JP2008142911A - 壁装材用不織布および壁装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、力学的特性や加工安定性に優れ、かつ、廃棄処分しても環境影響に対する負荷が低い壁装材用不織布および壁装材を提供せんとするものである。
【解決手段】本発明の壁装材用不織布は、熱可塑性フィラメントから構成されるスパンボンド不織布と、熱可塑性フィラメントから構成されるメルトブロー不織布とが積層一体化されてなる壁装材用不織布であって、該スパンボンド不織布およびメルトブロー不織布が、少なくとも脂肪族ポリエステルとポリアミドとのブレンドポリマーからなる熱可塑性フィラメントで構成されていることを特徴とするものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の壁装材用不織布は、熱可塑性フィラメントから構成されるスパンボンド不織布と、熱可塑性フィラメントから構成されるメルトブロー不織布とが積層一体化されてなる壁装材用不織布であって、該スパンボンド不織布およびメルトブロー不織布が、少なくとも脂肪族ポリエステルとポリアミドとのブレンドポリマーからなる熱可塑性フィラメントで構成されていることを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、壁装材用不織布および壁装材に関するものであり、壁装材用不織布および壁装材が脂肪族ポリエステルとポリアミドとのブレンドポリマーからなる熱可塑性フィラメントを含むものである。
従来の壁装材のうち最も多く使用されているものは、ポリ塩化ビニル系樹脂からなるシートを紙等に積層したものが主に用いられてきた。このポリ塩化ビニルを使用した壁装材は、価格、施工性、さらには印刷特性などの点で優れた材料であるが、使用後の廃棄に大きな問題を有するものであった。例えば、埋め立て処理をした場合には、壁装材が化学的に安定であり、形態的にも崩壊しにくいため、長期間にわたって形状を保ち続けてしまうという問題点があった。また、焼却処理をした場合には、燃焼時の発熱量が高いため、焼却炉を傷めてしまったり、黒煙を発生したりするという問題点があった。
例えば、特許文献1には、壁紙用裏打紙に樹脂層を積層してなる壁装材であって、裏打紙に積層された樹脂層が、塩化ビニル樹脂またはオレフィン系樹脂からなる壁装材が提案されており、壁装材としての特性に優れたものであるが、使用後の廃棄問題を解決できるものではなかった。
そこで、近年では環境志向の高まりとともに、種々の生分解性を有する壁装材が提案されている。
例えば、特許文献2には、ポリ乳酸系樹脂を50%以上含有し、多価アルコール脂肪酸エステルを7〜25質量%含有する樹脂層を有し、不撚紙からなる裏打ち材に積層されてなることを特徴とする壁装材が開示されている。当該技術によれば、ポリ乳酸系樹脂に所定量のグリセリン脂肪酸エステルを有することで、生分解性に優れ、さらに施工性に優れた壁装材が得られるとあるが、強伸度積についてはなんら記載がなく、力学特性や加工特性が十分な壁装材は得られなかった。
また、特許文献3には、生分解性を有する繊維から構成されるスパンボンド不織布の少なくとも片面に、生分解性を有する繊維から構成されるメルトブロー不織布が積層一体化されてなることを特徴とする壁装材用不織布であり、構成材の全てがポリ乳酸系樹脂であることを特徴とした壁装材が開示されている。当該技術によれば、良好な施工性を保有するための強度を得られるとあるが、不織布の伸度についての記載がなく、ポリ乳酸からなる不織布では十分に伸度が得られないこと、さらには、熱収縮に関する記載についてもなく、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布では、熱収縮率が大幅に異なることから、積層一体化において、収縮皺が発生するなど、加工安定性に優れるものではなかった。
特開2004−43983号公報
特開2005−240315号公報
特開2004−270081号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、力学的特性や加工安定性に優れ、かつ脂肪族ポリエステル、とりわけポリ乳酸のように非石油系原料より合成可能な樹脂を主たる成分として含んでいるため、廃棄処分しても環境影響に対する負荷が低い壁装材用不織布および壁装材を提供せんとするものである。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。
すなわち、
(1)熱可塑性フィラメントから構成されるスパンボンド不織布と、熱可塑性フィラメントから構成されるメルトブロー不織布とが積層一体化されてなる壁装材用不織布であって、該スパンボンド不織布およびメルトブロー不織布が、少なくとも脂肪族ポリエステルとポリアミドとのブレンドポリマーからなる熱可塑性フィラメントで構成されていることを特徴とする壁装材用不織布。
すなわち、
(1)熱可塑性フィラメントから構成されるスパンボンド不織布と、熱可塑性フィラメントから構成されるメルトブロー不織布とが積層一体化されてなる壁装材用不織布であって、該スパンボンド不織布およびメルトブロー不織布が、少なくとも脂肪族ポリエステルとポリアミドとのブレンドポリマーからなる熱可塑性フィラメントで構成されていることを特徴とする壁装材用不織布。
(2)前記スパンボンド不織布の目付が20〜400g/m2で構成繊維の平均繊維径が10〜40μmであり、かつ、前記メルトブロー不織布の目付が5〜100g/m2で構成繊維の平均繊維径が0.5〜10μmであり、前記積層一体化された該不織布の目付当たりの強伸度積が40〜300であることを特徴とする前記(1)記載の壁装材用不織布。
(3)前記スパンボンド不織布と、前記メルトブロー不織布の80℃、10分間における縦方向と横方向の熱収縮率がともに8%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載の壁装材用不織布。
(4)前記ブレンドポリマーの脂肪族ポリエステル:ポリアミドの重量比率が20:80〜95:5であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の壁装材用不織布。
(5)前記ブレンドポリマーからなる熱可塑性フィラメントの断面方向において、ポリアミド成分が平均単繊維繊度1×10−7〜1×10−3デシテックスで分散していることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の壁装材用不織布。
(6)前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であり、前記ポリアミドがナイロン6であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の壁装材用不織布。
(7)前記スパンボンド不織布と前記メルトブロー不織布の積層一体化が、部分的熱接着処理によりなされていることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の壁装材用不織布。
(8)前記(1)〜(7)のいずれかに記載の壁装材用不織布を含むことを特徴とする壁装材。
本発明によれば、環境負荷の低い原料である脂肪族ポリエステルを主たる成分の一つとして含みながら、優れた力学特性や加工安定性を有する壁装材用不織布および壁装材を提供することができる。
本発明の壁装材用不織布は、熱可塑性フィラメントから構成されるスパンボンド不織布とメルトブロー不織布からなるものであり、熱可塑性フィラメント不織布を構成する熱可塑性フィラメントとして、脂肪族ポリエステルとポリアミドがブレンドポリマーからなる熱可塑性フィラメントを含有するものである。
本発明にて使用されるスパンボンド不織布は、前記熱可塑性フィラメントから構成され、溶融したポリマーをノズルより押し出し、これを高速吸引ガスにより吸引延伸した後、移動コンベア上に捕集してウェブとし、さらに連続的に熱処理、絡合等を施すことによりシートとする、いわゆるスパンボンド法により製造されたものであれば特に規定されない。
また、本発明におけるスパンボンド不織布の目付は20〜400g/m2であることが好ましい。かかる目付が20g/m2を下回ると壁装材用不織布として使用するに十分な強度が得られにくい傾向であり好ましくなく、かかる目付が400g/m2を超える場合は、シート全体の重量が重く、嵩張って風合いが劣り、施工性も悪化し、またコスト的にも好ましくない。より好ましいスパンボンド不織布の目付は30g/m2以上、さらに好ましくは35g/m2以上である。また、350g/m2以下、さらに好ましくは300g/m2以下である。ここで目付は、以下の方法で求められるものである。すなわち、縦50cm×横50cmのサイズの試料を3個採取して各重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算、小数点以下第一位を四捨五入することで求めるものである。
また、本発明におけるスパンボンド不織布の目付は20〜400g/m2であることが好ましい。かかる目付が20g/m2を下回ると壁装材用不織布として使用するに十分な強度が得られにくい傾向であり好ましくなく、かかる目付が400g/m2を超える場合は、シート全体の重量が重く、嵩張って風合いが劣り、施工性も悪化し、またコスト的にも好ましくない。より好ましいスパンボンド不織布の目付は30g/m2以上、さらに好ましくは35g/m2以上である。また、350g/m2以下、さらに好ましくは300g/m2以下である。ここで目付は、以下の方法で求められるものである。すなわち、縦50cm×横50cmのサイズの試料を3個採取して各重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算、小数点以下第一位を四捨五入することで求めるものである。
前記スパンボンド不織布を構成する熱可塑性フィラメントの平均繊維径は10〜40μmであることが好ましい。かかる平均繊維径が10μmよりも小さい場合には、シートにコシがなく柔軟になり過ぎる傾向があることや、さらに紡糸性が悪化するなど生産安定性の面からも好ましくない方向である。また、平均繊維径が40μmを超える場合には、柔軟性が低下して風合いが硬くなり、シートが嵩張って施工性も悪化し、さらに生産時に糸条の冷却が不十分となり、紡糸安定性が悪化する傾向であり好ましくない。より好ましい平均繊維径の範囲は、12μm以上であり、また、30μm以下である。
ここで平均繊維径は、以下の方法で求められるものである。すなわち、試料からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡等で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値の小数点以下第一位を四捨五入し算出することで求められるものである。円形でない繊維の繊維径は、繊維断面に対して外接円と、内接円を取り、それぞれの直径の平均値を繊維径とする。
さらに前記スパンボンド不織布を構成する繊維の断面形状は何ら制限されるものではないが、円形、中空丸形、楕円形、扁平型、あるいはX型、Y型等の異形型、多角型、多葉型、等が好ましい形態である。
本発明にて使用されるメルトブロー不織布は、前記熱可塑性フィラメントから構成され、溶融したポリマーに加熱高速ガス流体を吹き当てることにより該溶融ポリマーを引き伸ばして極細繊維化し、捕集してシートとする、いわゆるメルトブロー法により製造されたものであれば特に限定されない。
また、本発明におけるメルトブロー不織布の目付は5〜100g/m2であることが好ましい。かかる目付が5g/m2を下回るとシートの均一性が低くなり、印刷性が低下する傾向であり好ましくない。また、かかる目付が100g/m2を超える場合は、シートの均一性は向上するものの、シート全体の重量が重く、嵩張って風合いが劣り、さらにコスト的にも好ましくない。より好ましいメルトブロー不織布の目付は7g/m2以上であり、また、80g/m2以下である。
ここで目付は、以下の方法で求められるものである。すなわち、縦50cm×横50cmのサイズの試料を3個採取して各重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算、小数点以下第一位を四捨五入することで求めるものである。
前記メルトブロー不織布を構成する熱可塑性フィラメントの平均繊維径は0.5〜10μmであることが好ましい。かかる平均繊維径が0.5μmよりも小さい場合には、ポリマー状の塊が混入しやすく、紡糸性が悪化するなど生産安定性の面からも好ましくない方向である。また、かかる平均繊維径が10μmを超える場合には、空隙率が増加し、シートの均一性が著しく低下するため、印刷性能が低下する傾向であり好ましくない。より好ましい平均繊維径の範囲は、1〜8μmである。
ここで平均繊維径は、以下の方法で求められるものである。すなわち、試料からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡等で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値の小数点以下第一位を四捨五入し算出することで求められるものである。円形でない繊維の繊維径は、繊維断面に対して外接円と、内接円を取り、それぞれの直径の平均値を繊維径とする。
本発明の壁装材用不織布は、前記スパンボンド不織布と前記メルトブロー不織布とを積層して一体化したシートからなるものである。前記スパンボンド不織布と前記メルトブロー不織布とを構成する熱可塑性フィラメントは、脂肪族ポリエステルとポリアミドとのブレンドポリマーからなるものである。
本発明にて使用される脂肪族ポリエステルは生分解性の脂肪族ポリエステルであれば特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートバリレート、あるいはこれらの共重合体や変成物を、単独またはブレンドして用いることができる。なかでも紡糸性、力学的特性が良好であり、かつ植物由来のデンプンからの合成が可能であるため環境影響が小さい、ポリ乳酸が最も好ましいものである。
かかるポリ乳酸としては、ポリ(D−乳酸)と、ポリ(L−乳酸)と、D−乳酸とL−乳酸の共重合体、あるいはこれらのブレンド体(ステレオコンプレックスを含む)が好ましいものである。かかるポリ乳酸系樹脂の重量平均分子量は5万〜30万が好ましく、より好ましくは10万〜30万である。重量平均分子量が5万を下回る場合は、繊維の強力が低くなる傾向があり、また、重量平均分子量が30万を越える場合は、粘度が高いためノズルから押し出したポリマーの曳糸性が乏しく、高速延伸ができにくくなり、究極的には未延伸状態になり、十分な繊維強度を得ることができない傾向がでてくる。
また、本発明に用いる脂肪族ポリエステルは、分子鎖末端のカルボキシル基の一部、またはすべてが末端封鎖剤により末端封鎖されてなるものが好ましい。脂肪族ポリエステルの分子鎖末端のカルボキシル基の一部、またはすべてが末端封鎖されることにより、加水分解によるフィラメント、さらにはシートの強度低下が抑制される。末端封鎖剤の添加により脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端濃度を、0〜20当量/tonとすることが好ましく、15当量/ton以下とすることがより好ましく、10当量/ton以下とすることがさらに好ましい。ここで脂肪族ポリエステルのカルボキシルキ基末端濃度は、精秤したサンプルをo−クレゾール(水分5%)に溶解し、この溶液にジクロロメタンを適量添加した後、0.02規定のKOHメタノール溶液にて滴定することにより求めることができる。
本発明にて用いられる脂肪族ポリエステルの末端封鎖剤としては、何ら制限されるものではないが、カルボジイミド化合物や、イソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物が好ましいものである。これら末端封鎖剤の添加量は、脂肪族ポリエステルに対して、0.05wt%以上が好ましく、0.1wt%以上がさらに好ましい。また、10wt%以下が好ましく、7wt%以下がさらに好ましい。
本発明にて脂肪族ポリエステルの末端封鎖剤として用いられるカルボジイミド化合物としては、特に限定されるものではないが、モノカルボジイミド化合物が用いられる場合は、5%重量減少温度(以下、T5%と示す)が170℃以上のモノカルボジイミド化合物であることが好ましく、T5%が190℃以上のモノカルボジイミド化合物であることがより好ましい。モノカルボジイミド化合物のT5%が170℃未満の場合、モノカルボジイミド化合物が紡糸時に分解および/または気化し、糸切れの増加や製品品位の悪化が発生する傾向であり好ましくない方向である。さらにはモノカルボジイミド化合物が脂肪族ポリエステルのカルボキシル基末端に有効に反応、作用せず十分な耐加水分解性の向上効果を得られない傾向もあり好ましくない。なお、ここで5%重量減少温度とは、MACSCIENCE社製“TG−DTA2000S”TG−DTA測定機により、試料重量10mg程度、窒素雰囲気中にて昇温速度10℃/分として測定した時の、測定開始前の試料重量に対して重量が5%減量したときの温度として求めた温度である。
本発明において末端封鎖剤として用いることのできるモノカルボジイミド化合物の例としては、例えば、N,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジ−tert.−ブチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,6−ジエチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2−エチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2−イソブチル−6−イソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリメチルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリイソプロピルフェニルカルボジイミド、N,N’−ジ−2,4,6−トリイソブチルフェニルカルボジイミドなどが挙げられる。末端封鎖剤として用いられるモノカルボジイミド化合物は、1種の単独使用であっても複数種の混合物であってもよいが、耐熱性および反応性や脂肪族ポリエステルとの親和性の点でN,N’−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド(以下、TICと記す)が好ましく、複数種のモノカルボジイミド化合物を併用する場合は、末端封鎖剤として用いるモノカルボジイミド化合物の総量のうち50%以上がTICであることが好ましい。
モノカルボジイミド化合物により末端カルボキシル基を封鎖する方法としては、脂肪族ポリエステルの溶融状態でモノカルボジイミド化合物を末端封鎖剤として適量反応させることで得ることができるが、脂肪族ポリエステルの高重合度化、残存低分子量物の抑制などの観点から、ポリマーの重合反応終了後にモノカルボジイミド化合物を添加、反応させることが好ましい。上記したモノカルボジイミド化合物と脂肪族ポリエステルとの混合、反応としては、例えば、重縮合反応終了直後の溶融状態の脂肪族ポリエステルにモノカルボジイミド化合物を添加し攪拌・反応させる方法、脂肪族ポリエステルのチップにモノカルボジイミド化合物を添加、混合した後に反応缶あるいはエクストルーダなどで混練、反応させる方法、エクストルーダで脂肪族ポリエステルに液状のモノカルボジイミド化合物を連続的に添加し、混練、反応させる方法、モノカルボジイミド化合物を高濃度含有させた脂肪族ポリエステルのマスターチップと脂肪族ポリエステルのホモチップとを混合したブレンドチップをエクストルーダなどで混練、反応させる方法などにより行うことができる。
本発明において加水分解抑制剤として用いられるカルボジイミド化合物は、特に限定されるものではないが、ポリカルボジイミド化合物が用いられる場合は、下記化学式[化1]で表される4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、および下記化学式[化2]で表されるイソホロンジイソシアネート、および、下記化学式[化3]で表されるテトラメチルキシリレンジイソシアネートの少なくとも1種に由来し、分子中に2以上のカルボジイミド基を有し、かつそのイソシアネート末端がカルボン酸で封止されてなるポリカルボジイミド化合物であることが好ましい。
ポリカルボジイミド化合物は、上記化学式の[化1]で表される4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(以下、HMDIと略記)、または、上記化学式の[化2]で表されるイソホロンジイソシアネート(以下、IPDIと略記)、または、上記化学式の[化3]で表されるテトラメチルキシリレンジイソシアネート(以下、TMXDIと略記)のいずれか1種に由来するカルボジイミド、もしくは上記化合物の2種混合物、又は3種混合物のいずれかの混合物に由来するカルボジイミドで、分子中に2以上のカルボジイミド基、好ましくは5以上のカルボジイミド基を有するものを主成分とする。なお、ポリカルボジイミド中のカルボジイミド基の上限は20である。このようなカルボジイミドは、HMDI、またはIPDI、またはTMXDI、または上記化合物の2種混合物、または3種混合物を原料とする脱二酸化炭素反応を伴うカルボジイミド化反応により製造することができる。なお、これらの中でも、得られた繊維の力学的特性が優れているという点で、HMDIを50重量%以上含むカルボジイミドが好ましく、HMDIを80重量%以上含むカルボジイミドがより好ましい。
また、本発明において使用されるポリカルボジイミド化合物としては、脂肪族ポリエステル樹脂中に未反応のポリカルボジイミド化合物が存在しても、熱安定性に優れるために、フィラメント化する際の紡糸性悪化や刺激性ガスの発生を抑えることができることから、イソシアネート末端がカルボン酸を用いて末端を封止されたものであることが好ましい。かかるカルボン酸の中でも、好ましく用いられるものは、モノカルボン酸であり、例えばシクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、無水トリメリット酸、2−ナフトエ酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、2−フル酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、メタクリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ケイ皮酸、グリセリン酸、アセト酢酸、ベンジル酸、アントラニル酸等が挙げられ、これらの中でも最も好ましいのはシクロヘキサンカルボン酸である。
なお、未反応のポリカルボジイミド化合物の熱劣化によって生じる熱分解ガスの発生量を減じるため、ポリカルボジイミド化合物の添加量を、カルボジイミド基当量として脂肪族ポリエステルのトータルカルボキシル基末端量の2倍当量以下に制御することが好ましい。かかるポリカルボジイミド化合物の添加量は、より好ましくはトータルカルボキシル基末端量の1.5倍当量以下であり、さらに好ましくは1.2倍当量以下である。
本発明において脂肪族ポリエステルの末端封鎖剤として用いられるイソシアヌル酸を基本骨格とするグリシジル変性化合物とは、下記化学式[化4]で表されるものである。
(ここで、R1〜R3のうち、少なくとも1つはグリシジルエーテル若しくはグリシジルエステルであり、残りは水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、水酸基、アリル基等の官能基)
かかるグリシジル変性化合物としては、上記化学式[化4]で表される化合物であれば特に限定されるものではないが、上記化学式[化4]のR1〜3のうち、いずれか一つがグリシジル基、残る二つがアリル基であるジアリルモノグリシジルイソシアヌレートや、上記化学式[化4]のR1〜R3のうち、いずれか二つがグリシジル基、残る一つがアリル基であるモノアリルジグリシジルイソシアヌレートや、上記化学式[化4]のR1〜R3の全てがグリシジル基であるトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどが好ましく用いられる。
かかるグリシジル変性化合物としては、上記化学式[化4]で表される化合物であれば特に限定されるものではないが、上記化学式[化4]のR1〜3のうち、いずれか一つがグリシジル基、残る二つがアリル基であるジアリルモノグリシジルイソシアヌレートや、上記化学式[化4]のR1〜R3のうち、いずれか二つがグリシジル基、残る一つがアリル基であるモノアリルジグリシジルイソシアヌレートや、上記化学式[化4]のR1〜R3の全てがグリシジル基であるトリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートなどが好ましく用いられる。
なお、前記脂肪族ポリエステルには、結晶核剤や艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、親水剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
本発明において脂肪族ポリエステルとブレンドポリマーを構成するポリアミドとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6−10、ナイロン12、あるいはこれらの共重合体や変性物を、単独またはブレンドして用いることができる。かかるポリアミドの選定にあたっては、脂肪族ポリエステルとの融点差の少ないものを選ぶことが好ましい。
なお、かかるポリアミドには、結晶核剤や艶消し剤、顔料、防カビ剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、親水剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
本発明において最も好ましいブレンドポリマーは、脂肪族ポリエステルとして前述のポリ乳酸を使用し、ポリアミドとしてナイロン6を使用してなるものである。かかるナイロン6は融点が220℃とポリ乳酸の融点170℃に対し融点差が少なく、親和性も高く複合紡糸した場合の紡糸性がよいため特に好ましい。さらに、融点差が少ないため熱接着する際に一方のポリマーが過度に溶融しシートの柔軟性が損なわれることがなく、施工時の作業性に優れた壁装材用不織布および壁装材を得ることができる点からも好ましい。
また、本発明においてブレンドされる脂肪族ポリエステル:ポリアミドの重量比率は、20:80〜95:5の範囲が好ましく、さらに好ましくは40:60〜90:10であり、最も好ましくは、50:50〜85:15である。ポリアミドの重量比率が80を越えると、脂肪族ポリエステルをブレンド使用することによる環境影響を低くする効果が小さくなるため、好ましくない方向である。またポリアミドの重量比率が5以上であれば、不織布の強伸度や熱収縮特性が十分となる傾向であり好ましいものである。
本発明におけるブレンドポリマーからなる熱可塑性フィラメントは、その断面方向において、ポリアミドが平均単繊維繊度1×10−7〜1×10−3デシテックスで分散してなることが好ましい。ポリアミドの平均単繊維繊度が上記範囲内で分散していれば、不織布の強伸度や熱収縮特性が十分となり、また、脂肪族ポリエステル成分が生分解されやすくなる傾向があるので好ましい。かかる分散したポリアミドの平均単繊維繊度は2×10−7デシテックス以上であるのがより好ましく、9×10−7デシテックス以上であるのが最も好ましい。また、5×10−4デシテックス以下であるのがより好ましく、4×10−4デシテックス以下であるのが最も好ましい。
なお、本発明におけるポリアミド成分の平均単繊維繊度は、以下の方法で求められる。すなわち、試料からランダムに小片サンプルを10個採取し、エポキシ樹脂に包埋して断面方向に超薄切片として切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM、例えば日立製H7100FA型)で、4万〜10万倍の倍率で写真を撮影する。各サンプルからポリアミド成分の断面積の大きさを20本ずつ、計200本測定して平均値を算出し、これを円形繊維の繊維径に換算し、ポリマーの密度で補正して求められるものである。なお、TEM観察において、ポリアミドと脂肪族ポリエステルとが識別しにくい場合には、適宜試料を染色してもよい。
本発明においてブレンドポリマーを作製する方法、すなわち、ポリアミドの平均単繊維繊度を上記範囲内で脂肪族ポリエステル中に分散させる方法としては、溶融混練押出機や静止混練器等によって混練することが好ましい。また混練性を高める方法として、ポリアミドと脂肪族ポリエステルの組み合わせも重要であり、組み合わせるポリマーの相溶性を最適化することが好ましい。かかる相溶性の指標として、ポリアミドと脂肪族ポリエステルの溶解度パラメーター(SP値)の差を、1〜9(MJ/m3)1/2とすることが好ましい。ここでSP値とは、(蒸発エネルギー/モル容積)1/2で定義される物質の凝集力を反映するパラメータであり、例えば「プラスチック・データブック」旭化成アミダス株式会社/プラスチック編集部共編、189ページ等に記載されている。かかるポリアミドと脂肪族ポリエステルのSP値の差を1〜9(MJ/m3)1/2の範囲にすれば、ポリマー同士の相溶性が良くなるためポリアミドの分散性が良くなり、さらには紡糸安定性も向上する傾向となるため好ましい方向である。例えば、前述のポリ乳酸とナイロン6の組み合わせは、SP値の差が2(MJ/m3)1/2であり、相溶性の点からも好ましいものである。
またさらに、かかるポリアミドとして、その溶融粘度が、脂肪族ポリエステルの溶融粘度より低くいものを選択して使用すると、混練時の剪断力によりポリアミドが変形しやすく、分散しやすくなるので好ましい。
上記ブレンドポリマーを熱可塑性フィラメント不織布の原料ポリマーとして用いるが、熱可塑性フィラメント不織布を後述するスパンボンド法で製造する場合には、ブレンドと紡糸を連続して行ってもよい。
本発明におけるスパンボンド不織布とメルトブロー不織布とが積層一体化されてなる不織布においては、目付当たりの強伸度積が40〜300であることであることが好ましい。目付当たりの強伸度積40を下回る場合は、不織布の強度が不十分となることから好ましくない。一方、目付当たりの強伸度積が300を超える場合は、不織布の風合いが硬くなり過ぎ、施工時の作業性が悪化する傾向にあるため好ましくない。より好ましい目付当たりの強伸度積は50以上であり、250以下である。
なお、本発明における不織布の目付当たりの強伸度積は、不織布の目付と引張強力、伸度の関係を示すものである。かかる引張強力と伸度は以下の方法で求めるものである。すなわち、不織布の縦方向(シート長さ方向)および横方向(シート幅方向)のそれぞれについて、長さ30cm×幅5cmの試験片を10点採取する。試験片を定速伸長型引張試験機にて、つかみ間隔20cm、引張速度10±1cm/minで引張試験を実施し、破断するまでの最大荷重時の強さ(N)を0.1Nの位まで求め、これを引張強力(N/5cm)とする。また最大荷重時の伸び(cm)を0.1cmの位まで求め、これを試験長(20cm)で除し、小数点以下第二位を四捨五入して、伸度(%)を求める。得られた縦方向および横方向の引張強力と伸度それぞれの合計20点の総平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して求め、これを不織布の引張強力、伸度とする。また目付は前述の方法で求めるものである。ここで目付当たりの強伸度積とは、上記の引張強力と伸度の積を目付で除し、小数点以下第一位を四捨五入することで求めたものである。
本発明におけるメルトブロー不織布は、80℃、10分間における熱収縮率が、縦方向、横方向ともに10%以下であることが好ましい。かかる熱収縮率が10%以下であれば、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布との積層一体化時において、熱収縮差によるシワの発生を抑制することができ、加工安定性も良好となる傾向で好ましい。より好ましい熱収縮率は、8%以下、特に好ましくは5%以下である。
なお、本発明における熱収縮率は以下の方法にて測定することができる。すなわちJIS L1906(2000年版)の5.9.1を参考とし、不織布の任意の部分から縦25cm×横25cmのサンプルを10個採取し、縦、横それぞれ3カ所に20cmの長さを表す印を付け(0.01cmの単位まで測定)、恒温乾燥機内に80℃±2℃で10分放置し、取り出して室温まで冷却する。10個のサンプルについて、印を付けた縦、横方向それぞれ3カ所の長さを0.01cm単位まで測定し、10個のサンプルの合計を次式に当てはめ、小数点以下第一位を四捨五入して熱収縮率を算出する。
熱収縮率(%)=((L1−L2)/L1)×100
ここで、L1:加熱前の3線の長さの合計(サンプル10個の合計)(cm)
L2:加熱後の3線の長さの合計(サンプル10個の合計)(cm)。
熱収縮率(%)=((L1−L2)/L1)×100
ここで、L1:加熱前の3線の長さの合計(サンプル10個の合計)(cm)
L2:加熱後の3線の長さの合計(サンプル10個の合計)(cm)。
本発明の壁装材用不織布は、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布を積層し、一体化したシートからなるものである。スパンボンド不織布とメルトブロー不織布の積層方法は、何ら制限されるものではないが、一旦スパンボンド不織布とメルトブロー不織布をそれぞれ製作した後に積層する方法、一旦製作したスパンボンド不織布の上にメルトブロー法にて糸条を噴射し積層する方法、一旦製作したメルトブロー不織布の上にスパンボンド法にて糸条を噴射し積層する方法、さらにはこれらの方法の組み合わせにより実施することが出来る。
スパンボンド不織布とメルトブロー不織布は、積層した後に一体化するが、本発明の壁装材におけるスパンボンド不織布とメルトブロー不織布の一体化は部分的圧着処理によりなされていることが好ましい。部分的に圧着する方法は特に限定されるものではないが、加熱した一対のエンボスロールによる圧着、あるいは超音波発振装置とエンボスロールによる圧着が好ましいものである。加熱したエンボスロールによる圧着の温度は、スパンボンド不織布およびメルトブロー不織布の繊維表面に存在する最も融点の低いポリマーの融点より5〜50℃低いことが好ましく、10〜40℃低いことがより好ましい。熱エンボスロールによる熱接着の温度が、スパンボンド不織布およびメルトブロー不織布の繊維表面に存在する最も融点の低いポリマーの融点より5℃未満低い温度であった場合、ポリマーの溶融が激しく、エンボスロールへのシート取られ、ロール汚れが発生、またシートが硬くなるばかりかロール巻付きも頻発するなど安定生産も不可能となる。またスパンボンド不織布およびメルトブロー不織布の繊維表面に存在する最も融点の低いポリマーの融点より50℃を超えて低い温度であった場合、ポリマーの融着が不十分であり、一体化した不織布は物性的に弱いものとなる傾向が生じる。なお本発明において、融点は示差走査型熱量計を用い、昇温速度20℃/分の条件で測定し、得られた融解吸熱曲線において極値を与える温度とする。また、示差走査型熱量計において融解吸熱曲線が極値を示さない樹脂については、ホットプレート上で加熱し、顕微鏡観察により樹脂が溶融した温度を融点とする。
かかる一体化の方法としては、超音波発振装置とエンボスロールによる圧着が、ポリマーの融点を考慮する必要がなく、一体化したシートの柔軟性に優れる点から最も好ましい方法である。
かかる部分的圧着によりスパンボンド不織布とメルトブロー不織布との一体化を実施する場合の部分的圧着部の圧着面積率は、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布との全接触面積に対して3〜50%であることが好ましい。より好ましくは5%以上であり、40%以下である。前記圧着部の圧着面積率が3%を下回る場合は、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布との一体化が不十分となり、不織布の層間が剥離したり、強度的に低くなる傾向となり好ましくない。圧着部の圧着面積率が50%を超える場合は、圧着により溶融変形する繊維が多くなり、繊維間の空隙が少なくなる結果、粉塵の捕集性能が低下し、圧力損失が上昇する傾向となり好ましくない。なお、前記部分的圧着部の圧着面積率とは、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布とが一体化している接触面における圧着された部分の面積の、両不織布の全接触面積に対する割合であり、スパンボンド不織布を一旦製作する場合に実施する熱圧着部分の面積はこれに含まれない。
また、本発明においては、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布を積層した後に、柱状水流処理やニードルパンチ処理により機械的絡合を施し、その後に部分的圧着により一体化させる方法も好ましいものである。
また、本発明のスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を積層一体化してなる不織布を壁装材用材料として使用する場合は、スパンボンド不織布側を貼合せ面とし、メルトブロー不織布面を化粧面とすることが好ましい使用法である。
本発明における壁装材とは、前記構成からなる壁装材用不織布を用いてなる壁装材用材料であり、意匠性を高めるために印刷やエンボスパターン処理を施したものであってもよい。
また、本発明における壁装材は、かかる壁装材用不織布と難燃紙等の施工性を向上させるための基材を積層、接着したもの、あるいは意匠性を付与するための化粧層として樹脂発泡体等を表層に積層、接着したものであっても良い。ただし該壁装材用不織布に積層、接着させる基材や化粧層等は生分解性材料で構成されていることが好ましい。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例で用いた評価法とその測定条件について以下に説明する。
(1)ポリマーの溶融粘度(poise)
東洋精機製作所(株)製キャピラログラフ1Bにより、ポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
東洋精機製作所(株)製キャピラログラフ1Bにより、ポリマーの溶融粘度を測定した。なお、サンプル投入から測定開始までのポリマーの貯留時間は10分とした。
(2)融点(℃)
Perkin Elmer DSC−7を用いて2nd runでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は20℃/分、サンプル量は10mgとした。
Perkin Elmer DSC−7を用いて2nd runでポリマーの溶融を示すピークトップ温度をポリマーの融点とした。このときの昇温速度は20℃/分、サンプル量は10mgとした。
(3)重量平均分子量
ポリ乳酸の重量平均分子量は以下の方法で求めた。試料のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とし、これをWaters社製ゲルパーミテーションクロマトグラフ(GPC)Waters2690を用いて、25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。各試料につき3回の測定を行い、平均値を算出し、千の位を四捨五入してそれぞれの重量平均分子量とした。
ポリ乳酸の重量平均分子量は以下の方法で求めた。試料のクロロホルム溶液にテトラヒドロフランを混合し測定溶液とし、これをWaters社製ゲルパーミテーションクロマトグラフ(GPC)Waters2690を用いて、25℃で測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。各試料につき3回の測定を行い、平均値を算出し、千の位を四捨五入してそれぞれの重量平均分子量とした。
(4)平均繊維径(μm)
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡等で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値の小数点以下第一位を四捨五入し算出することで求めた。
不織布からランダムに小片サンプル10個を採取し、走査型電子顕微鏡等で500〜3000倍の写真を撮影し、各サンプルから10本ずつ、計100本の繊維の直径を測定し、それらの平均値の小数点以下第一位を四捨五入し算出することで求めた。
(5)目付(g/m2)
不織布から縦50cm×横50cmのサイズの試料を3個採取して各重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算、小数点以下第一位を四捨五入して算出した。
不織布から縦50cm×横50cmのサイズの試料を3個採取して各重量をそれぞれ測定し、得られた値の平均値を単位面積当たりに換算、小数点以下第一位を四捨五入して算出した。
(6)ポリアミド成分の分散状態(平均単繊維繊度:デシテックス)
不織布からランダムに小片サンプルを10個採取し、エポキシ樹脂に包埋して断面方向に切削して超薄切片として切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM:日立製H7100FA型)で、4万〜10万倍の倍率で写真を撮影した。各サンプルからポリアミド成分の断面積の大きさを20本ずつ、計200本測定してそれらの平均値を算出し、これを円形繊維の繊維径に換算し、ポリマーの密度で補正してポリアミド成分の単繊維繊度を求めた。なおTEM観察において、ポリアミドと脂肪族ポリエステルとが識別しにくい場合には、適宜試料を染色した。
不織布からランダムに小片サンプルを10個採取し、エポキシ樹脂に包埋して断面方向に切削して超薄切片として切り出し、透過型電子顕微鏡(TEM:日立製H7100FA型)で、4万〜10万倍の倍率で写真を撮影した。各サンプルからポリアミド成分の断面積の大きさを20本ずつ、計200本測定してそれらの平均値を算出し、これを円形繊維の繊維径に換算し、ポリマーの密度で補正してポリアミド成分の単繊維繊度を求めた。なおTEM観察において、ポリアミドと脂肪族ポリエステルとが識別しにくい場合には、適宜試料を染色した。
(7)目付当たりの強伸度積
不織布の縦方向(シート長さ方向)および横方向(シート幅方向)のそれぞれについて、長さ30cm×幅5cmの試験片を10点採取する。試験片を定速伸長型引張試験機にて、つかみ間隔20cm、引張速度10±1cm/minで引張試験を実施し、破断するまでの最大荷重時の強さ(N)を0.1Nの位まで求め、これを引張強力(N/5cm)とする。また最大荷重時の伸び(cm)を0.1cmの位まで求め、これを試験長(20cm)で除し、小数点以下第二位を四捨五入して、伸度(%)を求める。得られた縦方向および横方向の引張強力と伸度それぞれの合計20点の総平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して求め、これを不織布の引張強力、伸度とする。また目付は前述の方法で求めるものである。ここで目付当たりの強伸度積とは、上記の引張強力と伸度の積を目付で除し、小数点以下第一位を四捨五入することで求めるものである。
不織布の縦方向(シート長さ方向)および横方向(シート幅方向)のそれぞれについて、長さ30cm×幅5cmの試験片を10点採取する。試験片を定速伸長型引張試験機にて、つかみ間隔20cm、引張速度10±1cm/minで引張試験を実施し、破断するまでの最大荷重時の強さ(N)を0.1Nの位まで求め、これを引張強力(N/5cm)とする。また最大荷重時の伸び(cm)を0.1cmの位まで求め、これを試験長(20cm)で除し、小数点以下第二位を四捨五入して、伸度(%)を求める。得られた縦方向および横方向の引張強力と伸度それぞれの合計20点の総平均値を、小数点以下第一位を四捨五入して求め、これを不織布の引張強力、伸度とする。また目付は前述の方法で求めるものである。ここで目付当たりの強伸度積とは、上記の引張強力と伸度の積を目付で除し、小数点以下第一位を四捨五入することで求めるものである。
(8)熱収縮率(%)
JIS L1906(2000年版)の5.9.1を参考とし、不織布の任意の部分から縦25cm×横25cmのサンプルを10個採取し、縦、横それぞれ3カ所に20cmの長さを表す印を付け(0.01cmの単位まで測定)、恒温乾燥機内に80℃±2℃で10分放置し、取り出して室温まで冷却する。10個のサンプルについて、印を付けた縦、横方向それぞれ3カ所の長さを0.01cm単位まで測定し、10個のサンプルの合計を次式に当てはめ、小数点以下第一位を四捨五入して熱収縮率を算出する。
熱収縮率(%)=((L1−L2)/L1)×100
ここで、L1:加熱前の3線の長さの合計(サンプル10個の合計)(cm)
L2:加熱後の3線の長さの合計(サンプル10個の合計)(cm)。
JIS L1906(2000年版)の5.9.1を参考とし、不織布の任意の部分から縦25cm×横25cmのサンプルを10個採取し、縦、横それぞれ3カ所に20cmの長さを表す印を付け(0.01cmの単位まで測定)、恒温乾燥機内に80℃±2℃で10分放置し、取り出して室温まで冷却する。10個のサンプルについて、印を付けた縦、横方向それぞれ3カ所の長さを0.01cm単位まで測定し、10個のサンプルの合計を次式に当てはめ、小数点以下第一位を四捨五入して熱収縮率を算出する。
熱収縮率(%)=((L1−L2)/L1)×100
ここで、L1:加熱前の3線の長さの合計(サンプル10個の合計)(cm)
L2:加熱後の3線の長さの合計(サンプル10個の合計)(cm)。
[製造例1]
溶融粘度570poise(240℃、剪断速度2432sec−1)、融点220℃のナイロン6(40重量%)と重量平均分子量12万、溶融粘度300poise(240℃、剪断速度2432sec−1)、融点170℃のポリ(L−乳酸)(光学純度99.5%以上)(60重量%)を2軸押出混練機にて240℃で混練してブレンドポリマーチップを得た。
溶融粘度570poise(240℃、剪断速度2432sec−1)、融点220℃のナイロン6(40重量%)と重量平均分子量12万、溶融粘度300poise(240℃、剪断速度2432sec−1)、融点170℃のポリ(L−乳酸)(光学純度99.5%以上)(60重量%)を2軸押出混練機にて240℃で混練してブレンドポリマーチップを得た。
このブレンドポリマーチップを原料とし、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度4200m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度140℃、線圧50kg/cmの条件で熱接着し、繊維径14μm、目付100g/m2のスパンボンド不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は9×10−5デシテックスであった。
[製造例2]
溶融粘度570poise(240℃、剪断速度2432sec−1)、融点220℃のナイロン6(40重量%)と重量平均分子量12万、溶融粘度300poise(240℃、剪断速度2432sec−1)、融点170℃のポリ(L−乳酸)(光学純度99.5%以上)(60重量%)を2軸押出混練機にて240℃で混練してブレンドポリマーチップを得た。
溶融粘度570poise(240℃、剪断速度2432sec−1)、融点220℃のナイロン6(40重量%)と重量平均分子量12万、溶融粘度300poise(240℃、剪断速度2432sec−1)、融点170℃のポリ(L−乳酸)(光学純度99.5%以上)(60重量%)を2軸押出混練機にて240℃で混練してブレンドポリマーチップを得た。
このブレンドポリマーチップを原料とし、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃、熱風温度260℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径8μm、目付10g/m2のメルトブロー不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は7×10−5デシテックスであった。
<実施例1>
製造例1で得られた目付100g/m2のスパンボンド不織布と製造例2で得られた目付10g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件で圧着面積が16%となるように部分圧着して、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
製造例1で得られた目付100g/m2のスパンボンド不織布と製造例2で得られた目付10g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件で圧着面積が16%となるように部分圧着して、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
[製造例3]
製造例1で使用したブレンドポリマーチップに、エチレンビスステアリン酸アミドを0.5wt%添加し、240℃で押出機にて溶融し、紡糸温度245℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度4000m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度135℃、線圧50kg/cmの条件で熱接着し、繊維径15μm、目付150g/m2のスパンボンド不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は1×10−4デシテックスであった。
製造例1で使用したブレンドポリマーチップに、エチレンビスステアリン酸アミドを0.5wt%添加し、240℃で押出機にて溶融し、紡糸温度245℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度4000m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度135℃、線圧50kg/cmの条件で熱接着し、繊維径15μm、目付150g/m2のスパンボンド不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は1×10−4デシテックスであった。
[製造例4]
製造例2で使用したブレンドポリマーチップに、エチレンビスステアリン酸アミドを0.5wt%添加し、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃、熱風温度260℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径6μm、目付15g/m2のメルトブロー不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は8×10−4デシテックスであった。
製造例2で使用したブレンドポリマーチップに、エチレンビスステアリン酸アミドを0.5wt%添加し、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃、熱風温度260℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径6μm、目付15g/m2のメルトブロー不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は8×10−4デシテックスであった。
<実施例2>
製造例3で得られた目付150g/m2のスパンボンド不織布と製造例4で得られた目付15g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
製造例3で得られた目付150g/m2のスパンボンド不織布と製造例4で得られた目付15g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
[製造例5]
製造例1と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを80:20に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップに、エチレンビスステアリン酸アミドを0.5wt%添加、さらにTICをポリ(L−乳酸)の含有量に対して1wt%添加し、240℃で押出機にて溶融し、紡糸温度245℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度3000m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度135℃、線圧50kg/cmの条件で熱接着し、繊維径20μm、目付75g/m2のスパンボンド不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は9×10−5デシテックスであった。
製造例1と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを80:20に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップに、エチレンビスステアリン酸アミドを0.5wt%添加、さらにTICをポリ(L−乳酸)の含有量に対して1wt%添加し、240℃で押出機にて溶融し、紡糸温度245℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度3000m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度135℃、線圧50kg/cmの条件で熱接着し、繊維径20μm、目付75g/m2のスパンボンド不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は9×10−5デシテックスであった。
[製造例6]
製造例2と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを80:20に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップを240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃、熱風温度260℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径7μm、目付20g/m2のメルトブロー不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は9×10−5デシテックスであった。
製造例2と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを80:20に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップを240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃、熱風温度260℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径7μm、目付20g/m2のメルトブロー不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は9×10−5デシテックスであった。
<実施例3>
製造例5で得られた目付75g/m2のスパンボンド不織布と製造例6で得られた目付20g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
製造例5で得られた目付75g/m2のスパンボンド不織布と製造例6で得られた目付20g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
[製造例7]
製造例1と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを80:20に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップを原料とし、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度3800m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度140℃、線圧50kg/cmの条件で熱接着し、繊維径18μm、目付130g/m2のスパンボンド不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は6×10−5デシテックスであった。
製造例1と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを80:20に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップを原料とし、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度3800m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度140℃、線圧50kg/cmの条件で熱接着し、繊維径18μm、目付130g/m2のスパンボンド不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は6×10−5デシテックスであった。
[製造例8]
製造例2で使用したブレンドポリマーチップに、エチレンビスステアリン酸アミドを0.5wt%添加、さらにTICをポリ(L−乳酸)の含有量に対して1wt%添加し、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃、熱風温度260℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径5μm、目付30g/m2のメルトブロー不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は2×10−4デシテックスであった。
製造例2で使用したブレンドポリマーチップに、エチレンビスステアリン酸アミドを0.5wt%添加、さらにTICをポリ(L−乳酸)の含有量に対して1wt%添加し、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃、熱風温度260℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径5μm、目付30g/m2のメルトブロー不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は2×10−4デシテックスであった。
<実施例4>
製造例7で得られた目付130g/m2のスパンボンド不織布と製造例8で得られた目付30g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
製造例7で得られた目付130g/m2のスパンボンド不織布と製造例8で得られた目付30g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
[製造例9]
製造例1と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを70:30に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップを原料とし、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度4200m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度140℃、線圧50kg/cmの条件で熱接着し、繊維径13μm、目付140g/m2のスパンボンド不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は2×10−3デシテックスであった。
製造例1と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを70:30に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップを原料とし、240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度4200m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度140℃、線圧50kg/cmの条件で熱接着し、繊維径13μm、目付140g/m2のスパンボンド不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は2×10−3デシテックスであった。
[製造例10]
製造例2と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを70:30に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップを240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃、熱風温度260℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径3μm、目付25g/m2のメルトブロー不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は2×10−4デシテックスであった。
製造例2と同様の条件で、ナイロン6:ポリ(L−乳酸)の重量比率のみを70:30に変更して、ブレンドポリマーチップを得た。このブレンドポリマーチップを240℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度245℃、熱風温度260℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径3μm、目付25g/m2のメルトブロー不織布を得た。ポリアミド成分の平均単繊維繊度は2×10−4デシテックスであった。
<実施例5>
製造例9で得られた目付140g/m2のスパンボンド不織布と製造例10で得られた目付25g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
製造例9で得られた目付140g/m2のスパンボンド不織布と製造例10で得られた目付25g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
得られた不織布の特性は表1に示したとおりであるが、実施例1〜5の不織布はいずれも脂肪族ポリエステルであるポリ(L−乳酸)樹脂を含んでいるにも関わらず、引張強力、伸度が高く、目付当たりの強伸度積がそれぞれ106、90、82、80、109・98と、優れた特性を有するものであった。また、熱収縮率にも優れたものであり、壁装材用不織布として優れた特性を有するものであった。
[製造例11]
製造例1記載のポリ(L−乳酸)樹脂を原料とし、230℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度235℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度4500m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件で熱接着し、繊維径14μm、目付100g/m2の不織布を得た。
製造例1記載のポリ(L−乳酸)樹脂を原料とし、230℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度235℃で丸形細孔より紡出した後、エジェクターにて紡糸速度4500m/minで紡糸し、公知の開繊装置により糸条を開繊して、移動コンベア上に捕集し得られたウェブを、圧着面積率が16%となるようなエンボスロールとフラットロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件で熱接着し、繊維径14μm、目付100g/m2の不織布を得た。
[製造例12]
製造例2記載のポリ(L−乳酸)樹脂を原料とし、230℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度235℃、熱風温度250℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径8μm、目付10g/m2のメルトブロー不織布を得た。
製造例2記載のポリ(L−乳酸)樹脂を原料とし、230℃で押出機にて原料を溶融し、紡糸温度235℃、熱風温度250℃の熱風で細化し、移動するネット上に捕集して、繊維径8μm、目付10g/m2のメルトブロー不織布を得た。
<比較例1>
製造例11で得られた目付100g/m2のスパンボンド不織布と製造例12で得られた目付10g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
製造例11で得られた目付100g/m2のスパンボンド不織布と製造例12で得られた目付10g/m2のメルトブロー不織布を積層し、加熱した一対のエンボスロールを用いて、ロール温度150℃、線圧60kg/cmの条件でスパンボンド不織布とメルトブロー不織布を一体化した。
得られた不織布の特性は表1に示した通りであるが、比較例1の不織布は、目付当たりの強伸度積が30と低く、また、熱収縮率についても高く、さらには、スパンボンド不織布とメルトブロー不織布の一体化において、熱収縮差が大きいことから、収縮皺が発生し、壁装材用不織布として好ましい特性を有するものではなかった。
Claims (8)
- 熱可塑性フィラメントから構成されるスパンボンド不織布と、熱可塑性フィラメントから構成されるメルトブロー不織布とが積層一体化されてなる壁装材用不織布であって、該熱可塑性フィラメントが、脂肪族ポリエステルとポリアミドとのブレンドポリマーからなるものであることを特徴とする壁装材用不織布。
- 前記スパンボンド不織布の目付が20〜400g/m2で構成繊維の平均繊維径が10〜40μmであり、前記メルトブロー不織布の目付が5〜100g/m2で構成繊維の平均繊維径が0.5〜10μmであり、かつ、前記積層一体化された該不織布の目付当たりの強伸度積が40〜300であることを特徴とする請求項1に記載の壁装材用不織布。
- 前記スパンボンド不織布と、前記メルトブロー不織布の80℃、10分間における縦方向と横方向の熱収縮率がともに8%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の壁装材用不織布。
- 前記ブレンドポリマーの脂肪族ポリエステル:ポリアミドの重量比率が20:80〜95:5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の壁装材用不織布。
- 前記ブレンドポリマーからなる熱可塑性フィラメントの断面方向において、ポリアミド成分が平均単繊維繊度1×10−7〜1×10−3デシテックスで分散していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の壁装材用不織布。
- 前記脂肪族ポリエステルがポリ乳酸であり、前記ポリアミドがナイロン6であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の壁装材用不織布。
- 前記スパンボンド不織布と前記メルトブロー不織布の積層一体化が、部分的熱接着処理によりなされていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の壁装材用不織布。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の壁装材用不織布を含むことを特徴とする壁装材。
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- 2006-12-06 JP JP2006329297A patent/JP2008142911A/ja active Pending
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