JP2015161051A - ナノファイバーの製造方法およびナノファイバー - Google Patents

ナノファイバーの製造方法およびナノファイバー Download PDF

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朋子 高野
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誠 中原
武田 昌信
Masanobu Takeda
昌信 武田
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Abstract

【課題】溶融紡糸型エレクトロスピニング法において印加電圧の効果が得られやすくなり、工業的に効率よく生産でき、ウェブ状繊維または不織布とした場合のハンドリング性に優れたナノファイバーの製造方法、およびナノファイバーを提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部に対し、ヒンダードアミン系添加剤を0.01〜1重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融し、エレクトロスピニング法により紡糸するナノファイバーの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ナノファイバーの製造方法、およびナノファイバーに関する。特に、溶融紡糸型エレクトロスピニング法において印加電圧の効果が得られやすくなり、工業的に効率よく生産でき、ウェブ状繊維または不織布とした場合のハンドリング性に優れたナノファイバーの製造方法、およびナノファイバーに関する。
繊維径が1000nm未満であるナノファイバーは、従来の繊維に比較して非常に大きな表面積を持つ事や、高度な吸着性、保水性、または吸水性等の特殊な機能が発現することから、種々の用途での活用が期待されている素材である。
近年では、原料をN,N−ジメチルホルムアミドなどの有機溶剤やギ酸などの酸性の溶液に溶解し、溶液を噴射する際に溶液噴射機の先端に電圧を印加し作成するエレクトロスピニングナノファイバーが開示されている(特許文献1)。
また、混合物の無い荷電ポリマー溶融物を、加熱された高速ガスストリームに提供する、ナノファイバーを得るための静電紡糸装置が開示されている(特許文献2)。
さらに、プロピレン系樹脂にトリアジン環構造を有する添加剤を添加して、エレクトロスピニング法により加熱溶融状態で押出紡糸を行うことで得られるナノファイバーが開示されている。エレクトロスピニング紡糸用プロピレン系樹脂組成物が提案されている(特許文献3)。
特開2005−194675号公報 特表2013−519805号公報 特開2012−72514号公報
上記の特許文献1に開示されたナノファイバーは、その製造工程において、極めて細いナノファイバーを製造するため、その原料を十分に溶解させる必要があり、そのため、有機溶剤、または酸性薬品等を用いる。この場合、上記の薬品を除去するため得られたナノファイバーを蒸留水で洗浄する等の工程が必要となり、生産性に劣るとの課題がある。また、上記の薬品がナノファイバー内に残留すると、後に上記の薬品に起因する成分が滲み出して繊維製品に不都合を生じるおそれもあるとの課題もある。
また、特許文献2に開示されたナノファイバーでは、その製造工程において、特許文献1に開示されているような有機溶剤、または酸性薬品は用いないため、特許文献1に記載のナノファイバーが有するような課題は有しない。しかし、その一方で、特許文献2に開示されたナノファイバーを構成する樹脂材料は溶融粘度が低く、かつ紡糸装置のノズルとの摩擦係数の低いものでなければならないとの制限や、十分に平均繊維径の小さいナノファイバーを得ることは困難であるとの課題もある。
さらに、特許文献3に開示されたナノファイバーでは、それを構成する樹脂材料にトリアジン環構造を有する添加剤を添加し、ナノファイバーを構成する樹脂材料を分極させ、溶融状態の前記樹脂材料の分岐効率の向上を図っている。しかし、それでも十分に平均繊維径の小さいナノファイバーを得ることは困難であるとの課題がある。
本発明は、上記の従来の問題点を鑑み、熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融し紡糸を行うエレクトロスピニング法(以下、溶融紡糸型エレクトロスピニング法という。)において印加電圧の効果が得られやすくし、極めて平均繊維径が小さく、ウェブ状繊維または不織布とした場合のハンドリング性に優れたナノファイバーの製造方法を提供することにある。
上記課題を達成するための本発明は、以下のいずれかの構成を採用するものである。
(1)熱可塑性樹脂100重量部に対し、ヒンダードアミン系添加剤を0.01〜1重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融し、エレクトロスピニング法により紡糸するナノファイバーの製造方法、
(2)前記熱可塑性樹脂組成物が、前記熱可塑性樹脂100重量部に対し、減粘剤を0.001〜5重量部含有する(1)のナノファイバーの製造方法、
(3)前記減粘剤が、炭素数が12〜24の飽和脂肪酸系化合物である(2)のナノファイバーの製造方法、
(4)前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である(1)〜(3)のいずれかのナノファイバーの製造方法、
(5)熱可塑性樹脂100重量部に対し、ヒンダードアミン系添加剤を0.01〜1重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融し、エレクトロスピニング法により紡糸して得られるナノファイバー。
本発明により、溶融紡糸型エレクトロスピニング法において印加電圧の効果が得られやすくなり、極めて平均繊維径が小さく、ウェブ状繊維または不織布とした場合のハンドリング性に優れたナノファイバーの製造方法を提供することができる。
本発明のナノファイバーの製造方法は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、ヒンダードアミン系添加剤を0.01〜1重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融し、エレクトロスピニング法により紡糸するものである。上記のとおり、従来の溶融紡糸型エレクトロスピニング法では、十分に小さい平均繊維径のナノファイバーを得ることは困難であり、ナノファイバーを構成する熱可塑性樹脂の組成物にトリアジン環構造を有する添加剤を添加し上記の熱可塑性樹脂を分極させた場合であっても十分に小さい平均繊維径のナノファイバーを得ることは困難であった。しかし、本発明者は鋭意検討を行い、熱可塑性樹脂100重量部に対し、ヒンダードアミン系添加剤を0.01〜1重量部含有させることにより、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により極めて平均繊維径の小さいナノファイバーが得られることを見出した。
ここで、本発明のナノファイバーとは、ナノメートル(nm)レベルの繊維径を有する繊維を意味し、定義するのであれば、数平均繊維径が1nm以上1μm未満の繊維をいう。ナノファイバーにおいて、繊維断面が円形でない異形断面の場合は、同面積の円形に換算したときの繊維径に基づくものとした。ナノファイバーの数平均繊維径は、繊維の表面積や、高度な吸着性、保水性、または吸水性等の特殊な機能のさらなる向上の観点から、より好ましくは0.75μm以下である。一方、ナノファイバーの平均繊維径の下限については特に限定されないが、生産性とのバランスから、好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上である。
熱可塑性樹脂とは、加熱することで軟化し(すなわち、可塑化し)、冷却することで固化する樹脂のことをいい、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等を挙げることができる。本発明において、熱可塑性樹脂は特に限定されないが、紡糸性がよく、汎用性も高いことから中でもポリエステル系樹脂やポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂組成物に添加するヒンダードアミン系添加剤により、より高度に分極が促進されるとの観点からポリオレフィン系樹脂であることがより好ましい。
ここで、ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよびポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレートおよびポリトリメチレンテレフタレートやこれらの共重合体ならびにアロイ樹脂を用いてもよい。また、乳酸をエステル結合により重合したポリ乳酸(以下、PLAという。)を用いてもよい。
また、ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン(以下、PPという。)、ポリブテンおよびポリメチルペンテン等のホモポリマーなどが挙げられる。また、これらのホモポリマーに異なる成分を共重合したコポリマーや、異なる2種以上のポリマーブレンドを用いても良い。これらの中でも、紡糸性の観点から、PPが好ましく用いられる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂においては、JIS K7210に準拠して、加熱温度は測定する熱可塑性樹脂の融点より27℃高い温度・荷重は21.2Nで測定されるメルトフローレート(MFR)が、30〜2000g/10minであることが好ましい。熱可塑性樹脂のMFRを30g/10min以上とすることで、より少量の減粘剤の添加でナノファイバーを製造することができ、減粘剤の添加量をより少量とできることでナノファイバー中に減粘剤由来の気化ガスの混入をより抑制でき、ナノファイバーの強度を向上させ、よりウェブ状繊維または不織布とした場合のハンドリング性に優れるナノファイバーを得ることができる。一方、熱可塑性樹脂のMFRを2000g/10min以下とすることで、汎用的な押出機を用いての押し出しが可能となる。上記の観点から、上記の条件で測定した熱可塑性樹脂のMFRは、50〜1750g/10minであることがより好ましく、70〜1000g/10minであることがさらに好ましい。
上記の熱可塑性樹脂において所望のMFRを得るためには、MFRは基本的に分子量に依存するので、上記の熱可塑性樹脂の分子量を制御すればよく、分子量を制御する方法としては、重合温度や水素ガスの供給量の調整あるいは重合停止剤の使用などが挙げられる。
上記の熱可塑性樹脂は、それぞれ単体で用いることも出来るし、複数の樹脂を混合して用いることも可能である。また、高分子化については、共重合体として複数種類の樹脂を併用することもできる。
本発明において、前記熱可塑性樹脂100重量部に対して、ヒンダードアミン系添加剤を0.01〜1重量部含有することが重要である。本発明者らは、溶融紡糸型エレクトロスピニング法によるナノファイバーの製造方法において、熱可塑性樹脂組成物に特定量のヒンダードアミン系添加剤を添加することで、熱可塑性樹脂が高度に分極され、電界による溶融樹脂の分岐や、後述するアシストエアーによる延伸が効率よくなされることで、極めて平均繊維径の小さいナノファイバーが得られることを見出した。ヒンダードアミン系添加剤の含有量を熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.01重量部未満とすると、熱可塑性樹脂の分極が不十分となり、電界による溶融樹脂の分岐や、アシストエアーによる延伸が十分に行われず、平均繊維径の小さいナノファイバーが得られない。一方、ヒンダードアミン系添加剤の含有量を熱可塑性樹脂100重量部に対し、1重量部を超えたものとすると、熱可塑性樹脂の分解や、ナノファイバー内にヒンダードアミン系添加剤に由来する気化ガスが混入することによる気泡の発生によるナノファイバーの強度の低下が起こり、ナノファイバーのウェブ状繊維または不織布とした場合のハンドリング性が低下する。上記の観点から、ヒンダードアミン系添加剤の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.1〜1重量部であることが好ましく、0.3〜0.9重量部であることがより好ましい。
前記ヒンダードアミン系添加剤としては例えば、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2、2、6、6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン共重合物、ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3、5−ビス(1、1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、N−N’−ビス(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)−N−N’−ジホルミルヘキサメチレンジアミンなどを用いることができ、樹脂との相溶性の観点からコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2、2、6、6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物、または、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン共重合物を好ましく用いることができる。
熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂100重量部に対し、減粘剤が0.001〜5重量部含有されていることが好ましい。減粘剤を、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.001重量部以上含有させることで、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により平均繊維径の極めて小さいナノファイバーを得ることができる。これは、溶融紡糸型エレクトロスピニング法によりナノファイバーを紡糸する際に、熱可塑性樹脂組成物に含有される減粘剤が溶融粘度の比較的高い樹脂やノズルとの摩擦抵抗の比較的高い樹脂を用いた場合においても溶融状態の熱可塑性樹脂の流動性を高め、溶融状態の熱可塑性樹脂の電界による分岐や、溶融状態の熱可塑性樹脂のアシストエアーによる延伸を効率よく促進するためであると推測する。一方で、減粘剤を、熱可塑性樹脂100重量部に対し、5重量部以下含有させることで、熱可塑性樹脂の分解を抑制し、さらにナノファイバー内に減粘剤の気化ガスが大量に混入することにより発生する気泡によるナノファイバーの強度の低下を抑制することで、ナノファイバーのウェブ状繊維または不織布とした場合のハンドリング性をより一層向上させることができる。上記の観点から、減粘剤の含有量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.005〜3重量部であることがより好ましく、0.01〜1重量部であることがさらに好ましい。
減粘剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、合成ポリエチレンワックスなどの炭化水素系化合物、ステアリルアルコールなどの高級アルコール系化合物または炭素数が12〜24の飽和脂肪酸系化合物が例示できる。これらの中でも、紡糸安定性の理由により、減粘剤は炭素数が12〜24の飽和脂肪酸系化合物であることが好ましい。炭素数が12〜24の飽和脂肪酸系化合物としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸およびそれらの金属塩が挙げられ、中でもステアリン酸またはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムなどが、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物の流動性をより高めると共に、ノズルとの摩擦抵抗をより低減でき、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物の電界による溶融樹脂の分岐や、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物のアシストエアーによる延伸が効率よくなされる観点から好ましい。上記の観点から、減粘剤としてステアリン酸マグネシウムを用いるのが特に好ましい。また、上記に例示した減粘剤は単独で用いてもよいし、複数種類のものを混合して用いてもよい。
本発明に用いる溶融紡糸型エレクトロスピニング装置は特に限定されたものではないが、大きくは熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融して押し出す加熱溶融押出部、溶融した樹脂を吐出するノズル部、電圧を印加してナノファイバー化する電圧印加部、得られたナノファイバーを捕集する捕集部とからなることが好ましい。熱可塑性樹脂の軟化点温度以上、さらに好ましくは融点以上に昇温された加熱溶融押出部に、ヒンダードアミン系添加剤を熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.01〜1重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を投入し、加熱溶融により可塑化させ、押し出し、ノズル部から吐出する。ノズルから吐出された熱可塑性樹脂に電圧印加部で電圧を印加してナノファイバー化する。電圧を印加する方法としては、ノズルと捕集部との間に高電圧を印加してもよいし、ノズル部近傍に独立した電極を設けて電圧を印加してもよい。また、必要に応じてノズル後部から吐出された熱可塑性樹脂流体に向けて熱風(アシストエアー)を吹き付けて、紡糸をアシストしてもよい。このとき、熱可塑性樹脂にヒンダードアミン系添加剤が含まれてなるので、印加電圧の効果を受け易く、繊維径が細くなり、ナノファイバーを安定して得ることができる。このようにして得られたナノファイバーは、搬送ネットや不織布や織物等の布帛などに捕集してシート状ナノファイバーを得ることができる。
本発明のナノファイバーは、ウェブ状態のまま用いてもよい。上記のウェブを加圧成形することによりシート状態やブロック状態にして用いることもできる。シート状態やブロック状態の成形体にして用いることは、成形体にウェブ状繊維または不織布とした場合のハンドリング性が付与されるため好ましい。
また、ナノファイバーのウェブを加圧成形する方法としては、具体的には、平板プレス成形法、金型プレス成形法、エンボスロール法やカレンダー加工法などが挙げられるが、不織布を効率よく生産する観点では、カレンダー加工法が好ましい。
本実施例で用いた測定法を下記に示す。
(1)平均繊維径
ナノファイバーの平均繊維径は、ウェブ状ナノファイバーの面の幅方向の中央部から5mm角のサンプルを取得し、次のようにして求める。すなわち、走査型電子顕微鏡(日立製作所社製S−3500N型)にて倍率3,000倍で撮影したナノファイバーの集合体の写真を、画像処理ソフト(WINROOF)を用いて、5mm角のサンプル内で無作為抽出した50本の単繊維直径をnm単位で小数の1桁目まで測定して少数の1桁目を四捨五入する。サンプリングは、合計5回行って各50本の単繊維直径のデータを取り、合計250本の単繊維直径のデータを積算後、全数で除して単純平均値を求めたものを平均繊維径(μm)とした。
(2)メルトフロレート(MFR)
PP樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠して、メルトインデクサー(東洋精機社製F−B01型)を用いて、加熱温度190℃、荷重21.2Nで測定した。
(3)不織布の目付
JIS L1906(2000)5.2の方法により目付を測定した。得られた不織布を20℃×65%RHの温湿度で24時間調湿し、その後、上記不織布の異なる箇所から5cm角のサイズの試験片を採取し、それぞれの重量(g)を測定、1m当たりの重量(g/m)に換算した。前記の測定をn=3で実施し、その平均値を不織布の目付(g/m)とした。
(4)不織布の厚み
得られた不織布を20℃×65%RHの温湿度で24時間調湿し、PEACOCK社製接触式ダイヤルゲージ(形式:G2−205)にて厚みを測定した。前記の測定をn=10で実施し、その平均値を不織布の厚み(μm)とした。
(5)不織布の見かけ密度
不織布の目付、厚みから、下式により見かけ密度を算出した。
不織布の見かけ密度(g/cm)=不織布の目付(g/m)/不織布の厚み(μm)
(6)ウェブ状繊維、不織布のハンドリング性
得られたウェブ状繊維、不織布を以下の基準で官能評価した。
○:ウェブ状繊維、加圧成形後の不織布の双方とも破れや切れは発生せず問題なくハンドリングできる。
△:ウェブ状繊維の不織布基材シートからの剥離は問題なかったが、加圧成形後の不織布はハンドリング時に、簡単に破れる。
×:ウェブ状繊維を不織布基材シートから剥離する際に破れが発生しハンドリング困難である。
(実施例1)
PP樹脂(サンアロマー社製、融点:163℃、MFR:700)100重量部、ヒンダードアミン系添加剤(I)としてオレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン共重合物(BASF社製、製品名:Uvinul 5050 H)0.30重量部を電気的に接地されている押出機に供給して330℃の温度で溶融混練し、紡糸ノズルから押出した。この際に紡糸ノズル後部から吐出された樹脂流体に向けて300℃の熱風を吹き付け、更にノズルの側面から独立した電極により20kVの電圧を印加させ、1m/minの速度で駆動する不織布基材シートに吹き付け、繊維を捕集した。得られた繊維の繊維径は0.93μmと細いものであった。
得られたウェブ状繊維は問題なく不織布基材シートから剥がすことができ、10cm角に裁断し、目付が100g/mとなる様に積層し、2枚のSUS板に挟んで、温度20℃、面圧力1.0MPaの条件で加圧成形し、目付101g/m、厚み215μm、見かけ密度0.47g/cmの不織布を得た。作業中のウェブ状繊維、得られた不織布のハンドリング性は良好(○)であった。
(実施例2)
実施例1と同様の方法で、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン共重合物(BASF社製、製品名:Uvinul 5050 H)の添加率を0.50重量部に変更し、繊維を製作した。得られた繊維の繊維径は0.75μmと細いものであった。
得られたナノファイバーウェブを不織布基材シートから剥がし、実施例1と同様の方法で加圧成形し、目付105g/m、厚み219μm、見かけ密度0.48g/cmの不織布を得た。作業中のウェブ状繊維、得られた不織布のハンドリング性は良好(○)であった。
(実施例3)
実施例1と同様の方法で、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン共重合物(BASF社製、製品名:Uvinul 5050 H)の添加率を0.90重量部に変更し、繊維を製作した。得られた繊維の繊維径は0.61μmと細いものであった。
得られたナノファイバーウェブを不織布基材シートから剥がし、実施例1と同様の方法で加圧成形し、目付102g/m、厚み200μm、見かけ密度0.51g/cmの不織布を得た。作業中のウェブ状繊維、得られた不織布のハンドリング性は良好(○)であった。
(実施例4)
実施例1と同様の方法で、ヒンダードアミン系添加剤(II)としてコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2、2、6、6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物(BASF社製、製品名:Tinuvin622SF)を0.50重量部添加に変更し、繊維を製作した。得られた繊維の繊維径は0.73μmと細いものであった。
得られたナノファイバーウェブを不織布基材シートから剥がし、実施例1と同様の方法で加圧成形し、目付98g/m、厚み192μm、見かけ密度0.51g/cmの不織布を得た。作業中のウェブ状繊維、得られた不織布のハンドリング性は良好(○)であった。
(実施例5)
実施例1同様の方法でヒンダードアミン系添加剤(II)としてコハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2、2、6、6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールの重縮合物(BASF社製、製品名:Tinuvin622SF)を0.50重量部に加え、更に減粘剤としてステアリン酸マグネシウム(和光純薬工業製)0.02重量部を添加し繊維を製作した。得られた繊維径は0.54μmと細いものであった。
得られたナノファイバーウェブを不織布基材シートから剥がし、実施例1と同様の方法で加圧成形し、目付96g/m、厚み185μm、見かけ密度0.52g/cmの不織布を得た。作業中のウェブ状繊維、得られた不織布のハンドリング性は良好(○)であった。
(比較例1)
実施例1と同様の方法で、ヒンダードアミン系添加剤を添加せず、繊維を製作した。得られた繊維の繊維径は1.38μmと太いものであった。
得られたナノファイバーウェブを不織布基材シートから剥がし、実施例1と同様の方法で加圧成形し、目付105g/m、厚228μm、見かけ密度0.46g/cmの不織布を得た。作業中のウェブ状繊維、得られた不織布のハンドリング性は良好(○)であった。
(比較例2)
実施例1と同様の方法で、オレフィン(C20−C24)・無水マレイン酸・4−アミノ−2、2、6、6−テトラメチルピペリジン共重合物(BASF社製、製品名:Uvinul 5050 H)の添加率を2.0重量部に変更し、繊維を製作した。得られた繊維の繊維径は0.41μmと細いものであった。
得られたナノファイバーウェブを不織布基材シートから剥がすと破れが発生し、良好にナノファイバーウェブを得ることはできず、ハンドリング性は劣るもの(×)であった。破れたナノファイバーウェブを実施例1と同様の方法で加圧成形し、目付96g/m、厚み181μm、見かけ密度0.53g/cmの不織布を得たが、得られた不織布のハンドリング性も、劣るものであった。
(比較例3)
実施例1と同様の方法で、ヒンダードアミン系添加剤のかわりにトリアジン系添加剤(ポリ〔(6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)((2,2,6,6−テトラメチル−4−ペピリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ)〕(BASF社製、製品名:キマソーブ944)を0.4重量部添加して繊維を製作した。得られた繊維の繊維径は1.12μmと太いものであった。
得られたナノファイバーウェブを不織布基材シートから剥がし、実施例1と同様の方法で加圧成形し、目付102g/m、厚208μm、見かけ密度0.49g/cmの不織布を得た。作業中のウェブ状繊維、得られた不織布のハンドリング性は良好(○)であった。
Figure 2015161051
本発明によれば、ナノファイバーを工業的に効率よく生産することができる。特に、溶融紡糸型エレクトロスピニング法において印加電圧の効果が得られやすくなり、工業的に効率よく生産でき、ウェブ状繊維または不織布とした場合のハンドリング性に優れたナノファイバーの製造方法、およびナノファイバーが得ることができ、液体および気体フィルター関連、医療用材料、電池関連部材などに好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂100重量部に対し、ヒンダードアミン系添加剤を0.01〜1重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融し、エレクトロスピニング法により紡糸するナノファイバーの製造方法。
  2. 前記熱可塑性樹脂組成物が、前記熱可塑性樹脂100重量部に対し、減粘剤を0.001〜5重量部含有する請求項1に記載のナノファイバーの製造方法。
  3. 前記減粘剤が、炭素数が12〜24の飽和脂肪酸系化合物である請求項2に記載のナノファイバーの製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のナノファイバーの製造方法。
  5. 熱可塑性樹脂100重量部に対し、ヒンダードアミン系添加剤を0.01〜1重量部含有してなる熱可塑性樹脂組成物を加熱溶融し、エレクトロスピニング法により紡糸して得られるナノファイバー。
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