JP2013044067A - 溶融紡糸型エレクトロスピニングに用いるプロピレン系樹脂組成物及びそれによる極細繊維の溶融紡糸方法 - Google Patents

溶融紡糸型エレクトロスピニングに用いるプロピレン系樹脂組成物及びそれによる極細繊維の溶融紡糸方法 Download PDF

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【課題】体積固有抵抗値が高くて溶融紡糸型エレクトロスピニング法を適用し難いポリプロピレン系樹脂材料に、溶融紡糸型エレクトロスピニング法を適用して極細繊維を製造する。
【解決手段】溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸する、ポリプロピレン系樹脂材料であって、プロピレン系樹脂3〜97重量%に、特定の配合剤として、脂環族炭化水素樹脂を97〜3重量%配合することを特徴とする、エレクトロスピニング用樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は溶融紡糸型エレクトロスピニングに用いるプロピレン系樹脂組成物及びそれによる極細繊維の溶融紡糸方法に関わり、詳しくは、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸するプロピレン系樹脂組成物、及び溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸する、ポリプロピレン系極細繊維の製造方法、並びにその製造方法により紡糸されたポリプロピレン系極細繊維及びその繊維製品に係るものである。
近年においてナノカーボンやナノチューブに代表されるナノテクノロジーが開発され、その極細構造による特異な機能や用途が注目されて、バイオテクノロジーなどと共に、新しい基本技術として重用されている。
ナノテクノロジーの分野において、一般にナノファイバーと呼ばれる繊維径がナノオーダー(数μm程度以下)の極細繊維も出現し、その極細繊維は表面積が非常に大きく、また、その極細構造による特異な機能も発現されるので、非常に広い各種の技術分野における用途が展開され有効利用されつつある。
その新しい用途としては、電池用セパレーター、電磁波シールド材、高性能フィルター、人工皮革、人工血管、細胞培養基材、ICチップ、有機EL、太陽電池などに代表される各種の用途開発が期待されている。
特に、(i)半導体産業、製薬産業、バイオ産業などにおける、高い捕集性能を有する高性能フィルターユニットとして、(ii)細胞が接着及び増殖しやすく取り扱いが容易な細胞培養繊維体として、(iii)医療分野における生体人工器官の表面全体のコーティング材料や生物学的機能を置換向上させる新材料として、(iv)優れたイオン透過性と充放電特性を有する分離膜とそれを利用した電気化学素子として、(v)超高感度の金属酸化物ガスセンサーとして、(vi)電子ペーパーにおける高性能なエレクトロクロミック表示素子として、及び、(vii)光発電性能の高い色素増感型太陽電池用電極や高い光電変換効率を実現し得る光電変換素子として、多々の重要な用途展開が行われている。
ナノファイバー分野におけるその製造方法としては、繊維径がナノオーダーと極めて細いため、通常の繊維を製造する紡糸方法では製造することが極めて難しいために、最近において、新しい紡糸法として、エレクトロスピニング法が開発され、それにより製造する技術手法が広く研究され新しい各種手法が提示されている。
エレクトロスピニング法としては、基本的に、ポリマーを溶剤に溶解又は分散したポリマー溶液をノズルからターゲットに向けて垂らすと共にノズルがプラス電極になり、ターゲットがマイナス電極になるように5〜100kVの高電圧を印加する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
しかし、このエレクトロスピニング法は溶液エレクトロスピニング法であり、使用し得るポリマーは溶剤に溶解するポリマーに限定され、また、ポリマーを溶解した溶剤がエレクトロスピニングする際に蒸発するため、この方法でナノファイバーを製造する際には蒸発した溶剤を回収しなければならず、巨大な溶剤回収装置が必要であるという欠点が内在している。また、得られた繊維に溶剤に起因する成分が残留する問題があり、繊維に溶剤が残留すると、後に溶剤に起因する成分が滲み出して繊維製品に不都合を生じる惧れもある。
このような欠点を解消するために溶剤を使用することなく、熱可塑性樹脂を加熱溶解してエレクトロスピニングする、溶融エレクトロスピニング法が研究開発されている。
この方法としては、基本的な手法として、導電性筒状ノズルに熱可塑性樹脂糸状物を挿通し、ノズル先端部を加熱溶融すると共に導電性筒状ノズルがプラス電極になり、ターゲットがマイナス電極になるよう高電圧を印加する、溶融静電紡糸方法とその装置が開示されている(特許文献2,3を参照)。
しかし、溶融静電紡糸法においては、高分子を静電紡糸可能な粘度まで下げるために熱を加えるが、長時間の加熱滞留によって熱分解して、高分子の物性低下を招く場合があった。
ポリマーの加熱分解を回避するために、レーザー光線を照射して加熱溶融させるエレクトロスピニング法(特許文献4を参照)が提示され、更には、ノズルの先端をヒートガンで加熱するエレクトロスピニング法や、真空中で溶融エレクトロスピニングする方法なども提案されている。
ところで、このような溶融エレクトロスピニング法においては、ポリプロピレンのような体積固有抵抗値が高いものでは、電圧を印加しても電荷を持ち難く、効率よく伸張延伸できないので、極細繊維化することは非常に困難である。
それゆえに、現状においては、溶融エレクトロスピニング法に適しない、ポリプロピレンのような樹脂に関しては、溶融エレクトロスピニング法における研究は未だ殆どなされていない。
特表2008−531860号公報 特開2007−321246号公報 特開2009−150039号公報 特開2007−239114号公報
背景技術における段落0006に前述したように、溶融エレクトロスピニング法に適しない、ポリプロピレンのような樹脂に関しては、溶融エレクトロスピニング法における研究は未だ殆どなされていず、プロピレン系樹脂においては溶融エレクトロスピニング法の適用により極細繊維を製造する手法の開発が望まれている現況を鑑みて、本発明はそのような極細繊維の製法を実現することを発明が解決すべき課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決することを図り、溶融エレクトロスピニング法の紡糸装置や紡糸条件及びプロピレン系樹脂材料の物性や性能規定、更には、プロピレン系樹脂の改質や組成物などに亘り、種々考察し実験的検索などを行い、その結果として、特定の配合剤として脂環族炭化水素樹脂を配合したプロピレン系樹脂組成物を採用すれば、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により極細繊維を製造できることを見い出して、本発明を創作するに至った。
しかして、本発明における基本的な発明は、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸する樹脂材料であって、脂環族炭化水素が配合されるプロピレン系樹脂組成物であり、その配合量はプロピレン系樹脂3〜97重量%、脂環族炭化水素97〜3重量%と規定される。
なお、本発明におけるかかる構成の要件(発明の特定事項)の合理性と有意性は、後記する実施例のデータ及び実施例と比較例の対照により実証されている。
そして、本発明における付帯的な発明としては、上記の基本発明において、プロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体又はα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体である発明であり、プロピレン系樹脂組成物が、更に、他の重合体及び/又は各種添加剤を含む発明であり、また、プロピレン系樹脂が次の特性を満たすプロピレン系樹脂組成物である発明であり〔a)MFR(温度230℃・荷重21.2N)が20〜5,000g/10minである b)DSC(示差走査熱量計測定)法により測定される融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃である〕、脂環族炭化水素樹脂が、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、又はそれらの水素添加誘導体であるプロピレン系樹脂組成物の発明でもあり、このプロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸するポリプロピレン系極細繊維を製造する方法の発明であり、当方法において加熱溶融がレーザー加熱により行われるポリプロピレン系極細繊維を製造する発明である。
更にまた、プロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って紡糸することにより得られたポリプロピレン系極細繊維の発明であり、この極細繊維を使用して製造された各種の繊維製品の発明である。
本発明は、上記した各発明により、特定の配合剤を利用する新規な要件によって、体積固有抵抗値が高いプロピレン系樹脂においても、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により極細繊維を工業的に生産効率よく製造できることを初めて見出したものであり、段落0007に記載した特許文献を含め従来の特許文献を精査しても、本発明の新しい構成の要件(発明の特定事項)を些かも窺うことはできない。
以上においては、本発明が創作される経緯と、本発明の基本的な構成要素と特徴について概観的に記述したので、ここで本発明の全体を俯瞰すると、本発明は次の発明の単位群から構成されるものであって、[1]の発明を基本的発明とし、それ以下は、基本発明の付帯的発明又は実施態様化発明である。なお、発明群の全体をまとめて、「本発明」という。
[1]溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸する樹脂材料であって、プロピレン系樹脂3〜97重量%に、脂環族炭化水素樹脂を97〜3重量%配合することを特徴とする、エレクトロスピニング用樹脂組成物。
[2]プロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体又はα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体であることを特徴とする、[1]におけるエレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物。
[3]プロピレン系樹脂組成物が、更に、他の重合体及び/又は各種添加剤を含むことを特徴とする、[2]におけるエレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物。
[4]プロピレン系樹脂が下記の特性を満たすことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるエレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物。
a)MFR(温度230℃・荷重21.2N)が20〜5,000g/10minである
b)DSC(示差走査熱量計測定)法により測定される融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃である
[5]脂環族炭化水素樹脂が、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、又はそれらの水素添加誘導体であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるエレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物。
[6][5]におけるプロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸することを特徴とする、ポリプロピレン系極細繊維を製造する方法。
[7]加熱溶融がレーザー加熱により行われることを特徴とする、[6]におけるポリプロピレン系極細繊維を製造する方法。
[8][5]におけるプロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って紡糸することにより得られたことを特徴とする、ポリプロピレン系極細繊維。
[9][8]における極細繊維を使用して製造されたことを特徴とする、各種の繊維製品。
本発明においては、従来では溶融紡糸型エレクトロスピニング法により極細繊維を製造できなかった、体積固有抵抗値が高いプロピレン系樹脂においても、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により極細繊維を工業的に生産効率よく製造することができる。
本発明の紡糸方法に用いる、溶融紡糸型エレクトロスピニング装置の説明図である。
本発明は、基本的発明として、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸する樹脂材料であって、プロピレン系樹脂3〜97重量%に、脂環族炭化水素樹脂を97〜3重量%配合することを特徴とする、エレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物である。
そして、以下においては、基本的発明の各要件について、更に、基本的発明に付帯する発明及び実施の態様について、具体的かつ詳細に記述する。
(1)プロピレン系樹脂材料
本発明で使用されるプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体のいずれであってもよいが、プロピレンとα−オレフィンの共重合体、特にプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましい。好ましく用いられるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、プロピレンから誘導される構成単位を主成分としたプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体である。コモノマーとして用いられるα−オレフィンは、好ましくはエチレン又は炭素数4〜18のα−オレフィンである。
α−オレフィンは具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などを挙げることができる。また、α−オレフィンとしては、1種単独又は2種以上の組み合わせでもよい。
かかるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−オクテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテンランダム共重合体などが挙げられる。
このようなプロピレン系重合体は、典型的には、個体状チタン触媒と有機金属化合物を主体とするチーグラー系触媒、又はメタロセン化合物を触媒の一成分として用いたメタロセン系触媒の存在下で、プロピレンを重合或いはプロピレンと他のα−オレフィンを共重合させることによって製造することができる。
重合法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、或いは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法などが挙げられる。
(2)プロピレン系樹脂組成物
本発明における基本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、脂環族炭化水素樹脂を配合することを主要な要件としている。脂環族炭化水素樹脂を配合することにより紡糸時の延伸性が向上し、溶融エレクトロスピニング法において得られる繊維径が細繊化されると考えられる。
脂環族炭化水素樹脂としては、例えば、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、又はそれらの水素添加誘導体が挙げられる。これらの中で石油樹脂又は石油樹脂の水素添加誘導体がより好ましい。石油樹脂としては、例えば、荒川化学工業(株)製のアルコン、トーネックス(株)製のエスコレッツなどの市販品が挙げられる。更に脂環族炭化水素樹脂は軟化点の低い方が好ましく、具体的には軟化点110℃以下である。
配合量としては、下限値として、3重量%、好ましくは5重量%、より好ましくは7重量%と規定する。これは、後記ずる比較例2に記載されているとおり、2重量部では添加の効果が認められなかったためである。また上限値としては、97重量%、好ましくは95重量%、より好ましくは93重量%と規定する。97重量%を超える配合量では、冷却固化速度が遅く、紡糸された極細繊維が互いに融着するため、好ましくない。
(3)プロピレン系樹脂の物性の規定
本発明で使用されるプロピレン系樹脂においては、JIS K7210に準拠して、加熱温度230℃・荷重21.2Nで測定されるMFR(メルトフローレート)が、20〜5,000g/10minであることが好ましく、より好ましくは100〜4,000g/10min、最も好ましくは500〜3,600g/10minである。
20g/10min未満では溶融樹脂の粘度が高くなり過ぎ、極細繊維が得られなくなり、5,000g/10minを超えるものは、現在の重合技術と設備では製造困難である。
本発明で使用されるプロピレン系樹脂は、示差走査熱量計(DSC)により測定された融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃であるのが好ましく、より好ましくは、120℃〜140℃である。
融解ピーク温度が110℃未満のものは溶融されたプロピレン系樹脂の冷却固化速度が遅く、紡糸された極細繊維が互に融着するため好ましくなく、160℃を、特に150℃を超えると溶融されたプロピレン系樹脂の冷却固化速度が速過ぎ、充分に延伸されないまま繊維が固化してしまうので、極細繊維が得られなくなる惧れがあるため好ましくない。
ここで、Tmの具体的測定は、示差走査熱量計(DSC)を用い、サンプル量5mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、更に10℃/分の昇温速度で融解させたときに描かれる曲線のピーク位置を、融解ピーク温度Tm(℃)とする。
(4)物性規定の制御方法
所望のMFRを得るためには、MFRは基本的に分子量に依存するので、分子量を制御すればよく、それには重合温度や水素ガスの供給量或いは重合停止剤などの制御を行えばよい。プロピレン系重合体を重合後、有機過酸化物を使用し溶融混練することにより調整してもよい。
プロピレン単独重合体のTmは、メタロセン触媒の錯体を選択することにより所望のTmとすることができる。α−オレフィンとの共重合体のTmを制御するには重合反応系へ供給するα−オレフィンの量を制御することにより容易に調整することができる。
(5)プロピレン系樹脂組成物への他材料の配合
本発明で使用されるプロピレン系樹脂組成物材料においては、組成物としては更に、他の樹脂との組成物、或いは、各種の添加剤を配合した組成物として使用することもできる。
配合される他の樹脂としては、プロピレンとα−オレフィンの各種重合体、オレフィン系重合体、その他任意の重合体を使用し得る。
他の各種の添加剤としては、樹脂材料の性能を高め、或いは、他の性能を付加するために配合され、通常ポリオレフィンに使用する公知の酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、フォスファイト系酸化防止剤及びチオ系酸化防止剤などが例示でき、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類が例示でき、光安定剤及び紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ニッケル錯化合物、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などが例示できる。また、滑剤としては、ステアリン酸アマイドなどの高級脂肪酸アマイド類が例示でき、帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸部分エステル類が例示でき、更には、金属不活性剤としては、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類などが例示できる。
(6)溶融紡糸型エレクトロスピニング装置
溶融紡糸型エレクトロスピニング装置としては、カトーテック製の加熱溶融紡糸型エレクトロスピニング装置などを使用し、樹脂を加熱溶融するシリンダー、樹脂を帯電する電極、樹脂押出用ピストン、ノズル及び極細繊維を受ける電極プレート(ターゲット)からなり、ノズルから出た溶融樹脂にノズルとターゲット間で電圧を印加し紡糸するものである。
図1は、本発明に使用した加熱溶融紡糸型エレクトロスピニング装置の概略説明図である。
紡糸工程では、適宜な加熱手段により加熱溶融させた熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、伸長する繊維を電気的引力によってターゲットに捕集する。この工程では、熱可塑性樹脂の溶融部に電圧を作用させて、ターゲットとは反対極の電荷を付与して帯電させることにより、溶融状態の樹脂をターゲットに向けて飛翔させて、伸長又は延伸させることにより静電紡糸する。
(7)極細繊維
本発明では、溶融型静電紡糸方法(エレクトロスピニング)により、繊維径の非常に小さい極細繊維(ナノ繊維)が得られる。極細繊維の平均繊維径は、例えば、5μm以下であり、好ましくは100nm〜3μm程度である。最細繊維径は1μm以下である。
繊維の繊維長は、特に限定されず、製造条件などを調整することにより、用途に応じて選択すればよい。
(8)極細繊維の利用態様
本発明により紡糸される極細繊維は、長繊維や短繊維として、通常の織布や不織布などの繊維製品に使用できる。
そして、本発明の極細繊維は、極細繊維の特殊性能と共にプロピレン系樹脂材料の性能により、段落0003において記載したように、新しい用途として、電池用セパレーター、電磁波シールド材、高性能フィルター、生体人工器材、細胞培養基材、ICチップ、有機EL、太陽電池、エレクトロクロミック表示素子、光電変換素子などに代表される各種の用途開発が期待される。
以下に本発明を実施例及び比較例によって、更に具体的に説明し、各実施例のデータ及び各実施例と各比較例の対照により、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性を実証する。
なお、実施例及び比較例における諸物性は、下記の評価方法に従って測定し評価し、使用した樹脂として実施例と比較例に記載のものを用いた。
イ)MFR:JIS K7210に準じて加熱温度230℃・荷重21.2Nにて測定した。
ロ)融解ピーク温度:セイコー社製DSCを用い、サンプル5.0mgを採り、200
℃で5分間保持後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、更に10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度を測定した。
ハ)最細繊維径:日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて紡糸した繊維径の観察を行い、最細繊維径を測定した。
1.ポリプロピレン系樹脂:ポリプロピレン系樹脂として以下の材料を用いた。
(1)ポリプロピレン系樹脂(PP−1);製造例1で得た組成物を用いた。
[製造例1]
(触媒の調整)
3つ口フラスコ(容積1L)中に、硫酸で逐次的に処理されたスメクタイト族ケイ酸塩(水沢化学社製ベンクレイSL)20g、ヘプタン200mLを仕込み、トリノルマルオクチルアルミニウム50mmolで処理後、ヘプタンで洗浄し、スラリー1とした。また、別のフラスコ(容積200mL)中に、ヘプタン90mL、(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム(特開2002−284808号公報の、実施例1に記載された方法に基づいて調製した。)0.3mmol、トリイソブチルアルミニウム1.5mmolを仕込みスラリー2とした。スラリー2を、上記スラリー1に加えて、室温で60分攪拌した。その後ヘプタンを210mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを10g/hrの速度でフィードし4時間40℃を保ちつつ予備重合、1時間残重合を行い予備重合触媒83gを得た。
(プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造)
内容積270Lの反応器に液状プロピレン、エチレン、水素、及びトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン希釈溶液を連続的に供給し、内温を62℃に保持した。プロピレンの供給量は、38kg/hrであり、エチレンの供給量は0.92kg/hrであり、水素の供給量は0.25g/hrであり、TIBAの供給量は18g/hrであった。前記予備重合触媒を流動パラフィンによりスラリー状とし、2.35g/hrでフィードした。その結果、12.2kg/hrのプロピレン・エチレンランダム共重合体を得た。
得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体は、MFR=26.0g/10分、エチレン含量=4.5mol%、Tm=125℃、Q値=2.7であり、0℃可溶分量は0.13重量%であった。
(添加剤の配合)
前記のプロピレン・エチレンランダム共重合体100重量部に対し、有機過酸化物である1,3−ビス(t−ブチル−パーオキシ−イソプロピル)ベンゼン(商品名:パーカドックス14・化薬アクゾ株式会社製)0.04重量部、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010・BASF社製)0.1重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168・BASF社製)0.1重量部、並びに中和剤であるステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレ−ト・日本油脂株式会社製)0.1重量部配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−:商品名)にて室温下で3分間混合した後、押出機にて溶融混練して、MFR=80g/10min、Tm125℃のプロピレン系樹脂ペレットを得た。
(2)ポリプロピレン系樹脂(PP−2)
市販のポリプロピレン(WMB3:日本ポリプロ(株)社製)に有機過酸化物である1,3−ビス(t−ブチル−パーオキシ−イソプロピル)ベンゼン(商品名:パーカドックス14・化薬アクゾ株式会社製)0.04重量部、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010・BASF社製)0.1重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168・BASF社製)0.1重量部、並びに中和剤であるステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレ−ト・日本油脂株式会社製)0.1重量部配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−:商品名)にて室温下で3分間混合した後、押出機にて溶融混練してMFR80g/10min、Tm142℃のポリプロピレン系樹脂を得た。
(3)ポリプロピレン系樹脂(PP−3);製造例2で得た組成物を用いた。
[製造例2]
(触媒の調整)
特開2002−284808号公報の実施例1に記載された方法に基づいてメタロセン系重合触媒((r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム)を調製した。
(プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の製造)
内容積200Lの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで充分に置換した後、充分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これにトリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、エチレン2.03kg、水素20L(標準状態の体積として)を加え、内温を30℃に維持した。次いで、触媒製造例に従い調製したメタロセン系重合触媒を0.2g(固体触媒成分として)アルゴンで圧入して重合を開始させ、40分かけて62℃に昇温し、120分間その温度を維持した。ここでエタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、ポリプロピレン系重合体16.6kgを得た。得られたポリプロピレン系重合体のMFRは500g/10分であり、融点は125.0℃であった。
(添加剤配合)
前記樹脂100重量部に対して、有機過酸化物である1,3−ビス(t−ブチル−パーオキシ−イソプロピル)ベンゼン(商品名:パーカドックス14・化薬アクゾ株式会社製)0.04重量部、フェノ−ル系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン(商品名:IRGANOX1010・BASF社製)0.1重量部、フォスファイト系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(商品名:IRGAFOS 168・BASF社製)0.1重量部、並びに中和剤であるステアリン酸カルシウム(商品名:カルシウムステアレ−ト・日本油脂株式会社製)0.1重量部配合し、高速攪拌式混合機(ヘンシェルミキサ−:商品名)にて室温下で3分間混合した後、押出機にて溶融混練して融点125℃・MFR=500g/10minのプロピレン系樹脂ペレットを得た。
(4)ポリプロピレン系樹脂(PP−4)
水素の量を30L(標準状態の体積として)に変更した以外は、製造例2と同様の操作を行ってポリプロピレン系樹脂を得た。得られたポリプロピレン系重合体のMFRは3,600g/10minであり、融点は125.2℃であった。
(5)ポリプロピレン系樹脂(PP−5)
ポリプロピレンにMA1(日本ポリプロ(株)社製)を用いた以外はポリプロピレン系樹脂(PP−2)と同様の操作を行ってポリプロピレン系樹脂を得た。得られたポリプロピレン系樹脂のMFRは80g/10min、Tmは160℃であった。
2.脂環族炭化水素:脂環族炭化水素として以下の材料を用いた。
S−1:荒川化学工業社製の水添石油樹脂(商品名:アルコンP−90、軟化点90℃)
S−2:荒川化学工業社製の水添石油樹脂(商品名:アルコンP−125、軟化点120℃)
(実施例1)
樹脂組成物としてポリプロピレン系樹脂(PP−1)80重量%と脂環族炭化水素樹脂(S−1)20重量%を押出機にて溶融混練して得られたペレットを用いた。
得られたプロピレン系樹脂を、図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kvの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とするナノファイバーが得られた。以上の結果を表1に掲載する。以下の各実施例及び各比較例の結果も表1に掲載する。
(実施例2)
樹脂組成物としてポリプロピレン系樹脂(PP−1)80重量%と脂環族炭化水素樹脂(S−2)20重量%を押出機にて溶融混練して得られたペレットを用いた。
得られたプロピレン系樹脂を、実施例1と同様に図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kvの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とするナノファイバーが得られた。
(実施例3)
樹脂組成物としてポリプロピレン系樹脂(PP−1)40重量%と脂環族炭化水素樹脂(S−1)60重量%を押出機にて溶融混練して得られたペレットを用いた。
得られたプロピレン系樹脂を、実施例1と同様に図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kvの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とするナノファイバーが得られた。
(実施例4)
樹脂組成物としてポリプロピレン系樹脂(PP−2)80重量%と脂環族炭化水素樹脂(S−1)20重量%を押出機にて溶融混練して得られたペレットを用いた。
得られたプロピレン系樹脂を、実施例1と同様に図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kvの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とするナノファイバーが得られた。
(実施例5)
樹脂組成物としてポリプロピレン系樹脂(PP−3)80重量%と脂環族炭化水素樹脂(S−1)20重量%を押出機にて溶融混練して得られたペレットを用いた。
得られたプロピレン系樹脂を、実施例1と同様に図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kvの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とするナノファイバーが得られた。
(実施例6)
樹脂組成物としてポリプロピレン系樹脂(PP−4)80重量%と脂環族炭化水素樹脂(S−1)20重量%を押出機にて溶融混練して得られたペレットを用いた。
得られたプロピレン系樹脂を、実施例1と同様に図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kvの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とするナノファイバーが得られた。
(実施例7)
樹脂組成物としてポリプロピレン系樹脂(PP−5)80重量%と脂環族炭化水素樹脂(S−1)20重量%を押出機にて溶融混練して得られたペレットを用いた。
得られたプロピレン系樹脂を、実施例1と同様に図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kvの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たすプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維として、目的とするナノファイバーが得られた。
(比較例1)
ポリプロピレン系樹脂(PP−1)を、脂環族炭化水素樹脂を配合せずに、実施例1と同様に図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kvの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たさないプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維としては、目的とするナノファイバーが得られていない。
(比較例2)
樹脂組成物としてポリプロピレン系樹脂(PP−1)98重量%と脂環族炭化水素樹脂(S−1)2重量%を押出機にて溶融混練して得られたペレットを用いた。
得られたプロピレン系樹脂を、実施例1と同様に図1に示す溶融紡糸型エレクトロスピニング装置において、260℃に加熱した溶融シリンダー内に4g投入し、5分間保持後、ピストンにて0.05cc/hrの吐出量で押し込み、ノズルとターゲット間に40kvの電圧を印加し、極細繊維を得た。
本発明の構成の要件を満たさないプロピレン系樹脂組成物から得られた極細繊維としては、目的とするナノファイバーが得られていない。
Figure 2013044067
[実施例と比較例の結果の考察]
表1から明らかなように、実施例1〜7は本発明の構成の要件を満たしているので、比較例1〜2と対照して、極細繊維としてのナノファイバーが得られている。
比較例1は、脂環族炭化水素樹脂を配合せず、比較例2は、脂環族炭化水素樹脂の配合量が少な過ぎ、本発明の構成の要件を満たしていないので、極細繊維としてのナノファイバーにおいて最細繊維径が劣っている。
以上の結果より、本発明の構成の合理性と有意性及び従来技術に対する卓越性が明示されているといえる。
本発明のプロピレン系樹脂材料を用い、溶融紡糸型エレクトロスピニング装置で得られた極細繊維は、ナノ単位の極細であるため、表面積が大きく、吸液性や濾過性に優れる。
したがって、各種用途、例えば、絶縁材用セパレーターなどのエレクトロニクス用部材、産業用資材(油吸着材、皮革基布、セメント用配合剤、ゴム用配合材、各種テープ基材など)、医療・衛生材(紙おむつ、ガーゼ、包帯、医療用ガウンなど)、生活関連資材(ワイパー、印刷物基材、包装・袋物資材、収納材、エアーフィルター、液体フィルターなど)、衣料用材、内装用材(断熱材、吸音材など)、建設資材、農業・園芸用資材、土木用資材、鞄・靴材などに使用できる。
1;ピストン 2;遮蔽板 3;溶融シリンダー 4;ノズル 5;電極プレート 6;絶縁板 7;テーブル

Claims (9)

  1. 溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸する樹脂材料であって、プロピレン系樹脂3〜97重量%に、脂環族炭化水素樹脂を97〜3重量%配合することを特徴とする、エレクトロスピニング用樹脂組成物。
  2. プロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体又はα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載されたエレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物。
  3. プロピレン系樹脂組成物が、更に、他の重合体及び/又は各種添加剤を含むことを特徴とする、請求項2に記載されたエレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物。
  4. プロピレン系樹脂が下記の特性を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載されたエレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物。
    a)MFR(温度230℃・荷重21.2N)が20〜5,000g/10minである
    b)DSC(示差走査熱量計測定)法により測定される融解ピーク温度(Tm)が110〜150℃である
  5. 脂環族炭化水素樹脂が、石油樹脂、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、又はそれらの水素添加誘導体であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたエレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物。
  6. 請求項5に記載されたプロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸することを特徴とする、ポリプロピレン系極細繊維を製造する方法。
  7. 加熱溶融がレーザー加熱により行われることを特徴とする、請求項6に記載されたポリプロピレン系極細繊維を製造する方法。
  8. 請求項5に記載されたプロピレン系樹脂組成物を、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って紡糸することにより得られたことを特徴とする、ポリプロピレン系極細繊維。
  9. 請求項8に記載された極細繊維を使用して製造されたことを特徴とする、各種の繊維製品。
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