JP2015124255A - エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂材料および当該材料を用いた繊維の製造方法 - Google Patents
エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂材料および当該材料を用いた繊維の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2015124255A JP2015124255A JP2013268223A JP2013268223A JP2015124255A JP 2015124255 A JP2015124255 A JP 2015124255A JP 2013268223 A JP2013268223 A JP 2013268223A JP 2013268223 A JP2013268223 A JP 2013268223A JP 2015124255 A JP2015124255 A JP 2015124255A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin material
- polypropylene
- xylene
- resin composition
- propylene
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Abstract
【解決手段】溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行い極細繊維を製造するためのポリプロピレン系樹脂材料であって、キシレン不溶分の量が95重量%以上であり、更に下記の特性を備える前記ポリプロピレン系樹脂材料。a)キシレン不溶分の極限粘度(IV)が0.3〜0.8dl/gである、b)キシレン不溶分のDSC(示差走査型熱量測定)法により測定される融解ピーク温度(Tm)が156〜170℃である、c)キシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)が2.5〜5.0である、d)キシレン不溶分の立体規則性(mmmm)が97.5〜99.5%である。
【選択図】なし
Description
一方、極細繊維を製造する方法としてエレクトロスピニング法が知られている。紡糸の際に溶媒を使用しない溶融エレクトロスピニング法も提案されており(特許文献1:特開2007−321246号)、プロピレン系樹脂組成物を溶融エレクトロスピニング法に適用することも試行されている(特許文献2:特開2011−162636号ならびに特許文献3:特開2009−133039号)。しかしながら、当該方法によりポリプロピレンから極細繊維を得ることは困難であり、特許文献2ではこの理由は、ポリプロピレンは体積固有抵抗値が高いので電圧を印加しても電荷を持ち難く、効率よく伸張延伸できないためであると説明されている。したがってポリプロピレンを極細繊維化することは非常に困難であり、ポリプロピレンは溶融紡糸型のエレクトロスピニング法による紡糸には適さない樹脂であることが現在までの当業者の認識であった。そのためポリプロピレンを用いた溶融エレクトロスピニング法の開発は非常に少ない。
キシレン不溶分の量が95重量%以上であり、さらに下記の特性:
a)キシレン不溶分の極限粘度(IV)が0.3〜0.8dl/gである
b)キシレン不溶分のDSC(示差走査型熱量測定)法により測定される融解ピーク温度(Tm)が156℃を超え、170℃未満である
c)キシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)が2.5〜5.0である
d)キシレン不溶分の立体規則性(mmmm)が97.5〜99.5%である
を備える前記ポリプロピレン系樹脂材料。
[2]キシレン不溶分の極限粘度(IV)が、0.3〜0.65dl/gである、[1]に記載の樹脂材料。
[3]キシレン不溶分の極限粘度(IV)が、0.3〜0.5dl/gである、[1]に記載の樹脂材料。
[4]前記ポリプロピレン系樹脂材料が、
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびジエーテルから選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒成分;
(B)有機アルミニウム化合物;および
(C)ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシランから選択されるケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物
を含む触媒を用いてプロピレンを重合することにより得た、
i)ポリプロピレン単独重合体、
ii)プロピレンとα−オレフィンとを重合して得た10mol%未満のα−オレフィン単位を含むポリプロピレン共重合体、
i)を含む樹脂組成物、
ii)を含む樹脂組成物、ならびに
i)とii)を含む樹脂組成物、からなる群より選択される、
[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂材料。
[5]i)ポリプロピレン単独重合体、
ii)プロピレンとα−オレフィンとを重合して得た10mol%未満のα−オレフィン単位を含むポリプロピレン共重合体、ならびに
i)とii)を含む樹脂組成物、からなる群より選択される、[4]に記載の樹脂材料。
[6]i)とその分解物を含む樹脂組成物、
ii)とその分解物を含む樹脂組成物、ならびに
i)と、ii)と、i)および/またはii)の分解物を含む樹脂組成物、からなる群より選択される、[4]に記載の樹脂材料。
[7]添加剤を含まない、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂材料。
[8]添加剤を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂材料。
[9]前記[1]〜[8]のいずれかに記載の樹脂材料を用い、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸することを含む、ポリプロピレン系極細繊維の製造方法。
[10]前記樹脂材料が、重合パウダーの形状である、[9]に記載の製造方法。
[11]添加剤を使用しない、[10]に記載の方法。
[12]前記[9]〜[11]のいずれかに記載の製造方法により得られた、ポリプロピレン系極細繊維。
[13]前記[12]に記載の極細繊維から製造された、繊維製品。
ポリプロピレン系樹脂材料とは、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンと10mol%未満のα−オレフィンのポリプロピレン共重合体、当該単独重合体を含む組成物、または当該共重合体を含む組成物である。具体的には、i)ポリプロピレン単独重合体、およびii)プロピレンとα−オレフィンとを重合して得た10mol%未満のα−オレフィン単位を含むポリプロピレン共重合体からなる群より選択される樹脂、あるいは、
i)およびii)からなる樹脂組成物、i)を含む樹脂組成物、ii)を含む樹脂組成物、i)およびii)を含む樹脂組成物、i)とその分解物を含む樹脂組成物、ii)とその分解物を含む樹脂組成物、ならびにi)とii)とi)および/またはii)の分解物とを含む樹脂組成物、からなる群より選択される樹脂組成物である。当該組成物は、後述する添加剤を含んでもよい。
a)キシレン不溶分の極限粘度(IV)が0.3〜0.8dl/gである。
b)キシレン不溶分のDSC(示差走査熱量計測定)法により測定される融解ピーク温度(Tm)が156℃を超え、170℃未満である。
c)キシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)が2.5〜5.0である。
d)キシレン不溶分の立体規則性(mmmm)が97.5〜99.5%である。
R1R2C(CH2OR2)
RはC1〜C10のアルキル基、R1は少なくとも3つの炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の第一級アルキル基、R2はイソプロピルとは異なる第2級アルキル基またはシクロアルキル基である。R1とR2の両者は任意成分としてヘテロ原子を含むことができる。1,3−ジエーテルを用いると分子量分布が狭く、アイソタクチック性が極めて高いポリプロピレンが得られる。
R1R2C(CH2OR3)(CH2OR4)
R1およびR2はC1〜C18アルキル、C3〜C18シクロアルキルまたはC7〜C18アリール基で、互いに同じでも異なっていてもよく、R3およびR4はC1〜C4アルキル基で、互いに同じでも異なっていてもよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂材料は、既存のスラリープロセス(液体モノマー中の重合)や気相重合等で得られる。また、各後続の重合が直前の重合反応中に形成された重合性物質の存在下で行われる少なくとも2つの逐次重合ステージを具備する逐次重合方法を用いてもよい。本発明のポリプロピレン系樹脂材料は、前述のとおり、プロピレンと10mol%未満のα−オレフィンのポリプロピレン共重合体を含んでいてもよいが、当該共重合体は、プロピレンモノマー、エチレンモノマー、水素、触媒を供給し、プロピレンモノマーとエチレンモノマーとを共重合させて得ることができる。
を含む触媒成分の存在下で行われる。重合ステージは、液相中、気相中又は液−気相中で生じてもよい。ポリプロピレン系樹脂材料の調製用の重合ステージにおける反応温度は同一でも異なっていてもよく、好ましくは40〜100℃;より好ましくは50〜90℃の範囲であり、さらに好ましくは70〜80℃の範囲である。ポリプロピレン系樹脂材料を調製するための重合ステージの圧力は、液体モノマー中で行われる場合には、用いられる運転温度での液体プロピレンの蒸気圧と競合する圧力であり、触媒混合物を供給するために用いられる少量の不活性希釈剤の蒸気圧によって、任意のモノマーの過圧によっておよび分子量調節剤として用いられる水素によって調節されてもよい。
溶融紡糸型エレクトロスピニング法とは、溶融ポリマーを充填したシリンジとコレクタ電極間に高電圧を印可し、シリンジから押出された溶融ポリマーが電荷を帯び、細かな繊維となってコレクタに生成する、紡糸方法である。溶融紡糸型エレクトロスピニング法については、公知の装置を用いて、公知の方法を適宜実施することができる。代表的な溶融紡糸型エレクトロスピニング法として、例えば「繊維と工業」Vol.64.No.2(2008)に開示された方法が挙げられる。
[ポリプロピレン系樹脂材料のキシレン不溶分の量]
2.5gのポリマーを撹拌しながら135℃において250mlのキシレンに溶解させた。20分後溶液を撹拌しながら25℃に冷却し、次いで30分間静止させた。沈殿物を濾紙で濾過し、溶液を窒素流中で蒸発させ、残留物を一定の重量に達するまで真空下80℃において乾燥した。このようにして25℃におけるキシレンに可溶性のポリマーの重量%を計算した。キシレン不溶分の量(25℃におけるキシレンに不溶性のポリマーの重量%)は、(100−可溶性のポリマーの重量%)で求められ、ポリマーのアイソタクチック成分の量と考えられる。
キシレン不溶分は、沈殿物に残留したキシレンをメタノールで十分に洗い流した後、真空下80℃において乾燥させて採取した。
上記の方法で得たキシレン不溶分の分子量の指標である極限粘度(IV)は、ウベローデ型粘度計を用いてテトラヒドロナフタレン中135℃で測定した。
上記の方法で得たキシレン不溶分の融点は、パーキンエルマー社製のダイヤモンドDSCを用い、サンプルを230℃で5分間保持した後、降温速度10℃/分で30℃まで冷却して結晶化し、30℃で5分間保持した後、昇温速度10℃/分で230℃まで加熱した際に得られる融解曲線のピーク位置により決定した。なお、低分子量ポリプロピレンの場合、メインの融解ピークの高温側に昇温中の融解再結晶化によって生じた結晶の融解によるサブの融解ピークが生じることがあるが、本発明で用いる融点は、メインの融解ピークの位置より求めた。
上記の方法で得たキシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(ポリマーラボラトリーズ社製PL−GPC220)により測定した。本発明におけるGPC測定では、酸化防止剤を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを移動相とし、重合体の試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して試料を調整する。これにより得た試料溶液の200μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度140℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。
上記の方法で得たキシレン不溶分のmmmmは、1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解したサンプルについて、日本電子社製JNM LA−400(13C共鳴周波数 100MHz)を用い13C−NMR法で測定したスペクトルから、プロピレンモノマーのメソ(m)結合シークエンスが4つ連続したペンタッドに相当するピークの強度の割合を、A.Zambelli,Macromolecules,6,925(1973)に記載された方法に従って求めた。
日本電子社製JSM−6510LA(低真空分析走査電子顕微鏡装置)を用いて紡糸した繊維径の観察を行い、最細繊維径(最小繊維径)を測定した。
(1)固体触媒成分の調製
特開平7−2925号の実施例1に記載の調製法に概ね従い、固体触媒成分を調製した。具体的には以下のとおりに調製した。
多孔性のバリヤーを完備する500mlの反応器に0℃において225mlのTiCl4を導入した。内容物を撹拌しながら、以下のようにして得られる微小球状のMgCl2・2.1C2H5OH 10.3gを15分間で添加した。添加の終了時に温度を70℃とし、9ミリモルの2−イソプロピル−2−イソアミル−1,3−ジメトキシプロパンを添加し、内容物を100℃に加熱し、この温度で2時間反応させた。その後、TiCl4を濾過して除去した。新たに200mlのTiCl4を添加し、内容物を120℃で1時間反応させた後、濾過して全ての塩素イオンが炉液に存在しなくなるまで60℃において無水ヘプタンで洗浄した。固体成分を分析し、17.4重量%のMg、2.8重量%のTi、および164重量%のジエーテルを含有することを確認した。
本発明のポリプロピレン系樹脂材料は、以下の方法で製造した。
予備接触容器内で、80mlの無水n−ヘキサン中、上記で得た固体触媒成分7mgに、0.56ミリモルのジシクロペンチルメトキシシラン(DCPMS)および7ミリモルのトリエチルアルミニウム(TEAL)を、10℃において20分間接触させた。得られた触媒系を、馬蹄形撹拌器を具備し、1時間窒素流でパージした4リットルのステンレス鋼製オートクレーブに導入し、液体プロピレン中懸濁状態で20℃において10分間保持することによって予備重合を行った。続いて液体プロピレンに水素(IV調整の目的で使用)を表1に示す濃度になる様に供給し、重合温度を70℃とし、得られた予備重合物を用いて内容物をこの温度で2時間重合させた。その後未反応モノマーを除去し、ポリマーを回収し、窒素流下70℃のオーブン中で3時間乾燥させ、次いで特性を決定した。
実施例1で製造した樹脂材料を分解処理することにより、分子量を低下させた樹脂材料を製造した。具体的な製造方法は以下のとおりである。
実施例1の樹脂材料に2.5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(化薬アクゾ社製カヤヘキサAD)を0.1重量%加え、225℃に温度設定された短軸押出機で溶融混練して分子量を低下させることにより、実施例2の樹脂材料を製造した。
水素(IV調整の目的で使用)の濃度を表1に示す値になるように増加した以外は実施例1と同様にして、分子量を低下させた樹脂材料を製造した。
本発明の範囲に入らない樹脂材料を製造した。比較例1は、キシレン不溶分の極限粘度(IV)ならびに分子量分布の値が本発明の範囲を満たさない。比較例1の具体的な製造方法は以下のとおりである。
(1)固体触媒成分の調製
ポリプロピレンの製造にフタレート系の触媒を用いた。使用した固体触媒は、欧州特許第674991号の実施例1に記載された方法により得た。該固体触媒は、MgCl2上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。
上記固体触媒と、TEALおよびDCPMSを、固体触媒に対するTEALの質量比が11であり、TEAL/DCPMSの質量比が3となるような量で、−5℃において5分間接触させた。得られた触媒系を実施例1と同様の重合反応器を導入し、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。得られた予備重合物を用いてプロピレンを重合させた。その際、重合反応器中の水素(IV調整の目的で使用)の濃度を表1に示す値にするとともに、70℃の重合温度で重合圧力を調整することによって、目的のポリプロピレンを得た。その後は実施例1と同様にして組成物を得た。
(3)組成物のペレタイズ
得られた樹脂(顆粒状の重合パウダー)に、酸化防止剤(BASF社製B225)を0.24重質量%、中和剤(カルシウムステアレート)を0.05重質量%配合し、短軸押出機を用いて230℃で溶融混練して比較例1の組成物(ペレット)を得た。
本発明の範囲に入らない樹脂材料を製造した。比較例2は、キシレン不溶分の分子量分布の値が本発明の範囲を満たさない。比較例2の具体的な製造方法は以下のとおりである。
(1)固体触媒成分の調製
特開2011−500907号の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒成分を調製した。具体的には以下のとおりに調製した。
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiCl4を0℃において装入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl2・1.8C2H5OHおよび9.1ミリモルのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。MgCl2・1.8C2H5OHは、米国特許第4,399,054号の実施例2に記載の方法に従って、しかしながら10000rpmに代えて3000rpmで運転して製造した。温度を100℃に上昇し、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した。
250mLの新しいTiCl4を加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。
上記固体触媒と、TEALおよびDCPMSを、固体触媒に対するTEALの質量比が11であり、TEAL/DCPMSの質量比が3となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を実施例1と同様の重合反応器に導入し、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。得られた予備重合物を用いてプロピレンを重合させた。その際、重合反応器中の水素の(IV調整の目的で使用)濃度を表1に示す値にするとともに、70℃の重合温度で重合圧力を調整することによって、ポリプロピレンを得た。その後は実施例1と同様にして比較例2の樹脂材料を得た。
本発明の範囲に入らない樹脂材料を製造した。比較例3は、キシレン不溶分の融点ならびに分子量分布の値が本発明の範囲を満たさない。比較例3の具体的な製造方法は以下のとおりである。
(1)固体触媒成分の調製
使用したメタロセン触媒は、特表2003−517010号の実施例1に記載されたメタロセン錯体とメチルアルモキサン(MAO)を含有し、上記特許公報の実施例49に記載された方法で担持させたものであった。
ポリプロピレン系共重合体(プロピレン・エチレン共重合体)の重合は、上記の特許公報の実施例55〜57に記載された方法により行った。トリイソブチルアルミニウム(TIBA)を含むヘキサン溶液とプロピレンを20Lのオートクレーブに充填した後、上記担持型メタロセン触媒を注入した。重合温度と圧力が所定の値に達した後、エチレンを供給して重合させた。その際、オートクレーブに注入するエチレン量、重合温度、重合圧力を調整することによって、エチレン含量が1.6重量%でキシレン不溶分のIVが0.78のポリプロピレン共重合体を得た。その後は実施例1と同様にして比較例3の樹脂材料を得た。
本発明の範囲に入らない樹脂材料を製造した。比較例4は、キシレン不溶分の立体規則性mmmmの値が本発明の範囲を満たさない。比較例4の製造方法は特開平7−2925号の実施例1に準拠した。具体的な方法は以下のとおりである。
(1)固体触媒成分の調製
実施例1と同様に行った。
馬蹄形攪拌器を具備し、すでに70℃において1時間窒素流でパージした4リットルのステンレス鋼製オートクレーブに、7mgの固体触媒成分を含む80mlの無水n−ヘキサン、および7ミリモルのTEALをプロピレン流下30℃で導入した。液体プロピレンに水素(IV調整の目的で使用)を表1に示す濃度になる様に供給し、温度を5分間70℃とし、内容物をこの温度で2時間重合させ、その後未反応モノマーを除去し、ポリマーを回収し、窒素流下70℃のオーブン中で3時間乾燥させ、次いで特性を決定した。
溶融紡糸型エレクトロスピニング法は、1.樹脂材料を溶融する工程、2.吐出ノズルから溶融した樹脂材料を吐出すると同時に、ノズルから吐出する溶融樹脂材料を高速エアーで延伸する工程、3.延伸された繊維を捕集する工程からなる。
まず工程1において、樹脂材料を、粘度が十分に低下するまで加熱して溶融させた。次に工程2で、溶融樹脂材料を吐出ノズルから吐出すると同時に、別のエアーノズルから高速で高温エアーを噴出し溶融樹脂材料を延伸した。さらに同時に電極と吐出ノズルの間に高電圧を印加することによって電荷を発生させ、溶融樹脂材料を同極帯電させた。この同極の電荷が互いにクーロン力で反発することで、溶融樹脂材料が更に延伸され、極細繊維が生成された。
各実施例および比較例の結果を、表1にまとめる。
Claims (13)
- 溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行い極細繊維を製造するためのポリプロピレン系樹脂材料であって、
キシレン不溶分の量が95重量%以上であり、さらに下記の特性:
a)キシレン不溶分の極限粘度(IV)が0.3〜0.8dl/gである
b)キシレン不溶分のDSC(示差走査型熱量測定)法により測定される融解ピーク温度(Tm)が156℃を超え、170℃未満である
c)キシレン不溶分の分子量分布(Mw/Mn)が2.5〜5.0である
d)キシレン不溶分の立体規則性(mmmm)が97.5〜99.5%である
を備える前記ポリプロピレン系樹脂材料。 - キシレン不溶分の極限粘度(IV)が、0.3〜0.65dl/gである、請求項1に記載の樹脂材料。
- キシレン不溶分の極限粘度(IV)が、0.3〜0.5dl/gである、請求項1に記載の樹脂材料。
- 前記ポリプロピレン系樹脂材料が、
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよびジエーテルから選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒成分;
(B)有機アルミニウム化合物;および
(C)ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシランから選択されるケイ素化合物から選択される外部電子供与体化合物
を含む触媒を用いてプロピレンを重合することにより得た、
i)ポリプロピレン単独重合体、
ii)プロピレンとα−オレフィンとを重合して得た10mol%未満のα−オレフィン単位を含むポリプロピレン共重合体、
i)を含む樹脂組成物、
ii)を含む樹脂組成物、ならびに
i)とii)を含む樹脂組成物
からなる群より選択される、
請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂材料。 - i)ポリプロピレン単独重合体、
ii)プロピレンとα−オレフィンとを重合して得た10mol%未満のα−オレフィン単位を含むポリプロピレン共重合体、ならびに
i)とii)を含む樹脂組成物からなる群より選択される、請求項4に記載の樹脂材料。 - i)とその分解物を含む樹脂組成物、
ii)とその分解物を含む樹脂組成物、ならびに
i)と、ii)と、i)および/またはii)の分解物を含む樹脂組成物、からなる群より選択される、請求項4に記載の樹脂材料。 - 添加剤を含まない、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂材料。
- 添加剤を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂材料。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂材料を用い、溶融紡糸型エレクトロスピニング法により、加熱溶融状態において連続押出紡糸を行って極細繊維を紡糸することを含む、ポリプロピレン系極細繊維の製造方法。
- 前記樹脂材料が、重合パウダーの形状である、請求項9に記載の製造方法。
- 添加剤を使用しない、請求項10に記載の方法。
- 請求項9〜11のいずれかに記載の製造方法により得られた、ポリプロピレン系極細繊維。
- 請求項12に記載の極細繊維から製造された、繊維製品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013268223A JP6391241B2 (ja) | 2013-12-26 | 2013-12-26 | エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂材料および当該材料を用いた繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013268223A JP6391241B2 (ja) | 2013-12-26 | 2013-12-26 | エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂材料および当該材料を用いた繊維の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015124255A true JP2015124255A (ja) | 2015-07-06 |
JP6391241B2 JP6391241B2 (ja) | 2018-09-19 |
Family
ID=53535212
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013268223A Active JP6391241B2 (ja) | 2013-12-26 | 2013-12-26 | エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂材料および当該材料を用いた繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6391241B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017190533A (ja) * | 2016-04-11 | 2017-10-19 | 花王株式会社 | 溶融電界紡糸用組成物及びそれを用いた繊維の製造方法 |
JP2018138709A (ja) * | 2017-02-24 | 2018-09-06 | サンアロマー株式会社 | ポリプロピレンナノファイバーおよび積層体の製造方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011162636A (ja) * | 2010-02-09 | 2011-08-25 | Japan Polypropylene Corp | 溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂材料及び極細繊維の溶融紡糸方法 |
JP2012072514A (ja) * | 2010-09-28 | 2012-04-12 | Japan Polypropylene Corp | 溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物及びそれによる極細繊維の溶融紡糸方法 |
JP2013044067A (ja) * | 2011-08-24 | 2013-03-04 | Japan Polypropylene Corp | 溶融紡糸型エレクトロスピニングに用いるプロピレン系樹脂組成物及びそれによる極細繊維の溶融紡糸方法 |
JP2014129614A (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-10 | Japan Polypropylene Corp | 極細繊維及びその製造方法 |
-
2013
- 2013-12-26 JP JP2013268223A patent/JP6391241B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011162636A (ja) * | 2010-02-09 | 2011-08-25 | Japan Polypropylene Corp | 溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂材料及び極細繊維の溶融紡糸方法 |
JP2012072514A (ja) * | 2010-09-28 | 2012-04-12 | Japan Polypropylene Corp | 溶融紡糸型エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂組成物及びそれによる極細繊維の溶融紡糸方法 |
JP2013044067A (ja) * | 2011-08-24 | 2013-03-04 | Japan Polypropylene Corp | 溶融紡糸型エレクトロスピニングに用いるプロピレン系樹脂組成物及びそれによる極細繊維の溶融紡糸方法 |
JP2014129614A (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-10 | Japan Polypropylene Corp | 極細繊維及びその製造方法 |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017190533A (ja) * | 2016-04-11 | 2017-10-19 | 花王株式会社 | 溶融電界紡糸用組成物及びそれを用いた繊維の製造方法 |
JP2018138709A (ja) * | 2017-02-24 | 2018-09-06 | サンアロマー株式会社 | ポリプロピレンナノファイバーおよび積層体の製造方法 |
JP7236797B2 (ja) | 2017-02-24 | 2023-03-10 | サンアロマー株式会社 | ポリプロピレンナノファイバーおよび積層体の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6391241B2 (ja) | 2018-09-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2501727A1 (en) | Process for the preparation of impact resistant propylene polymer compositions | |
JP6095947B2 (ja) | コンプレッション成形用ポリプロピレン系樹脂組成物および成形品 | |
JP2012530170A (ja) | 耐衝撃性プロピレンポリマー組成物の製造方法 | |
JP6301839B2 (ja) | レトルトフィルム用プロピレン樹脂組成物 | |
JP6076328B2 (ja) | シート成形用ポリプロピレン系樹脂組成物 | |
MX2008015361A (es) | Polipropileno de alta cristalinidad de indice de flujo de fusion alto. | |
US11459454B2 (en) | Polypropylene composition and molded article | |
JP6144045B2 (ja) | ポリプロピレン樹脂組成物およびその製造方法ならびにポリプロピレンシートおよび二軸延伸ポリプロピレンフィルム | |
JP6235804B2 (ja) | シート成形用ポリプロピレン樹脂組成物 | |
JP2011195988A (ja) | ポリプロピレン繊維、その製造方法およびそれを用いた製品 | |
JP6391241B2 (ja) | エレクトロスピニング用プロピレン系樹脂材料および当該材料を用いた繊維の製造方法 | |
JP6454131B2 (ja) | ポリプロピレン組成物を含むフィルムまたはシートの製造方法 | |
US11787882B2 (en) | Ultrahigh molecular weight propylene (co)polymer | |
JP2016186012A (ja) | ポリプロピレン組成物から得られるフィルムまたはシート | |
WO2022270630A1 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法、並びにシート成形体及び容器 | |
JP6831218B2 (ja) | マスターバッチ組成物およびこれを含むポリプロピレン樹脂組成物 | |
JP6827877B2 (ja) | 中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及び中空成形品 | |
JP6235805B2 (ja) | 二軸延伸フィルム用ポリプロピレン樹脂組成物 | |
JP2022149485A (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物及びその製造方法、並びに射出成形体 | |
US20220372198A1 (en) | Polypropylene Composition And Molded Article | |
JP6860326B2 (ja) | ポリプロピレン組成物およびこれを成形してなるマット調フィルム | |
JP6588286B2 (ja) | インフレーションフィルム用ポリプロピレン樹脂組成物 | |
JP2015063678A (ja) | シート成形用ポリプロピレン樹脂組成物 | |
CN111741987A (zh) | 聚丙烯组合物和模塑制品 | |
JPH11228617A (ja) | α−オレフィン重合用触媒ならびにα−オレフィン重合体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20161222 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20170517 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20171127 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20171226 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20180223 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20180723 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20180821 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6391241 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |