JP2018199885A - 不織布 - Google Patents
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A.飽和脂肪酸系添加剤が、炭素数が12〜45の飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩の中から炭素数が異なる2種以上の飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩からなる。
B.飽和脂肪酸系添加剤中に含まれる飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩の炭素数が最大のものと最小のものの炭素数の差が4以上である。
C.ポリエチレンに対する飽和脂肪酸系添加剤全体の添加量が0.1〜10.0質量%である。
A.飽和脂肪酸系添加剤が、炭素数が12〜45の飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩の中から炭素数が異なる2種以上の飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩からなる。
B.飽和脂肪酸系添加剤中に含まれる飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩の炭素数が最大のものと最小のものの炭素数の差が4以上である。
C.ポリエチレンに対する飽和脂肪酸系添加剤全体の添加量が0.1〜10.0質量%である。
次に、飽和脂肪酸系添加剤として、炭素数が12〜45の飽和脂肪酸および飽和脂肪酸金属塩の中から炭素数が異なる2種以上の飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩が用いられる理由を説明する。
ここで飽和脂肪酸系添加剤が、「炭素数が12〜45の飽和脂肪酸および飽和脂肪酸金属塩の中から炭素数が異なる2種以上の飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩からなる場合」とは、(1)炭素数12〜45の飽和脂肪酸から選ばれる2種以上の脂肪酸からなる場合、あるいは、(2)炭素数12〜45の飽和脂肪酸の金属塩から選ばれる2種以上の飽和脂肪酸の金属塩からなる場合、あるいは、(3)炭素数12〜45の飽和脂肪酸と炭素数12〜45の飽和脂肪酸の金属塩から選ばれる炭素数が異なる脂肪酸と脂肪酸の金属塩との混合物からなる場合、を意味する。
上記の平均単繊維繊度は、繊維の側面の顕微鏡観察から繊維の直径を求めることができる。また、繊維断面が異形断面の場合は、繊維断面写真における繊維断面積A(m2)とポリマー密度ρ(g/m3)より、次式を用いて算出することができる。
・単繊維繊度(dtex)=A(m2)×ρ(g/m3)×10000(m)
本発明の不織布は、目付が3〜200g/m2であることが好ましい態様である。前記の目付は、より好ましくは5〜150g/m2であり、さらに好ましくは10〜100g/m2である。目付を上記の範囲とすることにより、十分な柔軟性を得ることができる。
また、熱接着時の熱エンボスロールの線圧は、5〜50kgf/cmであることが好ましい。前記の線圧を5kgf/cm以上、より好ましくは10kgf/cm以上、さらに好ましくは15kgf/cm以上とすることにより、十分に熱接着させることができる。一方、前記の線圧を50kgf/cm以下、より好ましくは40kgf/cm以下、さらに好ましくは30kgf/cm以下とすることにより、ロールの応力がかかりすぎないことにより不織布の風合いを維持することができる。
原料ポリマー(ポリエチレンとポリエステル)の融点は、パーキンエルマ社製示差走査型熱量計DSC−2型を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度を融点とした。また、示差走査型熱量計において、融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が完全に溶融した温度を融点とした。
ポリエチレンのMFRは、JIS K 7210(1999年)に準拠して測定し、190℃の温度で、荷重2.16kgの条件で測定した。
ポリエステルの固有粘度(IV)は、次の方法で測定した。オルソクロロフェノール100mlに対し試料8gを溶解し、温度25℃においてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを、下記式により求めた。
・ηr=η/η0=(t×d)/(t0×d0)
(ここで、ηはポリマー溶液の粘度、η0はオルソクロロフェノールの粘度、tは溶液の落下時間(秒)、dは溶液の密度(g/cm3)、t0はオルソクロロフェノールの落下時間(秒)、d0はオルソクロロフェノールの密度(g/cm3)を、それぞれ表す。)
次いで、上記の相対粘度ηrから、下記式により固有粘度(IV)を算出した。
・IV=0.0242ηr+0.2634。
不織布から、試料を1g以上採取する。採取した試料を、有機溶剤に浸漬してポリエチレン成分を溶解除去する。使用する有機溶剤としては、ポリエチレン成分が溶解するものであればよく、1,2,4−トリクロロベンゼンを使用する。有機溶剤によりポリエチレンを溶解除去し、ポリエステル成分を得る。
・スプリット比:1/20、
・キャリアガス流速:2mL/min、
・注入口温度:220℃、
・注入量:1μL、
・MS:JEOL製 SX−102A、
・モニターイオン:m/z 61.0290。
繊維の紡出から100時間後の口金孔周辺の堆積物量を、長焦点顕微鏡を用いて観察した。また、生産量1トンあたりの糸切れ回数をカウントし、次の基準で判定した。◎および○の判定を合格とし、×の判定を不合格とした。
◎:堆積物がほとんど認められず生産が可能である状態で、糸切れ回数が0.5回/トン以下である。
○:堆積物が若干認められものの生産は可能である状態、糸切れ回数が2.0回/トン以下である。
×:堆積物が認められ、頻繁に糸切れが発生する状態、糸切れ回数が2.0回/トンより多い。
不織布を走査型電子顕微鏡(SEM キーエンス社製VE−7800型)で、500倍で観察し、無作為に抽出した50本の単繊維直径を測定した。これを3ヶ所で行い、合計150本の単繊維の直径を測定し、小数点以下を四捨五入して平均値を算出した。繊維断面が異形断面の場合、まず単繊維の断面積を測定し、当該断面を円形と見立てた場合の直径を算出することによって単繊維の平均繊維直径を求めた。
上記で求めた繊維直径および、使用する樹脂の固形密度から長さ10,000m当たりの質量を単繊維繊度として、小数点以下第二位を四捨五入して算出した。
不織布の目付は、JIS L1913(2010年)の6.2「単位面積当たりの質量」に基づき、20cm×25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3枚採取し、標準状態におけるそれぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m2当たりの質量(g/m2)で表した。
JIS L 1908(2010年)に準拠して、不織布の厚さを測定した。2500mm2の面積を有するプレッサーフット準備する。プレッサーフットの直径の1.75 倍以上の大きさの試験片について、一定時間2kPaの圧力を加えた後、厚さを測定する。試験片10枚分の平均値を算出して、その値を厚みとした。
測定した上記の不織布の目付と厚さから、不織布の見掛密度を算出した。この数値が低いほど、嵩高性に優れていると評価した。
不織布触感の官能評価として、柔軟性、さらさら感、ゴワゴワ感について、以下の基準で点数付けを行った。これを10名で行いその平均を不織布触感として評価した。それぞれの平均値が高いほど、不織布触感が優れていると判断し、4.0点以上を合格とした。
5点:やわらかい
4点:5点と3点の中間
3点:普通
2点:3点と1点の中間
1点:硬い
<さらさら感>
5点:さらさらしている
4点:5点と3点の中間
3点:普通
2点:3点と1点の中間
1点:ざらざらしている
<ゴワゴワ感>
5点:ゴワゴワ感がない
4点:5点と3点の中間
3点:普通
2点:3点と1点の中間
1点:ゴワゴワ感がある
(12)不織布加工性、(ロール巻き付き(引きつられ具合))
不織布をゴム製のニップローラーを用いて20m/分で5分間走行させた。このときのロール付着物、不織布の状態を観察し、以下の基準で点数付けを行い加工性(点)とした。3点以上を合格とした。
(実施例1)
(ポリエチレン原料)
MFRが30g/10minのポリエチレン(植物系)とテトラデカン酸カルシウム(炭素数14)とステアリン酸カルシウム(炭素数18)をそれぞれハンマーミルで粉砕して1mm以下とし、ポリエチレンに対する添加剤(テトラデカン酸カルシウムとステアリン酸カルシウム、質量比率1:3)の含有量が0.3質量%となるように秤量し、ヘンシェルミキサーで均一混合し、ポリエチレン原料として用いた。
バイオマス資源由来エチレングリコール(精製品、1,2−プロパンジオールの含有量が110ppm)と、テレフタル酸ジメチルの重縮合から得られたポリエステルチップ(IV:0.65)を、ポリエステル原料として用いた。
上記のポリエチレン原料を鞘成分とし上記のポリエステル原料を芯成分として用い、それぞれ別々の押出機で溶融し、前記の鞘成分と前記の芯成分との質量比が50:50となるように計量し、紡糸温度が295℃で、孔径φが0.55mmの芯鞘型紡糸口金から、単孔吐出量0.60g/分で芯鞘型複合繊維を紡出した。紡出した芯鞘型複合繊維に冷却風を当てて冷却固化し、エジェクターに通し、エジェクターから紡糸速度4000m/分で紡糸して、移動するネットコンベアー上に繊維ウェブとして捕集した。紡糸時に口金面の堆積物はほとんど認められず、糸切れもほとんど発生せず、生産できる状態であった。
引き続き、得られた繊維ウェブを、金属製の水玉柄の彫刻がなされた上ロールおよび金属製でフラットな下ロールから構成される上下一対の接着面積が10%のエンボスロールを用いて、線圧が20kgf/cmで、熱接着温度90℃で熱接着処理し、目付が20g/m2の不織布を得た。得られた不織布のポリエチレン成分を除去し、ポリエステル中に含まれる1,2−プロパンジオールの含有量を測定した結果、25ppmであった。得られた評価結果を表1に示す。
(実施例2)
(ポリエチレン原料)
MFRが30g/10minのポリ(エチレン−RAN−ブチレン) モノ−OL(植物系)からなるポリエチレンとテトラデカン酸カルシウム(炭素数14)とヘキサデカン酸カルシウム(炭素数16)とステアリン酸カルシウム(炭素数18)をそれぞれハンマーミルで粉砕して1mm以下とし、ポリエチレンに対するカ添加剤(テトラデカン酸カルシウムとヘキサデカン酸カルシウムとステアリン酸カルシウム、質量比率1:1:3)の含有量が0.5質量%となるように秤量し、ヘンシェルミキサーで均一混合し、ポリエチレン原料として用いた。
実施例1と同原料を用いた。
実施例1と同様にして、繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物はほとんど認められず、糸切れもほとんど発生せず、生産できる状態であった。
実施例1と同様にして、目付が20g/m2の不織布を得た。得られた評価結果を表1に示す。
(実施例3)
(ポリエチレン原料)
実施例2と同原料を用いた。
実施例1と同原料を用いた。
紡糸口金を偏芯芯鞘型としたこと以外は実施例1と同様にして、繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物はほとんど認められず、糸切れもほとんど発生せず、生産できる状態であった。
実施例1と同様にして、目付が20g/m2の不織布を得た。得られた評価結果を表1に示す。
(実施例4)
(ポリエチレン原料)
実施例2と同原料を用いた。
1,2−プロパンジオールが検出されない(15ppm未満)化石資源由来エチレングリコールと、テレフタル酸ジメチルの重縮合から得られたポリエステルチップ(IV:0.65)を、ポリエステル原料として用いた。
実施例1と同様にして、繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物は若干認められたものの、糸切れも少なく、生産できる状態であった。
実施例1と同様にして、目付が20g/m2の不織布を得た。得られた評価結果を表1に示す。
(比較例1)
(ポリエチレン原料)
MFRが30g/10minのポリエチレン(石油系)とデカン酸ナトリウム(炭素数10)をそれぞれハンマーミルで粉砕して1mm以下とし、ポリエチレンに対する添加剤(デカン酸ナトリウム)の含有量が0.3質量%となるように秤量し、ヘンシェルミキサーで均一混合し、ポリエチレン原料として用いた。
実施例4と同原料を用いた。
実施例1と同様にして、繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物は若干認められたものの、糸切れも少なく、生産できる状態であった。
実施例1と同様にして、目付が20g/m2の不織布を得た。得られた評価結果を表1に示す。
(比較例2)
(ポリエチレン原料)
MFRが30g/10minのポリエチレン(石油系)とステアリン酸カルシウム(炭素数18)をそれぞれハンマーミルで粉砕して1mm以下とし、ポリエチレンに対する添加剤(デカン酸ナトリウム)の含有量が0.3質量%となるように秤量し、ヘンシェルミキサーで均一混合し、ポリエチレン原料として用いた。
実施例4と同原料を用いた。
実施例1と同様にして、繊維ウェブを捕集した。紡糸時に口金面の堆積物は若干認められたものの、糸切れも少なく、生産できる状態であった。
実施例1と同様にして、目付が20g/m2の不織布を得た。得られた評価結果を表1に示す。
(b):鞘部
(c):第1成分
(d):第2成分
Claims (6)
- ポリエチレンとポリエステルからなる繊維で構成される不織布であって、前記ポリエチレンに対して以下の条件A〜Cを満たすように飽和脂肪酸系添加剤が添加されてなることを特徴とする不織布。
A.飽和脂肪酸系添加剤が、炭素数が12〜45の飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩の中から炭素数が異なる2種以上の飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩からなる。
B.飽和脂肪酸系添加剤中に含まれる飽和脂肪酸もしくは飽和脂肪酸金属塩の炭素数が最大のものと最小のものの炭素数の差が4以上である。
C.ポリエチレンに対する飽和脂肪酸系添加剤全体の添加量が0.1〜10.0質量%である。 - ポリエチレンが植物由来ポリエチレンを50質量%以上含んでなることを特徴とする請求項1に記載の不織布。
- 飽和脂肪酸系添加剤の成分としてステアリン酸カルシウムが含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の不織布。
- 前記ポリエステル中に1,2−プロパンジオール由来の成分が1〜500ppm含有されており、熱接着されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の不織布。
- ポリエチレンとポリエステルの質量比率が90/10〜10/90である繊維で構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の不織布。
- 繊維断面が、同芯の芯鞘構造、偏芯の芯鞘構造、サイドバイサイド構造のいずれかであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の不織布。
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