JP2020111713A - ポリイミドワニス及びポリイミドフィルム、並びにこれらの製造方法 - Google Patents

ポリイミドワニス及びポリイミドフィルム、並びにこれらの製造方法 Download PDF

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Ryuichi Ito
隆一 伊藤
俊明 長澤
Toshiaki Nagasawa
俊明 長澤
布士人 山口
Fujito Yamaguchi
布士人 山口
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Abstract

【課題】改善された製膜性を有する、透明なポリイミドワニスを提供すること。【解決手段】(a)ポリイミド、と(b)2種以上の溶媒を含む混合溶媒、を含む、ポリイミドワニスであって、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhであらわされる各パラメータにおいて、上記ポリイミドと上記混合溶媒の分散項と水素結合項が、下記数式1:{数式1中、δdPIは、上記ポリイミドの分散項であり、δhPIは、上記ポリイミドの水素結合項であり、δdsolvは、上記混合溶媒の分散項であり、そしてδhsolvは、上記混合溶媒の水素結合項である。}を満たす、ポリイミドワニス。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリイミドワニス及びポリイミドフィルム、並びにこれらの製造方法等に関する。
近年、フレキシブルディスプレイなどの折り曲げ可能なフレキシブルデバイスや、有機EL照明又は有機ELディスプレイなどの曲面を有する曲面デバイスの開発が進められている。このようなデバイスにおいては、高分子材料からなる折り曲げ可能なフィルム(プラスチックフィルム)を、表面保護層、カラーフィルター、タッチパネル、薄膜トランジスタ(TFT)などを形成する基板として用いることが検討されている。
プラスチックフィルムの中でも、ポリイミドフィルムは、耐熱性、耐薬品性等に特に優れることから、前述の分野における基板材料として期待されている。
芳香族ポリイミドは、イミド環の窒素近傍のジアミンに由来する部位とイミド環のカルボニル基近傍の酸無水物に由来する部位との間の電荷移動錯体(CT錯体)によって着色しており、光学用途には使い難い。また、芳香族ポリイミドは、汎用の有機溶媒に溶け難く加工性に劣り、適用範囲が限定されている。そのため、特に前述の分野において、無色透明であり、かつ有機溶媒への溶解性が高い、ポリイミドが望まれている。
特許文献1は、無色透明で有機溶媒への溶解性が高く、かつ高温でも着色しにくいポリイミドを提供することを目的としている。特許文献1は、ポリイミド前駆体として、芳香族ジアミンと、テトラカルボン酸二無水物とから合成されるポリイミド前駆体を含有するポリアミド酸ワニスを基板上に塗布した後、熱イミド化することによって、ポリイミドフィルムを得ることを記載している。
また、特許文献2は、溶媒への溶解性が良好で、加工性に優れるポリイミドを含有し、無色透明であり、靱性に優れるポリイミドフィルム等を提供することを目的としている。特許文献2は、芳香族ジアミンと、テトラカルボン酸二無水物とから合成されるポリイミドを含有するポリイミドワニスを基板上に塗布した後、溶媒を乾燥することによってポリイミドフィルムを得ることを記載している。
特開2012−72118号公報 国際公開第2016/158825号
しかしながら、ポリイミドワニス(単に「ワニス」ともいう。)を塗布しフィルムを作製する際に、フィルムを作製する工程をできるだけ短時間に行い生産性を高めるため、ポリイミドワニスの溶媒には速乾燥性が求められている。具体的には、溶媒は、低沸点と高い蒸気圧を有することが求められている。
ポリイミド前駆体であるポリアミド酸は、溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジメチルホルムアミド等へ溶解することが確認されている。しかしながら、これらの溶媒は、いずれも150℃以上の沸点を有する為、溶媒の乾燥時間を充分に短縮することができなかった。
したがって、本発明の目的の一つは、速乾燥性を有し、したがって改善された製膜性を有する、透明なポリイミドワニスを提供することである。
本願発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ポリイミド及び2種以上の溶媒を含むポリイミドワニスであって、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhであらわされる各パラメータが特定の数式を満たすポリイミド及び溶媒組成を用いることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。本発明の実施形態の例を以下の項目[1]〜[19]に列記する。
[1]
(a)ポリイミド、と
(b)2種以上の溶媒を含む混合溶媒、を含む、ポリイミドワニスであって、
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhであらわされる各パラメータにおいて、上記ポリイミドと上記混合溶媒の分散項と水素結合項が、下記数式1:
Figure 2020111713
{数式1中、δdPIは、上記ポリイミドの分散項であり、δhPIは、上記ポリイミドの水素結合項であり、δdsolvは、上記混合溶媒の分散項であり、そしてδhsolvは、上記混合溶媒の水素結合項である。}
を満たす、ポリイミドワニス。
[2]
上記ポリイミドワニスのポリイミド濃度を20質量%とし、光路長10mm及び波長450nmで測定した場合に、上記ポリイミドワニスの光透過率が55%以上である、項目1に記載のポリイミドワニス。
[3]
上記混合溶媒の分散項(δdsolv)、双極子項(δpsolv)及び水素結合項(δhsolv)が、下記:
分散項(δdsolv)≧16.8
双極子項(δpsolv)≧11.5
水素結合項(δhsolv)≧6.2
を満たし、かつ
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)が22.5以上26.7以下である、項目1又は2に記載のポリイミドワニス。
[4]
上記(b)混合溶媒が、(b1)環状エステル及び(b2)環状ケトンを含む、項目1〜3のいずれか一項に記載のポリイミドワニス。
[5]
上記(b1)環状エステル及び上記(b2)環状ケトンの合計質量に基づいて、上記(b1)環状エステルの量が20質量%以上90質量%以下である、項目4に記載のポリイミドワニス。
[6]
上記(b1)環状エステルが、γ−ブチロラクトンである、項目5に記載のポリイミドワニス。
[7]
上記(a)ポリイミドが、下記式(B1)で表される2価の有機基を含む、項目1〜6のいずれか一項に記載のポリイミドワニス。
Figure 2020111713
[8]
上記(a)ポリイミドが、下記式(B2)で表される2価の有機基を更に含む、項目7に記載のポリイミドワニス。
Figure 2020111713
[9]
上記(a)ポリイミドが、下記式(A6)で表される4価の有機基を更に含む、項目7又は8に記載のポリイミドワニス。
Figure 2020111713
[10]
上記(a)ポリイミドが、下記式(A1)で表される4価の有機基、並びに下記式(B3)及び(B4)で表される2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、項目1〜6のいずれか一項に記載のポリイミドワニス。
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
[11]
上記(a)ポリイミドが、下記式(A2)、(A3)及び(A4)で表される4価の有機基、並びに下記式(B5)で表される2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、項目1〜6のいずれか一項に記載のポリイミドワニス。
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
[12]
項目1〜11のいずれか一項に記載のポリイミドワニスを、基材にキャストする工程と、
キャストした上記ポリイミドワニスを乾燥して、自立フィルム形成する工程と、
上記自立フィルムを上記基材から剥離して更に加熱をする工程と、
を含む、ポリイミドフィルムの製造方法。
[13]
項目1〜11のいずれか一項に記載のポリイミドワニスを乾燥させた、ポリイミドフィルム。
[14]
ポリイミド100質量部を基準として5質量部以上40質量部以下の溶媒を含有し、
上記溶媒が、(b1)環状エステル及び(b2)環状ケトンを含む、項目13に記載のポリイミドフィルム。
[15]
上記(b1)環状エステルがγ−ブチロラクトンであり、上記(b2)環状ケトンが、シクロペンタノンである、項目14に記載のポリイミドフィルム。
[16]
項目1〜11のいずれか一項に記載のワニスを乾燥させたポリイミドフィルムを有する、発光デバイス。
[17]
項目1〜11のいずれか一項に記載のワニスを乾燥させたポリイミドフィルムを有する、曲面ディスプレイ。
[18]
項目1〜11のいずれか一項に記載のワニスを乾燥させたポリイミドフィルムを有する、フォルダブルディスプレイ。
[19]
2種以上の溶媒を含む混合溶媒中に、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶解して、上記混合溶媒中にポリイミドを生成することを含む、ポリイミドワニスの製造方法であって、
上記2種以上の溶媒は、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhであらわされる各パラメータにおいて、上記ポリイミドと上記混合溶媒の分散項と水素結合項が、下記数式1:
Figure 2020111713
{数式1中、δdPIは、上記ポリイミドの分散項であり、δhPIは、上記ポリイミドの水素結合項であり、δdsolvは、上記混合溶媒の分散項であり、そしてδhsolvは、上記混合溶媒の水素結合項である。}を満たすように選択する、
ポリイミドワニスの製造方法。
本発明によれば、改善された製膜性を有する、透明なポリイミドワニスを提供することができる。本発明のポリイミドワニスは、透明性が高く、かつ屈曲耐性を有するポリイミドフィルムを効率的に製造することができる。
なお、上述の記載は、本発明の全ての実施形態及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。本願明細書において、各数値範囲の上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
《ポリイミドワニス》
〈(a):ポリイミド〉
本実施形態のポリイミドワニスは、(a)ポリイミドを含む。ポリイミドはワニス保管中の分子量の低下を抑制できる観点から好ましい。
本願明細書において「ポリアミド酸」とは、イミド化率が20%未満であるポリマー、即ち繰り返し単位の80%以上が下記式(P1)であるポリマーを意味する。
本実施形態において「ポリイミド」とは、イミド化率が20%以上であるポリマー、即ち繰り返し単位の20%以上が下記式(P2)であるポリマーを意味する。ポリイミドにおけるイミド化率は、ワニス保管中の分子量低下を抑制できる観点から、40%以上が好ましく、60%以上が更に好ましく、80%以上100%以下が更に好ましい。
Figure 2020111713
(式(P1)中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、nは正の整数である。)
Figure 2020111713
(式(P2)中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、nは正の整数である。)
本実施形態のポリイミドは従来公知の方法で、テトラカルボン酸二無水物(Aと表記)とジアミン(Bと表記)とを原料として合成することができる。
本実施形態において、イミド化率は、イミド化中にアミド酸が閉環しイミドとなる際に発生する水の量から、下記式により計算される。水のモル数を、仕込みのAあるいはBの何れか少ない方のモル数を2倍した数値で割った値に100を掛けた数をイミド化率(%)とする。
イミド化率(%)=発生する水(モル)/[AあるいはBの何れか少ない方(モル)×2]×100
イミド化で発生する水の量は、合成溶媒に水と共沸するトルエンなどの炭化水素系溶媒を添加した場合は、還流時の回収成分から水層を分離し、重さを測定する。また、例えば、回収成分が分離しない場合は、回収成分中の水の量をカールフィッシャー水分計で測定する。
本実施形態において、ポリイミドとしては、特に制限はないが、ポリイミドフィルムとした際の透明性を高めるという観点から、4価の有機基Xが、下記式(A1)〜(A7)で表される4価の有機基から選択される少なくとも一つを含むことが好ましい。
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
ポリイミド中の2価の有機基Yは、下記式(B1)〜(B5)で表される2価の有機基のうち少なくとも一つを含んでいてよい。ポリイミド中の(B1)〜(B5)で表される2価の有機基は、Xの構造中に存在してもよい。例えば(A7)で表される有機基がポリイミド中にある場合は、(B1)及び/又は(B2)の2価の有機基を有機基X中に含んでいてもよい。
フィルムとした際の透明性を高めるという観点から、2価の有機基Yは、下記式(B1)〜(B5)で表される2価の有機基のうち少なくとも一つを含むことが好ましい。
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
(B1)〜(B5)で表される2価の有機基のなかでも、本実施形態におけるポリイミドは、溶解性とフィルムの透明性を高めるという観点から、以下のポリイミドが好ましい。
例えば、(P2)中の2価の有機基Yが下記式(B1)を有することが好ましい。このポリイミドの繰り返し単位は、下記式(P2−B1)で表すことができる。
Figure 2020111713
(P2)中の2価の有機基Yは、下記式(B2)を有することもまた好ましい。このポリイミドの繰り返し単位は、下記式(P2−B2)で表すことができる。
(P2−B1)で表される繰り返し単位を含むポリイミドは、2価の有機基Yが、上記式(B1)の他にも下記式(B2)を更に有することが好ましい。(B1)及び(B2)を有するポリイミドは、(P2−B1)と(P2−B2)とのコポリマーである。
Figure 2020111713
(P2−B1)と(P2−B2)のコポリマーは、溶解性を高める観点から、4価の有機基Xが、(A6)で表される4価の有機基を有することが更に好ましい。このポリイミドは、繰り返し単位(P2−A6/B1)と(P2−A6/B2)のコポリマーである。
Figure 2020111713
Figure 2020111713
(P2)中に、(A1)で表される4価の有機基、(B3)、(B4)で表される2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。これらのポリイミドの繰り返し単位は、それぞれ、下記式(P2−A1)、(P2−B3)、及び(P2−B4)で表すことができる。
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
理論に拘束されることを望まないが、本実施形態におけるポリイミドが、式(A1)又は(B1)〜(B4)で表される構造を有することにより、スルホニル基又はフルオロアルキル基などの立体障害基がポリイミドのCT(Charge Transfer)錯体形成を抑制して、透明性を確保し易くなることが考えられる。
本実施形態におけるポリイミドは、フィルムの透明性を確保するという観点から、式(A2)、(A3)、(A4)で表される4価の有機基、式(B5)で表される2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。これらのポリイミドの繰り返し単位は、それぞれ、例えば、下記式(P2−A2)、(P2−A3)、(P2−A4)、(P2−B5−1)、(P2−B5−2)で表すことができる。
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
Figure 2020111713
理論に拘束されることを望まないが、ポリイミドが、脂環式の式(A2)〜(A4)又は(B5)で表される構造を有することにより、芳香族のπ電子が減る為、ポリイミドのCT(Charge Transfer)錯体形成を抑制して、透明性を確保し易くなることが考えられる。
本実施形態のポリイミドは、従来公知の方法で、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを原料として合成することができる。
本実施形態のポリイミドは、従来公知の化合物を用いることができる。ポリイミドの原料として、例えば、以下に示すA成分とB成分を用いることができる。その場合、Xは式(A1)〜(A6)で表される四価の有機基に相当し酸二無水物に由来する。またYは式(B1)〜(B5)で表される二価の有機基に相当しジアミンに由来する。
(A)テトラカルボン酸二無水物
例えば、式(A1)で表される四価の有機基は、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(略称:6FDA)に由来し、式(A2)で表される四価の有機基は、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(略称:HPMDA)に由来し、式(A3)で表される四価の有機基は、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(略称:BTA)に由来し、式(A4)で表される四価の有機基は、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(略称:NBDAn)に由来し、式(A5)で表される四価の有機基は1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン(以下、TDAともいう)に由来し、式(A6)で表される四価の有機基は、4,4’−オキシジフタル酸無水物(略称:ODPA)に由来する。
これら以外に、以下のテトラカルボン酸二無水物を併用してもよい。例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタントリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、等が挙げられる。
(B)ジアミン
例えば、式(B1)で表される二価の有機基は、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(略称:3DAS)に由来し、式(B2)で表される二価の有機基は、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(略称:4DAS)に由来し、式(B3)で表される二価の有機基は、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(略称:TFMBまたはTFDB)に由来し、式(B4)で表される二価の有機基は、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(略称:6FDAm)由来し、式(B5)で表される二価の有機基は、1,4−シクロヘキサンジアミン(trans体、cis体、又はcis−,trans−混合体)(略称:CHDA)または、1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン(trans体、cis体、又はcis−,trans−混合体)(略称:14BAC)に由来する。
これら以外に以下のジアミンを併用してもよい。例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,5−ジアミノキシレン、2,5−ジアミノデュレン、2,5−ジヒドロキシ−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノビフェニル、o−トリジン、m−トリジン、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキサン、3,3’−ジアミノジシクロヘキサン、5−アミノ−2−(4−アミノフェニル)−ベンゾイミダゾール(略称:ABI)、4,4’−ジアミノベンズアニリド(略称:DABA)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(略称:BAPB)、α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(略称:BADB)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
ポリイミドの分子量
ポリイミドの分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量(以下Mnとも表記)として、15,000以上100,000未満である。ワニス溶媒への溶解性とフィルムにした際のフィルムの靭性の観点から、好ましくは20,000以上50,000未満が好ましい。
ポリイミドのMnを15,000以上100,000未満に調整するためには、(P1)、(P2)中のnは、繰り返し単位の分子量にもよるが、20以上200未満が好ましく、40以上100未満がより好ましい。
ポリイミドの数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、重量平均分子量(以下Mwとも表記)と併せて測定することができる。GPCの測定方法は、展開溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミドを用い、測定中のポリマー同士の会合を抑制する為、展開溶媒に24.8mol/Lの臭化リチウム一水和物及び63.2mol/Lのリン酸を加える。数平均分子量(Mn)、及び重量平均分子量(Mw)を算出するための検量線は、本願明細書においては、スタンダードポリスチレン(Agilent Technologies社製/商品番号EasiCal PS−1)を用いて作製した。
ポリイミドのMnを調整することにより、ワニスの粘度を製膜しやすい範囲に調整することができる。ワニスの粘度を3,000mPa・s以上300,000mPa・s以下の範囲内に制御することによって、液だれ、オレンジピール、発泡などの現象を抑制して、表面平滑な透明フィルムを得ることができる。ワニス粘度は、23℃でE型粘度計により測定する。塗工に適する粘度の観点からも、ポリイミドの数平均分子量(Mn)は、20,000以上50,000未満が好ましい。
ワニスの粘度は重量平均分子量(Mw)の相関性が高い為、好ましいMwとしては、40,000以上100,000未満である。
〈(b):溶媒〉
本実施形態のポリイミドワニスは、(b)2種以上の溶媒を含む混合溶媒を含む。(b)混合溶媒として、ポリイミドを溶解することができる既知の溶媒を2種以上使用してよい。溶媒としては、アミド系溶媒、環状エステル、エステル基、エーテル基、ケトン基、水酸基、スルホン基及びスルフィニル基を含む溶媒等があげられる。
アミド系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)などが挙げられる。
環状エステルとしてはラクトン系溶媒、例えば、γ−ブチロラクトン(略称、GBL)、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−クロトノラクトン、γ−ヘキサノラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、δ−ヘキサノラクトンなどが挙げられる。
エステル基を有する溶媒としては、エステル系溶媒、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、炭酸ジメチルなどが挙げられる。
ケトン基を有する溶媒としては、ケトン系溶媒、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどが挙げられる。
水酸基を有する溶媒としては、フェノール系溶媒、例えば、m−クレゾールなどが挙げられる。
スルホン基を有する溶媒としては、メチルスルホン、エチルフェニルスルホン、ジエチルスルホン、ジフェニルスルホン、スルホラン、ビスフェノールS、ソラプソン、ダプソン、ビスフェノールAポリスルホン、スルホランなどが挙げられる。
スルフィニル基を有する溶媒としては、スルホキシド系溶媒、例えば、N,N−ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。
これらのうち、ポリイミドフィルムの黄変の抑制、約220℃以下の比較的低温でのイミド化、空気中でのイミド化などの観点から、環状エステル溶媒が好ましく、なかでも空気中での製膜でも黄変が抑制できるγ−ブチロラクトン(略称、GBL)が好ましい。
本実施形態のワニスは、溶解性の高い溶媒に、蒸気圧の高い低沸点溶媒を組み合わせて使用する。溶解性の高い溶媒としては、環状エステル、アミド系溶媒があげられる。例えば、γ−ブチロラクトン(略称、GBL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、である。
低沸点溶媒としては沸点が160℃以下で、且つ溶解性を保持できる、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン、クロロホルム、などが挙げられる。なかでもポリイミドの溶解性観点から環状ケトンが好ましく、なかでもシクロヘキサノン、シクロペンタノン、が特に好ましい。
溶解性の高い溶媒と低沸点溶媒の組み合わせとしては、例えば環状エステルと環状ケトンの組合せが好ましく、なかでもγ−ブチロラクトン(略称、GBL)とシクロヘキサノンの組合せが、ワニスの粘度、ポリイミドの溶解性の観点から好ましい。
(b1)環状エステル及び(b2)環状ケトンの合計質量に基づいて、(b1)環状エステルの量が20質量%以上90質量%以下であることが、フィルムにする際の乾燥の容易さの観点から更に好ましい。
〈溶解度パラメータ〉
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)と分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhは、ハンセン溶解度パラメータを計算するソフトウエア、HSPiP(Hansen Solubility Parameter in Practice)(HSP Science社製)を用いて算出できる。
混合溶媒のパラメータは、各溶媒の体積比率から、以下の計算式にて計算した。
Figure 2020111713
{式中、δdsolvは混合溶媒の分散項であり、δdsolv1は溶媒1の分散項であり、δdsolv2は溶媒2の分散項であり、δhsolvは混合溶媒の水素結合項であり、δhsolv1は溶媒1の水素結合項であり、δhsolv2は溶媒2の水素結合項であり、δpsolvは混合溶媒の双極子項であり、δpsolv1は溶媒1の双極子項であり、δpsolv2は溶媒2の双極子項であり、Vは溶媒1の体積分率であり、Vは溶媒2の体積分率である。}
従来、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp、及び水素結合項δhを3次元空間にプロットすると、溶解する高分子と溶媒は互いに近い空間にあることはよく知られている。
本発明者らは鋭意検討の結果、本実施形態におけるポリイミドと溶媒においては、驚くべきことにハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhの3つのうち、分散項δd及び水素結合項δhの2つが特定の距離内にあると、溶解性が良好であるとともに、速乾燥性を有し、改善された製膜性を有するポリイミドワニスが得られることを見出した。
特定の距離内であることは、具体的には下記数式1で表すことができ、その値は8.5以下である。更に好ましくは、下記数式2で表すことができ、その値は4.7以下である。
Figure 2020111713
{数式1及び2中、δdPIはポリイミドの分散項であり、δhPIはポリイミドの水素結合項であり、δdsolvは混合溶媒の分散項であり、δhsolvは混合溶媒の水素結合項である。}
このとき、分散項δd及び水素結合項δhの2つが特定の距離内であれば、双極子項δpの値は互いに乖離していてもよい。このことは、本実施形態におけるポリイミドと混合溶媒との関係が、従来のハンセンパラメータが類似であれば溶解するという思想のみでは説明できないことを示している。
例えば、双極子項δpの値は、下記数式3で表される程度に、互いに乖離していてもよい。
Figure 2020111713
{数式3中、δpPIはポリイミドの双極子項であり、δpsolvは混合溶媒の双極子項である。}
混合溶媒の双極子項(δpsolv)とポリイミドの双極子項(δpPI)の差の絶対値(|δpsolv−δpPI|)は、例えば0.4以上、1.0以上、2.0以上、5.0以上、8.0以上、又は10.0以上であってもよい。
更に驚くべきことに、本実施形態の(b)混合溶媒は、分散項(δdsolv)、双極子項(δpsolv)及び水素結合項(δhsolv)が、下記:
分散項(δdsolv)≧16.8
双極子項(δpsolv)≧11.5
水素結合項(δhsolv)≧6.2
を満たし、かつ、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)が22.5以上26.7以下であることが好ましい。これによって、溶解性がより良好であるとともに、より改善された速乾燥性及び製膜性を有するポリイミドワニスが得られる傾向にある。
〈ポリイミドワニスの製造方法〉
本実施形態に係るポリイミドワニスの製造方法は、(b)2種以上の溶媒を含む混合溶媒中に、上記で説明したジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶解して、(b)混合溶媒中に(a)ポリイミドを生成することを含む。このとき、2種以上の溶媒は、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhであらわされる各パラメータにおいて、ポリイミドと混合溶媒の分散項と水素結合項が、下記数式1:
Figure 2020111713
{数式1中、δdPIはポリイミドの分散項であり、δhPIはポリイミドの水素結合項であり、δdsolvは混合溶媒の分散項であり、そしてδhsolvは混合溶媒の水素結合項である。}を満たすように選択する。
〈ポリイミドワニスの光透過率〉
本実施形態のワニスの光透過率は、55%以上である。本願明細書において、ワニスの「光透過率」とは、ポリイミド濃度20質量%、光路長10mm(1.0cm)、波長450nmで測定した場合の光透過率である。より詳細には、紫外可視吸収スペクトル測定において、溶媒として波長450nmの光透過率が90%以上の溶媒を用い、ワニスのポリイミド濃度を20質量%に調整し、光路長を10mm(1.0cm)とし、測定温度23℃で測定する。波長450nmの光透過率が90%以上の溶媒は特に制限はないが、γ−ブチロラクトン(略称、GBL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、シクロヘキサノン、及びシクロペンタノン等を用いることができる。ワニスを希釈して固形分濃度を20質量%に調整する場合は、ワニスを構成する溶媒を含んでいてもよい。ワニスを濃縮して固形分濃度を20質量%に調整する場合はワニスを構成する溶媒をそのまま用いてもよい。
波長450nmにおける光透過率が55%以上であるワニスから得られるポリイミドフィルムは、黄色度(イエローネスインデックス、以下YIとも表記)が低い傾向にある。
理論に拘束されることを望まないが、溶媒、又はポリイミドの一次構造に由来する吸光は、主に300nm以下の波長域に見られる。そのことを考慮すると、フィルムの透明性を低下させる可視光領域の吸収は、ポリイミドの励起子相互作用による吸収波長のレッドシフト、ポリイミドのCT(Charge Transfer)錯体形成による高次構造に由来するもの、または副反応や不純物による黄変成分に由来することが推測される。即ち、製膜後の着色の主要な原因は、溶媒で希釈されているワニスの状態で潜在化していると考えられる。その為、波長450nmでのワニスの光透過率が55%未満となると、フィルムの黄色度(イエローネスインデックス、以下YIとも表記)が悪化すると考えられる。
ワニスの波長450nmにおける光透過率は、高いほど好ましく、例えば、55%以上が好ましく、60%以上が更に好ましい。
ワニスの波長450nmにおける光透過率の上限は、特に限定されるものではないが、100%以下であり、99%以下であってもよく、98%以下であってもよく、95%以下であってもよく、又は90%以下であってもよい。
〈ポリイミドフィルム〉
本実施形態のポリイミドフィルムは、本実施形態のワニスを乾燥させた、ポリイミドフィルムである。本実施形態のポリイミドフィルムは、無色透明なフィルムであることが好ましい。本願明細書において「無色透明なフィルム」とは、フィルムの波長450nmにおける光透過率が80%以上であり、ヘイズが2以下であり、黄色度(YI)が、5.0以下のフィルムをいう。従って、本実施形態のポリイミドフィルムは、タッチパネル、及びディスプレイなどの光学用途に好適に用いることができる。
本実施形態に係るポリイミドフィルムは、例えば、支持体の表面上に形成されたポリイミドフィルムでもよく、又は支持体がなくても支持性のあるフィルム(自立フィルム)でもよい。フィルムは、ロールフィルムとして加工プロセスに適用させる観点から自立フィルムであることが好ましい。本実施形態に係るポリイミドフィルムは、PETフィルム又はCOPフィルムと同様にガラスの代替品として用いることができ、更には折り畳み式の表示体又は曲面に追従した表示体に用いることができる。
本実施形態に係るポリイミドフィルムの黄色度(YI)は、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.0以下である。その場合、またポリイミドフィルムのヘイズ(Haze)は、2以下であること好ましく、更に好ましくは1以下である。
本実施形態では、ポリイミドフィルムは、ポリイミドを主成分として含むフィルムである。本明細書において、フィルムが「ポリイミドを主成分として含む」とは、フィルムの全質量を基準として、ポリイミドを50質量%以上含むことを意味する。ポリイミドフィルムは、フィルムの全質量を基準として、ポリイミドを好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上含む。
ポリイミドフィルムの膜厚は、1μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、フィルムの取り扱いと柔軟性の両立の観点から20μm〜50μmの範囲内であることがより好ましい。
本実施形態のポリイミドフィルムは、ポリイミド100質量部を基準として、5質量部以上40質量部以下の溶媒を含有することが好ましい。ポリイミドフィルムに含まれる溶媒として、上記〈(b):溶媒〉の欄に説明した溶媒を用いることができる。溶媒は、好ましくは、(b1)環状エステル及び(b2)環状ケトンを含み、より好ましくは、(b1)環状エステルはγ−ブチロラクトンであり、(b2)環状ケトンはシクロペンタノンである。ポリイミドフィルム中にポリイミド100重量部を基準として、γ−ブチロラクトンが0.01重量部以上10重量部以下で含まれることが好ましい。γ−ブチロラクトンの含有量は、フィルムの黄変を抑制し、無色透明なフィルムを得るという観点から、0.01重量部以上であり、フィルムのロール又は表面べたつきによるスタッキングを抑制するという観点から、10重量部以下である。ポリイミドフィルム中のγ−ブチロラクトンは、本実施形態に係るワニスの(b)溶媒に由来することができる。
本実施形態のワニスは、任意に添加剤を含む。添加剤は、例えば、フィルムの塗工性を改善する為のレベリング剤、分散剤又は界面活性剤、フィルムの支持体からの剥離性若しくは接着性を調整する為の界面活性剤又は密着助剤、フィルムに難燃性を付与する為の難燃剤、炭酸ストロンチウム等のシリカ以外の無機粒子、ポリスチレン、ポリビニルナフタレン、ポリメチルメタクリレート、セルローストリアセテート、フルオレン誘導体等の有機化合物、酸化防止剤、紫外線防止剤、光安定剤、可塑剤、ワックス類、充填剤、顔料、染料、発泡剤、消泡剤、脱水剤、帯電防止剤、抗菌剤、防カビ剤などがよい。また、ポリイミドフィルムはシリカ粒子及び/又は添加剤を含んでよい。
レベリング剤としては、例えば、エチレンオキシドとポリジメチルシロキサンのコポリマーがフィルムの透明性の観点より好ましい。
添加剤として、例えば可塑化効果と難燃効果を有するリン酸エステル系化合物のように、一種の添加剤が複数の用途として用いられることがある。用途は限定しないが化合物の構造としては、例えば、ホスファイト系化合物、フェノール系化合物、チオエーテル系化合物、ヒドラジン系化合物、アミド系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、イソシアヌル酸系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、リン酸エステル系化合物、ホスファゼン系化合物、ウレタン系化合物、アクリル系化合物、メタクリル系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、などを添加してもよい。
また、本実施形態のポリイミドワニスは、ワニスの粘度を安定化する目的で、1価の1級アミン、1価のアルコール、イソシアネート、酸二無水物、及びジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも一つの化合物を含有することが好ましい。これらの化合物の量は、(a)ポリイミドの質量に対して、100ppm以上4,000ppm以下であることが好ましく、ワニスの保存安定性と製膜後のフィルムの強度を両立する観点から、500ppm以上2,000ppm以下であることが更に好ましい。添加剤としては、1価の1級アミンの中でも可視光に吸収がなくワニスの着色を抑制できる観点から、アニリン、ベンジルアミン、及びシクロヘキシルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
なお、ワニスに添加された添加剤は、ポリイミドフィルムに残留してもよい。
〈ポリイミドフィルムの製造方法〉
本実施形態に係るポリイミドフィルムの製造方法は、
本実施形態のワニスを、基材にキャストする工程と、
キャストした上記ワニスを乾燥して、自立フィルムを形成する工程と、
上記自立フィルムを支持体上から剥離して更に加熱する工程と、
を含むことができる。
キャストする工程は、フィルムの用途に応じて、各種の塗工装置を用いて行われることができ、例えば、スピンコート、スリットコート、カンマコート、ダイコート及びブレードコートなどの公知の塗工方法を用いてよい。
使用される支持体としては、例えば、硬質基板、金属ドラム、金属エンドレスベルト、プラスチックフィルム基板、金属箔、フレキシブルガラスが挙げられる。
硬質基板としては、アルカリガラス基板、及び無アルカリガラス基板(Eagle XG(登録商標)、コーニング社製)等のガラス基板、並びに銅基板、アルミ基板、及びSUS基板等の金属基板などが挙げられる。
プラスチックフィルム基板としては、Upilex(登録商標)フィルム(宇部興産製)、Kapton(登録商標)フィルム(東レ・デュポン製)、ポリカーボネートフィルム、PENフィルム、及びPETフィルム等が挙げられる。
金属箔としては、銅箔、アルミ箔、及びSUS箔等が挙げられる。
キャストしたワニスを乾燥する工程は、一次乾燥と二次乾燥に分けて行うことができる。一次乾燥と二次乾燥の間に、自立フィルムを支持体上から剥離して、自立フィルムを得ることができる。剥離した自立フィルムは、二次乾燥として更に加熱することができる。
一次乾燥では、例えば50〜150℃の温度で、ポリイミドを含むワニスから溶媒を乾燥させて、べとつきのない自立性のあるフィルム(自立フィルム)を形成する。その際の自立フィルム中の溶媒の量は、ポリイミド100重量部を基準として好ましくは5%から40%であり、より好ましくは10%から20%である。
自立フィルムを得た後、自立フィルムは支持体上から剥離することができる。剥離した自立フィルムを、ピンテンター、クリップテンターなどにより搬送し、二次乾燥として更に加熱して溶媒を乾燥させ、ポリイミドフィルムを得ることができる。最終的に得られるポリイミドフィルム中の溶媒の量は、好ましくは0.01%から10%であり、より好ましくは0.1%から5%である。
理論に拘束されることを望まないが、乾燥工程を窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うと、ワニスに含まれる(b)溶媒の種類によらず、無色透明なポリイミドフィルムが得られる傾向にある。他方、ワニスに含まれる(b)溶媒がγ−ブチロラクトン(GBL)である場合には、経済性及びフィルムの無色透明性の観点から、乾燥工程を空気中で行うことが好ましい。
本実施形態では、得られたポリイミドフィルムを延伸工程に供して、フィルムの薄膜化を行うことができる。例えば、10μm未満の厚みを有するフィルムを得るためには、膜厚10μm以上のポリイミドフィルムを延伸処理することにより作製することができる。
〈発光デバイス、曲面ディスプレイ、及びフォルダブルディスプレイ〉
本実施形態のワニスを乾燥及びイミド化したポリイミドフィルム(ポリイミド層)を用いて、発光デバイス、曲面ディスプレイ、及び/又はフォルダブルディスプレイ等のデバイスを製造することができる。本実施形態のポリイミドフィルムは、例えば少なくとも一層のフィルム基材として、例えば発光部、曲面、表示部等の一部として用いることができる。
フォルダブルディスプレイとしては、有機ELディスプレイ、例えば、トップエミッション型有機ELディスプレイ;及びフレキシブル液晶ディスプレイ等が挙げられる。
別の実施形態では、本実施形態のポリイミドフィルムの表面上に、機能性層、例えば透明電極層を設けて、積層体を製造することができる。積層体は、ポリイミドフィルムの表面上に、例えば透明電極層をスパッタリング装置で成膜することにより得ることができる。ポリイミドフィルムは支持体を有していてもよく、支持体を有しない単層であってもよい。積層体は、透明電極層をポリイミドフィルムの両面に有してもよい。このとき、ポリイミドフィルムの両面に、それぞれ、少なくとも1層以上の透明電極層を有することが好ましい。また、透明電極層とポリイミドフィルムとの積層体は、平滑性を付与する為のアンダーコート層、表面硬度を付与する為のハードコート層、視認性を向上する為のインデックスマッチング層、ガスバリア性を付与する為のガスバリア層など、他の層を更に有していてもよい。表面硬度を付与する為のハードコート層、視認性を向上する為のインデックスマッチング層などは、透明電極層とポリイミドフィルムの上に積層されていてもよい。本実施形態の積層体は、透明電極フィルムのようなタッチパネル材料への使用に適している。
以下、本発明について、例に基づきさらに詳述するが、これらは説明のために記述されるものであって、本発明の範囲が下記例に限定されるものではない。例における各種評価は次のとおりに行った。
《評価及び測定方法》
[数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)]
(a)ポリイミドの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、下記の条件により測定した。溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。また、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(Agilent Technologies社製/商品番号EasiCal PS−1)を用いて作製した。
カラム:TSK−GEL SUPER HM−H×2本
流速:0.5mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)
UV−2075Plus(UV−Vis:紫外可視吸光計、JASCO社製)
[光透過率]
ポリイミドワニスの光透過率は、ポリイミド濃度を20質量%に調整した後、紫外可視吸収スペクトルを下記の条件により測定した。装置として、UV/VIS SPECTROPHOTOMETER(V−550、JASCO製)を用いた。バックグラウンドはレファレンス室とサンプル室にワニスと同じ溶媒を満たした光路長10mmの石英セルを置き、23℃の恒温室にて測定した。得られたデータより、光路長10mm(1.0cm)、波長450nmにおける光透過率を得た。
装置:UV/VIS SPECTROPHOTOMETER(V−550、JASCO社製)
石英セルサイズ:光路長10mm×幅10mm×高さ400mm
測定波長:300nm−800nm
バンド幅:2.0nm
走査速度:200nm/min
得られた光透過率を下記基準に従ってランク分けした。
(光透過率ランク)
〇(良好):波長450nmにおける光透過率が55%以上である。
×(不良):波長450nmにおける光透過率が55%未満である(溶解性低下による白濁による光透過率低下も含む)。
[ハンセン溶解度パラメータ]
ハンセン溶解度パラメータ(HSP)と分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhは、ハンセン溶解度パラメータを計算するソフトウエア、HSPiP(Hansen Solubility Parameter in Practice)(HSP Science社製)を用いて計算を行った。
混合溶媒のパラメータは、各溶媒の体積比率から計算した。
要件1:数式1を満たす場合は〇、満たさない場合は×とした。計算値は表2要件1欄に併記した。
要件2:分散項(δdsolv)≧16.8、双極子項(δpsolv)≧11.5、及び水素結合項(δhsolv)≧6.2を全て満たす場合は〇、一つでも満たさない場合は×とした。
要件3:ハンセン溶解度パラメータ(HSP)が、22.5以上26.7以下を満たす場合は〇、満たさない場合は×とした。
[ポリイミドフィルムの作製、並びに溶媒乾燥性及びフィルム自立性の評価]
ポリイミドワニスを、基材としてのPETフィルム(コスモシャインA4100(登録商標)(東洋紡社製))の未処理面上に、塗工厚み200μmでアプリケータを用いてキャストした。キャストしたワニスを、80℃で10分間、乾燥した。その後基材を剥離し、自立フィルムを得た。ここで、「表面にべとつきがある」とは、下記式から計算される溶媒の乾燥率が、80%以下の場合をいう。
乾燥率(%)={(乾燥前のフィルム重量)−(乾燥後のフィルム重量)}/乾燥前のフィルムに含まれる溶媒の重量×100
自立フィルム10cm□にカットし、10cmの開口部を有する金枠に、自立フィルムの対向する二辺をカプトン(登録商標)テープで固定した。金枠に固定した自立フィルムを270℃で20分間乾燥した(二次乾燥)。二次乾燥は、表3に示すように空気又は窒素下で行った。その後、室温まで冷却し、金枠から外しポリイミドフィルムを得た。
(溶媒乾燥性評価)
〇:80℃で10分間乾燥した後に表面にべとつきがない
×:80℃で10分間乾燥した後に表面にべとつきがある
(フィルム自立性評価)
〇:基材から剥離し自立フィルムを得られた
×:基材から剥離した際にフィルムが破断した
[黄色度(YI)及びヘイズ(Haze)]
上記「ポリイミドフィルムの作製」に記載の方法で、乾燥後の膜厚が20±1μmとなるように自立フィルムを作製した。該自立フィルムの黄色度(YI値)及びヘイズを、コニカミノルタ株式会社製分光測色計(CM3600A)及びD65光源を用いて測定した。
得られた黄色度(YI)及びヘイズを下記基準に従ってランク分けした。
(YIランク)
◎(非常に良好):フィルムのYIが3以下である。
〇(良好):フィルムのYIが3より大きく5以下である。
×(不良):フィルムのYIが5を超える。
(ヘイズランク)
〇(良好):ヘイズが1%以下である。
×(不良):ヘイズが1%を超える。
《原材料》
〈テトラカルボン酸二無水物〉
6FDA:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(A1に該当)
HPMDA:シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物(A2に該当)
BTA:ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(A3に該当)
ODPA:オキシジフタル酸二無水物(A6に該当)
BPDA:ビフェニル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物
〈ジアミン〉
3DAS:3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(B1に該当)
4DAS:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(B2に該当)
TFMB:2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(B3に該当)
14BAC:1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン(B6に該当)
BAPB:4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル
BADB:α,α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン
〈溶媒〉
GBL:γ−ブチロラクトン
MNP:N−メチル−2−ピロリドン
CPN:シクロペンタノン
〈イミド化触媒〉
Py:ピリジン
合成に用いるPyは事前に光路長1cm波長350nmでの光透過率が90%以上であることを確認し、用いた。またODPA、3DAS、4DASについては事前にGBLに溶解し、それぞれ1%、10%、10%の溶液とし、光路長1cm波長450nmでの光透過率が97%以上であることを確認し、用いた。
《ポリイミドワニスの作製》
ディーン・スターク管及び還流管を上部に備えた撹拌棒付き500mLセパラブルフラスコに窒素ガスを導入しながら、表1に示されるとおり、溶媒1にまずジアミンを60℃にて溶解した。次いで酸二無水物を粉体にて添加し30分間撹拌後、Py(仕込みの酸二無水物に対し4mol%)を添加し、オイルバスを用いて系中の温度を165℃に昇温し、適宜30分〜3時間撹拌した。水の回収量より算出されるイミド化率が50%以上に達した後、180℃まで昇温し、窒素バブリングを施し、Py残留量が0.01%以下となり、且つ水の回収量より計算したイミド化率が90%を超えるまで、8〜12時間反応後、オイルバスを外して系中の温度を室温に戻し、固形分濃度が20質量%となるように表1に示されるとおり溶媒1と溶媒2を加え、ポリイミドワニスを得た。
ポリイミド及びワニスの組成を表1に、ワニス評価結果及びフィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 2020111713
Figure 2020111713
本実施形態のワニスは、表面保護フィルム、カラーフィルター、TFTなどの基板フィルム、絶縁保護膜として用いられるポリイミドフィルムの製造に用いることができる。本実施形態におけるワニスを乾燥して得られるポリイミドフィルムは、フレキシブルな光学デバイス、曲面を有する光学デバイス、折りたたみ可能な光学デバイス、例えば、フレキシブルディスプレイ、フレキシブル太陽電池、フレキシブルタッチパネル、フレキシブル照明、曲面ディスプレイ、及びフォルダブルスマートフォン等の製品に好適に利用することができる。

Claims (19)

  1. (a)ポリイミド、と
    (b)2種以上の溶媒を含む混合溶媒、を含む、ポリイミドワニスであって、
    ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhであらわされる各パラメータにおいて、前記ポリイミドと前記混合溶媒の分散項と水素結合項が、下記数式1:
    Figure 2020111713
    {数式1中、δdPIは前記ポリイミドの分散項であり、δhPIは前記ポリイミドの水素結合項であり、δdsolvは前記混合溶媒の分散項であり、そしてδhsolvは前記混合溶媒の水素結合項である。}
    を満たす、ポリイミドワニス。
  2. 前記ポリイミドワニスのポリイミド濃度を20質量%とし、光路長10mm及び波長450nmで測定した場合に、前記ポリイミドワニスの光透過率が55%以上である、請求項1に記載のポリイミドワニス。
  3. 前記混合溶媒の分散項(δdsolv)、双極子項(δpsolv)及び水素結合項(δhsolv)が、下記:
    分散項(δdsolv)≧16.8
    双極子項(δpsolv)≧11.5
    水素結合項(δhsolv)≧6.2
    を満たし、かつ
    ハンセン溶解度パラメータ(HSP)が22.5以上26.7以下である、請求項1又は2に記載のポリイミドワニス。
  4. 前記(b)混合溶媒が、(b1)環状エステル及び(b2)環状ケトンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイミドワニス。
  5. 前記(b1)環状エステル及び前記(b2)環状ケトンの合計質量に基づいて、前記(b1)環状エステルの量が20質量%以上90質量%以下である、請求項4に記載のポリイミドワニス。
  6. 前記(b1)環状エステルが、γ−ブチロラクトンである、請求項5に記載のポリイミドワニス。
  7. 前記(a)ポリイミドが、下記式(B1)で表される2価の有機基を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリイミドワニス。
    Figure 2020111713
  8. 前記(a)ポリイミドが、下記式(B2)で表される2価の有機基を更に含む、請求項7に記載のポリイミドワニス。
    Figure 2020111713
  9. 前記(a)ポリイミドが、下記式(A6)で表される4価の有機基を更に含む、請求項7又は8に記載のポリイミドワニス。
    Figure 2020111713
  10. 前記(a)ポリイミドが、下記式(A1)で表される4価の有機基、並びに下記式(B3)及び(B4)で表される2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリイミドワニス。
    Figure 2020111713
    Figure 2020111713
    Figure 2020111713
  11. 前記(a)ポリイミドが、下記式(A2)、(A3)及び(A4)で表される4価の有機基、並びに下記式(B5)で表される2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリイミドワニス。
    Figure 2020111713
    Figure 2020111713
    Figure 2020111713
    Figure 2020111713
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリイミドワニスを、基材にキャストする工程と、
    キャストした前記ポリイミドワニスを乾燥して、自立フィルム形成する工程と、
    前記自立フィルムを前記基材から剥離して更に加熱をする工程と、
    を含む、ポリイミドフィルムの製造方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリイミドワニスを乾燥させた、ポリイミドフィルム。
  14. ポリイミド100質量部を基準として5質量部以上40質量部以下の溶媒を含有し、
    前記溶媒が、(b1)環状エステル及び(b2)環状ケトンを含む、請求項13に記載のポリイミドフィルム。
  15. 前記(b1)環状エステルがγ−ブチロラクトンであり、前記(b2)環状ケトンが、シクロペンタノンである、請求項14に記載のポリイミドフィルム。
  16. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のワニスを乾燥させたポリイミドフィルムを有する、発光デバイス。
  17. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のワニスを乾燥させたポリイミドフィルムを有する、曲面ディスプレイ。
  18. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のワニスを乾燥させたポリイミドフィルムを有する、フォルダブルディスプレイ。
  19. 2種以上の溶媒を含む混合溶媒中に、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物を溶解して、前記混合溶媒中にポリイミドを生成することを含む、ポリイミドワニスの製造方法であって、
    前記2種以上の溶媒は、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)の分散項δd、双極子項δp及び水素結合項δhであらわされる各パラメータにおいて、前記ポリイミドと前記混合溶媒の分散項と水素結合項が、下記数式1:
    Figure 2020111713
    {数式1中、δdPIは、前記ポリイミドの分散項であり、δhPIは、前記ポリイミドの水素結合項であり、δdsolvは、前記混合溶媒の分散項であり、そしてδhsolvは、前記混合溶媒の水素結合項である。}を満たすように選択する、
    ポリイミドワニスの製造方法。
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