JP2013049743A - ポリアミドイミドフィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(1)ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンを20モル%を超える濃度で含有するポリイミドフィルム上に、ポリアミドイミド樹脂を塗布し、乾燥し、フィルム化する工程と、(2)ポリアミドイミド樹脂の溶液より形成されたフィルムをポリイミドフィルムから剥離する工程を含む、算術平均表面粗さ(Ra)が0.5μm以下のポリアミドイミドフィルムの製造方法を提供する。
【選択図】なし
Description
(1)エンドレスベルトやドラム等の支持体上に、ポリアミドイミド樹脂の
溶液を塗布し乾燥させる。
(2)ポリアミドイミド樹脂の塗膜が支持体に固着する前に剥離する。
(3)さらに熱処理する。
例えば、手順(2)〜(3)において一定の溶剤を残した状態で該支持体よりフィルムを剥離し、ピンテンター方式などによりフィルムの両端を把持したまま再度熱処理することにより形成される(特許文献1、2、3)。
(1)耐熱性、表面平滑性、及び透明性を同時に満足するポリアミドイミドフィルムは、
製造しにくい。
(2)フィルムにしわや傷が入りやすく、透明性、及び表面平滑性を妨げる。
(3)剥離性が悪くなる場合があるため、生産効率が良くない。
少なくとも以下の(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とする算術平均表面粗さ(Ra)が0.5μm以下のポリアミドイミドフィルムの製造方法;
(1)ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンを20モル%を超える濃度で含有するポリイミドフィルム上に、ポリアミドイミド樹脂の溶液を塗布し、乾燥し、フィルム化する工程;
(2)ポリアミドイミド樹脂より形成されたフィルムをポリイミドフィルムから剥離する工程。
(項2)
ポリイミドフィルムが、以下の一般式(1)の構造を構成単位として含むことを特徴とする項1に記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
ポリアミドイミド樹脂が下記一般式(2)を構成単位として含むことを特徴とする項1または項2に記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
(項4)
ポリアミドイミド樹脂が以下の一般式(3)の構造を構成単位として含むことを特徴とする項1〜3のいずれかに記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
(項5)
ポリアミドイミド樹脂の溶液の溶剤が、1, 3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとγ−ブチロラクトンとを含むことを特徴とする項1〜4のいずれかに記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
(項6)
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとγ―ブチロラクトンとの混合比率が30〜70/70〜30であることを特徴とする項5に記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
(項7)
ポリイミドフィルムの算術平均表面粗さ(Ra)が0.5μm以下であることを特徴とする項1〜6のいずれかに記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
(項8)
項1〜7のいずれかに記載の方法により製造されたポリアミドイミドフィルム。
(項9)
項8に記載のポリアミドイミドフィルムを用いたフレキシブル金属張積層体。
まず、第1の重要な開示であるポリイミドフィルムについて説明する。
本発明において支持体として用いるポリイミドフィルムは、ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンを含有するポリイミドフィルム(単にPIフィルムと称することがある)であれば良い。
基本的には、本発明の製造プロセスにおいて、ポリアミドイミド樹脂溶液に用いられる溶剤に耐える耐溶剤性、フィルム化工程での熱履歴に耐える耐熱性、ポリアミドイミドフィルムを剥離できる剥離性に優れるポリイミドフィルムであればよい。具体的な、ポリイミドフィルムとしては芳香族を含むのがよく、好ましくは、芳香族ポリイミドである。
芳香族ポリイミドのジアミン成分としてp−フェニレンジアミンは、20モル%を超える濃度で共重合されるのがよい。好ましくは25モル%以上、より好ましくは50モル%以上共重合した芳香族ポリイミドがよい。p−フェニレンジアミンが20モル%を超える濃度で共重合されていれば、ポリアミドイミドフィルムとの剥離性が特に良くなる。
例示するならば、
テトラカルボン酸二無水物とイソシアネ−トを反応させる一段合成法、
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを反応させてイミド前駆体であるポリアミック酸を合成し、ポリアミック酸をイミド化する方法、
前記ポリアミック酸を合成し、これと脱水剤とを反応させてポリイソイミドを得て、このポリイソイミドを加熱する方法などがある。
ポリアミック酸をイミド化する方法も特に限定はなく、加熱により脱水する熱的環化法、脱水縮合剤とイミド化触媒を用いる化学的環化法等によりイミド化することができる。
以下に本発明に用いるポリイミドフィルムの製造方法を、芳香族ポリイミドフィルムの製造方法として例示するが、本発明はこれに制限されない。
本発明で用いる芳香族ポリイミドフィルムの製造方法としては、例えば、テンター法およびキャスト法が挙げられる。テンター法は、回転ドラムにポリアミド酸溶液を流延し、ポリアミド酸のゲルフィルムの状態で回転ドラムから剥離し、テンター炉で加熱・硬化させてポリイミドフィルムとする方法である。キャスト法は、任意の支持基材にポリアミド酸溶液を塗布し、熱処理して硬化させた後、支持基材からポリイミド樹脂層を剥離してポリイミドフィルムとする方法である。
次に、第2の重要な開示である、ポリアミドイミドフィルムの原料となるポリアミドイミド樹脂を説明する。
本発明においては、ポリイミドフィルムの片面、或いは、両面にポリアミドイミド樹脂を積層し、フィルム化する。
ポリアミドイミド樹脂は、基本的には、フィルム化するプロセスでの耐熱性に耐え、支持体から剥離できるものであれば特に限定はない。ポリアミドイミド樹脂は好ましくは、積層後、イミド化反応を伴わない溶剤可溶型のポリアミドイミド樹脂がよい。溶剤に不溶な場合、通常は前駆体であるポリアミド酸をポリイミドフィルムに塗布、乾燥後、ポリイミドフィルム上でイミド化反応させる必要が生じる。該反応は縮合反応となり、反応温度も高温となる為、加工性自体も乏しいが、樹脂層表面の表面平滑性が悪化する場合もある。その結果、溶剤可溶型に比べ、得られるフィルムの耐熱性、表面平滑性、及び透明性には不利となる。又、高温での熱処理は、概して、剥離性には不利となる。
酸成分としては、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4’−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,4’−トリカルボン酸、トリメリット酸などの一無水物、二無水物、エステル化物、或いはヘキサヒドロトリメリット酸など、上記モノマーの水素添加物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、ビフェニル−3,3’,4、4’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸、アルキレングリコールビス(トリメリテート)、ビスフェノールビス(トリメリテート)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン−2, 3, 6, 7−テトラカルボン酸、ナフタレン−1, 2, 4, 5−テトラカルボン酸、ナフタレン−1, 4, 5, 8−テトラカルボン酸、ピロメリット酸等の一無水物、二無水物、エステル化物、或いはヘキサヒドロピロメリット酸などの上記モノマーの水素添加物、イソフタル酸、テレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸のジカルボン酸成分、或いはシクロヘキサンジカルボン酸等、上記モノマーの水素添加物が単独、或いは、2種以上の混合物として用いることができる。
シクロへキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、
ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、
ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、
が、単独、或いは、2種以上の混合物を酸成分として用いることができる。
より好ましくは、
シクロへキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物、
ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物が、
単独、或いは、2種の混合物を酸成分として用いることができる。
また、ジアミン成分としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3, 4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノベンゾフエノン、3,3’−ジアミノベンゾフエノン、3, 4’−ジアミノベンゾフエノン、2, 6−トリレンジアミン、2, 4−トリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、P−キシレンジアミン、m−キシレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2, 2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、トランス−1, 4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン(トランス/シス混合物)、1,3−ジアミノシクロヘキサン、ジシクロへキシルメタン−4,4’―ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、イソホロンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕へプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕へプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロへキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルシクロへキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロへキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルシクロへキシルアミン)、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミンなどの単独、或いは、2種以上の混合物、或いは、これらに対応するジイソシアネートなどの単独、或いは、2種以上の混合物をジアミン成分として用いることができる。
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、ジシクロへキシルメタン−4,4’−ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミンなどの単独、或いは、2種以上の混合物、或いは、これらに対応するジイソシアネートなどの単独、或いは、2種以上の混合物をジアミン成分として用いることができる。
3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、ジシクロへキシルメタン−4,4’―ジアミン(トランス体、シス体、トランス/シス混合物)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4−メチル−1,3−フェニレンジアミンなどの単独、或いは、2種以上の混合物、或いは、これらに対応するジイソシアネートなどの単独、或いは、2種以上の混合物をジアミン成分として用いることができる。
上記酸成分、ジアミン成分の中でも、フィルム化するプロセスでの耐熱性、耐溶剤性、及び耐久性、並びに、製造されるポリアミドイミドフィルムの耐熱性、表面平滑性、及び透明性から、以下の成分が好ましく用いられる。
酸成分として、シクロへキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物を用いることができる。シクロへキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物を酸成分とするポリアミドイミド樹脂を用いることで、本発明の効果を奏する。
ジアミン成分として、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル及び4−メチル−1,3−フェニレンジアミンからなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種の化合物、
または、
3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル(o−トリジンジイソシアネート)、及び4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート(トリレンジイソシアネート)からなる群より選ばれた少なくとも1種又は2種の化合物を用いることができる。これらをジアミン成分とするポリアミドイミド樹脂を用いることで、本発明の効果を奏する。
本発明で用いるポリアミドイミド樹脂は、溶液状であっても良い。本発明で用いるポリアミドイミド樹脂溶液を製造するための溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N, N’−ジメチルホルムアミド、N, N’−ジメチルアセトアミド、1, 3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチルウレア、スルホラン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどを単独、または、混合溶媒として使用できる。好ましくは1, 3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチル−2−ピロリドン、N, N’−ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、またはこれらの組み合わせである。
たとえば、滑剤(シリカ、タルク、シリコーン等)、難燃剤(リン系やトリアジン系、水酸化アルミ等)、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤等)、メッキ活性化剤、有機や無機の充填剤(タルク、酸化チタン、フッ素系ポリマー微粒子、顔料、染料、炭化カルシウム等)、その他、シリコーン化合物、フッ素化合物、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂のような樹脂や有機化合物、或いはこれらの硬化剤、酸化珪素、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化鉄などの無機化合物をこの発明の目的を阻害しない範囲で併用することができる。滑剤は特にシリカが好ましく、平均粒径は特に制限されないが、0.08μm以上3μm以下のものが好ましい。また、シリカ添加量は特に制限されないが、0.1%以上1%以下が好ましく、特に好ましくは0.3%以上0.5%以下である。
次に、第3の重要な開示である、ポリイミドフィルムを支持体として用いて、ポリアミドイミド樹脂を原料としポリアミドイミドフィルムを製造するための詳細な各種条件について説明する。
又、必要に応じて、表面処理を施してもよい。例えば、加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
本発明により得られるポリアミドイミドフィルムは、従来のフィルムより、耐熱性、表面平滑性、及び透明性に優れる。
酸成分として、シクロへキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物を主成分、ジアミン成分として、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル(o−トリジンジイソシアネート)、4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート(トリレンジイソシアネート)を主成分とするポリアミドイミドフィルムである。
樹脂E
・酸成分
シクロへキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物:100モル%
・ジアミン成分
3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアネートビフェニル
(o−トリジンジイソシアネート):80モル%
4−メチル−1,3−フェニレンジイソシアネート
(トリレンジイソシアネート):20モル%
耐熱性は、ガラス転移点によって示されるが、得られるポリアミドイミドフィルムのガラス転移点は220℃以上350℃以下であった。
表面平滑性は算術平均表面粗さ(Ra)によって示されるが、得られるポリアミドイミドフィルムの算術平均表面粗さ(Ra)は両面とも0.5μm以下であった。さらに0.01μm以上0.3μm以下であり、0.05μm以上0.3μm以下であり、0.1μm以上0.3μm以下であった。算術平均表面粗さ(Ra)が0.5μm以下であれば、ポリアミドイミドフィルムの耐熱性、表面平滑性、及び透明性がよくなり、光学材料等への適用が特に容易である。
透明性や光学特性はヘイズ値によって示される。得られたポリアミドイミドフィルムのヘイズ値は、5.0以下となった。さらには、0.1以上4.0以下であった。
ポリイミドフィルムから、ポリアミドイミド樹脂を原料とするポリアミドイミドフィルムを剥離する場合の剥離性は、接着強度によって示される。得られるポリアミドイミドフィルムとポリイミドフィルムとの接着強度は、0.01N/cm以上1N/cm以下であり、さらには0.1N/cm以上0.5N/cm以下であった。従って、ポリイミドフィルムからポリアミドイミドフィルムを容易に剥離することができた。
ポリマー濃度が0.5g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解し、その溶液の溶液粘度及び溶媒粘度を30℃で、ウベローゼ型の粘度管により測定して、下記の式で計算した。
対数粘度(dl/g)=[In(V1/V2)]/V3
TMA(熱機械分析)(商品名「EXSTAR TMA/SS 6000」、セイコーインスツル(株)製)引張荷重法により、得られたフィルムについて以下の条件で測定した。なお、フィルムは、窒素中、昇温速度10℃/分で、一旦、250℃まで昇温し、その後室温まで冷却したフィルムについて測定を行った。熱膨張係数(CTE)は100℃から200℃までの平均値とした。
荷重:1g
サンプルサイズ:4(幅)×20(長さ)mm
昇温速度:10℃/分
雰囲気:窒素
JIS B 0601に従い、表面粗さ測定機 (商品名「HANDYSURF」、(株)東京精密社製)を用いて、算術平均表面粗さ(Ra)を測定した。
TGA装置(商品名「DTG―60」、(株)島津製作所製)を用い、得られたフィルムを、窒素気流中にて、室温から5℃/分にて350℃まで昇温した後の加熱重量減を測定し、その重量減少率を、重量減少は全て残溶媒が揮発したものと仮定して、残溶媒量(質量%)とした。
剥離性(接着強度)の測定は、次にように行った。
(1)ポリイミドフィルムに、ポリアミドイミド樹脂溶液を塗布、乾燥し、フィルム化した。このポリイミドフィルムとポリアミドイミドフィルムの複合体(縦150mm×横5mm)を、試験用サンプルとした。
(2)前記試験用サンプルの非フイルム面側の全面に、両面テープ(商品名「NW−K10」、ニチバン(株)製)を貼り付けた。
(3)前記試験用サンプルを、ステンレス板(SUS板)上に、前記試験用サンプルのフィルム面が上になるよう同両面テープを用いて貼りあわせた。
(4)ポリアミドイミドフィルムを、引張速度50mm/minの速度で、かつ90°の角度でポリイミドフィルムから剥離し、そのときの応力を接着力(N/cm)=接着強度とした。
(5)評価(表1の表示)
○:接着力が1N/cm以下
×:1N/cmを超える場合、及びはがれない場合
JIS K 7105に従い、分光光度計(商品名「UV−3150」、島津製作所(株)製)にて200nmから800nmの波長の光線透過率を測定し、400nmの光線透過率を比較した。
JIS K 7136に従い、ヘイズメーター(商品名「NDH2000」、日本電色工業(株)製)を用いて測定し、結果項目の一つであるHzの値をヘイズとした。測定温度は室温、ランプ種はD65で測定した。
反応容器に3,3−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.11g(100モル%)、p−フェニレンジアミン216.2g(100モル%)、N,N―ジメチルアセトアミド805gを加え、窒素気流下で5時間反応させた。得られたポリマーの対数粘度は、2.3dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は260ポイズであった。
反応容器に3,3−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.11g(100モル%)、p−フェニレンジアミン27.03g(50モル%)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル50.06g(50モル%)、N,N―ジメチルアセトアミド897gを加え、窒素気流下で5時間反応させた。得られたポリマーの対数粘度は、1.9dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は240ポイズであった。
反応容器に3,3−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.11g(100モル%)、p−フェニレンジアミン10.81g(20モル%)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル80.10g(80モル%)、N,N―ジメチルアセトアミド950gを加え、窒素気流下で5時間反応させた。得られたポリマーの対数粘度は、2.1dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は250ポイズであった。
反応容器に3,3−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物147.11g(100モル%)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル100.12g(100モル%)、N,N―ジメチルアセトアミド990gを加え、窒素気流下で5時間反応させた。得られたポリマーの対数粘度は、2.0dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は230ポイズであった。
反応容器にシクロへキサン−1,2,4−トリカルボン酸−1,2−無水物198.2g(100モル%)、o−トリジンジイソシアネート211.4g(80モル%)、トリレンジイソシアネート34.8g(20モル%)、トリエチレンジアミン2.2g、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン660gを加え、窒素気流下、150℃まで昇温し、150℃で5時間反応させた。次いで、γ―ブチロラクトン760g(ポリマー濃度20重量%)を加え、室温まで冷却した。得られたポリマーの対数粘度は、0.5dl/gであり、25℃での溶液粘度(B型粘度計にて10回転で測定)は250ポイズであった。
[実施例1]
合成例1で得られた樹脂溶液Aを、脱溶剤後の厚みが25μmになるように、PETフィルム上に塗布し、100℃で10分乾燥した。次いでPETからフィルムを剥離し、鉄枠に固定後、さらに250℃1時間、300℃1時間窒素下で加熱し、ポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの算術平均表面粗さ(Ra)は0.3μm以下であった。
次に得られたポリイミドフィルムに、合成例5で得られた樹脂溶液Eを脱溶剤後の厚みが25μmになるように塗布し、100℃10分、200℃30分、250℃30分、300℃1時間窒素下で加熱し、溶媒除去を行った。乾燥後にポリイミドフィルムから剥離して得られたポリアミドイミドフィルムの特性は表1に示すごときものであった。
合成例2で得られた樹脂溶液Bを、脱溶剤後の厚みが25μmになるように、PETフィルム上に塗布し、100℃で10分乾燥した。次いでPETからフィルムを剥離し、鉄枠に固定後、さらに250℃1時間、300℃1時間窒素下で加熱し、ポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムの算術平均表面粗さ(Ra)は0.3μm以下であった。
次に得られたポリイミドフィルムに、合成例5で得られた樹脂溶液Eを脱溶剤後の厚みが25μmになるように塗布し、100℃10分、200℃30分、250℃30分、300℃1時間窒素下で加熱し、溶媒除去を行った。乾燥後にポリイミドフィルムから剥離して得られたポリアミドイミドフィルムの特性は表1に示すごときものであった。
合成例3で得られた樹脂溶液Cを、脱溶剤後の厚みが25μmになるように、PETフィルム上に塗布し、100℃で10分乾燥した。次いでPETからフィルムを剥離し、鉄枠に固定後、さらに250℃1時間、300℃1時間窒素下で加熱し、ポリイミドフィルムを得た。
次に得られたポリイミドフィルムに、合成例5で得られた樹脂溶液Eを脱溶剤後の厚みが25μmになるように塗布し、100℃10分、200℃30分、250℃30分、300℃1時間窒素下で加熱し、溶媒除去を行った。乾燥後にポリイミドフィルムから剥離して得られたポリアミドイミドフィルムの特性は表1に示すごときものであった。なお、表1において、「×」は剥離不可能であったこと、また、「−」は剥離不可能のため測定できなかったことを意味する。
合成例4で得られた樹脂溶液Dを、脱溶剤後の厚みが25μmになるように、PETフィルム上に塗布し、100℃で10分乾燥した。次いでPETからフィルムを剥離し、鉄枠に固定後、さらに250℃1時間、300℃1時間窒素下で加熱し、ポリイミドフィルムを得た。
次に得られたポリイミドフィルムに、合成例5で得られた樹脂溶液Eを脱溶剤後の厚みが25μmになるように塗布し、100℃10分、200℃30分、250℃30分、300℃1時間窒素下で加熱し、溶媒除去を行った。乾燥後にポリイミドフィルムから剥離して得られたポリアミドイミドフィルムの特性は表1に示すごときものであった。なお、表1において、「×」は剥離不可能であったこと、また、「−」は剥離不可能のため測定できなかったことを意味する。
Claims (9)
- 少なくとも以下の(1)及び(2)の工程を含むことを特徴とする算術平均表面粗さ(Ra)が0.5μm以下のポリアミドイミドフィルムの製造方法;
(1)ジアミン成分としてp−フェニレンジアミンを20モル%を超える濃度で含有するポリイミドフィルム上に、ポリアミドイミド樹脂の溶液を塗布し、乾燥し、フィルム化する工程;
(2)ポリアミドイミド樹脂より形成されたフィルムをポリイミドフィルムから剥離する工程。 - ポリイミドフィルムが、以下の一般式(1)の構造を構成単位として含むことを特徴とする請求項1に記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
- ポリアミドイミド樹脂が下記一般式(2)を構成単位として含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
- ポリアミドイミド樹脂が以下の一般式(3)の構造を構成単位として含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
- ポリアミドイミド樹脂の溶液の溶剤が、1, 3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとγ−ブチロラクトンとを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
- 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンとγ―ブチロラクトンとの混合比率が30〜70/70〜30であることを特徴とする請求項5に記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
- ポリイミドフィルムの算術平均表面粗さ(Ra)が0.5μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミドイミドフィルムの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の方法により製造されたポリアミドイミドフィルム。
- 請求項8に記載のポリアミドイミドフィルムを用いたフレキシブル金属張積層体。
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