JP2013044675A - 振動式差圧センサとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダイアフラムに設けられた振動子形歪ゲージを具備する振動式差圧センサにおいて、一方の面に振動子形歪ゲージ素子が設けられ他方の面がダイアフラムに相当する厚さに研磨されて形成されシリコンよりなるセンサ基板と、センサ基板の他方の面に一方の面が直接に接合されたシリコンよりなるベース基板と、ベース基板のセンサ基板との接合部に設けられセンサ基板に実質的にダイアフラムを形成し、異物の混入によりダイアフラムの可動範囲が制限されることなく且つ振動子形歪ゲージ素子の振動によって励起されるダイアフラムの振動に対して制動作用をなすための所定の隙間を有する凹部と、凹部に測定圧を導入する導入孔と、凹部に導入孔を介して圧力を伝搬しダイアフラムを制動するための流体とを具備したことを特徴とする振動式差圧センサである。
【選択図】図1
Description
更に詳述すれば、測定精度が高く、製作が容易で、安価に出来る振動形差圧センサに関するものである。
図において、11,111は、所定の流体112中に配置されたシリコンのダイアフラムとシリコンのダイアフラムの固定部である。
流体112は、この場合は、シリコンオイルが用いられている。
30はダイアフラム11との間の流体112の密度と粘度によりシリコンのダイアフラム11が振動子形歪みゲージ12と共振しないようにダイアフラム11の少なくとも一面に一面が近接して設けられた振動抑制体である。
113はシリコンのダイアフラム11とシリコンのダイアフラムの固定部111とで構成される凹部である。
141はシリコンの基板40に設けられ室114に圧力を導入する導圧孔である。
51は導圧接手50に設けられシリコンの基板40の導圧孔41に連通する連通孔である。
60は磁石13,ダイアフラム11,固定部111,基板40とスペーサー42とを覆って導圧接手50に取付けられ、内部に流体112が充填されるカバーである。
この振動子形歪みゲージ12の振動は、振動検出手段により検出され、検出周波数は出力信号として取出される。
また、ダイアフラム11の少なくとも一面に一面が近接して設けられた振動抑制体30が設けられたので、シリコンのダイアフラム11が振動子形歪みゲージ12と共振しない。
例えば、本実施例では、100csのシリコンオイル中でヨーク131とダイアフラム11との隙間a<0.1mmで、この条件は充分に達成される。
Q<0.7で実質的に、ダイアフラム11の共振の影響はなくなることが分かった。
Aは流体112が大気の場合、Bはフレオンの場合、Cはシリコンオイルの場合を示す。
図において、19は凹部13の中に収納できるシリコン単結晶で出来たダンピング基台であり、中央には流通孔20が形成されておりその底部は貫通孔15と連通するように基台チップ16に熱酸化接合されている。
21はシリコンオイルであり、このシリコンオイルを凹部11の内部に封入することによって振動式歪ゲージ14の自励振動の影響を狭い間隙Δによってダンピングさせて除去させている。
図において、
(a)図16に示す如く、半導体基板11の一面側にスピネルエピ層12を形成する。
(b)図17に示す如く、半導体基板11のスピネルエピ層12に接する面に酸化シリコン膜13を形成する。
(c)図18に示す如く、スピネルエピ層12の表面にポリシリコン層14を形成し、ポリシリコン層14をアニ―ル処理して単結晶化する。
15はレジストである。
(f)図21に示す如く、シリコンエピタキシャル成長層16に歪み検出センサ17を形成する。この場合は、ピエゾ抵抗素子が形成される。
(h)図23に示す如く、連通孔18を通して選択エッチングにより、酸化シリコン膜13を除去する。
而して、ダイアフラム3と空隙室4が構成される。
その結果、振動子形歪ゲージ素子のQ値(出力)が低下するため、理論的には圧力と周波数が2次の比例関係にあるが、この比例関係からの誤差が大きくなり入出力特性等の諸特性が悪くなるという問題がある。このような問題を解決する手段として、オイルで満たした狭い隙間を用いてダイアフラムの共振を抑制する手法が提案されている。
この手法では、図24に示すように、(111)面により構成される凹部が形成される。
実開平01−171337では、ダイアフラムの作製を深堀のアルカリエッチングで行うため、数um〜数10umの厚み制御を数um単位で行うことが難しく、感度のばらつきを抑制することが困難である。
また、機械加工部品を用いているため、隙間形成時に異物が入りダイアフラムの可動範囲が制限され、入出力特性等の諸特性に影響を与えることもある。
さらに、ダイアフラムの形成時のアルカリエッチングにより結晶の面方位の影響を受け、ダイアフラムの形状を自由に選択できない。
そのため、ダイアフラムの設計の際に形状に制約が課せられ、自由な形状のダイアフラム設計ができない。
隙間形成においては、アルカリエッチングにて凹部を精度良く加工することが困難であること、対向する凸部品の加工誤差が精度を悪化させることから、数umの隙間を精度良く製作することが難しく、ダイアフラムの共振を抑制するのにも限界がある。
実開平01−171337,特開平02−032224に用いられている深堀のアルカリエッチングの問題点としては、薬液の温度の影響を受けやすく厚みの制御が難しいこと、エッチングによる深堀量の大きさに対して、ダイアフラム膜厚の精度が高く要求され、制御が難しいこと、エッチングの際に薬液から素子面側を保護する必要があることが挙げられる。
そのことによりダイアフラムが対向する構造に接触し、ダイアフラムの可動範囲が制約される。すなわち、変位を4um以上取ることが必要な圧力レンジのセンサ設計に大きな制約がある。
1)振動式差圧センサの構造に対しては、
感度のばらつきを抑えることができるダイアフラム厚みの制御性の良い構造。
ダイアフラム共振を防ぐ隙間(サブum〜数10um以上)をサブumの精度で実現できる構造。
結晶面による形状の制約が無いダイアフラム設計が可能な構造。
ウエハのインチサイズによらない振動式差圧センサの製造方法。
ダイアフラムの厚さが異なっても同一のマスクで作製可能な振動式差圧センサの製造方法。
ダイアフラムの厚みばらつきの少ない感度のそろったダイアフラムを有する振動式差圧センサの製造方法。
研削研磨工程と接合工程後の工程に振動子形歪ゲージ素子を完成させるための前工程を含まない簡略な工程とする振動式差圧センサの製造方法。
ダイアフラムに設けられた振動子形歪ゲージを具備する振動式差圧センサにおいて、一方の面に振動子形歪ゲージ素子が設けられ他方の面が前記ダイアフラムに相当する厚さに研磨されて形成されシリコンよりなるセンサ基板と、このセンサ基板の他方の面に一方の面が直接に接合されたシリコンよりなるベース基板と、前記ベース基板の前記センサ基板との接合部に設けられ前記センサ基板に実質的に前記ダイアフラムを形成し、異物の混入により前記ダイアフラムの可動範囲が制限されることなく且つ前記振動子形歪ゲージ素子の振動によって励起される前記ダイアフラムの振動に対して制動作用をなすための所定の隙間を有する凹部と、この凹部に測定圧を導入する導入孔と、この凹部に導入孔を介して圧力を伝搬しダイアフラムを制動するための流体と、を具備したことを特徴とする。
ダイアフラムに設けられた振動子形歪ゲージを具備する振動式差圧センサにおいて、一方の面に振動子形歪ゲージ素子が設けられ他方の面が前記ダイアフラムに相当する厚さに研磨されて形成されシリコンよりなるセンサ基板と、このセンサ基板の他方の面に一方の面が直接に接合されたシリコンよりなるベース基板と、前記ベ−ス基板との接合部の前記センサ基板に設けられ前記センサ基板に実質的に前記ダイアフラムを形成し、異物の混入による前記ダイアフラムの可動範囲が制限されることなく且つ前記振動子形歪ゲージ素子の振動によって励起される前記ダイアフラムの振動に対して制動作用をなすための所定の隙間を有する凹部と、この凹部に測定圧を導入する導入孔と、この凹部に導入孔を介して圧力を伝搬しダイアフラムを制動するための流体とを具備したことを特徴とする。
以下の工程を有することを特徴とする振動式差圧センサの製造方法。
(a)センサウエハの一方の面に振動子形歪ゲージ素子を形成する工程。
(b)前記センサウエハの他方の面にサポートウエハの一方の面が貼り付けられる貼付工程。
(c)前記センサウエハの他方の面がダイアフラム相当厚さに研削研磨される研削研磨工程。
(d)ベースウエハの一方の面に所定の隙間を有する凹部を形成する凹部形成工程。
(e)前記センサウエハの他方の面と前記ベースウエハの一方の面とを直接に接合する直接接合工程。
(f)前記センサウエハから前記サポートウエハを剥離するサポートウエハ剥離工程。
(g)個々のセンサウエハへダイシングするダイシング工程。
ことを特徴とする。
以下の工程を有することを特徴とする振振動式差圧センサの製造方法。
(a)センサウエハの一方の面に振動子形歪ゲージ素子を形成する工程。
(b)前記センサウエハの他方の面にサポートウエハの一方の面が貼り付けられる貼付工程。
(c)前記センサウエハの他方の面がダイアフラム相当厚さに研削研磨される研削研磨工程。
(d)前記センサウエハの他方の面にパターニングして所定の隙間を有する凹部を形成するパターニング工程。
(e)前記センサウエハの他方の面と前記ベースウエハの一方の面とを直接に接合する直接接合工程。
(f)前記センサウエハから前記サポートウエハを剥離するサポートウエハ剥離工程。
(g)個々のセンサウエハへダイシングするダイシング工程。
個々のウエハ厚さのばらつきを考慮して、ウエハごとに研磨量を調整できるため、例えば、数um〜サブum程度の精度でダイアフラム厚みを容易に制御できる。そのため、感度のバラツキを抑制可能な振動式差圧センサが得られる。
接合に異種材料を使用しないため、接合部分がシリコンの母材強度と同等の破壊強度を実現できる。よって、破壊耐圧特性に優れた振動式差圧センサが得られる。
温度及び圧力履歴により生じる異種材料間の内部残留歪も抑えられ、ヒステリシスの無い構造を実現できる振動式差圧センサが得られる。
ベース基板の凹部の隙間形成時のエッチング量が少ないため、高精度な隙間の制御性の良い振動式差圧センサが得られる。
特に、プラズマを用いたエッチングを用いれば、製造工程は単純になり、コストを抑え、感度が揃った振動式差圧センサが得られる。
個々のウエハ厚さのばらつきを考慮して、ウエハごとに研磨量を調整できるため、例えば、数um〜サブum程度の精度でダイアフラム厚みを容易に制御できる。そのため、感度のバラツキを抑制可能な振動式差圧センサが得られる。
接合に異種材料を使用しないため、接合部分がシリコンの母材強度と同等の破壊強度を実現できる。よって、破壊耐圧特性に優れた振動式差圧センサが得られる。
温度及び圧力履歴により生じる異種材料間の内部残留歪も抑えられ、ヒステリシスの無い構造を実現できる振動式差圧センサが得られる。
センサ基板の凹部の隙間形成時のエッチング量が少ないため、高精度な隙間の制御性が良い振動式差圧センサが得られる。
特に、プラズマを用いた等方性エッチングを用いれば、製造工程は単純になり、ダイアフラム周辺での応力集中部分に丸みを持たせることでき、破壊耐圧が増加する。そのため、コストを抑え、感度が高い振動式差圧センサが得られる。
研削研磨工程により、実質的にダイアフラム厚みが決まることから、アルカリエッチングによる深堀と異なりエッチングの深さによるダイアフラム形状の差異を考慮したマスクが必要なくなる。また、アルカリエチングとは異なり、インチサイズの小さなウエハ(4インチウエハ等)による試作結果を用いて、インチサイズの大きなウエハ(8インチ,12インチ等)で製品にする場合でも、同一のマスクパターンと同一プロセスを適用できるため、量産化の移行を効率的に行える。そのため、ウエハのインチサイズによらない振動式差圧センサの製造方法が得られる。
エッチング量が少ないベースウエハの凹部の深さにて隙間を決定することができるため、例えば、数10um〜サブum以下までの隙間を容易に作成可能である。また、エッチング量も少ないことから、その精度もサブum程度の高精度で制御が可能である。その結果、制御性が良い状態で、ダイアフラムの共振を抑制するための狭い隙間が製作可能な振動式差圧センサの製造方法が得られる。
上述の常温直接接合あるいは金属拡散接合などによるダイアフラム作製工程は、例えば、400度以下で構成できるので、差圧センサの特性に悪影響を与えるようなシリコンのクリープや熱歪が残留しない。そのため、良好な特性の振動式差圧センサの製造方法が得られる。
研削研磨工程により、実質的にダイアフラム厚みが決まることから、アルカリエッチングによる深堀と異なりエッチングの深さによるダイアフラム形状の差異を考慮したマスクが必要なくなる。また、アルカリエッチングとは異なり、インチサイズの小さなウエハ(4インチウエハ等)による試作結果を用いて、インチサイズの大きなウエハ(8インチ,12インチ等)で製品にする場合でも、同一のマスクパターンと同一プロセスを適用できるため、量産化の移行を効率的に行える。そのため、ウエハのインチサイズによらない振動式差圧センサの製造方法が得られる。
エッチング量が少ないベースウエハの凹部の深さにて隙間を決定することができるため、例えば、数10um〜サブum以下までの隙間を容易に作成可能である。また、エッチング量も少ないことから、その精度もサブum程度の高精度で制御が可能である。その結果、制御性が良い状態で、ダイアフラムの共振を抑制するための狭い隙間が製作可能な振動式差圧センサの製造方法が得られる。
上述の常温直接接合あるいは金属拡散接合などによるダイアフラム作製工程は、例えば、400度以下で構成できるので、差圧センサの特性に悪影響を与えるようなシリコンのクリープや熱歪が残留しない。そのため、良好な特性の振動式差圧センサの製造方法が得られる。
図1は本発明の一実施例の要部構成説明図、図2は図1の要部構成説明図、図3は図1の製作工程説明図、図4は図3のプロセスフローチャート説明図である。
ベース基板430は、センサ基板410の他方の面に一方の面が直接に接合されたシリコンよりなる。
流体446は、この凹部435に導入孔445を介して圧力を伝搬し、ダイアフラム412を制動する。
振動子形歪ゲージ素子411は、ダイアフラム412の上面415に製作されている。
センサ基板410とベース基板430はシリコンであり、基板の接合には、酸化膜やその他の異種材料を介さずに接合される。そのため、接合面でもシリコンの母材強度と同等の破壊強度を実現できる。また、温度特性も良好な振動式差圧センサ400を実現できる。
ダイアフラム412の寸法は、ベース基板430の凹部435の部分の寸法440できまる。
図3の(a)には、センサウエハ510の作製工程を示す。
なお、振動子形歪ゲージ素子411は、小さくて表示できないので、振動子形歪ゲージ素子411の配置領域を、センサウエハ510と異なるハッチングで示す。
貼り付け用材料522を用いて、センサウエハ510の素子面とサポートウエハ521を貼り付ける。ここでの貼り付け用材料522とは、熱可塑性接着剤、薬液溶解型接着剤、UV接着剤、両面テープ、WAX等である。貼り付け精度は、以降の研削研磨の厚みのばらつきに影響を及ぼすためTTV(total thickness variation, ウエハ面内厚みの最小値と再大値の差)や反りを制御する必要がある。サポートウエハ521には、サファイア、ガラス、シリコン等の素材を使用する。また、サポートウエハの形状は、特に制約するものではない。
サポートウエハ521に貼り付けられたセンサウエハ510の振動子形歪ゲージ素子411と反対側の面531を研削研磨により、所望の厚みまで薄くする。
この際、研削時の破砕層や研削跡がなくなるまで研磨を実施する必要がある。
センサウエハ510を100um以下に研削研磨する場合、ウエハ単体でハンドリングすると簡単にウエハが割れてしまうが、サポートウエハ521がついた状態では、数10um以下のセンサウエハ510でもハンドリングが可能である。
ベースウエハ540には、圧力導入孔541と凹部542を形成する。ベースウエハ540は、プラズマエッチング及びウェットエッチング等、圧力導入孔541が形成できる手法であればどのような手法を用いても良い。また、この孔の形状は導入孔であればどのような孔でも良い。また、凹部542も同様に、プラズマエッチング及びウェットエッチング等を用いて形成する。
圧力導入孔541と凹部542を製作したベースウエハ540とサポートウエハ521に貼り付けられている研削研磨済みセンサウエハ510とを接合する。
その際、貼り合わせ用材料が耐熱温度以下で、ベースウエハ540とセンサウエハ510を接合する必要がある。
また、工程を簡略化する観点から、研削研磨面は成膜や改質工程を実施しない状態で接合を実施することが望ましい。このような条件を満たす接合には、常温直接接合,金属拡散接合がある。
この技術の特徴は、常温で接合が可能であること、表面がシリコン同士の接合に適している点である。
貼り合せ用材料からの出るガスは表面に再付着して接合力を大幅に落とす原因となるため、貼り合せよう材料には出るガスが無いものを選定する必要がある。
常温直接接合と同様に高真空下で接合を実施する。この接合においては異種材料が非常に薄く原子層レベルで付いているだけなので、差圧センサの特性を悪化させること無く接合できる。
プラズマ活性化接合は、Ar,N2,O2等のガスを用いたプラズマで表面にOH基を配した状態で、表面同士を仮接合(単に貼り付ける行為)後、400度程度の温度でアニールすることにより接合強度を高める。この技術では、接合時に発生する水分がボイドの原因となるが、接合面積が小さいダイアフラムのような構造では、水分が接合界面から離脱でき、シリコン同士の接合であってもボイドのない良好な接合を実現できる。
ウエハの最終工程として、接合後にサポートウエハ521を剥離した接合済みウエハ560のダイシングを行う。これにより振動式差圧センサ400が完成する。
ダイアフラム412の厚さを研削研磨量により調整するため、ウエハ毎に厚みを微調整できる。例えば、数um〜サブum程度の精度でダイアフラム厚みを容易に制御できる。そのため、感度のバラツキを抑制可能な振動式差圧センサが得られる。
接合に異種材料を使用しないため、接合部分がシリコンの母材強度と同等の破壊強度を実現できる。よって、破壊耐圧特性に優れた振動式差圧センサが得られる。
温度及び圧力履歴により生じる異種材料間の内部残留歪も抑えられ、ヒステリシスの無い構造を実現できる振動式差圧センサが得られる。
特に、プラズマを用いたエッチングを用いれば、製造工程は単純になり、コストを抑え、感度が揃った振動式差圧センサが得られる。
アルカリエッチングとは異なり、インチサイズの小さなウエハ(4インチウエハ等)による試作結果を用いて、インチサイズの大きなウエハ(8インチ,12インチ等)で製品にする場合でも、同一のマスクパターンと同一プロセスを適用できるため、量産化の移行を効率的に行える。
同様に、圧力のレンジに応じてダイアフラム412の形状や厚みを変える要求に対しても、上述の接合を用いたダイアフラム形成ではダイアフラム412の形状や厚みに依存せず同一のマスクと同一のプロセスで実現できる。
そのため、良好な特性の振動式差圧センサの製造方法が得られる。
図5において、センサ基板610は、一方の面に振動子形歪ゲージ素子611が設けられ、他方の面がダイアフラム612に相当する厚さに研磨後、凹部635を形成し、シリコンよりなる。
凹部635は、ベース基板630との接合部のセンサ基板610に設けられ、センサ基板610に実質的にダイアフラム612を形成し、異物の混入によるダイアフラム612の可動範囲が制限されることなく、且つ振動子形歪ゲージ素子611の振動によって励起されるダイアフラム612の共振に対して、後述する流体646によって制動作用をなすための所定の隙間を有する。
流体646は、凹部635に導入孔645を介して圧力を伝搬し、ダイアフラム612を制動する。
振動子形歪ゲージ素子611は、ダイアフラム612の上面615に製作されている。
そのため、ダイアフラム612の厚みの精度は、研削研磨の数umの精度とエッチングのサブumの精度の和で表され、結果として数umの精度での加工精度を有する。
センサ基板の凹部635がベース基板630と接合後に、隙間を形成する。
凹部635は、プラズマエッチング及びウェットエッチング等により形成される。
よって、異物の混入を考慮した隙間の設計やダイアフラム612の可動範囲を考慮した設計に自由度を持たせることができる。
ダイアフラム612の寸法は、センサ基板610の凹部635の部分の寸法640できまる。
この工程を経たセンサウエハ710は、センサウエハ710の一方の面に振動子形歪ゲージ611が配されており、振動子形歪ゲージ素子611の形成、金属配線が既に完成したウエハである。
つまり、振動子形歪ゲージ素子611を配した面の加工は既に完了しており、以降の工程で加工の必要は無い。
貼り付け用材料722を用いて、センサウエハ710の素子面とサポートウエハ721を貼り付ける。
ここでの貼り付け用材料722とは、熱可塑性接着剤、薬液溶解型接着剤、UV接着剤、両面テープ、WAX等である。
サポートウエハ721に貼り付けられたセンサウエハ710の振動子形歪ゲージ素子611と反対側の面731を研削研磨により、所望の厚みまで薄くする。
この際、研削時の破砕層や研削跡がなくなるまで研磨を実施する必要がある。
センサウエハ710を100um以下に研削研磨する場合、ウエハ単体でハンドリングすると簡単にウエハが割れてしまうが、サポートウエハ721がついた状態では、数10um以下のセンサウエハ710でもハンドリングが可能である。
研削研磨面にレジストを用いたフォトリソグラフィーにより開口部を設け、開口部分をドライエッチング等の手法によりエッチングする。
エッチング後にはレジストを剥離することにより、センサウエハお凹部742が形成できる。
ベースウエハ740には、圧力導入孔741を形成する。圧力導入孔741は、プラズマエッチング及びウェットエッチング等、圧力導入孔形成できる手法であればどのような手法を用いても良。
また、この孔の形状は導入孔であればどのような孔でも良い。
圧力導入孔741を製作したベースウエハ740と凹部742を製作したセンサウエハ710とを接合する。
その際、貼り合わせ用材料の耐熱温度以下で、ベースウエハとセンサウエハを接合する必要がある。
また、工程を簡略化する観点から、研削研磨面は成膜や改質工程を実施しない状態で接合を実施することが望ましい。このような条件を満たす接合には、常温直接接合,金属拡散接合がある。
貼り合せ用材料からの出るガスは表面に再付着して接合力を大幅に落とす原因となるため、貼り合せ用材料には出るガスが無いものを選定する必要がある。
常温直接接合と同様に高真空下で接合を実施する。
この接合においては異種材料が非常に薄く原子層レベルで付いているだけなので、差圧センサの特性を悪化させること無く接合できる。
プラズマ活性化接合は、Ar,N2,O2等のガスを用いたプラズマで表面にOH基を配した状態で、表面同士を仮接合(単に貼り付ける行為)後、400度程度の温度でアニールすることにより接合強度を高める技術である。この技術では、接合時にOH基に起因して発生する水分がボイドの原因となるが、接合面積が小さいダイアフラムのような構造では、水分が接合界面から離脱でき、ボイドのない良好な接合を実現できる。
薄く研磨された後に直接接合されたセンサウエハとベースウエハをサポートウエハから切り離す。
サポートウエハからの剥離方法は、使用する接着剤によりその方法が異なる。
例えば、熱可塑性接着剤では温度をかけた状態でスライドさせることにより剥離する。
ウエハの最終工程として、接合後にサポートウエハを剥離した接合済みウエハ760のダイシングを行う。
これにより振動式差圧センサ600が完成する。
ダイアフラム612の厚さをウエハ毎の研削研磨量の微調整とドライエッチングにより
調整するため、例えば、数um〜サブum程度の精度でダイアフラム厚みを容易に制御できる。
そのため、感度のバラツキを抑制可能な振動式差圧センサが得られる。
また、熱膨張係数の違いによる熱歪を抑えられるため、温度特性が良い振動式差圧センサが得られる。
そのため、コストを抑え、感度高い振動式差圧センサが得られる。
同様に圧力のレンジに応じてダイアフラムの形状や厚みを変える要求に対しても、上述の接合を用いたダイアフラム形成方法ではダイアフラムの形状や厚みに依存せずに同一のマスクと同一のプロセスで実現できる。
常温直接接合あるいは金属拡散接合などを含むダイアフラム作製工程が、例えば、400度以下で構成できるので、差圧センサの特性に影響を与えるようなシリコンのクリープや熱歪が残留しない。そのため、良好な特性の振動式差圧センサの製造方法が得られる。
である。
振動式差圧センサ800は、センサ基板810とベース基板830により構成される。
ベース基板830には、プラズマエッチング及びアルカリエッチングにより、導入孔845が設けられている。
この孔の形状は導入孔であればどのような穴でも良い。
振動子形歪ゲージ素子811はダイアフラムの上面815に製作されている。
そのため、所望の厚みまで研削研磨してダイアフラムの厚み820を調整する。
研削研磨量はウエハ毎に微調整できるので、個々のウエハの厚みを数um単位で正確に制御できる。
そのため、接合面でもシリコンの母材強度と同等の破壊強度を実現できる。
また、温度特性も良好なセンサを実現できる。
隙間はプラズマエッチング及びウェットエッチング等により形成される。
この隙間は、アルカリ薬液(KOH,TMAH等)を用いて深堀エッチングする必要が無いため、サブum〜数10um以下の隙間を精度よく容易に実現できる。
よって、異物の混入を考慮した隙間の設計やダイアフラム812の可動範囲を考慮した設計に自由度を持たせることができる。
具体的な形状としては、図10に示すごとく、四角形860、円形865、多角形870等が考えられる。
ベース基板830の凹部835部分は、サブum〜数10um以下の狭い隙間であるため、アルカリ薬液(KOH,TMAH等)を用いて深堀エッチングするダイアフラムの形成方法と異なり、エッチングの面方位によるマスクパターンの形状制約が無い。
また、センサ基板810に形成したリング状の丸み850は、ダイアフラムへの応力集中を緩和できるため、破壊耐圧を向上できる。
この工程を経たセンサウエハ910は、センサウエハ910の一方の面911に振動子形歪ゲージ素子811が配されており、振動子形歪ゲージ素子811の形成、金属配線が既に完成したウエハである。
つまり、振動子形歪ゲージ素子811を配した面911の加工は既に完了しており、以降の工程で加工の必要は無い。
貼り付け用材料922を用いて、センサウエハ910の素子面とサポートウエハ921を貼り付ける。
ここでの貼り付け用材料922とは、熱可塑性接着剤、薬液溶解型接着剤、UV接着剤、両面テープ、WAX等である。
サポートウエハ921には、サファイア、ガラス、シリコン等の素材を使用する。
また、サポートウエハの形状を特に制約するものではない。
サポートウエハ921に貼り付けられたセンサウエハ910の振動子形歪ゲージ素子811と反対側の面931を研削研磨により、所望の厚みまで薄くする。
この際、研削時の破砕層や研削跡がなくなるまで研磨を実施する必要がある。
センサウエハ910を100um以下に研削研磨する場合、ウエハ単体でハンドリングすると簡単にウエハが割れてしまうが、サポートウエハ921がついた状態では、数10um以下のウエハでもハンドリングが可能である。
洗浄工程は、物理洗浄(CO2洗浄,2流体洗浄)や酸アルカリ洗浄等が考えられるが、貼り付け用材料の耐熱温度以下で実施し、この材料が薬液耐性を有する薬液を使用する必要がある。
研削研磨面にレジストを用いたフォトリソグラフィーにより開口部を設け、開口部分をドライエッチング等の手法によりエッチングする。
エッチング後にはレジストを剥離することにより、センサウエハの丸み部932が形成される。
ベースウエハ940には、圧力導入孔941と凹部942を形成する。
ベースウエハ940は、プラズマエッチング及びウエットエッチング等、圧力導入孔が形成できる手法であればどのような手法を用いても良い。
また、この孔の形状は導入孔であればどのような孔でも良い。
また、凹部942も同様に、プラズマエッチング及びウエットエッチング等を用いて形成する。
圧力導入孔941と凹部942を製作したベースウエハ940と丸み部932を製作したセンサウエハ910とを接合する。
その際、貼り合わせ用材料の耐熱温度以下で、ベースウエハ940とセンサウエハ910を接合する必要がある。
また、工程を簡略化する観点から、研削研磨面は成膜や改質工程を実施しない状態で接合を実施することが望ましい。
このような条件を満たす接合には、常温直接接合,金属拡散接合がある。
この技術の特徴は、常温で接合が可能であること、表面がシリコン同士の接合に適している点である。
貼り合せ用材料から出るガスは表面に再付着して接合力を大幅に落とす原因となるため、貼り合せ用材料には出るガスが無いものを選定する必要がある。
常温直接接合と同様に高真空下で接合を実施する。
この接合においては異種材料が非常に薄く原子層レベルで付いているだけなので、差圧センサの特性を悪化させることは無く接合できる。
プラズマ活性化接合は、Ar,N2,O2等のガスを用いたプラズマで表面にOH基を配した状態で、表面同士を仮接合(単に貼り付ける行為)後、400度程度の温度でアニールすることにより接合強度を高める。この技術では、OH基に起因して発生する水分がボイドの原因となるが、接合面積の小さいダイアフラムのような構造では、水分が接合界面から離脱でき、ボイドのない良好な接合を実現できる。
薄く研磨された後に直接接合されたセンサウエハ910とベースウエハ940をサポートウエハ921から切り離す。
サポートウエハ921からの剥離方法は、使用する接着剤によりその方法が異なる。
例えば、熱可塑性接着剤では温度をかけた状態でスライドさせることにより剥離する。
図示していないが、剥離後は、貼り合せ用材料の残渣を除去するため、スピン洗浄、薬液浸漬等にて、センサ素子面を洗浄することが望ましい。
ウエハの最終工程として、接合後にサポートウエハ921を剥離した接合済みウエハ960のダイシングを行う。
これにより振動式差圧センサ800が完成する。
図9実施例では、図1実施例の効果を減じることなく、更に、ダイアフラム812への応力集中を抑える構造を実現できる。
ダイアフラム812の厚さを接合前に研削研磨により調整できるため、例えば、数um〜サブum程度の精度でダイアフラム812の厚みを容易に制御できる。
そのため、感度のバラツキを抑制可能な振動式差圧センサが得られる。
よって、破壊耐圧特性に優れた振動式差圧センサが得られる。
また、熱膨張係数の違いによる熱歪を抑えられるため、温度特性が良い振動式差圧センサが得られる。
ベースウエハの凹部942の深さにて、隙間を決定することができるため、ベース基板の凹部835とダイアフラム812の間で、例えば、数10um〜サブum以下までの隙間を形成できる。また、エッチング量も少ないことから、その精度もサブum程度の高精度で制御が可能である。
また、プラズマを用いた等方性エッチングを用いれば、製造工程は単純になり、ダイアフラム周辺での応力集中部分に丸みを持たせることでき、破壊耐圧が増加する。
そのため、コストを抑え、感度高い振動式差圧センサが得られる。
そのため、インチサイズによらない振動式差圧センサの製造方法が得られる。
同様に、圧力のレンジに応じてダイアフラム812の形状や厚みを変える要求に対しても、上述の常温直接接合あるいは金属拡散接合などによる接合を用いたダイアフラム形成ではダイアフラム812の形状や厚みに依存せず同一のマスクと同一のプロセスで実現できる。
そのため、良好な特性の振動式差圧センサの製造方法が得られる。
したがって本発明は、上記実施例に限定されることなく、その本質から逸脱しない範囲で更に多くの変更、変形をも含むものである。
102 ダイアフラム
400 振動式差圧センサ
410 センサ基板
411 振動子形歪ゲージ素子
412 ダイアフラム
415 上面
420 ダイアフラムの厚み
430 ベース基板
435 凹部
440 凹部の部分の寸法
445 導入孔
446 流体
460 四角形
465 円形
470 多角形
510 センサウエハ
521 サポートウエハ
522 貼り付け用材料
531 反対側の面
540 ベースウエハ
541 圧力導入孔
542 凹部
560 ポートウエハを剥離した接合済みウエハ
600 振動式差圧センサ
610 センサ基板
611 振動子形歪ゲージ素子
612 ダイアフラム
615 上面
620 ダイアフラムの厚み
630 ベース基板
635 凹部
640 凹部の部分の寸法
645 導入孔
646 流体
650 丸み
660 四角形
665 円形
670 多角形
710 センサウエハ
721 サポートウエハ
722 貼り付け用材料
731 反対側の面
740 ベースウエハ
741 圧力導入孔
742 凹部
760 ポートウエハを剥離した接合済みウエハ
800 振動式差圧センサ
810 センサ基板
811 振動子形歪ゲージ素子
812 ダイアフラム
815 上面
820 ダイアフラムの厚み
830 ベース基板
835 凹部
840 凹部の部分の寸法
845 導入孔
846 流体
850 丸み
860 四角形
865 円形
870 多角形
910 センサウエハ
921 サポートウエハ
922 貼り付け用材料
931 反対側の面
932 丸み
940 ベースウエハ
941 圧力導入孔
942 凹部
960 ポートウエハを剥離した接合済みウエハ
Claims (4)
- ダイアフラムに設けられた振動子形歪ゲージを具備する振動式差圧センサにおいて、
一方の面に振動子形歪ゲージ素子が設けられ他方の面が前記ダイアフラムに相当する厚さに研磨されて形成されシリコンよりなるセンサ基板と、
このセンサ基板の他方の面に一方の面が直接に接合されたシリコンよりなるベース基板と、
前記ベース基板の前記センサ基板との接合部に設けられ前記センサ基板に実質的に前記ダイアフラムを形成し、異物の混入により前記ダイアフラムの可動範囲が制限されることなく且つ前記振動子形歪ゲージ素子の振動によって励起される前記ダイアフラムの振動に対して制動作用をなすための所定の隙間を有する凹部と、
この凹部に測定圧を導入する導入孔と、
前記凹部に導入孔を介して圧力を伝搬しダイアフラムを制動するための流体と、
を具備したことを特徴とする振動式差圧センサ。 - ダイアフラムに設けられた振動子形歪ゲージを具備する振動式差圧センサにおいて、
一方の面に振動子形歪ゲージ素子が設けられ他方の面が前記ダイアフラムに相当する厚さに研磨されて形成されシリコンよりなるセンサ基板と、
このセンサ基板の他方の面に一方の面が直接に接合されたシリコンよりなるベース基板と、
前記ベ−ス基板との接合部の前記センサ基板に設けられ前記センサ基板に実質的に前記ダイアフラムを形成し、異物の混入による前記ダイアフラムの可動範囲が制限されることなく且つ前記振動子形歪ゲージ素子の振動によって励起される前記ダイアフラムの振動に対して制動作用をなすための所定の隙間を有する凹部と、
この凹部に測定圧を導入する導入孔と、
前記凹部に導入孔を介して圧力を伝搬しダイアフラムを制動するための流体と
を具備したことを特徴とする振動式差圧センサ。 - 前記請求項1のダイアフラムに振動子形歪ゲージを形成する振動式差圧センサの製造方法において、
以下の工程を有することを特徴とする振動式差圧センサの製造方法。
(a)センサウエハの一方の面に振動子形歪ゲージ素子を形成する工程。
(b)前記センサウエハの他方の面にサポートウエハの一方の面が貼り付けられる貼付工程。
(c)前記センサウエハの他方の面がダイアフラム相当厚さに研削研磨される研削研磨工程。
(d)ベースウエハの一方の面に所定の隙間を有する凹部を形成する凹部形成工程。
(e)前記センサウエハの他方の面と前記ベースウエハの一方の面とを直接に接合する接合工程。
(f)前記センサウエハから前記サポートウエハを剥離するサポートウエハ剥離工程。
(g)個々のセンサウエハへダイシングするダイシング工程。 - 前記請求項2のダイアフラムに振動子形歪ゲージを形成する振動式差圧センサの製造方法において、
以下の工程を有することを特徴とする振動式差圧センサの製造方法。
(a)センサウエハの一方の面に振動子形歪ゲージ素子を形成する工程。
(b)前記センサウエハの他方の面にサポートウエハの一方の面が貼り付けられる貼付工程。
(c)前記センサウエハの他方の面がダイアフラム相当厚さに研削研磨される研削研磨工程。
(d)前記センサウエハの他方の面にパターニングして所定の隙間を有する凹部を形成するパターニング工程。
(e)前記センサウエハの他方の面と前記ベースウエハの一方の面とを直接に接合する接合工程。
(f)前記センサウエハから前記サポートウエハを剥離するサポートウエハ剥離工程。
(g)個々のセンサウエハへダイシングするダイシング工程。
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