JP6454131B2 - ポリプロピレン組成物を含むフィルムまたはシートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はポリプロピレン組成物を含むフィルムまたはシートの製造方法に関する。
ポリプロピレンは、優れた物理的特性を有しかつ衛生面にも優れているため食品容器として有用である。例えば、ポリプロピレンに核剤を混合してシートを得て、これを真空成形して食品容器を製造することが提案されている(特許文献1〜5)。しかし、このようにして得たポリプロピレン容器は低温で使用する場合に耐衝撃性が低下するという問題があった。これを改善するために、例えばエチレン系コポリマーをポリプロピレンに添加することが提案されている(特許文献6)。
特開2000−334823号 特開昭59−171625号 特開2006−193539号 特開平7−286007号 特開平10−292074号 特表2011−513528号
発明者らは、特許文献に記載された技術について予備的に検討したところ、エチレン系コポリマーを添加すると透明性が低下するので、従来のポリプロピレン系シートは満足の行く透明性および耐寒衝撃性を有していないという知見を得た。かかる事情を鑑み、本発明は、透明性および耐寒衝撃性に優れた、ポリプロピレン組成物から得られるシートを提供することを課題とする。
発明者らは、特定のポリプロピレン組成物を用いることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。すなわち、前記課題は以下の本発明により解決される。
[1](I)成分(1)として0〜3重量%のエチレンまたは1種類以上のC4〜C10−α−オレフィンを含むプロピレン(共)重合体を75〜86重量%;
成分(2)としてプロピレン含量が65〜85重量%であるエチレン−プロピレン共重合体を14〜25重量%;および
成分(3)として核剤を含み、
メルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が1.5g/10分以上5.5g/10分未満、
XSIV(キシレン可溶分の固有粘度)が1.0〜2.2dl/gであるマスターバッチ組成物を準備する工程、
(II)前記マスターバッチ組成物と成分(4)として0〜3重量%のエチレンまたは1種類以上のC4〜C10−α−オレフィンを含むプロピレン(共)重合体を含む組成物とを混合して、前記マスターバッチ組成物を10〜40重量%、および成分(4)を60〜90重量%含むポリプロピレン組成物を準備する工程、
(III)前記ポリプロピレン組成物を二軸延伸する工程を含む、
シートまたはフィルムの製造方法。
[2]前記二軸延伸後の成形体の表面状態を維持したまま冷却する工程をさらに含む、[1]記載の製造方法。
[3]前記成分(1)と(2)の合計100重量部に対して、前記核剤を0.05〜1.0重量部含む、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記工程(I)が、成分(1)の原料であるプロピレンとエチレンまたはC4〜C10−α−オレフィン、および成分(2)の原料であるエチレンとプロピレンとを、
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体化合物としてのスクシネート系化合物を含有する固体触媒、
(B)有機アルミニウム化合物、ならびに
(C)外部電子供与体化合物
を含む触媒を用いて重合する工程を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]前記重合工程を2つ以上の反応器を用いて実施する、[4]に記載の製造方法。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法によって製造されたフィルムまたはシートからなる層を有する成形体。
[7]前記[6]に記載の成形体を成形してなる二次成形体。
本発明において、シートとは厚みが200μm以上の部材であり、フィルムとは厚みが200μm未満の部材をいう。本発明のシートは特定のポリプロピレン組成物を特定の温度で二軸延伸して得られる。以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「X〜Y」は、両端の値すなわちXとYとを含む。
本発明の製造方法は、成分(1)〜(3)を含むマスターバッチ組成物を準備する工程I、当該マスターバッチ組成物と成分(4)と混合してポリプロピレン組成物を準備する工程II、ならびに当該ポリプロピレン組成物を二軸延伸する工程IIIを含む。以下、各工程について説明する。
1.工程I
本工程ではマスターバッチ組成物を準備する。マスターバッチ組成物は成分(1)として0〜3重量%のエチレンまたは1種類以上のC4〜C10−α−オレフィンを含むプロピレン(共)重合体を75〜86重量%、成分(2)としてプロピレン含量が65〜85重量%であるエチレン−プロピレン共重合体を14〜25重量%、および成分(3)として核剤を含む。
(1)プロピレン(共)重合体(成分1)
プロピレン(共)重合体とは、プロピレン単独重合体、あるいは0重量%を超え3重量%以下のエチレンまたはC4〜C10−α−オレフィン(以下「コモノマー」ともいう)とプロピレンの共重合体である。1.0重量%のエチレンを含むプロピレンの共重合体とは、エチレン由来のユニットとプロピレン由来のユニットとの重量比が1.0:99.0である共重合体である。他の共重合体についても同様である。コモノマー含有量の上限値は3重量%以下であるが、2.8重量%以下が好ましく、2.5重量%以下がより好ましい。コモノマー含有量が上限値を超えると、剛性と延伸加工時のシートのカッティング性が低下する。また、コモノマー含有量が3.5重量%以上では、本発明のマスターバッチ組成物に用いる重合体の製造が困難となる。コモノマーを用いる場合の下限値は限定されないが、0.5重量%以上が好ましく、1.0重量%以上がより好ましい。コモノマーとしては、入手容易性等からエチレンまたはC4〜C6−α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
(2)プロピレン−エチレン共重合体(成分2)
本発明で用いるプロピレン−エチレン共重合体はプロピレン含有量が65〜85重量%である。プロピレン含有量が上限値を超えると耐衝撃性が低下し、下限値未満であると透明性が低下する。この観点からプロピレン含有量の上限値は80重量%以下が好ましく、77重量%以下がより好ましい。プロピレン含有量の下限値は67重量%以上が好ましく、70重量%以上がより好ましい。
(3)核剤(成分3)
本発明に用いる核剤とは、樹脂中の結晶成分のサイズを小さく制御して透明性を高めるために用いられる添加剤である。核剤は特に限定されず、当該分野で通常使用されるものを使用してよいが、ノニトール系核剤、ソルビトール系核剤、リン酸エステル系核剤、トリアミノベンゼン誘導体核剤、カルボン酸金属塩核剤、およびキシリトール系核剤から選択されることが好ましい。ノニトール系核剤として、例えば、1,2,3―トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールが挙げられる。
キシリトール系核剤として、例えば、ビス−1,3:2,4−(5’,6’,7’,8’−テトラヒドロ−2−ナフトアルデヒドベンジリデン)1−アリルキシリトール、ビス−1,3:2,4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)1−プロピルキシリトールが挙げられる。
ソルビトール系核剤として、例えば、ビス−1,3:2,4−(4’−エチルベンジリデン)1−アリルソルビトール、ビス−1,3:2,4−(3’−メチル−4’−フルオロ−ベンジリデン)1−プロピルソルビトール、ビス−1,3:2,4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)1’−メチル−2’−プロペニルソルビトール、ビス−1,3,2,4−ジベンジリデン2’,3’−ジブロモプロピルソルビトール、ビス−1,3,2,4−ジベンジリデン2’−ブロモ−3’−ヒドロキシプロピルソルビトール、ビス−1,3:2,4−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、モノ2,4−(3’−ブロモ−4’−エチルベンジリデン)−1−アリルソルビトール、ビス−1,3:2,4−(4’−エチルベンジリデン)1−アリルソルビトール、ビス−1,3:2,4−(3’,4’−ジメチルベンジリデン)1−メチルソルビトール、ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス−o−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−o−(ベンジリデン)−D−ソルビトール、1,3:2,4−ビス−o−(3,4−ジメチルベンジリデン)−D−ソルビトール等が挙げられる。
このうち、市販の核剤としては、ノニトール系では例えば1,2,3―トリデオキシ−4,6:5,7−ビス−[(4−プロピルフェニル)メチレン]−ノニトールを含むMillad NX8000、NX8000K、NX8000J(以上ミリケンジャパン株式会社製)、ソルビトール系ではRiKAFAST R−1(新日本理化株式会社製)、Millad 3988(ミリケンジャパン株式会社製)、ゲルオールE−200(新日本理化株式会社製)、ゲルオールMD(新日本理化株式会社製)等が挙げられる。
リン酸エステル系核剤として、アルミニウム−ビス(4,4’,6,6’−テトラ−tert−ブチル−2,2’−メチレンジフェニル−ホスファート)−ヒドロキシド、リン酸−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リチウム塩系化合物等が挙げられる。市販のリン酸エステル系核剤として、例えばアデカスタブNA−21(株式会社ADEKA製)、アデカスタブNA−71(株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
トリアミノベンゼン誘導体核剤として、例えば、1,3,5−トリス(2,2−ジメチルプロパンアミド)ベンゼン等が挙げられる。市販のトリアミノベンゼン誘導体核剤として、例えばIRGACLEAR XT386(BASFジャパン株式会社製)などが挙げられる。
カルボン酸金属塩核剤として、1,2−シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩等が挙げられる。市販のカルボン酸金属塩核剤として、例えばHyperform HPN−20E(ミリケンジャパン株式会社製)などが挙げられる。特に加熱することを含む二次成形後の透明性を維持するためには、ノニトール系核剤またはソルビトール系核剤の使用が好ましい。ここで二次成形とは、一次成形品であるフィルムやシートにコンプレッション成形や真空成形等を施して別の形状を持った成形品に加工したり、フィルムやシート同士を融着させて接合したりすることであり、得られた成形体を二次成形体と呼ぶ。
(4)各成分の量
成分(1)と(2)の比率は(1):(2)=75〜86重量%:14〜25重量%である。成分(2)の量が、この上限を超えると得られるシート等の剛性が低下し、30重量%以上では製造が困難となる。また、下限未満であると得られるシート等の耐寒衝撃性が低下する。この観点から、前記比率は好ましくは、80〜86重量%:14〜20重量%である。
核剤の量は、成分(1)と(2)の合計100重量部に対して、0.05〜1.0重量部が好ましい。核剤の量がこの上限を超えるとコストが嵩み、この下限未満であると得られるシート等の透明性が低下することがある。この観点から、核剤の配合比は、成分(1)と(2)の合計100重量部に対して、より好ましくは0.1〜1.0、さらに好ましくは0.2〜0.7重量部である。
(5)他の成分
さらにマスターバッチ組成物には、成分(1)、(2)以外のオレフィン系共重合体、酸化防止剤、塩酸吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展および他の有機および無機顔料などのオレフィン重合体に通常用いられる慣用の添加剤を添加してもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。
特に、成分(1)、(2)以外のオレフィン系共重合体を添加すると衝撃強度が向上するので好ましい。当該オレフィン系共重合体としてはスチレン−水添ブタジエンブロック共重合体やポリプロピレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。その添加量は、成分(1)と(2)の合計100重量部に対して1〜6重量部が好ましい。
(6)特性
1)メルトフローレート
マスターバッチ組成物の230℃、荷重21.18Nにおけるメルトフローレート(以下「MFR」ともいう)は1.5g/10分以上5.5g/10分未満である。メルトフローレートの値が、この上限値を超えると加工時の耐ドローダウン性が低下し、下限値未満であると加工時のトルクが上昇し、いずれの場合もシート成形が困難になることがある。この観点から、メルトフローレートは好ましくは2〜5g/10分である。
2)XSIV
XSIVはポリプロピレン組成物のキシレン可溶分の固有粘度であり、当該組成物における結晶性を持たない成分の分子量の指標でもある。XSIVは25℃のキシレンに可溶な成分を得て、当該成分の固有粘度を定法にて測定することで求められる。本発明においてXSIVは1.0〜2.2dl/gである。XSIVが上限値を超えると得られるシート等の透明性が低下する。XSIVが下限値未満であると製造が困難となる。
(7)製造方法
マスターバッチ組成物は任意の方法で製造してよいが、成分(1)の原料モノマーおよび成分(2)の原料モノマーを、(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体化合物としてのスクシネート系化合物を含有する固体触媒、(B)有機アルミニウム化合物、ならびに(C)外部電子供与体化合物を含む触媒を用いて重合する工程を含む方法で得ることが好ましい。
1)固体触媒(成分A)
成分(A)は、公知の方法、例えばマグネシウム化合物とチタン化合物と電子供与体化合物を相互接触させることにより調製できる。
成分(A)の調製に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)4−gで表される4価のチタン化合物が好適である。式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4である。チタン化合物として、より具体的にはTiCl、TiBr、TiIなどのテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH)Cl、Ti(OC)Cl、Ti(O−C)Cl、Ti(OC)Br、Ti(OisoC)Brなどのトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCHCl、Ti(OCCl、Ti(O−CCl、Ti(OCBrなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH、Ti(OC、Ti(O−Cなどのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。これらの中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物、特にテトラハロゲン化チタンであり、より特に好ましいものは、四塩化チタンである。
成分(A)の調製に用いられるマグネシウム化合物としては、マグネシウム−炭素結合やマグネシウム−水素結合を有するマグネシウム化合物、例えばジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状であっても固体状であってもよい。さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムのようなハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムのようなアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなマグネシウムのカルボン酸塩などを挙げることができる。
成分(A)の調製に用いられる電子供与体化合物は、一般には「内部電子供与体」と称される。本発明において電子供与体化合物はスクシネート系化合物が好ましい。本発明でスクシネート系化合物とはコハク酸のジエステルまたは置換コハク酸のジエステルをいう。以下、スクシネート系化合物について詳しく説明する。本発明で好ましく使用されるスクシネート系化合物は、以下の式(I)で表される。
Figure 0006454131
式中、基R及びRは、互いに同一か又は異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基であり;基R〜Rは、互いに同一か又は異なり、水素、或いは場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基であり、同じ炭素原子または異なる炭素原子に結合している基R〜Rは一緒に結合して環を形成してもよい。
及びRは、好ましくは、C〜Cのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基である。R及びRが第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なR及びR基の例は、C〜Cのアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシルである。エチル、イソブチル、及びネオペンチルが特に好ましい。
式(I)によって示される化合物の好ましい群の1つは、R〜Rが水素であり、Rが、3〜10個の炭素原子を有する、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、及びアルキルアリール基であるものである。このような単置換スクシネート化合物の好ましい具体例は、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−エトキシカルボジイソブチルフェニルスクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートである。
式(I)の範囲内の化合物の他の好ましい群は、R〜Rからの少なくとも2つの基が、水素とは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C〜C20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基から選択されるものである。水素とは異なる2つの基が同じ炭素原子に結合している化合物が特に好ましい。具体的には、R及びRが水素とは異なる基であり、R及びRが水素原子である化合物である。このような二置換スクシネートの好ましい具体例は、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2、2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートである。
更に、水素とは異なる少なくとも2つの基が異なる炭素原子に結合している化合物も特に好ましい。具体的にはRおよびRが水素と異なる基である化合物である。この場合、RおよびRは水素原子であってもよいし水素とは異なる基であってもよいが、いずれか一方が水素原子であること(三置換スクシネート)が好ましい。このような化合物の好ましい具体例は、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シクロペンチルスクシネートである。
式(I)の化合物のうち、基R〜Rのうちのいくつかが一緒に結合して環を形成している化合物も好ましく用いることができる。このような化合物として特表2002−542347に挙げられている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5一ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2一メチルシクロへキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンを挙げることができる。他には、例えば国際公開第2009/069483に開示されているような環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。他の環状スクシネート化合物の例としては、国際公開2009/057747号に開示されている化合物も好ましい。
式(I)の化合物のうち、基R〜Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は窒素およびリン原子を含む第15族原子あるいは酸素およびイオウ原子を含む第16族原子であることが好ましい。基R〜Rが第15族原子を含む化合物としては、特開2005−306910号に開示される化合物が挙げられる。一方、基R〜Rが第16族原子を含む化合物としては、特開2004−131537号に開示される化合物が挙げられる。
2)有機アルミニウム化合物(成分B)
成分(B)の有機アルミニウム化合物としては以下が挙げられる。
トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
トリイソプレニルアルミニウムのようなトリアルケニルアルミニウム:
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;
エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;
エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのようなアルキルアルミニウムジハロゲニドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;
ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;
エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどの部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;
エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム。
3)電子供与体化合物(成分C)
成分(C)の電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体」と称される。このような電子供与体化合物としては有機ケイ素化合物が好ましい。好ましい有機ケイ素化合物として以下が挙げられる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン。
中でも、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチルt−ブトキシジメトキシシラン、t−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、i−ブチルセク−ブチルジメトキシシラン、エチル(パーヒドロイソキノリン2−イル)ジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン−2−イル)ジメトキシシラン、トリ(イソプロペニロキシ)フェニルシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、i−ブチルi−プロピルジメトキシシラン、シクロペンチルt−ブトキシジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルi−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルi−ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチル(3、3、3−トリフルオロプロピル)ジメトキシシラン、ケイ酸エチルなどが好ましい。
4)重合
成分(1)の原料モノマーおよび成分(2)の原料モノマーを、2つ以上の反応器を用いて重合することが好ましい。重合は、液相中、気相中または液−気相中で実施してよい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは33〜45barの範囲であり、気相中で行われる場合には5〜30barの範囲である。連鎖移動剤(たとえば、水素又はZnEt)などの当該分野で公知の慣用の分子量調節剤を用いてもよい。
また、モノマー濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いてもよい。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接続されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、ポリマー生成物を回収する。この方法は、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体および/または液体混合物を下降管中に導入する。上記の重合方法として、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
核剤の添加は、例えば、得られた重合体と核剤を酸化防止剤とともにヘンシェルミキサー、ブラベンダー等で撹拌した後、押出機を用いて180℃から280℃で溶融ブレンドして行うことができる。核剤や酸化防止剤の添加は、重合、残留モノマー除去、乾燥工程を経た後、重合装置に連結された押出機を用いて行ってもよい。
特に、本発明においては、重合パウダーと核剤とを溶融混練して両者を混合してもよい。重合パウダーとは、重合後、残留モノマー除去、乾燥工程を経た後に得られた粉末状のポリマーである。重合パウダーは50〜5,000μmの平均粒径(光散乱法による)を有する。表面積の大きい重合パウダーと核剤とを混合することで核剤の分散が良好となり、得られるシートの透明性がより向上する。また、本発明においては、高濃度の核剤をポリプロピレンと溶融混練した、いわゆる核剤マスターバッチをシート成形時にポリプロピレン樹脂に混合してもよい。
また、マスターバッチ組成物が他の成分として前記オレフィン系共重合体を含む場合、当該オレフィン系共重合体と前記重合パウダーとを溶融混練して両者を混合してもよい。
2.工程II
本工程では、前記マスターバッチ組成物と成分(4)である0〜3重量%のエチレンまたは1種類以上のC4〜C10−α−オレフィンを含むプロピレン(共)重合体を含む組成物とを混合して、両者の比率が10〜40重量%:60〜90重量%であるポリプロピレン組成物を準備する。
(1)混合方法
混合する方法は限定されないが、押出機等の混練機を用いる方法が好ましい。混練条件は特に限定されないが、シリンダー温度を180〜250℃とすることが好ましい。このようにして得られるポリプロピレン組成物はペレット形状であってもよいが、押出機の先端にTダイ等を設置してシート状に成形して予備シートとして得てもよい。混合比は、得られるポリプロピレン組成物中のマスターバッチ組成物と成分(4)の比率が10〜40重量%:60〜90重量%となるように選択される。マスターバッチ組成物の量が上限値を超えると最終的なフィルムまたはシートの剛性が低下し、下限値未満であると得られるフィルムまたはシートの耐寒衝撃性が低下する。この観点から、上記比率は20〜40重量%:60〜80重量%がより好ましい。
(2)プロピレン(共)重合体を含む組成物(成分4)
本工程で用いる成分(4)は0〜3重量%のエチレンまたは1種類以上のC4〜C10−α−オレフィンを含むプロピレン(共)重合体を含む組成物である。プロピレン(共)重合体の組成および特性は成分(1)と同一であってもよいし異なっていてもよい。しかしながら、成分(4)のコモノマー組成は1〜3重量%のエチレンであることが好ましい。さらに、成分(4)のメルトフローレート(230℃、荷重21.18N)は1.0〜10g/10分が好ましい。成分(4)におけるプロピレン(共)重合体以外の成分としては、核剤、酸化防止剤等の公知の添加物が挙げられる。核剤としてはすでに述べたものを使用でき、その量は、成分(4)中0.05〜1.0重量%が好ましい。酸化防止剤等としては公知のものを使用でき、その量は公知の範囲としてよい。成分(4)は、前記触媒を用いて原料モノマーを重合し、得られた(共)重合体を核剤と酸化防止剤とともに溶融混練することによって製造することが好ましい。
3.工程III
(1)二軸延伸
本工程においては前記ポリプロピレン組成物を二軸延伸する。前述のとおり、前記ポリプロピレン組成物から予備シートを作製し、当該予備シートの幅方向および流れ方向に延伸することが好ましい。幅方向および流れ方向への延伸は、同時であってもよく、後述するように時間差を付けて行ってもよい。通常は、まず、ポリプロピレン組成物を押出機で溶融した後、Tダイよりシート状に押出成形して予備シートを調製し、これを冷却ロールで冷却固化する。次いで、得られたシートを多数の加熱ロールに通して縦方向に延伸する(縦延伸)。続いて、予熱部、延伸部および熱処理部から構成された加熱炉に通して横方向に延伸する(横延伸)。二次成形の手法としても用いられるコンプレッション成形や真空成形等では、予め得られた予備シートを二軸延伸することにより、目的の厚みや形状に賦形する。また、上記ポリプロピレン組成物の層とこれ以外の層が積層された予備シートを調製し、これを上記のように二軸延伸してもよい。さらに、カレンダー成形やインフレーション成形のように、ポリプロピレン組成物を押出機で溶融した後、ダイより押出された溶融樹脂が固化する段階で二軸延伸してもよい。ポリプロピレン組成物以外の層は特に限定されないが、プロピレンの単独重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体、または、これらのいずれかの重合体を主成分としポリプロピレン以外の樹脂を含有する組成物からなる層であってよい。
本発明においては、ポリプロピレン組成物を特定の温度Tsで二軸延伸することが好ましい。上記縦延伸と横延伸のように二軸延伸する工程が複数の段階から構成される場合は、少なくとも最も後の段階においてTsで延伸することが好ましい。当該温度Tsは示差走査熱量計(DSC)により決定される。具体的にTsは、前記組成物を、DSCを用いてセカンドスキャンして、成分(1)、(2)または(4)由来の融点を得て、これらにより以下のように決定される。
セカンドスキャンとは、DSCを用いてポリプロピレン組成物を、融解後、結晶化し、室温で5分間保持した後に、DSCを用いて熱分析することをいう。具体的には、1)ポリプロピレン組成物を融解温度(230℃)まで加熱し、当該温度で5分保持し、10℃/分の降温速度で30℃まで冷却して5分間保持した後、2)10℃/分の昇温速度で230℃まで加熱して熱分析を行う。
本発明のポリプロピレン組成物は、当該熱分析によって成分(1)、(2)、または(4)に由来する融点ピークが得られる。前記ポリプロピレン組成物のDSCでのセカンドスキャンにおいて成分(1)、(2)、または(4)由来の最高温側の融点のピークトップ温度をTm(℃)とするとき、Tsは−30≦Ts−Tm≦10の範囲が好ましい。成分(1)、(2)または(4)、あるいはこれらすべてが複数のピークを有する場合は、その中で最も高温側にあるピークトップ温度がTmである。
前記Tsの温度範囲は、ポリプロピレン組成物の成分(1)、(2)、または(4)に由来する結晶の大部分が融解している状態であってかつシート形状を維持できる状態であるか、部分的に融解している状態である。したがって、二軸延伸時の温度が前記上限を超えるか前記下限未満となると二軸延伸が困難となる。一般的なプロピレン重合体とエチレン−α−オレフィン共重合体からなる組成物の場合、通常はTsがTmより低いと得られるシート等の透明性が低下する。最終的に得られるシート等の透明性の悪化は、延伸時に成分(1)、(2)、または(4)のいずれかに高融点の結晶を含む未溶融成分が多く存在すると、未溶融成分に対して融解している成分が陥没した状態で延伸される結果、表面に凹凸が生じるためと思われる。本発明では、上記エチレン−α−オレフィン共重合体として(2)のようなプロピレン含量が高く分子量の低いエチレン−プロピレン重合体(プロピレン重合体との相容性が高い)を用いることで、(1)および(4)のプロピレン重合体中に(2)が微分散して融解成分の陥没の影響が減少する結果、ポリプロピレン組成物をTmより低いTsで延伸した場合においても、透明性に優れたシート等を得られると考えられる。ただしこの理論に限定されない。Ts−Tmの下限は−30℃以上が好ましいが、−25℃以上がより好ましく、−20℃以上が更に好ましい。またTs−Tmの上限は10℃以下であるが、9℃以下がより好ましい。
特に、本発明のポリプロピレン組成物はマスターバッチ組成物を成分(4)と混合して得る。このため上述した成分(2)の分散性が更に向上し、得られるフィルムまたはシートの透明性がより向上すると考えられる。これに加えて、マスターバッチ組成物を用いることで異なる複数の樹脂グレードを用意することなく種々の特性を達成できるという利点がある。例えば、透明性をより重視する場合はマスターバッチ組成物を少なめに、耐寒衝撃性をより重視する場合はマスターバッチ組成物を多めに配合する等のように、マスターバッチ比率を変更することで種々のグレードを調製できる。
4.冷却工程
前記の温度範囲で二軸延伸して得られた成形体は、成分(2)が成分(1)と(4)に微分散した状態で延伸された結果、表面が平滑で高い透明性を有する。本工程ではこの平滑な表面状態を維持したまま冷却し、シート等の透明性を維持することが好ましい。サイズの大きな結晶は表面荒れの要因となるので、平滑性を維持するため、二軸延伸後の冷却時に生じる結晶が成長しない温度に冷却することが好ましい。その具体的な値は限定されないが、冷却温度は80℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。冷却の方法は特に限定されず、例えば、二軸延伸して得られた成形体を水冷または空冷することができる。
5.本発明のシートまたはフィルム
本発明で得られるシートまたはフィルムは種々の用途に使用できる。例えば、真空成形等によりシート等を容器へ成形でき、打抜加工によりシート等を所望の形状に成形できる。特に本発明のシート等は透明性および耐寒衝撃性に優れ、かつ打抜加工時に糸引きが少なくカッティング性にも優れているので、氷や氷菓用の容器、冷却飲料等の食品容器や包装材料として有用である。
以下に実施例を挙げ本発明についてさらに説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されない。
以下のように分析および評価を行った。
(1)MFR
JIS K 7210に準じ、温度230℃、荷重21.18Nの条件下で測定した。
(2)XSIV
サンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250ml入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間、撹拌し、サンプルを完全溶解した。その後、溶液を25℃で1時間冷却した。濾紙を用いて得られた溶液を濾過し、濾液を100ml採取し、アルミカップ等に移し、窒素パージを行いながら、150℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置してキシレン可溶分を得た。ウベローデ型粘度計を用いて、当該キシレン可溶分の135℃テトラヒドロナフタレン中で固有粘度を測定し、XSIV(dl/g)を得た。
(3)延伸性
延伸時に破断等の問題が生じない場合を良、問題が生じる場合を不良と評価した。
(4)透明性
ISO 14782に準拠して、株式会社村上色彩技術研究所製、HM−150を使用し、後述するようにして得たシートのヘーズ測定を行い、透明性を評価した。表1には得られたヘーズの値を示した。
(5)耐寒衝撃性
−20℃におけるダート衝撃強度で評価した。ダート衝撃強度はJIS K7124−1で規定する直径50mmの半球状の頭部をもつダートを用い、高さ1.50mから落下させ、破壊の有無を目視で判断し、統計的に試験片の50%が破壊するときの弾頭質量として破壊エネルギーを求めた。
(6)重合体または重合体の各成分のエチレン含有量
1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した値から算出した。
(7)示差走査熱量測定(DSC)
パーキンエルマー社製ダイヤモンドDSCを用いて、前記のとおり定義したセカンドスキャンを行い測定した。
(8)曲げ弾性率
JIS K7203に準拠して測定した。12.7mm(幅)×4.0mm(厚み)×127mm(長さ)の試験片を使用した。試験条件は、温度23℃、スパン間60mm、速度2.0mm/分で行った。
(9)生産性
マスターバッチ組成物の実機プラントによる連続生産を想定して判断した。具体的には重合パウダーのベタツキや互着が原因でストレージタンクや配管の閉塞が起こるかどうかとの観点から、以下のように評価した。
良:上記不具合が生じず長い時間連続生産が可能な場合
可:上記不具合が生じずある程度の時間連続生産が可能な場合
不可:上記不具合により連続生産が困難である場合
(10)カッティング性
シートまたはフィルム原反を連続工程で二軸延伸しながら切断する生産工程を想定して判断した。具体的には140℃で二軸延伸したシートまたはフィルムを二軸延伸装置から取り出した直後に、シートまたはフィルムの表面温度が120℃になった時にハサミでカットし、良好にカットできるかどうかを以下のように評価した。
良:良好にカットでき長い時間連続生産が可能な場合
可:良好にカットできある程度の時間連続生産が可能な場合
不可:良好なカットができず連続生産が困難である場合
[実施例1]
1.組成物の調製
(1)固体触媒
重合に用いる固体触媒を、最初に昇温する温度を100℃から110℃に変更した以外は、特開2011−500907号(国際公開2009/050045)の実施例に記載に従い調製した。具体的には以下のように調製した。
窒素でパージした500mlの四つ口丸底フラスコに、TiCl 250mlを0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl・2.8COH(米国特許4,399,054号の実施例2に記載された方法にしたがって10000rpmに代えて3000rpmで操作して製造した)、および9.1mmolのジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネートを加えた。温度を110℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、250mlの新しいTiClを加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出すことを2回繰り返した。そして固体を60℃において無水ヘキサン(6×100ml)で6回洗浄した。
(2)マスターバッチ組成物
上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が11、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を製造し、二段目の重合反応器でエチレン−プロピレン共重合体を製造した。これは、当該エチレン−プロピレン共重合体と一段目からのプロピレン単独重合体とを混合(重合ブレンド)したことに相当する。重合中は、温度と圧力を各段において調整した値に保ち、水素を分子量調整剤として用いた。
重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ75℃、0.10モル%、二段目の反応器では、重合温度、H2/C2、C2/(C2+C3)が、それぞれ80℃、0.47モル比、0.20モル比であった。前記重合ブレンドによって得た重合体は、以下の成分(1)と成分(2)からなる組成物である。
成分(1):プロピレンの単独重合体 82重量%
成分(2):75重量%のプロピレンを含むエチレン−プロピレンの共重合体 18重量%
さらに、当該重合体のパウダー100重量部に、核剤としてMillad NX8000J(ノニトール系、ミリケンジャパン株式会社製)0.5重量部、酸化防止剤(BASF社製B225)0.2質量部、中和剤(淡南化学社製カルシウムステアレート)0.05質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで1分間攪拌して混合した。この混合物を、ナカタニ機械株式会社製NVCφ50mm単軸押出機を用いて、シリンダー温度230℃で押出し、ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットしペレット状のマスターバッチ組成物を得た。
(3)成分(4)
重合に用いる固体触媒を、欧州特許第674991号公報の実施例1に記載された方法により調製した。当該固体触媒は、MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを上記の特許公報に記載された方法で担持させたものである。当該固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)およびジイソプロピルジメトキシシラン(DIPMS)を、固体触媒に対するTEALの重量比が11、TEAL/DIPMSの重量比が3.2となるような量で、−5℃で5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。
得られた予備重合物を重合反応器に導入した後、水素とプロピレン、エチレンをフィードし、重合温度、水素濃度、エチレン濃度を、それぞれ75℃、0.12モル%、0.45モル%とし、圧力を調整することよって、1.7重量%のエチレンを含むプロピレンエチレン共重合体を製造した。当該重合体のパウダーを用い、上記のマスターバッチ組成物と同様にして成分(4)を得た。成分(4)は当該重合体のパウダーに核剤を添加した組成物であり、MFRは4.9g/10分であった。
(4)ポリプロピレン組成物
25重量部の前記マスターバッチ組成物と75重量部の成分(4)を、ナカタニ機械株式会社製NVCφ50mm単軸押出機を用いてシリンダー温度230℃で押出し、ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットしペレット状のポリプロピレン組成物を得た。前記方法によって測定したポリプロピレン組成物のTmは165℃であった。
2.シートの製造
ポリプロピレン組成物をプレス成形(230℃で5分間予熱、0〜60MPa間で加圧減圧を繰り返す脱気操作を30秒間実施後に60MPaの条件下で3分間保持した後、30℃の冷却プレスで3分間保持)して1.5mm厚の板を得た。この板を10.5cm×10.5cmの大きさに切削し、Bruckner社製フィルム延伸装置(KARO)を用いて、140℃で120秒加熱し、延伸速度350mm/秒の速度で同時に二方向へ延伸させて、2.3倍×2.3倍の二軸延伸を行った。延伸後、100℃以上で保持せずそのまま冷却してシートを得た。延伸温度Tsは140℃であった。当該シートの特性と組成を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、組成物の成分(2)の量が15重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整し、以下の組成物を得た。
成分(1):プロピレンの単独重合体 85重量%
成分(2):75重量%のプロピレンを含むエチレン−プロピレンの共重合体 15重量%
このようにして得た重合体パウダー100重量部に対して、実施例1と同じ種類と量の核剤、酸化防止剤、中和剤および5重量部のポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレン(SEBS)(旭化成ケミカルズ株式会社製、商品名タフテック1062)を混合してマスターバッチ組成物を調製した。次いで、25重量部のマスターバッチ組成物と75重量部の成分(4)を混合して、実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[実施例3]
ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレン(SEBS)の代わりにポリプロピレン系エラストマー(エクソンモービル社製、Vistamaxx3020)を使用した以外は、実施例2と同様にしてシートを製造し評価した。
[実施例4]
二段目の反応器のH2/C2を変更して、XSIVが1.5dl/gであるマスターバッチ組成物を調製した以外は実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[実施例5]
二段目の反応器のH2/C2を変更して、XSIVが1.8dl/gであるマスターバッチ組成物を調製した以外は実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[実施例6]
成分(1)中のエチレン含有量が2.5重量%となるように一段目の反応器の原料モノマーのエチレン濃度を調整し、マスターバッチ組成物のMFRが変化しないように一段目の反応器の水素濃度を調整した以外は、実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[実施例7]
核剤としてMillad NX8000Jの代わりにアデカスタブNA21(リン酸エステル系核剤NA−21、株式会社ADEKA製)を用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[比較例1および2]
二段目の反応器のH2/C2を変更して、それぞれXSIVが2.3dl/g、0.9dl/gであるマスターバッチ組成物を調製するとともに、マスターバッチ組成物のMFRが変化しないように一段目の反応器の水素濃度を調整した以外は実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[比較例3および4]
マスターバッチ組成物中の成分(1):成分(2)の割合が、それぞれ70重量%:30重量%、87重量%:13重量%となるように一段目と二段目の滞留時間分布を調整するとともに、マスターバッチ組成物のMFRが変化しないように一段目の反応器の水素濃度を調整した以外は、実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[比較例5および6]
一段目の反応器の水素濃度を変更して、それぞれMFRが1g/10分、6g/10分であるマスターバッチ組成物を得た以外は、実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[比較例7]
成分(1)中のエチレン含有量が3.5重量%にとなるように、一段目の反応器の原料モノマーのエチレン濃度を変更するとともに、マスターバッチ組成物のMFRが変化しないように一段目の反応器の水素濃度を調整した以外は、実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[比較例8]
成分(2)中のプロピレン含有量が63重量%となるように二段目の反応器の原料モノマーのC2/(C2+C3)を変更した以外は、実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[比較例9]
成分(2)中のプロピレン含有量が88重量%となるように二段目の反応器の原料モノマーのC2/(C2+C3)を変更した以外は、実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
[比較例10]
MgCl上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第728769号公報の実施例5に記載された方法により調製した。
上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予備重合を行った。得られた予備重合物を、二段の重合反応器を直列に備える重合装置の一段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を製造し、二段目の重合反応器でエチレン−プロピレン共重合体を製造した。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。
重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ70℃、0.07モル%、二段目の反応器では、重合温度、H2/C2、C2/(C2+C3)が、それぞれ85℃、0.47モル比、0.19モル比であった。前記重合ブレンドによって得た重合体は、以下の成分(1)と成分(2)からなる組成物である。この組成物を用いて実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
成分(1):プロピレン単独重合体 83重量%
成分(2):75重量%のプロピレンを含むエチレン−プロピレン共重合体 17重量%
[比較例11]
50重量部のマスターバッチ組成物と50重量部の成分(4)を混合してポリプロピレン組成物を製造した以外は、実施例1と同様にしてシートを製造し評価した。
Figure 0006454131
表1に示すとおり、本発明のシートは、耐寒衝撃性、透明性、カッティング性に優れることが明らかである。また、本発明で規定する範囲外のシートは、これらのすべての特性を満足できないことも明らかである。

Claims (6)

  1. (I)成分(1)として0〜3重量%のエチレンまたは1種類以上のC4〜C10−α−オレフィンを含むプロピレン(共)重合体を75〜86重量%;
    成分(2)としてプロピレン含量が65〜85重量%であるエチレン−プロピレン共重合体を14〜25重量%;および
    成分(3)として核剤を含み、
    メルトフローレート(230℃、荷重21.18N)が1.5g/10分以上5.5g/10分未満、
    XSIV(キシレン可溶分の固有粘度)が1.0〜2.2dl/gであるマスターバッチ組成物を準備する工程、
    (II)前記マスターバッチ組成物と成分(4)として0〜3重量%のエチレンまたは1種類以上のC4〜C10−α−オレフィンを含むプロピレン(共)重合体を含む組成物とを混合して、前記マスターバッチ組成物を10〜40重量%、および成分(4)を60〜90重量%含むポリプロピレン組成物を準備する工程、
    (III)前記ポリプロピレン組成物を二軸延伸する工程を含
    前記工程(I)が、成分(1)の原料であるプロピレンとエチレンまたはC4〜C10−α−オレフィン、および成分(2)の原料であるエチレンとプロピレンとを、
    (A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体化合物としてのスクシネート系化合物を含有する固体触媒、
    (B)有機アルミニウム化合物、ならびに
    (C)外部電子供与体化合物
    を含む触媒を用いて重合する工程を含む、シートまたはフィルムの製造方法。
  2. 前記二軸延伸後の成形体の表面状態を維持したまま冷却する工程をさらに含む、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記成分(1)と(2)の合計100重量部に対して、前記核剤を0.05〜1.0重量部含む、請求項1または2記載の製造方法。
  4. 前記重合工程を2つ以上の反応器を用いて実施する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の製造方法によって製造されたフィルムまたはシートからなる層を有する成形体。
  6. 請求項に記載の成形体を成形してなる二次成形体。
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