒類・ジュース・コーヒー・茶・麦芽飲料等の清涼飲料・製菓・製パン類・穀粉・麺類・飯類・加工食品・調味料等が挙げられるがこれらに限定されない。
<実施例1>麦芽における口腔内刺激物質の定量方法
本実施例において、ビール、発泡酒又は麦汁中の口腔内刺激物質の定量は以下の方法で行った。
ビール、発泡酒又は麦汁1mLをミリポア社製のポアサイズ0.45μmのフィルターを通し、10μLをHPLC分析に供した。分析はHPLCシステムCLASS−VPシリーズ(島津製作所社製)にて、Deverosil−C30−UG5(野村化学社製4.6×150mm)カラムを用いて行った。分析条件はA液を0.05%TFA(トリフルオロ酢酸)水溶液、B液を0.05%TFA・90%アセトニトリル溶液とし、流速1.0mL/minにて、B液0%から20%までの100分間の直線グラジエントとした。また検出は波長300nmのUV吸収にて行った。
本測定法では、図1〜3に示される口腔内刺激物質1〜3が、HPLC分析においてそれぞれワンピークとして検出されることが発明者らによって見出されている。そこで、以下の実施例において、口腔内刺激物質の低減の程度を、処理前の試料のピークエリアに対する処理後の試料のピークエリアの比率をピークエリア比(%)として算出して評価した(ピークエリア比(%)=処理後試料のピークエリア/処理前試料のピークエリア×100)。尚、ピークエリア比(%)は、口腔内刺激物質の低減度合と良好な相関を示すことが分かっている。
<実施例2>麦芽の高温高圧処理
高温高圧処理には高温湿熱処理試験装置(株式会社日阪製作所製:HTS−25/140−8039)および蒸気ボイラ(三浦工業株式会社製:FH−100)を用いた。SUS316合金製12Lのバスケットに欧州産二条大麦麦芽1.0kgを入れ、SUS316合金製耐熱耐圧容器(30L)内にて密閉した。脱酸素装置(三浦工業株式会社製:DOR−1000P)により除酸素した水(酸素濃度0.3μg/ml)を用いて発生させた高温高圧飽和蒸気を約1秒間送り込むことにより容器内の空気を置換した後、180℃、0.9MPaにて60秒間高温高圧状態を保持した。脱気後、反応容器が80℃以下になった時点で容器を開放し、麦芽を取り出し、一昼夜風乾して、本発明にかかる麦芽加工品(試料1)を得た。
一方、欧州産二条大麦麦芽1.0kgを、通常のメラノイジン麦芽製造過程における焙燥工程を想定し120℃で5時間の棚乾燥したもの(比較例)と、未処理の欧州産二条大麦麦芽とを用意した。そして試料1、比較例、および未処理の麦芽中に含まれる口腔内刺激物質のピークエリアを実施例1の測定方法に従って測定した。測定結果を以下の表1に示す。
表1の結果より、麦芽に対して本発明の高温高圧処理を実施することにより、口腔内刺激物質が5分の1程度に低減することが確認された。
Figure 2013059353
<実施例3>高温高圧処理の温度の影響
高温高圧処理には株式会社AKICO製高温高圧反応器を用いた。SUS316合金製耐熱耐圧容器(400ml)に、脱酸素装置(三浦工業株式会社製:DOR−1000P)により除酸素した水(酸素濃度0.3 μg/ml)を40g入れ、SUS316合金製200mlのバスケットに麦芽0.5gを入れ、水に触れないように設置した。
窒素を約5秒間程度送り込むことにより容器内の空気を置換した後、120℃〜220℃まで、表2に示したそれぞれの温度条件で60秒間高温高圧状態を保持した後、容器を冷却し、反応容器が80℃以下になった時点で容器を開放し、麦芽をとりだした。得られた麦芽中に含まれる口腔内刺激物質のピークエリアを実施例1の測定方法に従って測定した。
合わせて、得られた麦芽について官能評価を行った。評価は、10名のパネリストにより、エグミの度合いを3点満点で評価し、その平均点の比較にて行った。また、麦芽の香りについても評価した。これらの結果を以下の表2に示す。
Figure 2013059353
<実施例4>高温高圧処理した麦芽を用いた発泡酒の製造
高温高圧処理した麦芽(麦芽加工品)を原料として、発泡酒を製造した。実施例2に記載した方法に従って得た高温高圧処理麦芽(200℃、1.4MPa)を、水を除く全使用原料(以下単に使用原料という)の2.5%を使用して発泡酒を得た。
具体的には、麦芽27kgに高温高圧処理麦芽(200℃、1.4MPa)を3kg混合し、65℃の水150Lで約1時間糖化した。糖化液をろ過した後、糖化スターチを麦芽比率25%になるように加えて撹拌し、ホップ約100gを投入して100℃で約1時間煮沸した。12℃に冷却した後、ビール醸造用酵母約300gを添加し2週間12℃で発酵させ、発泡酒(発明品1)を得た。
また対照として未処理の麦芽を使用原料として用いた発泡酒(対照品1)、メラノイジン麦芽を使用原料の10%使用した発泡酒(対照品2)も同様に作成した。官能評価を行った結果、発明品1は、対照品1および対照品2に比べ、エグミの少ない良好な香味であった。
<実施例5>高温高圧処理した麦芽を用いたビールの製造
高温高圧処理した麦芽(麦芽加工品)を原料とし、ビールを製造した例を示す。
実施例2に記載した方法に従って得た高温高圧処理麦芽(140℃、0.2MPa)を使用原料の50%使用して、ビールを得た。
具体的には、麦芽15kgに高温高圧処理麦芽(140℃、0.2MPa)を15kg混合し、65℃の水150Lで約1時間糖化した。糖化液をろ過した後、ホップ約100gを投入し100℃で約1時間煮沸した。12℃に冷却した後、ビール醸造用酵母約300gを添加し2週間12℃で発酵させ、ビール(発明品2)を得た。
また対照として未処理の麦芽を使用原料として用いたビール(対照品3)を同様に作成した。官能評価を行った結果、発明品2は、対照品3に比べ、エグミの少ない良好な香味であった。
<実施例6>エクストルーダ(2軸押出機)を用いた麦芽加工品の製造例
エクストルーダ(2軸押出機:株式会社日本製鋼所製TEX30F)を用いて欧州産二条麦芽を温度200℃、圧力0.2MPa、30秒の条件で高温高圧処理を行って、麦芽加工品を得た。
この麦芽加工品は、さらなる粉砕等を行わなくても水(温水等含む)に容易に溶解し得ると共に、連続的に麦芽を処理することができ、効率よく麦芽加工品を得ることができた。
当該エクストルーダは、高温高圧処理と同時に粉砕、成形加工や乾燥を行うことが可能である。従ってエクストルーダにより加工処理された発芽穀物加工品は、乾燥工程・粉砕工程等といった、さらなる加工処理を必要とせず、そのまま水(温水等含む)に均一に溶解させることができ、酒類や食品の原料としての利便性が高まるという効果があった。
<実施例7>エクストルーダ(2軸押出機)を用いた麦芽加工品を用いた発泡酒の製造
実施例6で得られた麦芽加工品を、水を除く全使用原料(以下単に使用原料という)の2.5%を使用して、発泡酒を得た。
具体的には、麦芽27kgに実施例6で得られた高温高圧処理麦芽を3kg混合し、65℃の水150Lで約1時間糖化した。糖化液をろ過した後、糖化スターチを麦芽比率25%になるように加えて攪拌し、ホップ約100gを投入して100℃で約1時間煮沸した。12℃に冷却した後、ビール醸造用酵母約300gを添加し2週間12℃で発酵させ、発泡酒(発明品3)を得た。
また対照として麦芽を使用原料として用いた発泡酒(対照品4)を同様に比較例として調製した。官能評価を行った結果、発明品3は、対照品4に比べ、エグミの少ない良好な香味であった。
<実施例8>エクストルーダ(2軸押出機)を用いた麦芽加工品を用いた発泡酒の製造
実施例6で得られた麦芽加工品を、水を除く全使用原料(以下単に使用原料という)の12.5%使用して、発泡酒を得た。
具体的には、麦芽15kgに実施例6で得られた高温高圧処理麦芽を15kg混合し、65℃の水150Lで約1時間糖化した。糖化液をろ過した後、糖化スターチを麦芽比率25%になるように加えて攪拌し、ホップ約100gを投入して100℃で約1時間煮沸した。12℃に冷却した後、ビール醸造用酵母約300gを添加し2週間12℃で発酵させ、発泡酒(発明品4)を得た。
また対照として麦芽を使用原料として用いた発泡酒(対照品5)も同様に比較例として作成した。官能評価を行った結果、発明品4は、対照品5に比べ、エグミの少ない良好な香味であった
<実施例9>水分離処理による口腔内刺激物質の低減
発芽穀物として麦芽を用い、麦芽の口腔内刺激物質を低減した例を示す。
粉砕した麦芽(欧州産二条)40gに10℃の冷水を100mL加え、10℃に保ちながら20分間ゆっくりと攪拌した後、固形分を回収した。
一方、コントロールとして、水分離処理を行わない麦芽を用意した。これらの試料中の口腔内刺激物質を以下の方法で定量した。
すなわち、試料に160mLの65℃の温水を加え、65℃で30分間保持し、遠心処理(7000rpm、10分間)を行った。上澄み液を1mL採取し、実施例1に記載の方法にて口腔内刺激物質の定量を行った。この定量結果と、予め冷水にて処理をしなかった未処理液から得られた口腔内刺激物質の定量結果とに基づき算出されたピークエリア比(%)は68.7であった。
<実施例10>酸処理による口腔内刺激物質の低減
麦芽の口腔内刺激物質を塩酸にて加水分解して低減した例を示す。
麦芽の幼芽40gを水160mLに溶かし、65℃で30分間保持した。抽出液を遠心し、上清をセップパックC18樹脂(ウォーターズ社製 Sep−Pak Vac 20cc C18カートリッジ)に供し、水20mLにて洗浄後、20%エタノール20mLにて溶出した。
溶出画分をエバポレータを使用して濃縮し、凍結乾燥することにより、粗分画粉末を得た。この20%エタノール溶出画分(乾燥重量90.4mg)を粗分画エグミ成分として、ギルソン社製HPLCシステムを用いて再度分画を行った。
カラムはDeverosil−C30−UG5(野村化学社製10×250mm)を用い、分析条件は、A液を0.05%TFA(トリフルオロ酢酸)水溶液、B液を0.05%TFA・90%アセトニトリル溶液とし、流速3mL/minにて、B液0%から50%までの150分間の直線グラジエントとした。
検出は波長300nmのUV吸収にて行った。各ピークを分取し、それぞれのピークに対して香味評価を行い、強くて鋭いエグミを持つ成分を特定し、エグミ成分粉末(口腔内刺激物質)を得た(乾燥重量61.2mg)。
このエグミ成分粉末1mgを1M塩酸水溶液1mLに溶解し、90℃で5分間処理した。その後、実施例1に示した定量方法にて口腔内刺激物質の定量を行った。この定量結果と、塩酸にて加水分解しない対照から得られた口腔内刺激物質の定量結果とに基づき算出されたピークエリア比(%)は1未満であった。
<実施例11>酵素処理による口腔内刺激物質の低減
酵素処理によって口腔内刺激物質を低減した例を示す。
実施例9に示した方法にて得たエグミ成分粉末0.1mgを1mLの0.1M酢酸ナトリウム水溶液(pH5.0)に溶解した。この水溶液に、Penicillium multicolor由来のβ−グリコシダーゼ粉末(天野エンザイム社製)1mgを1mLの0.1M酢酸ナトリウム水溶液(pH5.0)に溶解した酵素溶液を10μL添加して、45℃で2時間保持した。
その後、沸騰水浴に30秒間浸してすぐに氷上に移した。この処理液を、実施例1に示した定量方法にて口腔内刺激物質の定量を行った。この定量結果と、酵素を添加しなかった未処理液から得られた口腔内刺激物質の定量結果とに基づき算出されたピークエリア比(%)は0.7であった。
<実施例12>酵素処理によって口腔内刺激物質を低減したビールの製造
実施例11にて使用した酵素を用いて、口腔内刺激物質を低減したビールを製造した例を示す。
具体的には、粉砕した欧州産二条大麦30kgに50℃の水150L を加え、上記β―グリコシダーゼ粉末100mgを添加して30分間攪拌した。その後65℃に昇温し、約1時間糖化した。糖化液をろ過した後、約100gのホップを投入し、100℃で約1時間煮沸した。12℃に冷却した後、ビール醸造用酵母約300gを添加し12℃で2週間発酵させ、ビール(発明品5)を得た。
また対照として、上記酵素処理を実施しないで製造したビール(対照品6)を同様に作成した。
官能評価を行った結果、発明品5は、対照品6に比べ、明らかにエグミの少ない良好な香味であった。また、発明品5のビールにおいて、実施例1に記載した定量方法にて口腔内刺激物質の定量を行った。この定量結果と、対照品6のビールにおける口腔内刺激物質の定量結果とに基づき算出されたピークエリア比は1未満であった。
<実施例13>吸着除去による口腔内刺激物質の低減(活性炭を使用)
麦汁中の口腔内刺激物を活性炭により吸着除去して低減した例を示す。
粉砕した麦芽(欧州産2条)40gに水160mLを加え、0.5gの活性炭白鷺ニューゴールド(武田キリン食品社製)を添加して、攪拌しながら65℃にて30分間処理した。遠心処理(7000rpm、10分間)の後、上澄みを採取し、実施例1に示した定量方法にて口腔内刺激物質の定量を行った。この定量結果と、活性炭を添加しなかった未処理麦汁液から得られた口腔内刺激物質の定量結果とに基づき算出されたピークエリア比(%)は90.1であった。
<実施例14>吸着除去による口腔内刺激物質の低減(樹脂を使用)
麦汁中の口腔内刺激物を樹脂により吸着除去して低減した例を示す。
粉砕した麦芽(欧州産二条)40gに水160mLを加え、65℃にて30分間処理した。その後10gのコスモシール75C18−OPN樹脂(ナカライテスク社製)を添加して、攪拌しながら室温で20分間放置した。遠心処理(7000rpm、10分間)の後、上澄みを採取し、実施例1に示した定量方法にて口腔内刺激物質の定量を行った。この定量結果と、樹脂を添加しなかった未処理液から得られた口腔内刺激物質の定量結果とに基づき算出されたピークエリア比(%)は65.1であった。
<実施例15>吸着除去によって口腔内刺激物質を低減したビールの製造
実施例14に記載の方法にて処理した麦汁を用いてビールを製造した例を示す。
具体的には、粉砕した麦芽(欧州産二条)1kgに65℃の水5Lを加えて60分間糖化した。糖化液をろ過した後、ホップ約3gを投入し100℃で約1時間煮沸した。12℃に冷却したものに200gのコスモシール75C18−OPN樹脂(ナカライテスク社製)を添加して攪拌しながら12℃にて20分間放置した。その後、攪拌を止めてさらに20分放置して上清をろ過したろ液に、ビール醸造用酵母約10gを添加し2週間12℃で発酵させ、ビール(発明品6)を得た。
また対照として、上記樹脂処理を行わないで製造したビール(対照品7)を同様に作成した。
官能評価を行った結果、発明品6は、対照品7に比べ、明らかにエグミの少ない良好な香味であった。また、実施例1に示した定量方法にて口腔内刺激物質の定量を行ったところ、発明品6および対照品7の定量結果に基づき算出されたピークエリア比(%)は60.8であった。
<実施例16>膜分離処理による口腔内刺激物質の低減
麦汁中の口腔内刺激物を膜分離により除去して飲料を製造した例を示す。
粉砕した麦芽(欧州産二条)40gに水160mLを加え、65℃にて30分間処理した。遠心処理(7000rpm、10分間)の後、上澄みを採取し、麦汁を得た。得られた麦汁について3000NMWLメンブレン(ミリポア社製)を用いて限外ろ過を行った。その後、メンブレンを通過しなかった液体を採取し、実施例1に示した定量方法にて口腔内刺激物質の定量を行った。この定量結果と、膜分離処理を行わなかった処理液から得られた口腔内刺激物質の定量結果とに基づき算出されたピークエリア比(%)は45.3であった。
上述の口腔内刺激物質を低減した麦汁を得る操作を3回くり返して、口腔内刺激物質を低減した麦汁約400mLを得た。それに市販の糖化スターチを600gと少量のアミノ酸混合物を加えて攪拌しながらpHを4.5に調整し、約80℃の水を加えて全量を2Lに調整した後、ホップ2gを添加して100℃で60分間処理した。10℃に冷却後、ビール醸造用酵母10gを添加して10℃で5日間発酵させて、口腔内刺激物質を低減したビール様飲料(発泡酒:発明品7)を製造した。当該飲料はエグミや口腔内刺激感の少なく飲みやすい飲料であった。
本発明は、発芽穀物に含まれる口腔内刺激物質を低減する方法に利用できる。

Claims (7)

  1. 発芽穀物に含まれる、以下の化学構造式;
    Figure 2013059353
    で示される口腔内刺激物質1(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、
    以下の化学構造式;
    Figure 2013059353
    で示される口腔内刺激物質2(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、及び
    以下の化学構造式;
    Figure 2013059353
    で示される口腔内刺激物質3(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans、Meはメチル基)からなる群より選択される少なくとも1つの口腔内刺激物質を酸によってpH0.1〜3.0にて加水分解して、その含有量を低減する発芽穀物の口腔内刺激物質の低減方法。
  2. 前記酸が塩酸・硫酸・リン酸・酢酸からなる群から選択される請求項1に記載の発芽穀物の口腔内刺激物質の低減方法。
  3. 発芽穀物に含まれる、以下の化学構造式;
    Figure 2013059353
    で示される口腔内刺激物質1(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、
    以下の化学構造式;
    Figure 2013059353
    で示される口腔内刺激物質2(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、及び
    以下の化学構造式;
    Figure 2013059353
    で示される口腔内刺激物質3(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans、Meはメチル基)からなる群より選択される少なくとも1つの口腔内刺激物質を、樹脂又は活性炭を用いて吸着除去して、その含有量を低減する方法であって、前記樹脂が吸着樹脂・・ゲルろ過用樹脂・アフィニティクロマト用担体からなる群から選択される少なくとも1種を用いて実施する発芽穀物の口腔内刺激物質の低減方法。
  4. 発芽穀物に含まれる、以下の化学構造式;
    Figure 2013059353
    で示される口腔内刺激物質1(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、
    以下の化学構造式;
    Figure 2013059353
    で示される口腔内刺激物質2(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans)、及び
    以下の化学構造式;
    Figure 2013059353
    で示される口腔内刺激物質3(−CH=CH−に関してはcisまたはtrans、Meはメチル基)からなる群より選択される少なくとも1つの口腔内刺激物質を、冷水を用いて分離除去して、その含有量を低減する発芽穀物の口腔内刺激物質の低減方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の低減方法を単独或いは任意に組み合わせて、発芽穀物の口腔内刺激物質を低減する工程を包含する発芽穀物加工方法で得られる発芽穀物加工品。
  6. 請求項5に記載の発芽穀物加工品を原料として製造される飲食物。
  7. 前記発芽穀物が麦芽である請求項6に記載の飲食物。
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