JP6827877B2 - 中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及び中空成形品 - Google Patents
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Description
ポリプロピレン製の容器は、例えば、ポリプロピレン系樹脂組成物を中空成形することにより製造できる(特許文献1,2)。
ポリプロピレン製のフィルムは、例えば、ポリプロピレン系樹脂組成物をインフレーション成形又はTダイ成形することにより製造できる(特許文献3,4)。
特許文献1では、特定のポリプロピレン単独重合体と軟質ポリプロピレン樹脂とを調整して耐衝撃性と剛性のバランスに優れる樹脂組成物を得ている。特許文献2では、共重合体成分を含むプロピレン系樹脂とエチレン系樹脂を押出機により溶融混練して樹脂組成物を得ている。これらの樹脂組成物は耐衝撃性を重視した配合組成であるため、剛性が低いという欠点を有している。また、複数樹脂のブレンドや溶融混練といった中間工程を設ける必要性があり、特に大量に製造する場合はコスト増となることから好ましくない。
特許文献3,4では、中空成形について検討されていないが、本発明者らの検討によれば、特許文献3,4に記載のポリプロピレン系樹脂は、透明性を重視した設計となっているため、該ポリプロピレン系樹脂組成物を中空成形に適用した場合、得られる成形品(中空成形品)の剛性と耐衝撃性のバランスに関しては必ずしも十分ではなかった。特にボトルのようなより高い耐衝撃性が求められる中空成形品においては、必ずしも市場の要求を満足していなかった。
〔1〕プロピレン重合体からなるマトリックスとエチレン・プロピレン共重合体とを含むポリプロピレン系樹脂を含有し、
230℃、2.16kgでのメルトマスフローレートが0.1〜5.0g/10分であり、
前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が2.0dl/g超4.0dl/g以下であり、
前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が6〜20であり、
前記エチレン・プロピレン共重合体の含有割合が、前記ポリプロピレン系樹脂の総質量に対して15〜30質量%であり、
前記プロピレン重合体中のエチレン単位の含有割合が、前記プロピレン重合体の総質量に対して1.0質量%以下であり、
前記エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位の含有割合が、前記エチレン・プロピレン共重合体の総質量に対して40質量%超70質量%以下である、中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。
〔2〕前記〔1〕の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体化合物を含有し、前記電子供与体化合物がスクシネート系化合物である固体触媒と、
(B)有機アルミニウム化合物と、
(C)ケイ素化合物である外部電子供与体化合物と、
を含む触媒を用いて、前記プロピレン重合体の存在下で、エチレン単量体及びプロピレン単量体を重合して前記ポリプロピレン系樹脂を得る工程を有する、中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。
〔3〕前記〔1〕の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる中空成形品。
本発明の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法によれば、成形時の耐ドローダウン性、得られる成形品の剛性及び耐衝撃性(特にボトル衝撃強度)に優れた中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物が得られる。
本発明の中空成形品は、剛性及び耐衝撃性(特にボトル衝撃強度)に優れる。
本発明の一態様の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物(以下、「ポリプロピレン系樹脂組成物」と略す。)は、ポリプロピレン系樹脂を含有する。
ここで、MFRは、JIS K7210−1に従い、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した値である。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体からなるマトリックスと、エチレン・プロピレン共重合体とを含む。エチレン・プロピレン共重合体は、ゴム成分を主体としたものである。
ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とが重合時に混合された混合樹脂であってもよいし、別々に得られたプロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とが溶融混練によって混合された混合樹脂であってもよい。剛性と耐衝撃性とのバランス(以下「物性バランス」ともいう。)に優れるものがより安価で得られることから、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とが重合時に混合された混合物(重合混合物)であることが好ましい。
重合によってプロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とが混合された重合混合物は、重合段階でプロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とがサブミクロンオーダーで混じり合う。そのため、重合によってプロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とが混合された重合混合物をベースとした組成物は、優れた物性バランスを示す。
一方、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とを溶融混練して得た単なる機械混合物で同様な優れた物性バランスを得る場合には、製造コストが高くなるという問題を含んでいる。
なお、前記重合混合物と機械混合物とは異なる物性を示すのは、プロピレン重合体中のエチレン・プロピレン共重合体の分散状態が異なっているためと推測されるが、エチレン・プロピレン共重合体のプロピレン重合体との界面の状態を含めた分子レベルでの分散状態を分析する現実的手段は現状知られていない。
ポリプロピレン系樹脂の製造方法については後で詳しく説明する。
ここで、XSIVは、135℃のテトラヒドロナフタレン中での測定値である。キシレン可溶分は、ポリプロピレン系樹脂の試料をo−キシレン中、135℃で溶解させた後、25℃に冷却し、その冷却した溶液を、濾紙を用いて濾過し、濾液を蒸発乾固して得られる成分である。
ここで、XIの重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した値である。XIは、ポリプロピレン系樹脂の試料をo−キシレン中、135℃で溶解させた後、25℃に冷却し、その冷却した溶液を、濾紙を用いて濾過し、濾紙上に残ったものを採取して得られる成分である。
なお、本発明におけるXIのMw/Mnは、比較的大きい値である。XIのMw/Mnが大きいことは、ポリプロピレン系樹脂を構成するプロピレン重合体の分子量分布が広いことを意味する。プロピレン重合体の分子量分布が広ければ、エチレン・プロピレン共重合体の分子量分布も広い傾向がある。したがって、XIのMw/Mnが大きいほど、プロピレン重合体部分、エチレン・プロピレン共重合体部分がともに、高分子量の分子を相対的に多く含んでいるといえる。高分子量の分子によってポリプロピレン系樹脂は伸張時に高い歪み硬化を示す。そのため、溶融状態にある樹脂組成物が均一に伸び、中空成形を行なった際に厚薄精度が良好で肉厚差の少ない成形品が得られると考えられる。厚薄精度が向上して肉厚差が減少することで薄肉部分が少なくなり、強度の弱い薄肉部分に応力が集中することが回避される結果、中空成形品の耐衝撃性(ボトル衝撃強度)が向上すると考えられる。
C2の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
したがって、プロピレン重合体は、プロピレン単位のみからなるホモポリプロピレンであってもよく、99.0質量%以上100質量%未満のプロピレン単位と1.0質量%以下0質量%超のエチレン単位とからなる共重合体であってもよい。
C2は、13C−NMR法によって測定される。
エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位の含有割合(以下、「Pc」ともいう。)は、前記エチレン・プロピレン共重合体の総質量に対して40質量%超70質量%以下(すなわち、エチレン単位含有割合が30質量%超60質量%以下)であり、45〜65質量%(すなわち、エチレン単位含有割合が35〜55質量%)が好ましい。Pcが前記下限値以下又は前記上限値超であると、組成物及び中空成形品の耐衝撃性が低下する傾向にある。
Pcは、13C−NMR法によって測定される。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、充填材を含有していてもよい。充填材は主に、組成物及び中空成形品の剛性を向上する目的で添加される。
充填材としては、例えばタルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ガラスファイバー等の無機充填材、カーボンファイバー、セルロースファイバー等の有機充填材が挙げられる。これらの充填材は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。充填材の分散性を向上させるため、必要に応じて、充填材の表面処理や充填材と樹脂とのマスターバッチの作製を行ってもよい。
充填材の中でも、前記ポリプロピレン系樹脂に容易に混ざり、組成物及び中空成形品の剛性を向上させやすいことから、タルクが好ましい。
充填材の添加量は公知の量としてよい。例えばポリプロピレン系樹脂100質量部に対して0.1〜40質量部であってよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、塩素吸収剤、耐熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、結晶造核剤、可塑剤、発泡剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展及び顔料(有機又は無機)等のその他の添加剤を含有していてもよい。各添加剤の添加量は公知の量としてよい。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、前記の特性を満たすものであれば、どのような製造方法で製造されたものであってもよい。
例えば、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とを重合時に混合してポリプロピレン系樹脂を得て、必要に応じて該ポリプロピレン系樹脂に他の成分を混合してポリプロピレン系樹脂組成物を得てもよい。別々に製造されたプロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体とを溶融混練によって混合してポリプロピレン系樹脂を得て、必要に応じて該ポリプロピレン系樹脂に他の成分を混合してポリプロピレン系樹脂組成物を得てもよい。
他の成分を含有する場合のポリプロピレン系樹脂と他の成分との混合方法としては特に制限はなく、例えば、ヘンシェルミキサー、タンブラーミキサー等のミキサーを用いる方法が挙げられる。
混合した後、得られた混合物を溶融混練し、さらにペレット化してもよい。溶融混練装置としては、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等を用いることができる。
このような重合混合物は、プロピレン重合体の存在下で、エチレン単量体及びプロピレン単量体を重合することにより得られる。この方法では、プロピレン重合体の存在下でエチレン・プロピレン共重合体を生成させることにより、生産性が高くなる上に、プロピレン重合体中のエチレン・プロピレン共重合体の分散性が高くなるため、物性バランスが向上する。
重合条件は、公知の重合条件と同様であってよい。例えば一段目の重合条件としては、プロピレンが液相でモノマー密度と生産性の高いスラリー重合法が挙げられる。二段目の重合条件としては、一般的にプロピレンへの溶解性が高い共重合体の製造が容易な気相重合法が挙げられる。
重合温度は50〜90℃が好ましく、60〜90℃がより好ましく、70〜90℃がさらに好ましい。該重合温度が上記範囲の下限値以上であると、生産性及び得られたポリプロピレンの立体規則性がより優れる。
重合圧力は、液相中で行われる場合には25〜60bar(2.5〜6.0MPa)が好ましく、33〜45bar(3.3〜4.5MPa)がより好ましい。気相中で行われる場合には、5〜30bar(0.5〜3.0MPa)が好ましく、8〜30bar(0.8〜3.0MPa)がより好ましい。
重合(プロピレン単量体の重合、エチレン単量体及びプロピレン単量体等の重合)は、通常、触媒を用いて行われる。重合の際、必要に応じて、分子量の調整のために、水素が添加されてもよい。プロピレン重合体やエチレン・プロピレン共重合体の分子量を調整することで、ポリプロピレン系樹脂のMFR、ひいてはポリプロピレン系樹脂組成物のMFRを調整できる。
一段目の重合反応器での重合の前に、その後の本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させるために、プロピレンの予重合を行ってもよい。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。
前記プロピレン重合体の存在下でエチレン単量体及びプロピレン単量体を重合する際の触媒としては、立体特異性チーグラー・ナッタ触媒が好ましく、以下の成分(A)と成分(B)と成分(C)とを含む触媒(以下、「触媒(I)」ともいう。)が特に好ましい。
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体化合物を含有し、前記電子供与体化合物がスクシネート系化合物である固体触媒。
(B)有機アルミニウム化合物。
(C)ケイ素化合物である外部電子供与体化合物。
したがって、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法の好ましい一態様は、触媒(I)を用いて、前記プロピレン重合体の存在下で、エチレン単量体及びプロピレン単量体を重合して前記ポリプロピレン系樹脂を得る工程を有する製造方法である。
触媒(I)を用いることで、XIのMw/Mnが前記範囲内であるポリプロピレン系樹脂が容易に得られる。触媒(I)の代わりに、触媒(I)の電子供与体化合物が他の化合物(例えばフタレート系化合物)である触媒を用いると、XIのMw/Mnが相対的に狭くなる傾向がある。
なお、触媒の種類に応じて、得られる重合体の性状が異なるが、性状の違いの全てを分析する現実的な手段は知られていない。
成分(A)に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)gX4−g(Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4)で表される4価のチタン化合物が好適である。炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等が挙げられ、ハロゲンとしては、Cl、Br等が挙げられる。
より具体的なチタン化合物としては、TiCl4、TiBr4、TiI4等のテトラハロゲン化チタン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC2H5)Cl3、Ti(On−C4H9)Cl3、Ti(OC2H5)Br3、Ti(O−isoC4H9)Br3等のトリハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)2Cl2、Ti(OC2H5)2Cl2、Ti(On−C4H9)2Cl2、Ti(OC2H5)2Br2等のジハロゲン化アルコキシチタン;Ti(OCH3)3Cl、Ti(OC2H5)3Cl、Ti(On−C4H9)3Cl、Ti(OC2H5)3Brなどのモノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OCH3)4、Ti(OC2H5)4、Ti(On−C4H9)4等のテトラアルコキシチタン等が挙げられる。これらチタン化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記チタン化合物の中で好ましいものはハロゲン含有チタン化合物であり、より好ましくはテトラハロゲン化チタンであり、特に好ましくは四塩化チタン(TiCl4)である。
これらのマグネシウム化合物は、例えば有機アルミニウム等との錯化合物の形で用いることもでき、また、液状状態であっても固体状態であってもよい。
さらに好適なマグネシウム化合物として、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウム等のアルコキシマグネシウムハライド;フエノキシ塩化マグネシウム、メチルフエノキシ塩化マグネシウム等のアリロキシマグネシウムハライド;エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウム等のアルコキシマグネシウム;フエノキシマグネシウム、ジメチルフエノキシマグネシウム等のアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等のマグネシウムのカルボン酸塩等が挙げられる。これらマグネシウム化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
スクシネート系化合物は、コハク酸のエステルであってもよく、コハク酸の1位又は2位にアルキル基等の置換基を持つ置換コハク酸のエステルであってもよい。具体例としては、ジエチルスクシネート、ジブチルスクシネート、ジエチルメチルスクシネート、ジエチルジイソプロピルスクシネート、ジアリルエチルスクシネート等が挙げられる。
好適なスクシネート系化合物として、下記化学式(I)で表されるスクシネート構造を有する化合物が挙げられる。
R3〜R6は、互いに同一か又は異なり、水素、或いは、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜20の線状又は分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、又はアルキルアリール基である。同じ炭素原子に結合しているR3とR4、R5とR6は互いに結合して環構造を形成してもよい。異なる炭素原子に結合しているR3〜R6のいずれか2つ以上は互いに結合して環構造を形成してもよい。
好適な単置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−sec−ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジエチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−t−ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1−(エトキシカルボジイソブチルフェニル)スクシネート、ジイソブチル−sec−ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−t−ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−sec−ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル−p−メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル−p−クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートが挙げられる。これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
好適な二置換スクシネート化合物の具体例としては、ジエチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジエチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジエチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジエチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジエチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジイソブチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジイソブチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−フェニル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−エチル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−ベンジル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシルメチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−プロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロペンチル−2−n−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソブチル−2−エチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(1−トリフルオロメチルエチル)−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−2−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−フェニル−2−n−ブチルスクシネートが挙げられる。これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
この化合物の具体例としては、ジエチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジエチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジエチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジエチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジエチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジエチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジエチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジエチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジエチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジイソブチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルー2,3−n−プロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジイソブチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジイソブチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラメチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジイソブチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジイソブチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル−2−シクロヘキシル−3−シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル−2,2−sec−ブチル−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(2−エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジシクロヘキシル−2−メチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジ−t−ブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−(1−トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−イソブチルスクシネート、ジネオペンチル−2−tert−ブチル−3−イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソプロピル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−イソペンチル−3−シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル−2−テトラデシル−3−シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル−2−n−プロピル−3−(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル−2−シクロヘキシル−3―シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラエチルスクシネート、ジネオペンチル−2,2,3,3−テトラプロピルスクシネート、ジネオペンチル−2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルスクシネートが挙げられる。これら化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
このような化合物として、特表2002−542347号公報に記載されている化合物、例えば、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,6−ジメチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチル)−2,5−ジメチルシクロペンタン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシアセチルメチル)−2−メチルシクロヘキサン、1−(エトキシカルボニル)−1−(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンが挙げられる。また、国際公開第2009/069483号、国際公開第2009/057747号に開示されている3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル等の環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。
成分(A)を構成するハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはこれらの混合物が挙げられ、特に塩素が好ましい。
好ましい有機ケイ素化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジエトキシシラン、t−アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo−トリルジメトキシシラン、ビスm−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、ビスp−トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、iso−ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2−ノルボルナントリメトキシシラン、2−ノルボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフエノキシシラン、メチルトリアリルオキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、メチル(3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブトキシジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチル−t−ブトキシジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルイソブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ビス(デカヒドロイソキノリン−2−イル)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジシクロペンチル−ビス(エチルアミノ)シラン、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、t−ブチルトリエトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp−トリルジメトキシシラン、p−トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2−ノネボルナントリエトキシシラン、2−ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ケイ酸エチルが好ましい。上記成分(C)は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合混合物を得る方法として、単量体濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いて行う方法も挙げられる。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接合されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。
具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、重合生成物を回収する。この方法では、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的又は部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体及び/又は液体混合物を下降管中に導入する。この重合方法は、例えば、特表2002−520426号公報に記載された方法を適用することができる。
本発明の中空成形品は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物からなるものである。
中空成形品の製造方法としては、例えば、押出機を用いてポリプロピレン系樹脂組成物を溶融混練し、押出成形して管状のパリソンを作製する工程と、そのパリソンを金型で挟むと共にパリソンの内部に空気を吹き込み、溶融した樹脂を金型内面に密着させて賦形して賦形物を得る工程と、その賦形物を冷却する工程とを有する方法が挙げられる。
中空成形品は、例えば、飲料、食品、医薬品、化粧品、洗剤等を充填するための容器として使用することができる。また、中空成形品は、蓋、コンテナ等にも使用することができる。
本実施例で用いた測定方法を以下に示す。
<プロピレン重合体中のエチレン単位の含有割合(C2)とエチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位の含有割合(Pc)>
1,2,4−トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、日本電子株式会社製JNM LA−400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、13C−NMR法で測定した。
以下の方法によってポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分を得て、キシレン可溶分の極限粘度(XSIV)を測定した。
ポリプロピレンのサンプル2.5gを、o−キシレン(溶媒)を250mL入れたフラスコに入れ、ホットプレート及び還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、樹脂組成物を完全溶解させた後、25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100mL採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分を得た。
極限粘度は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS−780−H1、柴山科学器械製作所製)を用いて測定した。
上記のXSIVの測定においてキシレン可溶分を得る際の濾過の後、濾紙上に残った残留物(キシレン不溶成分と溶媒の混合物)にアセトンを加えて濾過を行った。その後、濾過されずに濾紙上に残った成分を、80℃設定の真空乾燥オーブンにて蒸発乾固させ、キシレン不溶分(XI)を得た。
上記のXIを試料とし、以下のように、数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の測定を行い、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で除して分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
装置としてポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220を使用し、酸化防止剤を含む1,2,4−トリクロロベンゼンを移動相とし、カラムとして昭和電工(株)製UT−G(1本)、UT−807(1本)、UT−806M(2本)を直列に接続したものを使用し、検出器として示差屈折率計を使用した。また、キシレン不溶分の試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用し、1mg/mLの試料濃度で、150℃の温度で振とうさせながら2時間溶解して測定試料を調製した。これにより得た試料溶液500μLをカラムに注入し、流速1.0mL/分、温度145℃、データ取り込み間隔1秒で測定した。カラムの較正には、分子量580〜745万のポリスチレン標準試料(shodex STANDARD、昭和電工(株)製)を使用し、三次式近似で行った。Mark−Houwink−Sakuradaの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10−4、α=0.707、プロピレン系重合体に関しては、K=1.37×10−4、α=0.75を使用した。
ポリプロピレン系樹脂組成物のMFR(トータルMFR)は、JIS K 7210−1に従って、温度230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
(ポリプロピレン系樹脂の製造)
本例では、ポリプロピレン系樹脂として、スクシネート系(表中では、「Suc」と表記する。)のチーグラー・ナッタ触媒を用い、1段目で、プロピレンを重合してプロピレン重合体を形成し、2段目で、該プロピレン重合体存在下、エチレンとプロピレンを共重合させてエチレン・プロピレン共重合体を形成させて得た重合混合物を用いた。具体的に重合混合物は以下のようにして製造した。
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiCl4を0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl2・1.8C2H5OH(USP−4,399,054の実施例2に記載の方法にしたがって、しかしながら10000rpmに代えて3000rpmで運転して製造した)、及び9.1ミリモルのジエチル−2,3−(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した:250mLの新しいTiCl4を加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。
得られた重合混合物からなるポリプロピレン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合(BIPO)、エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位含有割合(Pc)、ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)、ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分のMw/Mnが表1に示すものであった。
上記ポリプロピレン系樹脂100質量部と、酸化防止剤(BASF社製B225)0.2質量部と、中和剤(淡南化学工業株式会社製カルシウムステアレート)0.05質量部とを、ヘンシェルミキサーで1分間攪拌、混合して溶融混練用混合物を得た。
次いで、前記溶融混練用混合物を、スクリュー温度230℃、スクリュー回転数90rpmに設定した単軸押出機(ナカタニ機械株式会社製NVC−50)を用いて溶融混練し、ペレット化して、MFRが1.5g/10分のポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物について、下記方法により、曲げ弾性率(剛性)、シャルピー衝撃強度(0℃)(低温耐衝撃性)、ボトル厚薄精度、ボトル肉厚差、ボトル衝撃強度(5℃)(成形品の低温耐衝撃性)を評価した。結果を表1に示す。
JIS K6921−2に従い、ポリプロピレン系樹脂組成物を、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度をMFRが1.5g/10分以上の材料に対しては230℃、MFRが1.5g/10分未満の材料に対しては255℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件で、JIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を成形し、幅10mm、厚み4mm、長さ80mmに加工することにより測定用試験片(タイプB2)を得た。タイプB2測定用試験片を用い、島津製作所製全自動試験機(AG−X10kN)を用い、温度23℃、相対湿度50%、支点間距離64mm、試験速度2mm/分の条件で曲げ弾性率を測定した。
曲げ弾性率の値が高い程、剛性に優れる。曲げ弾性率は、1000MPa以上が好ましい。
JIS K6921−2に従い、ポリプロピレン系樹脂組成物を、射出成形機(ファナック株式会社製FANUC ROBOSHOT S2000i)を用い、溶融樹脂温度をMFRが1.5g/10min以上の材料に対しては230℃、MFRが1.5g/10min未満の材料に対しては255℃、金型温度40℃、平均射出速度200mm/秒、保圧時間40秒、全サイクル時間60秒の条件で、JIS K7139に規定する多目的試験片(タイプA1)を成形した。この多目的試験片を、JIS K7111−1に従い、株式会社東洋精機製作所製ノッチングツールA−3を用いて幅10mm、厚み4mm、長さ80mmに加工しながら幅方向に2mmのノッチを入れ、形状Aの測定用試験片を得た。その測定用試験片について、株式会社安田精機製作所製低温槽付き全自動衝撃試験機(No.258−ZA)を用い、温度0℃の条件でシャルピー衝撃強度(エッジワイズ打撃、1eA法)を測定した。
中空成形機(株式会社日本製鋼所製、押出機のスクリュー直径50mm)を用い、成形温度230℃、スクリュー回転数15回転/分の条件でポリプロピレン系樹脂組成物を鉛直方向の下方に向けて押出成形して、管状のパリソンを作製した後に、ダイ/コア=φ18.6mm/φ16mm、金型温度25℃にて、平均肉厚0.8mmの500mL円筒形ボトルを中空成形した。得られた円筒形ボトルを縦に4分割した。得られた分割片を測定用試験片とした。
株式会社山文電気製卓上型オフラインシート厚み計測装置TOF−4R05を用い、各測定用試験片の長手方向(円筒形ボトルの高さ方向)の中央部から±30mmの範囲内の厚みを連続的に計測し、厚み標準偏差、平均厚み、及び厚みの最大値と最小値の差を求めた。
平均厚みに対する厚み標準偏差の割合(100×厚み標準偏差/平均厚み)を算出し、4つの測定用試験片各々の厚み標準偏差/平均厚みの値の平均値(%)をボトル厚薄精度とした。
4つの測定用試験片各々の厚みの最大値と最小値の差の平均値(mm)をボトル肉厚差とした。
ボトル厚薄精度又はボトル肉厚差が小さいほど、中空成形品の肉厚精度に優れる。ボトル厚薄精度は、6%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。ボトル肉厚差は、0.15mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましい。
上記ボトル厚薄精度及びボトル肉厚差の評価用と同一条件にて成形した円筒形ボトル2個を縦に2分割して合計4個の分割片を得た。得られた分割片を測定用試験片とした。
株式会社島津製作所製ハイドロショットHIPS−P10を用い、5℃に調整した層内で、内径40mmφの穴の開いた支持台に測定用試験片を固定した後、半球状の打撃面を持つ直径12.7mmφのストライカーで、1m/sの衝撃速度で測定用試験片を打撃し、JIS K7211−2に従いパンクチャーエネルギー(J)を求めた。4個の測定用試験片各々のパンクチャーエネルギーの平均値をボトル衝撃強度とした。
ボトル衝撃強度の値が高い程、成形品の低温耐衝撃性に優れる。ボトル衝撃強度は、3.5J以上が好ましく、4.0J以上がより好ましい。
プロピレン重合体中のエチレン単位含有割合(C2)、BIPO、Pc、XSIVが表1に示す値になるように、重合条件を表1に示す値に調整した以外は実施例1と同様にして、プロピレン重合体とエチレン・プロピレン共重合体との重合混合物を得た。実施例2と比較例2においては、1段目の重合反応器に、表1に示すエチレン濃度となるようにエチレンを供給し、エチレンとプロピレンとを共重合してプロピレン共重合体を形成させた。
その重合混合物をポリプロピレン系樹脂として用いた以外は実施例1と同様にして、表1に示すMFRのポリプロピレン系樹脂組成物を得た。
得られたポリプロピレン系樹脂組成物について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
本例では、ポリプロピレン系樹脂として、フタレート系(表中では、「Pht」と表記する。)のチーグラー・ナッタ触媒を用い、1段目で、プロピレンを重合してプロピレン重合体を形成し、2段目で、該プロピレン重合体存在下、エチレンとプロピレンを共重合させてエチレン・プロピレン共重合体を形成させて得た重合混合物を用いた。具体的に重合混合物は以下のようにして製造した。
MgCl2上にTiと内部ドナーとしてのジイソブチルフタレートを担持させた固体触媒を、欧州特許第728769号公報の実施例5に記載された方法により調製した。
次いで、上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、TEAL/DCPMSの重量比が10となるような量で、12℃において24分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予備重合を行った。得られた予備重合物を、2段の重合反応器を直列に備える重合装置の1段目の重合反応器に導入し、プロピレンの液相状態にてプロピレン重合体を製造し、2段目の気相重合反応器でエチレン−プロピレン共重合体を製造した。重合の際には、重合温度を70℃とし、重合圧力と触媒の添加量を調整するとともに、エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位含有割合が所定の量となるように、2段目のエチレン供給量とプロピレン供給量を調整して表1に示すC2/(C2+C3)とした。また、分子量調整剤として水素を用いて、ポリプロピレン系樹脂組成物のMFRとポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度が所定の値となるように、1段目と2段目の供給量を調整して表1に示す水素濃度とした。また、ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体含有割合が所定の量となるように、1段目と2段目の滞留時間分布を調整した。この重合混合物をポリプロピレン系樹脂として用いた以外は実施例1と同様にして、表1に示すMFRのポリプロピレン系樹脂組成物を得て、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示す。
ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分(XI)のMw/Mnが6未満である比較例1のポリプロピレン系樹脂組成物は、シャルピー衝撃強度(0℃)が高い値であるにも関わらず、実施例1の組成物に比較して、成形品の厚薄精度が悪くて肉厚差が大きく、ボトル衝撃強度(5℃)に劣っていた。
プロピレン重合体中のエチレン単位含有割合(C2)が1.0質量%超である比較例2のポリプロピレン系樹脂組成物は、曲げ弾性率が低く、剛性に劣っていた。
ポリプロピレン系樹脂中のエチレン・プロピレン共重合体の含有割合(BIPO)が15質量%未満である比較例3のポリプロピレン系樹脂組成物は、シャルピー衝撃強度(0℃)が劣っており、これを用いた成形品のボトル衝撃強度(5℃)も劣っていた。
ポリプロピレン系樹脂のエチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位の含有割合(Pc)が40質量%以下又は70質量%超である比較例4〜5のポリプロピレン系樹脂組成物は、シャルピー衝撃強度(0℃)及びボトル衝撃強度(5℃)が劣っていた。
ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が2.0質量%未満の比較例6のポリプロピレン系樹脂組成物は、シャルピー衝撃強度(0℃)及びボトル衝撃強度(5℃)が劣っていた。
Claims (3)
- プロピレン重合体からなるマトリックスとエチレン・プロピレン共重合体とを含むポリプロピレン系樹脂を含有し、
230℃、2.16kgでのメルトマスフローレートが0.1〜5.0g/10分であり、
前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の、135℃のテトラヒドロナフタレン中での極限粘度が2.0dl/g超4.0dl/g以下であり、
前記ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比率(Mw/Mn)が6〜20であり、
前記エチレン・プロピレン共重合体の含有割合が、前記ポリプロピレン系樹脂の総質量に対して15〜30質量%であり、
前記プロピレン重合体中のエチレン単位の含有割合が、前記プロピレン重合体の総質量に対して1.0質量%以下であり、
前記エチレン・プロピレン共重合体中のプロピレン単位の含有割合が、前記エチレン・プロピレン共重合体の総質量に対して40質量%超70質量%以下である、中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物。 - 請求項1に記載の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法であって、
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン及び電子供与体化合物を含有し、前記電子供与体化合物がスクシネート系化合物である固体触媒と、
(B)有機アルミニウム化合物と、
(C)ケイ素化合物である外部電子供与体化合物と、
を含む触媒を用いて、前記プロピレン重合体の存在下で、エチレン単量体及びプロピレン単量体を重合して前記ポリプロピレン系樹脂を得る工程を有する、中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1に記載の中空成形用ポリプロピレン系樹脂組成物からなる中空成形品。
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