JP7038343B2 - ポリプロピレン系シーラントフィルムおよびそれを用いた積層体 - Google Patents

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Description

本発明は包装袋のシーラントとして使用されるポリプロピレン系シーラントフィルムおよびそれを用いた積層体に関する。

従来、120℃~135℃の高温でレトルト殺菌されるハイレトルト包装用のシーラントフィルムとしては、プロピレン・エチレンブロック共重合体を主成分とする無延伸フィルム(以下CPPと称する)が使用されてきた。その主たる使用方法は、ポリエチレンテレフタレート延伸フィルム(以下PETと称する)、ナイロン延伸フィルム(以下ONと称する)、アルミニウム箔(以下Al箔と称する)等のラミネート基材層と貼合わせ、PET/ON/Al箔/CPP、PET/Al箔/ON/CPP、またはPET/Al箔/CPP構成の積層体とした後、製袋して使用されるというものである。
しかしながら、特許文献1、2のプロピレン・エチレンブロック共重合体やプロピレン・エチレンブロック共重合体にエチレン系エラストマーなどを配合した樹脂を溶融押出して製膜した無延伸フィルムをレトルトパウチに用いた場合、ノッチ部(端部に設けられた切り口)からの開封時に、直線カット性が乏しく、内容物が変形したり、こぼれてしまうことが問題となっていた。
そこで、レトルトパウチに用いられるシーラントフィルムには、刃物を用いること無くノッチ部から容易に引裂くことで開封し得るものであること(易引裂き性)が求められている。
易引裂き性を有するポリプロピレン系フィルムとして、縦方向に高倍率の延伸を施してなる一軸延伸フィルム(特許文献3)があるが、特許文献3のフィルムは、引裂き性は改良されるが、耐低温衝撃性がレトルト用途として不十分であった。また、フィルムの結晶化度を上げて引裂き性を付与する目的で、ソルビトール誘導体を配合してなるフィルム(特許文献4)やロジン金属塩化合物を配合してなるフィルム(特許文献5)があるが、レトルト処理後の臭気や抽出物が多くハイレトルト用途には適していない。さらに、結晶性ポリエチレン樹脂を配合してなるフィルム(特許文献6)や、ポリブテン-1を結晶核剤として配合してなるフィルム(特許文献7)もあるが、いずれも耐低温衝撃性に劣ることから、ハイレトルト用途として不十分であった。
以上述べたように従来技術では、樹脂の押出方向(以下流れ方向(MD)と表現する)への易引裂き性を有し、且つ耐低温衝撃性、ヒートシール性、耐ブロッキング性を兼備し、ハイレトルト用途(125~135℃殺菌)に広く使用できるポリプロピレン系未延伸フィルムはなかった。
また、最内面を構成するCPPには耐低温衝撃性、ヒートシール性、耐ブロッキング性等の物性が要求されてきた。
近年は業務用等パウチの大型化が進み、耐低温衝撃性の要求レベルがますます高くなってきた。また、パウチ外観の要求レベルも高くなってきており、レトルト殺菌後、積層体表面に生じる微細な凹凸状外観、いわゆるユズ肌の発生を極力抑えることが望まれている。
また、積層体のCPPとラミネート基材層との滑り性が悪いため、フィルム成形工程、スリット工程、製袋工程、内容物充填工程等において、積層体のCPPとラミネート基材層とが粘着する、いわゆるブロッキング現象が起こり、長期保存や高温状態で保存すると、積層フィルムを使用する際、フィルムが巻き出し難くなり、製袋作業性、充填作業性が著しく低下する問題があった。
上記問題を解決するために、ブロッキング防止剤、例えば耐水表面処理をしたデンプン等の粉をシーラントにふりかけてブロッキングを防止する方法、いわゆるパウダリング法によりブロッキングを回避する方法が採用されてきた。しかし、パウダリング法は、製袋の外観が損なわれたり、パウダーが充填する食品に混入し、味覚に悪影響を及ぼしたりする等、商品価値を落とす要因となっており、パウダリングの必要のない、いわゆるノンパウダーで使用でき、かつ包装袋または包装袋のシーラントとしてハイレトルト用途にも好適に使用できるポリプロピレン系フィルムの開発が強く望まれていた。
また、上記課題を解決する他の方法として、例えば特許文献8に、基材フィルムと該基材フィルムの一方の面上に形成されたシーラント層と、該基材フィルムの他方の面上に形成された耐ブロッキング改質層を含有することを特徴とする積層体が開示されている。かかる耐ブロッキング改質層として、ポリエステルとアクリル系ポリマーとのグラフト共重合体、およびポリウレタンとアクリル系ポリマーとのグラフト共重合体からなる群より選択される少なくとも1つの共重合体を含有する樹脂組成物の提案がなされているが、耐ブロッキング層の表面に直接、滑剤を塗布することは、工程を煩雑にするばかりでなく、製袋工程、充填工程等において必要な程度の滑り性を改良するのには不充分であった。
また、特許文献9においては、基材層とシーラント層とを積層した積層フィルムであっ て、かつ前記の基材層が多層共押出し成膜で形成され、当該多層共押出し成膜の最外層を滑剤、および/またはアンチブロッキング剤を含有する易滑性層とする積層体、およびそれを用いた包装容器として提案がなされているが、有機滑剤を含有しているため、シーラント押出工程、スリット工程、製袋工程、内容物充填工程等において、ロールに滑剤が転写するため、生産性が悪くなる。
特許文献10においては、(1)密度0.930g/cm以上、ビカット軟化点が105~125℃、かつメルトフローレートが2~25g/10分の範囲にあるメタロセン触媒又はシングルサイト触媒による中密度ポリエチレンが40重量%~90重量%と、(2)密度0.929g/cm以下のメタロセン触媒又はシングルサイト触媒による直鎖状低密度ポリエチレンが10重量%~60重量%からなるポリエチレン組成物を押し出しコーティングにより基材にラミネート層を形成する際に、表面粗度Rzを5~12μmに調整すると共に穴径を小さくし、かつ穴数を少なくした冷却ロールを使用して粉ふりかけなしで加工できるとして提案がなされているが、レトルトの主流であるハイレトルト用途(125℃~135℃殺菌)に対応出来るものではなかった。
特開2003-105164号公報 特開2000-186159号公報 特開平7-138423号公報 特開平1-299831号公報 特開平11-255910号公報 特開平10-316772号公報 特許第3813263号公報 特開平10-76607号公報 特開2004-284126号公報 特開2004-338147号公報
本発明の課題は、包装袋のシーラントとして樹脂の流れ方向(MD)への優れた易引裂き性を持ち、ヒートシール性と耐低温衝撃性に優れ、耐ブロッキング性に優れるためにノンパウダーで使用でき、耐ユズ肌性に優れることでハイレトルト用途にも好適に使用できるポリプロピレン系シーラントフィルムおよびそれを用いた積層体を提供することである。
本発明者らは種々検討の結果、前記課題を解決した。
すなわち、本発明は20℃キシレン不溶部の割合が75~85重量%であり、該不溶部の極限粘度([η])が1.7~2.0dl/g、可溶部の極限粘度([η]EP)が3.0~3.4dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)35~45重量%、20℃キシレン不溶部の割合が85~95重量%であり、該不溶部の極限粘度([η])が1.5~2.0dl/g、可溶部の極限粘度([η]EP)が1.4~2.0dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体(b)40~55重量%、低密度ポリエチレン系重合体(c)5~20重量%、およびリン酸金属塩を含む結晶核剤を1500~10000ppm含有する樹脂組成物からなり、フィルムの長手方向の引裂き強度が、30N/mm以下であることを特徴とするポリプロピレン系シーラントフィルムとすることによって達成できる。
また、本発明においては、上記結晶核剤はリン酸金属塩およびジカルボン酸金属塩を含むことが好ましい。
また、本発明においては、上記低密度ポリエチレン系重合体(c)の密度が0.900~0.940g/cmであり、メルトフローレートが1~10g/10分であることが好ましい。
さらに、本発明においては、上記低密度ポリエチレン系重合体(c)が、直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムは複屈折率が3.0×10―3~5.0×10―3の範囲であることが好ましい。
また本発明は、ポリプロピレン系シーラントフィルムが、単層または2層以上のフィルムが積層されてなる基材層の片面に積層された積層体である。
包装袋のシーラントとして用いたときに、フィルム長手方向への優れた易引裂き性を持ち、ヒートシール性と耐低温衝撃性に優れ、耐ブロッキング性に優れるためにノンパウダーで使用でき、耐ユズ肌性に優れたハイレトルト用包装材に使用することができる。
本発明におけるプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)は、20℃キシレン不溶部の割合が75~85重量%で、該不溶部の極限粘度([η])が1.7~2.0dl/gであり、可溶部の極限粘度([η]EP)が3.0~3.4dl/gであることが必要である。なお上記20℃キシレン不溶部、及び該可溶部とは、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体ペレットを沸騰キシレンに完全に溶解させた後20℃に降温し、4時間以上放置し、その後これを析出物と溶液とに濾別した際、析出物を20℃キシレン不溶部と称し、溶液部分(濾液)を乾固して減圧下70℃で乾燥して得られる部分を該可溶部と称す。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)の該不溶部の極限粘度([η])が1.7dl/gより小さいと、海成分のポリプロピレンの分子量が小さいことで耐低温衝撃性、耐屈曲白化性が不十分となり、2.0dl/gより大きければ、逆にポリプロピレンの分子量が大きくなりすぎ、キャスト成形が困難になる。また、キシレン可溶部の極限粘度([η]EP)は3.0~3.4dl/gである。
一般的に、該極限粘度([η]EP)が2.5dl/gより小さければフィルムがベタつくなど耐ブロッキング性が悪化することがあり、3.3dl/gより大きければ、ポリエチレンおよびエチレン・プロピレン共重合ゴム成分からなる島成分の分散粒子径が大きくなり、油性食品を包装した場合、ユズ肌現象が生じ易くなることがある。本発明では、プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)に低密度のポリエチレン系重合体(c)を添加することで該ポリエチレン系重合体成分からなる島成分をより多量に微分散させることができ、耐ユズ肌発生性や耐低温衝撃性を向上させることができるが、この影響により該極限粘度([η]EP)が3.0dl/g以上でなければ、シール強度が著しく低下する。但し、3.4dl/gを上回るとユズ肌現象が発生し易くなる。なお、キシレン可溶部のエチレン含有量は20~50重量%の範囲が好ましい。該含有率が20重量%より小さければ低温での耐低温衝撃性が低下することがあり、逆に、50重量%より大きければ、易引裂き性や耐ブロッキング性が不十分となることがある。
本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムを構成する樹脂組成物における組成割合として、プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)が35重量%未満の場合、耐衝撃性やシール強度が悪くなり、45重量%より多くなると易引裂き性が悪くなる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(b)は、20℃キシレン不溶部の割合が85~95重量%で、該不溶部の極限粘度([η])が1.5~2.0dl/gであり、可溶部の極限粘度([η]EP)が1.4~2.0dl/gである必要がある。20℃キシレン不溶部の割合が85重量%未満の場合、ゆず肌が発生しやすくなり、易引裂き性が悪化する。逆に95重量%より多い場合、耐低温衝撃性強度が低下する。
また、該不溶部の極限粘度([η])が1.5dl/g未満の場合、耐低温衝撃性強度が低下し、2.0dl/gより大きい場合、逆にポリプロピレンの分子量が大きくなりすぎ、キャスト成形が困難になる。キシレン可溶部の極限粘度([η]EP)は1.4~2.0dl/gである。一般的に、2.5dl/gより小さければフィルムがベタつくなど耐ブロッキング性が悪化する傾向にあるが、20℃キシレン可溶部の割合を5~15重量%と制限することにより、上記問題は解決できる。しかし、1.4dl/g未満の場合は、20℃キシレン可溶部の割合を5~15重量%と制限してもシール強度の低下や耐ブロッキング性の悪化が懸念される。
本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムを構成する樹脂組成物における組成割合として、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b)が40重量%未満の場合、易引裂き性や耐ブロッキング性が悪くなり、55重量%より多くなると耐衝撃性やシール強度が低下する。
なお、本発明に用いるプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)および(b)の製造方法としては、触媒を用いて原料であるプロピレンやエチレンなどを重合させる方法が挙げられる。ここで、触媒としてはチーグラー・ナッタ型やメタロセン触媒などを用いることができ、例えば、特開平07-216017号公報に挙げられるものを好適に用いることができる。
具体的には(1)Si-O結合を有する有機ケイ素化合物及びエステル化合物の存在下、一般式Ti(OR)4-a(式中、Rは炭素数が1~20の炭化水素基、Xはハロゲ
ン原子、aは0<a≦4の数字を表し、好ましくは2≦a≦4、特に好ましくはa=4で
ある。)で表されるチタン化合物を有機マグネシウム化合物で還元して得られる固体生成物を、エステル化合物で処理した後、エーテル化合物と四塩化チタンの混合物もしくはエーテル化合物と四塩化チタンとエステル化合物の混合物で処理することにより、得られる3価のチタン化合物含有固体触媒、(2)有機アルミニウム化合物、(3)電子供与性化合物(ジアルキルジメトキシシラン等が好ましく用いられる)よりなる触媒系が挙げられる。
プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)及び(b)の製造方法として、生産性及び耐低温衝撃性の観点から、第1工程で実質的に不活性剤の不存在下にプロピレンを主体とした重合体部分を重合し、次いで第2工程で気相中にてエチレン・プロピレン共重合体を重合する方法を用いるのが好ましい。
本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムは、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)および(b)に加えて、低密度ポリエチレン系重合体(c)を併用しなければ、シール性、耐衝撃性及び耐ゆず肌性が悪くなる。
低密度ポリエチレン系重合体(c)を添加し、ポリプロピレン・エチレンブロック共重合体よりも低いガラス転移点の成分を増やすことで耐低温衝撃性を向上させることができ、また低密度ポリエチレン重合体成分をより多く均一にポリプロピレン・エチレンブロック共重合体中に微分散させることで耐ユズ肌発生性を向上させることができる。
本発明において、低密度ポリエチレン系重合体(c)は、ポリプロピレン系シーラントフィルムを構成する樹脂組成物における組成割合として、5~20重量%を含有することが必要である。低密度ポリエチレン系重合体(c)の含有量が5重量%未満の場合、耐低温衝撃性および耐ユズ肌発生性の改善効果が十分でなく、逆に20重量%を超える場合は、易引裂き性が悪化する。
本発明に用いる低密度ポリエチレン系重合体(c)の密度は、0.900~0.940g/cmの範囲が好ましい。ポリエチレン系重合体としては、エチレン単独またはエチレンと炭素数3以上のα-オレフィン、例えばプロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン等との共重合体であり、一般的に知られている方法によって製造されているものが使用できる。具体的には、高圧法低密度ポリエチレンや、直鎖状低密度ポリエチレンが使用でき、中でも直鎖状低密度ポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンより衝撃強度が高く、シール強度が高いため、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
かかる低密度ポリエチレン系重合体の密度が0.900g/cm未満では耐ブロッキング性が低下することがあり、0.940g/cmより高い場合は耐低温衝撃性が低下するおそれがある。また、メタロセン系触媒により製造されるものを用いる方がシール強度の観点から好ましい。さらに、本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムは、リン酸金属塩を含む結晶核剤を1500ppm以上10000ppm以下含有することにより、易引裂き性を満足させることができる。当該結晶核剤が1500ppm未満の場合、易引裂き性が満足出来ず、10000ppmより多い場合では、易引裂き性の更なる向上は認められない。また、リン酸金属塩単独でも易引裂き性を満足させることができるが、ジカルボン酸金属塩と併用することにより更に易引裂き性が良くなることから、これらの結晶核剤を併用して用いるのがより好ましい。
本発明におけるリン酸金属塩としては、リン酸エステル系化合物等を挙げることができ、なかでも芳香族リン酸エステル金属塩が本発明の目的のため好ましい。具体的には、ナトリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-エチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-i-プロピルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-ビス(4-t-オクチルフェニル)フォスフェート、カリウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、マグネシウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、アルミニウム-ビス(4-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-i-プロピル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス-(4-t-オクチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-(4,4’-ジメチル-5,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス[(4,4-’ジメチル-6,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)フォスフェート]、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-メチルフェニル)フォスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-エチルフェニル)フォスフェート、カリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、バリウム-ビス[2,2-’エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、アルミニウム-トリス[2,2'-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェル)フォスフェート]およびアルミニウム-トリス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート]およびこれらの2種以上の混合物を例示することができる。特にナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェートが好ましい。
本発明におけるジカルボン酸金属塩は、特開2015-212078号公報に開示されている下記の構造式(i)で表される化合物である。
Figure 0007038343000001
(式(i)中、MおよびMは、ナトリウム、水素、カルシウム、ストロンチウムまたはリチウムであり、同じものであっても異なるものであっても良い。R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~9のアルキル基、水酸基、炭素数1~9のアルコキシ基、炭素数1~9のアルキレンオキシ基、アミノ基、炭素数1~9のアルキルアミノ基、またはフェニル基であり、同じものであっても異なるものであっても良い。R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11のうちの任意の2つが結合して、それらが結合している式(i)に描かれたシクロヘキサン環炭素原子と一緒に、炭素数3~6の飽和炭化水素環を形成していても良い。RおよびRは、トランス配置であっても、シス配置であっても良い。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。炭素数1~9のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。炭素数1~9のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。炭素数1~9のアルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。炭素数1~9のアルキレンオキシ基としては、例えば、下記の式で表される基等が挙げられる。
R(R’O)n-
(式中、Rは、水素原子または炭素数1~3のアルキル基を表し、R’は、炭素数2または3個のアルキレン基を表し、nは、2~4の整数を表す。ただし、RおよびR’の合計の炭素数は、9個以下である。)
炭素数1~9のアルキレンオキシ基が、上式で表される基である場合に、好ましくは、H(CHCHO)-、H(CHCHO)-、H(CHCHO)-、CH(CHCHO)-、CH(CHCHO)-、CH(CHCHO)-、CHCH(CHCHO)-、CHCH(CHCHO)-、(CHCH(CHCHO)-、(CHCH(CHCHO)-、H((CH)CHCHO)-、H((CH)CHCHO)-、CH((CH)CHCHO)-、またはCHCH((CH)CHCHO)-である。
ジカルボン酸金属塩として、好ましくは、下記の構造式(ii)で示されるジナトリウム-ビシクロ(2,2,1)ヘプタン-2,3-ジカルボキシラート、または下記構造式(iii)で示される1,2-シクロヘキサンジカルボキシル酸カルシウム塩が好ましい。
Figure 0007038343000002
また、本発明に係る、ジカルボン酸金属塩の含有量は、0ppm以上2000ppm以下が好ましく、耐ブロッキング性と耐低温衝撃性強度に優れる点で、10ppm以上1000ppm以下がより好ましい。さらに好ましくは易引裂き性に優れる点で50ppm以上1000ppm以下である。
なお、本発明は、さらに糖類系核剤も0~5000ppm含有しても良い。ただし、含有量が多いとレトルト後のフィルムの臭気が悪くなることがあるため、好ましくは2000~3000ppmである。その際、より優れた易引裂き性を満足することが出来る。糖類系核剤には、ソルビトール系、ノニトール系、キシリトール系等があり、具体的には、ビス-1,3:2,4-(3’-メチル-4’-フルオロ-ベンジリデン)1-プロピルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)1’-メチル-2’-プロペニルソルビトール、ビス-1,3,2,4-ジベンジリデン2’,3’-ジブロモプロピルソルビトール、ビス-1,3,2,4-ジベンジリデン2’-ブロモ-3’-ヒドロキシプロピルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(3’-ブロモ-4’-エチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、モノ2,4-(3’-ブロモ-4’-エチルベンジリデン)-1-アリルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(4’-エチルベンジリデン)1-アリルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)1-メチルソルビトール、1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、ビス-1,3:2,4-(4’-エチルベンジリデン)1-アリルソルビトール、ビス-1,3:2,4-(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフトアルデヒドベンジリデン)1-アリルキシリトール、ビス-1,3:2,4-(3’,4’-ジメチルベンジリデン)1-プロピルキシリトール等が挙げられる。
本発明で用いる結晶核剤については、3~10重量%含有したマスターバッチで用いた方が、分散性の問題から良い。マスターバッチのキャリアレジンとしては、オレフィン系樹脂が望ましく、例えば、プロピレンにエチレンまたはブテンをランダム共重合したプロピレン系ランダム共重合体や、ホモポリプロピレン、プロピレン系ブロック共重合体やポリエチレン系樹脂が挙げられる。
また、マスターバッチを用いる場合、上記分散剤を添加混合して用いることが好ましい。
本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムは、本発明の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、耐熱安定剤、中和剤、帯電防止剤、塩酸吸収剤、アンチブロッキング剤、滑剤、造核剤等を含むことができる。これらの添加剤は1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで酸化防止剤の具体例としては、ヒンダードフェノール系として、4-メチル-2,6-ジ-t-ブチルフェノール(BHT)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(“イルガノックス”1076、“Sumilizer”BP-76)、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(“イルガノックス”1010、“Sumilizer”BP-101)、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート(“イルガノックス”3114、“アデカスタブ”AO-20)等を、また、ホスファイト系(リン系)酸化防止剤として、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(“Irgafos”168、“アデカスタブ”2112)、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4-4’-ビフェニレン-ジホスホナイト(“Sandstab”P-EPQ)、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(“Ultranox”626,“アデカスタブ”PEP-24G)、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(“アデカスタブ”PEP-8)等が挙げられるが、中でもこれらのヒンダードフェノール系とホスファイト系の両機能を合わせ持つ2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンズ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(“Sumilizer”GP)、及び、アクリル酸2[1-[2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル]エチル]-4,6-ジ-t-ペンチルフェニル(“Sumilizer”GS)が好ましく、特に、この両者の併用は、フィルム製膜に際し、特に20℃キシレン可溶部の分解抑制に効果を発揮し、耐低温衝撃性と耐ブロッキング性の両立に大きく寄与することから好ましい。かかるキシレン可溶部の分解が促進されると耐ブロッキング性が悪化することがある。
なお、酸化防止剤の添加量としては、用いる酸化防止剤の種類にもよるが、0.05~0.3重量%の範囲で適宜設定すればよい。
また、中和剤としては、ハイドロタルサイト類化合物、水酸化などがフィルム製膜時の 発煙低下に好ましい。
次に、本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムは、Tダイ法、チューブラー法などの公知のフィルム製膜方法で製造することが可能であるが、特にTダイ法による未延伸フィルムの製膜方法が、フィルムの複屈折率や結晶性をコントロールすることが容易であることから好ましい。本発明のフィルムのTダイ法による製膜方法を下記するが、本方法に限られるものではない。
例えば、一軸または二軸の溶融押出機でプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)、および(b)、低密度ポリエチレン(c)のペレットまたはパウダー、さらにリン酸金属塩およびジカルボン酸金属塩を所定の配合割合で溶融混練したのち、得られた混練物をフィルターで濾過して、フラットダイ(例えばTダイ)からフィルム状に押出すことによって製造できる。溶融押出機から押出す溶融ポリマーの温度は通常180~300℃が適用できるが、ポリマーの分解を防ぎ良好な品質のフィルムを得るためには、200~270℃が好ましい。Tダイから押出されたフィルムは20~90℃の一定温度に設定した冷却ロールに接触させて、冷却・固化させた後巻き取る。
本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムは冷却固化の後に延伸を行うこともできるが、好ましくは実質的に延伸を行わない無延伸フィルムであることが好ましい。実質的に延伸を行わない無延伸フィルムの方が、ヒートシールする際のヒートシール温度を過度に高める必要がない(比較的低温でヒートシールできる)ことから好ましい。また、本発明において、無延伸フィルムとは、押出キャストフィルムのことを指すが、実際の製膜工程においては、フィルムの長手方向(以下、MD方向と略称する)または幅方向(以下、TD方向と略称する)に若干配向したフィルムとなる場合もあるため、本発明における無延伸フィルムの複屈折率(フィルムの長手方向と幅方向の屈折率の差、Δn)は0.005以下であることが、ヒートシール性と熱寸法安定性の点で好ましい。尚、複屈折率(Δn)は、コンペンセータ法を用い、サンプルのリターデーションR(nm)を測定し、該測定部のフィルムの厚さd(nm)より、Δn=R/dとして求めることができる。
このようにして得られた本発明のフィルムの厚さは20~300μmが好ましく、より好ましくは40~100μmである。
ここで、本発明において複屈折率を制御する方法としては例えば、上記混合樹脂を180℃~270℃の範囲、好ましくは200℃~250℃の低温で溶融し、温度を50~90℃、好ましくは50~70℃の高温に保たれたキャスティングドラム上で冷却し、10~100m/minの速度で巻き取る方法が挙げられる。
上記のようにして得られたフィルムのMD方向の引裂き強度は、30N/mm以下が好ましく、より好ましくは10~25N/mmの範囲である場合に、他基材とラミネートした後でも引裂き性が良好であり、耐衝撃性とシール強度も高く好ましい。
本発明のポリプロピレン系シーラントフィルムは、単独で包装用のフィルムとして使用することもできるが、一般のAl箔を含むレトルト食品包装袋用のシーラントフィルムとして好ましく使用できる。積層体の構成フィルムは、接着剤を用いて貼合わせる通常のドライラミネート法が好適に採用できるが、必要に応じて本発明のポリプロピレン系未延伸フィルムと他基材層の貼合わせには、直接ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を押出してラミネートする方法も採用できる。これら積層体は本ポリプロピレン系未延伸フィルムをシール層(袋の内面)として、平袋、スタンディングパウチなどに製袋加工され使用される。
また、これら該積層体の積層構造は、包装袋の要求特性(例えば包装する食品の品質保持期間を満たすためのバリア性能、内容物の重量に対応できるサイズ・耐低温衝撃性、内容物の視認性など)に応じて適宜選択される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。また、本発明の詳細な説明および実施例中の各評価項目の測定値は、下記の方法で測定した。
(1)20℃キシレン可溶部の含有量
ポリプロピレンペレット5gを沸騰キシレン(関東化学(株)1級)500mLに完全に溶解させた後に、20℃に降温し、4時間以上放置する。その後、これを析出物と溶液とに濾過して、可溶部と不溶部に分離した。可溶部は濾液を減圧下で固化した後、70℃で乾燥し、その重量を測定して含有量(重量%)を求めた。
(2)20℃キシレン不溶部および可溶部の極限粘度
上記方法で分離したサンプルを用い、ウベローデ型粘度計を用いて、135℃テトラリン中で測定を行った。
(3)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210:1999に準拠し、プロピレン・エチレンブロック共重合体は温度230℃、ポリエチレン系重合体は温度190℃で、それぞれ荷重21.18Nにて測定した。
(4)密度
JIS K7112:1999に基づき、密度勾配管による測定方法で測定した。
(5)耐低温衝撃性
厚さ12μmのPETと厚さ15μmのONと厚さ9μmのAl箔と本発明のフィルムとをウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼合わせ、次の構成の積層体を作成した。
積層体構成:PET/接着剤/ON/接着剤/Al箔/接着剤/本発明のフィルム
この積層体2枚を本発明のフィルムが袋の内面になるようにして、富士インパルス社製CA-450-10型ヒートシーラーを使用し、加熱時間1.4秒(シール温度:約220℃)、冷却時間3.0秒で、製袋サイズ150mm×285mmのスタンディングパウチを作成した。この袋に濃度0.1%の食塩水1000cmを充填した後、135℃で30分レトルト処理する。レトルト処理後の袋を0℃の冷蔵庫で保管した後、55cmの高さから平らな床面に落下させ(n数20個)、破袋に至るまでの回数を記録する。本評価法ではn数20個の平均値で15回以上であれば業務用の耐低温衝撃性が良好とした。
(6)ヒートシール強度
(5)項と同じ積層体2枚のシール層どうしを、平板ヒートシーラーを使用し、シール温度180℃、シール圧力10N/cm、シール時間1秒の条件でヒートシールしたサンプルを、130℃×30分レトルト処理した後、オリエンテック社製テンシロンを使用して300mm/分の引張速度でヒートシール強度を測定した。本測定法でシール強度が45N/15mm 以上であれば、レトルト用途にも良好に使用できる。
(7)耐ユズ肌発生性
厚さ12μmのPETと厚さ15μmのONと厚さ9μmのAl箔と本発明のフィルムとをウレタン系接着剤を用いて通常のドライラミネート法で貼合わせ、次の構成の厚さ115μmの積層体を作成した。
積層体構成:PET/接着剤/ON/接着剤/Al箔/接着剤/本発明のフィルム
この積層体2枚を本発明のフィルムが袋の内面になるようにして、平板ヒートシーラーを使用し、シール温度180℃、シール圧力10N/cm、シール時間1秒の条件でヒートシールし、160mm×210mm(内部の寸法)の大きさの3方袋(平袋、シール幅5mm)を作成した。この袋に市販のレトルトカレー(ハウス食品工業社製のレトルトカレー「ククレカレー・辛口」)を充填した後、135℃で30分レトルト処理をした直後の積層体表面の凹凸発生状況を目視判定した。全く発生しないものをランク1、僅かに発生するものをランク2、軽度に発生するものをランク3、明確に発生するものをランク4、重度に発生するものをランク5として評価した。本評価法でランク1、2を耐ユズ肌発生性良好とした。
(7)ブロッキング剪断力
幅30mmで長さ100mmのフィルムサンプルを準備し、フィルムどうしを30mm×40mmの範囲で重ね合わせて、5N/12cmの荷重をかけ、80℃のオーブン内で2.0時間加熱処理した後、23℃、湿度65%の雰囲気下に30分以上放置した後、オリエンテック社製テンシロンを使用して300mm/分の引張速度で剪断剥離力を測定した。 本測定法で剪断剥離力が10N/12cm 以下であればノンパウダーレトルトして使用できる。
(8)引裂き強度
JIS K7128-1:1998(トラウザー引裂法)に準拠し、23℃の恒温室内で試験片の幅50mm(TD)、長さ150mm(MD)の短冊の幅中央に75mmの切り込みを入れ、速度200mm/分でMD方向への引裂き力(N)を測定し、フィルムの厚さ(mm)で割って引き裂き強度を算出した。30/mm以下であれば易引裂き性を有すると判断した。MDはフィルムの長手方向、TDはフィルムの幅方向である。
(9)複屈折(△n)
日本光学(株)製POH型偏光顕微鏡を用い、光源を白色光として通常のコンペンセータ法によって測定した。(MD)50mm×(TD)30mmのフィルムサンプルを準備し、偏向顕微鏡のステージ上にセットする。アナライザを挿入し、コンペンセータの目盛りを30に設定し、暗視野とする。ステージを右または左方向に45度回転させる。コンペンセータを30以上大きい数字の方へ回転させ、出現した影が中央に位置した時のコンペンセータの目盛りを(a)、コンペンセータを30以下小さい数字の方へ回転させ、出現した影が中央に位置した時のコンペンセータの目盛りを(b)としそれぞれ測定する(何れも最小目盛の1/10まで読む)。更にコンペンセータを30に戻してアナライザを外し、試料の厚みdを測定し、下記式に基づき複屈折率(Δn)を算出する(但し、測定回数20回の算術平均値を測定値とする)。
Δn=T/d (T=nλ+ε)
λ=589.3μm(但しε;ライツ社のコンペンセータの説明書のC/1000とiより求める。i;(a-b)(コンペンセータの読みの差))。
実施例および比較例で用いた各成分は、以下のとおりである。
[プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)/B-PP1]
20℃キシレン不溶部の含有量が80重量%、その極限粘度([η])が1.90dl/g、20℃キシレン可溶部の含有量が20重量%、その極限粘度([η]EP)が3.20dl/g、230℃でのMFRが2.3g/10分であり、酸化防止剤として“Sumilizer”GP300ppm及び“Sumilizer”GS750ppmを含有したプロピレン・エチレンブロック共重合体ペレットを使用した。上記、プロピレン・エチレンブロック共重合体(a)を、以下、B-PP1とする。
[プロピレン・エチレンブロック共重合体(b)/B-PP2]
20℃キシレン不溶部の含有量が88重量%、その極限粘度([η])が1.60dl/g、20℃キシレン可溶部の含有量が12重量%、その極限粘度([η]EP)が1.80dl/gのプロピレン・エチレンブロック共重合体にジカルボン酸金属塩として、ジナトリウム-ビシクロ(2,2,1)ヘプタン-2,3-ジカルボキシラート(ミリケンケミカルから入手可能な“HYPERFORM”(登録商標)HPN-68L)2,000ppm、酸化防止剤として“Sumilizer”(登録商標)GP300ppmおよび“Sumilizer”(登録商標)GS750ppmを含有したMFRが8.0g/10分であるプロピレン・エチレンブロック共重合体ペレットを使用した。以下、B-PP2とする。
[プロピレン・エチレンブロック共重合体(b)/B-PP3]
20℃キシレン不溶部の含有量が88重量%、その極限粘度([η])が1.60dl/g、20℃キシレン可溶部の含有量が12重量%、その極限粘度([η]EP)が1.80dl/g、MFRが8.0g/10分であり、酸化防止剤として“Sumilizer”GP300ppmおよび“Sumilizer”GS750ppmを含有したプロピレン・エチレンブロック共重合体ペレットを使用した。上記、プロピレン・エチレンブロック共重合体(b)を、以下、B-PP3とする。
[低密度ポリエチレン系重合体(c)/低密度PE]
密度0.935g/cmで、MFR3.0g/10分、共重合成分が1-ブテンである直鎖状低密度ポリエチレン(住友化学(株)製GA401)を使用した。上記、低密度ポリエチレン系重合体(c)を低密度PEとする。
[リン酸金属塩の結晶核剤/MB1]
リン酸エステル金属塩であるナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フォスフェート(ADEKA製“アデカスタブ”NA-11)の結晶核剤を6重量%含有するマスターバッチ(東京インキ製PPMST-0024、キャリアレジン:ホモポリプロピレン、MFR:7g/10分)を使用した。以下、リン酸エステル金属塩の結晶核剤マスターバッチをMB1とする。
[実施例1~5]
表1の樹脂構成で、ペレット状態でブレンダーにより混合して押出機に供給し、溶融混練してフィルターで濾過し、次いで240℃でTダイより60m/分で押出し、50℃の冷却ロールに接触させて冷却・固化させた後片面をコロナ放電処理して厚さ70μmのフィルムを得た。
フィルム特性を評価した結果、表1の通り、引裂き強度、低温衝撃性、Δn、ブロッキング剪断力、耐ユズ肌性、シール強度、すべてにおいてバランス良く満足するフィルムが得られ、特に包装袋のシーラントとして樹脂の流れ方向(MD)への優れた易引裂き性を持ち、耐ブロッキング性に優れるためにノンパウダーで使用できることを確認した。
[比較例1~5]
表1の樹脂構成で、ペレット状態でブレンダーにより混合して押出機に供給し、溶融混練してフィルターで濾過し、次いで240℃でTダイより60m/分で押出し、50℃の冷却ロールに接触させて冷却・固化させた後片面をコロナ放電処理して厚さ70μmのフィルムを得た。
比較例1は、低温衝撃性及びシール強度が不十分なものであった。
比較例2、3は、易引裂き性やブロッキング性が悪くなり、ハイレトルト用途に好適に使用できるものでは無かった。
比較例4は、低温衝撃性及びシール強度が不十分なものであった。
比較例5は、易裂き強度が非常に悪いものであった。
Figure 0007038343000003

Claims (6)

  1. 20℃キシレン不溶部の割合が75~85重量%であり、該不溶部の極限粘度([η])が1.7~2.0dl/g、可溶部の極限粘度([η]EP)が3.0~3.4dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体(a)35~45重量%、20℃キシレン不溶部の割合が85~95重量%であり、該不溶部の極限粘度([η])が1.5~2.0dl/g、可溶部の極限粘度([η]EP)が1.4~2.0dl/gであるプロピレン・エチレンブロック共重合体(b)40~55重量%、低密度ポリエチレン系重合体(c)5~20重量%、およびリン酸金属塩を含む結晶核剤を1500~10000ppm含有する樹脂組成物からなり、フィルム長手方向の引裂き強度が、30N/mm以下であることを特徴とするポリプロピレン系シーラントフィルム。
  2. 結晶核剤がリン酸金属塩およびジカルボン酸金属塩を含む請求項1に記載のポリプロピレン系シーラントフィルム。
  3. 低密度ポリエチレン系重合体(c)の密度が0.900~0.940g/cmであり、メルトフローレートが1~10g/10分である請求項1または2に記載のポリプロピレン系シーラントフィルム。
  4. 低密度ポリエチレン系重合体(c)が、直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項1~3のいずれかに記載のポリプロピレン系シーラントフィルム。
  5. 複屈折率が3.0×10―3~5.0×10―3の範囲である請求項1~4のいずれかに記載のポリプロピレン系シーラントフィルム。
  6. 請求項1~6のいずれかに記載のポリプロピレン系シーラントフィルムが、単層または2層以上のフィルムが積層されてなる基材層の片面に積層された積層体。
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