JP2013051087A - 電極体の製造方法、および金属二次電池用電極体 - Google Patents

電極体の製造方法、および金属二次電池用電極体 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、サイクル特性が良好な電極体を得ることができる電極体の製造方法、および金属二次電池用負極体を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、MgHを含有する電極材料、およびポリイミド前駆体を含有するバインダー材料を用いて電極体形成用層を形成する電極体形成用層形成工程と、MgHの水素放出温度以下の温度で熱処理をすることにより、上記ポリイミド前駆体をイミド化する熱処理工程とを有することを特徴とする電極体の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、サイクル特性が良好な電極体を製造可能な電極体の製造方法、および金属二次電池用電極体に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
例えばリチウム電池に用いられる負極活物質として、金属水素化物(MHx)であるコンバージョン系の負極活物質が知られている。コンバージョン系の負極活物質として、例えば特許文献1にはMgHが記載されている。MgHを活物質として用いた場合の電気化学的な挙動は、以下の通りである。
充電時:MgH+2Li+2e → Mg+2LiH (反応式1)
放電時:Mg+2LiH → MgH+2Li+2e (反応式2)
また、上述した反応式1および反応式2においては、リチウムイオンの挿入脱離によりMgHが膨張収縮することが知られている。
米国特許出願公報第2008/0286652号明細書
ところで、一般的な活物質(例えばLiCoO)を用いた電極体の製造方法としては、従来から、活物質およびバインダーを含有するスラリーを用いた方法が知られている。また、バインダーとしては、PVDF等が主に用いられている。
一方、本発明者は、MgHを用いた電極体の製造方法として、上述のPVDFを含有するスラリーを用いた方法を適用することを試みた。しかしながら、このような製造方法により得られた電極体を二次電池に用いた場合は、PVDFはMgHの膨張収縮に追従できる程度の弾性を示さないことから、充放電を繰り返すことにより、バインダーがMgHを結着できなくなり、電極体が劣化してしまうという問題がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、サイクル特性が良好な電極体を得ることができる電極体の製造方法、および金属二次電池用負極体を提供することを主目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため、バインダーとしてPVDFの代わりに、結着性が優れたポリイミドを用いることを検討した。また本発明者は、鋭意研究を進め、ポリイミドがMgHの膨張収縮に追従できる程度の弾性を示すためには比較的高温での熱処理を行う必要があるが、MgHは上述の熱処理温度においては水素を放出して、活物質としての機能を失ってしまうことを知見した。本発明はこのような知見に基づいてなされた発明である。
本発明においては、MgHを含有する電極材料、およびポリイミド前駆体を含有するバインダー材料を用いて電極体形成用層を形成する電極体形成用層形成工程と、MgHの水素放出温度以下の温度で熱処理をすることにより、上記ポリイミド前駆体をイミド化する熱処理工程とを有することを特徴とする電極体の製造方法を提供する。
本発明によれば、上述した熱処理工程をMgHの水素放出温度以下で行うことから、結着性の高いポリイミドを含有し、サイクル特性の高い電極体を製造することができる。これは、MgHの活物質としての機能を損なうことなく、ポリイミド前駆体をイミド化させてポリイミドとすることができるからである。
本発明においては、上記熱処理工程が、加圧下で行われることが好ましい。上述した水素放出温度を比較的高い温度とすることが可能となることから、ポリイミド前駆体のイミド化を促進させてバインダーの結着性をより高くすることができ、よりサイクル特性が良好な電極体を製造することが可能となる。
上記発明においては、上記熱処理工程が、加圧水素雰囲気下で行われることが好ましい。熱処理によるMgHの水素放出をより好適に抑制することができるからである。
上記発明においては、上記熱処理工程の熱処理圧力が、0.1MPa〜2.0MPaの範囲内であることが好ましい。熱処理工程の熱処理圧力を上記範囲内とすることにより、よりサイクル特性が良好な電極体を製造することが可能となる。
上記発明においては、上記熱処理工程の熱処理温度が、300℃〜400℃の範囲内であることが好ましい。上述の熱処理圧力における熱処理温度を上記範囲内とすることにより、よりサイクル特性が良好な電極体を製造することが可能となる。
本発明においては、上記熱処理工程が、常圧で行われることも好ましい。特別な設備等を必要としないため、熱処理工程を簡便な工程とすることができ、低コストで電極体を製造することが可能となる。
上記発明においては、上記熱処理工程の熱処理温度が、200℃〜250℃の範囲内であることが好ましい。常圧における熱処理温度を上記範囲内とすることにより、よりサイクル特性が良好な電極体を製造することが可能となる。
本発明においては、MgHを含有する電極材料と、ポリイミドから構成されるバインダーとを含有することを特徴とする金属二次電池用電極体を提供する。
本発明によれば、良好な結着性を示すポリイミドから構成されるバインダーを含有することができるため、サイクル特性が良好な金属二次電池用電極体とすることができる。
本発明は、サイクル特性が良好な電極体を得ることができるという作用効果を奏する。
本発明の電極体の製造方法の一例を示す工程図である。 MgHの水素放出温度について説明するための図である。 温度とMgH⇔Mgの平衡圧力との関係を表わすグラフである。 本発明の金属二次電池用電極体の一例を示す概略断面図である。 実施例においてMgHのDSC測定を行った測定結果である。
以下、本発明の電極体の製造方法、および金属二次電池について説明する。
A.電極体の製造方法
まず、本発明の電極体の製造方法について説明する。本発明の電極体の製造方法は、MgHを含有する電極材料、およびポリイミド前駆体を含有するバインダー材料を用いて電極体形成用層を形成する電極体形成用層形成工程と、MgHの水素放出温度以下の温度で熱処理をすることにより、上記ポリイミド前駆体をイミド化する熱処理工程とを有することを特徴とする製造方法である。
図1は本発明の電極体の製造方法の一例を示す概略断面図である。図1においては、まず集電体1を用意し(図1(a))、その表面に、MgHを含有する電極材料、およびポリイミド前駆体を含有するバインダー材料を含有するスラリーを塗布して、電極体形成用層2を形成する(図1(b))。次に、電極体形成用層2を、MgHの水素放出温度以下の温度で熱処理することにより電極体3を形成する(図1(c))。
本発明によれば、上述した熱処理工程をMgHの水素放出温度以下で行うことから、結着性の高いポリイミドを含有し、サイクル特性の高い電極体を製造することができる。これは、MgHの活物質としての機能を損なうことなく、ポリイミド前駆体をイミド化させてポリイミドとすることができるからである。
本発明は、MgHの水素放出温度に着目し、ポリイミド前駆体をイミド化するための熱処理温度をMgHの水素放出温度以下に設定することを見出した点に大きな特徴を有する。以下、本発明の電極体の製造方法の各工程について説明する。
1.電極体形成用層形成工程
まず、本発明における電極体形成用層形成工程について説明する。電極体形成用層形成工程は、MgHを含有する電極材料、およびポリイミド前駆体を含有するバインダー材料を用いて電極体形成用層を形成する工程である。
(1)バインダー材料
まず、本工程に用いられるバインダー材料について説明する。
(i)ポリイミド前駆体
本工程に用いられるバインダー材料はポリイミド前駆体を有する。ポリイミド前駆体としては、加熱することによりイミド化して下記の化学式(1)に示されるポリイミドを得ることが可能であれば特に限定されないが、化学式(1)のRおよびR’が芳香族である芳香族ポリイミドを得ることが可能なものであることがより好ましい。
Figure 2013051087
ポリイミド前駆体としては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを含む成分から合成されるポリアミック酸(但し、一部イミド化されたアミック酸を含む。)を好適に用いることができる。なお、ポリアミック酸を用いた場合、後述する熱処理工程においては、以下のイミド化反応(反応式3)によりポリイミドが生成する。なお、図3では、ピロリメット酸二水和物と、4,4’‐ジアミノジフェニルエーテルとを重合することにより合成されたポリアミック酸を用いた場合を例示しているがこれに限定されない。
Figure 2013051087
上記ポリアミック酸の原料となるジアミンとしては、公知の芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン等を挙げることができる。
また、上記ポリアミック酸の原料となるテトラカルボン酸無水物としては、公知の芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物などのテトラカルボン酸二無水物あるいはこれらのエステル等を挙げることができる。
上記ポリイミド前駆体の重合度については、後述する溶媒に溶解することができ、後述する熱処理工程でイミド化させることが可能な程度であれば特に限定されない。
電極体形成用層の固形分中のポリイミド前駆体の含有量としては、特に限定されないが、1重量%〜50重量%の範囲内、なかでも5重量%〜30重量%の範囲内、特に10重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましい。ポリイミド前駆体の含有量が上記範囲に満たない場合は、電極体に所望のサイクル特性を付与することが困難となる可能性があるからである。また、ポリイミド前駆体の含有量が上記範囲を超える場合は、本発明の製造方法により得られた電極体の電極特性が低下する可能性があるからである。
(ii)その他の成分
本工程に用いられるバインダー材料は、上述のポリイミド前駆体を含有していれば特に限定されず、他にも、必要な成分を適宜選択して追加することができる。通常は、ポリイミド前駆体を溶解可能な溶媒を含有する。このような溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、N−メチルカプロラクタム、クレゾール類などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
バインダー材料中の溶媒の含有量としては、上述したポリイミド前駆体を溶解することができれば特に限定されない。
本工程に用いられるバインダー材料の任意の成分としては溶媒の他にも例えば、安定剤、イミド化触媒、脱水縮合剤等を用いることができる。これらの成分についてはいずれも公知のものを用いることができる。
(2)電極材料
次に電極材料について説明する。また、電極材料としては、MgHを含有していれば特に限定されないが、コンバージョン反応の可逆性を向上させる金属触媒、および導電化材を含有していることがより好ましい。
MgHは、通常、活物質として用いられる。本工程におけるMgHは、より微細化されたものであることが好ましい。MgHの粒径を小さくすることで、コンバージョン反応の可逆性をさらに向上させることができるからである。MgHの粒径が小さくなることで、コンバージョン反応の可逆性が向上する理由は、MgHの粒径が小さくなると、比表面積が大きくなり、反応式2が生じやすくなるためであると考えられる。また、MgHの粒径が小さくなることで、Li拡散パスが短くなり、反応性が向上すると考えられる。また、MgHの粒径が小さくなることにより、Li挿入反応(上記反応式1)における過電圧が小さくなるという利点もある。
MgHの平均粒径は、特に限定されないが、例えば2μm以下であることが好ましく、0.1μm〜1μmの範囲内であることがより好ましい。なお、MgHの平均粒径は、SEM(走査型電子顕微鏡)観察により、MgH粒子(n=100)の粒径を測定し、その平均を求めることで算出することができる。また、MgHの平均粒径と、後述する金属触媒や導電化材の平均粒径とが、大きく異なる場合には、粒度分布測定により、MgH粒子の平均粒径(d50)を求めても良い。
上記電極材料中のMgHの含有量は、特に限定されるものではないが、例えば40重量%以上であることが好ましく、60重量%〜98重量%の範囲内であることがより好ましい。
上記電極材料は、コンバージョン反応の可逆性を向上させる金属触媒を含有することが好ましい。上記金属触媒を添加することにより、例えば上記反応式2を促進することができる。そのため、金属二次電池の充放電効率を向上させることができる。また、例えば上記反応式2を促進させるためには、LiHからの水素脱離反応(LiHの解離反応)およびMgへの水素付加反応が重要になり、金属触媒は、その一方または両方の反応を促進しているものと考えられる。
次に、上記金属触媒が、コンバージョン反応の可逆性を向上させる推定メカニズムについて説明する。MgHにLiが取り込まれる(上記反応式1が生じる)と、MgおよびLiHが生じる。この状態をX線回折(XRD)で測定すると、Mgのピークが観察されLiHのピークが観察されないことから、結晶性を有するMg粒子が、非晶質のLiHの中に浮島状に形成されていることが推察される。
一方、MgHおよびLiの電気化学反応において、微量の水素ガスが発生することが確認されている。このことから、発生した水素ガスを、金属触媒が解離吸着し、その解離吸着した水素がMgと反応することで、MgHが生じていると考えられる。すなわち、この推定メカニズムでは、金属触媒が、Mgへの水素付加反応を促進させている。また、この推定メカニズムは、水素吸蔵合金が水素を吸蔵する際の反応に類似したものであると考えることができる。なお、上記の説明では、金属触媒が発生した水素ガスを解離吸着するものとしているが、金属触媒は、LiHから脱離した水素が水素ガスになる前に、水素を吸着している可能性も考えられる。また、金属触媒は、LiHの解離反応自体を促進している可能性も考えられる。
本工程におけるMgHは、通常、活物質として機能するものであり、例えばLiイオンと反応することにより、LiHおよびMgが生じる。また、Liイオンとの反応で生じたMg(0価)は、さらにLiイオンと合金化反応を起こし、LiMgとなるまでLiを吸蔵する。このように、MgHは極めて大きなLi吸蔵容量が得られるものの、その逆反応(特に上記反応式2)が生じにくいため、充放電効率が低くなるという問題がある。本工程においては、この問題を、金属触媒を用いることにより解決できる。また、上記金属触媒は、MgHに接触していれば良いが、MgHに担持されたものであることが好ましい。また、上述したように、本工程における金属触媒は、MH(Mは例えばLiである)からの水素脱離反応およびMgへの水素付加反応の少なくとも一方に作用するものであることが好ましい。水素脱離反応および水素付加反応の少なくとも一方が、コンバージョン反応の逆反応(例えば上記反応式2)の律速である可能性があるからである。
本工程における金属触媒は、コンバージョン反応の可逆性を向上させることができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、LiHを解離させる触媒、または、Hガスを解離吸着できる触媒であることが好ましい。なお、「Hガスを解離吸着できる触媒」とは、Hガスを解離吸着する触媒、および、LiHから脱離した水素が水素ガスになる前に、水素を吸着する触媒の両方を意味する。
また、本工程における金属触媒は、遷移金属元素を有することが好ましい。遷移金属元素における3d軌道、4d軌道、4f軌道等が、コンバージョン反応の可逆性を向上させると考えられるからである。また、これらの軌道が、LiHの解離、Hガスの解離吸着に大きく寄与している可能性も考えられる。上記遷移金属元素としては、周期律表において遷移金属元素に分類されるものであれば特に限定されるものではないが、中でも、Ti、V、Cr、Mn、Co、Ni、Zr、Nb、Pd、La、CeおよびPtからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。また、本工程における金属触媒の種類としては、例えば、金属単体、合金および金属酸化物等を挙げることができる。特に、本工程における金属触媒は、Ni単体またはNi合金であることが好ましい。
本工程における金属触媒は、より微細化されたものであることが好ましい。金属触媒の粒径を小さくすることで、コンバージョン反応の可逆性をさらに向上させることができるからである。金属触媒の平均粒径は、例えば1μm以下であることが好ましく、10nm〜500nmの範囲内であることがより好ましい。なお、金属触媒の平均粒径は、上記と同様に、SEM観察、粒度分布測定により決定することができる。
MgHに対する金属触媒の割合は、特に限定されるものではないが、金属触媒を用いない場合に比べて、製造される電極体を用いた金属二次電池の充放電効率を向上できる割合であることが好ましい。MgHに対する金属触媒の割合は、例えば0.1at%〜10at%の範囲内であることが好ましく、なかでも0.5at%〜6at%の範囲内、さらに1at%〜5at%の範囲内、特に2at%〜4at%の範囲内であることが好ましい。金属触媒の割合が少なすぎると、コンバージョン反応の可逆性を十分に向上させることができない可能性があり、金属触媒の割合が多すぎると、相対的にMgHの割合が少なくなり、容量低下が大きくなる可能性があるからである。なお、MgHに対する金属触媒の割合は、SEM−EDXにより決定することができる。
特に、金属触媒がNi単体である場合、MgHに対するNi単体の割合は、金属触媒を用いない場合に比べて、製造される電極体を用いた金属二次電池の充放電効率を向上できる割合であることが好ましい。具体的には、上記Ni単体の割合が、6at%以下であることが好ましく、1at%〜5at%の範囲内であることがより好ましく、2at%〜4at%の範囲内であることがさらに好ましい。
また、本工程における電極材料は、導電化材をさらに含有するものであっても良い。電子伝導性が良好な電極材料とすることができるからである。また、導電化材は、MgHと接触していることが好ましく、MgHに担持されていることがより好ましい。電子伝導パスを確保しやすいからである。導電化材としては、特に限定されるものではないが、例えばメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛等の炭素材料を挙げることができる。
本工程における導電化材は、より微細化されたものであることが好ましい。電子伝導性の向上にさらに寄与できるからである。導電化材の平均粒径は、例えば2μm以下であることが好ましく、0.1μm〜1μmの範囲内であることがより好ましい。なお、導電化材の平均粒径は、上記と同様に、SEM観察、粒度分布測定により決定することができる。
本工程の電極材料における導電化材の含有量は、特に限定されるものではないが、例えば1重量%〜60重量%の範囲内であることが好ましく、なかでも2重量%〜40重量%の範囲内、特に5重量%〜20重量%の範囲内であることが好ましい。導電化材の割合が少なすぎると、電子伝導性を十分に向上させることができない可能性があり、導電化材の割合が多すぎると、相対的にMgHおよび金属触媒の割合が少なくなり、容量低下が大きくなったり、可逆性の向上が少なくなったりする可能性があるからである。
上述した電極材料の形成方法としては、特に限定されないが、MgHを含有する原料組成物をメカニカルミリングで微細化するメカニカルミリング工程を有する方法であることが好ましい。上記メカニカルミリングは、試料を、機械的エネルギーを付与しながら粉砕する方法である。また、メカニカルミリングで微細化することにより、原料組成物に含まれる各材料の粒子が激しく接触する。これにより、原料組成物に含まれる各材料は、単なる微細化(例えば乳鉢を用いた微細化)よりも、格段に微細化される。また、メカニカルミリングで微細化することにより、金属触媒や導電化材を、MgH粒子の表面に均一に分散させることができる。本工程におけるメカニカルミリングとしては、例えば、ボールミル、振動ミル、ターボミル、ディスクミル等を挙げることができ、中でもボールミルが好ましく、特に遊星型ボールミルが好ましい。
また、メカニカルミリングの各種条件は、所望の電極材料を得ることができるように設定する。例えば、遊星型ボールミルにより電極材料を作製する場合、ポット内に、原料組成物および粉砕用ボールを加え、所定の回転数および時間で処理を行う。遊星型ボールミルを行う際の台盤回転数としては、例えば100rpm〜1000rpmの範囲内、中でも200rpm〜600rpmの範囲内であることが好ましい。また、遊星型ボールミルを行う際の処理時間は、例えば1時間〜100時間の範囲内、中でも2時間〜10時間の範囲内であることが好ましい。また、本工程においては、原料組成物に含まれる各材料が、所定の平均粒径となるようにメカニカルミリングを行うことが好ましい。
上述の電極材料の形成方法においては、メカニカルミリング工程後に、メカニカルミリングにより得られたMgH含有粒子を気相中での水素の吸蔵放出により微細化する水素吸蔵放出工程を行うことがより好ましい。水素の吸蔵放出を行うことで、粒子を微細化でき、コンバージョン反応の可逆性を向上させることができるからである。その結果、製造される電極体を用いた金属二次電池の充放電効率を向上させることができる。また、メカニカルミリングによる微細化(機械的な微細化)後に、水素の吸蔵放出による微細化(化学的な微細化)を行うことで、MgH含有粒子をさらに微細化できる。上記水素吸蔵放出工程においては、マグネシウムに水素が吸蔵された状態とする(すなわち、活物質としての機能を発現し得る状態とする)ことが好ましい。
水素吸蔵放出工程では、MgH含有粒子におけるMgHに、気相を介して水素を放出吸蔵させることで、微粒子のさらなる微細化を図る。また、通常、水素放出および水素吸蔵の順番で処理する。水素を放出させる方法としては、特に限定されないが、例えば減圧する方法を挙げることができる。一方、水素を吸蔵させる方法としては、特に限定されないが、例えば水素雰囲気下で加圧する方法を挙げることができる。
上記電極体形成用層の電極材料の含有量としては、特に限定されないが、10重量%〜80重量%の範囲内、なかでも20重量%〜60重量%の範囲内であることが好ましい。
(3)その他の材料
本工程に用いられるスラリーは、上述したバインダーおよび電極材料の他にも任意の成分を添加することができる。このような成分としては、例えば、導電化材を挙げることができる。上述したように、電極材料自体が導電化材を含有している場合があるが、第一実施態様により製造される電極体は、さらに導電化材を含有していても良い。負極材料に含まれる導電化材と、新たに添加する導電化材とは、同一の材料であっても良く、異なる材料であっても良い。なお、導電化材の具体例については、上述した通りである。
また、必要に応じてスラリーを調製するための溶媒を含有させることができる。このような溶媒については公知のものを用いることができる。また、スラリーを調製するための溶媒としては、上述したバインダー材料に用いられる溶媒と同様の溶媒を用いることもできる。
(4)電極体形成用層の形成方法
本工程に用いられる電極体形成用層の形成方法としては、所望の厚さを有する電極体形成用層を形成することが可能であれば特に限定されない。例えば、上述の電極体形成用層の材料を用いてスラリーを調製し、上記スラリーを耐熱基板上に塗布する方法を挙げることができる。上記耐熱基板としては、特に限定されないが、集電体であることがより好ましい。電極体および集電体の密着性を向上させることができる。集電体としては、例えば、例えばSUS、銅、ニッケル等を挙げることができ、中でも銅が好ましい。また、スラリーの塗布方法としては特に限定されず、公知の塗布方法とすることができる。
上述した電極体形成用層の形成方法においては、スラリーの塗布後に必要に応じて電極体形成用層を乾燥させてもよい。
本工程により形成される電極体形成用層の厚さとしては、熱処理工程後に得られる電極体の厚さを考慮して適宜選択することができる。
2.熱処理工程
次に、熱処理工程について説明する。熱処理工程は、MgHの水素放出温度以下の温度で熱処理をすることにより、上記ポリイミド前駆体をイミド化する工程である。
「MgHの水素放出温度」とは、所定の熱処理圧力においてMgHの水素放出が開始される温度を指す。また、「MgHの水素放出温度」は所定の熱処理圧力でのMgHの示差走査熱量(DSC)測定結果における、水素放出による吸熱反応の開始温度とする。
ここで、MgHの水素放出は熱処理圧力に依存し、熱処理圧力が大きいほど、高い温度で水素放出が起こる。これは、熱処理圧力が大きいほど、MgHの表面に加わる外部からの圧力が大きくなることから、MgHの表面から水素が放出されにくくなるため、より分子運動が大きくなる高温で水素が放出するからであると考えられる。したがって、MgHの水素放出温度、すなわち水素放出による吸熱反応の開始温度についても熱処理圧力が大きいほど、高温側へシフトすることが考えられる。より具体的には図2に示すように、常圧におけるDSC測定結果(図2における実線)と加圧下におけるDSC測定結果(図2における破線)とを比較した場合は、吸熱反応のピークが高温側へシフトし、吸熱反応の開始温度aについてもより高温側の開始温度a’へとシフトすることが考えられる。なお、参考として図3に、温度変化に対するMgH⇔Mgの平衡圧力の変化を表わすグラフを示す。
また、MgHの水素放出はMgHの粒径に依存し、MgHの粒径が大きいほど、高い温度で水素放出が起こる。これは、MgHの粒径が大きいほど比表面積は小さくなることから、水素が放出されにくくなることが原因であると考えられる。よってMgHの水素放出温度は、MgHの粒径が大きいほど、高温側へシフトすることが考えられる。
よって、本発明における熱処理工程については、熱処理圧力やMgHの水素放出温度等により種々の態様をとることが可能であるが、なかでも、熱処理工程が加圧下で行われる実施態様(第一実施態様)と、常圧で行われる実施態様(第二実施態様)との2つの態様が好ましい。以下、各実施態様について説明する。
(1)第一実施態様
第一実施態様の熱処理工程は、加圧下でMgHの水素放出温度以下の温度で熱処理をすることにより、上記ポリイミド前駆体をイミド化する工程である。第一実施態様においては、常圧で熱処理を行う場合に比べて、MgHの水素放出温度が高い温度となることから、高い温度での熱処理が可能となり、ポリイミド前駆体のイミド化をより促進させることができる。よって、サイクル特性が良好な電極体を得ることが可能となる。
第一実施態様の熱処理工程は、通常、MgHと反応しないガス雰囲気下で行われる。具体的には、加圧水素雰囲気下、または加圧不活性ガス雰囲気下等で行われる。また、加圧不活性ガス雰囲気下としては、加圧アルゴン雰囲気下や、加圧窒素雰囲気下が挙げられる。第一実施態様においては、なかでも、加圧水素雰囲気下であることが好ましい。MgHの水素放出をより好適に抑制することができるからである。
第一実施態様における熱処理圧力としては、常圧よりも大きな熱処理圧力であれば特に限定されないが、0.1MPa〜2.0MPaの範囲内、なかでも0.5MPa〜1.5MPaの範囲内、特に0.8MPa〜1.0MPaの範囲内であることが好ましい。熱処理圧力を上記範囲内とすることにより、ポリイミド前駆体のイミド化反応を促進させることが可能な温度で熱処理を行った場合も、MgHからの水素放出を効果的に抑制することができるからである。
第一実施態様における熱処理工程の熱処理温度としては、上述の熱処理圧力やMgHの粒径を考慮することにより適宜選択することができる。より具体的には、上記熱処理温度が、300℃〜400℃の範囲内であることが好ましい。熱処理温度が上記範囲に満たない場合は、ポリイミド前駆体のイミド化反応を十分に進行させることが困難となる可能性があるからである。また、熱処理温度が上記範囲を超える場合は、熱処理によって生成されたポリイミドが熱分解する可能性があるからである。
なお、上記熱処理工程に用いられる加熱方法については、所望の加圧下で加熱を行うことが可能な方法であれば特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
(2)第二実施態様
第二実施態様の熱処理工程は、常圧でMgHの水素放出温度以下の温度で熱処理をすることにより、上記ポリイミド前駆体をイミド化する工程である。第二実施態様においては、常圧で熱処理を行うことができることから、上述した第一実施態様に比べて、特別な設備等を必要としないため、熱処理工程を簡便な工程とすることができ、低コストで電極体を製造することが可能となる。
第二実施態様の熱処理工程は、特に限定されないが、加圧不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。加圧不活性ガス雰囲気下としては、加圧アルゴン雰囲気下や、加圧窒素雰囲気下が挙げられる。
第二実施態様においては、より具体的には熱処理温度が、200℃〜250℃の範囲内であることが好ましい。熱処理温度が上記範囲に見たない場合は、ポリイミド前駆体のイミド化反応が進行せず、電極体を形成することが困難となる場合や、電極体に所望のサイクル特性を付与することが困難となる可能性があるからである。また、上記範囲を超える場合は、MgHの水素放出を抑制することが困難となる可能性があるからである。
本工程に用いられる加熱方法については、常圧で所望の温度で電極体を熱処理することができればよく、一般的な電極体の形成方法に用いられる方法と同様とすることができる。
3.その他の工程
第一実施態様の電極体の製造方法は、上述の電極体形成用層形成工程および熱処理工程以外にも、必要な工程を適宜選択して追加することができる。例えば、電極体を耐熱基板から剥離する工程等を挙げることができる。
4.電極体
第一実施態様の電極体の製造方法により得られた電極体は、ポリイミドから構成されるバインダーを含有することを特徴とする。上記電極体がポリイミドを含有していることについては、例えば、NMR測定、IR測定、ラマン分光分析測定等により確認することができる。
また、上記電極体は、上述の熱処理工程後においてもMgHが水素を保持しているものである。上記電極体においてMgHが水素を保持していることについては、例えば、PCT(Pressure composition temperature)測定により確認することができる。
本発明の製造方法により製造された電極体の厚さとしては特に限定されないが、例えば0.1μm〜1000μmの範囲内であることが好ましい。また、電極体の形状については、電極体が用いられる金属二次電池の形状により適宜選択することができる。
本発明の製造方法により製造された電極体は、金属二次電池に用いることができる。また、この場合、上記電極体は負極として機能する。上記電極体が用いられる金属二次電池としては、例えば、リチウム二次電池、ナトリウム二次電池、カリウム二次電池、マグネシウム二次電池、カルシウム二次電池等を挙げることができ、中でも、リチウム二次電池、ナトリウム二次電池、カリウム二次電池が好ましく、特に、リチウム二次電池が好ましい。また、上記金属二次電池は、例えば車載用電池として用いられることが好ましい。上記金属二次電池の形状としては、例えば、コイン型、ラミネート型、円筒型および角型等を挙げることができる。
B.金属二次電池用電極体
本発明の金属二次電池用電極体は、MgHを含有する電極材料と、ポリイミドから構成されるバインダーとを含有することを特徴とするものである。
図4は、本発明の金属二次電池用電極体の一例を示す概略断面図である。図4に示される金属二次電池用電極体3は、MgHを含有する電極材料と、ポリイミドから構成されるバインダーとを含有する。また、本発明においては集電体1を有していてもよい。
本発明によれば、優れた結着性を示すポリイミドから構成されるバインダーを含有していることから、本発明の金属二次電池用電極体を金属二次電池に用いた場合、充放電によるMgHの膨張収縮にバインダーが追従することができるため、繰り返しの充放電による金属二次電池用電極体の劣化を抑制できる。よって、サイクル特性が良好な金属二次電池用電極体とすることができる。
本発明の金属二次電池用電極体におけるポリイミドの重合度としては、所望の結着性を示すことができれば特に限定されない。
本発明の金属二次電池用電極体については、上述した「A.電極体の製造方法」の項で説明した電極体と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(電極材料の作製)
MgH粉末(平均粒径30μm)とカーボン粉末(MCMB、平均粒径1μm)とを用意した。なお、このカーボン粉末は、市販のMCMB(平均粒径20μm)に対して、遊星型ボールミル処理(400rpm×5時間)を行うことにより、得られたものである。次に、MgH粉末と、カーボン粉末とを、MgH粉末:カーボン粉末=90:10の重量比となるように混合し、原料組成物を得た。次に、Ar雰囲気中で、原料組成物と、破砕用ジルコニアボール(φ=10mm)とを、原料組成物:破砕用ジルコニアボール=1:40の重量比となるように、遊星型ボールミル用の容器に入れ、密封した。その後、容器を遊星型ボールミル装置に取り付け、台盤回転数400rpm、処理時間5時間の条件で、微細化を行った。これにより、負極材料を得た。得られた負極材料において、MgH粉末の平均粒径は0.5μmであり、カーボン粉末の平均粒径は0.1μmであった。
(電極体の作製)
上述の負極材料と、導電化材(アセチレンブラック60wt%+VGCF40wt%)と、ポリイミド前駆体(東洋紡績(株) パイロマックス HR−11NN)とを、負極材料:導電化材:結着材=45:40:15の重量比で混合し、混練することにより、ペーストを得た。次に、得られたペーストを、銅箔上にドクターブレードにて塗工し、乾燥し、プレスすることにより、厚さ10μmの電極体形成用層を得た。
上述の電極体形成用層をアルゴン雰囲気下で200℃で2時間熱処理を行い、電極体を得た。
(評価用電池の作製)
その後、CR2032型コインセルを用い、作用極として上記電極体を用い、対極としてLi金属を用い、セパレータとしてポリエチレン/ポリプロピレン/ポリエチレンの厚さ25μmの多孔質セパレータを用いた。また、電解液として、EC(エチレンカーボネート)/EMC(エチルメチルカーボネート)/DMC(ジメチルカーボネート)=1:1:1に金属塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を濃度1mol/Lとなるように溶解したものを用いた。これらを用いて評価用電池を得た。
[実施例2]
電極体形成用層をアルゴン雰囲気下で250℃で2時間熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして電極体および評価用電池を得た。
[実施例3]
電極体形成用層を0.9MPaの加圧水素雰囲気下で300℃で2時間熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして電極体および評価用電池を得た。
[実施例4]
電極体形成用層を0.9MPaの加圧水素雰囲気下で350℃で2時間熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして電極体および評価用電池を得た。
[実施例5]
電極体形成用層を0.9MPaの加圧水素雰囲気下で400℃で2時間熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして電極体および評価用電池を得た。
[比較例1]
電極体形成用層をアルゴン雰囲気下で300℃で2時間熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして電極体および評価用電池を得た。
[比較例2]
電極体形成用層をアルゴン雰囲気下で350℃で2時間熱処理を行ったこと以外は、実施例1と同様にして電極体および評価用電池を得た。
[比較例3]
(電極体および評価用電池の作製)
実施例1で得られた負極材料と、導電化材(アセチレンブラック60wt%+VGCF40wt%)と、PVDF(クレハ社製PVDF#1120)とを、負極材料:導電化材:結着材=45:40:15の重量比で混合し、混練することにより、ペーストを得た。次に、得られたペーストを、銅箔上にドクターブレードにて塗工し、乾燥し、プレスすることにより、厚さ10μmの電極体形成用層を得た。上記電極体形成用層を真空中で120℃で12時間熱処理して電極体を得た。また、上述した電極体を用いたこと以外は実施例1と同様にして評価用電池を得た。
[評価]
(MgHのDSC測定)
大気圧アルゴン雰囲気下で、MgHのDSC測定を行った。測定結果を図5に示す。なお、水素放出による吸熱反応の開始温度(図5のb点)は260℃であり、反応ピーク温度は310℃である。
(容量維持率測定)
得られた評価用電池を、電池評価環境温度25℃、電流レートC/50にて、電圧範囲を0.01V〜3.0Vとして1回充放電した。その後、電流レートC/10にて、電圧範囲を0.01V〜2.0Vとして10回充放電を繰り返した。初回の容量と、10サイクル後の容量との比率を容量維持率として求めた。結果を表1に示す。
Figure 2013051087
実施例1および実施例2においては、水素放出温度未満の温度で熱処理を行うことにより、比較例3のように従来のPVDFを用いた電極体に比べて容量維持率を向上させることができた。一方、比較例1および比較例2においては、評価電池を使用することが困難であった。これは、電極体形成用層を300℃〜350℃で加熱した場合は、MgHから水素が放出してしまい、活物質としてコンバージョン反応させることができないためである。
また、実施例3〜5においては、0.9MPaの加圧水素雰囲気下で熱処理を行うことにより、さらに容量維持率を向上させることができた。
なお、実施例4においては実施例3に比べてイミド化反応が進行していることからよりて容量維持率を示すことが考えられる。また、実施例5においては生成されたポリイミドの一部が熱分解していることから、実施例4に比べて容量維持率が低下したことが考えられる。
1 … 集電体
2 … 電極体形成用層
3 … 電極体

Claims (8)

  1. MgHを含有する電極材料、およびポリイミド前駆体を含有するバインダー材料を用いて電極体形成用層を形成する電極体形成用層形成工程と、
    MgHの水素放出温度以下の温度で熱処理をすることにより、前記ポリイミド前駆体をイミド化する熱処理工程と
    を有することを特徴とする電極体の製造方法。
  2. 前記熱処理工程が、加圧下で行われることを特徴とする請求項1に記載の電極体の製造方法。
  3. 前記熱処理工程が、加圧水素雰囲気下で行われることを特徴とする請求項2に記載の電極体の製造方法。
  4. 前記熱処理工程の熱処理圧力が、0.1MPa〜2.0MPaの範囲内であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の電極体の製造方法。
  5. 前記熱処理工程の熱処理温度が、300℃〜400℃の範囲内であることを特徴とする請求項2から請求項4までのいずれかの請求項に記載の電極体の製造方法。
  6. 前記熱処理工程が、常圧で行われることを特徴とする請求項1に記載の電極体の製造方法。
  7. 前記熱処理工程の熱処理温度が、200℃〜250℃の範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の電極体の製造方法。
  8. MgHを含有する電極材料と、ポリイミドから構成されるバインダーとを含有することを特徴とする金属二次電池用電極体。
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